JP2015128877A - 熱転写シート - Google Patents

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Abstract

【課題】印字物の耐ボイル性及び印字性に優れた熱転写シートを提供する。【解決手段】基材1の一方の面に、該基材側から少なくとも転写性剥離層2、転写性着色層3がこの順に配置され、該基材の他方の面に背面層4が配置されてなり、前記転写性剥離層は、融点が65℃以上のワックスと、金属石鹸とを含み、前記転写性着色層は、着色剤と、軟化点100℃以上のフェノール樹脂とを含む、熱転写シート10。【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写シートに関するものである。
従来、顔料等の着色剤を熱溶融性のワックスや樹脂等のバインダーに分散させた熱溶融インキ層(転写性着色層)を、プラスチックフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートを用いて、サーマルヘッド等の加熱デバイスに画像情報に応じたエネルギーを印加し、紙やプラスチックシート等の被転写紙上に着色剤をバインダと共に転写する熱溶融型転写方式が知られている(特許文献1)。熱溶融型転写方式によって形成される画像は、高濃度で鮮鋭性に優れ、文字、線画等の2値画像の記録に適している。また、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の熱転写シートを用いて、被転写紙上に重ねて記録することにより、多色あるいはカラー画像の形成も可能である。
このような熱溶融型転写方式では、各種の印字が感熱ヘッド等で簡便に形成することができるので、工場などで製品などの管理を行うために、文字やバーコード等を印字するのにも利用されている。
また、熱溶融型転写方式において用いられる熱転写シートでは、転写性着色層を転写する際の剥離性を向上するために、基材シートの熱溶融インキ層側の面に剥離層を設けたり、転写性着色層の耐久性を向上するために、転写性着色層の基材シート側の面に転写性保護層を設けたものが知られている。
例えば特許文献2には、耐引っかき性、耐摩擦性、耐ホットプレス性及び耐熱性にすぐれた転写画像が得られる熱転写記録媒体を提供することを目的として、支持体上に、熱可塑性樹脂、融点が30〜60℃で、HLB値が3〜12である界面活性剤及び着色剤を主成分とする熱転写層を設けたことを特徴とする熱転写記録媒体が開示されており、当該熱転写記録媒体において、支持体と熱転写層の間に、融点又は軟化点が50〜130℃のワックスを主成分とする剥離層を設けることもできると記載されている。
特開昭57−105395号公報 特開平3−234586号公報
一方、食品を包装した後にボイル殺菌工程などが施される包装材や、レトルト食品の包装材として用いられるプラスチックフィルム上に、熱転写シートを用いて熱溶融型転写方式により印字を行う場合、得られた印字物が煮沸した熱湯中で撹拌されても欠落しないという、耐ボイル性が要求される。
本発明は上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、その目的は、印字物の耐ボイル性、及び印字性に優れた熱転写シートを提供することにある。
本発明に係る熱転写シートは、基材の一方の面に、該基材側から少なくとも転写性剥離層、転写性着色層がこの順に配置され、該基材の他方の面に背面層が配置されてなり、
前記転写性剥離層は、融点が65℃以上のワックスと、金属石鹸とを含み、
前記転写性着色層は、着色剤と、軟化点100℃以上のフェノール樹脂とを含むことを特徴とする。
本発明に係る熱転写シートにおいては、前記金属石鹸の含有量が、前記転写性剥離層に含まれる全固形分に対して15〜40質量%であることが、印字物の耐ボイル性、及び印字性に優れる点から好ましい。
本発明に係る熱転写シートにおいては、前記転写性剥離層と前記転写性着色層との間に、更に転写性保護層が配置され、前記転写性保護層は、ガラス転移温度が100℃以上の環状オレフィン系重合体を主成分として含み、更に当該環状オレフィン系重合体に対する非相溶性樹脂を含むことが、印字物の耐ボイル性、及び耐擦傷性に優れる点から好ましい。
本発明に係る熱転写シートにおいては、前記金属石鹸がステアリン酸亜鉛であることが、印字物の耐ボイル性に優れる点から好ましい。
本発明によれば、印字物の耐ボイル性、及び印字性に優れた熱転写シートを提供することができる。
本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の熱転写シートの他の一例を示す概略断面図である。
本発明に係る熱転写シートは、基材の一方の面に、該基材側から少なくとも転写性剥離層、転写性着色層がこの順に配置され、該基材の他方の面に背面層が配置されてなり、
前記転写性剥離層は、融点が65℃以上のワックスと、金属石鹸とを含み、
前記転写性着色層は、着色剤と、軟化点100℃以上のフェノール樹脂とを含む、熱転写シートである。
本発明に係る熱転写シートは、転写性着色層のバインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂を含み、且つ、転写性剥離層が、融点65℃以上のワックスと、金属石鹸とを含むことから、印字性が良好でありながら、印字物の耐ボイル性に優れるという効果を奏する。
本発明に係る熱転写シートが上記効果を奏するメカニズムは解明できていないが、以下のように推定される。フェノール樹脂は、包装材として用いられるプラスチックフィルムに対する密着性が良好で、印字性を向上する。また、軟化点100℃以上のフェノール樹脂を用いることにより、非常に細かい文字パターンの転写も良好になり、例えば、解像度が300dpiのサーマルヘッドで1ドットの文字パターンの印字性にも優れる。更に、フェノール樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂を選択することにより、印字物に優れた耐熱性を付与する。
しかし、印字物において着色層が最外層となると、ボイル時に擦り合わされることにより、耐ボイル性が不十分となる。それに対して、本発明に係る熱転写シートを用いて印字すると、転写性剥離層が基材から剥離し、転写性着色層上に、当該転写性剥離層が積層して転写され、印字物の最外層には当該転写性剥離層が設けられる。当該転写性剥離層が前記特定の融点のワックスと金属石鹸とを含むことにより、本発明では、印字物の耐ボイル性に優れるようになる。転写性剥離層にワックスのみを用いた場合には、印字物の最外層が剥離層となってもなおボイル性が不十分である。これは、ボイル時にワックスが溶融して流出することが原因と推定される。それに対して、前記特定の融点のワックスと金属石鹸を組み合わせた場合、金属石鹸がボイル時において溶融した転写性剥離層中のワックスの流出を堰き止める働きをすると考えられ、その結果、高温環境下でのワックスの流出が抑制されると推定される。更に、金属石鹸は、ワックスとの親和性に優れながら、耐熱性があり、且つ滑り性に優れるため、ボイル時に印字物の表面が擦れた場合であっても脱落し難く、耐ボイル性に優れると推定される。
