JP2015130395A - ダイシングテープ用基材フィルム及びダイシングテープ - Google Patents

ダイシングテープ用基材フィルム及びダイシングテープ Download PDF

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Abstract

【解決課題】
柔軟性を保持しつつも粘着剤層への低分子量成分の移行が低減され、かつエキスパンド後の復元性にも優れたダイシングテープ用基材フィルムとして最適な材料を提供すること。
【解決手段】
フィルムの全質量に対して、クロス分別法により測定した0℃における樹脂溶出量が全溶出量に対して10質量%未満であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)を50質量%以上、及びスチレン系熱可塑性エラストマー(樹脂B)を5〜40質量%含有することを特徴とするダイシングテープ用基材フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は半導体ウェハのダイシング工程において使用されるダイシングテープの基材として用いられる樹脂フィルムに関し、さらに詳しくは、柔軟かつ粘着剤への悪影響を低減することができ、粘着剤の糊残り性に優れ、かつ復元性にも優れたダイシングテープ用基材フィルム、及びそれを用いてなるダイシングテープに関する。
半導体ウェハの製造工程において、半導体ウェハを個々のチップに切断分離するダイシングが行われる。この際、ウェハを固定するために粘着テープを貼り付けて切断し、その後に粘着テープを放射状にエキスパンドして個々のチップをピックアップする方法が行われている。
このような半導体ウェハは、近年の電子機器の小型化に伴い薄型化が進んでおり、ウェハの強度が低下しているため、製造工程において破損しやすくなっている。
このため、半導体ウェハへの負荷を軽減し破損を防止するために、半導体ウェハ用ダイシングテープは、より柔軟であることが求められている。
柔軟なダイシングテープを得るため、オレフィン系熱可塑性エラストマー等を粘着テープの基材として用いる方法が知られている。
例えば、下記特許文献1には、基材フィルムの少なくとも片面に粘着剤層が設けられてなり、当該基材フィルムが、プロピレン並びにエチレンおよび/または炭素数4〜8のα−オレフィンを重合成分として含有し、かつ融解ピーク温度が120℃以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有してなるダイシング用粘着シートが開示されている。
また、下記特許文献2には、密度0.910〜0.935の直鎖状低密度ポリエチレンからなる層と、特定の融点、重量平均分子量(Mw)、及びクロス分別法による一定の範囲の組成を有するポリプロピレン系樹脂組成物からなる層を積層させた粘着テープ基材が開示されている。
特開2003―7654号公報 特開2005−297247号公報
このような粘着テープの基材などの柔軟な樹脂フィルムの材料として用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマーは一般的に低分子量成分を多く含んでおり、これによって柔軟性の効果を奏している場合が多い。例えば、上記特許文献1に開示されたオレフィン系熱可塑性エラストマーは、クロス分別法により測定した0℃における樹脂溶出量が全溶出量に対し10〜60質量%のものであり、0℃における樹脂溶出量が小さくなると、オレフィン系熱可塑性エラストマーを成形して得られる基材フィルムが硬く、エキスパンド時の伸び性が悪くなるほか、ピックアップもし辛くなる傾向があるとされている。
また、特許文献2では、ポリプロピレン系樹脂組成物における0℃以上10℃以下の樹脂溶出量が特定範囲以下であると、柔軟性に欠けるとされている。
しかし、低温における樹脂溶出量が多い、すなわち低分子量成分が多いと柔軟性の効果は良好であるものの、このような成分が粘着剤層に移行することで粘着剤の凝集力を低下させ、離型紙および貼付対象への粘着剤の糊残りが発生するといった問題が生じることがわかった。
また、低分子量成分が多い樹脂は経時によって低分子量成分がブリードアウトしやすいため、このような樹脂を用いた基材フィルムをロール状に巻き取るとブロッキングが発生しやすい。
本発明は上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであり、柔軟性を保持しつつも粘着剤層への低分子量成分の移行、つまり粘着剤の被着体への糊残りやロール状に巻き取った際のブロッキングといった不具合が低減され、かつエキスパンド後の復元性にも優れたダイシングテープ用基材フィルムとして最適な材料を提供することにある。
本発明は、以下のダイシングテープ用基材フィルムである。
