JP2009068455A - 駆動力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数種類の燃料の供給制御と、空調装置の制御との関係を改善することの可能な駆動力制御装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載されたエンジンと、エンジンに複数種類の燃料を供給可能な燃料供給装置と、予め定められた条件に基づいて燃料供給装置を制御することにより、複数種類の燃料の供給状態を制御するコントローラと、エンジンの動力で駆動され、かつ、車両の室内の温度を制御する空調装置とを有する駆動力制御装置において、エンジンに対する複数種類の燃料の供給状態が変更されるか否かを判断する判断手段(ステップS2)と、複数種類の燃料の供給状態が変更されると判断された場合に、空調装置の負荷を制御することにより、複数種類の燃料の供給状態が変更されて生じるエンジントルクの変動を抑制するトルク制御手段(ステップS3ないしステップS10)とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】車両に搭載されたエンジンと、エンジンに複数種類の燃料を供給可能な燃料供給装置と、予め定められた条件に基づいて燃料供給装置を制御することにより、複数種類の燃料の供給状態を制御するコントローラと、エンジンの動力で駆動され、かつ、車両の室内の温度を制御する空調装置とを有する駆動力制御装置において、エンジンに対する複数種類の燃料の供給状態が変更されるか否かを判断する判断手段(ステップS2)と、複数種類の燃料の供給状態が変更されると判断された場合に、空調装置の負荷を制御することにより、複数種類の燃料の供給状態が変更されて生じるエンジントルクの変動を抑制するトルク制御手段(ステップS3ないしステップS10)とを備えている。
【選択図】図1
Description
この発明は、エンジンに対して複数種類の燃料を供給することの可能な駆動力制御装置に関するものである。
従来、車両にエンジンが搭載されており、そのエンジンに複数種類の燃料を供給可能な駆動力制御装置が知られており、その技術の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されたパワートレーンにおいては、エンジンのトルクが、動力分割機構および減速機および車軸を経由して車輪に伝達されるように構成されている。前記エンジンは、複数種類の燃料を供給可能に構成されている。具体的には、気体水素を供給する気体水素供給系およびガソリンを供給するガソリン供給系が設けられているとともに、各供給系毎にインジェクタが設けられている。また、エンジンに接続される吸気通路には、エンジンの気筒内に吸入される空気量を調整するスロットル弁が設けられている。このスロットル弁は、スロットル弁用アクチュエータにより作動させられるように構成されている。前記動力分割機構は遊星歯車機構により構成されており、その遊星歯車機構のキャリヤにエンジンが連結され、遊星歯車機構のサンギヤにはジェネレータが連結されている。また、遊星歯車機構のリングギヤには、前記減速機および駆動モータが接続されている。さらに、車両に搭載されたシステムを制御するコントロールユニットが設けられている。そして、エンジンにおける水素気体とガソリンエンジンとの燃料切替は、所定の切替条件が成立した場合におこなわれる。ここで、気体水素からガソリンエンジンへの切替に際してトルクが急激に立ち上がり、トルクショックが発生する虞がある。このトルクショックの発生を防止するために、燃料切替と同時に、ガソリン運転時のトルクが、水素運転時のエンジントルクと同等になるように、スロットル開度を絞る制御が記載されている。なお、エンジンに対して複数種類の燃料を供給可能な駆動力制御装置は、特許文献2にも記載されている。
一方、車両には空調装置が搭載されており、空調装置用のコンプレッサはエンジンの動力で駆動されるように構成されているが、特許文献1では、複数種類の燃料供給制御と、空調装置の制御との関係について考慮がなされておらず、その点で改良の余地があった。
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、複数種類の燃料の供給制御と、空調装置の制御との関係を改善することの可能な駆動力制御装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車両に搭載され、かつ、燃料の燃焼により動力を発生して、その動力を車輪に伝達するエンジンと、このエンジンの燃焼室に複数種類の燃料を供給可能な燃料供給装置と、予め定められた条件に基づいて前記燃料供給装置を制御することにより、前記複数種類の燃料の供給状態を制御するコントローラと、前記エンジンの動力で駆動され、かつ、前記車両の室内の温度を制御する空調装置とを有する駆動力制御装置において、前記エンジンに対する複数種類の燃料の供給状態が変更されるか否かを判断する判断手段と、前記複数種類の燃料の供給状態が変更されると判断された場合に、前記空調装置の負荷を制御することにより、前記複数種類の燃料の供給状態が変更されて生じるエンジントルクの変動を抑制するトルク制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記トルク制御手段は、前記複数種類の燃料の供給状態を変更する以前の第1エンジントルクを求める手段と、前記複数種類の燃料の供給状態を変更中における第2エンジントルクが、前記第1エンジントルクと等しくなるように、前記空調装置の負荷を制御する手段とを含むことを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記燃料の燃焼室に吸入される空気の量を制御する空気量制御装置が設けられており、前記トルク制御手段は、前記空調装置の負荷を制御し、かつ、前記燃焼室に吸入される空気の量を制御することにより、前記エンジントルクの変動を抑制する手段を含むことを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、前記エンジンから前記車輪に至る動力伝達経路に、入力回転数と出力回転数との間の変速比を変更可能な変速機が設けられており、前記トルク制御手段は、前記空調装置の負荷を制御し、かつ、前記変速機の変速比を制御することにより、前記エンジントルクの変動を抑制する手段を含むことを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、エンジンに対して複数の燃料を供給し、その燃料の燃焼により動力を発生して、その動力を車輪に伝達することができる。また、予め定められた条件に基づいて、複数種類の燃料の供給状態を制御することができる。さらに、複数種類の燃料の供給状態が変更されると判断された場合に、空調装置の負荷を制御することにより、複数種類の燃料の供給状態が変更されて生じるエンジントルクの変動を抑制できる。したがって、駆動力の変動を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、複数種類の燃料の供給状態を変更する以前の第1エンジントルクと、複数種類の燃料の供給状態を変更中における第2エンジントルクとが等しくなるように、空調装置の負荷を制御することができる。したがって、エンジントルクの変動を一層確実に抑制できる。
