JP5729443B2 - 熱転写シート - Google Patents
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Description
本発明は上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、その目的は、印字物の耐ボイル性が優れた熱転写シートを提供することにある。
前記転写性着色層が、着色剤と、バインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との反応物を含むことを特徴とする。
本発明によれば、前記転写性着色層のバインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との反応物を含むことにより、印字物の耐ボイル性が優れた熱転写シートを提供することが可能になる。
前記転写性着色層が、着色剤と、バインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との反応物を含む、熱転写シートである。
図2は本発明の熱転写シートの他の一例を示す。図2の熱転写シート10は、基材1の一方の面に、転写性保護層4、転写性着色層2がこの順で設けられ、基材1の他方の面に背面層3が設けられた構成である。
図3は本発明の熱転写シートの他の一例を示す。図3の熱転写シート10は、基材1の一方の面に、剥離層5、転写性保護層4、転写性着色層2がこの順で設けられ、基材1の他方の面に背面層3が設けられた構成である。
以下、本発明の熱転写シートを構成する各層毎に詳述する。
本発明で用いる熱転写シートの基材1としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであれば特に限定されない。
基材の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンサルフィド、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマー等の樹脂基材、及びグラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、セロファン等があり、また、これらの2種以上を積層した複合基材なども使用できる。また、上記樹脂基材の場合は、上述の樹脂1種のみからなるものであってもよいし、2種以上の樹脂からなるものであってもよい。
これらの基材の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜変更すれば良いが、通常は0.5〜50μm程度が好ましく、より好ましくは1〜10μm程度である。
転写性着色層2は、少なくとも着色剤とバインダー樹脂を含有する。本発明の転写性着色層は、特にバインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との反応物を含む。
本発明の熱転写シートにおいては、前記転写性着色層のバインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との反応物を含むことにより、印字性が良好でありながら、印字物の耐ボイル性に優れる。当該転写性着色層を用いると、後述するような転写性保護層を転写性着色層上に更に積層しない場合であっても、耐ボイル性を有する。
転写性着色層のバインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との反応物を含むことにより上記効果が得られるメカニズムは解明できていないが、以下のように推定される。フェノール樹脂は、包装材として用いられるプラスチックフィルムに対する密着性が良好で、印字性を向上する。また、軟化点100℃以上のフェノール樹脂を用いることにより、非常に細かい文字パターンの転写も良好になり、例えば、300dpiのサーマルヘッドで1ドットの文字パターンの印字性にも優れる。
更に、フェノール樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂を選択し、且つ、硬化剤により硬化することにより、三次元網目構造を構築して、印字物に優れた耐熱性を付与する。その際に、フェノール樹脂の硬化剤として、芳香族ポリイソシアネートや脂肪族ポリイソシアネートのビウレット体やイソシアヌレート体を用いても印字物の耐ボイル性は得られないのに対し、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体を選択して組み合わせることにより、優れた耐ボイル性が得られる。これは、フェノール樹脂の硬化剤として脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体を用いると、フェノール樹脂の三次元網目構造に柔軟性が付与され、包装材上の印字物が煮沸した熱湯中で包装材の収縮や膨張等の変形の影響を受けた場合でも、包装材に追従して剥離し難いからではないかと推定される。
また、フェノール樹脂の軟化点は、耐ボイル性の点から100℃以上であるが、更に110℃以上であることが好ましい。
なお、本発明におけるフェノール樹脂の軟化点は、JIS K7206:1999に規定された方法によって測定される軟化点をいう。
本発明の転写性着色層におけるバインダー樹脂としては、耐ボイル性の点から、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との反応物と、更に含まれていても良い未反応の軟化点100℃以上のフェノール樹脂及び未反応の脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との固形分合計量が、全バインダー樹脂の固形分中の70質量%以上含まれることが好ましく、更に80質量%以上含まれることが好ましく、より更に90質量%以上含まれることが好ましく、特に95質量%以上含まれることが好ましい。なお、本発明において固形分とは、溶剤以外のすべての成分を表す。