[1]フィルムの全質量に対して、クロス分別法により測定した0℃における樹脂溶出量が全溶出量に対して10質量%未満であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)を50質量%以上、及びスチレン系熱可塑性エラストマー(樹脂B)を5〜40質量%含有することを特徴とするダイシングテープ用基材フィルム。
[2]前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)は、ハードセグメント部がメタロセン触媒を用いて重合させたエチレン/プロピレン共重合体ブロックであって、多段重合で得られるオレフィン系エラストマーである、[1]に記載のダイシングテープ用基材フィルム。
[3]前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)の分子量分布Mw/Mnが5以下である、[1]または[2]に記載のダイシングテープ用基材フィルム。
[4]前記スチレン系熱可塑性エラストマー(樹脂B)は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のダイシングテープ用基材フィルム。
[5]引張弾性率が200MPa以下である[1]〜[4]のいずれか1項に記載のダイシングテープ用基材フィルム。
[6]復元率が72%以上である[1]〜[5]のいずれか1項に記載のダイシングテープ用基材フィルム。
[7][1]〜[6]のいずれか1項に記載の基材フィルムを少なくとも1層備える、ダイシングテープ用積層基材フィルム。
また本発明は、以下のダイシングテープである。
[8][1]〜[7]のいずれか1項に記載の基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなるダイシングテープ。
本発明によれば、粘着剤層への低分子量成分の移行、つまり粘着剤の被着体への糊残りやロール状に巻き取った際のブロッキングといった不具合を低減させつつも、十分な柔軟性を持ち、さらにはエキスパンド後の復元性にも優れたダイシングテープ用基材フィルムを提供することができる。
本発明のダイシングテープ用基材フィルムは、フィルムの全質量に対して、クロス分別法により測定した0℃における樹脂溶出量が全溶出量に対して10質量%未満であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)を50質量%以上、及びスチレン系熱可塑性エラストマー(樹脂B)を5〜40質量%含有することが重要である。より好ましくは、オレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)の含有量は55質量%以上であり、更に好ましくは60質量%以上である。
また、より好ましくはスチレン系熱可塑性エラストマー(樹脂B)の含有量は6〜37質量%であり、更に好ましくは6〜35質量%である。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)とスチレン系熱可塑性エラストマー(樹脂B)の含有量を上記の範囲とすることで、オレフィン系熱可塑性エラストマーの優れた特徴を活かしたフィルム設計ができ、柔軟性や透明性の点で有利なダイシングテープ用基材フィルムとすることができる。また、エキスパンド時に必要な復元性を持たせることができ、製膜する際、金属ロールへ粘着しロール巻付きやシワ入りといった不具合の発生を抑制し、生産性に優れるものとなる。
[クロス分別溶出量]
本発明においては、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーは、クロス分別法により積算樹脂溶出量が100%となるまで測定した際の0℃における樹脂溶出量が全溶出量に対して10質量%未満であることが重要である。より好ましくは8質量%未満、特に好ましくは6質量%未満である。0℃での樹脂溶出量が全溶出量に対して10質量%未満であれば、基材層から粘着剤層への低分子量成分の移行により発生する粘着力の低下を抑制することができる。さらに、低分子量成分の移行によって粘着剤の凝集力が低下することを防止でき、離型紙および貼付対象への糊残りが発生するといった不具合を抑制することができる。
さらに、本発明においては、オレフィン系熱可塑性エラストマーの60℃における積算樹脂溶出量が50質量%以下であることが好ましい。ここで、60℃における積算樹脂溶出量とは、0℃から60℃までの樹脂溶出量の積算値である。主に夏季において、倉庫やコンテナ内の温度は60℃程度になると想定され、60℃における樹脂溶出量を50質量%以下の範囲内とすることによって、長期の在庫や輸送等に耐えうる、実用的なダイシングテープ用基材フィルムおよびダイシングテープを得ることができる。60℃における積算樹脂溶出量が50質量%を超えるオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いた基材フィルムは、表面へブリードアウトする低分子量成分が多くなるため、ロール状に巻き取った際にブロッキングが発生しやすい。またこのような基材フィルムをダイシングテープの基材として用いると、粘着剤層へ移行する低分子量成分が多くなるため、倉庫やコンテナでの保管や輸送中に粘着剤の凝集力が低下し、離型紙および貼付対象への糊残り等が発生するおそれがある。