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、複数種類の燃料の供給状態が変更されると判断された場合は、空調装置の負荷を制御し、かつ、燃焼室に吸入される空気の量を制御することにより、エンジントルクの変動を抑制することができる。したがって、駆動力の変動を一層確実に抑制できる。
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、複数種類の燃料の供給状態が変更されると判断された場合は、空調装置の負荷を制御し、かつ、変速機の変速比を制御することにより、変速機から車輪に伝達されるトルクの変動を抑制できる。したがって、駆動力の変動を一層確実に抑制することができる。
つぎに、この発明の実施の形態を説明する。この発明の対象である車両には、乗用車、バス、トラックなどが含まれる。また、車両に搭載されたエンジンは、車輪に伝達する動力を発生する動力装置である。このエンジンは、燃料を燃焼させてその熱エネルギを運動エネルギに変換する動力装置もしくは熱機関であり、エンジンとしては、燃焼室内で燃料を燃焼させる構造の内燃機関を用いることができる。また、エンジンの燃焼室に対して複数種類の燃料を供給可能な燃料供給装置が設けられている。複数種類の燃料とは、燃焼特性が異なる燃料、着火特性が異なる燃料、セタン値が異なる燃料、揮発性が異なる燃料、成分が異なる燃料などを意味する。種類の異なる燃料としては、具体的には、ガソリン、軽油、アルコール(メタノール、エタノール)、水素、天然ガスなどが挙げられる。これらの種類の異なる燃料は、燃焼条件、例えば吸入空気量、点火時期、噴射量などが同じであっても、発生するエンジントルク、窒素酸化物の量、粒子状物質の量、着火抵抗などが異なる。なお、使用される燃料は2種類、または3種類、あるいは4種類以上であってもよい。また、燃料供給装置は、燃焼室に燃料を供給する機構であり、具体的にはソレノイドバルブが挙げられる。また、コントローラは、前記ソレノイドバルブのポートの開閉時期、ポートの開度等を制御する機構である。この発明における「複数種類の燃料の供給状態」には、供給される燃料の種類、燃料の供給量(噴射量)、供給される燃料同士の割合または比率などが含まれる。
この発明における空調装置は、車両の室内の温度、具体的には空気の温度を制御する機構であり、室内の温度を制御する流体を運搬する流体機械を有している。この流体機械がエンジンの動力により駆動されるように構成されている。流体機械には、送風機、圧縮機(コンプレッサ)が含まれる。また、送風機には、ファン、ブロワが含まれる。なお、空調装置には、エアコンディショナ、ヒータが含まれる。また、この発明における空調装置の負荷は、具体的には、流体機械の負荷である。この発明における空気量制御装置は、燃焼室に接続された吸気路に配置されるバルブを有しており、そのバルブの開度を制御することにより、燃焼室に吸入される空気量(吸入空気量)が制御される。
この発明における変速機は、入力回転数と出力回転数との間の変速比を変更可能な伝動装置であり、変速機としては、有段変速機または無段変速機を用いることが可能である。有段変速機は、変速比を段階的(不連続)に変更可能な変速機であり、無段変速機は、変速比を無段階(連続)で変更可能な変速機である。有段変速機としては、遊星歯車機構式の変速機、選択歯車式の変速機、常時噛み合い式の変速機などを用いることができる。無段変速機としては、ベルト型無段変速機、トロイダル型無段変速機を用いることができる。ベルト型無段変速機は、駆動プーリと従動プーリとの間でベルトにより動力伝達がおこなわれる。トロイダル型無段変速機は、駆動ディスクと従動ディスクとの間でパワーローラを介して動力伝達がおこなわれる。この発明は、エンジンの動力が前輪または後輪のいずれか一方に伝達されるように構成された二輪駆動車、または、エンジンの動力が前輪および後輪の両方に伝達されるように構成された四輪駆動車のいずれにも適用可能である。さらにまた、車輪に動力を伝達する駆動力源として、エンジンに加えて、電動モータまたは油圧モータが設けられた車両であってもよい。この場合、エンジンの動力が伝達される車輪と、電動モータまたは油圧モータの動力が伝達される車輪とが同じでもよいし、異なっていてもよい。
つぎに、この発明の駆動力制御装置の対象である車両の具体例を、図面に基づいて説明する。図2は、車両1のパワートレーンおよびその車両1の制御系統を示す概念図である。ここに示す車両1のパワートレーンは、エンジン2から出力された動力が、流体伝動装置3および変速機4および終減速機5を経由して車輪6に伝達されるように構成されている。このエンジン2は燃料を燃焼させてその熱エネルギを運動エネルギに変換する動力装置もしくは熱機関であり、エンジン2としては、燃焼室7内で燃料を燃焼させる構造の内燃機関を用いることができる。燃焼室7には、吸気管8が接続されており、その吸気管8内には電子スロットルバルブ9が設けられている。また、この電子スロットルバルブ9の開度を制御するアクチュエータ10が設けられている。このアクチュエータ10としては、ソレノイド、ステッピングモータなどを用いることができる。この電子スロットルバルブ9の開度を制御することにより、吸気管8を経由して燃焼室7に吸入される空気量(以下、「吸入空気量」と記す)が制御される。
