鋭意検討の結果、本発明らは、粒子状固体有機UVフィルターをベースとし、水相中であっても、効果的なUVフィルター効果、特にUV-Aフィルター効果をもたらすことができる新規な複合顔料を得ることが可能であることを発見した。
本発明による新規な複合顔料は、
少なくとも1種の多糖を含むコア粒子であって、
油の湿潤点が、少なくとも25ml/100g、好ましくは35〜600ml/100g、より好ましくは40〜500ml/100gであり、
水の湿潤点が、少なくとも50ml/100g、好ましくは100〜600ml/100g、より好ましくは150〜500ml/100gである
コア粒子を少なくとも1種含み、
このコア粒子の表面は、少なくとも1種の粒子状固体有機UVフィルターを含む少なくとも1つのコーティング層によって少なくとも部分的に覆われている。
本発明による複合顔料は、脂肪相中及び水相中の両方で、効果的なUVフィルター効果、特にUV-Aフィルター効果をもたらすことができる。
サンケア製品の多くは、O/W又はW/Oエマルジョンの形態である。本発明による複合顔料は、上記のO/W又はW/Oエマルジョンの形態のサンケア製品でも高いUV保護効果を実現できる。
一般に、有機UVフィルターは、皮膚上に適用する際に、べたつく触感、又は脂っぽい外観等の不満足な肌合いを与え得る。しかし、本発明による複合顔料中に本質的に使用される粒子状有機UVフィルターは液体の形態ではないので、本発明による複合顔料は、皮膚上に適用した際に不満足な肌合いを回避することができる。詳細には、本発明による複合顔料では、固体有機UVフィルターの微粒子がコア粒子上にしっかりと固定されるため、皮膚上で容易に広がらないような高い摩擦係数を有し、不快な使用感を与える単体の微粒子を減らすことが可能であるので、より良好な使用感を与えることができる。
更に、本発明による複合顔料を含む化粧料組成物は、本発明による複合顔料を含むことによって、有利な美容的効果及び/又は実用的効果を発揮することができる。例えば、本発明による化粧料組成物は、特にUV-A領域において、より良好なUVシールド効果をもたらすことができる。加えて、化粧料組成物が粉末の形態の場合、摩擦を減らしたことによる滑らかな使用感、毛穴及び小皺等の皮膚の欠陥に対する優れた隠蔽効果、艶消し効果及び崩れにくい良好なコンパクタビリティも有する。一方、化粧料組成物が液体の形態である場合、艶消し効果及びヘイズ効果等の視覚的な光学的効果も良好である。
以下に、本発明による複合顔料及び化粧料組成物を構成する要素のそれぞれについて詳述する。
[コア粒子]
本発明による複合顔料に使用するコア粒子は、コア粒子が、少なくとも1種の多糖を含み、
少なくとも25ml/100g、好ましくは35〜600ml/100g、より好ましくは40〜500ml/100gの油の湿潤点と、
少なくとも50ml/100g、好ましくは100〜600ml/100g、より好ましくは150〜500ml/100gの水の湿潤点とを有する限り、限定されない。
多糖は、アルギン酸、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、アラビノガラクタン、カラギーナン、寒天、カラヤゴム、トラガカントゴム、タラガム、ペクチン、ローカストビーンガム、カードラン、ジェランガム、デキストラン、プルラン、ヒアルロン酸、セルロース及びその誘導体、並びにこれらの混合物から選択することができる。セルロース及びその誘導体が好ましい。
本発明による複合顔料中のコア粒子向けの1種又は複数の材料として使用できるセルロース及びその誘導体は、多孔質であっても無孔質であってもよい。しかし、セルロース及びその誘導体は、多孔質であることが好ましい。
セルロース及びその誘導体の多孔度は、BET法により、0.05m2/g〜1,500m2/g、より好ましくは0.1m2/g〜1,000m2/g、更により好ましくは0.2m2/g〜500m2/gの比表面積を特徴とするものでよい。
本発明において、使用できるセルロースは、セルロースI、セルロースII等のようなセルロースのタイプによって限定されない。本発明による複合顔料中のコア粒子向けの材料として使用できるセルロースとしては、タイプIIのセルロースが好ましい。
本発明による複合顔料中のコア粒子向けの材料として使用できるセルロースは、粒子、特に球状粒子の形態であることが好ましい。
セルロース粒子、好ましくは球状セルロース粒子は、例えば、以下のように調製できる。
(1)凝集阻害剤として炭酸カルシウムのスラリーを、アルカリ性の水溶性アニオンポリマー水溶液に添加し、撹拌する。
(2)ビスコースと上記の(1)で得られた水溶液とを混合して、ビスコース微粒子分散液を形成する。
(3)上記の(2)で得られたビスコース微粒子分散液を加熱して分散液中のビスコースを凝集させ、酸によって中和してセルロース微粒子を生成する。
(4)セルロース微粒子を、上記の(3)で得られた母液から分離し、必要に応じて洗浄し、乾燥する。
ビスコースは、セルロースの原料である。ガンマ価が30〜100質量%で、アルカリ濃度が4〜10質量%のビスコースを使用することが好ましい。上記の水溶性アニオンポリマーとして、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩等を挙げることができる。上記の炭酸カルシウムは、分散液中のビスコース微粒子の凝集を防止するため、またセルロース粒子の粒径を小さくするために使用される。炭酸カルシウムスラリーとして、日本の奥多摩工業株式会社によって市販されているTama Pearl TP-221 GSを挙げることができる。
コア粒子の最長径/最短径の比は、1.0〜2.5、好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは1.0〜1.5の範囲であることが好ましい。
本発明による複合顔料中のコア粒子の粒径は、限定されない。しかし、コア粒子の平均一次粒径は、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下、更により好ましくは2〜5μmであることが好ましい。
コア粒子の90容量%以上は、2〜7μm、好ましくは2〜6μm、より好ましくは2〜5μmの範囲の平均一次粒径を有することが好ましい。コア粒子の90容量%以上が2〜7μmの範囲の平均一次粒径を有する場合、コア粒子による光学的効果も実現し得る。
平均一次粒径は、例えば、レーザー回折粒径アナライザー等の粒径アナライザーを使用して、SEM等によって得られる写真画像からの抽出及び測定によって測定できる。レーザー回折粒径アナライザー等の粒径アナライザーを使用することが好ましい。
コア粒子は、前もって被覆されていても被覆されていなくてもよい。
特定の実施形態において、コア粒子は、初めから被覆されている。コア粒子の元のコーティングの材料は限定されないが、モノ若しくはジカルボン酸又はその塩、アミノ酸、N-アシルアミノ酸、アミド、シリコーン、及び変性シリコーン等の有機材料が好ましいことがある。有機材料として、コハク酸カリウム、ラウロイルリシン及びアクリル変性シリコーンを挙げることができる。
換言すると、コア粒子は表面処理されていてもよい。表面処理の例として、以下を挙げることができる:
(a)フッ素ベース化合物処理、例えばペルフルオロアルキルリン酸エステル、ペルフルオロアルキルシラン、ペルフルオロポリエーテル、フルオロシリコーン、及びフッ素化シリコーン樹脂による処理
(b)シリコーン処理、例えば、気相中における、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、及びテトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサンによる処理
(c)ペンダント処理、例えば気相シリコーン処理後のアルキル鎖等を加える処理
(d)シランカップリング剤処理
(e)チタンカップリング剤処理
(f)アルミニウムカップリング剤処理
(g)油剤(oil agent)処理
(h)N-アシル化リシン処理
(i)ポリアクリル酸処理
(j)金属石鹸処理、例えばステアリン酸塩又はミリスチン酸塩によるもの
(k)アクリル樹脂処理
(l)金属酸化物処理
複数の表面処理を上記の処理と組み合わせて実施することが可能である。
一実施形態によれば、セルロース誘導体は、セルロースエステル及びエーテルから選択してよい。
「セルロースエステル」という用語が、本明細書中の上記及び下記の文章中で、部分的又は全体的にエステル化された無水グルコース環のα(1〜4)配列からなるポリマーを意味し、このエステル化は、前記無水グルコース環の遊離ヒドロキシル官能基の全て又はそのいくつかのみが、1〜4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状カルボン酸又はカルボン酸誘導体(酸塩化物又は酸無水物)と反応することによって得られることが指摘される。
好ましくは、セルロースエステルは、前記環のいくつかの遊離ヒドロキシル官能基と、1〜4個の炭素原子を含有するカルボン酸との反応の結果生じる。
有利には、セルロースエステルは、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、イソ酪酸セルロース、アセト酪酸セルロース及びアセトプロピオン酸セルロース、並びにこれらの混合物から選択される。
これらのセルロースエステルは、3,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、好ましくは15,000〜300,000の範囲の質量平均分子量を有してよい。
本明細書中の上記及び下記の文章中で、用語「セルロースエーテル」は、部分的にエーテル化された無水グルコース環のα(1〜4)配列からなるポリマーを意味し、前記環のいくつかの遊離ヒドロキシル官能基は、-OR基で置換されており、Rは好ましくは、1〜4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状アルキル基である。
したがって、セルロースエーテルは、好ましくは、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基を有するセルロースアルキルエーテル、例えばセルロースメチル、セルロースプロピル、セルロースイソプロピル、セルロースブチル及びセルロースイソブチルエーテルから選択される。
これらのセルロースエーテルは、3,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、好ましくは15,000〜300,000の範囲の質量平均分子量を有してよい。
本発明による複合顔料に使用するコア粒子は、
油の湿潤点が、少なくとも25ml/100g、好ましくは35〜600ml/100g、より好ましくは40〜500ml/100gであり、
水の湿潤点が、少なくとも50ml/100g、好ましくは100〜600ml/100g、より好ましくは150〜500ml/100gである。
本明細書における用語「油の湿潤点」は、特に、目標粉末でペーストを形成することによって認識できる、完全に濡れている目標粉末を作製する上で必要な油の分量又は量を意味する。
油の湿潤点は、以下のプロトコルによって決定できる。
(1)油、特に直鎖状エステル油、例えば、9cPの粘度及び0.853g/mlの密度を有するイソノナン酸イソノニルを加えながら、スパチュラでガラス板上の目標粉末2gを練る。
(2)目標粉末が完全に濡れて、ペーストを形成し始めたら、加えた油の質量を湿潤点の質量として決定する。
(3)油の湿潤点は、次式から計算する。油の湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/油の密度
同様に、本明細書における用語「水の湿潤点」は、特に、目標粉末でペーストを形成することによって認識できる、完全に濡れている目標粉末を作製する上で必要な水の分量又は量を意味する。
水の湿潤点は、以下のプロトコルによって決定できる。
(1)0.998g/mlの密度を有する水を加えながら、スパチュラでガラス板上の目標粉末2gを練る。
(2)目標粉末が完全に濡れて、ペーストを形成し始めたら、加えた水の質量を湿潤点の質量として決定する。
(3)水の湿潤点は、次式から計算する。水の湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/水の密度
本発明による複合顔料中のコア粒子の水の湿潤点/油の湿潤点の比は、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更により好ましくは2以下であることが好ましい。
本発明による複合顔料中のコア粒子として、例えば、日本の大東化成工業株式会社により市販されている以下の球状セルロース粒子を挙げることができる。
粒径が4μmのCellulobeads USF(油の湿潤点は296.0ml/100gであり、水の湿潤点は400.8ml/100gであり、水の湿潤点/油の湿潤点の比は1.4である)(多孔質セルロース)、
粒径が10μmのCellulobeads D-5(油の湿潤点は49.8ml/100gであり、水の湿潤点は205.0 ml/100gであり、水の湿潤点/油の湿潤点の比は4.1である)、
粒径が15μmのCellulobeads D-10(油の湿潤点は44.0ml/100gであり、水の湿潤点は164.0ml/100gであり、水の湿潤点/油の湿潤点の比は3.7である)、
粒径が10μmのMOISCELL PW D-5 XP(油の湿潤点は58.6ml/100gであり、水の湿潤点は281.5ml/100gであり、水の湿潤点/油の湿潤点の比は4.8である)(コハク酸セルロースカリウム)、並びに
粒径が50μmのMOISCELL PW D-50 XP(油の湿潤点は39.9ml/100gであり、水の湿潤点は160.0ml/100gであり、水の湿潤点/油の湿潤点の比は4である)(コハク酸セルロースカリウム)。
Cellulobeads USF及びCellulobeads D-5が好ましい。Cellulobeads USFが最も好ましい。
[コア粒子上のコーティング層]
本発明による複合顔料中のコア粒子の表面は、少なくとも1種の粒子状固体有機UVフィルターを含む少なくとも1つの層によって少なくとも部分的に覆われている。前記層をコーティング層と呼ぶ場合もある。コア粒子の表面の10%以上がコーティング層によって覆われ得ることが好ましい。コア粒子の表面の50%以上がコーティング層によって覆われ得ることがより好ましい。コア粒子の80%以上がコーティング層によって覆われ得ることがさらにより好ましい。コア粒子の全表面がコーティング層によって覆われ得ることが最も好ましい。
コーティング層の厚さは、コア粒子の大きさ等のいくつかの要素に応じて様々でよい。通常、コーティング層の厚さは、1nm〜200nm、好ましくは5nm〜180nm、より好ましくは10nm〜170nmの範囲でよい。
コア粒子上に2層以上のコーティング層が存在する場合、コーティング層の厚さ及び組成は、互いに同じであってもよく、又は異なってもよい。
コーティング層は、粒子状固体有機UVフィルターの他に、着色顔料及び/又は追加のUVフィルター、好ましくは固体無機UVフィルター、並びに界面活性剤等の任意の追加の材料を含んでよい。
追加の材料は、追加の材料及び粒子状固体有機UVフィルターの総質量に対して、1〜50質量%、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは1〜30質量%の範囲の量で存在することができる。
本発明による複合顔料のサイズは、30nm〜50μm、好ましくは100nm〜30μm、より好ましくは1μm〜10μmでよい。
(粒子状固体有機UVフィルター)
上記の通り、コア粒子上のコーティング層は、少なくとも1種の粒子状固体有機UVフィルターを含む。2種以上の粒子状固体有機UVフィルターを使用する場合、それらは同じものでも異なってもよく、同じものであることが好ましい。用語「UVフィルター」は、「UV遮蔽剤」と言い換えることができる。
本発明に使用する粒子状固体有機UVフィルターは、UV-A及び/若しくはUV-B領域、好ましくはUV-A領域において、又はUV-A及びUV-B領域において活性であってよい。
「粒子状固体有機UVフィルター」は、(1)25℃で固体粒子の形態で、本発明の組成物の媒体に不溶性であり、(2)UV-A及び/又はUV-B照射の吸収、反射及び/又は拡散による前記照射ケラチン物質(皮膚、毛髪、及び頭皮等)の表面との接触を遮断又は少なくとも制限させる有機分子を意味する。
用語「固体」とは、1気圧下25℃での固体を意味する。
本発明による粒子状固体有機UVフィルターは、優先的には、1nm〜200nm、好ましくは5nm〜180nm、より詳細には10nm〜170nmにわたる平均粒径を有する。
本発明による粒子状固体有機UVフィルターは、特に、乾式粉砕若しくは溶剤中での粉砕、篩い分け、霧化、微粉化又は噴霧等の任意の臨機応変な手段によって所望の微粒子形態にできる。
不溶性の粒子状有機UVフィルターの微粉化法の例は、参照により組み込まれ、記述の不可欠部分を構成している出願GB-A-2303549及びEP-A-893119に開示されている。これらの文献に従って使用する粉砕機は、エアジェットミル、ビーズミル、バイブレーションミル(vibration mill)又はハンマーミルであってよく、好ましくは高速撹拌ミル又はインパクトミル、より詳細には回転式ビーズミル、振動ミル(vibrating mill)、チューブミル又はロッドミルであってよい。