中でも、本発明の転写性着色層におけるバインダー樹脂としては、固形分として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との二成分からなる樹脂組成物の硬化物のみからなる態様が、特に好適に用いられる。
また、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との二成分からなる樹脂組成物の硬化物が、転写性着色層の全固形分中に20〜70質量%で用いられることが好ましく、更に50〜70質量%で用いられることが好ましい。
転写着色層の塗布量は、特に限定されないが、通常乾燥時で0.6g/m2程度であり、好ましくは乾燥時で0.4g/m2〜3.0g/m2である。0.4g/m2未満であると、転写印字濃度が低くなる恐れがあり、また3.0g/m2超過であると、膜の熱溶融性が低下し、熱転写が起こり難くなる恐れがある。
本発明の熱転写シートは、基材の他方の面に、サーマルヘッドや転写用熱板等の熱によるステッキングや印字しわ等の悪影響を防止するために、背面層を設ける。
背面層は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチルセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物、及びフッ素変性ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
背面層の塗布量は、特に限定されないが、耐熱性等の向上等の点から、好ましくは乾燥時で0.01g/m2〜0.2g/m2である。
本発明の熱転写シートは、図2及び図3に示すように、転写性着色層の耐久性を更に向上するために、基材1と転写性着色層2との間に、転写性保護層4を設けても良い。転写性保護層は、熱転写時に転写性着色層2と共に転写され、転写画像の表面を被覆するものである。
転写性保護層の塗布量は、膜切れが十分に行われるよう、薄い層になるように、好ましくは乾燥時で0.1g/m2〜1.5g/m2程度である。更に、膜切れを良くする為に、シリカ、アルミナ、クレー、炭酸カルシウム等の微細な体質顔料を添加して転写性保護層を形成することが好ましい。
また、本発明の熱転写シートは、図3に示すように、基材1と転写性着色層2との間に、転写性保護層を設ける場合には基材1と転写性保護層4との間に、熱転写時に転写する層の剥離性を向上するために、剥離層5を設けても良い。剥離層は、熱転写時に転写性着色層2と共に転写しても良いし、基材側に残り転写しなくても良い。また、剥離層は、凝集破壊して、一部が転写性着色層と共に転写し、他の一部が基材側に残っても良い。
必要に応じて、添加できる有機微粒子としては、例えばアクリル系微粒子、ポリアミド系微粒子、フッ素系微粒子、ポリエチレンワックス等が挙げられる。また、添加できる無機微粒子として、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ等が挙げられる。
剥離層の塗布量は、通常乾燥時で0.5g/m2程度であるが、好ましくは乾燥時で0.1g/m2〜1.0g/m2である。0.1g/m2未満であると、剥離性が悪くなり剥離層の効果が得られない恐れがある。一方、1.0g/m2超過であると、剥離層毎転写が起こり易くなり、転写する層の転写性が悪くなる恐れがある。
基材として厚さ6μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETと表示)(商品名:ルミラー 東レ製)を用い、その一方に背面層として下記組成からなる背面層用塗布液を、乾燥時の塗布量が0.1g/m2になるようにグラビア印刷方式で塗布、乾燥させて背面層を形成した。次に、背面層を形成した基材の背面層と反対の面に、下記組成からなる転写性着色層用塗布液1を、乾燥時の塗布量が1.0g/m2になるようにグラビア印刷方式で塗布、乾燥させて、実施例1の熱転写シートを形成した。
・アクリル変性シリコーン 10質量部
(ポリアロイ NSA−X55、ナトコ株式会社製)
・シリコーンイソシアネート 2質量部
(ダイアロマー SP901、大日精化工業株式会社製)
・メチルエチルケトン 20質量部
・トルエン 20質量部
軟化点100℃以上のフェノール樹脂の水酸基に対する、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体のイソシアネート基の当量比(NCO/OH);0.10
・フェノール樹脂(固形分:50%) 2.40質量部
(フェノールノボラック樹脂、TD−2090、株式会社DIC製、軟化点118−122℃)
・カーボンブラック(固形分:35%) 2.29質量部
・脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体(固形分:80%) 0.12質量部
(デュラネートE402−80B、旭化成株式会社製)
・トルエン及びメチルエチルケトン(質量比 1:1で混合) 5.31質量部
実施例1の熱転写シート1の製造において、転写性着色層用塗布液1を、下記組成の転写性着色層用塗布液2に変更して、転写性着色層を形成した以外は、実施例1と同様にして熱転写シート2を得た。
<転写性着色層用塗布液2>
