図1は本発明による自動弁装置点検システムを備えた水噴霧設備の概略を示した説明図である。図1において、自動弁装置1はトンネル側壁のコンクリート枠体に対し枠抜きされたスペースに例えば50メートル間隔で設置されている。自動弁装置1の一次側には給水配管8が接続され、給水配管8には所定圧力範囲、例えば0.7MPa〜1.77MPaの範囲となる加圧水(加圧消火用水)が充填されている。
自動弁装置1の二次側にはヘッド配管3が設けられ、ヘッド配管3はコンクリート側壁に沿って立ち上がった後に長手方向に分岐され、このヘッド配管3に所定間隔で複数の水噴霧ヘッド4が接続されている。
自動弁装置1には端末ユニット2が設けられ、伝送路9を介してセンタ装置5に接続されている。端末ユニット2はセンタ装置5からの水噴霧起動コマンドを含む電文を受信して自動弁装置1を起動して水噴霧ヘッド4から散水し、起動後に、圧力センサで検出した放水圧力を含む電文をセンタ装置5に伝送し、センタ装置5側で自動弁装置1の動作を表示する。
また端末ユニット2はセンタ装置5からの遠隔的な点検操作に伴うテスト放水起動コマンドを含む電文を受信して自動弁装置1をテスト放水可能状態に動作した後に起動し、水噴霧ヘッド4から放水せずに排水側に加圧水を流すテスト放水を行い、テスト放水中に、自動弁装置1に設けた圧力センサで検出した放水圧力を含む電文をセンタ装置5に伝送し、センタ装置5側で自動弁装置1のテスト放水中の動作を表示する。
センタ装置5に対してはポンプ制御盤6と防災受信盤7が信号線接続されている。ポンプ制御盤6は、センタ装置5からの自動弁装置1の起動またはテスト放水に伴うポンプ起動信号を受けてポンプ設備を運転し、自動弁装置1へ通じる給水配管8に加圧水を供給する。
防災受信盤7は図示しないトンネル内に設置された火災検知装置からの火災信号を受信して火災警報を行うもので、火災警報に連動してセンタ装置5に火災信号を移報出力して、センタ装置5は火災発生地区に対応した自動弁装置1の遠隔起動を行わせる。なお、センタ装置5は防災受信盤7にその機能を組み込んで一体化しても良い。
図2は図1に設けた本発明による自動弁装置の実施形態を示した説明図である。図2において、自動弁装置1は開閉可能な弁体22を内部に有する自動弁10を備え、自動弁10は定常時は閉じており一次側には給水配管8が接続され、加圧水が充填されている。
自動弁10の二次側にはテスト用制水弁11が設けられ、その二次側に図1に示したようにヘッド配管3を介して複数の水噴霧ヘッド4を接続している。テスト用制水弁11は、定常時は全開としており、自動弁装置の点検時は閉鎖して水噴霧ヘッド4から実際に散水することなく、排水配管にテスト放水を行う。
ここで、自動弁10の圧力制御機構およびそのための制御機器を説明する。自動弁10の圧力制御機構14は、シリンダ室18内にピストン16を摺動自在に収納している。ピストン16は弁体22が連結しており、ピストン16の左側に備えたリターンスプリング20により弁閉方向に付勢して定常時は閉鎖している。自動弁10を開放するときは、ピストン16の右側のシリンダ室18に加圧水を供給することでリターンスプリング20に抗して弁体22を左側に移動することで開放する。
自動弁用圧力調整弁12は、自動弁10の二次側配管内の圧力を監視して、二次側圧力を所定圧力に維持するように自動弁10の弁体22の開度を制御する装置である。自動弁用圧力調整弁12は、4つポートを備えており、自動弁10の一次側と連通する一次側ポートP1、自動弁10の二次側と連通する二次側ポートP2とパイロットポートPL、自動弁のシリンダ室18に連通するシリンダポートCLを備える。自動弁10を閉じている定常時は、一次側ポートP1とシリンダポートCLが連通し、一次側ポートP1と二次側ポートP2の連通状態を閉鎖している。また、シリンダポートCLと二次側ポートP2は、他のポート同士が連通する時の水量と比較して極めて少ない量が流れるように連通している。自動弁用圧力調整弁12は二次側の加圧水をパイロットポートPLに取り込んで二次側圧力を監視している。
定常時から自動弁10を開放する水噴霧時の動作は、電動弁を用いたパイロット弁30をセンタ装置5からの遠隔起動による開操作で行われる。なお、パイロット弁30と並列に接続された手動起動弁32を手動操作で開放することもできる。パイロット弁30が開くと、一次側の加圧水が止め弁26、パイロット弁30、自動弁用圧力調整弁12(ポートP1より入力しポートCLから出力される)及びオリフィス28を介して自動弁10のシリンダ室18内のピストン16よりも右側の空間に供給され、ピストン16を左側にストロークして、弁体22を弁座からリフトして開放し、自動弁10の二次側に加圧水を供給し、水噴霧ヘッド4からトンネル内に散水させる。
ピストン16よりも右側のシリンダ室18内に加圧水が供給され続けると、自動弁10は全開方向に制御されるため、二次側の圧力値は一次側の圧力値に近付く。自動弁用圧力調整弁12のパイロットポートPLに入る加圧水は内部のダイアフラム室に入り、ダイアフラムの反対に設けたスプリングとの圧力比較により、二次側圧力が規定の圧力を超えるかを監視している。二次側の加圧水が上昇し、自動弁用圧力調整弁12のパイロットポートPLに入る二次側の圧力値が規定圧力より高くなった場合、自動弁用圧力調整弁12は一次側ポートP1とシリンダポートCLの間の流路を閉じると共に、シリンダポートCLと二次側ポートP2の連通量を定常時より多くする。
このためパイロット弁30から自動弁用圧力調整弁12を通って自動弁10のシリンダ室18に対する加圧水の供給が止まり、シリンダ室18の加圧水は自動弁用圧力調整弁12のシリンダポートCLを入り二次側ポートP2を通って二次側に排出することで圧力が下がり、リターンスプリング20によるピストン16の右側への戻りで弁体22の開度が小さくなる。これによって二次側圧力値が減少し、規定の圧力値に近づく。