本発明による複合顔料は、粒子状固体有機UVフィルターの微粒子が凝集せず、コア粒子上に広がるので、透明又はクリアな外観を与える効果を有する。粒子状固体有機UVフィルターの単体微粒子が容易に凝集し得ることに留意すべきである。
粒子状固体有機UVフィルターの材料は、有機である限り限定されない。2種以上の固体粒子状有機UVフィルターを使用する場合、粒子状固体有機UVフィルターの材料は、互いに同じものでも、異なってもよい。
本発明による粒子状固体有機UV遮蔽剤は、オキサルアニリド(oxalanilide)タイプ、トリアジンタイプ、ベンゾトリアゾールタイプ;ビニルアミドタイプ;シンナムアミド(cinnamamide)タイプ;1つ以上のベンザゾール基及び/若しくはベンゾフラン基若しくはベンゾチオフェン基を含むタイプ又はインドールタイプ;アリールビニレンケトンタイプ;フェニレンビス(ベンゾオキサジノン)誘導体タイプ;又はアクリロニトリルアミド、スルホンアミド若しくはカルバメート誘導体タイプの粒子状有機UV遮蔽剤から特に選択できる。
粒子状固体有機UVフィルターは、固体の形態のメチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体、特にメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールから選択されることが好ましい。
本発明で使用するという意味では、用語ベンザゾールは、同時にベンゾチアゾール類、ベンゾオキサゾール類及びベンゾイミダゾール類を包含する。
UV遮蔽剤の内から、本発明によるオキサルアニリドタイプ、次の構造に相当するものを挙げることができる:
[式中、R1及びR2は、独立にC1〜C18アルキル又はC1〜C18アルコキシである。好ましい式(1)の化合物は、N-(2-エトキシフェニル)-N'-(2-エチルフェニル)-エタンジアミドである]。これらの化合物は、特許出願WO95/22959に開示されている。
例えば、それぞれ次の構造を有するCiba-Geigy社から販売されている市販製品Tinuvin315及びTinuvin312を挙げることができる:
固体トリアジンUV吸収剤の好ましい一部類は、次式を有するものである:
[式中、R3、R4及びR5は、独立にH、OH、C1〜C18アルコキシ、NH2、NH-R6若しくはN(R6)2{R6はC1〜C18アルキルである}、OR6{R6はC1〜C18アルキルである}、フェニル、フェノキシ、若しくはアニリノ、若しくはピロール{それぞれのフェニル、フェノキシ、若しくはアニリノ、若しくはピロロ部分は、OH、カルボキシ、CO-NH2 C1〜C18アルキル若しくはアルコキシから選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換されている}、C1〜C18カルボキシアルキル、C5〜C8シクロアルキル、メチリデンカンフル基、基-(CH=CH)mC(=O)-OR6{mは0又は1であり、R6は、上記と同じ意味を有する}、又は基:
又はその対応するアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノ-、ジ-若しくはトリ-C1〜C4アルキルアンモニウム塩、モノ-、ジ-若しくはトリ-C2〜C4アルカノールアンモニウム塩、又はC1〜C18アルキルエステルである]。
これらの化合物は、WO97/03642、GB2286774、EP743309、WO98/22447及びGB2319523に開示されている(これらは記述内容の不可欠部分として参照により組み込まれている)。
好ましい式(2)の化合物は、式:
のうちの1つを有するもの、並びに2,4,6-トリス(ジイソブチル-4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン及び2,4-ビス(ジイソブチル-4-アミノベンザルマロネート)-6-(4'-アミノベンジリデンカンフル)-s-トリアジンである。
Ciba-Geigyにより「Tinosorb S」の商標で市販されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンが特に好ましい。
特に好ましい式(2)の化合物は、次式を有するものである
[式中、個々の基R7は、同じものであるか又は異なり、それぞれ、水素;アルカリ金属;R8が水素若しくは有機基であるアンモニウム基N(R8)4;C1〜C20アルキル;又は1〜10個のエチレンオキシド単位を含有しており、その末端OH基がC1〜C3アルコールでエーテル化されていてもよい、ポリオキシエチレン基である]。
式(30)の化合物に関して、R7は、アルカリ金属であるとき、カリウム、又はとりわけナトリウムであることが好ましく、R7は、R8がその先述の意味を有する基N(R8)4であるとき、モノ-、ジ-若しくはトリ-C1〜C4アルキルアンモニウム塩、モノ-、ジ-若しくはトリ-C2〜C4アルカノールアンモニウム塩、又はそのC1〜C20アルキルエステルであることが好ましく、R7は、C1〜C20アルキル基であるとき、C6〜C12アルキル基、より好ましくはC8〜C9アルキル基、とりわけ3,5,5-トリメチルペンチル基、又は最も特定すれば2-エチルヘキシル基であることが好ましく、R7は、ポリオキシエチレン基であるとき、この基が2〜6個のエチレンオキシド単位を含有していることが好ましい。
本発明によるトリアジンタイプのUV遮蔽剤の内から、ベンザルマロネート基及び/又はフェニルシアノアクリレート基を保有する不溶性s-トリアジン誘導体、例えば(記述内容の不可欠部分として参照により組み込まれている)出願EP-A-0790243に開示されているものも挙げることができる。
これらのトリアジンタイプの不溶性UV遮蔽剤の内、以下の化合物が更に特定して挙げられる:
- 2,4,6-トリス(ジエチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
- 2,4,6-トリス(ジイソプロピル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
- 2,4,6-トリス(ジメチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
- 2,4,6-トリス(エチルα-シアノ-4-アミノケイ皮酸)-s-トリアジン。
本発明によるトリアジンタイプのUV遮蔽剤の内から、ベンゾトリアゾール基及び/又はベンゾチアゾール基を保有する不溶性s-トリアジン誘導体、例えば(記述内容の不可欠部分として参照により組み込まれる)出願WO98/25922に開示されているものも挙げることができる。
これらの化合物の内から、以下のものをより特定して挙げることができる:
- 2,4,6-トリス[(3'-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-2'-ヒドロキシ-5'-メチル)フェニルアミノ]-s-トリアジン、
- 2,4,6-トリス[(3'-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-2'-ヒドロキシ-5'-tert-オクチル)フェニルアミノ]-s-トリアジン。
固体(ベンゾ)トリアゾールUV吸収剤の好ましい一部類は、次式を有するものである:
[式中、T1は、C1〜C18アルキル、又は好ましくは水素であり、T2は、水素、ヒドロキシル、又はC1〜C12シクロアルキル若しくはアリール、例えばフェニル、好ましくはα,α-ジメチルベンジルで場合により置換されているC1〜C18アルキルである。C1〜C18アルキル基は、直鎖状でも分枝状であってもよく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、tert-オクチル、n-アミル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル又はオクタデシルであり、C5〜C12シクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロオクチルであり、アリール基は、例えば、フェニル又はベンジルである]。
式(31)の化合物の例として、以下の構造を持つCiba-Geigy社からの市販製品Tinuvin328、320、234及び350を挙げることができる:
本発明によるベンゾトリアゾールタイプの不溶性有機UV遮蔽剤の内から、特許US5687521、US5373037及びUS5362881に開示されている化合物、特に[2,4'-ジヒドロキシ-3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-2'-(n-オクトキシ)-5'-ベンゾイル]
ジフェニルメタン(Fairmount Chemical社よりMixxim PB30の名称で販売され、以下の構造を持つ)を挙げることができる:
固体(ベンゾ)トリアゾールUV吸収剤の更に好ましい一部類は、次式を有するものである:
[式中、T2は、その先述の意味を有する]。
固体トリアゾールUV吸収剤の更により好ましい一部類は、次式を有するものである:
[式中、T2は、その先述の意味を有し、好ましくはメチル、t-ブチル又は-C(CH3)2-CH2-C(CH3)3である。したがって、好ましい固体トリアゾールUV吸収剤は、以下の通りである]。
より詳細には、粒子状固体有機UVフィルターは、次式の分子であろう。
学術用語は2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]であり、例えばBASF社から商標名TINOSORB Mで販売されている、又はFairmount Chemical社から商標名MIXXIM BB100で販売されている、INCI名:メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールである。
固体ビニル基含有アミドUV吸収剤の好ましい一部類は、次式を有するものである
R9-(Y)m-CO-C(R10)=C(R11)-N(R12)(R13) (34)
[式中、R9は、C1〜C18アルキル、好ましくはC1〜C5アルキル、又はOH、C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、若しくはR6がその先述の意味を有するCO-OR6から選択される1、2若しくは3個の置換基で場合により置換されているフェニルであり;R10、R11、R12及びR13は、同じものであるか又は異なり、それぞれ、C1〜C18アルキル、好ましくはC1〜C5アルキル、又は水素であり;YはN又はOであり;mは、その先述の意味を有する]。
好ましい式(34)の化合物は、4-オクチル-3-ペンテン-2-オン、エチル-3-オクチルアミノ-2-ブテノエート、3-オクチルアミノ-1-フェニル-2-ブテン-1-オン、及び3-ドデシルアミノ-1-フェニル-2-ブテン-1-オンである。
固体ケイ皮酸アミドUV吸収剤の好ましい一部類は、次式を有するものである
[式中、R14は、ヒドロキシ又はC1〜C4アルコキシ、好ましくはメトキシ若しくはエトキシであり;R15は、水素又はC1〜C4アルキル、好ましくはメチル若しくはエチルであり;R16は、-(CONH)m-フェニルであり、mは、その先述の意味を有し、フェニル基は、OH、C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、又はR6がその先述の意味を有するCO-OR6から選択される1、2又は3個の置換基で場合により置換されている。R16は、フェニル、4-メトキシフェニル、又はフェニルアミノカルボニル基であることが好ましい]。
例えば、次の構造を有する化合物のような特許US5888481に開示されているもの等のシンナムアミドダイマーも挙げることができる:
式(1)〜(35)の化合物は知られている。式(30)の化合物については、米国特許第4,617,390号に、その製造と共に記載されている。
粒子状固体有機UVフィルターは、ベンゾトリアゾール誘導体、特に、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、例えば、Rhodia Chimie社により「Silatrizole」の商標で、又はL'Oreal社により「Mexoryl XL」の商標で市販されている、以下に表すようなドロメトリゾールトリシロキサンであることが好ましい。
ベンザゾールタイプの不溶性有機遮蔽剤の内から、以下の式のうち1つに相当するものを挙げることができる:
[式中、各X記号は、独立に、酸素原子若しくは硫黄原子又はNR2基を表し、
各Z記号は、独立に、窒素原子又はCH基を表し、
各R1記号は、独立に、OH基、ハロゲン原子、場合によりケイ素原子を含む直鎖状若しくは分枝状C1〜8アルキル基、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜8アルコキシ基を表し、
各数値mは、独立に、0、1又は2の値を有し、
nは、両端を含む1〜4の整数を表し、
pは0又は1に等しく、
各数値qは、独立に、0又は1に等しく、
各R2記号は、独立に、水素原子又はベンジル基、又は場合によりケイ素原子を含む直鎖状若しくは分枝状C1〜8アルキル基を表し、
Aは、次式のものから選択される原子価nを有する基を表す]:
[式中、Wは、N又はCHを指し、各R3記号は、独立に、ハロゲン原子又は直鎖状若しくは分枝状C1〜4アルキル基若しくはアルコキシ基若しくはヒドロキシル基を表し、
R4は、水素原子又は直鎖状若しくは分枝状C1〜4アルキル基を表し、c=0〜4、d=0〜3、e=0又は1、及びf=0〜2である]。
これらの化合物は、特に特許DE676103及びCH350763、特許US5501850、特許US5961960、特許出願EP0669323、特許US5518713、特許US2463264、論文J. Am. Chem. Soc.、79、5706〜5708頁、1957年、論文J. Am. Chem. Soc.、82、609〜611頁、1960年、特許出願EP0921126及び特許出願EP712855に開示されている。
式(7)の好ましい化合物の例として、2-アリールベンザゾール、2-(ベンゾオキサゾール-2-イル)-4-メチルフェノール、2-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-4-メトキシフェノール又は2-(ベンゾチアゾール-2-イル)フェノールのファミリーを挙げることができ、これらの化合物は、例えば、特許CH350763に開示されている方法に従って調製することが可能である。
式(7)の好ましい化合物の例として、ベンゾイミダゾリルベンザゾール、2,2'-ビスベンゾイミダゾール、5,5',6,6'-テトラメチル-2,2'-ビスベンゾイミダゾール、5,5'-ジメチル-2,2'-ビスベンゾイミダゾール、6-メトキシ-2,2'-ビスベンゾイミダゾール、2-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-ベンゾチアゾール、2-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゾオキサゾール及びN,N'-ジメチル-2,2'-ビスベンゾイミダゾールのファミリーが挙げられ、これらの化合物を、特許US5961960及びUS2463264に開示されている手順に従って調製することが可能である。
式(7)の好ましい化合物の例として、フェニレンベンザゾール、1,4-フェニレンビス(2-ベンゾオキサ-ゾリル)、1,4-フェニレンビス(2-ベンゾイミダゾリル)、1,3-フェニレンビス(2-ベンゾオキサゾリル)、1,2-フェニレンビス(2-ベンゾオキサゾリル)、1,2-フェニレンビス(ベンゾイミダゾリル)、1,4-フェニレンビス(N-(2-エチルヘキシル)-2-ベンゾイミダゾリル)及び1,4-フェニレンビス(N-トリメチルシリルメチル-2-ベンゾイミダゾリル)のファミリーが挙げられ、これらの化合物を、特許US2463264及び刊行物J. Am. Chem. Soc.、82、609頁(1960年)及びJ. Am. Chem. Soc.、79、5706〜5708頁(1957年)に開示されている手順に従って調製することが可能である。
式(7)の好ましい化合物の例として、ベンゾフラニルベンゾオキサゾール、2-(2-ベンゾフラニル)ベンゾオキサゾール、2-(ベンゾフラニル)-5-メチルベンゾオキサゾール及び2-(3-メチル-2-ベンゾフラニル)ベンゾオキサゾールのファミリーを挙げることができ、これらの化合物は、特許US5518713に開示されている手順に従って調製することが可能である。
式(8)の好ましい化合物として、例えば、次式に相当する、2,6-ジフェニル-1,7-ジ-ヒドロベンゾ[1,2-d;4,5-d']ジイミダゾール:
又は2,6-ジスチリル-1,7-ジヒドロベンゾ[1,2-d;4,5-d']ジ-イミダゾール又は2,6-ジ(p-tert-ブチルスチリル)-1,7-ジヒドロベンゾ[1,2-d;4,5-d']ジイミダゾールを挙げることができ、これらの化合物は出願EP0669323に従って調製できる。
