JP2017090529A - 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶配向膜の製造方法及び液晶素子 - Google Patents

液晶配向剤、液晶配向膜、液晶配向膜の製造方法及び液晶素子 Download PDF

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裕介 植阪
Yusuke Uesaka
裕介 植阪
文隆 杉山
Fumitaka Sugiyama
文隆 杉山
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Abstract

【課題】高い電圧保持率及び低残像の液晶素子を得ることができ、しかも光配向処理による分解物の発生が少ない液晶配向剤を提供する。【解決手段】下記式(1−1)で表される部分構造及び下記式(1−2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体を液晶配向剤に含有させる。(式(1−1)及び式(1−2)中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、R3は置換基であり、R4〜R7は、それぞれ独立に水素原子又は置換基である。X1は2価の有機基であり、mは0〜2の整数であり、nは0〜(2m+4)の整数である。)【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜、液晶配向膜の製造方法及び液晶素子に関する。
液晶素子は、テレビやモバイル機器、各種モニターなどに広く利用されている。これら液晶素子には、液晶セル中の液晶分子を配向制御するために液晶配向膜が使用されている。液晶配向膜の材料としては、耐熱性、機械的強度、液晶との親和性等の各種特性が良好である点から、ポリアミック酸やポリイミドが一般に使用されている。
液晶配向膜を形成する方法としては、従来、有機膜をラビングする方法、酸化ケイ素を斜方蒸着する方法、長鎖アルキル基を有する単分子膜を形成する方法、感光性の有機膜に光照射する方法(光配向法)などが知られている。これらのうち、光配向法は、静電気及び埃の発生を抑えつつ、感光性の有機膜に均一な液晶配向能を付与することができ、しかも配向方向の精密な制御も可能であることから、近年、種々検討が進められている(例えば特許文献1,2参照)。特許文献1,2には、シクロブタン骨格を有するポリイミド樹脂からなる高分子薄膜を形成し、該薄膜に偏光した紫外線を照射することにより、ラビング処理なしに液晶配向能を付与することが開示されている。当該ポリイミド樹脂からなる高分子薄膜に紫外線照射すると、シクロブタン環が光分解することによって膜に異方性が付与されるものと考えられている。
特開平09−297313号公報 国際公開第2012/176822号
しかしながら、シクロブタン骨格を有するポリイミド樹脂に紫外線照射した場合、光分解によってビスマレイミド化合物が発生し、該化合物が配向膜から揮発することによる影響が考えられる。また近年では、大画面で高精細の液晶テレビが主体となり、またスマートフォンやタブレットPC等といった小型の表示端末の普及が進み、液晶パネルに対する高精細化の要求は更に高まりつつある。液晶素子の表示品位を高くするには、電圧保持率が高いこと、素子内部における残留DC電圧の蓄積量が少ないこと、液晶配向規制力が高くAC残像が生じにくいこと等が要求される。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、高い電圧保持率及び低残像の液晶素子を得ることができ、しかも光配向処理による分解物の発生が少ない液晶配向剤を提供することを一つの目的とする。
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を達成するべく鋭意検討した結果、特定構造を有する重合体を用いて液晶配向膜を形成することにより、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下の手段が提供される。
<1> 下記式(1−1)で表される部分構造及び下記式(1−2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体を含有する液晶配向剤。
Figure 2017090529
(式(1−1)及び式(1−2)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、Rは置換基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は置換基である。Xは2価の有機基であり、mは0〜2の整数であり、nは0〜(2m+4)の整数である。)
<2> 上記<1>の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
<3> 上記<1>の液晶配向剤を基板に塗布し、該塗布した基板面に光照射して配向を生じさせる、液晶配向膜の製造方法。
<4> 上記<2>に記載の液晶配向膜を具備する液晶素子。
上記式(1−1)で表される部分構造及び上記式(1−2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体を重合体成分として用いることにより、光配向処理による分解物の発生を少なくすることができる。また、電圧保持率が高く、かつ残像(AC残像及びDC残像)が少ない液晶素子を得ることができる。
以下に、本開示の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。
なお、本明細書において「炭化水素基」とは、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。「有機基」とは、炭化水素基を含む基を意味し、構造中にヘテロ原子を含んでいてもよい。
本開示の液晶配向剤は、上記式(1−1)で表される部分構造及び上記式(1−2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体(以下「重合体(A)」ともいう。」を含有する。
上記式(1−1)において、R及びRの1価の有機基としては、例えば炭素数1〜10の1価の炭化水素基、桂皮酸構造を有する基などが挙げられる。
、R〜Rの置換基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフルオロアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。nは、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0又は1である。mは、好ましくは1である。
〜Rは、好ましくは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフルオロアルキル基である。AC残像の低減効果を高くできる点で、R〜Rのうちの1個又は2個が置換基であることが好ましく、当該置換基が、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフルオロアルキル基であることがより好ましい。