このように、軟化点100℃以上のフェノール樹脂を含む転写性着色層と、融点が65℃以上のワックスと金属石鹸とを含む転写性剥離層との組み合わせによる相乗効果により、本発明に係る熱転写シートは、印字物の耐ボイル性、及び印字性に優れる。
図1は本発明の熱転写シートの一例を示す。図1の熱転写シート10は、基材1の一方の面に、基材1側から、転写性剥離層2、転写性着色層3がこの順で配置され、基材1の他方の面に背面層4が配置された構成である。
図2は本発明の熱転写シートの他の一例を示す。図2の熱転写シート10は、基材1の一方の面に、基材1側から、転写性剥離層2、転写性保護層5、転写性着色層3がこの順で配置され、基材1の他方の面に背面層4が配置された構成である。
なお、本発明に係る熱転写シートにおいては、図1及び図2に示すように、上記各層は積層された構造を有する。
以下、本発明の熱転写シートを構成する各層毎に詳述する。
(基材)
本発明で用いる熱転写シートの基材1としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであれば特に限定されない。
基材の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンサルフィド、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマー等の樹脂基材、及びグラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、セロファン等があり、また、これらの2種以上を積層した複合基材なども使用できる。また、上記樹脂基材の場合は、上述の樹脂1種のみからなるものであってもよいし、2種以上の樹脂からなるものであってもよい。
これらの基材の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜変更すれば良いが、通常は0.5〜50μm程度が好ましく、より好ましくは1〜10μm程度である。
(転写性剥離層)
転写性剥離層2は、少なくとも融点が65℃以上のワックスと、金属石鹸とを含有する。本発明に係る熱転写シートは、当該転写性剥離層により、熱転写時に転写する層の剥離性に優れ、また、本発明に係る熱転写シートを用いて得られた印字物は、当該転写性剥離層と後述する特定の転写性着色層との相互作用により、耐ボイル性に優れる。
融点が65℃以上のワックスとしては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、シリコーンワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を挙げることができる。本発明においては、中でも耐擦過性の強いカルナバワックスが好ましく用いられる。
なお、前記ワックスは、一種単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
前記融点が65℃以上のワックスの含有量は、特に限定はされないが、転写性剥離層に含まれる全固形分に対して、60〜85質量%であることが好ましく、70〜85質量%であることがより好ましい。含有量が前記下限値以上であることにより、転写性剥離層の基材からの剥離性が向上し、前記上限値以下であることにより、耐ボイル性が向上する。なお、本発明において固形分とは、溶剤以外のすべての成分を表す。
金属石鹸としては、例えば、脂肪酸、ロジン酸、ナフテン酸等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は、アルミニウムや亜鉛等の金属塩等を挙げることができ、特に脂肪酸のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩又は亜鉛塩が好ましい。金属石鹸に用いる脂肪酸としては、例えば、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸等が挙げられる。具体例としては例えば、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。中でも、耐ボイル性の点で、マグネシウム塩、亜鉛塩又はアルミニウム塩であることが好ましく、亜鉛塩であることがより好ましく、ステアリン酸亜鉛であることが更に好ましい。金属石鹸は、一種単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
前記金属石鹸の平均粒径は、特に限定はされないが、印字性の観点から、0.1〜2.0μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることがより好ましい。
なお、前記平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定される粒径分布を体積累積分布で表したときの50%粒径(d50 メジアン径)である。具体的な測定装置としては、例えば、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を挙げることができる。なお、前記平均粒径は、前記金属石鹸が凝集しない粒子であれば1次粒径の平均粒径とし、前記金属石鹸が凝集粒子である場合は、2次粒径の平均粒径とする。
前記金属石鹸の融点は、特に限定はされないが、耐ボイル性に優れる点から、90℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
前記金属石鹸の含有量は、特に限定はされないが、転写性剥離層に含まれる全固形分に対して、10〜40質量%であることが好ましく、15〜30質量%であることがより好ましく、15〜25質量%であることが更により好ましい。前記金属石鹸の含有量が、前記下限値以上であることにより、印字物の耐ボイル性が向上し、前記上限値以下であることにより、熱転写シートの印字性、特に印字感度が向上する。
また、転写性剥離層2は、本発明の効果を妨げない範囲において、必要に応じてその他の材料を含有していてもよい。その他の材料としては、例えば、アクリル系微粒子、ポリアミド系微粒子、フッ素系微粒子、ポリエチレンワックス等の有機微粒子;タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ等の無機微粒子;シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース誘導体樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸系ビニル樹脂、アクリルビニルエーテル系樹脂、無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アイオノマー樹脂、スチレン樹脂及びこれらの樹脂群の共重合体等を挙げることができる。
なお、転写性剥離層2は、融点が65℃未満のワックスを含有していてもよいが、融点が65℃未満のワックスの含有量は、耐ボイル性の観点から、転写性剥離層に含まれる全固形分に対して、5質量%以下であることが好ましい。
転写性剥離層2は、前記融点が65℃以上のワックス、前記金属石鹸、及び必要に応じて前記その他の材料及び溶剤を添加した塗布液を、グラビアコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート、ダイコート等の従来公知の塗布手段により塗布し、乾燥することにより形成できる。