前記エンジン2は、複数の燃料タンク、図2では2個の燃料タンク11,12を有しており、各燃料タンク11,12に貯溜された燃料は、燃焼特性および成分が異なる。例えば、ガソリンが燃料タンク11に貯溜され、アルコールが燃料タンク12に貯溜されている。なお、複数種類の異なる燃料は、軽油とガソリンでもよいし、ガソリンと天然ガスでもよいし、3種類以上の燃料を供給可能に構成することも可能である。各燃料タンク11,12の燃料を燃焼室7に噴射する燃料噴射装置13,14が、別々に設けられている。この燃料噴射装置13,14は、例えばソレノイドバルブなどにより構成することが可能である。この燃料噴射装置13,14を制御することにより、燃焼室7に対する複数の燃料の噴射状態、具体的には、噴射時期、噴射量などを別々に制御することができる。さらに、エンジン2は燃焼室7で燃料が燃焼されて、その熱エネルギがクランクシャフト15の回転運動に変換されるように構成されている。
このエンジン2のクランクシャフト15と、流体伝動装置3とが動力伝達可能に接続されている。この流体伝動装置3は、ポンプインペラ16およびタービンランナ17を有しており、ポンプインペラ16が前記クランクシャフト15に連結されており、タービンランナ17が変速機4の入力部材に連結されている。そして、ポンプインペラ16とタービンランナ17との間で流体の運動エネルギにより動力伝達がおこなわれるように構成されている。この流体伝動装置3としては、クランクシャフト15から、変速機4の入力部材に伝達されるトルクを増幅する機能を有するトルクコンバータ、またはトルクを増幅する機能を有していないフルードカップリングのいずれでもよい。また、流体伝動装置3に対して並列な動力伝達経路を形成するロックアップクラッチ18が設けられている。このロックアップクラッチ18は、前記クランクシャフト15と、変速機4の入力回転部材との間で、摩擦力により動力伝達をおこなう伝動装置である。この具体例では、ロックアップクラッチ18の係合・解放を制御するコントローラとして、油圧制御装置19が設けられている。そして、ロックアップクラッチ18が係合された場合は、前記クランクシャフト15と、変速機4の入力回転部材との間で、摩擦力により動力伝達がおこなわれる。これに対して、ロックアップクラッチ18が解放された場合は、ポンプインペラ16とタービンランナ17との間で流体の運動エネルギにより動力伝達がおこなわれる。
前記変速機4は、入力回転数と出力回転数との間の変速比を変更可能な伝動装置であり、変速機4としては、有段変速機(AT)または無段変速機(CVT)を用いることが可能である。有段変速機は、変速比を段階的(不連続)に変更可能な変速機であり、無段変速機は、変速比を無段階(連続)で変更可能な変速機である。有段変速機としては、遊星歯車機構式の変速機、選択歯車式の変速機、常時噛み合い式の変速機などを用いることができる。例えば、遊星歯車式の変速機においては、摩擦係合装置、具体的にはクラッチおよびブレーキの係合・解放を制御することにより、変速比が変更される。この摩擦係合装置の係合・解放を制御するコントローラが設けられる。無段変速機としては、ベルト型無段変速機、トロイダル型無段変速機を用いることができる。ベルト型無段変速機は、駆動プーリと従動プーリとの間でベルトにより動力伝達がおこなわれる。このベルト型無段変速機においては、駆動プーリおよび従動プーリから、ベルトに加えられる挟圧力を制御することにより、ベルト型無段変速機の変速比およびトルク容量が制御される。そして、駆動プーリおよび従動プーリから、ベルトに加えられる挟圧力を制御するコントローラが設けられる。
前記トロイダル型無段変速機は、駆動ディスクと従動ディスクとの間でパワーローラを介して動力伝達がおこなわれる。このトロイダル型無段変速機では、パワーローラの傾転角度を制御することにより、駆動ディスクと従動ディスクとの間における変速比が制御される。このパワーローラの傾転角度を制御するコントローラが設けられる。この具体例では、いずれの種類の変速機を用いた場合も、前記油圧制御装置19が、変速機の変速比を制御するコントローラの機能を兼備している。なお、変速機4として無段変速機を用いる場合、エンジン2から終減速機5に至る動力の伝達経路に、前後進切換装置(図示せず)が設けられる。この前後進切換装置は、入力要素に対する出力要素の回転方向を正・逆に切り替えることの可能な伝動装置である。この前後進切換装置としては、例えば遊星歯車機構式の前後進切換装置、または平行軸歯車式の前後進切換装置を用いることが可能である。
一方、車両1の室内の温度を制御するエアコンディショナ(以下、「エアコン」と記す)20が設けられている。このエアコン20は、エンジン2の動力で駆動されて冷媒を圧縮して吐出するコンプレッサ21、コンプレッサ21により圧縮された冷媒の熱を奪い、かつ、冷媒を液化するコンデンサ、コンデンサで液化された冷媒が流れ込み、かつ、冷媒をガスと液体に分離するレシーバタンク、レシーバタンクから出る液冷媒が送られ、かつ、冷媒を急激に膨張させて低温・低圧とする膨張弁、膨張弁で低温・低圧にされた冷媒が流れ込み、かつ、冷媒が蒸発するために必要な潜熱を、室内の空気から奪うエバポレータ、エバポレータを通過した冷媒をコンプレッサ21に戻す通路などを有する。すなわち、エアコン20は、公知の蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成しており、エアコン20により室内の温度が制御される。また、前記クランクシャフト15のトルクをコンプレッサ21の回転軸22に伝達する伝動装置24が設けられている。
さらに、上記コンプレッサ21としては、例えば、斜板形の往復式コンプレッサを用いることができる。このコンプレッサ21は、回転軸22の回転運動をピストンの往復運動に変換するとともに、斜板の傾きを外部から制御することによりピストンストロークを変化させ、吐出容量を調整する構造となっている。このために、コンプレッサ21は、電気信号により制御可能な差圧制御式のコントロールバルブ(電磁弁)23を有している。このコントロールバルブ23は電磁弁により構成することができる。例えば高圧側と通じているコントロールバルブ23を用いた場合、クランクケース内と低圧側とは通路で連通されており、クランクケース内の圧力は低圧側に逃げるように構成される。したがって、コントロールバルブ23の開度調整により高圧側圧力を遮断・導入することで、クランクケース内の圧力を制御することにより、ピストンに加わる圧力のバランスを変化させて斜板の傾きを変化させ、これによってコンプレッサ21の吐出容量を制御することができる。このときコントロールバルブ23には、電気信号として所定のデューティ値を持つ制御信号(DUTY信号)が与えられる。このデューティ値の大きさによりコントロールバルブ23の開弁時間が決定され、コンプレッサ21の吐出量が制御される。すなわち、コンプレッサ21は可変容量型のコンプレッサである。前記伝動装置24は、歯車伝動装置、巻き掛け伝動装置のいずれでもよい。