の2価の有機基は、ジアミン化合物から2つの1級アミノ基を取り除いた残基である。当該ジアミン化合物は特に限定されないが、例えば、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、N,N−ビス(4−アミノフェニル)アミン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ジアミノピリジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、3,5−ジアミノ安息香酸、o−トリジン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)−2−プロペン酸、1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメトキシビフェニル、1,3−ビス(4−アミノフェネチル)ウレア、2,5−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン、2,5−ジアミノ−tert−ブトキシカルボニルアミノメチルベンゼン、4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン、4−(4−アミノフェノキシカルボニル)−1−(4−アミノフェニル)ピペリジン、N4,N4’−ビス−(4−アミノフェニル)−N4,N4’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン、ドデカノキシジアミノベンゼン、オクタデカノキシジアミノベンゼン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサン、下記式(E−1)
Figure 2017090529
(式(E−1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−であり、Rは炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、RIIは単結合又は炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数であり、dは0又は1である。ただし、a及びbが同時に0になることはない。)
で表される化合物などを挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミン化合物が挙げられる。
重合体(A)は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体である。重合体(A)がポリアミック酸である場合、該ポリアミック酸(以下「ポリアミック酸(A)」ともいう。)は、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させることにより得ることができる。
ポリアミック酸(A)の合成に際しては、テトラカルボン酸二無水物として下記式(3)で表される化合物(以下「特定酸二無水物」ともいう。)を少なくとも用いる。
Figure 2017090529
(式(3)中、R〜R、m及びnは、それぞれ上記式(1)と同義である。)
特定酸二無水物の具体例としては、例えば下記式(3−1)〜式(3−8)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。なお、特定酸二無水物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
Figure 2017090529
ポリアミック酸(A)の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物は特定酸二無水物のみであってもよいが、特定酸二無水物以外のテトラカルボン酸二無水物(以下、「その他の酸二無水物」ともいう。)を併用してもよい。その他の酸二無水物の具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、1,3−プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。その他の酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸(A)の合成に際し、特定酸二無水物の使用割合は、本開示の効果を十分に得る観点から、ポリアミック酸(A)の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の全量に対して30モル%以上とすることが好ましく、50モル%以上とすることがより好ましい。また、ポリアミック酸(A)の合成に使用するジアミン化合物としては、Xの説明で例示したジアミン化合物等が挙げられる。ジアミン化合物は1種のみを使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
ポリアミック酸(A)は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを、必要に応じて分子量調整剤とともに反応させることにより得ることができる。ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましい。分子量調整剤としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などの酸一無水物、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミンなどのモノアミン化合物、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。分子量調整剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の合計100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましい。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は−20℃〜150℃が好ましく、反応時間は0.1〜24時間が好ましい。
反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。特に好ましい有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、m−クレゾール、キシレノール及びハロゲン化フェノールよりなる群から選択される1種以上を溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と、他の有機溶媒(例えばブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)との混合物を使用することが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して、0.1〜50質量%になる量とすることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
重合体(A)としてのポリアミック酸エステルは、例えば、[I]上記合成反応により得られたポリアミック酸(A)とエステル化剤とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルとジアミン化合物とを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミン化合物とを反応させる方法、などによって得ることができる。ここで、エステル化剤としては、例えばメタノール、エタノール、桂皮酸構造を有する水酸基含有化合物等が挙げられる。上記[II]で使用するテトラカルボン酸ジエステルは、特定酸二無水物やその他の酸二無水物をアルコール類などで開環することにより得ることができる。上記[III]で使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、上記の如くして得たテトラカルボン酸ジエステルを、塩化チオニル等の適当な塩素化剤と反応させることにより得ることができる。
