JP2006289966A - 熱転写記録媒体及びその製造方法、並びに熱転写記録方法 - Google Patents

熱転写記録媒体及びその製造方法、並びに熱転写記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱転写プリンタを用いて印字するにあたり、高速で被転写体に画像を形成することができ、得られる画像が堅牢性に優れている熱転写記録媒体及び該熱転写記録媒体の製造方法、並びに該熱転写記録媒体を用いた熱転写記録方法の提供。
【解決手段】支持体と、該支持体上に離型層及び熱溶融性インク層をこの順に有してなり、該離型層が側鎖を有する合成炭化水素を含有し、かつ該合成炭化水素がα−オレフィンを重合してなり、数平均分子量が1,000〜6,000であって、軟化点が50〜90℃である熱転写記録媒体、及び該熱転写記録媒体の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高速印字が可能であり、優れた耐摩擦性を有する熱転写記録媒体及び該熱転写記録媒体の製造方法、並びに該熱転写記録媒体を用いた熱転写記録方法に関する。
従来より、高速度で印字できる熱転写記録方法として、熱転写層(熱溶融性インク層及び離型層)に融点の低いワックスを含有させることによって、短時間のうちに溶融させて定着する方法が多数提案されている。しかし、これらの方法は、耐擦過性、耐熱性、耐薬品性等のいわゆる画像堅牢性が劣るという問題がある。
一方、画像堅牢性を向上させるため、熱転写層が樹脂を主体として構成されている熱転写シートは、軟化点が高く、溶融及び定着させるのに時間を要し、高速で印字できないという問題がある。
このように、従来技術では、画像の堅牢性を向上させるあまり、転写性には優れていても依然として高速度での印字は困難である。一方、高速印字の必要な用途には、画像の堅牢性がほとんどないワックスを主体とした熱転写層を有する熱転写シートを使わざるを得なかった。
例えば、特許文献1には、熱溶融性層に75℃における密度が0.94g/cm以上のポリエチレンワックスを含む熱転写記録媒体が提案されている。
また、特許文献2には、基材と熱溶融性インク層の間に融点が90〜120℃のポリエチレンワックスを主体としたα−オレフィンワックスを併用することが記載され、熱溶融性インク層は粘着付与樹脂、ワックス状物質、及び着色剤を含有することが記載されている。
また、特許文献3には、エチレン、プロピレン、及び炭素数4〜10のα−オレフィンから選択される少なくとも1種のモノマーを重合させた共重合体の熱分解物を含有する感熱転写インク組成物が提案されている。
しかしながら、高速印字が可能であり、優れた耐摩擦性を有する熱転写記録媒体及び該熱転写記録媒体の製造方法、並びに該熱転写記録媒体を用いた熱転写記録方法については、未だ充分満足できる性能を有するものが提供されていないのが現状である。
特開平8−175031号公報 特許第3090748号公報 特許第3117963号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、熱転写プリンタを用いて印字するにあたり、高速で被転写体に画像を形成することができ、得られる画像が堅牢性に優れている熱転写記録媒体、及び該熱転写記録媒体の製造方法、並びに該熱転写記録媒体を用いた熱転写記録方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体と、該支持体上に離型層及び熱溶融性インク層をこの順に有する熱転写記録媒体において、
前記離型層が側鎖を有する合成炭化水素を含有し、かつ該合成炭化水素がα−オレフィンを重合してなり、数平均分子量が1,000〜6,000であって、軟化点が50〜90℃であることを特徴とする熱転写記録媒体である。
<2> 合成炭化水素の密度が、0.92g/cm以下である前記<1>に記載の熱転写記録媒体である。
<3> 離型層の乾燥付着量が、1.0〜2.0g/mである前記<1>から<2>のいずれかに記載の熱転写記録媒体である。
<4> 熱溶融性インク層が、バインダー樹脂及び着色剤を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の熱転写記録媒体である。
<5> バインダー樹脂が飽和ポリエステル樹脂であり、該飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度が、10〜50℃である前記<4>に記載の熱転写記録媒体である。
<6> 熱溶融性インク層が、更にポリオレフィンワックスを含有する前記<4>から<5>のいずれかに記載の熱転写記録媒体である。
