JP6029602B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の制御装置に関する。より詳しくは、アルコールとガソリンの混合燃料をオクタン価の異なる2つの燃料に分離する分離装置を備えた車両の制御装置に関する。
内燃機関の燃料として、さとうきび、とうもろこし、じゃがいもなど多くの作物から製造できるアルコール燃料が注目されている。特に近年では、アルコール燃料をガソリンに添加した混合燃料が流通しており、今後さらに普及すると予測されている。なお、アルコール燃料にはエタノールやメタノールなど様々な種類があるが、以下では、アルコール燃料として最も多く普及しているエタノールを例として説明する。
このような混合燃料の普及とあわせて、外部から給油された混合燃料を、車両上で高ガソリン濃度の燃料と高エタノール濃度の燃料に再び分離する分離装置に関する研究も進められている。ガソリンとエタノールとでは、例えばオクタン価や発熱量など燃料物性において様々な異なる点があるため、外部から給油された混合燃料をそのまま利用するよりも、車両上で再び分離し、用途や状態に応じてガソリンとエタノールとを使い分けたり、混合割合を変えて用いたりする方が好ましい場合がある。とりわけエタノールはガソリンよりもオクタン価が高くノッキングを抑制するのに効果的である。このため、特に高負荷域では低負荷域よりもエタノールを多めに噴射することによりノッキングを抑制できる。
ところが、最も多く扱われている混合燃料のエタノール濃度は10%程度であり、混合燃料から分離して得られるエタノールの量はガソリンに比べて少ない。このように量はエタノールの方が少ないため、一般的には、走行中にガソリンよりもエタノールの方が先に消費しきってしまう場合が多い。
特許文献1の発明では、高オクタン価ガソリンと低オクタン価ガソリンとを用いたエンジン運転時において、それぞれの燃料の残量に応じて点火時期を調整しながら燃料の使用割合を制御することによって、2種の燃料の残量の過度な偏りを防ぐ。
特開2005−155469号公報
特許文献1の発明によれば、高オクタン価ガソリン及び低オクタン価ガソリンの何れかの偏った消費を防止できるものの、筒内のオクタン価を変更することによるエンジンの熱効率の変化については十分に検討されていない。このため特許文献1の発明では、燃料の偏った消費を是正するあまり、結果として燃費が悪化したりエンジンの出力が低下したりするおそれがある。
本発明は、ガソリンとアルコールの混合燃料を用いて走行する車両の制御装置であって、燃費の悪化を小さく抑えながら2種の燃料の偏った消費を抑制できる車両の制御装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の車両(例えば、後述の車両1)の制御装置は、アルコールとガソリンの混合燃料を第1燃料と当該第1燃料よりも高オクタン価の第2燃料とに分離する分離装置(例えば、後述の分離装置612)と、前記第1燃料(例えば、後述のメインタンク611内に残る燃料)を内燃機関の気筒内に噴射する第1噴射装置(例えば、後述の直噴インジェクタ63)と、前記第2燃料(例えば、後述のサブタンク613内に残る燃料)を前記機関の吸気ポート内に噴射する第2噴射装置(例えば、後述のポートインジェクタ62)と、前記機関の出力軸に設けられた変速機(例えば、後述の変速機TM)と、所定の入力に基づいて所定のマップを検索することにより前記第1及び第2噴射装置からの燃料の噴射割合を算出する噴射割合算出手段(例えば、後述のECU7)を有し、当該算出された噴射割合を用いて前記第1及び第2噴射装置の燃料の噴射割合を制御する噴射制御手段(例えば、後述のECU7)と、所定の入力に基づいて所定のマップを検索することにより前記気筒に設けられた点火装置(例えば、後述の点火プラグ23)の点火時期を算出する点火時期算出手段(例えば、後述のECU7)を有し、当該算出された点火時期を用いて前記点火装置の点火時期を制御する点火制御手段(例えば、後述のECU7)と、前記車両に残存する全燃料に対するアルコール又は第2燃料の残量割合(例えば、後述のエタノール残量パラメータ)及び前記車両の状態に基づいて前記機関の目標回転数を算出する目標回転数算出手段(例えば、後述のECU7)を有し、前記機関の回転数が前記目標回転数になるように前記変速機の変速比を制御する変速比制御手段(例えば、後述のECU7)と、を備え、前記噴射割合算出手段及び前記点火時期算出手段は、それぞれ第2燃料消費率が異なる複数のマップを有し、前記残量割合に応じて選択されたマップを用いて前記噴射割合及び点火時期を算出する。
(2)この場合、前記噴射割合算出手段及び前記点火時期算出手段は、それぞれ基準マップと当該基準マップよりも前記第2燃料消費率が大きな余剰時マップとを有し、前記残量割合が前記基準マップと対応する第1所定値から前記余剰時マップと対応しかつ前記第1所定値より大きな第2所定値までの範囲内である場合には、前記基準マップ及び前記余剰時マップによって得られた値を補間することが好ましい。
(3)この場合、前記噴射割合算出手段及び前記点火時期算出手段は、それぞれ前記基準マップよりも前記第2燃料消費率が小さな節約時マップをさらに有し、前記節約時マップと対応しかつ前記第1所定値より小さな第3所定値から前記第1所定値までの範囲内である場合には、前記節約時マップ及び前記基準マップによって得られた値を補間することによって前記噴射割合及び点火時期を算出することが好ましい。