重合体(A)としてのポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。なお、ポリアミック酸エステルを溶解してなる反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸エステルを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
重合体(A)としてのポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸(A)を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。当該ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。反応に使用するポリイミドは、そのイミド化率が20〜99%であることが好ましく、30〜90%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を加熱する方法により、又はポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。このうち、後者の方法によることが好ましい。
ポリアミック酸の溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。使用する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃である。反応時間は、好ましくは1.0〜120時間である。
このようにしてポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
以上のようにして得られる重合体(A)は、これを濃度10質量%の溶液としたときに、10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、重合体(A)の溶液粘度(mPa・s)は、重合体(A)の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。
<その他の成分>
本開示の液晶配向剤は、重合体(A)以外のその他の成分を含有していてもよい。当該その他の成分としては、例えば、上記式(1−1)で表される部分構造及び上記式(1−2)で表される部分構造のいずれも有さないその他の重合体(例えば、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリオルガノシロキサン、ポリエステル、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを主骨格とする重合体)、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物、官能性シラン化合物、酸化防止剤、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、充填剤、分散剤、光増感剤などが挙げられる。これらの配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲で、各化合物に応じて適宜選択することができる。
本開示の液晶配向剤は、電圧保持率及びDC残像特性を改善する観点から、その他の重合体として光配向性基を有さない重合体(以下「重合体(P)」ともいう。)を含有していてもよい。ここで、光配向性基とは、光照射による光異性化反応、光二量化反応又は光分解反応によって膜に異方性を付与する官能基をいう。重合体(P)は、液晶との親和性等の観点から、ポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、電圧保持率及びDC残像特性の改善効果が高い点で、ポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつ2級アミン構造、3級アミン構造及び窒素含有複素環よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有するジアミン(例えば、N,N−ビス(4−アミノフェニル)アミン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、4−(4−アミノフェノキシカルボニル)−1−(4−アミノフェニル)ピペリジン、4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリンなど)に由来する構造単位を有する重合体であることがより好ましい。
重合体(P)の配合割合は、液晶配向剤に含有される重合体(A)と重合体(P)との合計100質量部に対して、30質量部以上であることが好ましく、40〜95質量部であることがより好ましく、50〜90質量部であることがさらに好ましい。
<溶剤>
本開示の液晶配向剤は、重合体(A)及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な有機溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,2−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10質量%の範囲である。すなわち、液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、固形分濃度が1質量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜が得にくくなる。一方、固形分濃度が10質量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜が得にくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布性が低下する傾向にある。
<液晶素子>
本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶素子における液晶の動作モードは特に限定されず、例えばTN型、STN型、VA型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS型、FFS型、OCB(Optically Compensated Bend)型など種々のモードに適用することができる。液晶素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造する。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各動作モード共通である。
[工程1:塗膜の形成]