二次側圧力値が規定の圧力値より小さくなると自動弁用圧力調整弁12の一次側ポートP1とシリンダポートCLが連通し、シリンダポートCLと二次側ポートP2の連通状態を定常時のように狭くする。これによってパイロット弁30を通る自動弁10の一次側加圧水がシリンダ室18に入り、自動弁10はふたたび開方向に動くことで弁体22の開度を大きくして二次側圧力を大きくする。このような自動弁用圧力調整弁12による自動弁10の開閉調整の繰り返しで二次側圧力を規定の圧力値に調整する。
水噴霧ヘッド4からの散水を停止したい場合にはパイロット弁30を遠隔的に閉制御する。パイロット弁30を閉じると自動弁10のリターンスプリング20により弁体22が閉止方向に移動し、シリンダ室18の加圧水が自動弁用圧力調整弁12のシリンダポートCLから入り、二次側圧力が低下していくことで定常状態になっている自動弁用圧力調整弁12のシリンダポートCLと二次側ポートP2の狭い連通状態を介して二次側に流れ、弁体22を緩やかに閉鎖する。なお、テスト放水時における自動弁10の起動動作及び停止動作も水噴霧時と同じになる。
次にテスト用制水弁11を説明する。テスト用制水弁11として本実施形態にあっては、全開時の流過面積が大きく圧力損失の少ないバタフライ弁を使用している。なお、全開時の流過面積が大きく圧力損失の少ない弁としては、バタフライ弁以外にボール弁があり、バタフライ弁に代えてボール弁を使用しても良い。
テスト用制水弁11には遠隔開閉操作を行うためにピストン・シリンダ機構を備えた水圧アクチュエータ34が設けられている。水圧アクチュエータ34の詳細は図3に示される。図3のシリンダ60の内部にピストン62を摺動自在に設け、ピストン62から外部に取り出したピストンロッド64の先端にガイドローラ66を設け、バタフライ弁体24の弁回転軸72に連結した回動レバー70の先端に設けたスライダ68をピストンロッド64のガイドローラ66に嵌め入れている。ここで、ピストンロッド64のガイドローラ66と回動レバー70のスライダ68の連結により、ピストン62の直線運動を弁回転軸72の回転運動に変換する変換機構が構成される。
シリンダ60はピストン62により弁開放時に加圧水が供給される第1シリンダ室61aと、弁閉鎖時に加圧水が供給される第2シリンダ室61bに分けられている。テスト用制水弁11を開操作する場合は、矢印Aで示すように第1シリンダ室61aに加圧水を供給すると同時に第2シリンダ室61bを点線の矢印aで示すように排水側に連通する。
このため第1シリンダ室61aに供給された加圧水によりピストン62は第2シリンダ室61bの水を排水しながら上方にストロークし、ピストンロッド64のガイドローラ66と回動レバー70のスライダ68の連結による変換機構を介して直線運動を弁回転軸72の左回転運動に変換し、バタフライ弁体24を開操作する。
テスト用制水弁11を閉操作する場合は、逆に第2シリンダ室61bに矢印Bに示すように加圧水を供給すると同時に第1シリンダ室61aを点線の矢印bで示すように排水側に連通する。
このため第2シリンダ室61bに供給された加圧水によりピストン62は第1シリンダ室61aの水を排水しながら下方にストロークし、ピストンロッド64のガイドローラ66と回動レバー70のスライダ68の連結による変換機構を介して直線運動を弁回転軸72の右回転運動に変換し、バタフライ弁体24を閉操作する。この開閉操作に伴う弁回転軸72の回転角は概ね90度となる。
なお、水圧アクチュエータは図3に限定されず、適宜のピストン・シリンダ機構を用いることができる。
再び図2を参照するに、テスト用制水弁11に設けた水圧アクチュエータ34にはリミットスイッチ25が設けられ、バタフライ弁体の全開位置及び全閉位置を検知し、全開検知信号または全閉検知信号を出力する。具体的には、図3に示したピストンロッド64又は回動レバー70などの全開位置でオンするリミットスイッチと、全閉位置でオンするリミットスイッチを設ける。
テスト用制水弁11に設けた水圧アクチュエータ34を駆動制御する機器として、本実施形態にあっては、水圧アクチュエータ用圧力調整弁36、点検弁40およびテスト放水弁42を設けている。なお、テスト放水弁42は、本来、自動弁10のテスト放水における排水側への経路を形成するものであるが、水圧アクチュエータ34を開閉操作する際の排水側への経路切り替えにも利用している。
水圧アクチュエータ用圧力調整弁36は自動弁10に対する給水配管8からの加圧水を止め弁26を介して導入し、導入圧より低い所定圧に調整した加圧水を点検弁40のポートaに供給している。なお、このとき水圧アクチュエータ34のピストン62の移動速度を制御するために、点検弁40の一次側或いは二次側にオリフィス38若しくはニードル弁を設けてもよい。
ここで、一次側加圧水は例えば0.70MPa〜1.77MPaの比較的高い圧力範囲をもつが、このような高い水圧を水圧アクチュエータ34に加えると、例えば許容最大圧(耐圧)を例えば2.66MPaとする堅牢な構造を必要とし、水圧アクチュエータ34が大型化してコストアップになる。
これに対し本実施形態にあっては、水圧アクチュエータ用圧力調整弁36が調整する設定圧を一次側加圧水の圧力範囲より低い例えば0.50MPaに設定しており、このため水圧駆動する水圧アクチュエータ34の許容最大圧(耐圧)を例えば1.05MPaと半減でき、その分、水圧アクチュエータ34の強度を低下することができ、小型軽量化によりコストダウンすることができる。