[オレフィン系熱可塑性エラストマー]
本発明に使用するオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント部がメタロセン触媒を用いて重合させたエチレン/プロピレン共重合体ブロックであって、多段重合で得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーである。メタロセン触媒を用いて多段重合することにより、低分子量成分の生成を抑えつつ軟質ブロック(ソフトセグメント)を生成することが可能となるため、ダイシングテープの基材フィルムとして製膜した際に、粘着剤への低分子量成分の移行による不具合を抑えつつもダイシング用として十分な柔軟性を持つ基材フィルムを得ることができる。
本発明に使用するオレフィン系熱可塑性エラストマーの分子量分布(Mw/Mn)は5以下であることが好ましい。より好ましくは3.5以下である。分子量分布を5以下とすることで、オレフィン系熱可塑性エラストマー中の低分子量成分が少なくなり、低分子量成分のブリードアウトが抑制され、ブロッキングおよび粘着剤汚染の発生を抑制することができる。
なお、分子量分布は、後に説明するクロス分別法により測定される0〜140℃における全溶出成分から求められる値である。
[スチレン系熱可塑性エラストマー]
本発明に使用するスチレン系熱可塑性エラストマーは、特に限定されることはなく一般的に公知であるスチレン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。中でも、常温でのゴム弾性性能やオレフィン系樹脂との相溶性が良い点から、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体(SEBS)やスチレン−エチレン・プロピレン共重合体(SEPS)等の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを好ましく使用することができ、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーに添加した際には、よりブリードアウトが発生しにくく好ましい。また、これにより、本発明の特徴である耐ブロッキング性および耐粘着剤汚染性などを損なうことなく、復元性を持たせることが可能となる。
[他の成分]
本発明のダイシングテープ用基材フィルムは、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー、前記スチレン系熱可塑性エラストマーの他に、必要に応じて他の樹脂や各種添加剤を含有することができる。このような樹脂としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、エチレン−メチルアクリレート共重合体やエチレン−メタクリル酸共重合体やエチレン−メチルメタクリレート共重合体等のアクリル系樹脂およびアイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。また、添加剤としては、例えば、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤及び着色剤等が挙げられる。
[ポリマー型帯電防止剤]
本発明のダイシングテープ用基材フィルムに帯電防止性を付与する場合は、ポリマー型帯電防止剤を添加することが好ましい。ポリマー型帯電防止剤は、一般的な低分子型帯電防止剤に比べてブリードアウトが発生しにくいことで知られているが、中でもポリエーテル−ポリオレフィン共重合体を構成成分とするポリマー型帯電防止剤はオレフィン系樹脂との相溶性がよく、本発明のダイシングテープ用基材フィルムから帯電防止剤がブリードアウトしにくくなる。したがって、本発明の特徴である耐ブロッキング性および粘着剤非汚染性を損なうことなく優れた帯電防止性能を持たせることができる。
また前記ポリマー型帯電防止剤のMFR(JIS K7210、190℃、2.16kgf)は10以上であることが好ましい。より好ましくは15以上である。ポリマー型帯電防止剤は成型時のせん断により筋状に配向することによって導電ネットワークを形成するが、この際、成型温度が低すぎると導電ネットワークが上手く配向しないため、帯電防止性能を十分に発揮できない。しかしながらポリマー型帯電防止剤はオレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマーに比べて熱安定性が劣るため、成型温度が高すぎると熱劣化による炭化異物が発生しやすくなる。MFRが10以上のポリマー型帯電防止剤を用いることによって、熱劣化の生じない低温成型においても導電ネットワークを上手く配向させることができる。
