JP2015129489A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の制御装置は、エタノールとガソリンの混合燃料を低オクタン価燃料と高オクタン価燃料に分離する分離装置と、低オクタン価燃料を内燃機関の気筒内に噴射する直噴インジェクタと、高オクタン価燃料を吸気ポート内に噴射するポートインジェクタと、変速機と、燃料マネジメント処理、トランスミッション制御、及びエンジン制御を実行するECUと、を備える。燃料マネジメント処理では、エタノール残量パラメータに応じて運転モードを選択し、選択した運転モード毎に設定されたマップを参照することによって噴射割合、点火時期、エンジン目標回転数、及びエンジン要求トルクを算出する。トランスミッション制御では、エンジン回転数が算出された目標回転数になるように変速比を制御する。
【選択図】図3
Description
図1は、本実施形態にかかる車両1の構成を示す図である。
車両Vは、内燃機関(以下、「エンジン」という)1と、エンジン1の出力軸に設けられ、その回転数を変速して駆動輪Wに伝達する変速機TMと、外部から供給されたガソリンとアルコール(例えば、エタノール)燃料を貯蔵しておき、これをエンジン1に供給する燃料供給システム6と、これらを制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という)7と、を備える。なお以下では、変速機TMとして、エンジン1の回転数を無段階に変速する所謂無段変速機(CVT)を用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。例えば、エンジン1の回転数を有段階に変速する所謂自動変速機(AT)を用いることもできる。
図2は、エンジン1及び燃料供給システム6の構成を示す図である。
エンジン1は、複数のシリンダ13を備えた多気筒エンジンである。図1には、このうちの1つを代表的に示す。エンジン1は、シリンダ13が形成されたシリンダブロック11と、シリンダヘッド12とを組み合わせて構成される。シリンダ13内には、ピストン14が摺動可能に設けられている。ピストン14の頂面とシリンダヘッド12のシリンダ13側の面により、エンジン1の燃焼室1aが形成される。ピストン14は、コンロッドを介して図示しないクランクシャフトに連結されている。すなわち、シリンダ13内におけるピストン14の往復動に応じてクランクシャフト(図示せず)が回転する。
スロットル開度センサ86は、スロットル弁32の位置(以下、「スロットル開度」という)に略比例した検出信号をECU7に出力する。
エアフローメータ88は、吸気管3のうち過給機5のコンプレッサより上流側の吸気の流量に略比例した検出信号をECU7に出力する。
車速センサ90は、車両のドライブシャフト(図示せず)に設けられ、当該ドライブシャフトが所定の角度を回転する度にパルス信号をECU7に出力する。車速は、ECU7において、車速センサ90からのパルス信号に基づいて、図示しない処理によって算出される。
LAFセンサ93は、排気管4のうち排気浄化触媒41より上流側に設けられ、排気の酸素濃度(空燃比)に略比例した検出信号をECU7へ出力する。このLAFセンサ93は、検出箇所の空燃比に略比例したリニアな出力特性を有する。
ドライバ要求駆動力は、変速機から駆動輪に出力させるべき目標出力に相当する。このドライバ要求駆動力は、アクセルペダルセンサによって検出されたアクセル開度及び車速センサによって検出された車速等に基づいて、既知のアルゴリズムに従って算出される。
エタノール残量パラメータ[%]は、メインタンクとサブタンクとを合わせた全残存燃料に対するエタノール残量の割合に相当する。このエタノール残量パラメータは、例えば、濃度センサ及びレベルセンサによって検出されるメインタンク内の燃料の残量RQ1及びエタノール濃度EC1、並びにサブタンク内の燃料の残量RQ2及びエタノール濃度EC2を用いて、下記式によって算出される。
エタノール残量パラメータ[%]
=(EC1×RQ1+EC2×RQ2)/(RQ1+RQ2)
エタノール残量パラメータ[%]=RQ2/(RQ1+RQ2)
図4は、エタノール残量パラメータと4つの運転モードとの関係を示す図である。運転モード選択処理では、上述のように算出された残量パラメータに基づいて、図4に示すE0モード、エタノール節約モード、BSFCボトムモード、及びMBTモードのうちの何れかをエンジンの運転モードとして選択する。後述するように、エンジン制御及びトランスミッション制御に係る制御パラメータの決定に用いられるマップは、上記4つの運転モード毎に異なる。
図3に戻って、マップ値算出処理では、上述のように選択された運転モードごとに設定されたマップを利用することによって、エンジン負荷及び残量パラメータに応じた適切な噴射割合及び点火時期を決定する。このマップ値算出処理で算出された噴射割合及び点火時期は、それぞれのマップ値としてエンジンの燃料噴射、点火制御に用いられる。
図7は、噴射割合マップの具体例を示す図であり、上から順に、MBTモード時、BSFCボトムモード時、及び節約モード時に選択されるマップを示す。なお図7では、噴射割合を不連続に数段階に分けて簡略化したものを図示するが、実際には連続的に定められる。この図7に示すように、エンジン回転数及びエンジン負荷によって指定されるエンジンの運転ポイントが同じであっても、各マップによって決定される噴射割合は3つの運転モードで異なる。より具体的には、3つのマップを同じ運転ポイントで比較した場合、噴射割合は、節約モード、BSFCボトムモード、及びMBTモードの順で高くなる。上述のように、混合燃料をメインタンクに給油した直後は、分離装置による燃料の分離が十分に進んでいないため、メインタンク内の燃料のエタノール濃度が高くなっている。このようにメインタンクにエタノールが含まれた状態で、定められた噴射割合の下で2つのインジェクタを利用して燃料を噴射すると、筒内のエタノール濃度(又はオクタン価)は、図7のマップによって定められる噴射割合と対応した濃度からずれてしまう。そこで、このような筒内のエタノール濃度のずれを抑制すべく、図7のマップを用いて算出された噴射割合は、メインタンク及びサブタンク内の燃料のエタノール濃度に応じて補正される。これにより、例えば分離が十分に進んでおらずメインタンク内の燃料のエタノール濃度が高い場合には、図7のマップに従って定められた噴射割合は減少側に補正される。