なお、水圧アクチュエータ用圧力調整弁36は、その二次側の水圧アクチュエータ34のいずれか一方のシリンダ室に加圧水を充填すると、水圧アクチュエータ用圧力調整弁36の二次側圧力が所定圧力よりも高くなったことを検知して水圧アクチュエータ用圧力調整弁36内部に設けた弁体を閉鎖する。この水圧アクチュエータ用圧力調整弁36の閉鎖により、充填した側のシリンダ室に加圧水を継続して充填することで、テスト用制水弁11の開閉状態を保持する。
点検弁40は遠隔操作可能な電動式の三方切替弁を使用している。定常時、テスト用制水弁11は全開状態に保たれることから、点検弁40はポートaをポートbに連通する定常位置、即ち、水圧アクチュエータ用圧力調整弁36で調整した加圧水を水圧アクチュエータ34に供給して開操作する定常位置に切替えている。この定常位置は図3の水圧アクチュエータ34の場合、シリンダ室61aに加圧水を供給してピストン62を上方にストロークさせる開位置となる。
またテスト放水時、テスト用制水弁11は水噴霧ヘッドからの実放水を阻止するために全閉状態に保たれることから、点検弁40はポートbを切り離し、ポートaをポートcに連通する点検位置、即ち、水圧アクチュエータ用圧力調整弁36で調整した加圧水を水圧アクチュエータ34に供給して閉操作する点検位置に切替えている。この点検位置は図3の水圧アクチュエータ34の場合、シリンダ室61bに加圧水を供給してピストン62を下方にストロークさせる閉位置となる。
テスト放水弁42は遠隔操作可能な電動式の三方切替弁を使用している。定常時、自動弁10の弁体22は閉状態に保たれ、同時にテスト用制水弁11は開状態に保たれており、テスト用制水弁11に設けた水圧アクチュエータ34のシリンダ室の一方を排水側に連通させる必要があることから、テスト放水弁42はポートbをポートaに連通する定常位置、即ち水圧アクチュエータ34を開操作するための排水側に連通する定常位置に切り替わっている。このテスト放水弁42の定常位置は、図3の水圧アクチュエータ34の場合、シリンダ室61bの水を排水してピストン62を上方にストロークさせて全開状態を保持する切替位置となる。
またテスト放水時には、テスト用制水弁11は水噴霧ヘッドからの実放水を阻止するために閉操作され、続いて自動弁10の起動により調圧された二次側加圧水を排水側に流すテスト放水を行う。このテスト放水のため自動弁10の二次側からテスト放水配管55が引き出され、逆止弁50を介してテスト放水弁42のポートcに接続している。
このためテスト放水時、テスト放水弁42はポートcをポートaに連通する点検位置に切り替わっている。テスト放水弁42の点検位置は、テスト用制水弁11を閉鎖するために水圧アクチュエータ34を閉操作した場合の排水経路を形成する。
即ち、水圧アクチュエータ34の閉操作で流出された水を逆止弁52を介してテスト放水弁42のポートcに加え、点検位置への切り替えで連通しているポートaを介して排水側に流す。図3の水圧アクチュエータ34の場合、閉操作の際にはシリンダ室61aの水をテスト放水弁42を介して排水してピストン62を下方にストロークさせて閉操作を行う。
またテスト用制水弁11の閉操作が完了すると、後の説明で明らかにするように、パイロット弁30を遠隔的に開操作することにより、自動弁10の開制御が行われ、このときテスト放水弁42はポートcをポートaに連通する点検位置に切り替わってテスト放水経路を形成しており、自動弁10の二次側に調圧供給された二次側加圧水は、テスト放水配管55、逆止弁50及びテスト放水弁42を介して排水側に流れるテスト放水が行われる。
なお、逆止弁52は自動弁10のテスト放水による二次側加圧水が閉操作を保持している水圧アクチュエータ34に回り込まないようにし、また逆止弁50は水圧アクチュエータ34からの排水が自動弁10の二次側に回り込まないようしている。
また、自動弁10の二次側から引き出したテスト放水配管55に対して自動排水弁54を設けている。自動排水弁54は自動弁11が閉鎖している定常時の圧力がない状態で開放し、テスト放水あるいは実火災時の放水による自動弁10から二次側加圧水が出力されると閉鎖し、テスト放水や実火災時放水が停止されたあとのヘッド配管3内の水を排水するために設けられている。
自動弁10の二次側から引き出したテスト放水配管55に対しては圧力センサ44が設けられている。パイロット弁30の開放に伴う自動弁10の開放により、水噴霧ヘッドから消火用水が散水されたとき、二次側の放水圧力が圧力センサ44に導入され、圧力センサ44は水噴霧ヘッドからの放水圧力を検出し、端末ユニット2を介して図1のセンタ装置5に放水圧力の検出情報を含む電文を送信する。これを受けてセンタ装置5にあっては、圧力センサ44で検出した放水圧力に基づき放水動作確認表示を行うことになる。
図4は図1の実施形態について遠隔的な点検操作により自動弁装置をテスト放水動作に切替えた状態を示している。テスト放水時には、まず点検弁40がポートaをポートcに連通する点検位置に切替えられ、またテスト放水弁42もポートcをポートaに連通する点検位置に切替えられる。
このため水圧アクチュエータ用圧力調整弁36で一次側圧力に対し低い設定圧に調整された加圧水は、点検弁40から水圧アクチュエータ34を閉操作するシリンダ室側、図3の第2シリンダ室61bに矢印Bに示すように供給される。同時に、第1シリンダ室61aは点線の矢印bに示すように、テスト放水弁42を介して排水側に連通し、第1シリンダ室61aの水は排水側に流れ出す。これによってピストン62は下方にストロークし、ピストンロッド64、ガイドローラ66及び回動レバー70を介して弁回転軸72を時計回りに回動し、バタフライ弁体24を閉鎖位置に回動し、テスト用制水弁11が閉鎖する。