(4)この場合、前記目標回転数算出手段は、前記残量割合が増加するほど前記目標回転数を減少させることが好ましい。
(1)本発明の車両の制御装置は、高オクタン価の第2燃料(換言すれば、高アルコール濃度の燃料)の残量割合に応じて第2燃料消費率が異なる複数のマップのうちの何れかを選択し、選択したマップを用いて噴射割合及び点火時期を決定する。このように、第2燃料の残量割合に応じて異なる態様で噴射割合と点火時期を決定することにより、ノッキングを抑制しながらかつ第1燃料及び第2燃料の何れかの燃料の偏った消費も抑制できる。また、このように噴射割合や点火時期を決定するのに用いられるマップを変更すると、結果として機関の熱効率特性も変化する(例えば、後述の図8参照)。そこで本発明では、マップを選択するのに用いられる第2燃料の残量割合と車両の状態に基づいて目標回転数を算出し、機関の回転数が目標回転数になるように変速比を制御する。これにより、マップの変更に伴う機関の熱効率特性の変化に合わせて機関の回転数及び負荷を最適化できるので、マップの変更に伴う燃費の悪化を抑制できる。以上より、本発明によれば、燃費の悪化を小さく抑えながらガソリンとアルコールの何れかの偏った消費を抑制できる。
(2)本発明の車両の制御装置では、噴射割合及び点火時期の決定に用いられるマップとして、基準マップとこれより第2燃料消費率が大きな余剰時マップとを用いる。そして、第2燃料の残量割合が第1所定値(基準マップに対応)から第2所定値(余剰時マップ)の範囲内である場合には、これら基準マップ及び余剰時マップを用いて得られる値を補間することによって噴射割合及び点火時期を算出する。これにより、第2燃料の残量割合が、基準マップが選択される第1所定値より多く余剰時マップが選択される第2所定より小さな中間的な量であっても、この残量割合に応じて適切な態様で噴射割合及び点火時期を決定できる。
(3)本発明の車両の制御装置では、噴射割合及び点火時期の決定に用いられるマップとして、基準マップとこれより第2燃料消費率が小さな節約時マップとを用いる。そして、第2燃料の残量割合が第1所定値(基準マップに対応)から第3所定値(節約時マップ)の範囲内である場合には、これら基準マップ及び節約時マップを用いて得られる値を補間することによって噴射割合及び点火時期を算出する。これにより、第2燃料の残量割合が、基準マップが選択される第1所定値より少なく節約時マップが選択される第3所定値より大きな中間的な量であっても、この残量割合に応じて適切な態様で噴射割合及び点火時期を決定できる。
(4)本発明では、第2燃料の残量割合が増加するほど目標回転数を減少させる。すなわち、第2燃料の残量割合が増加するほど、機関の運転領域をより低回転−高負荷側に変更させる。これにより、機関の熱効率特性の変化に合わせて適切に車両の燃費を向上できる。
本発明の一実施形態に係る車両の構成を示す図である。 エンジン及び燃料供給システムの構成を示す図である。 燃料マネジメント処理、トランスミッション制御、及びエンジン制御等の手順を模式的に示す図である。 エタノール残量パラメータと4つの運転モードとの関係を示す図である。 各運転モードにおけるエンジン負荷と噴射割合及び点火時期との関係を示す図である。 各運転モードにおけるエンジン負荷と熱効率及び正味燃料消費率との関係を示す図である。 噴射割合マップの具体例を示す図である。 各運転モードの熱効率特性を示す図である。 エンジンの運転ポイントの時間頻度重心を、エンジンの等出力線図にプロットした図である。 各運転モードのエタノール消費率と燃費との関係を示す図である。 エタノール残量パラメータと4つの運転モードとの関係を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる車両1の構成を示す図である。
車両Vは、内燃機関(以下、「エンジン」という)1と、エンジン1の出力軸に設けられ、その回転数を変速して駆動輪Wに伝達する変速機TMと、外部から供給されたガソリンとアルコール(例えば、エタノール)燃料を貯蔵しておき、これをエンジン1に供給する燃料供給システム6と、これらを制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という)7と、を備える。なお以下では、変速機TMとして、エンジン1の回転数を無段階に変速する所謂無段変速機(CVT)を用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。例えば、エンジン1の回転数を有段階に変速する所謂自動変速機(AT)を用いることもできる。
次に、図2を参照しながらエンジン1及び燃料供給システム6の構成を説明する。
図2は、エンジン1及び燃料供給システム6の構成を示す図である。
エンジン1は、複数のシリンダ13を備えた多気筒エンジンである。図1には、このうちの1つを代表的に示す。エンジン1は、シリンダ13が形成されたシリンダブロック11と、シリンダヘッド12とを組み合わせて構成される。シリンダ13内には、ピストン14が摺動可能に設けられている。ピストン14の頂面とシリンダヘッド12のシリンダ13側の面により、エンジン1の燃焼室1aが形成される。ピストン14は、コンロッドを介して図示しないクランクシャフトに連結されている。すなわち、シリンダ13内におけるピストン14の往復動に応じてクランクシャフト(図示せず)が回転する。