先ず基板上に液晶配向剤を塗布し、次いで、好ましくは塗布面に加熱処理を施すことにより、基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができる。TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。基板への塗布は、電極形成面上に、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法により行う。
液晶配向剤を塗布した後の加熱処理としては、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止などの目的で、予備加熱(プレベーク)を実施することが好ましい。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、プレベーク時間は、好ましくは0.25〜10分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として、加熱処理として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80〜300℃であり、ポストベーク時間は、好ましくは5〜200分である。このようにして形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmである。
[工程2:配向処理]
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、上記工程1で形成された塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜が得られる。配向処理は、液晶配向剤を塗布した基板面に光照射することによって液晶配向能を付与する光配向処理によることが好ましい。光照射は、ポストベーク後の塗膜に行ってもよく、プレベーク後であってポストベーク前の塗膜に行ってもよく、あるいはプレベーク及びポストベークの少なくともいずれかによる加熱中の塗膜に行ってもよい。光配向処理において、塗膜に照射する放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。非偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向とする。光源としては、例えば水銀ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプなどを使用することができる。放射線の照射量は、好ましくは100〜50,000J/mであり、より好ましくは300〜20,000J/mである。なお、垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向処理を施してもよい。
[工程3:液晶セルの構築]
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。具体的には、(1)それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法、(2)液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化する方法(ODF方式)、などが挙げられる。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが挙げられる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、添加して使用してもよい。
続いて、必要に応じて液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより液晶素子が得られる。偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板が挙げられる。
本開示の液晶素子は種々の装置に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置や、調光フィルム等に用いることができる。また、本開示の液晶配向剤を用いて形成された液晶素子は位相差フィルムに適用することもできる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の例において、重合体溶液の溶液粘度及び重合体の重量平均分子量は、以下の方法により測定した。
[重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)];所定の溶媒を用い、重合体濃度10質量%に調製した溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[重合体の重量平均分子量];以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm
以下の重合で使用したモノマーの略号及び構造を下記に示す。なお、以下では、「式(X)で表される化合物」を単に「化合物(X)」と略すことがある。
Figure 2017090529
(式中、Meはメチル基、Bocはtert−ブトキシカルボニル基を表す。)
[合成例1]
テトラカルボン酸二無水物として化合物(a−1)2.50g、及びジアミン化合物として化合物(b−1)2.30gをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解し、室温で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20質量%含有する溶液を得た。ここで得られたポリアミック酸を重合体(A−1)とした。得られたポリアミック酸溶液を少量分取して測定した溶液粘度は400mPa・sであった。
[合成例2,4〜10、比較合成例1]
使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の種類及び量を下記表1のとおり変更した以外は合成例1と同様にしてポリアミック酸をそれぞれ合成した。なお、表1中、酸二無水物及びジアミン化合物の数値は、重合体の合成に使用したテトラカルボン酸二無水物の全量に対する各化合物の使用割合[モル%]を表す。合成例10で得た重合体(P−1)は、光配向性基を有さない重合体(非感光性樹脂)である。
[合成例3]
ジアミン化合物として化合物(b−1)2.30g、塩基としてピリジン1.6ml、及び溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)22.4mlを加えて溶解させた。この溶液を水冷撹拌しながら、化合物(a−3)3.41g(合成に使用したジアミン化合物の合計100モル部に対して97モル部)を添加し、さらに固形分濃度が5重量%となるようにNMPを加え、水冷しながら4時間撹拌した。この溶液を60gの水に注いで重合体を析出させ、吸引濾過により重合体をろ取し、再度水60gで洗浄したのちメタノール60gにて3回洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、ポリアミック酸エステル粉末4.8gを得た(これを重合体(A−3)とした。)。この重合体(A−3)の重量平均分子量はMw=60,000であった。得られた重合体(A−3)をNMPにて15重量%となるように調製した。
Figure 2017090529
[実施例1]
(1)液晶配向剤の調製
重合体(A)として上記合成例1で得た重合体(A−1)を含有する溶液に、NMP及びブチルセロソルブ(BC)を加えて十分に撹拌し、溶媒組成がNMP:BC=70:30(重量比)、固形分濃度4.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.20μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)光分解物発生の評価