さらに、巻き掛け伝動装置は、ベルトまたはチェーンのいずれでもよい。さらに、車両1にはナビゲーションシステム25が搭載されている。このナビゲーションシステム25は、車両1の走行予定経路、車両1の現在地、車両1の目的地などの情報を、運転者が入力または選択する構成を有している。また、ナビゲーションシステム25は、予め記憶されている地図データ、車両1に搭載されたセンサの信号、地上に設置された発信装置の信号、人工衛星の信号などに基づいて、車両1の現在位置を判断し、かつ、走行予定経路の道路状況を判断する構成を有している。
つぎに、車両1の全体を制御する電子制御装置26が設けられており、この電子制御装置26には各種のセンサおよびスイッチの信号が入力される。具体的には、エンジン回転数およびエンジントルク、変速機4の入力回転数、変速機4の出力回転数、車速、加速要求(アクセル開度)、減速要求、シフトポジション、電子スロットルバルブ9の開度、エアコン20の制御要求、燃料タンク11,12の燃料の残量、燃料切替スイッチの操作状態などが検知される。燃料切替スイッチは、車両の乗員が操作するものであり、エンジン2に供給される燃料の種類を、乗員が任意に選択するための装置である。また、ナビゲーションシステム25と電子制御装置26との間で信号の授受がおこなわれる。前記エアコン20の制御要求には、エアコン20の駆動・非駆動を選択する乗員の操作信号、温度を設定する信号、冷房・暖房要求を示す信号などが含まれる。
この電子制御装置26からは、エンジン2の出力を制御する信号、油圧制御装置19を介して、ロックアップクラッチ18の係合・解放を制御する信号、油圧制御装置19を介して変速機4の変速比を制御する信号、エアコン20の冷房・暖房、および温度を制御する信号、燃料噴射装置13,14における燃料噴射時期および燃料噴射量を制御する信号などが出力される。これらの制御をおこなうために、前記電子制御装置26には、燃料の種類の切替え条件、複数の燃料同士の噴射割合などのデータが記憶されている。また、変速機4が有段変速機である場合、変速比を制御するために、車速およびアクセル開度に基づいて変速比を制御するためのマップが記憶されている。また、変速機が無段変速機である場合、エンジン出力を最適燃費曲線に沿って制御するためのマップが記憶されている。さらに、車速およびアクセル開度に基づいて、ロックアップクラッチ18の係合・解放を制御する領域を定めたマップが記憶されている。
(制御例1)
上記のように構成された車両1で実行可能な制御例1を、図1に基づいて説明する。まず、車両1の走行中に、エンジン回転数およびエンジン負荷、スロットル開度、その他のセンサやスイッチなどの信号が電子制御装置26により読み込まれる(ステップS1)。エンジン負荷は、例えば、次のようにして求められる。車速およびアクセル開度に基づいて、要求駆動力が求められ、その要求駆動力に基づいて、エンジン2の目標回転数および目標トルクが算出される。さらに、エアコン20の駆動要求がある場合、エンジン2の動力の一部が、コンプレッサ21の駆動に消費されるので、その駆動トルクを前記目標トルクに加えて、最終的なエンジン負荷が求められる。
上記のように構成された車両1で実行可能な制御例1を、図1に基づいて説明する。まず、車両1の走行中に、エンジン回転数およびエンジン負荷、スロットル開度、その他のセンサやスイッチなどの信号が電子制御装置26により読み込まれる(ステップS1)。エンジン負荷は、例えば、次のようにして求められる。車速およびアクセル開度に基づいて、要求駆動力が求められ、その要求駆動力に基づいて、エンジン2の目標回転数および目標トルクが算出される。さらに、エアコン20の駆動要求がある場合、エンジン2の動力の一部が、コンプレッサ21の駆動に消費されるので、その駆動トルクを前記目標トルクに加えて、最終的なエンジン負荷が求められる。
このステップS1についで、複数の燃料の供給状態を切り替えるタイミングであるか否かが、予め定められた条件に基づいて判断される(ステップS2)。ここで、「複数の燃料の供給状態」には、使用する燃料の種類、燃料の供給量、供給する燃料同士の割合または比率が含まれる。また、予め定められた条件としては、燃料の残量、車両1の走行経路の道路状況、燃料切替スイッチの操作状態が挙げられる。例えば、いずれか一方の燃料のみを使用している場合に、その燃料の残量が少なくなった場合は、他の燃料に切り替えるタイミングの一例である。さらに、アルコールおよび水素は、ガソリンに比べて排気ガスが少なく、オクタン価が高いという特性を有するため、燃料の特性を利用して、複数の燃料の供給状態を切り替える条件を決定することも可能である。例えば、市街地などのように、車両1が停止する頻度が高い道路状況は、使用する燃料を、ガソリンから水素に切り替えるタイミングの一例である。これとは逆に、郊外などのように、車両1の停止頻度が比較的少ない道路状況は、使用する燃料を、水素からガソリンに切り替えるタイミングの一例である。さらにまた、燃料切替スイッチが操作された場合は、ガソリンからアルコールに切り替える、またはアルコールからガソリンに切り替えるタイミングの一例である。なお、これらの一例は、いずれも一方の燃料から他の燃料に切り替えられるタイミング一例であるが、複数の燃料を共に使用している場合に、その燃料同士の供給割合を切り替えるタイミングも、予め定められた条件により判断可能である。
上記のステップS2で否定的に判断された場合はリターンされ、ステップS2で肯定的に判断された場合は、変速機4で変速比の変更中であるか否かが判断される(ステップS3)。このステップS3で肯定的に判断された場合はリターンし、ステップS3で否定的に判断された場合は、複数の燃料の供給状態を切り替える前におけるエンジントルク(1)が求められる(ステップS4)。例えば、吸入空気量、燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期などに基づいて、エンジントルクを求めることが可能である。なお、トルクセンサを用いて、エンジントルクを求めることも可能である。このステップS4についで、複数の燃料の供給状態を切り替えた後におけるエンジントルク(2)を推定する(ステップS5)。このステップS5の時点では、未だ、燃料の供給状態を切り替える制御は開始されていないので、エンジントルクを推定する。前記電子制御装置26には、燃料の供給状態の切替後における燃料の種類、および使用される燃料の供給状態から、エンジントルクを推定するマップが予め記憶されており、そのマップを読み込むことで、ステップS5の処理がおこなわれる。