<7> ポリオレフィンワックスの融点が、80〜130℃である前記<6>に記載の熱転写記録媒体である。
<8> ポリオレフィンワックスの熱溶融性インク層における含有量が、1〜20質量%である前記<6>から<7>のいずれかに記載の熱転写記録媒体である。
<9> 支持体の熱溶融性インク層が設けられている面と反対側の面に背面層を有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の熱転写記録媒体である。
<10> 支持体上に、少なくとも合成炭化水素を含有する離型層形成用塗布液を塗布し、該合成炭化水素の軟化点以上の温度で加熱し、乾燥させて、離型層を形成する離型層形成工程を含むことを特徴とする熱転写記録媒体の製造方法である。
<11> 合成炭化水素がα−オレフィンを重合してなり、側鎖を有し、数平均分子量が1,000〜6,000であって、軟化点が50〜90℃である前記<10>に記載の熱転写記録媒体の製造方法である。
<12> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の熱転写記録媒体を、ライン型サーマルヘッドを有するプリンタを用いて、被転写体に転写することを特徴とする熱転写記録方法である。
<13> ライン型サーマルヘッドが端面ヘッド及び平面ヘッドのいずれかである前記<12>に記載の熱転写記録方法である。
<14> 被転写体が、ポリエチレンテレフタレートフィルムである前記<12>から<13>のいずれかに記載の熱転写記録方法である。
本発明熱転写記録媒体は、支持体と、該支持体上に離型層及び熱溶融性インク層をこの順に有してなり、
前記離型層が側鎖を有する合成炭化水素を含有し、かつ該合成炭化水素がα−オレフィンを重合してなり、数平均分子量が1,000〜6,000であって、軟化点が50℃〜90℃である。
本発明の熱転写記録媒体においては、離型層がα−オレフィンを重合させた側鎖を有する合成炭化水素を含有することによって、熱溶融時の転写性を向上させることができ、前記合成炭化水素の数平均分子量を1,000〜6,000の範囲とすることで溶融特性を向上させて、その結果、高速度で画像を形成することができる。
また、前記合成炭化水素の軟化点が50℃〜90℃であり、軟化点以上の温度で離型層を形成させ、好ましくは離型層の乾燥付着量が、1.0〜2.0g/mの範囲とすることによって、より少ないエネルギーで熱溶融性インク層を転写することができ、取り扱い時に熱溶融性インク層が脱落する、いわゆる粉落ちやブロッキングの発生をより低減させることができる。
本発明の熱転写記録媒体の製造方法は、支持体上に、合成炭化水素を含有する離型層形成用塗布液を塗布し、該合成炭化水素の軟化点以上の温度で加熱し、乾燥させて、離型層を形成する離型層形成工程を含む。これにより、本発明の前記熱転写記録媒体を効率よく製造することができる。
本発明の熱転写記録方法は、本発明の熱転写記録媒体を、ライン型サーマルヘッドを有するプリンタを用いて、被転写体に転写する。これにより、高速で画像を形成することができ、画像の再現性に優れた熱転写記録方法を提供することが可能となる。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、汎用的に用いられている被転写体に高速で画像を記録できることができ、得られる転写画像は耐摩擦性が高い熱転写記録媒体、該熱転写記録媒体を用いた熱転写記録方法を提供することができる。
(熱転写記録媒体)
本発明の熱転写記録媒体は、支持体と、該支持体上に離型層及び熱溶融性インク層をこの順に有してなり、背面層、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
<支持体>
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記感熱記録材料の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロースアセテートなどが挙げられる。これらの中でも、熱転写記録媒体そのものの強度、耐熱性、熱伝導性の観点から、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
前記支持体の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3〜10μmが好ましい。
<離型層>
前記離型層は、印字の際に、支持体と熱溶融性インク層との剥離性をよくするものであり、サーマルヘッドで加熱されると熱溶融して低粘度の液体となり、加熱部分と非加熱部分との界面近傍で熱溶融性インク層が切れ易いように構成する。