式(9)の好ましい化合物として、次式の5,5'-ビス(2-フェニルベンゾイミダゾール)を挙げることができ:
この調製については、J. Chim. Phys.、64、1602頁(1967年)に記載されている。
UV照射を遮蔽するこれらの固体有機化合物の内、2-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゾオキサゾール、6-メトキシ-2,2'-ビスベンゾイミダゾール、2-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゾチアゾール、1,4-フェニレンビス(2-ベンゾオキサゾリル)、1,4-フェニレンビス(2-ベンゾイミダゾリル)、1,3-フェニレン-ビス(2-ベンゾオキサゾリル)、1,2-フェニレンビス(2-ベンゾオキサゾリル)、1,2-フェニレンビス(2-ベンゾイミダゾリル)及び1,4-フェニレンビス(N-トリメチルシリルメチル-2-ベンゾイミダゾリル)がことさら優先される。
アリールビニレンケトンタイプの固体有機遮蔽剤の内から、次式(10)及び(11)のいずれかに相当するものを挙げることができる:
[式中:
n'=1又は2であり、
Bは、n'=1の場合の式(10)で、若しくは式(11)で、次式(a')〜(d')から選択されるアリール基である、又はn'=2の場合の式(10)で、次式(e')〜(h')から選択される基である]:
[式中:
各R8記号は、独立に、OH基、ハロゲン原子、場合によりケイ素原子を含む直鎖状若しくは分枝状C1〜6アルキル基、場合によりケイ素原子を含む直鎖状若しくは分枝状C1〜6アルコキシ基、直鎖状若しくは分枝状C1〜5アルコキシカルボニル基、又は場合によりケイ素原子若しくはアミノ酸官能基を含む直鎖状若しくは分枝状C1〜6アルキルスルホンアミド基を表し、
p'は、両端を含む0〜4の整数を表し、
q'は、0又は1を表し、
R5は、水素又はOH基を表し、
R6は、水素、場合によりケイ素原子を含む直鎖状若しくは分枝状C1〜6アルキル基、シアノ基、C1〜6アルキルスルホニル基、又はフェニルスルホニル基を表し、
R7は、場合によりケイ素原子又は二環を形成可能なフェニル基を含み、場合により1個又は2個のR4基で置換される直鎖状又は分枝状C1〜6アルキル基を表す、
或いはR6及びR7は共同して、一環、二環又は三環のC2〜10炭化水素性残基を形成し、これは、場合により1個以上の窒素原子、硫黄原子及び酸素原子によって遮断され、別のカルボニルを含むことができ、場合により直鎖状又は分枝状C1〜C8アルキルスルホンアミド基で置換され、場合によりケイ素原子又はアミノ酸官能基を含むが、但しn'=1の場合、R6及びR7はショウノウ環(camphor nucleus)を形成しない]。
n'=1であり、UV照射を遮蔽し、平均粒径10nm〜5μmを有する式(10)の化合物の例として、以下のファミリーを挙げることができる:
- 出願JP04134042に開示されているスチリルケトンタイプの化合物、例えば1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタ-1-エン-3-オン:
- E. Marianiらによる16th IFSCC Congress、New York(1990年)の記事に記載されているもの等のベンジリデンシネオールタイプの化合物、例えば1,3,3-トリメチル-5-(4-メトキシベンジリデン)-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン-6-オン:
- 出願JP04134043に開示されているもの等のベンジリデンクロマノンタイプの化合物、例えば3-(4-メトキシベンジリデン)-2,3,4a,8a-テトラヒドロ-クロメン-4-オン:
- 出願JP04134043に開示されているもの等のベンジリデンチオクロマノンタイプの化合物、例えば3-(4-メトキシベンジリデン)-2,3,4a,8a-テトラヒドロ-クロメン-4-チオン:
- 出願EP0576974に開示されているもの等のベンジリデンキヌクリジノンタイプの化合物、例えば4-メトキシベンジリデン-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン:
- 出願FR2395023に開示されているもの等のベンジリデンシクロアルカノンタイプの化合物、例えば2-(4-メトキシベンジリデン)シクロペンタノン及び2-(4-メトキシベンジリデン)シクロヘキサノン:
- 出願JP01158090に開示されているもの等のベンジリデンヒダントインタイプの化合物、例えば5-(3,4-ジメトキシベンジリデン)イミダゾリジン-2,4-ジオン:
- 出願JP04134043に開示されているもの等のベンジリデンインダノンタイプの化合物、例えば2-(4-メトキシベンジリデン)インダン-1-オン:
- 出願JP04134043に開示されているもの等のベンジリデンテトラロンタイプの化合物、例えば2-(4-メトキシベンジリデン)-3,4-ジヒドロ-2H-ナフタレン-1-オン:
- 出願EP0390683に開示されているもの等のベンジリデンフラノンタイプの化合物、例えば4-(4-メトキシベンジリデン)-2,2,5,5-テトラメチルジヒドロフラン-3-オン:
- 出願JP04134041に開示されているもの等のベンジリデンベンゾフラノンタイプの化合物、例えば2-ベンジリデンベンゾフラン-3-オン:
- ベンジリデンインダンジオンタイプの化合物、例えば2-(3,5-ジ(tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジリデン)インダン-1,3-ジオン:
- 出願JP04134043に開示されているもの等のベンジリデンベンゾチオフラノンタイプの化合物、例えば2-ベンジリデンベンゾ[b]チオフェン-3-オン:
- ベンジリデンバルビツールタイプの化合物、例えば5-(4-メトキシベンジリデン)-1,3-ジメチルピリミジン-2,4,6-トリオン:
- ベンジリデンピラゾロンタイプの化合物、例えば4-(4-メトキシベンジリデン)-5-メチル-2-フェニル-2,4-ジヒドロピラゾール-3-オン:
- ベンジリデンイミダゾロンタイプの化合物、例えば5-(4-メトキシベンジリデン)-2-フェニル-3,5-ジヒドロイミダゾール-4-オン:
- カルコンタイプの化合物、例えば1-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルプロペノン:
- 文献FR2506156に開示されているベンジリデノン化合物、例えば3-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルプロペノン:
n'=2で、不溶性であり、UV照射を遮蔽し、平均粒径10nm〜5μmを有する式(10)の化合物の例として、以下のファミリーを挙げることができる:
- 文献EP0693471に開示されているフェニレンビス(メチリデンノルカンフル)タイプの化合物、例えば1,4-フェニレンビス{3-メチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン}:
- 文献FR2528420に開示されているフェニレンビス(メチリデンカンフル)タイプの化合物、例えば1,4-フェニレンビス{3-メチリデン-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン}:
又は1,3-フェニレンビス{3-メチリデン-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン}:
- 文献FR2529887に開示されているもの等のフェニレンビス(メチリデンカンフルスルホンアミド)タイプの化合物、例えば1,4-フェニレンビス{3,3'-メチリデンカンフル-10,10'-エチルスルホンアミド又は-(2-エチルヘキシル)スルホンアミド}:
- E. Marianiらによる16th IFSCC Congress、New York(1990年)の論文に記載されているフェニレンビス(メチリデンシネオール)タイプの化合物、例えば1,4-フェニレンビス{5-メチリデン-3,3-ジメチル-2-オキサ-ビシクロ[2.2.2]オクタン-6-オン}:
- 出願EP0694521に開示されているフェニレンビス(メチリデンケトトリシクロデカン)タイプの化合物、例えば1,4-フェニレンビス(オクタヒドロ-4,7-メタノ-6-インデン-5-オン):
- 出願JP04134041に開示されているもの等のフェニレンビス(アルキレンケトン)タイプの化合物、例えば1,4-フェニレンビス(4,4-ジメチルペンタ-1-エン-3-オン):
- 出願FR2638354に開示されているフェニレンビス(メチリデンフラノン)タイプの化合物、例えば1,4-フェニレンビス(4-メチリデン-2,2,5,5-テトラメチルジヒドロフラン-3-オン):
- 出願EP0714880に開示されているもの等のフェニレンビス(メチリデンキヌクリジノン)タイプの化合物、例えば1,4-フェニレンビス{2-メチリデン-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン}:
式(11)の化合物として、以下のファミリーを挙げることができる:
- ビス(ベンジリデン)シクロアルカノンタイプの化合物、例えば2,5-ジ(ベンジリデン)シクロペンタノン:
- 文献JP04290882に開示されているγ-ピロンタイプの化合物、例えば2,6-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)ピラン-4-オン:
これらのアリールビニレンケトンタイプのUV照射を遮蔽する不溶性有機化合物の内、n'=2である式(10)の化合物がことさら優先される。
フェニレンビス(ベンゾオキサジノン)タイプの固体有機遮蔽剤の内から、次式(12)に相当するものを挙げることができ:
[式中に、次式(e'')〜(h'')から選択される二価芳香族残基を表すRを含む]。
[式中:
各R9記号は、独立に、OH基、ハロゲン原子、場合によりケイ素原子を含む直鎖状若しくは分枝状C1〜6アルキル基、場合によりケイ素原子を含む直鎖状若しくは分枝状C1〜6アルコキシ基、直鎖状若しくは分枝状C1〜5アルコキシカルボニル基、又は場合によりケイ素原子若しくはアミノ酸官能基を含む直鎖状若しくは分枝状C1〜6アルキルスルホンアミド基を表し、
p''は、両端を含む0〜4の整数を表し、
q''は、0又は1を表す]。
不溶性であり、UV照射を遮蔽し、平均粒径10nm〜5μmを有する式(12)の化合物の例として、以下の誘導体を挙げることができる:
- 2,2'-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)(Cytec社製の市販製品Cyasorb UV-3638)、
- 2,2'-(4,4'-ビフェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、
- 2,2'-(2,6-ナフチレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)。
アクリロニトリルアミド、スルホンアミド又はカルバメート誘導体タイプの固体有機遮蔽剤の内から、次式(13)に相当するものを挙げることができる:
[式中:
R10は、直鎖状又は分枝状のC1〜8アルキル基を表し、
n'''は、0、1又は2の値を有し、
X2は、式-(C=O)-R11-(C=O)-、-SO2-R11-SO2-又は-(C=O)-O-R11-O-(C=O)-の二価の基を表し、
Yは、a-(C=O)-R12基又は-SO2R13基を表し、
R11は、単結合、又は1個以上のヒドロキシル置換基を保有することができ、炭素系鎖の中に、酸素原子、窒素原子及びケイ素原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含むことができる、直鎖状若しくは分枝状の二価のC1〜C30アルキレン基若しくはC3〜C30アルケニレン基を表し、
R12は、-OR14基又は-NHR14基を表し、
R13は、非置換又はC1〜C4アルキル基若しくはアルコキシ基で置換される、直鎖状若しくは分枝状C1〜C30アルキル基又はフェニル環を表し、
R14は、1個以上のヒドロキシル置換基を保有することができ、炭素系鎖の中に、酸素原子、窒素原子及びケイ素原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含むことができる、直鎖状又は分枝状のC1〜C30アルキル基又はC3〜C30アルケニレン基を表す。
シアノ置換基がパラ-アミノフェニル置換基に対してシス位にある異性体のみが上式(13)で表されるが、この式は、対応するトランス異性体をも含むと理解すべきであり、2つの二重結合それぞれに対して、独立に、シアノ及びパラ-アミノフェニル置換基は互いにシス又はトランス立体配置であり得る。
例えば、次式の2-エチルヘキシル2-シアノ-3-[4-(アセチルアミノ)フェニル]アクリレートのダイマーを挙げることができる:
本発明による固体有機遮蔽剤の別の特定のファミリーは、スルホン酸又はカルボン酸有機遮蔽剤の多価金属塩(例えば、Ca2+、Zn2+、Mg2+、Ba2+、Al3+又はZr4+)、例えばベンジリデンカンフルのスルホン化誘導体の多価金属塩、例えば出願FR-A 2 639 347に開示されているもの;ベンゾイミダゾールのスルホン化誘導体の多価金属塩、例えば出願EP-A-893 119に開示されているもの;又はケイ皮酸誘導体の多価金属塩、例えば出願JP-87 166 517に開示されているものである。
また、特許出願WO93/10753、WO93/11095及びWO95/05150に開示されているUV-A及び/又はUV-B有機遮蔽剤の金属又はアンモニウム又は置換アンモニウム錯体も挙げることができる。
粒子状固体スルホン化ベンゾイミダゾールUV吸収剤の好ましい一部類は、次式を有するものである
[式中、Mは、水素、又はアルカリ金属、好ましくはナトリウム、アルカリ土類金属、例えば、マグネシウムやカルシウム、又は亜鉛である]。
式(1)〜(35)の化合物において、C1〜C18アルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-アミル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、テトラデシル、ヘキシデシル、又はオクタデシルでよく、C1〜C18アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、n-ヘキソキシ、n-ヘプトキシ、n-オクトキシ、イソオクトキシ、n-ノノキシ、n-デコキシ、n-ウンデコキシ、n-ドデコキシ、テトラデコキシ、ヘキサデコキシ、又はオクタデコキシであってよく、メトキシ及びエトキシが好ましい。
C1〜C18カルボキシアルキルとしては、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボキシイソプロピル、カルボキシブチル、カルボキシイソブチル、カルボキシアミル、カルボキシヘキシル、カルボキシヘプチル、カルボキシオクチル、カルボキシイソオクチル、カルボキシノニル、カルボキシデシル、カルボキシウンデシル、カルボキシドデシル、カルボキシテトラデシル、カルボキシヘキサデシル、及びカルボキシオクタデシルが挙げられ、カルボキシメチルが好ましい。
C5〜C8シクロアルキルとしては、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロオクチルが挙げられる。
粒子状固体有機UVフィルターは、ベンゾトリアゾール誘導体、オキサニリド誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、ビニル基含有アミド、ケイ皮酸アミド、及びスルホン化ベンゾイミダゾールからなる群から選択されるものでよい。
また、粒子状固体有機UVフィルターは、固体形態のメチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体から選択されることも好ましい。
メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、例えばFairmount Chemical社により「Mixxim BB/200」の商標で固体形態にて市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-フェノール]、又はBASF社により「Tinosorb M」の商標で、若しくはFairmount Chemical社により「Mixxim BB/100」の商標で水性分散液中微粉化形態にて市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、及び米国特許第5,237,071号、第5,166,355号、GB-2,303,549、DE-197,26,184及びEP-893,119に記載の誘導体が特に好ましい。
粒子状固体有機UVフィルターは、本発明による複合顔料中に、コア粒子と粒子状固体有機UVフィルターの質量比が10:90〜90:10、好ましくは30:70〜70:30、より好ましくは40:60〜50:50になるような比率で使用することができる。