図8は、各運転モードの熱効率特性を示す図である。すなわち図8は、上述のようにして運転モード毎に異なるマップを利用して噴射割合及び点火時期を決定してエンジンを制御した場合の各運転領域における熱効率を示す図である。図8に示すように、節約モード時では、熱効率の高い領域は、他の運転モードに対し、低中負荷の一部の領域に偏っている。また、この熱効率の高い領域は、BSFCボトムモード時、及びMBTモード時へと噴射割合が高くなるに従い、中高負荷の領域へと広がる。
上述の負荷調整処理を行うことにより、各運転モードの時間頻度重心は、エンジンの等出力線上を低回転側から高回転側へ向かってMBTモード、BSFCボトムモード、及びエタノール節約モードの順で推移する。上述のように、噴射割合を低くするほど熱効率の高い領域は低中負荷領域の一部に限られる。そこで本発明では、このような噴射割合の変更に伴う熱効率特性の変化に合わせて運転モード毎に適した熱効率で走行できるように、負荷調整処理を行い、噴射割合が低くなるほどエンジンの運転ポイントをより低負荷かつ高回転側にシフトさせる。
図3に戻って、トランスミッション制御では、実際のエンジンの回転数と、上述のように負荷調整処理によって運転モードに応じて定められた目標回転数とが一致するように、変速機の変速比を制御する。
エンジン制御は、気筒内に導入される空気の量を制御する吸気量制御と、各インジェクタからの燃料噴射量及び点火時期を制御する燃料噴射・点火制御と、に分けられる。
上記実施形態では、図4に示すようにエタノール残量パラメータの値を4つの領域に区切り、領域に応じて選択された運転モード毎に異なるマップを用いて噴射割合や点火時期等を決定したが、本発明はこれに限らない。例えば、図11に示すように、運転モード(及びこの運転モードに応じて選択されるマップ)毎に基準となるエタノール残量パラメータの値を設定する。そして、エタノール残量パラメータの値が各運転モードと対応する値の間にある場合には、噴射割合及び点火時期は、2つの運転モードによって得られた値を重み付けして補間することによって算出してもよい。
TM…変速機
1…エンジン(内燃機関)
6…燃料供給システム
612…分離装置
62…ポートインジェクタ(第2噴射装置)
63…直噴インジェクタ(第1噴射装置)
7…ECU(噴射割合算出手段、噴射制御手段、点火時期算出手段、点火制御手段、目標回転数算出手段、変速比制御手段)
Claims (4)
- アルコールとガソリンの混合燃料を第1燃料と当該第1燃料よりも高オクタン価の第2燃料とに分離する分離装置と、
前記第1燃料を内燃機関の気筒内に噴射する第1噴射装置と、
前記第2燃料を前記機関の吸気ポート内に噴射する第2噴射装置と、
前記機関の出力軸に設けられた変速機と、を備えた車両の制御装置であって、
所定の入力に基づいて所定のマップを検索することにより前記第1及び第2噴射装置からの燃料の噴射割合を算出する噴射割合算出手段を有し、当該算出された噴射割合を用いて前記第1及び第2噴射装置の燃料の噴射割合を制御する噴射制御手段と、
所定の入力に基づいて所定のマップを検索することにより前記気筒に設けられた点火装置の点火時期を算出する点火時期算出手段を有し、当該算出された点火時期を用いて前記点火装置の点火時期を制御する点火制御手段と、
前記車両に残存する全燃料に対するアルコール又は第2燃料の残量割合及び前記車両の状態に基づいて前記機関の目標回転数を算出する目標回転数算出手段を有し、前記機関の回転数が前記目標回転数になるように前記変速機の変速比を制御する変速比制御手段と、を備え、
前記噴射割合算出手段及び前記点火時期算出手段は、それぞれ第2燃料消費率が異なる複数のマップを有し、前記残量割合に応じて選択されたマップを用いて前記噴射割合及び点火時期を算出することを特徴とする車両の制御装置。 - 前記噴射割合算出手段及び前記点火時期算出手段は、それぞれ基準マップと当該基準マップよりも前記第2燃料消費率が大きな余剰時マップとを有し、前記残量割合が前記基準マップと対応する第1所定値から前記余剰時マップと対応しかつ前記第1所定値より大きな第2所定値までの範囲内である場合には、前記基準マップ及び前記余剰時マップによって得られた値を補間することによって前記噴射割合及び点火時期を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記噴射割合算出手段及び前記点火時期算出手段は、それぞれ前記基準マップよりも前記第2燃料消費率が小さな節約時マップをさらに有し、前記節約時マップと対応しかつ前記第1所定値より小さな第3所定値から前記第1所定値までの範囲内である場合には、前記節約時マップ及び前記基準マップによって得られた値を補間することによって前記噴射割合及び点火時期を算出することを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
- 前記目標回転数算出手段は、前記残量割合が増加するほど前記目標回転数を減少させることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の車両の制御装置。
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