シリンダヘッド12には、燃焼室1aと吸気管3とを接続する吸気ポート15と、燃焼室1aと排気管4とを接続する排気ポート16と、が形成されている。吸気ポート15のうち燃焼室1aに臨む吸気開口は吸気バルブ17により開閉される。排気ポート16のうち燃焼室1aに臨む排気開口は排気バルブ18により開閉される。
シリンダヘッド12には、燃焼室1a内に臨む点火プラグ23と、吸気バルブ17を開閉駆動する吸気カムシャフト19と、排気バルブ18を開閉駆動する排気カムシャフト20と、が設けられている。点火プラグ23は、図示しないイグナイタ及びそのドライバを介してECU7に接続される。点火プラグ23の点火時期は、後述の燃料噴射・点火制御によって制御される。
吸気カムシャフト19には、吸気バルブ17を開閉駆動する複数の吸気カム19aが設けられている。また、排気カムシャフト20にも同様に、排気バルブ18を開閉駆動する複数の排気カム20aが設けられている。なお、図1には、複数のカム19a,20aのうち1つのみ図示する。これらカムシャフト19,20は、それぞれスプロケットやタイミングチェーン等の図示しない連結機構を介してクランクシャフトに連結されており、クランクシャフトによって回転駆動される。より具体的には、クランクシャフトが2回転すると、カムシャフト19,20は1回転するようになっている。カムシャフト19,20が回転すると、バルブ17,18は、カム19a,20aのプロファイルに応じた態様で進退する。
吸気カムシャフト19の一端部には、クランクシャフトに対する吸気カム19aのカム位相を変更するカム位相可変機構(VTC)21が設けられている。吸気側VTC21は、吸気カムシャフト19のカム位相を無段階に進角又は遅角させることにより、吸気バルブ17の開閉タイミング(すなわち開時期(IVO)及び閉時期(IVC))を早めたり遅らせたりできる。本実施形態では、このような吸気側VTC21によってエンジン1の燃焼室1aの実効圧縮比を可変的に制御可能なアトキンソンサイクル(ミラーサイクル)での運転が実現される。すなわち、吸気バルブ17の閉時期を下死点に対し進角側又は遅角側に補正し、吸気量を減少させることにより、実効圧縮比を下げることができる。
また、排気カムシャフト20の一端部にも、クランクシャフトに対する排気カム20aのカム位相を変更し、排気バルブ18の開閉タイミング(すなわち開時期(EVO)及び閉時期(EVC))を早めたり遅らせたりするVTC22が設けられている。本実施形態では、排気側VTC22によって、排気バルブ18の閉時期を早めたり遅らせたりすることにより、排気バルブ18の閉時期と吸気バルブの開時期のバルブオーバーラップ量を可変的に制御する。
過給機5は、排気管4に設けられたタービン(図示せず)と、吸気管3に設けられたコンプレッサ(図示せず)と、を備える。タービンは、排気管4を流れる排気の運動エネルギーによって駆動される。コンプレッサは、タービンによって回転駆動され、吸気管3内の吸気をエンジン1へ圧送する。
吸気管3には、上流側から下流側へ向かって順に、過給機5のコンプレッサと、インタークーラ31と、スロットル弁32とが設けられている。インタークーラ31は、過給機5によって圧縮された吸気を冷却し、エンジン1の吸気の充填効率を向上する。スロットル弁32は、エンジン1の燃焼室1aに供給される空気の流量(以下、「吸気流量」という)を制御する。スロットル弁32は、図示しないドライバを介してECU7に接続されている。すなわち、このスロットル弁32は、運転車が操作するアクセルペダル(図示せず)と機械的な接続が絶たれたいわゆるDBW(Drive By Wire)スロットルと呼称されるものである。スロットル弁32は、後述の吸気量制御によって適切な開度に制御される。
また、吸気管3には、過給機5のコンプレッサの前後を連通するバイパス通路33と、バイパス通路33を開閉するブローオフバルブ34と、が設けられている。このブローオフバルブ34が開かれると過給機5のコンプレッサの前後が連通し、コンプレッサとスロットル弁32間の圧力(以下、「過給圧」という)が解放される。ブローオフバルブ34は、図示しないドライバを介してECU7に接続されている。ブローオフバルブ34は、後述の吸気量制御によって適切な時期に開閉される。
排気管4には、上流側から下流側へ向かって順に、過給機5のタービンと、排気を浄化する排気浄化触媒41とが設けられている。排気浄化触媒41は、例えば、三元触媒であり、排気中のHC、CO、NOx等を浄化する。
また、排気管4には、過給機5のタービンの前後を連通するバイパス通路42と、バイパス通路42を開閉するウェイストゲートバルブ43とが設けられている。このウェイストゲートバルブ43が開かれると過給機5のタービンの前後が連通し、タービンの回転数が制限され、ひいては過給圧が制限される。ウェイストゲートバルブ43は、図示しないドライバを介してECU7に接続されている。ウェイストゲートバルブ43は、後述の吸気量制御によって適切な時期に開閉される。
燃料供給システム6は、燃料を蓄える燃料貯蔵装置61と、燃料貯蔵装置61によって蓄えられた燃料をエンジン1の吸気に噴射するポートインジェクタ62と、燃料貯蔵装置61によって蓄えられた燃料を燃焼室1a内に直接噴射する直噴インジェクタ63と、を備える。