このステップS5についで、燃料の供給状態の切替後における、複数の燃料の噴射割合(3)を求める(ステップS6)。複数の燃料の噴射割合とは、複数の燃料を同時に供給する場合における、燃料同士の噴射割合である。なお、単数種類の燃料のみが供給される場合は、供給される燃料と、供給されない燃料との割合が、複数の燃料の噴射割合である。このステップS6の処理も、電子制御装置26に記憶されているマップを読み込んでおこなわれる。このステップS6についで、燃料の切替制御を開始してから終了するまでの間におけるエンジントルク、つまり、過渡時のエンジントルク(4)を推定する(ステップS7)。このステップS7の時点でも、未だ燃料の供給状態を切り替える制御は開始されておらず、ステップS4,S5,S6の処理結果を用いて、ステップS7で求められるエンジントルクも推定値である。このステップS7においても、電子制御装置26に予め記憶されているマップが用いられる。このステップS7についで、過渡時のエンジントルク(4)を、燃料の供給状態の切替制御をおこなう前のエンジントルク(1)と等しくするために、エアコン負荷の目標値を算出する(ステップS8)。
具体的には、エンジントルク(1)から増加したエンジントルク(4)が推定されている場合は、エアコン負荷を相対的に増加するように目標値が算出される。すなわち、コントロールバルブ23を制御するDUTY比を大きくする目標値が算出される。これに対して、エンジントルク(1)から減少したエンジントルク(4)が推定されている場合は、エアコン負荷を相対的に減少するように目標値が算出される。すなわち、コントロールバルブ23を制御するDUTY比を小さくする目標値が算出される。このステップS8で求められたエアコン負荷に基づいて、実際のエアコン負荷を増加または減少させる制御がおこなわれる(ステップS9)とともに、燃料の供給状態を切り替える制御を実行し(ステップS10)、リターンされる。このステップS10では、ステップS6で求めた燃料の噴射割合(3)で、燃料の噴射割合が制御される。なお、エンジントルク(1)、(2)、(4)は、いずれもエンジン2から流体伝動装置3に伝達されるトルクである。
つぎに、図1の制御例に対応するタイムチャートの一例を図3に基づいて説明する。図3のタイムチャートにおいて、横軸には時間が示され、縦軸にはアクセル開度、ガソリン噴射量、アルコール噴射量、エアコン負荷、エンジントルクが示されている。この図3のタイムチャートは、エンジン2に供給する燃料を、ガソリンからアルコールに切替える場合にエンジントルクが増加することを、エアコン負荷を増加して抑制する例である。図3に示すエンジントルクは、エンジン2から流体伝動装置3に伝達されるトルクである。図3のタイムチャートは、時間の経過に関わりなく、アクセル開度が一定である場合を示している。まず、時刻t1以前においては、ガソリンが噴射され、かつ、アルコールは噴射されていないとともに、エアコン負荷がほぼ一定に制御されている。このため、時刻t1以前では、エンジントルクもほぼ一定である。
その後、供給する燃料をガソリンからアルコールに切り替えるタイミングになり、時刻t1からガソリン噴射量が減少を開始し、かつ、アルコール噴射量が増加し始めている。この制御と並行して、時刻t1からエアコン負荷が増加されている。このため、時刻t1以降も、エンジントルクは時刻t1以前と同様にほぼ一定に制御される。そして、時刻t2以降は、ガソリンの噴射が停止され、かつ、アルコールが噴射される状態となり、アルコールの噴射量が一定に制御されている。また、時刻t2以降はエアコン負荷がほぼ一定に制御されている。このような制御により、時刻t1から時刻t2までの間、および時刻t2以降もエンジントルクが一定に制御される。このように、図1の制御例によれば、ガソリンからアルコールへの燃料の切替にともなうエンジン2の動力の増加分を、エアコン負荷を増加することで消費する。したがって、燃料の切替前、および燃料の切替中、および燃料の切替後に亘り、エンジン2から流体伝動装置3に伝達されるトルクを常時一定に維持することができる。言い換えれば、燃料の切替による車両1の駆動力の変化を抑制できる。
これに対して、図3に破線で示すように、時刻t1以前から時刻t2以降に亘って、エアコン負荷をほぼ一定に制御するとともに、エンジンに供給する燃料をガソリンからアルコールに切り替えると、破線で示すように時刻t1からエンジントルクが上昇を開始し、時刻t2以降はほぼ一定となる。このため、エンジンに供給する燃料をガソリンからアルコールへ切替る過程で、車両1の駆動力が変化する。なお、タイムチャートには示さないが、エンジン2に供給する燃料をアルコールからガソリンに切り替える場合、エンジントルクの減少が予測されるため、エアコン負荷を低下させることで、燃料の切替え途中におけるエンジントルクの変動(低下)を抑制することが可能である。したがって、車両1の駆動力の変化(低下)を抑制できる。
(制御例2)
つぎに、図2に示された車両1で実行可能な制御例2を、図4のフローチャートに基づいて説明する。図4のフローチャートにおいて、図1のフローチャートと同じ制御をおこなう場合は、図1のステップ番号と同じステップ番号を付してある。この制御例2は、燃料の切替時に、電子スロットルバルブ9の開度を制御することにより、エンジン2から流体伝動装置3に伝達されるトルクの変動を抑制する制御であり、制御例2も車両1の走行中におこなわれる。制御例1と制御例2との相違点を説明すると、図4のフローチャートにおいては、ステップS7についで、エンジントルク(4)がエンジントルク(1)と等しくなるように、電子スロットルバルブ9の開度が求められる(ステップS11)。具体的には、エンジントルク(1)から増加したエンジントルク(4)が推定されている場合は、電子スロットルバルブ9の開度を相対的に減少させる量、つまり、閉じ量が算出される。これは、吸入空気量を相対的に減らすことで、エンジントルクの増加を抑制するためである。これに対して、エンジントルク(1)から減少したエンジントルク(4)が推定されている場合は、電子スロットルバルブ9の開度を相対的に増加する量、つまり、開き量が算出される。これは、吸入空気量を相対的に増加することで、エンジントルクの低下を抑制するためである。このステップS11で求められた電子スロットルバルブ9の閉じ量または開き量の目標値に基づいて、実際の電子スロットルバルブ9の閉じ量または開き量が制御され(ステップS12)、ステップS10に進む。