テスト用制水弁11の閉鎖が完了してリミットスイッチ25により全閉を検知すると、パイロット弁30に開制御信号が与えられて開動作し、自動弁用圧力調整弁12と自動弁10の圧力制御機構14の動作を通じて弁体22が開放されると同時に二次側圧力を所定の設定圧に調整する圧力調整制御が行われ、自動弁10の二次側に供給された加圧水は、テスト放水配管55、逆止弁50及びテスト放水弁42を通って排水側に流れ、水噴霧ヘッドから噴霧することなくテスト放水を行うことができる。このテスト放水時のテスト放水配管55内の圧力を圧力センサ44で測定することで放水圧力が正しいか点検することができる。
図5は図1のセンタ装置と自動弁装置に設けた端末ユニットの詳細を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能のそれぞれの一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。
図5において、自動弁装置側の端末ユニット2には端末伝送部86と端末処理部84が設けられ、端末処理部84に対しては制御負荷としてパイロット弁30、点検弁40及びテスト放水弁42が設けられ、またセンサとしてテスト用制水弁のリミットスイッチ(全開検出リミットスイッチと全閉検出リミットスイッチを含む)25、圧力センサ44及び圧力スイッチ48が設けられている。端末処理部84にはコンピュータのCPUによるプログラムの実行で実現される機能として、水噴霧制御部88及びテスト放水制御部90が設けられている。
一方、センタ装置5にはセンタ伝送部92とセンタ処理部94が設けられ、センタ処理部94に対しては表示部100、操作部102、警報部104、更に記憶部106が接続されている。表示部100は例えば操作部102を兼ねたタッチパネル付きの液晶表示パネルで構成される。
センタ処理部94にはコンピュータのCPUによるプログラムの実行で実現される機能として、水噴霧指示部95、自動弁装置点検指示部96、テスト用制水弁点検指示部97及び点検管理部98を設けている。
ここで、自動弁装置点検指示部96、テスト用制水弁点検指示部97は自動点検を行い、この自動点検には、例えば順次点検、並列点検、個別点検などがあり、自動点検開始操作を行うと、所定の点検手順に従って制御コマンドを含む電文を送信して自動弁装置のテスト放水またはテスト用制水弁の開閉テストを自動的に行わせる。
また本実施形態の点検システムにあっては、自動弁装置の手動点検も可能であり、手動手点検にあっては、所定の点検手順に従って例えば点検画面に表示された操作部位を点検員が操作して遠隔点検を行うが、この機能は省略している。
センタ処理部94に設けた水噴霧指示部95は、防災受信盤7から火災移報信号を受けて表示部100に火災地区表示を行い、且つ警報部104から火災警報を出した際に、火災警報内容を確認した担当員が、操作部102により火災発報地区に対応した自動弁装置を指定した自動弁起動操作を行うことで水噴霧起動コマンドを含む電文を作成し、この電文をセンタ伝送部92から伝送路9により自動弁装置側の端末ユニット2に伝送する。
センタ伝送部92からの電文には伝送先を示す端末アドレスと制御内容を示す制御コマンドが含まれており、端末伝送部86は受信電文から取得したアドレスが自己アドレスに一致することを検知した場合に有効な電文として電文内容を解析し(以下「有効受信」という)、例えば水噴霧起動コマンドであった場合には、水噴霧制御部88によりパイロット弁30に開制御信号を出力して開動作することで自動弁の開制御を行わせ、水噴霧ヘッドから散水させる。
自動弁の開放後に火災が鎮火して放水を停止する際にも、操作部102による自動弁停止操作に基づき、水噴霧指示部95は放水停止コマンドを含む電文を生成してセンタ伝送部92から伝送し、この電文を端末伝送部86で有効受信した場合、水噴霧制御部88によりパイロット弁30に閉制御信号を出力して自動弁10を閉動作することで水噴霧ヘッドからの散水を停止させる。
センタ処理部94に設けた自動弁装置点検指示部96は、点検員が表示部100のメニュー画面から自動点検のメニューを選択し且つ最初に行う自動弁装置を選択した場合、自動点検を開始するための点検画面が表示され、この点検画面の点検開始ボタンを操作すると、自動点検を開始する。表示部100の点検画面には点検対象とする自動弁装置の系統図を表示すると共に自動弁装置の点検に必要な操作部位として例えば点検開始ボタン、点検中止ボタン等を表示する。
また自動弁装置点検指示部96は、点検中にあっては、自動弁装置に対する制御コマンドを含む電文の送信や、自動弁装置の検知データを含む電文の受信に基づき自動弁装置の動作状態の変化を検知し、これを表示部100の点検画面に反映表示する。
自動弁装置点検指示部96は、自動弁装置を点検する場合、まずテスト放水弁42を定常位置から点検位置へ切替える切替制御コマンドを含む電文を端末ユニット2に送信し、テスト放水弁42を点検位置に切替え、テスト用制水弁11の水圧アクチュエータ34の第1シリンダ室を排水側に連通する。
続いて自動弁装置点検指示部96は、点検弁40を定常位置から点検位置へ切替える切替制御コマンドを含む電文を端末ユニット2に送信し、点検弁40を点検位置に切替え、テスト用制水弁11の水圧アクチュエータ34の第2シリンダ室に一次側からの加圧水を供給する。
これによって水圧アクチュエータ34はピストンを閉鎖側にストロークし、テスト用制水弁11を閉駆動する。テスト用制水弁11が全閉になるとリミットスイッチ25により検知された全閉検知データを含む電文が有効受信される。このテスト用制水弁11の全閉状態は点検画面に反映表示される。