前記溶剤としては、上述した材料を分散もしくは溶解することができるものを適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン等の芳香族系溶剤、及びこれらの混合溶剤などが挙げられる。
転写性剥離層の塗布量は、通常乾燥時で0.5g/m程度であるが、好ましくは乾燥時で0.1g/m〜1.0g/mである。0.1g/m未満であると、剥離性が悪くなり転写性剥離層の効果が得られない恐れがある。一方、1.0g/m超過であると、剥離層毎転写が起こり易くなり、転写する層の転写性が悪くなる恐れがある。
(転写性着色層)
転写性着色層3は、少なくとも着色剤と、バインダー樹脂として軟化点100℃以上のフェノール樹脂とを含有する。転写性着色層のバインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂を用いることにより、耐熱性を有しながら、印字性が良好になる。
本発明の転写性着色層において用いられる軟化点100℃以上のフェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、ビフェニレンアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、フェノールアラルキル樹脂(別名キシリレン変性フェノール樹脂)などの多官能フェノール樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。中でも、印字性と耐ボイル性のバランスの点から、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂を用いることが好ましく、更にフェノールノボラック樹脂を用いることが好ましい。
また、フェノール樹脂の軟化点は、耐ボイル性の点から100℃以上であるが、更に110℃以上であることが好ましい。
なお、本発明におけるフェノール樹脂の軟化点は、JIS K 7206:1999に規定された方法によって測定される軟化点をいう。
市販されている軟化点100℃以上のフェノール樹脂としては、例えば、フェノライトTD−2091、フェノライトTD−2090、フェノライトVH4170、フェノライトKH6021、フェノライトKA1163、フェノライトKA1165(以上、DIC株式会社製)等が挙げられる。
転写性着色層のバインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂に硬化剤を組み合わせて用い、フェノール樹脂と硬化剤との反応物を含むようにしても良い。硬化剤によりフェノール樹脂を架橋することにより、三次元網目構造を構築して、印字物により優れた耐熱性を付与することができる。硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、パラホルムアルデヒド等のホルムアルデヒド供給化合物や、ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。本発明において軟化点100℃以上のフェノール樹脂に組み合わせる硬化剤としては、中でもポリイソシアネート化合物が好適に用いられる。
本発明の転写性着色層においては、中でも印字性が良好な点から、前記軟化点100℃以上のフェノール樹脂の水酸基に対する、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、0.05〜0.5となるように、更に0.1〜0.25となるように、フェノール樹脂とイソシアネート化合物とを組み合わせて用いることが好ましい。
本発明で、フェノール樹脂の硬化剤として用いられるポリイソシアネート化合物は、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば適宜用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;これらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体等の変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
本発明で、フェノール樹脂の硬化剤として用いられるポリイソシアネート化合物としては、耐ボイル性をより向上する点から、中でも脂肪族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、その中でも脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体を用いることが好ましい。前記転写性着色層のバインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との反応物を含むことにより、印字性が良好でありながら、印字物の耐ボイル性が特に優れるようになる。フェノール樹脂に硬化剤を用いると、三次元網目構造を構築して、印字物により優れた耐熱性を付与するが、その際に、脂肪族ポリイソシアネートを選択して組み合わせると、フェノール樹脂の三次元網目構造に柔軟性が付与され、包装材上の印字物が煮沸した熱湯中で包装材の収縮や膨張等の変形の影響を受けた場合でも、包装材に追従して剥離し難いからではないかと推定される。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートの他、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられるが、中でも、耐ボイル性の点から、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いることが好ましい。
また、アダクト体とは、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物をいう。当該アダクト体に用いられるポリオールとしては、分子中に水酸基を2個以上有するアルコールが用いられ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、及びこれらの二量体、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられる。アダクト体に用いられるポリオールとしては、中でも、耐ボイル性の点から、分子中に水酸基を3個以上有するアルコールが好適に用いられ、中でもグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンが好適に用いられる。
脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体の質量平均分子量は、耐ボイル性の点から、通常100〜100,000、好ましくは500〜10,000の範囲で選ばれる。なお、本発明において質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)によりポリスチレン換算値として算出した値である。
本発明の転写性着色層におけるバインダー樹脂としては、本発明の効果を妨げない範囲において、更に他のバインダー樹脂が含まれていても良い。例えば、他のバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等が挙げられる。