つぎに、図2に示された車両1で実行可能な制御例2を、図4のフローチャートに基づいて説明する。図4のフローチャートにおいて、図1のフローチャートと同じ制御をおこなう場合は、図1のステップ番号と同じステップ番号を付してある。この制御例2は、燃料の切替時に、電子スロットルバルブ9の開度を制御することにより、エンジン2から流体伝動装置3に伝達されるトルクの変動を抑制する制御であり、制御例2も車両1の走行中におこなわれる。制御例1と制御例2との相違点を説明すると、図4のフローチャートにおいては、ステップS7についで、エンジントルク(4)がエンジントルク(1)と等しくなるように、電子スロットルバルブ9の開度が求められる(ステップS11)。具体的には、エンジントルク(1)から増加したエンジントルク(4)が推定されている場合は、電子スロットルバルブ9の開度を相対的に減少させる量、つまり、閉じ量が算出される。これは、吸入空気量を相対的に減らすことで、エンジントルクの増加を抑制するためである。これに対して、エンジントルク(1)から減少したエンジントルク(4)が推定されている場合は、電子スロットルバルブ9の開度を相対的に増加する量、つまり、開き量が算出される。これは、吸入空気量を相対的に増加することで、エンジントルクの低下を抑制するためである。このステップS11で求められた電子スロットルバルブ9の閉じ量または開き量の目標値に基づいて、実際の電子スロットルバルブ9の閉じ量または開き量が制御され(ステップS12)、ステップS10に進む。
この制御例2に対応するタイムチャートを図3に基づいて説明する。図3では縦軸に電子スロットルバルブ9の開度(スロットル開度)が示されている。この図3のタイムチャートは、ガソリンからアルコールへの切替によりエンジントルクが増加することを、電子スロットルバルブ9の開度を相対的に減少することにより抑制する場合に相当する例である。そして、時刻t1以前においては、電子スロットルバルブ9の開度はほぼ一定に制御されている。時刻t1以降、電子スロットルバルブ9の開度を、実線で示すように減少させる制御がおこなわれる。そして、時刻t2以降、電子スロットルバルブ9の開度は実線で示すように一定に制御される。この制御例2においても、燃料の切替がおこなわれる時刻t1から時刻t2の間、電子スロットルバルブ9の開度が減少されるため、エンジン2から流体伝動装置3に伝達されるトルクは、時刻t1以前から時刻t2以降に亘り、ほぼ一定に制御される。すなわち、燃料の切替によるエンジントルクの変動を抑制できる。したがって、車両1の駆動力の変動を抑制できる。
これに対して、時刻t1以降も、電子スロットルバルブ9の開度を、破線で示すように時刻t1以前と同じ値に制御すると、時刻t1から破線で示すようにエンジントルクが増加し始め、時刻t2以降はエンジントルクがほぼ一定となる。つまり、燃料を切り替える制御の実行によりエンジントルクが変化し、かつ、車両1の駆動力が変化することとなる。なお、タイムチャートには示さないが、アルコールからガソリンに切り替える場合、エンジントルクの減少が予測されるため、電子スロットルバルブ9の開度を増加させることで、燃料の切替え途中におけるエンジントルクの変動(低下)を抑制することが可能である。したがって、車両1の駆動力の変化(低下)を抑制できる。
さらに、図3のタイムチャートの説明では、「ガソリンが供給され、かつ、アルコールを供給しない状態」から、「アルコールが供給され、かつ、ガソリンを供給しない状態」に切り替える場合を例として説明している。これに対して、時刻t1以前にガソリンおよびアルコールが共に供給されている場合において、時刻t1以前におけるガソリンの噴射量よりも、時刻t2以降におけるガソリンの噴射量を減少させ、時刻t1以前におけるアルコールの噴射量よりも、時刻t2以降におけるアルコールの噴射量を増加させる制御をおこなう場合に、エアコン負荷を増加させる制御、または電子スロットルバルブ9の開度を減少させる制御をおこなうことにより、エンジン2から流体伝動装置3に伝達されるトルクの増加を抑制することも可能である。したがって、複数種類の燃料の噴射量を切替える過程で、車両1の駆動力が変動することを抑制できる。
また、時刻t1以前にガソリンおよびアルコールが共に供給されている場合において、時刻t1以前におけるガソリンの噴射量よりも、時刻t2以降におけるガソリンの噴射量を増加させ、時刻t1以前におけるアルコールの噴射量よりも、時刻t2以降におけるアルコールの噴射量を減少させる制御をおこなう場合に、エアコン負荷を減少させる制御、または電子スロットルバルブ9の開度を増加させる制御をおこなうことにより、エンジン2から流体伝動装置3に伝達されるトルクの低下を抑制することもできる。したがって、複数種類の燃料の噴射量を切替える過程で、車両1の駆動力が変動することを抑制できる。
(制御例3)
つぎに、図2に示す車両1で実行可能な制御例3を、図5のフローチャートに基づいて説明する。図5のフローチャートにおいて、図1のフローチャートと同じ制御をおこなう場合は、図1のステップ番号と同じステップ番号を付してある。この制御例3は、燃料の切替時に、変速機4の変速比を制御することにより、エンジン4から車輪6に伝達されるトルクの変動を抑制する制御であり、制御例3も車両1の走行中におこなわれる。この制御例3では、変速機4として無段変速機が用いられている場合を例として説明する。以下、変速機4を便宜上、「無段変速機4」と記す。
つぎに、図2に示す車両1で実行可能な制御例3を、図5のフローチャートに基づいて説明する。図5のフローチャートにおいて、図1のフローチャートと同じ制御をおこなう場合は、図1のステップ番号と同じステップ番号を付してある。この制御例3は、燃料の切替時に、変速機4の変速比を制御することにより、エンジン4から車輪6に伝達されるトルクの変動を抑制する制御であり、制御例3も車両1の走行中におこなわれる。この制御例3では、変速機4として無段変速機が用いられている場合を例として説明する。以下、変速機4を便宜上、「無段変速機4」と記す。