燃料貯蔵装置61は、給油口Fから供給されたエタノールとガソリンの混合燃料が導入されるメインタンク611と、メインタンク611内の混合燃料を分離する分離装置612と、分離装置612によって分離された燃料を蓄えるサブタンク613と、を備える。分離装置612は、メインタンク611内に貯蔵された混合燃料から、エタノール及び芳香族を分離し、これをサブタンク613に供給する。なお以下では、混合燃料として、最も広く流通するエタノール濃度が10%のものが用いられることを想定して説明するが、本発明はこれに限るものではない。
分離装置612は、例えば、浸透気化法(パーベーパレーション法)によって、メインタンク611内に貯蔵された混合燃料を、この混合燃料よりも低オクタン価(低エタノール濃度)の第1燃料と、この第1燃料よりも高オクタン価(高エタノール濃度)の第2燃料と、に分離する。分離装置612は、混合燃料から分離した第2燃料をサブタンク613に供給し、残る第1燃料をメインタンク611に戻す。
より具体的には、分離装置612は、混合燃料中の特定成分を選択的に透過させる分離膜612aと、この分離膜612aによって区画された高圧室612bと低圧室612cと、を備える。この分離装置612では、高圧室612bにメインタンク611内に貯蔵されている燃料を循環させ、低圧室612cを図示しないポンプによって減圧すると、高圧室612bを循環する混合燃料の一部が蒸発し、低圧室612c側へ透過し、サブタンク613に供給される。これにより、サブタンク613には、主にエタノールと芳香族からなり、外部から最初に給油された混合燃料よりオクタン価の高い第2燃料が貯蔵される。メインタンク611には、主にガソリンからなり、外部から最初に給油された混合燃料よりオクタン価の低い第1燃料が貯蔵される。
なお、このように分離装置612は、一旦メインタンク611に供給された混合燃料を循環させることによって高エタノール濃度の第2燃料を取り出すことから、メインタンク611内に貯蔵されている第2燃料のエタノール濃度は、給油直後が最大となり、その後、徐々に低下すると考えられる。
直噴インジェクタ63は、図示しない燃料ポンプを介して供給されたメインタンク611内の第1燃料を、エンジン1の燃焼室1a内に直接噴射する。直噴インジェクタ63は、図示しないドライバを介してECU7に接続される。直噴インジェクタ63の開弁時期及び開弁時間、すなわち燃焼室1a内への第1燃料の噴射時期及び噴射時間(すなわち、噴射量)は、ECU7によって制御される。
ポートインジェクタ62は、図示しない燃料ポンプを介して供給されたサブタンク613内の第2燃料を、吸気ポート15内に噴射する。ポートインジェクタ62は、図示しないドライバを介してECU7に接続される。ポートインジェクタ62の開弁時期及び開弁時間、すなわち吸気ポート15内への第2燃料の噴射時期及び噴射時間は、ECU7によって制御される。
以上のように本実施形態では、比較的多く噴射される第1燃料を直噴インジェクタ63によって噴射することにより、第1燃料をポートインジェクタ62によって噴射する場合よりも、第1燃料の潜熱によるノッキング抑制効果を大きなものにできる。
ECU7は、エンジン1に設けられた各種装置を制御する電子制御ユニットであり、CPU、ROM、RAM、及び各種インターフェースなどの電子回路を含んで構成される。ECU7には、エンジン1、燃料供給システム6、及びエンジン1を搭載した車両等の状態等を把握するため、複数のセンサ81〜97が接続されている。
過給圧センサ81は、吸気管3のうち過給機5の下流側、より具体的には吸気管3のうちインタークーラ31とスロットル弁32との間の過給圧に略比例した検出信号をECU7に出力する。水温センサ82は、エンジン1のシリンダブロック11の冷却水路(図示せず)内を流れる冷却水の温度(以下、単に「水温」という)に略比例した検出信号をECU7に出力する。なお、ECU7では、水温センサ82によって検出された水温をエンジン1の代表温度とするが、これに限らない。
吸気センサ83は、吸気管3のうちスロットル弁32の下流側の吸気の状態を検出するセンサである。より具体的には、この吸気センサ83は、対象箇所の吸気の温度(以下、「吸気温度」という)に略比例した検出信号をECU7に出力する吸気温度センサ、及び対象箇所の吸気の圧力(以下、「吸気圧」という)に略比例した検出信号をECU7に出力する吸気圧センサ等で構成される。
吸気側カムセンサ84は、吸気カムシャフト19の回転に伴い、所定のカム角ごとにパルス信号をECU7に出力する。排気側カムセンサ85は、排気カムシャフト20の回転に伴い、所定のカム角ごとにパルス信号をECU7に出力する。ECU7では、これらカムセンサ84,85から送信されるパルス信号に基づいてカムシャフト19,20の実際のカム位相を把握する。
スロットル開度センサ86は、スロットル弁32の位置(以下、「スロットル開度」という)に略比例した検出信号をECU7に出力する。
ノッキングセンサ87は、ノッキングによって生じたエンジン1の振動に応じた検出信号をECU7に出力する。ECU7は、ノッキングセンサ87からの出力に基づいてノッキングの発生を判定する。
エアフローメータ88は、吸気管3のうち過給機5のコンプレッサより上流側の吸気の流量に略比例した検出信号をECU7に出力する。
アクセルペダルセンサ89は、運転者が操作するアクセルペダルの踏み込み量を検出し、これに応じた検出信号をECU7に出力する。
車速センサ90は、車両のドライブシャフト(図示せず)に設けられ、当該ドライブシャフトが所定の角度を回転する度にパルス信号をECU7に出力する。車速は、ECU7において、車速センサ90からのパルス信号に基づいて、図示しない処理によって算出される。