本発明の転写性着色層におけるバインダー樹脂としては、耐ボイル性の点から、軟化点100℃以上のフェノール樹脂(固形分)が、全バインダー樹脂の固形分中の20質量%以上含まれることが好ましく、更に30質量%以上含まれることが好ましく、より更に40質量%以上含まれることが好ましく、特に50質量%以上含まれることが好ましい。
また、硬化剤を用いる場合には、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と硬化剤との反応物と、更に含まれていても良い未反応の軟化点100℃以上のフェノール樹脂及び未反応の硬化剤との固形分合計量が、全バインダー樹脂の固形分中の70質量%以上含まれることが好ましく、更に80質量%以上含まれることが好ましく、より更に90質量%以上含まれることが好ましく、特に95質量%以上含まれることが好ましい。
耐ボイル性をより向上する点からは、本発明の転写性着色層におけるバインダー樹脂としては、固形分として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との二成分からなる樹脂組成物の硬化物のみからなる態様が、好適に用いられる。
本発明の転写性着色層において用いられる着色剤としては、要求される色調などに応じ、カーボンブラック、無機顔料、有機顔料又は染料から適宜選択して用いることができる。例えば、バーコード印字の場合には、特に十分な黒色濃度を有し、光、熱等により変色、褪色しないものが好ましい。この様な着色剤としては、例えば、ランプブラック等のカーボンブラック、グラファイト、ニグロシン染料等が挙げられる。又、カラー印字が要求される場合には、他の有彩色の染料又は顔料が用いられる。更に、溶融粘度を著しく上昇しない範囲で良好な熱伝導性及び帯電防止性を与える為に、カーボンブラック等の炭素質物質や金属粉等の熱伝導性、導電性物質を配合することも出来る。
また、転写性着色層には、本発明の効果を妨げない範囲において、更に他の成分が含まれていても良い。例えば、無機微粒子、有機微粒子、離型剤等の添加剤が含有されていてもよい。
本発明の転写性着色層において、前記着色剤と前記バインダー樹脂の配合比は特に制約はないが、通常、前記着色剤は、転写性着色層の全固形分中に20〜70質量%で用いられることが好ましく、更に30〜50質量%で用いられることが好ましい。
また、前記バインダー樹脂は、印字性及び耐ボイル性の点から、転写性着色層の全固形分中に30〜80質量%で用いられることが好ましく、更に50〜70質量%で用いられることが好ましい。
転写性着色層は、上述した材料を有機溶剤等に分散もしくは溶解した塗布液を、従来公知の塗布手段により塗布し、乾燥することにより形成できる。
転写着色層の塗布量は、特に限定されないが、通常乾燥時で0.6g/m程度であり、好ましくは乾燥時で0.4g/m〜3.0g/mである。0.4g/m未満であると、転写印字濃度が低くなる恐れがあり、また3.0g/m超過であると、膜の熱溶融性が低下し、熱転写が起こり難くなる恐れがある。
(転写性保護層)
本発明の熱転写シートは、図2に示すように、転写性着色層の耐久性を更に向上するために、基材1と転写性着色層3との間に、転写性保護層5を設けても良い。転写性保護層は、熱転写時に転写性着色層2と共に転写され、転写画像の表面を被覆するものである。
この転写性保護層は、耐熱性、耐摩擦性、耐ボイル性等、耐久性が高い強靭な被膜を形成する樹脂を適宜選択して形成することが好ましい。耐久性が高い強靭な被膜を形成する樹脂としてはポリメチルメタアクリレート樹脂等のアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩素化ポリプロピレン等のように、耐熱性、耐摩擦性等の強靭な被膜を形成する樹脂から形成することができる。また、被膜を形成した後には熱で溶融しない樹脂、例えば熱硬化性樹脂、架橋剤によって架橋硬化する樹脂、例えば、アクリルポリオール、フェノール樹脂等が挙げられる。
本発明において、前記転写性保護層は、中でも、印字物の耐ボイル性をさらに向上する点から、ガラス転移温度が100℃以上の環状オレフィン系重合体を主成分として含み、更に当該環状オレフィン系重合体に対する非相溶性樹脂を含むものであることが好ましい。ここで、上記主成分とは、上記環状オレフィン系重合体が転写性保護層の固形分の50質量%超過で含まれる意味である。上記環状オレフィン系重合体は、より好ましくは転写性保護層の固形分の70質量%以上、より更に好ましくは転写性保護層の固形分の80質量%以上である。
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体とは、環状オレフィンからなるモノマー由来の構成単位を有する重合体を表す。すなわち、環状オレフィン系重合体は、主鎖に環状構造を有するものである。
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体は、具体的には、環状オレフィンが開環重合した環状オレフィン系重合体又は共重合体であってもよく、環状オレフィンと、鎖状オレフィン及びビニル基を有する芳香族化合物より選択される1種以上とが付加重合した環状オレフィン系共重合体であってもよく、それらの一部又は全部が水素添加されていてもよい。環状オレフィン系重合体において、環状オレフィンは、単独で使用するほか、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
共重合のタイプは本発明において制限されるものではなく、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、交互共重合等、公知の様々な共重合タイプを適用することができる。
開環重合又は付加重合に用いられる上記環状オレフィンとしては、中でも多環式環状オレフィンであることが好ましく、ノルボルネン環構造を有するノルボルネン系モノマーであることが好ましい。ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:エチリデンノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)などの2環式単量体;トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体などの3環式単量体;7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン及びその誘導体などの4環式単量体;などが挙げられる。
誘導体が有する置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基、シアノ基、ハロゲン化アルキル基などが例示できる。誘導体としては、具体的には例えば、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
付加重合型の環状オレフィン系共重合体に用いられる鎖状オレフィンとしては、例えば、炭素原子数が2〜20のα−オレフィン等が挙げられ、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。また、上記ビニル基を有する芳香族化合物の具体例としては、スチレン、ビニルナフタレン、メチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、ビス(4−ビニルフェニル)メタン等が挙げられる。