軟化点100℃以上のフェノール樹脂の水酸基に対する、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体のイソシアネート基の当量比(NCO/OH);0.25
・フェノール樹脂(固形分:50%) 2.40質量部
(フェノールノボラック樹脂、TD−2090、株式会社DIC製、軟化点118−122℃)
・カーボンブラック(固形分:35%) 2.29質量部
・脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体(固形分:80%) 0.31質量部
(デュラネートE402−80B、旭化成株式会社製)
・トルエン及びメチルエチルケトン(質量比 1:1で混合) 5.31質量部
実施例1の熱転写シート1の製造において、転写性着色層用塗布液1を、下記組成の転写性着色層用塗布液3に変更して、転写性着色層を形成した以外は、実施例1と同様にして熱転写シート3を得た。
<転写性着色層用塗布液3>
軟化点100℃以上のフェノール樹脂の水酸基に対する、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体のイソシアネート基の当量比(NCO/OH);0.50
・フェノール樹脂(固形分:50%) 2.40質量部
(フェノールノボラック樹脂、TD−2090、株式会社DIC製、軟化点118−122℃)
・カーボンブラック(固形分:35%) 2.29質量部
・脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体(固形分:80%) 0.62質量部
(デュラネートE402−80B、旭化成株式会社製)
・トルエン及びメチルエチルケトン(質量比 1:1で混合) 5.31質量部
実施例1の熱転写シート1の製造において、転写性着色層用塗布液1を、下記組成の転写性着色層用塗布液4に変更して、転写性着色層を形成した以外は、実施例1と同様にして熱転写シート4を得た。
<転写性着色層用塗布液4>
軟化点100℃以上のフェノール樹脂の水酸基に対する、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体のイソシアネート基の当量比(NCO/OH);0.10
・フェノール樹脂(固形分:50%) 2.80質量部
(フェノールノボラック樹脂、TD−2090、株式会社DIC製、軟化点118−122℃)
・カーボンブラック(固形分:35%) 1.71質量部
・脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体(固形分:80%) 0.14質量部
(デュラネートE402−80B、旭化成株式会社製)
・ジルコニウムキレート(固形分:20%) 0.65質量部
・トルエン及びメチルエチルケトン(質量比 1:1で混合) 5.31質量部
実施例1の熱転写シート1の製造において、転写性着色層用塗布液1を、下記組成の転写性着色層用塗布液5に変更して、転写性着色層を形成した以外は、実施例1と同様にして熱転写シート5を得た。
<転写性着色層用塗布液5>
軟化点100℃以上のフェノール樹脂の水酸基に対する、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体のイソシアネート基の当量比(NCO/OH);0.10
・フェノール樹脂(固形分:50%) 2.40質量部
(フェノールノボラック樹脂、TD−2090、株式会社DIC製、軟化点118−122℃)
・カーボンブラック(固形分:35%) 2.29質量部
・脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体(固形分:70%) 0.12質量部
(デュラネートE405−70B、旭化成株式会社製)
・トルエン及びメチルエチルケトン(質量比 1:1で混合) 5.31質量部
実施例1の熱転写シート1の製造において、転写性着色層用塗布液1を、下記組成の比較転写性着色層用塗布液1に変更して、転写性着色層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較熱転写シート1を得た。
<比較転写性着色層用塗布液1>
軟化点100℃以上のフェノール樹脂の水酸基に対する、イソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH);0
・フェノール樹脂(固形分:50%) 2.40質量部
(フェノールノボラック樹脂、TD−2090、株式会社DIC製、軟化点118−122℃)
・カーボンブラック(固形分:35%) 2.29質量部
・トルエン及びメチルエチルケトン(質量比 1:1で混合) 5.31質量部
実施例1の熱転写シート1の製造において、転写性着色層用塗布液1を、下記組成の比較転写性着色層用塗布液2に変更して、転写性着色層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較熱転写シート2を得た。
<比較転写性着色層用塗布液2>
軟化点100℃以上のフェノール樹脂の水酸基に対する、イソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH);0.1
・フェノール樹脂(固形分:50%) 2.40質量部
(フェノールノボラック樹脂、TD−2090、株式会社DIC製、軟化点118−122℃)
・カーボンブラック(固形分:35%) 2.29質量部
・脂肪族ポリイソシアネートのビウレット体(固形分:75%) 0.12質量部
(デュラネート21S−75E、旭化成株式会社製)
・トルエン及びメチルエチルケトン(質量比 1:1で混合) 5.31質量部