クランク角センサ91は、クランクシャフトに固定されたパルサ92の回転に応じて、所定のクランク角ごとにパルス信号をECU7へ出力する。ECU7では、クランク角センサ91の出力に基づいて実際のエンジンの回転数が把握される。
LAFセンサ93は、排気管4のうち排気浄化触媒41より上流側に設けられ、排気の酸素濃度(空燃比)に略比例した検出信号をECU7へ出力する。このLAFセンサ93は、検出箇所の空燃比に略比例したリニアな出力特性を有する。
メイン濃度センサ94は、メインタンク611に貯蔵されている燃料のエタノール濃度を検出し、検出値に略比例した検出信号をECU7へ出力する。サブ濃度センサ95は、サブタンク613に貯蔵されている燃料のエタノール濃度を検出し、検出値に略比例した信号をECU7へ出力する。
メインレベルセンサ96は、メインタンク611に貯蔵されている燃料の水位を検出し、検出値に略比例した検出信号をECU7へ出力する。サブレベルセンサ97は、サブタンク613に貯蔵されている燃料の水位を検出し、検出値に略比例した信号をECU7へ出力する。メインタンク611内の燃料の残量、及びサブタンク613内の燃料の残量は、これらレベルセンサ96,97の出力に基づいてECU7によって算出される。
図3は、ECU7による車両Vの燃料マネジメント処理、トランスミッション制御、及びエンジン制御等の手順を模式的に示す図である。
図1、2を参照して説明したように、車両は、低オクタン価(低エタノール濃度)の燃料が貯蔵されるメインタンクと、高オクタン価(高エタノール濃度)の燃料が貯蔵されるサブタンクと、の2つの燃料タンクを備える。このうち高オクタン価の燃料は高負荷時に発生するノッキングを抑制するのに有効であるが、混合燃料のエタノール濃度は高々10%程度であり、限りがある。このため、単純にドライバからの要求負荷に応じて噴射割合(全インジェクタから噴射する燃料の総量に対するポートインジェクタから噴射する燃料の割合)を制御したのでは、メインタンク内の燃料よりも先にサブタンク内の燃料の方が速く消費されてしまいがちである。サブタンク内の燃料が先に無くなると、その後、高負荷要求が生じた場合には、ノッキングを抑制するために点火時期を遅角化せざるを得ず、結果として燃費が悪化してしまう。
またサブタンク内の燃料の消費をむやみに抑制すれば、サブタンク内の燃料よりも先にメインタンク内の燃料が無くなってしまう場合もある。この場合、サブタンク内の燃料のみで走行せざるを得なくなるが、エタノール等の高オクタン価燃料は体積当たりの発熱量がガソリンよりも小さいことから、高負荷領域でも点火時期をMBTにでき、熱効率の高い運転が可能であったとしても体積当りの燃料消費量(以下、単に燃費という)[km/L]は悪化するおそれがある。また、エタノールは蒸気圧が低く寒気時の始動には適さないため、始動時用の燃料を確保するためにもメインタンク内の燃料が先に無くなるのは好ましくない。
図3に模式的に示す燃料マネジメント処理は、このような燃料の偏った消費を抑制しつつ車両全体での燃費の悪化ができるだけ小さく抑えられるように、エタノールの残量に応じた適切な燃料の噴射割合及び点火時期等を決定する処理である。燃料マネジメント処理では、上記2つの制御目的を達成するため、噴射割合、点火時期及びエンジン要求トルク等のエンジン制御に係る制御パラメータだけでなく、同時に目標回転数又は目標回転数に応じて決定される変速比等のトランスミッション制御に係る制御パラメータも同時に決定する。
図3に示すように、燃料マネジメント処理は、ドライバ要求駆動力を算出する処理と、エタノール残量パラメータを算出する処理と、エンジンの運転モードを決定する運転モード選択処理と、選択された運転モードの下で噴射割合及び点火時期等を決定するマップ値決定処理と、選択された運転モードの下でエンジン負荷を調整する負荷調整処理と、の5つの処理で構成される。以下、これらの処理について順に説明する。
<ドライバ要求駆動力の算出>
ドライバ要求駆動力は、変速機から駆動輪に出力させるべき目標出力に相当する。このドライバ要求駆動力は、アクセルペダルセンサによって検出されたアクセル開度及び車速センサによって検出された車速等に基づいて、既知のアルゴリズムに従って算出される。
<エタノール残量パラメータの算出>
エタノール残量パラメータ[%]は、メインタンクとサブタンクとを合わせた全残存燃料に対するエタノール残量の割合に相当する。このエタノール残量パラメータは、例えば、濃度センサ及びレベルセンサによって検出されるメインタンク内の燃料の残量RQ1及びエタノール濃度EC1、並びにサブタンク内の燃料の残量RQ2及びエタノール濃度EC2を用いて、下記式によって算出される。
エタノール残量パラメータ[%]
=(EC1×RQ1+EC2×RQ2)/(RQ1+RQ2)
上記式によって定義される残量パラメータは、メインタンクとサブタンクとを合わせた全タンクに貯蔵されている燃料の総和に対するエタノールの割合である。上述のように、分離装置は、メインタンク内に供給された混合燃料を循環させることによってメインタンク内の混合燃料から高エタノール濃度の燃料を取り出し、取り出したものをサブタンクに溜める。したがって、分離装置による混合燃料の分離が十分に進めば、エタノールはサブタンク内のみに貯蔵されることとなる。また、分離装置によって分離される燃料のエタノール濃度がほぼ100%であるとみなすことができる場合には、エタノール残量パラメータは、下記式で近似し、演算を簡略化できる。すなわち、エタノール残量パラメータは、メインタンクとサブタンクとを合わせた全残存燃料に対するサブタンク内の燃料の割合で近似できる。