(固体無機UVフィルター)
上記の通り、コア粒子上のコーティング層は、少なくとも1種の固体無機UVフィルターを含んでもよい。2種以上の固体無機UVフィルターを使用する場合、それらは同じものでも異なってもよく、同じものであることが好ましい。
本発明に使用する固体無機UVフィルターは、UV-A及び/又はUV-B領域において、好ましくはUV-B領域において、又はUV-A及びUV-B領域において活性であるものでよい。固体無機UVフィルターと粒子状固体有機UVフィルターの活性UVフィルター領域は、包括的なUV保護を実現するために、互いに相補的であることが好ましい。例えば、固体無機UVフィルターが少なくともUV-B領域において活性であり、粒子状固体有機UVフィルターが少なくともUV-A領域において活性であることが好ましい。固体無機UVフィルターは、親水性且つ/又は親油性であってよい。固体無機UVフィルターは、水やエタノール等の、化粧料中に一般に使用される溶媒に完全に不溶性である。用語「固体」とは、1気圧下25℃での固体を意味する。
固体無機UVフィルターは、その平均(一次)粒子直径が1nm〜50nm、好ましくは5nm〜40nm、より好ましくは10nm〜30nmの範囲をとるような微粒子の形態であることが好ましい。本明細書の平均(一次)粒径又は平均(一次)粒子直径は、算術平均直径である。
固体無機UVフィルターは、炭化ケイ素、被覆されていても被覆されていなくてもよい金属酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものでよい。
固体無機UVフィルターは、金属酸化物で形成された顔料(平均一次粒径:一般に5nm〜50nm、好ましくは10nm〜50nm)、例えば、全てそれ自体がよく知られたUV光防護剤である、酸化チタン(非晶質又はルチル型及び/若しくはアナターゼ型の結晶質)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、又は酸化セリウムで形成された顔料から選択されることが好ましい。好ましくは、固体無機UVフィルターは、酸化チタン、酸化亜鉛から選択され、より好ましくは酸化チタンである。
固体無機UVフィルターは、被覆されていても被覆されていなくてもよい。固体無機UVフィルターは、少なくとも1種のコーティングを有していてもよい。コーティングは、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、シリコーン、シラン、脂肪酸又はその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、鉄塩又はアルミニウム塩等)、脂肪アルコール、レシチン、アミノ酸、多糖、タンパク質、アルカノールアミン、蜜蝋等の蝋、(メタ)アクリルポリマー、有機UVフィルター、及び(ペル)フルオロ化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含んでもよい。
コーティングには、少なくとも1種の有機UVフィルターを含有させることが好ましい。コーティング中の有機UVフィルターとして、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)等のジベンゾイルメタン誘導体及びBASF社から「TINOSORB M」として市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチル-ブチル)フェノール](メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)が好ましいことがある。
知られているように、コーティング中のシリコーンは、分子量が変化し得る、線状又は環状で、分枝又は架橋した構造を含む有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーであってもよく、適切な官能性シランを重合及び/又は重縮合させて得られ、ケイ素原子が酸素原子によって互いに結合(シロキサン結合)しており、場合により、置換炭化水素基が前記ケイ素原子に炭素原子によって直接結合している主単位の繰返しから本質的に構成される。
用語「シリコーン」は、その調製に必要なシラン、特にアルキルシランも包含する。
コーティングに使用されるシリコーンは、好ましくは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン及びポリアルキルヒドロシロキサンからなる群から選択することができる。シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、及びポリメチルヒドロシロキサンからなる群から選択されることが更により好ましい。
当然ながら、金属酸化物で作られた固体無機UVフィルターは、シリコーンで処理される前に、他の表面仕上げ剤、特に、酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、又はこれらの混合物で処理されていてもよい。
被覆された固体無機UVフィルターは、この固体無機UVフィルターを、上記の任意の化合物並びにポリエチレン、金属アルコキシド(チタンアルコキシド又はアルミニウムアルコキシド)、金属酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及び、例えば、Cosmetics & Toiletries、1990年2月、105巻、53〜64頁に示されるものと一緒に、1つ又は複数の化学的、電子的、機械化学的及び/又は機械的性質の表面処理にかけることによって調製されていてもよい。
被覆された固体無機UVフィルターは、
池田物産株式会社の「Sunveil」という製品等の、シリカで被覆された酸化チタン;
池田物産株式会社の「Sunveil F」という製品等の、シリカ及び酸化鉄で被覆された酸化チタン;
テイカ株式会社の製品「Microtitanium Dioxide MT 500 SA」、Tioxide社の製品「Tioveil」、及びRhodia社の製品「Mirasun TiW 60」等の、シリカ及びアルミナで被覆された酸化チタン;
石原産業株式会社の製品「Tipaque TTO-55(B)」及び「Tipaque TTO-55(A)」、並びにKemira社の製品「UVT 14/4」等の、アルミナで被覆された酸化チタン;
テイカ株式会社の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 Z又はMT-01」、Uniqema社の製品「Solaveil CT-10 W」及び「Solaveil CT 100」、並びにMerck社の製品「Eusolex T-AVO」等の、アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン;
テイカ株式会社の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 S」等の、アルミナ及びラウリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン;
テイカ株式会社の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 F」等の、酸化鉄及びステアリン酸鉄で被覆された酸化チタン;
テイカ株式会社の製品「BR351」等の、酸化亜鉛及びステアリン酸亜鉛で被覆された酸化チタン;
テイカ株式会社の製品「Microtitanium Dioxide MT 600 SAS」、「Microtitanium Dioxide MT 500 SAS」、及び「Microtitanium Dioxide MT 100 SAS」等の、シリカ及びアルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン;
チタン工業株式会社の製品「STT-30-DS」等の、シリカ、アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン;
Kemira社の製品「UV-Titan X 195」等の、シリカで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン;
石原産業株式会社の製品「Tipaque TTO-55(S)」又はKemira社の製品「UV Titan M 262」等の、アルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン;
チタン工業株式会社の製品「STT-65-S」等の、トリエタノールアミンで被覆された酸化チタン;
石原産業株式会社の製品「Tipaque TTO-55(C)」等の、ステアリン酸で被覆された酸化チタン;或いは
テイカ株式会社の製品「Microtitanium Dioxide MT 150 W」等の、ヘキサメタリン酸ナトリウムで被覆された酸化チタンであってよい。
シリコーンで処理された他の酸化チタン顔料は、オクチルトリメチルシランで処理され、その個々の粒子の平均粒径が25〜40nmであるTiO2、例えば、Degussa Silices社により「T 805」の商標で市販されているもの、ポリジメチルシロキサンで処理され、その個々の粒子の平均粒径が21nmであるTiO2、例えば、Cardre社により「70250 Cardre UF TiO2Si3」の商標で市販されているもの、ポリジメチルヒドロシロキサンで処理され、その個々の粒子の平均粒径が25nmであるアナターゼ/ルチル型TiO2、例えば、Color Techniques社により「Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobic」の商標で市販されているものであることが好ましい。
好ましくは、以下の被覆TiO2を、被覆無機UVフィルターとして使用してもよい。
平均一次粒子直径が15nmの、テイカ株式会社の製品「MT-100 TV」等のステアリン酸(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、
平均一次粒子直径が15nmの、三好化成株式会社の製品「SA-TTO-S4」等のジメチコン(及び)ステアリン酸(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、
平均一次粒子直径が15nmの、テイカ株式会社の製品「MT-100 WP」等のシリカ(及び)TiO2、
平均一次粒子直径が10nmの、テイカ株式会社の製品「MT-Y02」及び「MT-Y-110 M3S」等のジメチコン(及び)シリカ(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、
平均一次粒子直径が15nmの、三好化成株式会社の製品「SA-TTO-S3」等のジメチコン(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、
平均一次粒子直径が15nmの、Sachtleben社の製品「UV TITAN M170」等のジメチコン(及び)アルミナ(及び)TiO2、並びに
平均一次粒子直径が15nmの、テイカ株式会社の製品「MT-100 AQ」等のシリカ(及び)水酸化アルミニウム(及び)アルギン酸(及び)TiO2。
UVフィルター能力の観点から、少なくとも1種の有機UVフィルターで被覆されたTiO2がより好ましい。例えば、平均一次粒子直径が15nmの、テイカ株式会社の製品「HXMT-100ZA」等のアボベンゾン(及び)ステアリン酸(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2を使用してもよい。
非被覆酸化チタン顔料は、例えば、テイカ株式会社により「Microtitanium Dioxide MT500B」又は「Microtitanium Dioxide MT600B」の商標で、Degussa社により「P 25」の商標で、Wacker社により「Oxyde de titane transparent PW」の商標で、三好化成株式会社により「UFTR」の商標で、Tomen社により「ITS」の商標で、またTioxide社により「Tioveil AQ」の商標で市販されている。
非被覆酸化亜鉛顔料は、例えば、
Sunsmart社により「Z-cote」の商標で市販されているもの、
Elementis社により「Nanox」の商標で市販されているもの、及び
Nanophase Technologies社により「Nanogard WCD 2025」の商標で市販されているものがある。
被覆酸化亜鉛顔料は、例えば、
株式会社東芝により「Oxide Zinc CS-5」の商標で市販されているもの(ポリメチルヒドロシロキサンで被覆されているZnO)、
Nanophase Technologies社により「Nanogard Zinc Oxide FN」の商標で(C12〜C15安息香酸アルキルであるFinsolv TN中40%分散液として)市販されているもの、
大東化成工業株式会社により「Daitopersion Zn-30」及び「Daitopersion Zn-50」の商標で市販されているもの(シリカ及びポリメチルヒドロシロキサンで被覆されている亜鉛ナノオキシドを30%又は50%含む、オキシエチレン化ポリジメチルシロキサン/シクロポリメチルシロキサン分散液)、
ダイキン工業株式会社により「NFD Ultrafine ZnO」の商標で市販されているもの(シクロペンタシロキサン分散液としての、ペルフルオロアルキルのリン酸エステル及びペルフルオロアルキルエチルをベースとしたコポリマーで被覆されているZnO)、
信越化学工業株式会社により「SPD-Z1」の商標で市販されているもの(シリコーングラフトアクリルポリマーで被覆されているZnOをシクロジメチルシロキサンに分散させたもの)、
ISP社により「Escalol Z100」の商標で市販されているもの(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル/PVP-ヘキサデセンコポリマー/メチコーン混合物に分散させたアルミナ処理ZnO)、並びに
冨士色素株式会社により「Fuji ZnO-SMS-10」の商標で市販されているもの(シリカ及びポリメチルシルセスキオキサンで被覆されているZnO)、Elementis社により「Nanox Gel TN」の商標で市販されているもの(ヒドロキシステアリン酸重縮合物を含有するC12〜C15安息香酸アルキルに55%で分散させたZnO)がある。
非被覆酸化セリウム顔料は、例えば、Rhone-Poulenc社により「Colloidal Cerium Oxide」の商標で市販されている。
非被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社により「Nanogard WCD 2002(FE 45B)」、「Nanogard Iron FE 45 BL AQ」、「Nanogard FE 45R AQ」及び「Nanogard WCD 2006(FE 45R)」の商標で、又はMitsubishi社により「TY-220」の商標で市販されている。
被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社により「Nanogard WCD 2008(FE 45B FN)」、「Nanogard WCD 2009(FE 45B 556)」、「Nanogard FE 45 BL 345」及び「Nanogard FE 45 BL」の商標で、又はBASF社により「Oxyde de fer transparent」の商標で市販されている。
金属酸化物の混合物、特に、池田物産株式会社により「Sunveil A」の商標で市販されている、シリカで被覆されている二酸化チタンとシリカで被覆されている二酸化セリウムとの等質量混合物等の、二酸化チタンと二酸化セリウムの混合物、また二酸化チタンと、アルミナ、シリカ及びシリコーンで被覆されている二酸化亜鉛との混合物、例えば、Kemira社により市販されている製品「M 261」、又は二酸化チタンと、アルミナ、シリカ及びグリセロールで被覆されている二酸化亜鉛との混合物、例えば、Kemira社により市販されている製品「M 211」も挙げることができる。
被覆された固体無機UVフィルターは、固体無機UVフィルターのUVフィルター効果を高めることができるため、好ましい。加えて、コーティングは、コア粒子上にUVフィルターを固定するバインダーとして機能し得る。
微粒子の形態の固体無機UVフィルターを使用すると、本発明による複合顔料は、固体無機UVフィルターの微粒子が凝集せず、コア粒子上に広がるので、白色の外観でなく透明又はクリアな外観を与える効果を有する。固体無機UVフィルターの遊離微粒子は容易に凝集し、皮膚に白色の外観を与えることに留意すべきである。
固体無機UVフィルターは、本発明による複合顔料中で、コア粒子と固体無機UVフィルターの質量比が10:90〜90:10、好ましくは30:70〜70:30、より好ましくは40:60〜50:50になるような比率で使用することができる。
(着色顔料)
上記の通り、コア粒子上のコーティング層は、少なくとも1種の着色顔料を含んでもよい。
用語「着色顔料」は、不溶性であり、それらを含む組成物を着色するものである、白色又は有色の任意の形状の無機又は有機の粒子を意味すると理解すべきである。