まず、エンジン回転数、エンジン負荷、無段変速機4の変速比などの信号およびデータが、電子制御装置26により読み込まれる(ステップS21)。このステップS21についで、燃料を切替えるタイミングであるか否かが判断される(ステップS2)。このステップS2で否定的に判断された場合はリターンされ、ステップS2で肯定的に判断された場合は、無段変速機4の変速比を変更中であるか否かが判断される(ステップS22)。ここで、無段変速機4の変速比の制御について説明する。まず、車速およびアクセル開度に基づいて要求駆動力が求められ、要求駆動力に基づいて、エンジンの目標回転数および目標トルクが求められる。具体的には、要求駆動力に基づいてエンジン出力を制御するために、エンジン2の運転状態を最適燃費曲線に近づけるように、エンジン2の目標回転数および目標トルクが求められる。そして、実際のエンジントルクを目標エンジントルクに近づけるように、電子スロットルバルブ9の開度、燃料噴射量、点火時期などのうち、少なくとも1つの事項が制御される。一方、実際のエンジン回転数を目標エンジン回転数に近づけるように、無段変速機4の目標変速比が決定される。この無段変速機4の変速比とは、無段変速機4の入力回転数を出力回転数で除した値である。そして、無段変速機4の実際の変速比を目標変速比に近づけるために、無段変速機4の変速比が変更される。前記ステップS22で判断される事項は、この無段変速機4の変速比を変更中であるか否かである。
そして、無段変速機4の実際の変速比が目標変速比と一致していなければ、ステップS22で肯定的に判断されてリターンする。これは、燃料の切替にともなう駆動力の変動を抑制するための無段変速機4の変速比の制御と、エンジン2の運転状態を最適燃費線に近づけるための無段変速機4の変速比の制御とが、重なることを回避するためである。これに対して、無段変速機4の実際の変速比が目標変速比と一致していれば、ステップS22で否定に判断されて、ロックアップクラッチ18が係合されているか否かが判断される(ステップS23)。このステップS23で否定的に判断された場合はリターンされる。これは、ロックアップクラッチ18が解放されている場合、無段変速機4に入力されるトルクを推定することが困難であり、以後におこなわれる無段変速機4の変速比の制御が困難だからである。
これに対して、ステップS23で肯定的に判断された場合は、ステップS4ないしステップS7の処理を実行する。さらに、ステップS7についで、エンジントルク(1)の場合に対応する無段変速機4の出力トルク(CVTアウトプットトルク)(5)を求め、かつ、エンジントルク(4)の場合に対応する無段変速機4の出力トルク(CVTアウトプットトルク)(6)を求める(ステップS24)。つまり、燃料の切替前における無段変速機4の出力トルク(5)と、燃料の切替途中における無段変速機4の出力トルク(6)とが求められる。なお、ステップS24の時点では、無段変速機4の変速比を変更する制御はおこなわれておらず、無段変速機4の出力トルク(6)は推定である。このステップS24の処理は、エンジントルク(1)、(4)および無段変速機4の変速比を用いておこなわれる。このステップS24についで、無段変速機4の出力トルク(5)と無段変速機4の出力トルク(6)とが等しくなるための「無段変速機の目標変速比」を算出する(ステップS25)。さらに、無段変速機4の実変速比を、ステップS25で求められた目標変速比に変更する制御をおこない(ステップS26)、かつ、ステップS10に進む。
この制御例3に対応するタイムチャートの一例を、図6に基づいて説明する。図6のタイムチャートにおいて、横軸には時間が示され、縦軸にはアクセル開度、ガソリン噴射量、アルコール噴射量、エンジントルク、無段変速機4の変速比(CVT増速比)、車両の駆動力が示されている。この図6のタイムチャートは、ガソリンからアルコールへの切替により、エンジントルクが増加することを、無段変速機4の変速比を小さくすることにより抑制する場合に相当する例である。図6に示すエンジントルクは、エンジン2から無段変速機4に伝達されるトルクである。図6のタイムチャートは、時間の経過に関わりなく、アクセル開度が一定である場合を示している。まず、時刻t3以前においては、ガソリンが噴射され、かつ、アルコールは噴射されていないとともに、エンジントルクがほぼ一定に制御されている。また、時刻t3以前において、無段変速機4の変速比はほぼ一定に制御され、かつ、車両の駆動力もほぼ一定である。
その後、供給する燃料をガソリンからアルコールに切り替えるタイミングになり、時刻t3からガソリン噴射量が減少を開始し、かつ、アルコール噴射量が増加し始めている。この制御と並行して、時刻t3から無段変速機4の変速比を小さくする変速(アップシフト)が開始されている。このため、時刻t3以降は、燃料の切替開始によりエンジントルクが増加しているが、無段変速機4の変速比が小さくなる変速がおこなわれているため、無段変速機4におけるトルクの増幅比が減少し、時刻t3以降も、車両の駆動力が実線で示すように一定に維持される。そして、時刻t4以降はアルコールの噴射量が一定に制御され、かつ、ガソリンが噴射されなくなる。このため、時刻t4以降はエンジントルクが、ほぼ一定となる。また、時刻t4以降、無段変速機4の変速比はほぼ一定に制御され、かつ、車両の駆動力もほぼ一定に制御される。このように、図5の制御例によれば、ガソリンからアルコールへの燃料の切替にともないエンジントルクが増加するが、無段変速機4の変速比を小さくすることで、車両の駆動力の変動を抑制できる。したがって、燃料の切替前、および燃料の切替中、および燃料の切替後に亘り、車両の駆動力を一定に維持することができる。これに対して、図6に破線で示すように、時刻t3から時刻t4以降に亘って、無段変速機の変速比をほぼ一定に制御すると、ガソリンからアルコールへの切替により、破線で示すように時刻t3から車両の駆動力が増加を開始し、時刻t4以降はほぼ一定となる。なお、タイムチャートには示さないが、アルコールからガソリンに切り替える場合、エンジントルクが減少するため、無段変速機4の変速比を大きくする変速(ダウンシフト)を実行することで、車両1の駆動力の変化(低下)を抑制できる。
さらに、図6のタイムチャートの説明では、「ガソリンが供給され、かつ、アルコールが供給されていない状態」から、「アルコールが供給され、かつ、ガソリンを供給しない状態」に切り替える場合を例として説明している。これに対して、時刻t3以前にガソリンおよびアルコールが共に供給されている場合において、時刻t3以前におけるガソリンの噴射量よりも、時刻t3以降におけるガソリンの噴射量を減少させ、時刻t3以前におけるアルコールの噴射量よりも、時刻t3以降におけるアルコールの噴射量を増加させる制御をおこなう場合に、無段変速機4の変速比を小さくする制御をおこなうことにより、車両1の駆動力の変化を抑制することも可能である。