エタノール残量パラメータ[%]=RQ2/(RQ1+RQ2)
<運転モード選択処理>
図4は、エタノール残量パラメータと4つの運転モードとの関係を示す図である。運転モード選択処理では、上述のように算出された残量パラメータに基づいて、図4に示すE0モード、エタノール節約モード、BSFCボトムモード、及びMBTモードのうちの何れかをエンジンの運転モードとして選択する。後述するように、エンジン制御及びトランスミッション制御に係る制御パラメータの決定に用いられるマップは、上記4つの運転モード毎に異なる。
図5は、各運転モードにおけるエンジン負荷(BMEP[kPa])と噴射割合[%](図5の上段参照)及び点火時期[deg.−BTDC](図5の下段参照)との関係を示す図である。また、この図5は、各運転モードにおける噴射割合及び点火時期を決定するのに用いられるマップの一例でもある。
図6は、各運転モードにおけるエンジン負荷と、熱効率[%](図6の上段参照)及び正味燃料消費率[g/kWh](所謂、BSFC、図6の下段参照)との関係を示す図である。より具体的には、図6は、図5に示すようなマップを用いて噴射割合及び点火時期を決定した場合における各運転モードの熱効率及び燃料消費率の特性を示す図である。以下、これら図5及び6を参照しながら、各運転モードの特徴について説明する。
E0モードは、図5の上段に示すように、噴射割合を0%(すなわち、ポートインジェクタからの燃料噴射量は0)とする運転モードである。E0モードでは、噴射割合を0%とすることから、4つの運転モードの中で筒内の燃料のオクタン価は最も低い。このためE0モードでは、エンジン負荷が所定値よりも大きくなるとMBTタイミングでの点火ができなくなってしまうので、図5の下段に示すように点火時期を大きく遅角化せざるを得ない。またE0モードでは、高負荷域での点火時期の遅角化に伴い、図6の上段に示すように熱効率は大きく低下し、ある程度以上の高負荷域での運転は不可能となる。すなわち、E0モードは、他の3つの運転モードと比較して低負荷域内に制限される。
MBTモードは、図5の下段に示すように、できるだけ広範囲の負荷領域内において点火時期をMBTタイミングとする運転モードである。MBTタイミングで点火できる負荷領域の上限は、主に圧縮比によって変化するが、MBTモードにおけるエタノールの噴射割合は、できるだけ高負荷領域までMBTタイミングで点火できるように調整される。この結果、MBTモードにおけるエタノールの噴射割合は他の3つの運転モードよりも高くなる。また、このようにMBTタイミングでの点火が可能となることから、図6の下段に示すようにエンジンの熱効率はMBTモードが最も高くなる。
エタノール節約モードは、エタノールの偏った消費を抑制する運転モードである。図5に示すように、エタノール節約モードの噴射割合は、高負荷領域では点火時期の遅角化を併せて行うことにより、全負荷領域での運転が可能となるように設定される。このため、図6に示すように熱効率及び燃料消費率はMBTモードよりも多少低くならざるを得ないが、E0モード以外の他の2つの運転モードに対し噴射割合を最も低くできる(図5の上段参照)。
BSFCボトムモードは、MBTモードとエタノール節約モードの中間的な運転モードである。このBSFCボトムモードにおける噴射割合及び点火時期は、図6の下段に示すように、全負荷領域において正味燃料消費率が最も低くなるように調整される。
図4に戻って、運転マップ選択処理では、以上のように定義された4つの運転モードの何れかを、その時のエタノール残量パラメータに応じて選択する。上述のように、噴射割合は、E0モード、節約モード、BSFCボトムモード、及びMBTモードの順で高くなる。したがって運転マップ選択処理では、エタノール残量パラメータが大きくなるに従い、E0モード、節約モード、BSFCボトムモード、及びMBTモードの順で選択される。これにより、エタノールの偏った消費が抑制される。
<マップ値算出処理>
図3に戻って、マップ値算出処理では、上述のように選択された運転モードごとに設定されたマップを利用することによって、エンジン負荷及び残量パラメータに応じた適切な噴射割合及び点火時期を決定する。このマップ値算出処理で算出された噴射割合及び点火時期は、それぞれのマップ値としてエンジンの燃料噴射、点火制御に用いられる。
例えば点火時期は、現在のエンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて、予め運転モード毎に定められた所定の点火時期マップ(例えば、図5の下段参照)を検索することによって算出される。
噴射割合は、現在のエンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて、図7に示すように3つの運転モード毎に予め定められた噴射割合マップを検索することによって算出される。