着色顔料を使用する場合、本発明による複合顔料は、着色顔料が凝集せず、基材上に広がるので、彩度の高いよりクリアな外観をもたらす点で効果を有する。遊離着色顔料は、容易に凝集し、彩度の低いくすんだ外観を皮膚に与えることに留意すべきである。したがって、着色顔料を含む化粧品の色は不透明で暗色であり得る。一方、本発明による複合顔料は、クリアで明るい色調を与えることができる。
顔料は、白色でも有色でもよく、無機及び/又は有機でよく、一般に1μm以上の平均粒径を有する。
使用することのできる無機顔料の中でも、限定はしないが、場合により表面処理されている二酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、並びに酸化亜鉛、(黒色、黄色、若しくは赤色)酸化鉄又は酸化クロム、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム水和物、及び第二鉄青、硫酸バリウム、又はアルミニウム粉末、銅粉末、銀粉末若しくは金粉末等の金属粉末を挙げることができる。
着色顔料の粒径は限定されない。特定の実施形態において、着色顔料は、100nmから1μm未満、好ましくは100nmから500nm未満、より好ましくは100nmから300nm未満の平均粒径を有してよい。
着色顔料の粒子は、コア粒子上にしっかりと接着できるので、着色顔料は皮膚上の毛穴から皮膚に浸透することはあり得ない。更に、着色顔料が刺激したとしても、これはコア粒子上のみにしか存在しないので、大量の着色顔料が皮膚に直接接触することはあり得ない。したがって、本発明による複合顔料は、着色顔料の凝集物よりも安全である。
使用することのできる有機顔料の中でも、限定はしないが、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料及びレーキ、例えば、コチニールカルミン系及びバリウム、ストロンチウム、カルシウム、又はアルミニウム系のレーキを挙げることができる。例えば、Red 202 (カルシウムビス[2-(3-カルボキシ-2-ヒドロキシナフチルアゾ)-5-メチルベンゼンスルホネート)は、D&Cタイプの顔料として使用することができる。
着色顔料は、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム水和物、第二鉄青、アルミニウム粉末、銅粉末、銀粉末、金粉末、硫酸バリウム、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、レーキ、真珠光沢顔料、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
用語「真珠光沢顔料」は、ある種の貝によってその貝殻の中で産出され、又は、そうでなく合成された粒子等の任意の形状の虹色に輝く粒子を意味すると理解すべきである。
真珠光沢剤(pearlescent agent)は、二酸化チタン又はオキシ塩化ビスマスで覆われているマイカ等の白色真珠光沢剤;酸化チタンで被覆されているマイカを酸化鉄で覆ったもの、酸化チタンで被覆されているマイカを第二鉄青若しくは酸化クロムで覆ったもの、又は酸化チタンで被覆されているマイカを上述の種類の有機顔料で覆ったもの等の有色真珠光沢剤;及びオキシ塩化ビスマスをベースとした真珠光沢剤から選択することができる。
本発明による複合顔料は、着色顔料を使用した場合、その微粒子がコア粒子上にしっかりと固定されるため、皮膚上で容易に広がらないような高い摩擦係数を有し、不快な使用感を与える単体の微粒子を減らすことが可能であるので、より良好な使用感を与えることができる。
着色顔料は、本発明による複合顔料中で、着色顔料に対するコア粒子の質量比が50:50〜90:10、好ましくは50:50〜80:20、より好ましくは50:50〜70:30の比率で使用してよい。
(追加のUVフィルター)
上記の通り、コア粒子上のコーティング層は、少なくとも1種の追加のUVフィルターを更に含んでもよい。2種以上の追加のUVフィルターを使用する場合、それらは同じものでも異なってもよく、同じものであることが好ましい。
本発明に使用する追加のUVフィルターは、UV-A及び/又はUV-B領域において、好ましくはUV-A領域において、又はUV-A及びUV-B領域において活性であるものでよい。追加のUVフィルターは、親水性且つ/又は親油性であってよい。
追加のUVフィルターは、固体でも液体であってもよく、好ましくは液体であってもよい。用語「固体」及び「液体」は、それぞれ1気圧下25℃での固体及び液体を意味する。追加のUVフィルターは、少なくとも1種の有機材料又は無機材料、好ましくは少なくとも1種の有機材料で作られていてもよい。
追加のUVフィルターは、アントラニル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、カンフル誘導体、ベンゾフェノン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロン酸誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ビス-ベンゾアゾリル誘導体、p-アミノ安息香酸(PABA)及びその誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、遮断ポリマー及び遮断シリコーン、α-アルキルスチレン由来のダイマー、4,4-ジアリールブタジエン、オクトクリレン及びその誘導体、グアイアズレン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、フラボノイド、ビフラボノイド、オリザノール及びその誘導体、キナ酸及びその誘導体、フェノール、レチノール、システイン、芳香族アミノ酸、芳香族アミノ酸残基含有ペプチド、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるものでよい。
追加の有機UVフィルターの例として、以下にそのINCI名で示すもの及びそれらの混合物を挙げることができる。
アントラニル酸誘導体:Haarmann and Reimerにより「Neo Heliopan MA」の商標で市販されているアントラニル酸メンチル。
ジベンゾイルメタン誘導体:特にHoffmann-La Rocheにより「Parsol 1789」の商標で市販されているブチルメトキシジベンゾイルメタン;及びイソプロピルジベンゾイルメタン。
ケイ皮酸誘導体:特にHoffmann-La Rocheにより「Parsol MCX」の商標で市販されているメトキシケイ皮酸エチルヘキシル;メトキシケイ皮酸イソプロピル;メトキシケイ皮酸イソプロポキシ;Haarmann and Reimerにより「Neo Heliopan E 1000」の商標で市販されているメトキシケイ皮酸イソアミル;シノキセート(2-エトキシエチル-4-メトキシシンナメート);DEAメトキシシンナメート;メチルケイ皮酸ジイソプロピル;及びジメトキシケイ皮酸エチルヘキサン酸グリセリル。
サリチル酸誘導体:Rona/EM Industriesにより「Eusolex HMS」の商標で市販されているホモサレート(サリチル酸ホモメンチル);Haarmann and Reimerにより「Neo Heliopan OS」の商標で市販されているサリチル酸エチルヘキシル;サリチル酸グリコール;サリチル酸ブチルオクチル;サリチル酸フェニル;Scherにより「Dipsal」の商標で市販されているサリチル酸ジプロピレングリコール;及びHaarmann and Reimerにより「Neo Heliopan TS」の商標で市販されているサリチル酸TEA。
カンフル誘導体、特にベンジリデンカンフル誘導体:Chimexにより「Mexoryl SD」の商標で製造されている3-ベンジリデンカンフル;Merckにより「Eusolex 6300」の商標で市販されている4-メチルベンジリデンカンフル;Chimexにより「Mexoryl SL」の商標で製造されているベンジリデンカンフルスルホン酸;Chimexにより「Mexoryl SO」の商標で製造されているメト硫酸カンフルベンザルコニウム;Chimexにより「Mexoryl SX」の商標で製造されているテレフタリリデンジカンフルスルホン酸;及びChimexにより「Mexoryl SW」の商標で製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンフル。
ベンゾフェノン誘導体:BASF社により「Uvinul 400」の商標で市販されているベンゾフェノン-1(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン);BASF社により「Uvinul D50」の商標で市販されているベンゾフェノン-2(テトラヒドロキシベンゾフェノン);BASF社により「Uvinul M40」の商標で市販されているベンゾフェノン-3(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)又はオキシベンゾン;BASF社により「Uvinul MS40」の商標で市販されているベンゾフェノン-4(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸);ベンゾフェノン-5(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム);Norquay社により「Helisorb 11」の商標で市販されているベンゾフェノン-6(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン);American Cyanamid社により「Spectra-Sorb UV-24」の商標で市販されているベンゾフェノン-8;BASF社により「Uvinul DS-49」の商標で市販されているベンゾフェノン-9(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸二ナトリウム);ベンゾフェノン-12、及び特にBASF社により「Uvinul A PLUS」の商標で市販されているn-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート。- β,β-ジフェニルアクリレート誘導体:特にBASF社により「Uvinul N539」の商標で市販されているオクトクリレン;及び特にBASF社により「Uvinul N35」の商標で市販されているエトクリレン。
トリアジン誘導体:Sigma 3Vにより「Uvasorb HEB」の商標で市販されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン;2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン。
ベンゾトリアゾール誘導体、特にフェニルベンゾトリアゾール誘導体:分枝状及び線状の2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノ、並びにUSP 5240975に記載のもの。
ベンザルマロネート誘導体:4'-メトキシベンザルマロン酸ジネオペンチル、及びベンザルマロン酸官能基を含むポリオルガノシロキサン、例えば、Hoffmann-LaRocheにより「Parsol SLX」の商標で市販されているポリシリコーン-15。
ベンゾイミダゾール誘導体、特にフェニルベンゾイミダゾール誘導体:特にMerckにより「Eusolex 232」の商標で市販されているフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、及びHaarmann and Reimerにより「Neo Heliopan AP」の商標で市販されているフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム。
イミダゾリン誘導体:エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
ビス-ベンゾアゾリル誘導体:EP-669,323及び米国特許第2,463,264号に記載されているような誘導体。
パラ-アミノ安息香酸及びその誘導体:PABA(p-アミノ安息香酸)、エチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、ペンチルジメチルPABA、特にISPにより「Escalol 507」の商標で市販されているエチルヘキシルジメチルPABA、グリセリルPABA、及びBASFにより「Uvinul P25」の商標で市販されているPEG-25 PABA。
ベンゾオキサゾール誘導体:Sigma 3VによりUvasorb K2Aの商標で市販されている2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
遮断ポリマー及び遮断シリコーン:WO93/04665に記載のシリコーン。
α-アルキルスチレン由来のダイマー:DE-19855649に記載のダイマー。
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
好ましい追加の有機UVフィルターは、以下から選択する。
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、4-メチルベンジリデンカンフル、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、エチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ポリシリコーン-15、4'-メトキシベンザルマロン酸ジネオペンチル、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、及びこれらの混合物。より好ましい液体有機UVフィルターは、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)である。
好ましい実施形態において、追加のUVフィルターは、液体有機UVフィルターである。
液体有機UVフィルターの材料は、有機である限り、限定されない。2種以上の液体有機UVフィルターを使用する場合、液体有機UVフィルターの材料は、互いに同じものでも、異なってもよい。
追加の液体有機UVフィルターの内、以下を挙げることができる:
- ケイ皮酸誘導体:特にHoffmann-La Roche社により「Parsol MCX」の商標で市販されているメトキシケイ皮酸エチルヘキシル;メトキシケイ皮酸イソプロピル;メトキシケイ皮酸イソプロポキシ;Haarmann and Reimer社により「Neo Heliopan E 1000」の商標で市販されているメトキシケイ皮酸イソアミル;シノキサート(4-メトキシケイ皮酸-2-エトキシエチル);メトキシケイ皮酸DEA;メチルケイ皮酸ジイソプロピル;及びジメトキシケイ皮酸エチルヘキサン酸グリセリル。
- サリチル酸誘導体:Rona/EM Industries社により「Eusolex HMS」の商標で市販されているホモサラート(サリチル酸ホモメンチル);Haarmann and Reimer社により「Neo Heliopan OS」の商標で市販されているサリチル酸エチルヘキシル;サリチル酸グリコール;サリチル酸ブチルオクチル;サリチル酸フェニル;Scher社により「Dipsal」の商標で市販されているサリチル酸ジプロピレングリコール;及びHaarmann and Reimer社により「Neo Heliopan TS」の商標で市販されているサリチル酸TEA。
- β,β-ジフェニルアクリレート誘導体:特にBASF社により「Uvinul N539」の商標で市販されているオクトクリレン;及び特にBASF社により「Uvinul N35」の商標で市販されているエトクリレン。
- ベンザルマロネート官能基を含むポリオルガノシロキサン、例えば、Hoffmann-LaRoche社により「Parsol SLX」の商標で市販されているポリシリコーン-15。
好ましい追加の液体有機UVフィルターは、
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ホモサラート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ポリシリコーン-15から選択してよい。
追加のUVフィルターは、本発明による複合顔料中で、追加のUVフィルターに対するコア粒子の質量比が50:50〜90:10、好ましくは50:50〜80:20、より好ましくは50:50〜70:30の比率で使用してよい。
(界面活性剤)
上記の通り、コア粒子上のコーティング層は、少なくとも1種の界面活性剤を含んでもよい。
任意の界面活性剤が、コーティング層中に存在してよい。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤からなる群から選択することができる。2種以上の界面活性剤を組み合わせて使用することができる。このため、単一の種類の界面活性剤、又は異なる種類の界面活性剤の組合せを使用することができる。好ましくは本発明によれば、「界面活性剤」は、添加剤なしに、水でフォームを形成することが可能である。