また、時刻t3以前にガソリンおよびアルコールが共に供給されている場合において、時刻t3以前におけるガソリンの噴射量よりも、時刻t3以降におけるガソリンの噴射量を増加させ、時刻t3以前におけるアルコールの噴射量よりも、時刻t3以降におけるアルコールの噴射量を減少させる制御をおこなう場合は、無段変速機4の変速比を大きくする制御をおこなうことにより、エンジン2から車輪6に伝達されるトルクの低下を抑制することもできる。したがって、複数種類の燃料の噴射量を切替える過程で、車両1の駆動力が変動することを抑制できる。なお、制御例3は、変速機4が有段変速機である場合にも実行可能である。この場合、変速機4の変速比は、電子制御装置26に記憶されているマップに基づいて制御される。すなわち、車速およびアクセル開度に基づいて、アップシフトまたはダウンシフトがおこなわれる。そして、その有段変速機で変速比の変更中であるか否かが、ステップS22で判断される。また、ステップS24では有段変速機の出力トルク(5)、(6)が求められる。さらに、ステップS26では有段変速機の変速比が変更される。
上記の制御例1ないし制御例3は、それぞれ単独で実行することも可能であるが、複数の制御例を組み合わせて実行することも可能である。特に、請求項3の発明では、制御例1および制御例2が共に実行される。ここで、図1に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、ステップS2が、この発明における判断手段に相当し、ステップS3,S4,S5,S6,S7,S8,S9,S10が、この発明におけるトルク制御手段に相当する。また、ステップS4で求めるエンジントルク(1)が、この発明における第1エンジントルクに相当し、ステップS7で求めるエンジントルク(4)が、この発明の第2エンジントルクに相当する。また、図4に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係は、図1に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係と同じである。また、図4に示された機能的手段のうち、ステップS11,S12も、この発明のトルク制御手段に相当する。
さらに、請求項4の発明では、制御例3と、制御例1または制御例2のうちの少なくとも一方が組み合わせて実行される。そして、図5に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、図5に示されたステップS2が、この発明における判断手段に相当し、ステップS22,S23,S5,S6,S7,S24,S25,S26,S10が、この発明におけるトルク制御手段に相当する。
さらに、上記の具体例で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、車両1が、この発明における車両に相当し、ガソリン、アルコール、軽油、天然ガスが、この発明における複数種類の燃料に相当し、車輪6が、この発明における車輪に相当し、エンジン2が、この発明におけるエンジンに相当し、燃料タンク11,12および燃料噴射装置13,14が、この発明における燃料供給装置に相当し、電子制御装置26が、この発明におけるコントローラに相当し、エアコン20が、この発明における空調装置に相当し、燃焼室7が、この発明における燃焼室に相当し、電子スロットルバルブ9およびアクチュエータ10が、この発明における空気量制御装置に相当し、変速機4が、この発明における変速機に相当する。
1…車両、 2…エンジン、 4…変速機、 6…車輪、 7…燃焼室、 9…電子スロットルバルブ、 10…アクチュエータ、 11,12…燃料タンク、 13,14…燃料噴射装置、 20…エアコンディショナ、 26…電子制御装置。
Claims (4)
- 車両に搭載され、かつ、燃料の燃焼により動力を発生して、その動力を車輪に伝達するエンジンと、このエンジンの燃焼室に複数種類の燃料を供給可能な燃料供給装置と、予め定められた条件に基づいて前記燃料供給装置を制御することにより、前記複数種類の燃料の供給状態を制御するコントローラと、前記エンジンの動力で駆動され、かつ、前記車両の室内の温度を制御する空調装置とを有する駆動力制御装置において、
前記エンジンに対する複数種類の燃料の供給状態が変更されるか否かを判断する判断手段と、
前記複数種類の燃料の供給状態が変更されると判断された場合に、前記空調装置の負荷を制御することにより、前記複数種類の燃料の供給状態が変更されて生じるエンジントルクの変動を抑制するトルク制御手段と
を備えていることを特徴とする駆動力制御装置。 - 前記トルク制御手段は、前記複数種類の燃料の供給状態を変更する以前の第1エンジントルクを求める手段と、前記複数種類の燃料の供給状態を変更中における第2エンジントルクが、前記第1エンジントルクと等しくなるように、前記空調装置の負荷を制御する手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。
- 前記燃料の燃焼室に吸入される空気の量を制御する空気量制御装置が設けられており、
前記トルク制御手段は、前記空調装置の負荷を制御し、かつ、前記燃焼室に吸入される空気の量を制御することにより、前記エンジントルクの変動を抑制する手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の駆動力制御装置。 - 前記エンジンから前記車輪に至る動力伝達経路に、入力回転数と出力回転数との間の変速比を変更可能な変速機が設けられており、
前記トルク制御手段は、前記空調装置の負荷を制御し、かつ、前記変速機の変速比を制御することにより、前記エンジントルクの変動を抑制する手段を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の駆動力制御装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015129489A (ja) * | 2014-01-08 | 2015-07-16 | 本田技研工業株式会社 | 車両の制御装置 |
DE112011105488B4 (de) | 2011-08-03 | 2018-08-09 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Steuerungsgerät für Brennkraftmaschine |
-
2007
- 2007-09-14 JP JP2007239929A patent/JP2009068455A/ja active Pending
Cited By (2)
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