ポリマー型帯電防止剤を添加する場合は、フィルムの全質量に対して、ポリマー型帯電防止剤を5〜30質量%含有することが好ましい。より好ましくは10〜25質量%である。含有量を5質量%以上とすることで、ピックアップ時における静電気障害を効果的に抑制することができる。また、30質量%以下とすることで、フィルムの製膜時に厚み精度不良などの不具合の発生を抑制し、生産性が良好となる。
[基材の層構成]
本発明のダイシングテープ用基材フィルムは、単層フィルムでも多層フィルムであってもよい。
多層フィルムとする場合は、少なくとも1層が前記フィルムの全質量に対して、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)を50質量%以上、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(樹脂B)を5〜40質量%含有していればよい。層構成としては、たとえば、表裏層からなる2種2層の積層フィルムおよび/または表裏層と中間層からなる2種3層の積層フィルムとすることもできる。
2層以上の積層フィルムとする場合は、粘着剤と接する層が前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)を50質量%以上とすることが好ましく、更に好ましくは、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(樹脂B)を0〜15質量%、特に好ましくは前記スチレン系熱可塑性エラストマー(樹脂B)を0〜10%含有する層であることが好ましい。このような層構成とすることで、基材フィルムから粘着剤への低分子量成分の移行といった不具合を最小限にすることができ、製膜する際、金属ロールへ粘着しロール巻付きやシワ入りといった不具合の発生を抑制し、生産性に優れるものとなる。
また、2層以上の積層フィルムとする場合は、粘着剤と接しない層が前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)を50質量%以上、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(樹脂B)を5〜40質量%含有する層とすることが好ましい。このような層構成とすることで、柔軟性および復元性に優れる基材フィルムとすることができる。
[フィルムの厚み]
本発明の好ましい態様においては、ダイシングテープ用基材フィルムの厚みは、0.03〜0.5mmであり、更に好ましくは、0.05〜0.3mmである。上記の特定値の範囲であれば、柔軟性を保持しつつもダイシングテープの基材として十分な強度を保ち、また生産性にも優れる。
[引張弾性率]
本発明の好ましい態様においては、ダイシングテープ用基材フィルムの引張弾性率は200MPa以下である。より好ましくは150MPa以下であり、更に好ましくは100MPa未満である。当該ダイシングテープ基材用フィルムの引張弾性率が200MPa以下であれば、エキスパンド性に優れ、ピックアップ時の半導体チップへの負荷が小さい等の利点が挙げられる。
[復元率]
本発明の好ましい態様においては、ダイシングテープ用基材フィルムの復元率は72%以上である。より好ましくは73%以上であり、更に好ましくは75%以上である。当該ダイシングテープ基材用フィルムの復元率が72%以上であれば、十分にエキスパンドされた後も弛んだままになることなく形状が復元するため、カセット回収性に優れる。
[基材の製法]
前記ダイシングテープ用基材フィルムを製造する方法としては、Tダイ押出し成形法等の押出し成形法、インフレーション成形法及びカレンダー成形法等の一般的なポリオレフィン系樹脂フィルムの成形方法が用いられるが、特に本発明においては押出し成形法が適している。尚、押出し成形の際の樹脂組成物のメルトフローレートは、1〜20g/10分、好ましくは、5〜15g/10分である。樹脂組成物のメルトフローレートが1g/10分以上であれば溶融粘度が高くなり過ぎることがなく押出加工性が良好であり、20g/10分以下であれば溶融粘度が低くなり過ぎることがなく流動性が良好で加工性に優れる。
前記ダイシングテープ用基材フィルムの少なくとも片面側は、プラズマ処理やコロナ処理、オゾン処理および火炎処理等の方法により表面処理されてもよい。また、基材フィルムと粘着層の間には、必要によりプライマー層を設けてもよい。また、本発明の目的を損なわない限り、粘着テープの粘着層が設けられた側の反対面に更に樹脂層を設けても良い。
[粘着剤層]
本発明のダイシングテープは、本発明で得られる単層または多層フィルムからなるダイシングテープ用基材フィルムが少なくとも1層含まれていればよく、粘着剤層として用いられる粘着剤は特に限定されないが、例えば、天然ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等の公知の粘着剤が用いられる。