界面活性剤は、好ましくは、アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選択することができる。
(アニオン性界面活性剤)
本発明によれば、アニオン性界面活性剤の種類は限定されない。アニオン性界面活性剤は、(C6〜C30)アルキル硫酸塩、(C6〜C30)アルキルエーテル硫酸塩、(C6〜C30)アルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルアリールポリエーテル硫酸塩、モノグリセリド硫酸塩;(C6〜C30)アルキルスルホン酸塩、(C6〜C30)アルキルアミドスルホン酸塩、(C6〜C30)アルキルアリールスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩;(C6〜C30)アルキルリン酸塩;(C6〜C30)アルキルスルホコハク酸塩、(C6〜C30)アルキルエーテルスルホコハク酸塩、(C6〜C30)アルキルアミドスルホコハク酸塩;(C6〜C30)アルキルスルホ酢酸塩;(C6〜C24)アシルサルコシン酸塩;(C6〜C24)アシルグルタミン酸塩;(C6〜C30)アルキルポリグリコシドカルボン酸エーテル;(C6〜C30)アルキルポリグリコシドスルホコハク酸塩;(C6〜C30)アルキルスルホスクシンアミド酸塩;(C6〜C24)アシルイセチオン酸塩;N-(C6〜C24)アシルタウリン酸塩;C6〜C30脂肪酸塩;ヤシ油酸塩(coconut oil acid salts)又は硬化ヤシ油酸塩;(C8〜C20)アシル乳酸塩;(C6〜C30)アルキル-D-ガラクトシドウロン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6〜C30)アルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6〜C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸塩;及びポリオキシアルキレン化(C6〜C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸塩からなる群から選択されることが好ましい。
アニオン性界面活性剤は、(C6〜C30)アルキル硫酸塩又はポリオキシアルキレン化(C6〜C30)アルキルエーテルカルボン酸塩から選択されることがより好ましい。
少なくとも一実施形態では、アニオン性界面活性剤は塩の形態であり、例えば、アルカリ金属(例えばナトリウム)の塩、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)の塩、アンモニウム塩、アミン塩、及びアミノアルコール塩等である。条件によっては、アニオン性界面活性剤は酸の形態にあってもよい。
(両性界面活性剤)
本発明によれば、両性界面活性剤の種類は限定されない。両性界面活性剤又は双性イオン性界面活性剤は、例えば(非限定的一覧)、アミン誘導体(例えば、脂肪族の第二級又は第三級アミン、及び任意選択で四級化されたアミン誘導体)とすることができ、その中で、脂肪族基は、8〜22個の炭素原子を含み、水に可溶の少なくとも1つのアニオン性基(例えば、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン又はホスホン酸イオン)を含有する直鎖状又は分枝状の鎖である。
両性界面活性剤は、好ましくはベタイン及びアミドアミンカルボキシル化誘導体からなる群から選択することができる。
ベタイン型両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン及びアルキルアミドアルキルスルホベタイン、特に、(C8〜C24)アルキルベタイン、(C8〜C24)アルキルアミド(C1〜C8)アルキルベタイン、スルホベタイン及び(C8〜C24)アルキルアミド(C1〜C8)アルキルスルホベタインからなる群から選択される。一実施形態において、ベタイン型の両性界面活性剤は、(C8〜C24)アルキルベタイン、(C8〜C24)アルキルアミド(C1〜C8)アルキルスルホベタイン、スルホベタイン及びホスホベタインから選択される。
挙げることができる非限定的な例には、CTFA辞典、第9版、2002年において、ココベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、パルミトアミドプロピルベタイン、ステアルアミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン及びココスルタインの名称で分類されている化合物が、単独で又は混合物として挙げられる。
ベタイン型両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン及びアルキルアミドアルキルベタイン、特にココベタイン及びコカミドプロピルベタインである。
アミドアミンカルボキシル化誘導体の中では、Miranolの名称で販売されている製品を挙げることができ、これは、米国特許第2,528,378号及び同第2,781,354号に記載されており、CTFA辞典、第3版、1982年においてアンホカルボキシグリシネート及びアンホカルボキシプロピオネートの名称で分類されており(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)、それぞれの構造は以下の通りである。
R1-CONHCH2CH2-N+(R2)(R3)(CH2COO-)
(式中、
R1は、加水分解ヤシ油中に存在する酸R1-COOHのアルキル基、ヘプチル基、ノニル基又はウンデシル基を意味し、
R2は、β-ヒドロキシエチル基を意味し、
R3は、カルボキシメチル基を意味する);及び
R1'-CONHCH2CH2-N(B)(C)
(式中、
Bは、-CH2CH2OX'を表し、
Cは、-(CH2)z-Y'を表し、z=1又は2であり、
X'は、-CH2CH2-COOH基、-CH2-COOZ'基、-CH2CH2-COOH基、-CH2CH2-COOZ'基又は水素原子を意味し、
Y'は、-COOH基、-COOZ'基、-CH2-CHOH-SO3Z'基又は-CH2-CHOH-SO3H基を意味し、
Z'は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオン、例えばナトリウムイオン、アンモニウムイオン、又は有機アミン由来のイオンを表し、
R1'は、ヤシ油中若しくは加水分解亜麻仁油中に存在する酸R1'-COOHのアルキル基、C7、C9、C11若しくはC13アルキル基等のアルキル基、C17アルキル基及びそのイソ型、又は不飽和のC17基等のアルキル基を意味する)。
両性界面活性剤は、(C8〜C24)-アルキルアンホモノアセテート、(C8〜C24)アルキルアンホジアセテート、(C8〜C24)アルキルアンホモノプロピオネート、及び(C8〜C24)アルキルアンホジプロピオネートから選択されることが好ましい。
これらの化合物は、CTFA辞典、第5版、1993年において、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸及びココアンホジプロピオン酸の名称で分類されている。
例として、Rhodia Chimie社によりMiranol(登録商標)C2M縮合物という商品名で販売されているココアンホ二酢酸塩を挙げることができる。
(カチオン性界面活性剤)
本発明によれば、カチオン性界面活性剤の種類は限定されない。カチオン性界面活性剤は、場合によりポリオキシアルキレン化された第一級、第二級及び第三級脂肪アミン塩、第四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
第四級アンモニウム塩の例として挙げられるものには以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
以下の一般式(I)のもの:
式中、
R1、R2、R3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、1〜30個の炭素原子を含み、任意選択で酸素、窒素、硫黄及びハロゲン等のヘテロ原子を含む、直鎖状及び分枝状の脂肪族基から選択される。該脂肪族基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、C2〜C6ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、(C12〜C22)アルキルアミド(C2〜C6)アルキル基、(C12〜C22)アルキルアセテート基及びヒドロキシアルキル基、並びに芳香族基、例えばアリール基及びアルキルアリール基から選択することができ、X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、(C2〜C6)アルキル硫酸イオン、及びアルキルスルホン酸イオン又はアルキルアリールスルホン酸イオンから選択される。
イミダゾリンの第四級アンモニウム塩、例えば、以下の式(II)のもの:
式中、
R5は、8〜30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基、例えば、獣脂若しくはココナツの脂肪酸誘導体から選択され;
R6は、水素、C1〜C4アルキル基、並びに8〜30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選択され;
R7は、C1〜C4アルキル基から選択され;
R8は、水素及びC1〜C4アルキル基から選択され;
X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン及びアルキルアリールスルホン酸イオンから選択される。一実施形態では、R5及びR6は、例えば、獣脂の脂肪酸誘導体等の12〜21個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選択される基の混合物であり、R7はメチルであり、R8は水素である。このような製品の例には、Witco社により「Rewoquat(登録商標)」W75、W90、W75PG及びW75HPGの名称で販売されているクオタニウム-27(CTFA 1997年)及びクオタニウム-83(CTFA 1997年)が挙げられるが、これらに限定されない。
式(III)のジ第四級アンモニウム塩:
式中、
R9は、16〜30個の炭素原子を含む脂肪族基から選択され、
R10は、水素、又は1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、又は(R16a)(R17a)(R18a)N+(CH2)3基から選択され;
R11、R12、R13、R14、R16a、R17a及びR18aは、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1〜4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、
X-は、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、エチル硫酸イオン及びメチル硫酸イオンから選択される。
このようなジ第四級アンモニウム塩の例には、FINETEX社のFINQUAT CT-P(クオタニウム-89)又はFINETEX社のFINQUAT CT(クオタニウム-75)がある。
また、少なくとも1つのエステル官能基を含む第四級アンモニウム塩、例えば、以下の式(IV)のもの:
式中、
R22は、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6ヒドロキシアルキル基及びジヒドロキシアルキル基から選択され;
R23は、
以下の基:
直鎖状及び分枝状、飽和及び不飽和のC1〜C22炭化水素系基R27、並びに水素から選択され、
R25は、
以下の基:
直鎖状及び分枝状、飽和及び不飽和のC1〜C6炭化水素系基R29、並びに水素から選択され、
R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC7〜C21炭化水素系基から選択され;
r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2〜6の範囲の整数から選択され、
r1及びt1の各々は、同一であっても異なっていてもよく、0又は1であり、r2+r1=2r及びt1+2t=2tであり、
yは1〜10の範囲の整数から選択され、
x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0〜10の範囲の整数から選択され、
X-は、有機及び無機の単純アニオン及び錯アニオンから選択されるが;但し、x+y+zの和は1から15の範囲であり、xが0であるとき、R23はR27を示し、zが0であるとき、R25は、R29を示し、R22は、直鎖状及び分枝状アルキル基から選択することができる。一実施形態では、R22は、直鎖状アルキル基から選択される。別の実施形態では、R22は、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、及びジヒドロキシプロピル基から選択され、例えば、メチル基及びエチル基から選択される。一実施形態では、x+y+zの和は、1〜10の範囲である。R23が炭化水素系基R27であるとき、これは長鎖であり12〜22個の炭素原子を含むことができる、又は短鎖であり1〜3個の炭素原子を含むことができる。R25が炭化水素系基R29であるとき、これは、例えば、1〜3個の炭素原子を含むことができる。非限定的な例として、一実施形態では、R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11〜C21炭化水素系基から選択され、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11〜C21アルキル基及びアルケニル基から選択される。別の実施形態では、x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1である。一実施形態では、yは1に等しい。別の実施形態では、r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2又は3に等しく、例えば2に等しい。アニオンX-は、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、並びにメチル硫酸イオン等のC1〜C4アルキル硫酸イオンから選択することができる。しかし、メタンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、トシルイオン;酢酸イオン及び乳酸イオン等の有機酸に由来のアニオン;並びにエステル官能基を含むアンモニウムに適合する任意の他のアニオンは、本発明に従って使用することができるアニオンの他の非限定的な例である。一実施形態では、アニオンX-は、塩化物イオン及びメチル硫酸イオンから選択される。
別の実施形態において、式(IV)のアンモニウム塩を使用してもよく、式中:
R22は、メチル基及びエチル基から選択され、
x及びyは1に等しく、
zは0又は1に等しく、
r、s及びtは2に等しく、
R23は、
以下の基:
メチル基、エチル基、及びC14〜C22炭化水素系基、水素から選択され;
R25は、
以下の基:
、
及び水素から選択され;
R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13〜C17炭化水素系基から選択され、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13〜C17アルキル基及びアルケニル基から選択される。
一実施形態では、炭化水素系基は、直鎖状である。
挙げることができる式(IV)の化合物の非限定的な例には、塩、例えば、ジアシルオキシエチル-ジメチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、ジアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-メチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、モノアシルオキシエチル-ジヒドロキシエチル-メチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、トリアシルオキシエチル-メチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、モノアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-ジメチル-アンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、並びにこれらの混合物が含まれる。一実施形態では、アシル基は、14〜18個の炭素原子を含んでもよく、例えば、植物油、例えばパーム油及びヒマワリ油に由来するものでもよい。化合物がいくつかのアシル基を含むとき、これらの基は、同一であっても異なっていてもよい。