上記鎖状オレフィン及び上記ビニル基を有する芳香族化合物は、単独で使用するほか、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体としては、優れた耐ボイル性の点から、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上の環状オレフィン系重合体を用いる。中でも、耐ボイル性を向上する点から、環状オレフィン系重合体のガラス転移温度(Tg)は140℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が高いと、環状オレフィン由来の繰り返し単位が多くなる傾向があり、耐熱性が向上すると共に、吸水性がより低下するからではないかと推定される。
一方、環状オレフィン系重合体のガラス転移温度(Tg)は200℃以下であることが、印字性の点から、好ましい。ガラス転移温度が高すぎると、熱応答性が妨げられるからではないかと推測される。
なお、本発明におけるガラス転移温度(Tg)とは、DSC(示差走査熱量測定)による熱量変化の測定(DSC法)に基づき求められる温度である。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体としては、耐熱性、可とう性の点から、下記一般式(1)で表される構成単位を有する環状オレフィン系重合体であることがより好ましい。
Figure 2015128877
〔式中、A、A、AおよびAは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CHCOOR、−(CHOCOR、−(CHOR、−(CHCN、−(CHCONR、−(CHCOOZ、−(CHOCOZ、−(CHOZ、−(CH2)W、またはAとAから構成された−OC−O−CO−、−OC−NR−CO−、もしくは(多)環状アルキレン基を示す。ここでR、R、RおよびRは、炭素数1〜20の炭化水素基、Zはハロゲン原子で置換された炭化水素基、WはSiR 3−p(Rは炭素数1〜10の炭化水素基、Fはハロゲン原子、−OCORまたは−OR(Rは炭素数1〜10の炭化水素基)、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。〕
前記一般式(1)で表される構成単位を有する環状オレフィン系重合体において、中でも、A、A、AおよびAのいずれかに、酸素を含む置換基を有する環状オレフィン系重合体であることが、転写性着色層との層間密着の点から好ましい。酸素を含む置換基としては、上述の−(CHCOOR、−(CHOCOR、−(CHOR、−(CHCONR、−(CHCOOZ、−(CHOCOZ、−(CHOZ、またはAとAから構成された−OC−O−CO−、−OC−NR−CO−等が挙げられるが、中でも−(CHCOOR、又は−(CHOCORであることが好ましい。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体は、非晶性ポリオレフィン樹脂であり、質量平均分子量が50000〜300000の範囲であることが好ましい。
環状オレフィン系重合体は、従来公知の方法により、環状オレフィンを開環重合又は付加重合、更には必要に応じて水素化することにより合成することができる。或いは、市販品を用いてもよい。
市販品の付加重合型の環状オレフィン系重合体としては、三井化学社製アペル、ポリプラスチックス社製TOPAS等が挙げられる。また、市販品の開環重合型の環状オレフィン系重合体としては、日本ゼオン社製ZEONEX、JSR社製ARTON等が挙げられる。
一方、前記環状オレフィン系重合体と組み合わせて用いられる、当該環状オレフィン系重合体に対する非相溶性樹脂としては、組み合わせて用いられる環状オレフィン系重合体に対して完全に溶解しない非相溶性樹脂であれば特に限定されない。非相溶については、樹脂工業界の常法に従って判断される。例えば、環状オレフィン系重合体100質量部に対し、樹脂5質量部を溶融混合した組成物を、電子顕微鏡で10万倍に拡大観察し、10cm×15cmの範囲の中に1mm以上のドメインまたは粒子を少なくとも1個所有するものを非相溶と定義することができる。
非相溶性樹脂としては、通常、環状オレフィン系重合体以外のその他の樹脂が用いられる。ノルボルネン系樹脂と非相溶なその他の樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル等のポリエーテルまたはポリチオエーテル;芳香族ポリエステル、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン等のポリエステル系重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−ペンテン−1等の鎖状ポリオレフィン系重合体;ポリアクリロニトリルスチレン(AS樹脂)等の汎用の透明樹脂;アクリル樹脂等が挙げられ、組み合わせる環状オレフィン系重合体と非相溶となる樹脂を適宜選択して用いる。中でも、水酸基を有するポリオールが好適に用いられ、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。
環状オレフィン系重合体を主成分として、非相溶性樹脂を添加すると、それを塗布して形成された塗膜には非相溶性樹脂の多数の分散したミクロドメインまたは粒子が形成される。転写性保護層の透明性と、当該転写性保護層の転写性が向上する点から、ミクロドメインとしては、電子顕微鏡で観察したドメインの平均粒径[(長径+短径)/2]が、5〜30μm、中でも10〜20μmの大きさであることが好ましい。
転写性保護層の耐ボイル性と、透明性と、当該転写性保護層の転写性がバランスよく発揮できる点から、前記転写性保護層において、前記非相溶性樹脂が、前記環状オレフィン系重合体と当該非相溶性樹脂の合計量100質量部に対して、5〜30質量部含有することが好ましく、更に10〜25質量部含有することが好ましい。
前記非相溶性樹脂が上記割合よりも少なすぎると、転写時の膜切れ性が悪くなり、印字性が悪化する恐れがある。一方で、前記非相溶性樹脂が上記割合よりも多すぎると、塗布適性が悪化したり、耐ボイル性が悪化する恐れがある。
また、転写性保護層としては、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、金属石鹸、リン酸エステル、ポリエチレンワックス、タルク、シリコーン樹脂微粒子等の滑剤成分、及び、滑性の補助的な調整のために、無機または有機の微粒子、もしくはシリコーンオイル等の各種添加剤が含有されていることが好ましく、ポリエチレンワックス、タルク、シリコーン樹脂微粒子等の滑剤成分が含有されていることが特に好ましい。
上記滑剤成分が転写性保護層に含まれる場合、上記滑剤成分の含有量は、転写性保護層の固形分中に1〜20質量%であることが好ましい。
転写性保護層の塗布量は、膜切れが十分に行われるよう、薄い層になるように、乾燥時で0.1g/m〜1.5g/mであることが好ましい。更に、膜切れを良くする為に、シリカ、アルミナ、クレー、炭酸カルシウム等の微細な体質顔料を添加して転写性保護層を形成しても良い。