図7は、噴射割合マップの具体例を示す図であり、上から順に、MBTモード時、BSFCボトムモード時、及び節約モード時に選択されるマップを示す。なお図7では、噴射割合を不連続に数段階に分けて簡略化したものを図示するが、実際には連続的に定められる。この図7に示すように、エンジン回転数及びエンジン負荷によって指定されるエンジンの運転ポイントが同じであっても、各マップによって決定される噴射割合は3つの運転モードで異なる。より具体的には、3つのマップを同じ運転ポイントで比較した場合、噴射割合は、節約モード、BSFCボトムモード、及びMBTモードの順で高くなる。上述のように、混合燃料をメインタンクに給油した直後は、分離装置による燃料の分離が十分に進んでいないため、メインタンク内の燃料のエタノール濃度が高くなっている。このようにメインタンクにエタノールが含まれた状態で、定められた噴射割合の下で2つのインジェクタを利用して燃料を噴射すると、筒内のエタノール濃度(又はオクタン価)は、図7のマップによって定められる噴射割合と対応した濃度からずれてしまう。そこで、このような筒内のエタノール濃度のずれを抑制すべく、図7のマップを用いて算出された噴射割合は、メインタンク及びサブタンク内の燃料のエタノール濃度に応じて補正される。これにより、例えば分離が十分に進んでおらずメインタンク内の燃料のエタノール濃度が高い場合には、図7のマップに従って定められた噴射割合は減少側に補正される。
<負荷調整処理>
図8は、各運転モードの熱効率特性を示す図である。すなわち図8は、上述のようにして運転モード毎に異なるマップを利用して噴射割合及び点火時期を決定してエンジンを制御した場合の各運転領域における熱効率を示す図である。図8に示すように、節約モード時では、熱効率の高い領域は、他の運転モードに対し、低中負荷の一部の領域に偏っている。また、この熱効率の高い領域は、BSFCボトムモード時、及びMBTモード時へと噴射割合が高くなるに従い、中高負荷の領域へと広がる。
図6を参照して説明したように、熱効率は、全領域においてMBTタイミングで点火できるまで噴射割合を高くすることによって最も高くできる。しかしながら、図8に示すように、一部の負荷領域では、噴射割合をMBTモード時から多少低下させたとしても、依然として熱効率の高い運転を行うことができる。そこで負荷調整処理では、選択された運転モードによらずできるだけ高い熱効率での運転が可能となるように、エンジンの運転ポイントが熱効率の高い部分に分布するように、運転モード毎に設定された変速マップを利用して、ドライバ要求駆動力に応じた目標回転数とエンジン要求トルクとを決定する。
なお図7及び図8には、運転モードを固定して所定の走行モードに従って車両を走行させた場合における運転範囲を破線で示し、この走行による運転ポイントの時間頻度重心を白丸で示す。図8に示すように、負荷調整処理では、エンジンの運転ポイントが各運転モードでの熱効率の高い領域に偏るように設定された変速マップを参照することによって、目標回転数とエンジン要求トルクを決定する。より具体的には、エタノール残量パラメータが大きくなるほど、目標回転数を減少させかつエンジン要求トルクを上昇させる。
図9は、各運転モードで所定の走行モードに従って走行した場合におけるエンジンの運転ポイントの時間頻度重心を、エンジンの等出力線図にプロットした図である。
上述の負荷調整処理を行うことにより、各運転モードの時間頻度重心は、エンジンの等出力線上を低回転側から高回転側へ向かってMBTモード、BSFCボトムモード、及びエタノール節約モードの順で推移する。上述のように、噴射割合を低くするほど熱効率の高い領域は低中負荷領域の一部に限られる。そこで本発明では、このような噴射割合の変更に伴う熱効率特性の変化に合わせて運転モード毎に適した熱効率で走行できるように、負荷調整処理を行い、噴射割合が低くなるほどエンジンの運転ポイントをより低負荷かつ高回転側にシフトさせる。
図10は、各運転モードのエタノール消費率[%]と燃費[km/L]との関係を示す図である。ここでエタノール消費率とは、全燃料の消費量に対するエタノールの消費量の割合をいう。
図10に示すように、燃費及びエタノール消費率はともに、節約モード、BSFCボトムモード、及びMBTモードの順で高くなる。本発明では、このように燃費及びエタノール消費率が異なる3つの運転モードを準備し、エタノール残量パラメータの大きさに応じて、エタノール消費率の異なる運転モードを切り替えることにより、燃料の偏った消費を抑制できる。また、本発明では運転モード毎に異なる熱効率特性に適した変速マップを利用し、エンジン回転数及びエンジン要求トルクを運転モード毎に最適化することにより、運転モード間の燃費のばらつきを小さくできるので、燃料の偏った消費を抑制しながら同時に燃費を向上できる。なお、例えば、MBTモードよりもエタノール消費率を大きくすると、過負荷によって燃費が悪化してしまう。
<トランスミッション制御>
図3に戻って、トランスミッション制御では、実際のエンジンの回転数と、上述のように負荷調整処理によって運転モードに応じて定められた目標回転数とが一致するように、変速機の変速比を制御する。
<エンジン制御>
エンジン制御は、気筒内に導入される空気の量を制御する吸気量制御と、各インジェクタからの燃料噴射量及び点火時期を制御する燃料噴射・点火制御と、に分けられる。
吸気量制御では、負荷調整処理によって算出されたエンジン要求トルクや、エンジン回転数、吸気流量、吸気温度、及び吸気圧力等に基づいて、規定のアルゴリズムに従って目標吸気量、目標スロットル開度、目標過給圧、及び目標実行圧縮比等を算出し、これら目標が実現するようにスロットル弁、ウェイストゲートバルブ、吸気側VTC、及び排気側VTC等に対する制御入力を決定し、各々のドライバへ入力する。