これらの生成物は、例えば、場合によりオキシアルキレン化されたトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンを脂肪酸に又は植物若しくは動物起源の脂肪酸の混合物に直接エステル化することにより、或いはそれらのメチルエステルをエステル交換することにより得ることができる。このエステル化の後に、アルキル化剤を使用して四級化してもよく、該アルキル化剤は、ハロゲン化アルキル、例えば、ハロゲン化メチル及びハロゲン化エチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル;メタンスルホン酸メチル;パラ-トルエンスルホン酸メチル;グリコールクロロヒドリン;並びにグリセロールクロロヒドリンから選択される。
このような化合物は、例えば、Cognis社によりDehyquart(登録商標)の名称で、Stepan社によりStepanquat(登録商標)の名称で、Ceca社によりNoxamium(登録商標)の名称で、またRewo-Goldschmidt社により「Rewoquat(登録商標)WE 18」の名称で販売されている。
本発明による組成物に使用してもよいアンモニウム塩の他の非限定的な例には、米国特許第4,874,554号及び同第4,137,180号に記載された少なくとも1つのエステル官能基を含むアンモニウム塩が挙げられる。
本発明による組成物に使用してもよい上記の第四級アンモニウム塩の中では、式(I)に対応するもの、例えば、塩化テトラアルキルアンモニウム、例えば、アルキル基が約12〜22個の炭素原子を含む塩化ジアルキルジメチルアンモニウム及び塩化アルキルトリメチルアンモニウム、例えば塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、及び塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム;塩化パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム;及びVan Dyk社により「Ceraphyl(登録商標) 70」という名称で販売されている塩化ステアラミドプロピルジメチル(ミリスチルアセテート)アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態によれば、本発明の組成物に使用してもよいカチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム塩から選択され、例えば、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、クオタニウム-83、クオタニウム-87、クオタニウム-22、塩化ベヘニルアミドプロピル-2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアンモニウム、塩化パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選択される。
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤は、それ自体又はそれだけで周知の化合物である(例えば、この点に関して、「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter、Blackie & Son出版(Glasgow及びLondon)、1991年、116〜178頁を参照されたい)。したがって、非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリエトキシ化、ポリプロポキシル化、又はポリグリセロール化されている、例えば、8〜18個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有する、アルコール、α-ジオール、アルキルフェノール及び脂肪酸のエステルから選択されてもよく、エチレンオキシド基又はプロピレンオキシド基の数は2〜50個の範囲であること、及びグリセロール基の数は2〜30個の範囲であることが可能である。マルトース誘導体も挙げることができる。限定はしないが、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと脂肪アルコールの縮合物;例えば2〜30モルのエチレンオキシドを含むポリエトキシ化脂肪アミド;例えば1〜5個の、例えば1.5〜4個のグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド;2〜30モルのエチレンオキシドを含む、ソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル;植物起源のエトキシル化油;スクロースの脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;グリセロールの脂肪酸モノ又はジエステル;(C6〜C24)アルキルグリコシド;(C6〜C24)アルキルポリグリコシド;N-(C6〜C24)アルキルグルカミン誘導体、アミンオキシド、例えば(C10〜C14)アルキルアミンオキシド又はN-(C10〜C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド;並びにこれらの混合物もまた挙げることができる。
非イオン性界面活性剤は、好ましくはモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化された、モノグリセロール化又はポリグリセロール化された、非イオン性界面活性剤から選択されてよい。オキシアルキレン単位は、より特定すると、オキシエチレン単位若しくはオキシプロピレン単位、又はこれらの組合せ、好ましくはオキシエチレン単位である。
挙げることができるオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、以下が含まれる。
オキシアルキレン化(C8〜C24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のオキシアルキレン化C8〜C30アルコール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のオキシアルキレン化C8〜C30アミド、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8〜C30酸とポリエチレングリコールとのエステル;
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8〜C30酸とソルビトールとのポリオキシアルキレン化エステル、
飽和又は不飽和の、オキシアルキレン化植物油、
とりわけ単体の又は混合物としてのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
界面活性剤は、1から100の間、好ましくは2から50の間のモル数のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含有することができる。有利には、非イオン性界面活性剤は、オキシプロピレン単位を一切含まない。
本発明の好ましい一実施形態によれば、オキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン化C8〜C30アルコール又はエトキシ化脂肪エステルから選択される。
挙げることができるエトキシ化脂肪アルコール(又はC8〜C30アルコール)の例には、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ、9〜50個のオキシエチレン基を含有するもの、より特定すると、10〜12個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではラウレス-10からラウレス-12);ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ、9〜50個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではベヘネス-9からベヘネス-50);セテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)のエチレンオキシド付加物、とりわけ、10〜30個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではセテアレス-10からセテアレス-30);セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ、10〜30個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではセテス-10からセテス-30);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ、10〜30個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではステアレス-10からステアレス-30);イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ、10〜50個のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではイソステアレス-10からイソステアレス-50);及びこれらの混合物がある。
挙げることができるエトキシ化脂肪エステルの例には、エチレンオキシドと、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル又はベヘン酸エステルとの付加物、及びこれらの混合物、とりわけ9〜50個のオキシエチレン基を含有するもの、例えばラウリン酸PEG-9からラウリン酸PEG-50(CTFA名ではラウリン酸PEG-9からラウリン酸PEG-50);パルミチン酸PEG-9からパルミチン酸PEG-50(CTFA名ではパルミチン酸PEG-9からパルミチン酸PEG-50);ステアリン酸PEG-9からステアリン酸PEG-50(CTFA名ではステアリン酸PEG-9からステアリン酸PEG-50);パルミトステアリン酸PEG-9からパルミトステアリン酸PEG-50;ベヘン酸PEG-9からベヘン酸PEG-50(CTFA名ではベヘン酸PEG-9からベヘン酸PEG-50);及びこれらの混合物がある。
これらの脂肪アルコール及び脂肪エステルのオキシエチレン化誘導体の混合物を使用することもできる。
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明による化粧料組成物は、少なくとも1種のエトキシ化脂肪アルコールを含む。
モノグリセロール化又はポリグリセロール化された非イオン性界面活性剤の例として、好ましくはモノグリセロール化又はポリグリセロール化C8〜C40アルコールが用いられる。
詳細には、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8〜C40アルコールは、次式に対応する:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H又はRO-[CH(CH2OH)-CH2O]m-H
[式中、Rは、直鎖状又は分岐状のC8〜C40、好ましくはC8〜C30アルキル基又はアルケニル基を表し、mは、1〜30、好ましくは1〜10の範囲の数を表す]
本発明との関連で適する化合物の例として、4モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4モルのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、及び6モルのグリセロールを含有するオクタデカノールを挙げることができる。
アルコールは、mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールの混合物を表す場合があり、このことは、市販品の中には、いくつかの種のポリグリセロール化脂肪アルコールが混合物の形態で共存している場合があることを意味する。
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールの中では、1モルのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1モルのグリセロールを含有するC10/C12アルコール、及び1.5モルのグリセロールを含有するC12アルコールを用いることがより特定的に好ましい。
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、HLBが8〜18の非イオン性界面活性剤とすることができる。HLBとは、分子中の親水性部分と親油性部分との間の比である。この用語HLBは、当業者に周知であり、「The HLB system. A time-saving guide to emulsifier selection」(ICI Americas Inc.出版、1984年)に記載されている。
本発明の一実施形態によれば、界面活性剤の量は、コーティング層の総質量に対して、0.1〜25質量%、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%の範囲とすることができる。
(複合顔料の調製方法)
本発明による複合顔料は、
少なくとも1種のコア粒子と、
少なくとも1種の粒子状固体有機UVフィルターと、
任意選択の、固体無機UVフィルター、着色顔料、追加のUVフィルター及び界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つと
を機械化学的融合プロセスにかける工程によって調製できる。
コア粒子、粒子状固体有機UVフィルター、固体無機UVフィルター、着色顔料、追加のUVフィルター、及び界面活性剤は、上記の通りである。
機械化学的融合プロセスとは、多数の対象に、衝撃力、摩擦力又は剪断力等の機械的な力をかけて、対象間に融合を引き起こすプロセスを意味する。
機械化学的融合プロセスは、例えば、日本のホソカワミクロン株式会社により市販されているメカノフュージョンシステム等の、回転チャンバーと、掻き板を有する固定された内部部品とを含む装置によって実施することができる。
機械化学的融合プロセスとしてハイブリダイザープロセスを使用することが好ましい。
ハイブリダイザープロセスは、1980年代に開発された。ハイブリダイザープロセスは、多数の粒子に機械的な強い力をかけて、機械化学的反応を引き起こし、複合粒子を形成する機械化学的融合プロセスの一部類である。
ハイブリダイザープロセスによれば、機械的力は、10cm〜1mの直径を有することができ、1,000rpm〜100,000rpmの速度で回転することができる高速ローターによって付与される。したがって、ハイブリダイザープロセスは、そのような高速ローターを使用する機械化学的融合プロセスであると定義することができる。ハイブリダイザープロセスは、空気中又は乾燥条件下で実施する。したがって、ローターの回転が高速であるために、ローター付近に高速空気流を発生させることができる。しかし、いくつかの液体材料は、固体材料と共にハイブリダイザープロセスにかけることができる。用語「ハイブリダイザープロセス」は、技術用語として使用されている。
ハイブリダイザープロセスは、例えば日本の株式会社奈良機械製作所により市販されているハイブリダイゼーションシステムを使用することによって実施することができ、このシステムでは、少なくとも2種の粒子、通常はコア粒子と微粒子を、乾燥条件下にあるチャンバー中に複数の刃を有する高速ローターを備えたハイブリダイザーに供給し、粒子をチャンバー内に分散させ、粒子に機械及び熱エネルギー(例えば、圧縮、摩擦、及び剪断応力)を、1〜10分、好ましくは1〜5分等の比較的短い時間付与する。結果として、一方の種類の粒子(例えば、微粒子)が他方の種類の粒子(例えば、コア粒子)上に包埋又は固定されて、複合粒子が形成される。粒子は、振盪等の静電処理にかけて、一方の種類の粒子が広がって他方の種類の粒子を覆っている「オーダードミクスチャー」を形成させておくことが好ましい。ハイブリダイザープロセスは、日本の株式会社徳寿工作所により市販されているシータコンポーザを使用することによって実施することもできる。
ハイブリダイザープロセスは、日本コークス工業株式会社により市販されているコンポジハイブリッド又はメカノハイブリッドを使用することによって実施することもできる。
本発明の一実施形態によれば、例えば、コア粒子と、粒子状固体有機UVフィルターと、場合により必要に応じて固体無機UVフィルター、着色顔料及び/又は追加のUVフィルター等の追加の材料とを、そのようなハイブリダイザーに供給して、複合顔料を生成することができる。ハイブリダイザー法は、約8,000rpm(100m/秒)で回転するローターを約3分間使用して実施することができる。
特定の実施形態において、コア粒子/粒子状固体有機UVフィルターの質量比は、10:90〜90:10、好ましくは30:70〜70:30、より好ましくは40:60〜50:50でよい。
機械化学的融合プロセス、特にハイブリダイザー法は、コア粒子が、少なくとも1種の粒子状固体有機UVフィルター、並びに場合により少なくとも1種の固体無機UVフィルター及び/又は少なくとも1種の着色顔料及び/又は少なくとも1種の追加のUVフィルター及び/又は少なくとも1種の界面活性剤を含む少なくとも1つの層によって少なくとも部分的に覆われている複合顔料を提供することができる。