上記(1)で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて、ガラス製のサンプル基板(10cm×10cm)の一面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)した後、塗膜表面に、Hg−Xeランプを用いて、254nmの輝線を含む偏光の紫外線10,000J/mを基板法線方向から照射した。続いて、直径7cmのプラスチック製シャーレの下皿の底面全部をくり抜いたものをスペーサーとして用い、このスペーサーを、サンプル基板上に形成した光照射後の塗膜の上に載置し、さらにスペーサーの上に対向基板(10cm×10cm、ガラス製)を載置することにより、サンプル基板上の塗膜と対向基板の基板面とをスペーサーを介して対向配置させた(これを試料Aとする。)また、上記の操作を繰り返し、試料Aを合計3個準備した。
次いで、3個の試料Aをホットプレート上にそれぞれ載せ、各サンプル基板を230℃のホットプレート上で5分間加熱(ポストベーク)して、膜中の低分子量成分(紫外線照射による光分解物)を対向基板に付着させた。なお、ポストベーク後の液晶配向膜の平均膜厚は0.05μmであった。続いて、それぞれの対向基板を1cm×5cmの短冊状に切断し、この短冊状基板(合計15枚)を測定試料に用いて、対向基板に付着した成分量をヘッドスペースGC法によりFID検出器で分析した。CG分析によるトータルピーク強度を用い、下記に示す比較例1のトータルピーク強度を100としたときの相対値により光分解物の発生量を評価した。評価は、相対値が70未満の場合を「良好A(◎)」、70以上80未満の場合を「良好B(○)」、80以上90未満の場合を「可(△)」、90以上100未満の場合を「不良A(×)」、100の場合を「不良B(××)」と評価した。その結果、この実施例では「良好A」の評価であった。
(3)液晶セルの製造
ITO膜からなる透明電極を片面に有する一対のガラス基板を用い、この一対のガラス基板のそれぞれの電極面上に、上記(1)で調製した液晶配向剤をスピンナーにより塗布した。次いで、80℃のホットプレート上で1分間のプレベークを行った後、230℃のホットプレート上で10分間ポストベークして、膜厚約0.08μmの塗膜を形成した。続いて、それぞれの塗膜表面に、Hg−Xeランプを用いて、254nmの輝線を含む偏光の紫外線10,000J/mを基板法線方向から照射し、液晶配向膜を形成した。次いで、どちらか一方の基板の液晶配向膜を有する面の外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、光照射時の偏光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、一対の基板間に液晶注入口よりネマチック液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷し、液晶セルを作製した。
(4)電圧保持率の測定
上記(3)で製造した液晶セルに、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。電圧保持率が95%以上を「良好(◎)」、90%よりも大きく95%未満を「可A(○)」、80%以上90%以下を「可B(△)」、80%未満を「不良(×)」としたところ、この実施例では「可A」と判定された。なお、電圧保持率の測定装置としては(株)東陽テクニカ社製の型式名「VHR−1」を使用した。
(5)AC残像特性の評価
上記(3)で製造した液晶セルを、交流電圧10Vで30時間駆動した後に光源と光量検出器の間に偏光子と検光子を配置した装置を使用して、下記数式(1)で表される最小相対透過率(%)を測定した。
最小相対透過率(%)=(β−B)/(B100−B)×100 …(1)
(数式(1)中、Bは、ブランクでクロスニコル下の光の透過量である。B100は、ブランクでパラニコル下の光の透過量である。βは、クロスニコル下で偏光子と検光子の間に液晶表示素子を挟み、最小となる光透過量である。)
暗状態の黒レベルは液晶表示素子の最小相対透過率で表され、暗状態での黒レベルが小さいほどコントラストが優れる。最小相対透過率が5%未満のものを「良好(◎)」、5%以上10%未満のものを「可A(○)」、10%以上15%未満のものを「可B(△)」、15%以上のものを「不良(×)」と評価した。その結果、この実施例では「良好」と判断された。
(6)DC残像特性の評価
上記(3)で製造した液晶セルに、75℃の温度条件で2Vの直流電圧を1時間印加し、電圧印加を解除した後、液晶セルに残留する電圧[mV]を測定した。残留DC電圧が50mV未満であった場合を「良好(◎)」、50mV以上100mV未満であった場合を「可A(○)」、100mV以上200mV未満であった場合を「可B(△)」、150mV以上であった場合を「不良(×)」としたところ、この実施例では「可A」と判定された。
[実施例2〜8及び比較例1,2]
使用する重合体の種類及び量を下記表2に示す通り変更した以外は、上記実施例1と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、各液晶配向剤を用いて、実施例1と同様にして液晶セルを製造するとともに、得られた液晶セルを用いて実施例1と同じく各種評価を行った。その結果を下記表2に示した。なお、実施例7,8及び比較例2では2種類の重合体を使用した。表2中、重合体の数値は、液晶配向剤の調製に使用した重合体の全量100質量部に対する各重合体の使用割合(質量部)を示す。
Figure 2017090529
表2から明らかなように、重合体(A)を含む液晶配向剤(実施例1〜実施例8)は、塗膜に対する紫外線照射によって発生する光分解物が少なく、また液晶セルの電圧保持率、AC残像特性、DC残像特性についても良好であった。これに対し、重合体(A)の代わりにシクロブタン骨格を有する重合体を含有する比較例1,2は、塗膜からの光分解物の発生量が実施例のものに比べて多かった。

Claims (4)

  1. 下記式(1−1)で表される部分構造及び下記式(1−2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体を含有する液晶配向剤。
    Figure 2017090529
    (式(1−1)及び式(1−2)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、Rは置換基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は置換基である。Xは2価の有機基であり、mは0〜2の整数であり、nは0〜(2m+4)の整数である。)
  2. 請求項1に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
  3. 請求項1に記載の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗布した基板面に光照射して前記塗膜に液晶配向能を付与する工程と、を含む液晶配向膜の製造方法。
  4. 請求項2に記載の液晶配向膜を備える液晶素子。
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