[用途]
本発明のダイシングテープは、シリコンウェハのブレードダイシングに特に好適に用いられるが、ガリウム砒素等の他の半導体、ガラスおよび水晶、BGAやQFN等のパッケージ基板をダイシングする際に用いることもできる。またステルスダイシング等のレーザーダイシングに用いることもできる。
[実施例]
以下、本発明の実施形態を実施例を用いて詳述するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[使用した樹脂]
オレフィン系熱可塑性エラストマー(A−1):日本ポリプロ社製「ウェルネクスRFX4V」、分子量分布(Mw/Mn):3.1
オレフィン系熱可塑性エラストマー(A−2):サンアロマー社製「キャタロイC200F」、分子量分布(Mw/Mn):9.6
水素添加系スチレン系熱可塑性エラストマー(B):旭化成ケミカルズ社製「タフテックH1221」
[実施例1]
オレフィン系熱加成性エラストマー(A−1)をフィルムの全質量に対して70質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)を30質量%でドライブレンドし、東芝機械製単軸押出機(50φmm、L/D=32)のホッパーに投入し、押出機温度をC1:210℃、C2:230℃、C3:230℃、C4:230℃、C5:230℃のように設定し、550mm幅Tダイ(温度設定:230℃、リップ開度0.3mm)から押出した。押出された溶融樹脂は、冷却ロールを備えた巻き取り機(冷却ロール700mm幅×φ350mm、ロール温度30℃)にて冷却固化、コロナ放電処理を施し、厚み0.1mmの単層の基材フィルムを得た。
[実施例2]
実施例1で用いた樹脂組成物と同様の樹脂組成物を中間層とし、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A−1)を内層、外層として用い、内層:中間層:外層=1:8:1の厚み比率とした2種3層の積層フィルムを実施例1と同様の条件で成形し、厚み0.1mmの基材フィルムを得た。
[実施例3]
内層、外層に使用した樹脂に代えて、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A−1)を93質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)を7質量%でドライブレンドしたものを使用した以外は、実施例2と同様の条件で成形し、厚み0.1mmの基材フィルムを得た。
[比較例1]
オレフィン系熱可塑性エラストマー(A−2)のみを使用した以外は、実施例1と同様の条件で成形し、厚み0.1mmの単層の基材フィルムを得た。
[比較例2]
オレフィン系熱可塑性エラストマー(A−1)のみを使用し、それ以外は、実施例1と同様の条件で成形し、厚み0.1mmの単層の基材フィルムを得た。
得られた各フィルムについて、以下の評価項目について評価を行った。
[生産性]
フィルム成形時の金属ロールへの粘着の程度を観察し、生産性を以下の基準で評価した。なお、△は実用範囲内である。
◎:金属ロールへの粘着なし
○:金属ロールへの粘着ややあり
△:金属ロールへの粘着あり
×:金属ロールへ巻付き
評価結果を表2に示した。
[柔軟性]
柔軟性を評価するため、JISK7127に従い、フィルムから採取した試験片(1号ダンベル)を23℃・60%RHの雰囲気下、島津製作所製オートグラフ(引張速度:50mm/分)を用いて引張弾性率を測定した。
評価は以下の基準で実施した。なお、△は実用範囲内である。
◎:引張弾性率が100MPa未満
○:引張弾性率が100MPa以上150MPa以下
△:引張弾性率が150MPaより大きく200MPa以下
×:引張弾性率が200MPaより大きい
測定値および評価結果を表2に示した。
[復元性]
復元性を評価するため、下記の通り復元率を測定した。
JISK7127に従い、フィルムから採取した試験片(1号ダンベル)を23℃・60%RHの雰囲気下、島津製作所製オートグラフ(引張速度:50mm/分)にて50%延伸し1分間保持した後、試験機から外して5分間放置して復元させ、下記の計算式により復元率を測定した。
復元率(%)=(引張直後の長さ−復元後の長さ)÷(引張直後の長さ−引張前の長さ)×100
なお、引張直後の長さとは、島津製作所製オートグラフで50%延伸した状態の長さを言う。
評価は以下の基準で実施した。なお、△は実用範囲内である。
◎:復元率が80%以上
○:復元率が75%以上80%未満
△:復元率が72%以上75%未満
×:復元率が72%未満
測定値および評価結果を表2に示した。
[汚染性]
低分子量成分の移行による粘着剤の汚染を評価するため、下記の通り糊残り試験を実施した。