自動弁装置点検指示部96は、テスト用制水弁11の全閉を検知すると、パイロット弁30の開制御コマンドを含む電文を端末ユニット2に送信し、パイロット弁30の開制御を指示する。これにより自動弁装置のパイロット弁30が開き、自動弁用圧力調整弁12により自動弁10の調圧開動作が行われ、自動弁10の二次側から排水側に加圧水を流すテスト放水を実行する。
テスト放水の実行は、圧力スイッチ48のオンデータを含む電文を有効受信して解析することで検知され、続いて圧力センサ44の圧力検知データを含む電文を有効受信して解析することで放水圧力値を取得し、所定の圧力範囲にあれば、動作性能は正常として点検管理部98は点検履歴に点検年月日時刻、放水圧力、正常か異常かの点検結果を記憶する。
続いて自動弁装置点検指示部96は、点検終了のため、パイロット弁30の閉制御、点検弁40の定常位置への切替制御、及びテスト放水弁42の定常位置への切替制御の各制御コマンドを含む電文を端末ユニット2に送信し、点検前の定常状態に復旧させて一連の点検を終了する。
センタ処理部94に設けたテスト用制水弁点検指示部97は、点検員が表示部100のメニュー画面からテスト用制水弁点検のメニューを選択し且つ最初に行う自動弁装置を選択した場合、テスト用制水弁11の自動点検を開始するための点検画面が表示され、この点検画面の点検開始ボタンを操作すると、テスト用制水弁11の自動点検を開始する。表示部100の点検画面には点検対象とする自動弁装置の系統図を表示すると共に自動弁装置の点検に必要な操作部位として例えば点検開始ボタン、点検中止ボタン等を表示する。
またテスト用制水弁点検指示部97は、点検中にあっては、自動弁装置に対する制御コマンドを含む電文の送信や、自動弁装置における検知データを含む電文の受信に基づき自動弁装置の動作状態の変化を検知し、これを表示部100の点検画面を反映表示する。
テスト用制水弁点検指示部97は、テスト用制水弁11を点検する場合、まずテスト放水弁42を定常位置から点検位置へ切替える切替制御コマンドを含む電文を端末ユニット2に送信し、テスト放水弁42を点検位置に切替え、テスト用制水弁11の水圧アクチュエータ34の第1シリンダ室を排水側に連通する。
続いてテスト用制水弁点検指示部97は、点検弁40を定常位置から点検位置へ切替える切替制御コマンドを含む電文を端末ユニット2に送信し、点検弁40を点検位置に切替え、テスト用制水弁11の水圧アクチュエータ34の第2シリンダ室に一次側からの加圧水を供給する。
これによって水圧アクチュエータ34はピストンを閉鎖側にストロークし、テスト用制水弁11が閉駆動される。テスト用制水弁11が全閉になるとリミットスイッチ25により検知された全閉検知データを含む電文を有効受信し、これを解析して全閉を検知する。また水圧アクチュエータ34のシリンダ室からピストンのストロークにより水が排水されるが、その量は極く僅かであり、水源の水量に影響を及ぼすことはない。
テスト用制水弁点検指示部97は、テスト用制水弁11の全閉を検知すると、テスト用制水弁11は正常に動作したと判断し、点検履歴に点検年月日時刻、正常の点検結果を記憶する。一方、テスト用制水弁点検指示部97は、所定時間を経過してもテスト用制水弁11の全閉が検知できない場合は、テスト用制水弁11は異常と判断し、点検履歴に点検年月日時刻、異常の点検結果を記憶する。
続いてテスト用制水弁点検指示部97は、点検終了のため、点検弁40の定常位置への切替制御、及びテスト放水弁42の定常位置への切替制御の各制御コマンドを含む電文を端末ユニット2に送信し、テスト用制水弁11を点検前の全開状態に復旧させて一連の点検を終了する。
センタ処理部94に設けた点検管理部98は、自動弁装置点検指示部96の第1点検周期T1を設定すると共に、テスト用制水弁点検指示部97の点検周期として第1点検周期T1より短い第2点検周期T2を設定し、第1点検周期T1及び第2点検周期T2に到達する毎に、それぞれの点検周期到来を表示部100に表示して担当員に報知する。自動弁装置点検指示部96の第1点検周期T1は例えば1年を設定し、テスト用制水弁点検指示部97の第2点検周期T2はそれより短い例えば3ケ月を設定する。
なお、点検管理部98の機能として点検周期到来を報知すると共に、点検周期到来の検知に基づき自動弁装置点検指示部96またはテスト用制水弁点検指示部97を起動して自動的に点検を行うようにしても良い。
図6は図5のセンタ装置の自動弁装置点検指示部96により自動点検を開始する場合に表示する点検画面を示した説明図である。図6において、点検画面110Aは、タッチパネル付画面で構成され、上部左側に点検対象とする自動弁番号を示した画面タイトル112を表示し、その右側にメッセージ表示部114を表示し、中央に自動弁10を含む関連の配管系統図116を表示し、更に下部に遠隔制御する制御機器表示部118を表示し、更にその下に自動点検の開始を指示する点検開始ボタン120、自動点検の中止を指示する点検中止ボタン122、点検履歴の読み出し表示を指示する点検履歴ボタン124及びメニュー画面切替ボタン126を表示している。
点検履歴ボタン124を操作すると、画面上には該当する自動弁装置のみ、もしくは全ての自動弁装置の点検履歴が時系列に一覧表示される。本実施形態の場合は、自動弁装置点検指示部96とテスト用制水弁点検指示部97を行った各点検の履歴を区別して表示することができる。
点検を開始する際に表示する点検画面110Aのメッセージ表示部114には例えば「自動点検を開始する準備ができました」と表示し、また配管系統図116は図2に示した自動弁装置の実施形態に対応しており、配管系統図116には該当する機器の近傍に、自動弁、テスト用制水弁、テスト放水弁、点検弁、パイロット弁、圧力センサといった機器名称が表示されている。