更に、機械化学的融合プロセス、特にハイブリダイザープロセスは、コア粒子上に、粒子状固体有機UVフィルター、並びに場合により少なくとも1種の固体無機UVフィルター及び/又は少なくとも1種の着色顔料及び/又は少なくとも1種の追加のUVフィルター及び/又は少なくとも1種の界面活性剤の規則配列(例えば、均一な被覆)を与えることができ、コア粒子の表面に強力な結合を与え、粒子状固体有機UVフィルター、並びに場合により固体無機UVフィルター及び/又は着色顔料及び/又は追加のUVフィルター及び/又は界面活性剤を含むコーティング層を与える。
必要に応じて、コア粒子より大きな平均粒径を有する大型粒子を、コア粒子と組み合わせて追加することが可能である。
大型粒子をコア粒子と組み合わせて使用する場合、大型粒子のコア粒子への衝突によるアンカー効果に起因して、粒子状固体有機UVフィルター、並びに場合により固体無機UVフィルター及び/又は追加のUVフィルター及び/又は着色顔料を、コア粒子の表面上に効果的に結合できる。したがって、UVフィルター効果、及び場合により着色効果を更に強化できる。
機械化学的融合プロセス、特にハイブリダイザー法は、例えばビーズミルやジェットミルを使用する他の方法とはまったく異なることに留意すべきである。実際に、ビーズミルは、コア粒子の微粉砕又は凝集を引き起こし、ジェットミルは、コア粒子の微粉砕を引き起こし、コア粒子の微粒子によるコーティングは一様には形成されにくい。
必要に応じて、UVフィルター及び/又は着色材料で複合顔料を更に被覆する追加のプロセスを実施してもよい。この追加のプロセスの結果として、本発明による複合顔料は、UVフィルター及び/又は着色材料を含む、好ましくはUVフィルター及び/又は着色材料からなる別の層で被覆されていてもよい。
(化粧料組成物)
上述のような本発明による複合顔料は、本発明による化粧料組成物中に、組成物の全質量に対して0.01質量%〜99質量%、好ましくは0.1質量%〜50質量%、より好ましくは1質量%〜30質量%の範囲の量で存在してよい。
好ましくは、本発明による複合顔料は、皮膚、毛髪、爪等のケラチン物質に適用される化粧料組成物中に使用でき、UVシールド効果、及び場合により着色効果を与えることができるが、それは、複合顔料が、透明若しくはクリアな外観、及び/又はより透明若しくはクリア且つ明るい着色等の良好な着色効果と共に伴う可能性のある、良好なUV遮蔽効果を、ケラチン物質に影響を及ぼすリスクなしに示し得るからである。更に、本発明による複合顔料は、容易に化粧料組成物に製剤化され、化粧料組成物中で安定化できる。
本発明による複合顔料は、皮膚上で容易に広がらないような高い摩擦係数を有する遊離粒子を減らし、不快な使用感を与えないようにすることができるため、本発明による化粧料組成物は、摩擦を減らし、したがってより良好で滑らかな使用感の効果が実現できる。
本発明による化粧料組成物は、少なくとも1種のフィラー及び/又は少なくとも1種の油を更に含んでもよい。
本明細書では、用語「フィラー」とは、いかなる温度で組成物が製造されても組成物の媒質に不溶性である、任意の形状の無色の天然又は合成粒子を意味すると理解すべきである。したがって、フィラーは、上述のような着色顔料とは異なる。
フィラーは、無機でも有機でもよく、任意の結晶学的形態(例えば、シート状晶、立方晶、六方晶、斜方晶等)のいかなる形状であってもよい(例えば、小板状、球状、及び長円状)。適切な追加のフィラーの例としては、これらに限定されないが、タルク;マイカ;シリカ;カオリン;Nylon(登録商標)等のポリアミドの粉末;ポリ-β-3-アラニン粉末;ポリエチレン粉末;ポリウレタン粉末、例えば、東色ピグメント株式会社によりPlastic Powder D-400の名称で販売されている、ヘキサメチレンジイソシアネート及びトリメチロールヘキシルラクトンコポリマーで形成された粉末;テトラフルオロエチレンポリマー[Teflon(登録商標)]で形成された粉末;ラウロイルリシン;デンプン;窒化ホウ素;高分子中空微小球、例えば、ポリ(塩化ビニリデン)/アクリロニトリルの微小球、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie)、及びアクリル酸コポリマーの微小球;シリコーン樹脂粉末、例えば、シルセスキオキサン粉末[例えば、欧州特許第0293795号で開示されているシリコーン樹脂粉末、及び株式会社東芝のTospearls(登録商標)];ポリ(メタクリル酸メチル)粒子;沈降炭酸カルシウム;炭酸マグネシウム;塩基性炭酸マグネシウム;ヒドロキシアパタイト;中空シリカ微小球;ガラスミクロカプセル;セラミックミクロカプセル;8〜22個の炭素原子、例えば12〜18個の炭素原子を含む有機カルボン酸由来の金属石けん、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、及びミリスチン酸マグネシウム;硫酸バリウム;並びにこれらの混合物が挙げられる。
フィラーは、組成物中に、組成物の全質量に対して0.1質量%〜80質量%、例えば、1質量%〜25質量%、又は3質量%〜15質量%の範囲の量で存在してよい。
用語「油」は、周囲温度(25℃)で液体である脂肪物質を意味すると理解される。
本発明の組成物中に使用することのできる油として、例えば、ペルヒドロスクアレン(又はスクアラン)等の動物起源の炭化水素油;植物起源の炭化水素油、例えば、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えば、Stearineries Duboisにより市販されているものやDynamit NobelによりMiglyol 810、812及び818の商標で市販されているもの、又は植物由来の油、例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、キュウリ油、ブドウ種子油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アンズ油、マカダミアナッツ油、アララ油(arara oil)、コリアンダー油、ヒマシ油、アボカド油若しくはホホバ油又はシアバター油;合成油;シリコーン油、例えば、周囲温度で液体又はペーストである、線状又は環状シリコーン鎖を含む揮発性又は不揮発性のポリメチルシロキサン(PDMS);フッ素化油、例えば、一部が炭化水素及び/又はシリコーンであるもの、例えば、JP-A-2-295912に記載のもの;ジカプリリルエーテル(CTFA名)等のエーテル;C12〜C15脂肪アルコール安息香酸エステル(FinetexのFinsolv TN)等のエステル;安息香酸2-フェニルエチル(ISPのX-Tend 226)等の安息香酸アリールアルキル誘導体;N-ラウロイルサルコシンイソプロピル(味の素株式会社のEldew SL-205)等のアミド化油、並びにこれらの混合物を使用することができる。
油性相は、例えば、脂肪アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール)、脂肪酸(ステアリン酸)、又は蝋(パラフィン蝋、ポリエチレン蝋、カルナウバ蝋、蜜蝋)から選択される1種若しくは複数の脂肪物質も含んでよい。油性相は、親油性ゲル化剤、界面活性剤、又はここでも有機若しくは無機粒子を含んでよい。
油性相は、好ましくは、組成物の全質量に対して1〜70質量%の油であってもよい。
本発明による組成物は、例えば、親水性又は親油性のゲル化剤及び/又は増粘剤、界面活性剤、抗酸化剤、香料、保存剤、中和剤、日焼け止め剤、ビタミン、保湿剤、セルフタンニング化合物、皺抑制活性剤、緩和剤、親水性又は親油性活性剤、汚染及び/又はフリーラジカル除去剤、金属イオン封鎖剤、皮膜形成剤、皮膚収縮解消活性剤(dermo-decontracting active agent)、皮膚鎮静剤(soothing agent)、真皮又は表皮高分子の合成を刺激し、且つ/又はその分解を防止する薬剤、抗糖化剤(antiglycation agent)、刺激を除去する薬剤、落屑剤(desquamating agent)、色素沈着解消剤(depigmenting agent)、色素沈着抑制剤(antipigmenting agent)、色素沈着促進剤(propigmenting agent)、NO合成酵素阻害剤、線維芽細胞及び/若しくはケラチノサイトの増殖及び/又はケラチノサイトの分化を刺激する薬剤、微小循環に作用する薬剤、細胞のエネルギー代謝に作用する薬剤、治癒剤(healing agent)、並びにこれらの混合物から選択することができる少なくとも1種の従来の追加化粧料構成成分を更に含んでもよい。
本発明による組成物は、様々な形態、例えば、懸濁液、分散液、溶液、ゲル、水中油型(O/W)、油中水型(W/O)、及び多重(例えば、W/O/W、ポリオール/O/W、及びO/W/O)エマルジョン等のエマルジョン、クリーム、フォーム、スティック、小胞分散液、例えばイオン性及び/又は非イオン性脂質の分散液、二相及び多相ローション、スプレー、粉末、並びにペーストにすることができる。組成物は、水相又は水を含んでいてもよい。一方、組成物は無水でもよく、例えば、無水のペースト又はスティックにすることができる。組成物は、洗い流さない組成物にしてもよい。
一実施形態によれば、本発明による化粧料組成物は、油状固体化粧料組成物又は無水組成物等の粉末状組成物又は液体若しくは固体組成物の形態であってよい。
用語「無水組成物」は、1質量%未満の水、又は更には0.5質量%未満の水を含有し、とりわけ水を含まない組成物を意味するが、この水は、組成物の調製中に添加される水ではなく、混合される成分によってもたらされる残留水に相当する水である。
特に、本発明による粉末状の化粧料組成物は、本発明による複合顔料を含むことによって、摩擦を減らして滑らかな使用感が実現でき、物理的衝撃に対して高い安定性をもたらす良好なコンパクト性を有することができる。
更に、本発明による粉末状化粧料組成物は、本発明による複合顔料を含めることにより、皮膚への良好な適合性、均質な外観、皮膚の色の隠蔽、皮膚上の毛穴及び皺の隠蔽、皮膚上の毛穴及び皺を目立たないようにする、艶消し効果等の好ましい美容的効果を示すことができる。
一方、本発明による液体化粧料組成物は、本発明による複合顔料を含めることにより、艶消し効果及びヘイズ効果等の良好な視覚的な光学的効果を示すことができる。
いずれにしても、本発明による粉末状及び液体化粧料組成物は、より良好なUVフィルター効果、及び任意選択でより良好な着色効果を有する。
別の実施形態によれば、本発明による化粧料組成物は、例えば、コンパクトパウダー、ローション、セラム、乳液、クリーム、ベースファンデーション、化粧下地(undercoat)、メイクアップベースコート、ファンデーション、粉おしろい、頬紅、リップスティック、リップクリーム、アイシャドウ、アイライナー、ルースパウダー、コンシーラー、ネイルコート、マスカラ、日焼け止め剤等の形態にすることができる。
別の実施形態によれば、本発明による化粧料組成物は、フォームの形態であってもよい。
この実施形態によれば、本発明による化粧料組成物は、フォームディスペンサー中に詰めることができる。本組成物は、加圧された容器から噴射ガスによって分配され、このようにして分配される瞬間にフォームを形成する「エアゾール」と呼ばれる製品、又は分配用ヘッドに接続されたポンプ機構によって容器から分配される製品であって、化粧料組成物が分配用ヘッド中に通されることで、遅くとも当該ヘッドの出口開口部でフォームに転換する製品のいずれかを必要としてよい。
第1の変形形態によれば、ディスペンサーは、本発明による化粧料組成物及び噴射ガスを更に含有するエアゾールであってよい。本発明の目的では、「噴射剤」という用語は、20℃の温度及び大気圧でガス状であり、エアゾール容器中に液状又はガス状の形態にて圧力下で保管することができる任意の化合物を意味する。噴射剤は、任意選択でハロゲン化した揮発性炭化水素、例えば、n-ブタン、プロパン、イソブタン、ペンタン又はハロゲン化炭化水素、及びこれらの混合物から選択することができる。二酸化炭素、亜酸化窒素、ジメチルエーテル(DME)、窒素又は圧縮空気も、噴射剤として使用することができる。噴射剤の混合物も使用することができる。ジメチルエーテル及び/又は非ハロゲン化揮発性炭化水素が好ましくは使用される。
使用することができる噴射ガスは、先述のガスの内から、特に二酸化炭素、窒素、窒素酸化物、ジメチルエーテル、揮発性炭化水素、例えば、ブタン、イソブタン、プロパン及びペンタン等、並びにこれらの混合物の内から選択することができる。
別の変形形態によれば、本発明による化粧料組成物は、「ポンプボトル」タイプのフォームディスペンサーであってもよい。これらのディスペンサーは、化粧料組成物を送出するための分配用ヘッドと、ポンプと、製品を分配する目的で化粧料組成物を容器からヘッドの中に移動させるためのプランジャーチューブとを含む。フォームは、化粧料組成物を、多孔性物質を含む材料、例えば、焼結材料、プラスチック若しくは金属の濾過格子、又は類似の構造体に通過させることにより、形成される。
このようなディスペンサーは当業者に公知であり、以下の特許に記載されている:米国特許第3,709,437号(Wright)、米国特許第3,937,364号(Wright)、米国特許第4,022,351号(Wright)、米国特許第4,1147,306号(Bennett)、米国特許第4,184,615号(Wright)、米国特許第4,598,862号(Rice)、米国特許第4,615,467号(Groganら)、及び米国特許第5,364,031号(Tamiguchiら)。
当業者は、使用する構成要素の性質、例えば、構成要素の媒体への溶解性、及び組成物について構想される用途を考慮に入れながら、自身の一般知識に基づき、適切な提示形態並びにその調製方法を選択することができることを理解すべきである。
本発明を、実施例により、更に詳細に記載することとするが、この実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
(実施例1〜3及び比較例1)
日本の株式会社奈良機械製作所により市販されている、乾燥条件にあるチャンバー中に複数の刃を有する高速ローターを備えたハイブリダイザーを使用して、表1に示す成分をハイブリダイザープロセスにかけて、実施例1〜3による複合顔料を得た。
詳細には、実施例1〜3それぞれについて、表1に示す成分を、プラスチック製袋に入れて短時間手で振盪することにより、表1に示す混合比((表1)の数字は質量部による)で混合した。混合物をハイブリダイザーに投入し、ローターを6,400rpm(線速度80m/s)で3分間回転させて、実施例1〜3による複合顔料を得た。
Tinosorb-Mは、BASF社により水性分散液として市販されていたため、Tinosorb-Mを完全に乾燥して液体中の水分を蒸発させて、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールの粉末を得た。得られた粉末を上記のハイブリダイザープロセスに使用した。
比較例1として、韓国のソンジンケミカル株式会社により市販されているタルク/メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール/メチコン[Hybrid Talc(M)]を使用した。
[UV吸光度評価]
実施例1〜3及び比較例1による各複合顔料の紫外波の吸光度は、V-550型紫外可視分光光度計(日本分光株式会社、日本)を使用して以下の通りに測定した。
複合顔料の濃度が0.1質量%になるように、実施例1〜3及び比較例1による各複合顔料を、1質量%のTWEEN 20水溶液に添加した。
実施例1〜3及び比較例1による各複合顔料を、1分間超音波を使用することによって上記の溶媒中に分散又は溶解させて、サンプルを得た。まだ団粒が存在している場合、超音波処理を繰り返した。
得たサンプルを、2mmの光の経路を有する石英セルに入れた。波長280〜315nm(UV-B)及び315〜400nm(UV-A)のサンプルのUV吸光度を、V-550型紫外可視分光光度計(日本分光株式会社、日本)を使用して測定した。
UV-A吸光度及びUV-B吸光度を、上記の測定によって得られた吸収曲線からの整数値によって計算した。
結果を表1の「UV-A」及び「UV-B」の列に示す。高い数値ほど、高いUV保護を示す。
実施例1〜3と比較例1との比較から、実施例1〜3による複合顔料のUV-A及びUV-B吸光度が強化されており、一方で比較例1が水中で実質的なUV保護効果を一切示さないことは明らかである。
特に、比較的小さいコア粒子を使用する実施例1及び2において、UV-A吸光度の方がUV-B吸光度よりも強化されている。一方、比較的大きいコア粒子を使用する実施例3では、UV-B吸光度の方がUV-A吸光度よりも強化されている。
実施例1では比較的大量の有機UVフィルターを使用しているため、実施例1のUV-A及びUV-B吸光度の値は実施例2より高い。有機UVフィルター粒子は容易に凝集体を形成し、これにより良好なUV吸光度を示すことが難しくなるため、実施例1による複合顔料で、比較的大量の粉末状有機UVフィルター(乾燥Tinosorb-M)がより高いUV-A及びUV-B吸光度を出すことができるのを観察したのは驚きである。