(背面層)
本発明の熱転写シートは、基材の他方の面に、サーマルヘッドや転写用熱板等の熱によるステッキングや印字しわ等の悪影響を防止するために、背面層を設ける。
背面層は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチルセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物、及びフッ素変性ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
また、上記した樹脂に架橋剤を添加してもよい。架橋剤として機能するポリイソシアネート樹脂としては、特に制限なく従来公知のものを使用できるが、それらの中でも、芳香族系ポリイソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、例えば2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等が挙げられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。
また、背面層には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、金属石鹸、リン酸エステル、ポリエチレンワックス、タルク、シリコーン樹脂微粒子等の滑剤成分、及び、滑性の補助的な調整のために、無機または有機の微粒子、もしくはシリコーンオイル等の各種添加剤が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも1種が含有されていることが特に好ましい。また、帯電防止のために、導電性カーボンを含有させても良い。
背面層は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加剤を適当な溶剤に分散又は溶解させた塗布液を、従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコート等の方法で塗布、乾燥することにより形成できる。
背面層の塗布量は、特に限定されないが、耐熱性等の向上等の点から、好ましくは乾燥時で0.01g/m〜0.2g/mである。
また、背面層と基材との接着性を向上させたり、基材シートが受けるサーマルヘッドの熱によるダメージを更に軽減させたりするために、背面プライマー層を更に設けても良い。
本発明の熱転写シートによって印字される被転写材としては、一般の紙、バーコードラベル用紙、合成紙、プラスチックフィルム、シート、金属、木材、ガラス、樹脂成形品等、如何なるものでもよく特に限定されないが、本発明の熱転写シートは、特に耐ボイル性に優れることから、食品を包装した後にボイル殺菌工程などが施される包装材や、レトルト食品の包装材として用いられるプラスチックフィルムに対して、特に好適に用いられる。上記のような包装材としては、各種積層フィルムが挙げられ、例えば、印字すべき表面が、ナイロンや、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂を主成分としたプラスチックフィルムからなる積層フィルムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳述する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、文中、部又は%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。また、金属石鹸の平均粒径は、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920を用いて測定された。
(実施例1:熱転写シート1の作製)
基材として厚さ4μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETと表示)(商品名:ルミラー 東レ製)を用い、その一方に背面層として下記組成からなる背面層用塗布液を、乾燥時の塗布量が0.06g/mになるようにグラビア印刷方式で塗布、乾燥させて背面層を形成した。次に、背面層を形成した基材の背面層と反対の面に、下記組成からなる転写性剥離層用塗布液1を、乾燥時の塗布量が0.4g/mになるようにグラビア印刷方式で塗布、乾燥させて、転写性剥離層を形成した。次いで、前記転写性剥離層上に、下記組成からなる転写性保護層用塗布液を、乾燥時の塗布量が0.2g/mになるようにグラビア印刷方式で塗布、乾燥させて、転写性保護層を形成した。続いて、前記転写性保護層上に下記組成からなる転写性着色層用塗布液を、乾燥時の塗布量が0.7g/mになるようにグラビア印刷方式で塗布、乾燥させて、実施例1の熱転写シート1を形成した。
<背面層用塗布液>
・アクリル変性シリコーン 10質量部
(ポリアロイ NSA−X55、ナトコ株式会社製)
・シリコーンイソシアネート 2質量部
(ダイアロマー SP901、大日精化工業株式会社製)
・メチルエチルケトン 20質量部
・トルエン 20質量部
<転写性剥離層用塗布液1>
・カルナバワックス 75質量部
(WE−95、コニシ株式会社製、融点86℃)
・ステアリン酸亜鉛 15質量部
(ハイミクロンF−930、中京油脂(株)製、融点120℃、平均粒径0.9μm)
・ラテックス 10質量部
(Nippol LX430、日本ゼオン株式会社製)
・水及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比1:1で混合) 100質量部
<転写性保護層用塗布液>
・ノルボルネン系モノマー由来の構成単位を有する環状オレフィン系重合体 80質量部
(アートンG 7810、JSR株式会社製、ガラス転移温度:165℃)
・前記環状オレフィン系重合体に対する非相溶性樹脂(アクリルポリオール樹脂) 20質量部
(サーモラックSU100A、綜研化学株式会社製)
・ポリエチレンWAX 5質量部
(スリップ剤B、株式会社昭和インク工業製)
・トルエン及びメチルエチルケトンの混合溶剤 (質量比1:1で混合) 100質量部
<転写性着色層用塗布液>
・フェノール樹脂(固形分:50%) 2.40質量部
(フェノールノボラック樹脂、TD−2090、株式会社DIC製、軟化点118−122℃)
・カーボンブラック(固形分:35%) 2.29質量部
・トルエン及びメチルエチルケトンの混合溶剤(質量比1:1で混合) 5.31質量部
(実施例2:熱転写シート2の作製)
実施例1の熱転写シートにおいて、転写性剥離層用塗布液1の代わりに、下記組成からなる転写性剥離層用塗布液2を用いたこと以外は、全て実施例1と同様にして実施例2の熱転写シート2を得た。
<転写性剥離層用塗布液2>
・カルナバワックス 80質量部
(WE−95、コニシ株式会社製、融点86℃)
・ステアリン酸亜鉛 10質量部
(ハイミクロンF−930、中京油脂(株)製、融点120℃、平均粒径0.9μm)
・ラテックス 10質量部
(Nippol LX430、日本ゼオン株式会社製)
・水及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比1:1で混合) 100質量部