点検を開始する場合、自動弁装置は通常監視状態にあることから、配管系統図116のテスト放水弁と点検弁は定常位置にあり、それぞれ矢印によって切替えによる連通方向を示している。またテスト放水弁と点検弁の定常位置への切替えに伴い、一次側の加圧水が充填している状態をグレー(灰色)で示すように所定の表示色を使用して表示し、動作状態が分かるようにしている。
加圧水の充填されていない配管は、充填部分とは別の表示色で表示される。また、テスト放水弁と点検弁は定常位置にあるためにテスト用制水弁の近傍に「全開」を表示し、更に、圧力スイッチの動作状態として「OFF」を表示している。圧力センサ44の計測値を該当する圧力センサの位置付近に表示することもできる。
制御機器表示部118には自動点検のために制御する機器として、テスト放水弁、点検弁及びパイロット弁の各名称が制御順を示す丸付き番号を付して表示され、この丸付き番号は系統図116にも示され、制御対象機器と系統図116の対応を見やすくしている。
この点検画面110Aにおいて、点検員は自動点検を開始するため点検開始ボタン120を操作する。
図5の自動弁装置点検指示部96は、操作画面110Aにおける点検開始ボタン120の操作を検知した場合、テスト放水弁42及び点検弁40を定常位置から点検位置に切替える切替制御コマンドを含む電文を作成し、この電文をセンタ伝送部92から伝送路9により自動弁装置側の端末ユニット2に伝送する。また図1に示したポンプ制御盤6にポンプ起動信号を送信してポンプ運転を開始させ給水配管8に消火用水を加圧供給させる。
端末ユニット2の端末伝送部86はセンタ装置5からの電文を有効受信して端末処理部84のテスト放水制御部90に出力し、テスト放水制御部90は電文内容を解析してテスト放水弁42の点検切替コマンドであった場合には、テスト放水弁42に切替制御信号を出力して点検位置に切替え、テスト用制水弁11の水圧アクチュエータ34の第1シリンダ室61a側を排水側に連通する。また点検弁40の点検切替コマンドであった場合には、テスト放水制御部90は点検弁40に切替制御信号を出力して点検位置に切替え、一次側圧力水をテスト用制水弁11の水圧アクチュエータ34の第2シリンダ室61b側に供給する。
これによってテスト用制水弁11は水圧アクチュエータ34により全閉位置へ駆動され、全閉位置に達するとリミットスイッチ25がこれを検知してテスト放水制御部90に読み込まれ、全閉検知データを含む応答電文をセンタ装置5に送信する。ここで、水圧アクチュエータ34に全開でオンする全開リミットスイッチと全閉でオンする全閉リミットスイッチを設けている場合、テスト用制水弁11の全閉検知データは、全開リミットスイッチのオフと全閉リミットスイッチのオンを示すデータとなる。
また自動弁装置点検指示部96は点検開始ボタン120の操作を検知した場合、図6の最初の操作画面110Aを図7に示す次の操作画面110Bに切り替える。図7の点検画面110Bにあっては、メッセージ表示部114に例えば「テスト用制水弁が閉じる事を確認しています」を表示し、図6の点検開始ボタン120は図7では「自動点検中」を表示した表示枠128に切り替わり、更に、系統図116におけるテスト放水弁と点検弁の近傍の連通方向を示す矢印の表示を切替え、併せてグレー(灰色)で示す一次側加圧水の充填状態を示す表示に切替える。
また自動弁装置点検指示部96は端末ユニット2からの電文を有効受信して解析することにより、テスト用制水弁11の全閉検知データを検知した場合、配管系統図116におけるテスト用制水弁の状態表示を図6の「全開」から図7の「全閉」に変更する。
自動弁装置点検指示部96は、テスト用制水弁11の全閉を検知した場合、パイロット弁開制御コマンドを含む電文を作成し、この電文をセンタ伝送部92から伝送路9により自動弁装置側の端末ユニット2に送信する。
端末ユニット2の端末伝送部86はセンタ装置5からの電文を有効受信してテスト放水制御部90に出力し、テスト放水制御部90が受信電文を解析してパイロット弁開制御コマンドを検知した場合、パイロット弁30に開制御信号を出力して開位置に切替え、自動弁用圧力調整弁12に自動弁10の調圧開動作を行わせ、自動弁10の二次側加圧水をテスト放水配管55および点検位置に切替えているテスト放水弁42を介して排水側に流すテスト放水を実行させる。
テスト放水が実行されると、圧力スイッチ48に自動弁10の二次側圧力が導入されてオンし、これをテスト放水制御部90が読み込み、圧力スイッチオンデータを含む電文をセンタ装置5に送信する。
自動弁装置点検指示部96は端末ユニット2からの電文を有効受信して解析し、圧力スイッチオンデータを検知すると、図7の点検画面110Bを図8の点検画面110Cに切替える。
図8の点検画面110Cにあっては、メッセージ表示部114に例えば「圧力が設定範囲にある事を確認しています」を表示する。また配管系統図116については、パイロット弁の開制御による自動弁を調圧開制御により、自動弁の2次側からテスト放水弁を経由して排水側に加圧水が流れていることから、この状態をグレー(灰色)で示すように表示する。また自動弁装置に設けている圧力スイッチのオンを検知した場合、配管系統図116の圧力スイッチにつき、それまでの「OFF」を「ON」の表示に切替える。
またテスト放水中にあっては、圧力センサ44に自動弁10の二次側圧力が導入されており、圧力センサ44で検知された二次側圧力値である圧力検知信号がテスト放水制御部90で読み込まれ、二次側検知圧力データを含む電文をセンタ装置5に送信する。
センタ装置5の自動弁装置点検指示部96は、端末ユニットからの電文を有効受信して解析し、これにより2次側圧力データを検知し、所定の設定圧力範囲にあるか否か判別する。2次側圧力が設定圧力範囲にあれば正常、外れていれば異常と判別し、点検履歴として点検年月日時刻、2次側圧力及び点検結果を記憶する。点検結果は、正常の場合は例えば「自動点検正常終了」を記憶し、異常の場合は例えば「圧力センサ異常」を記憶する。