アクリル系粘着剤(東洋インキ製「オリバインBPS5227−1」)100質量部、アジリジン系硬化剤(東洋インキ製「オリバインBXX5134」)2質量部、酢酸エチル20質量部を混合して粘着剤を調製し、作成したフィルムに乾燥後の粘着剤厚みが10μmとなるように塗布し、90℃で2分間乾燥した後に長さ100mm幅12mmにカットして試験用粘着テープを得た。
作成した試験用粘着テープを60℃・50%RHの雰囲気下にて24時間加熱養生し、試験板(SUS304鋼板、長さ125mm、幅50mm、厚さ2mm)に貼付面積が12mm×12mmとなるよう十分に接着した。試験用粘着テープが鉛直に垂れ下がるように試験板を固定し、試験用粘着テープに200gの重りを取り付け、試験用粘着テープが試験板から落下するまで60℃・50%RHの雰囲気下で放置し、試験板への糊残りの有無を確認した。
評価は以下の基準で実施した。
○:試験板への糊残りなし
×:試験版への糊残りあり
評価結果を表2に示した。
[総合評価]
生産性、柔軟性、復元性、汚染性を勘案し、総合的な実用性を以下の基準で評価した。
A:特に好ましい
B:実用範囲
C:劣る
評価結果を表2に示した。
なお、各実施例に使用したオレフィン系熱可塑性エラストマーのクロス分別法の測定条件は以下の通りである。
[クロス分別測定]
測定装置:クロス分別クロマトグラフ CFC2(Polymer ChAR社製)、検出器:赤外分光光度計 IR4(Polymer ChAR社製)、検出波長:3.42μm、GPCカラム:Shodex HT-806M(昭和電工社製)、カラム温度:140℃、カラム校正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)、分子量校正法:ポリスチレン換算、溶離液:o‐ジクロロベンゼン(ODCB)
流速:1.0mL/分、試料濃度:90mg/30mL(3mg/mL)、注入量:0.5mL、降温条件:1℃/分(140→0℃)、その後60分間保持し、以下に記載する温度にて段階的に昇温され、それぞれの温度において溶出量が安定するまで保持されながら、その温度における溶出分を測定する。溶出区分:0、10、20、30、40、50、60、70、75、80、83、86、90、94、98、102、106、110、120、140℃
測定結果を表1に示した。表1において、各温度の樹脂溶出量は、全溶出量に対する0℃からの積算溶出量を示す。
Figure 2015130395
Figure 2015130395
表2から、実施例1〜3のダイシングテープ基材用フィルムは柔軟性・復元性・汚染性に優れていることが認められる。
特に、実施例2、3は、実施例1に対して生産性の観点から優れており、特に好ましい態様であった。

Claims (8)

  1. フィルムの全質量に対して、クロス分別法により測定した0℃における樹脂溶出量が全溶出量に対して10質量%未満であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)を50質量%以上、及びスチレン系熱可塑性エラストマー(樹脂B)を5〜40質量%含有することを特徴とするダイシングテープ用基材フィルム。
  2. 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)は、ハードセグメント部がメタロセン触媒を用いて重合させたエチレン/プロピレン共重合体ブロックであって、多段重合で得られるオレフィン系エラストマーである、請求項1に記載のダイシングテープ用基材フィルム。
  3. 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(樹脂A)の分子量分布Mw/Mnが5以下である、請求項1または2に記載のダイシングテープ用基材フィルム。
  4. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー(樹脂B)は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイシングテープ用基材フィルム。
  5. 引張弾性率が200MPa以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイシングテープ用基材フィルム。
  6. 復元率が72%以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のダイシングテープ用基材フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の基材フィルムを少なくとも1層備える、ダイシングテープ用積層基材フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなるダイシングテープ。
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