燃料噴射・点火制御では、マップ値算出処理によって算出された噴射割合及び点火時期のマップ値や、エンジン回転数、吸気流量、吸気圧力、吸気温度、水温、スロットル開度、及びカム位相等に基づいて、規定のアルゴリズムに従ってポートインジェクタからの燃料の噴射時間及び噴射時期、直噴インジェクタからの燃料の噴射時間(噴射量に比例)及び噴射時期、並びに点火プラグの点火時期に対する基本値を算出する。そして、これら噴射態様及び点火態様を規定するパラメータの基本値を、ノックセンサ及びLAFセンサの出力に基づいて算出された補正係数を用いて補正することによって、最終的な噴射態様及び点火態様を決定し、これが実現するようにポートインジェクタ、直噴インジェクタ、及び点火プラグに対する制御入力を決定し、それぞれのドライバへ入力する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。
上記実施形態では、図4に示すようにエタノール残量パラメータの値を4つの領域に区切り、領域に応じて選択された運転モード毎に異なるマップを用いて噴射割合や点火時期等を決定したが、本発明はこれに限らない。例えば、図11に示すように、運転モード(及びこの運転モードに応じて選択されるマップ)毎に基準となるエタノール残量パラメータの値を設定する。そして、エタノール残量パラメータの値が各運転モードと対応する値の間にある場合には、噴射割合及び点火時期は、2つの運転モードによって得られた値を重み付けして補間することによって算出してもよい。
また、上記実施形態では、エタノールとガソリンの混合燃料を使用する場合を想定したが、本発明はこれに限らない。ガソリンに混合するアルコール成分は、エタノールに限らずメタノールやブタノール等でもよい。
また、上記実施形態では、運転モードはエタノール残量パラメータのみに応じてドライバの意思とは無関係に自動で選択される場合について説明したが、本発明はこれに限らない。運転モードは、例えばドライバが手動で選択できるようにしてもよい。例えば、近い将来に給油する予定がある場合、給油するまでの間に積極的にエタノールを消費させた方が好ましい場合がある。これに対し、運転モードをドライバが手動で選択できるようにすることにより、ドライバしか知り得ない情報に応じて適切な運転モードに設定できる。
V…車両
TM…変速機
1…エンジン(内燃機関)
6…燃料供給システム
612…分離装置
62…ポートインジェクタ(第2噴射装置)
63…直噴インジェクタ(第1噴射装置)
7…ECU(噴射割合算出手段、噴射制御手段、点火時期算出手段、点火制御手段、目標回転数算出手段、変速比制御手段)

Claims (4)

  1. アルコールとガソリンの混合燃料を第1燃料と当該第1燃料よりも高オクタン価の第2燃料とに分離する分離装置と、
    前記第1燃料を内燃機関の気筒内に噴射する第1噴射装置と、
    前記第2燃料を前記機関の吸気ポート内に噴射する第2噴射装置と、
    前記機関の出力軸に設けられた変速機と、を備えた車両の制御装置であって、
    所定の入力に基づいて所定のマップを検索することにより前記第1及び第2噴射装置からの燃料の噴射割合を算出する噴射割合算出手段を有し、当該算出された噴射割合を用いて前記第1及び第2噴射装置の燃料の噴射割合を制御する噴射制御手段と、
    所定の入力に基づいて所定のマップを検索することにより前記気筒に設けられた点火装置の点火時期を算出する点火時期算出手段を有し、当該算出された点火時期を用いて前記点火装置の点火時期を制御する点火制御手段と、
    前記車両に残存する全燃料に対するアルコール又は第2燃料の残量割合及び前記車両の状態に基づいて前記機関の目標回転数を算出する目標回転数算出手段を有し、前記機関の回転数が前記目標回転数になるように前記変速機の変速比を制御する変速比制御手段と、を備え、
    前記噴射割合算出手段及び前記点火時期算出手段は、それぞれ第2燃料消費率が異なる複数のマップを有し、前記残量割合に応じて選択されたマップを用いて前記噴射割合及び点火時期を算出することを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記噴射割合算出手段及び前記点火時期算出手段は、それぞれ基準マップと当該基準マップよりも前記第2燃料消費率が大きな余剰時マップとを有し、前記残量割合が前記基準マップと対応する第1所定値から前記余剰時マップと対応しかつ前記第1所定値より大きな第2所定値までの範囲内である場合には、前記基準マップ及び前記余剰時マップによって得られた値を補間することによって前記噴射割合及び点火時期を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記噴射割合算出手段及び前記点火時期算出手段は、それぞれ前記基準マップよりも前記第2燃料消費率が小さな節約時マップをさらに有し、前記節約時マップと対応しかつ前記第1所定値より小さな第3所定値から前記第1所定値までの範囲内である場合には、前記節約時マップ及び前記基準マップによって得られた値を補間することによって前記噴射割合及び点火時期を算出することを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記目標回転数算出手段は、前記残量割合が増加するほど前記目標回転数を減少させることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の車両の制御装置。
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