自動弁装置点検指示部96はテスト放水圧力の判定と点検履歴の作成処理が済むと、復旧処理を行う。復旧処理は、パイロット弁30の閉制御指示、点検弁40の定常位置への切替指示、及びテスト用放水弁42の定常位置への切替指示を各制御コマンドを含む電文の送信で行う。これにより自動弁11を閉制御し、続いて点検弁40とテスト放水弁42を定常位置へ切替えて水圧アクチュエータ34の開方向への駆動によりテスト用制水弁11を開駆動し、全開検知で定常監視状態に戻り、一連の自動点検が終了する。この場合、点検画面は図6の点検開始前の点検画面110に戻り、タイトル表示部112が次の自動弁装置の番号表示、例えば「No.3 自動弁」に切り替わり、次の自動弁装置の自動点検を行うことになる。
一方、図5のセンタ装置5におけるテスト用制水弁点検指示部97によるテスト用制水弁11の自動点検については、自動弁装置点検指示部96によるテスト用制水弁11を閉制御するまでと同じ処理であり、点検を開始する場合には、図6の点検画面110Aを表示し、点検画面110Aの点検開始ボタン120を操作すると、テスト用放水弁42及び点検弁40に対する定常位置から点検位置への切替え指示を行い、これによってテスト用制水弁11を全閉し、この場合、図6の点検画面は図7の点検画面に切り替わる。
テスト用制水弁点検指示部97はテスト用制水弁11の全閉を検知すると、点検履歴として点検年月日時刻及びテスト用制水弁の点検結果として「テスト用制水弁点検正常終了」を記憶する。一方、テスト用放水弁42及び点検弁40の点検位置への切替え指示から所定時間を経過してもテスト用制水弁11の全閉が検知されない場合は、テスト用制水弁11が固着などの異常を起こしていると判断し、点検履歴として点検年月日時刻及びテスト用制水弁の点検結果として「テスト用制水弁点検異常終了」を記憶する。
自動弁装置点検指示部96はテスト用制水弁11の点検履歴の作成処理が済むと、復旧処理を行う。復旧処理は、点検弁40の定常位置への切替指示、及びテスト用放水弁42の定常位置への制御指示を各制御コマンドを含む電文の送信で行う。これにより点検弁40とテスト放水弁42を定常位置へ切替えて水圧アクチュエータ34の開方向への駆動によりテスト用制水弁11を開駆動し、全開検知で定常監視状態に戻り、一連の自動点検が終了する。この場合、点検画面は図6の点検開始前の点検画面110に戻り、タイトル表示部112が次の自動弁装置の番号表示、例えば「No.3 自動弁」に切り替わり、次のテスト用制水弁の自動点検を行うことになる。
図9は図4のセンタ装置による点検処理の概略を示したフローチャートである。
図9において、センタ装置5を電源投入により起動すると、ステップS1で初期化及び自己診断を行い、エラーがなければステップS2に進み、点検管理部98により自動弁装置の点検周期T1とテスト用制水弁11の点検周期T2を設定する。この点検周期の設定は、例えば自動弁装置の点検周期T1=1年、テスト用制水弁11の点検周期T2=3ケ月とする。続いてステップS3で自動弁装置の初回点検日時を設定する。
続いてステップS4で初回の自動弁装置の点検日時への到達を検知すると、ステップS5に進み、自動弁装置点検処理を行う。この自動弁装置点検処理において、点検管理部98は点検日時の到来を表示部100のメッセージ表示などにより報知し、自動弁装置点検指示部96に開始信号を出力して処理を起動させる。ステップS5の自動弁装置点検処理の詳細は図10のフローチャートに示す。
初回の自動弁装置点検処理が済むとステップS6に進み、テスト用制水弁の点検周期T2の到達を検知するとステップS7に進み、テスト用制水弁点検処理を行う。このテスト用制水弁点検処理において、点検管理部98は点検日時の到来を表示部100のメッセージ表示などにより報知し、テスト用制水弁点検指示部97に開始信号を出力して処理を起動させる。ステップS7のテスト用制水弁点検処理の詳細は図11のフローチャートに示す。
ステップS6でテスト用制水弁の点検周期到達が検知されない場合はステップS8に進み、2回目以降について自動弁装置の点検周期T2の到達を検知すると、ステップS5に戻り、初回と同様に、自動弁装置点検処理を行う。
このような点検管理により、自動弁装置については年1回の点検を行い、テスト用制水弁についてはその間の3ケ月置きに次の自動弁装置を点検するまでの間に3回の点検を行い、テスト用制水弁を長期間にわたり全開状態に保持していることによる固着などの異常を未然に防止できる。
図10は図9のステップS5による自動弁装置点検処理の概略を示したフローチャートであり、図5のセンタ装置5に設けた自動弁装置点検指示部96による処理となる。
図10において、自動弁装置点検処理は、まずステップS11で図6に示した自動点検を行うための点検画面110Aを表示し、ステップS12で点検画面110Aにおける点検開始ボタン120の操作を検知するとステップS13に進み、テスト放水弁42の点検位置への切替制御を指示し、点検画面に動作状態を反映表示する。
続いてステップS14で点検弁40の点検位置への切替制御を指示し、点検画面に動作状態を反映表示する。
続いてステップS15でポンプ制御盤6にポンプ運転信号を送信してポンプ運転を開始させる。なお、二台目以降の点検についてはポンプ運転は継続していることから、ステップS15の処理は行わなくてよい。
続いてステップS16で端末ユニット2からの電文を有効受信して解析し、テスト用制水弁11に設けたリミットスイッチ25による全閉を検知するとステップS17に進み、図7の点検画面110Bに示したように、テスト用制水弁11の状態を「全開」から「全閉」に切替表示する。