(実施例3:熱転写シート3の作製)
実施例1の熱転写シートにおいて、転写性剥離層用塗布液1の代わりに、下記組成からなる転写性剥離層用塗布液3を用いたこと以外は、全て実施例1と同様にして実施例3の熱転写シート3を得た。
<転写性剥離層用塗布液3>
・カルナバワックス 70質量部
(WE−95、コニシ株式会社製、融点86℃)
・ステアリン酸亜鉛 20質量部
(ハイミクロンF−930、中京油脂(株)製、融点120℃、平均粒径0.9μm)
・ラテックス 10質量部
(Nippol LX430、日本ゼオン株式会社製)
・水及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比1:1で混合) 100質量部
(実施例4:熱転写シート4の作製)
実施例1の熱転写シートにおいて、転写性剥離層用塗布液1の代わりに、下記組成からなる転写性剥離層用塗布液4を用いたこと以外は、全て実施例1と同様にして実施例4の熱転写シート4を得た。
<転写性剥離層用塗布液4>
・カルナバワックス 63質量部
(WE−95、コニシ株式会社製、融点86℃)
・ステアリン酸亜鉛 27質量部
(ハイミクロンF−930、中京油脂(株)製、融点120℃、平均粒径0.9μm)
・ラテックス 10質量部
(Nippol LX430、日本ゼオン株式会社製)
・水及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比1:1で混合) 100質量部
(実施例5:熱転写シート5の作製)
実施例1の熱転写シートにおいて、転写性剥離層用塗布液1の代わりに、下記組成からなる転写性剥離層用塗布液5を用いたこと以外は、全て実施例1と同様にして実施例5の熱転写シート5を得た。
<転写性剥離層用塗布液5>
・カルナバワックス 70質量部
(WE−95、コニシ株式会社製、融点86℃)
・ステアリン酸亜鉛 20質量部
(ハイドリンZ−7−30、中京油脂(株)製、融点120℃、平均粒径5.5μm)
・ラテックス 10質量部
(Nippol LX430、日本ゼオン株式会社製)
・水及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比1:1で混合) 100質量部
(実施例6:熱転写シート6の作製)
実施例1の熱転写シートにおいて、転写性保護層を形成しなかったこと以外は、全て実施例1と同様にして実施例6の熱転写シート6を得た。
(比較例1:比較熱転写シート1の作製)
実施例1の熱転写シートにおいて、転写性剥離層用塗布液1の代わりに、下記組成からなる比較転写性剥離層用塗布液1を用いたこと以外は、全て実施例1と同様にして比較例1の比較熱転写シート1を得た。
<比較転写性剥離層用塗布液1>
・カルナバワックス 63質量部
(WE−95、コニシ株式会社製、融点86℃)
・脂肪酸アミド 27質量部
(ハイミクロンL−271、中京油脂(株)製、融点100℃、平均粒径0.4μm)
・ラテックス 10質量部
(Nippol LX430、日本ゼオン株式会社製)
・水及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比1:1で混合) 100質量部
(比較例2:比較熱転写シート2の作製)
実施例1の熱転写シートにおいて、転写性剥離層用塗布液1の代わりに、下記組成からなる比較転写性剥離層用塗布液2を用いたこと以外は、全て実施例1と同様にして比較例2の比較熱転写シート2を得た。
<比較転写性剥離層用塗布液2>
・カルナバワックス 63質量部
(WE−95、コニシ株式会社製、融点86℃)
・ポリエチレンワックス 27質量部
(ポリロンL−788、中京油脂(株)製、融点102℃、平均粒径0.1μm)
・ラテックス 10質量部
(Nippol LX430、日本ゼオン株式会社製)
・水及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比1:1で混合) 100質量部
(比較例3:比較熱転写シート3の作製)
実施例1の熱転写シートにおいて、転写性剥離層用塗布液1の代わりに、下記組成からなる比較転写性剥離層用塗布液3を用いたこと以外は、全て実施例1と同様にして比較例3の比較熱転写シート3を得た。
<比較転写性剥離層用塗布液3>
・カルナバワックス 63質量部
(WE−95、コニシ株式会社製、融点86℃)
・パラフィンワックス 27質量部
(WE−65、コニシ株式会社製、融点75℃)
・ラテックス 10質量部
(Nippol LX430、日本ゼオン株式会社製)
・水及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比1:1で混合) 100質量部
(比較例4:比較熱転写シート4の作製)
実施例1の熱転写シートにおいて、転写性着色用塗布液の代わりに、下記組成からなる比較転写性着色層用塗布液を用いたこと以外は、全て実施例1と同様にして比較例4の比較熱転写シート4を得た。
<比較転写性着色層用塗布液>
・アクリル樹脂 1.20質量部
(三菱レイヨン株式会社製 BR−79、Tg35℃、Mw 70000)
・カーボンブラック(固形分:35%) 2.29質量部
・トルエン及びメチルエチルケトンの混合溶剤(質量比1:1で混合) 5.31質量部
[熱転写シートの評価]
(1)印字性評価
実施例1〜6及び比較例1〜4で得られた各熱転写シートと、ナイロン/低密度ポリエチレンの積層フィルム(厚さ100μm、DNP製)のナイロン面側と重ね合わせて、溶融転写型熱転写プリンター(B−SX4T TEC製)を使用して、印字条件 (Heat Adjust: +0、Printer Speed: 10IPS)により、解像度が300dpiのサーマルヘッドで1ドットの文字パターンを印字した。また、下記評価基準により印字性を評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A:目視にて、印字が良好である。
B:目視にて、印字物に抜けている部分またはつぶれている部分があるが判読可能。
C:目視にて、印字物に抜けている部分またはつぶれている部分が生じ、判読不可。
(2)耐ボイル性評価
実施例1〜6及び比較例1〜4の熱転写シートを用いて形成された上記各印字物を、煮沸した熱湯中に10分間放置後、印字物表面をペーパーウエスで20往復擦った。その後、印字物を目視観察し、下記評価基準に基づき、耐ボイル性を評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A:印字物に変化がない。
B:印字物に抜けている部分と剥離が生じたが判読可能。
C:印字物に抜けている部分と剥離が生じ、判読不可。
D:印字物が完全に消失する。
Figure 2015128877
(結果のまとめ)
実施例1〜6で得られた熱転写シートは、転写性剥離層が、融点65℃以上のワックスと、金属石鹸とを含み、転写性着色層が、着色剤と、軟化点100℃以上のフェノール樹脂とを含むものであったため、印字性が良好でありながら、印字物の耐ボイル性が優れていた。また、実施例1と実施例6を比較すると、転写性保護層を設けた実施例1は、印字物の耐ボイル性が特に優れていることが明らかにされた。