実施例1の熱転写シート1の製造において、転写性着色層用塗布液1を、下記組成の比較転写性着色層用塗布液3に変更して、転写性着色層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較熱転写シート3を得た。
<比較転写性着色層用塗布液3>
軟化点100℃以上のフェノール樹脂の水酸基に対する、イソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH);0.1
・フェノール樹脂(固形分:50%) 2.40質量部
(フェノールノボラック樹脂、TD−2090、株式会社DIC製、軟化点118−122℃)
・カーボンブラック(固形分:35%) 2.29質量部
・脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート体(固形分:100%) 0.12質量部
(デュラネートTPA−100、旭化成株式会社製)
・トルエン及びメチルエチルケトン(質量比 1:1で混合) 5.31質量部
実施例1の熱転写シート1の製造において、転写性着色層用塗布液1を、下記組成の比較転写性着色層用塗布液4に変更して、転写性着色層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較熱転写シート4を得た。
<比較転写性着色層用塗布液4>
軟化点100℃以上のフェノール樹脂の水酸基に対する、イソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH);0.1
・フェノール樹脂(固形分:50%) 2.40質量部
(フェノールノボラック樹脂、TD−2090、株式会社DIC製、軟化点118−122℃)
・カーボンブラック(固形分:35%) 2.29質量部
・芳香族ポリイソシアネート(固形分:75%) 0.12質量部
(バーノックD−750、DIC株式会社製)
・トルエン及びメチルエチルケトン(質量比 1:1で混合) 5.31質量部
(1)印字性
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られた各熱転写シートと、ナイロン/低密度ポリエチレンの積層フィルム(厚さ100μm、DNP製)のナイロン面側と重ね合わせて、溶融転写型熱転写プリンター(B−SX4T TEC製)を使用して、印字条件 (Heat Adjust: +0、Printer Speed: 10IPS)により300dpiのサーマルヘッドで1ドットの文字パターンを印字した。また、下記評価基準により印字性を評価した。評価結果を表1に示す。
A:目視にて、印字が良好である
B:目視にて、印字物の80%(面積比)未満に、抜けている部分が生じたが、実使用上問題ないレベルであった。
C:目視にて、転写不良により、印字物の80%(面積比)以上に抜けている部分が生じた
実施例1〜5、及び比較例1〜4の熱転写シートを用いて形成された上記各印字物を、煮沸した熱湯中に10分間放置後、印字物表面をペーパーウエスで10往復こすり、耐ボイル性を評価した。下記評価基準に基づき、評価結果を表1に併せて示す。
<評価基準>
A:評価試験前後で、印字物に変化がない。
B:評価試験後、印字物の80%(面積比)未満に抜けている部分と剥離が生じた。
C:評価試験後、印字物の80%(面積比)以上に抜けている部分と剥離が生じた。
実施例1〜5で得られた熱転写シートは、転写性着色層が、バインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との反応物を含むものであったため、印字性が実使用上問題なく良好でありながら、印字物の耐ボイル性が優れていた。
一方、比較例1で得られた熱転写シートは、転写性着色層のバインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂を含むがイソシアネートを含まないものであったため、印字性は良好なものの、耐ボイル性が悪かった。
比較例2で得られた熱転写シートは、転写性着色層のバインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのビウレット体を含むものであったため、印字性は良好なものの、耐ボイル性が悪かった。
比較例3で得られた熱転写シートは、転写性着色層のバインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート体を含むものであったため、印字性は良好なものの、耐ボイル性が悪かった。
比較例4で得られた熱転写シートは、転写性着色層のバインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、芳香族ポリイソシアネートを含むものであったため、印字性は実使用上問題なかったが、耐ボイル性が悪かった。
2 転写性着色層
3 背面層
4 転写性保護層
5 剥離層
10 熱転写シート
Claims (2)
- 基材の一方の面に転写性着色層と、該基材の他方の面に背面層とが少なくとも設けられてなり、
前記転写性着色層が、着色剤と、バインダー樹脂として、軟化点100℃以上のフェノール樹脂と、脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体との反応物を含む、熱転写シート。 - 前記軟化点100℃以上のフェノール樹脂の水酸基に対する、前記脂肪族ポリイソシアネートのアダクト体のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が0.05〜0.5である、請求項1に記載の熱転写シート。
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