続いてステップS18でパイロット弁30開制御を指示し、これにより自動弁10を調圧開制御して排水側に加圧水を流すテスト放水を実行し、点検画面の系統図に動作状態を反映表示する。
続いてステップS19で端末ユニット2からの電文を有効受信して解析し、圧力スイッチ48のオンを検知するとステップS20に進み、図8の点検画面110Cに切替て圧力計測中を表示する。
続いてステップS21で端末ユニット2からの電文を有効受信して解析し、圧力センサ44で検出された放水圧力を検知するとステップS22に進み、検知した放水圧力が設定圧力範囲にあれば正常、範囲外であれば異常と判断し、点検年月日日時、放水圧力及び点検結果を点検履歴として記憶する。
続いてステップS23で復旧処理としてパイロット弁30の閉制御指示、点検弁40の定常位置切替指示、及びテスト放水弁42の定常位置切替指示を行って自動弁装置を定常監視状態に復旧する。
一方、ステップS16でテスト用制水弁の全閉が所定時間を経過しても検知されない場合はステップS24でタイムアウトが検知され、ステップS25で点検年月日日時とテスト用制水弁の異常を点検履歴として記憶し、ステップS26で復旧処理として点検弁40の定常位置切替指示とテスト放水弁42の定常位置切替指示を行って自動点検を終了する。
図11は図9のステップS7によるテスト用制水弁点検処理の概略を示したフローチャートであり、図5のセンタ装置5に設けたテスト用制水弁点検指示部97による処理となる。
図11において、ステップS31〜S35のテスト用制水弁点検処理は、図10に示した自動弁装置点検処理におけるステップS11〜S15の処理と同じであり、テスト放水弁42の点検位置切替指示、点検弁40の点検位置切替指示、及びポンプ起動指示を行う。
ステップS36にあっては端末ユニット2からの電文を有効受信して解析し、テスト用制水弁11に設けたリミットスイッチ25による全閉を検知するとステップS37に進み、図7の点検画面110Bに示したように、テスト用制水弁11の状態を「全開」から「全閉」に切替表示する。続いてステップS38でテスト用制水弁11は正常と判断し、点検年月日日時及び点検結果を点検履歴として記憶する。
続いてステップS39で復旧処理として点検弁40の定常位置切替指示、及びテスト放水弁42の定常位置切替指示を行ってテスト用制水弁11を開制御し、全開の検知で定常監視状態への復旧を確認し、自動点検を終了する。
一方、ステップS36でテスト用制水弁の全閉が所定時間を経過しても検知されない場合はステップS40でタイムアウトが検知され、ステップS38で点検年月日時刻と点検結果となるテスト用制水弁の異常を点検履歴として記憶し、ステップS39で復旧処理として点検弁40の定常位置切替指示とテスト放水弁42の定常位置切替指示を行って自動点検を終了する。
なお、上記の実施形態における点検画面は一例であり、自動点検を行う自動弁装置の系統図、操作部、点検メッセージなどを連携表示するものであれば、適宜の点検画面とすることができる。
また、上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入することができる。
またテスト時の自動弁二次側からの加圧水の排水と、テスト用制水弁11を閉止する際の水圧アクチュエータ34の第1シリンダ室61aの排水は、混合してからテスト放水弁42のポートcに入力して排水しているが、これに限らず、混合せずに、複数のテスト放水弁を使用してそれぞれ独立して排水する構成としても良い。テスト放水弁42は3方切替弁に限らず、水圧アクチュエータ34の開閉いずれかのシリンダ室を排水するように切替可能とする複数の弁で構成しても良い。
また水圧アクチュエータ34に導入する加圧水の切替のために、点検弁40とテスト放水弁42の2つの三方切替弁で構成しているが、これに限らず、例えば一つの4方切替弁で構成しても良い。つまり、オリフィス38の二次側に接続するポートa、水圧アクチュエータ34の開放側シリンダ室61aに接続するポートbと閉鎖側シリンダ61bに接続するポートc、及び排水側に接続するポートdの4つのポートを備える。
そしてテスト用制水弁11を開放する常態時は、ポートaとポートbを連通し、ポートcとポートdを連通することで、開放側シリンダ室61aに加圧水を供給するとともに、閉鎖側シリンダ室61bの水を排水する。テスト用制水弁11を閉鎖するテスト時は、ポートaとポートcを連通し、ポートbとポートdを連通することで、閉鎖側シリンダ室61bに加圧水を導入し、開放側シリンダ室61aの水を排水させる。この場合は、テスト用制水弁11の開閉制御を一つの弁で構成し、テスト時の自動弁二次側の加圧水を排水側に接続する切替弁を別途設ければ良い。
図10の自動弁装置遠隔点検処理は、周期的な点検日時を自動で設定して、点検員の点検開始操作によらずに点検を自動で行っても良いし、周期的な点検日時に限らずに点検員が操作部102を操作して点検を開始ようにしてもよい。
また、図11のテスト用制水弁遠隔点検処理も、周期的な点検日時を自動で設定して、点検員の点検開始操作によらずに、テスト用制水弁点検指示部がテスト制水弁のみの点検が自動で行っても良いし、周期的な点検日時に限らずに点検員が操作部102を操作して点検を開始ようにしてもよい。
テスト用制水弁11は上記の実施形態の開閉構造に限らず、自動弁10とパイロット弁30と同様の構造による開閉制御や、テスト用制水弁を電動弁で構成してもよく、この場合も放水点検とは異なる周期で開放動作させることで、消火用水を放水することなくテスト制水弁11の動作確認を行うことができる。
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。