一方、比較例1〜3で得られた熱転写シートは、転写性剥離層が、金属石鹸を含まないものであったため、印字物の耐ボイル性に劣っていた。
比較例4で得られた熱転写シートは、転写性着色層が軟化点100℃以上のフェノール樹脂を含まないものであったため、印字物の耐ボイル性、及び印字性に劣っていた。
1 基材
2 転写性剥離層
3 転写性着色層
4 背面層
5 転写性保護層
10 熱転写シート
本発明に係る熱転写シートは、基材の一方の面に、該基材側から少なくとも転写性剥離層、転写性着色層がこの順に配置され、該基材の他方の面に背面層が配置されてなり、
前記転写性剥離層は、融点が65℃以上のワックスと、金属石鹸とを含み、前記金属石鹸の平均粒径は0.1〜2.0μmであり、前記金属石鹸の含有量が、前記転写性剥離層に含まれる全固形分に対して15〜25質量%であり、
前記転写性着色層は、着色剤と、軟化点100℃以上のフェノール樹脂とを含むことを特徴とする。
本発明に係る熱転写シートにおいては、前記金属石鹸の含有量が、前記転写性剥離層に含まれる全固形分に対して15〜25質量%であることから、印字物の耐ボイル性、及び印字性に優れ
本発明に係る熱転写シートにおいては、前記転写性剥離層と前記転写性着色層との間に、更に転写性保護層が配置され、前記転写性保護層は、ガラス転移温度が100℃以上の環状オレフィン系重合体を当該転写性保護層の固形分の50質量%超過で含み、更に当該環状オレフィン系重合体に対する非相溶性樹脂を含むことが、印字物の耐ボイル性、及び耐擦傷性に優れる点から好ましい。
参考例2:熱転写シート2の作製)
実施例1の熱転写シートにおいて、転写性剥離層用塗布液1の代わりに、下記組成からなる転写性剥離層用塗布液2を用いたこと以外は、全て実施例1と同様にして参考例2の熱転写シート2を得た。
<転写性剥離層用塗布液2>
・カルナバワックス 80質量部
(WE−95、コニシ株式会社製、融点86℃)
・ステアリン酸亜鉛 10質量部
(ハイミクロンF−930、中京油脂(株)製、融点120℃、平均粒径0.9μm)
・ラテックス 10質量部
(Nippol LX430、日本ゼオン株式会社製)
・水及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比1:1で混合) 100質量部
参考例4:熱転写シート4の作製)
実施例1の熱転写シートにおいて、転写性剥離層用塗布液1の代わりに、下記組成からなる転写性剥離層用塗布液4を用いたこと以外は、全て実施例1と同様にして参考例4の熱転写シート4を得た。
<転写性剥離層用塗布液4>
・カルナバワックス 63質量部
(WE−95、コニシ株式会社製、融点86℃)
・ステアリン酸亜鉛 27質量部
(ハイミクロンF−930、中京油脂(株)製、融点120℃、平均粒径0.9μm)
・ラテックス 10質量部
(Nippol LX430、日本ゼオン株式会社製)
・水及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比1:1で混合) 100質量部
参考例5:熱転写シート5の作製)
実施例1の熱転写シートにおいて、転写性剥離層用塗布液1の代わりに、下記組成からなる転写性剥離層用塗布液5を用いたこと以外は、全て実施例1と同様にして参考例5の熱転写シート5を得た。
<転写性剥離層用塗布液5>
・カルナバワックス 70質量部
(WE−95、コニシ株式会社製、融点86℃)
・ステアリン酸亜鉛 20質量部
(ハイドリンZ−7−30、中京油脂(株)製、融点120℃、平均粒径5.5μm)
・ラテックス 10質量部
(Nippol LX430、日本ゼオン株式会社製)
・水及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比1:1で混合) 100質量部
[熱転写シートの評価]
(1)印字性評価
実施例1、3及び6、参考例2、4及び5、並びに比較例1〜4で得られた各熱転写シートと、ナイロン/低密度ポリエチレンの積層フィルム(厚さ100μm、DNP製)のナイロン面側と重ね合わせて、溶融転写型熱転写プリンター(B−SX4T TEC製)を使用して、印字条件 (Heat Adjust: +0、Printer Speed: 10IPS)により、解像度が300dpiのサーマルヘッドで1ドットの文字パターンを印字した。また、下記評価基準により印字性を評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A:目視にて、印字が良好である。
B:目視にて、印字物に抜けている部分またはつぶれている部分があるが判読可能。
C:目視にて、印字物に抜けている部分またはつぶれている部分が生じ、判読不可。
(2)耐ボイル性評価
実施例1、3及び6、参考例2、4及び5、並びに比較例1〜4の熱転写シートを用いて形成された上記各印字物を、煮沸した熱湯中に10分間放置後、印字物表面をペーパーウエスで20往復擦った。その後、印字物を目視観察し、下記評価基準に基づき、耐ボイル性を評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A:印字物に変化がない。
B:印字物に抜けている部分と剥離が生じたが判読可能。
C:印字物に抜けている部分と剥離が生じ、判読不可。
D:印字物が完全に消失する。
Figure 2015128877
(結果のまとめ)
実施例1、3及び6、参考例2、4及び5で得られた熱転写シートは、転写性剥離層が、融点65℃以上のワックスと、金属石鹸とを含み、転写性着色層が、着色剤と、軟化点100℃以上のフェノール樹脂とを含むものであったため、印字性が良好でありながら、印字物の耐ボイル性が優れていた。また、実施例1と実施例6を比較すると、転写性保護層を設けた実施例1は、印字物の耐ボイル性が特に優れていることが明らかにされた。
一方、比較例1〜3で得られた熱転写シートは、転写性剥離層が、金属石鹸を含まないものであったため、印字物の耐ボイル性に劣っていた。
比較例4で得られた熱転写シートは、転写性着色層が軟化点100℃以上のフェノール樹脂を含まないものであったため、印字物の耐ボイル性、及び印字性に劣っていた。

Claims (4)

  1. 基材の一方の面に、該基材側から少なくとも転写性剥離層、転写性着色層がこの順に配置され、該基材の他方の面に背面層が配置されてなり、
    前記転写性剥離層は、融点が65℃以上のワックスと、金属石鹸とを含み、
    前記転写性着色層は、着色剤と、軟化点100℃以上のフェノール樹脂とを含む、熱転写シート。
  2. 前記金属石鹸の含有量が、前記転写性剥離層に含まれる全固形分に対して15〜40質量%である、請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記転写性剥離層と前記転写性着色層との間に、更に転写性保護層が配置され、前記転写性保護層は、ガラス転移温度が100℃以上の環状オレフィン系重合体を主成分として含み、更に当該環状オレフィン系重合体に対する非相溶性樹脂を含む、請求項1又は2に記載の熱転写シート。
  4. 前記金属石鹸が、ステアリン酸亜鉛である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱転写シート。
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