前記離型層は、側鎖を有する合成炭化水素を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記側鎖を有する合成炭化水素は、α−オレフィンを重合してなり、数平均分子量が1,000〜6,000であって、軟化点が50〜90℃である。
前記α−オレフィンとしては、直鎖状、分岐状、又はこれらの組み合わせのいずれであってもよく、炭素数2〜20のものが好ましく、2〜10がより好ましい。該α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン、1−テトラデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、6−メチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。これらの中でも、エチレン、プロピレン、2−ブテン、2−ヘプテンなどが特に好ましい。
このようなα−オレフィンを重合して得られる合成炭化水素は、無極性であることから熱印加時に支持体との接着強度を弱くさせることができ、熱溶融性インク層を被転写体にすみやかに転写させることができる。
前記α−オレフィンの重合体として、従来は、不飽和多価カルボン酸を重合させたものがよく用いられていたが、このような重合体は、カルボン酸基によって支持体との接着強度が上がって熱溶融性インク層が剥離しにくくなるため、熱溶融性インク層を速やかに転写させるのには不適なものであった。
また、α−オレフィンを重合させる際に側鎖を設け、即ち、分枝構造を持たせることによって、溶融粘度をコントロールすることができる。更に、合成炭化水素の密度を下げることができ、熱応答性をよくし、転写性を向上させることができるので、高速での印字において画像を忠実に再現することが可能となる。これは、側鎖を設けると合成炭化水素の分子の嵩が高くなり、密度が下がるため凝集力が低下し、溶融しやすくなるからである。
前記合成炭化水素の合成方法としては、メタロセン型金属錯体、チタン錯体、チーグラー触媒などの金属錯体触媒を用いて中低圧で、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの複数種のオレフィン類を共重合させる公知の方法によって、側鎖を持った合成炭化水素が得られる。(1)側鎖の長さ(多さ)は密度に影響し、密度が低いほど転写性が向上することとなる。(2)重合体の数平均分子量、軟化点はポリオレフィンの重合条件によって調整する。
なお、前記重合方法としてはメタロセン触媒を用いることによって分子量分布が狭い共重合体を得ることができる。
ここで、前記合成炭化水素が側鎖を有するか否かを確認する方法としては、例えば合成炭化水素の13C−NMRを測定することによって分岐の数を確認することができる。直鎖では−CH−のピークが大量に現れるのに対し、側鎖を有する場合には−CH−等の複数のピークが検出される。
また、前記離型層は、ヘッドからの熱印加時に溶融して支持体から離型しなければならない。そこで、前記合成炭化水素の軟化点は、50〜90℃である。前記軟化点が90℃を超えると、離型層が溶融するために非常に多くのエネルギーを消費し、転写性が低下することがあり、50℃未満であると、ヘッドからの熱が比較的少なくても溶融するが、溶融後すぐに常温に戻るため熱転写記録媒体と被転写体が離れる前に固化することとなり、いわゆる貼り付き現象が発生することがある。
前記合成炭化水素の数平均分子量は、耐摩擦性と溶融特性を両立させるため、1,000〜6,000であり、1,000〜3,000が好ましい。
高速印字させるためのプリンタは、通常、急激にかつ比較的高いエネルギーを印加するため、数平均分子量が1,000未満であると、耐摩擦性が劣り、余剰なエネルギーによって熱溶融性インク層が支持体に戻ってしまう逆転写現象が起きやすくなる。一方、数平均分子量が6,000を超えると、溶融粘度が高くなり、短時間での溶融ができず高速で画像を形成することが困難となることがある。
ここで、前記数平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)などによって測定することができる。
前記合成炭化水素は、ASTM D792法に基づく、25℃における密度は0.92g/cm以下が好ましく、0.90〜0.92g/cmがより好ましい。
前記合成炭化水素は、軟化点が50〜90℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。前記軟化点が50℃未満であると、保存時にブロッキングが発生することがあり、90℃を超えると、熱感度が下がり、高速での印字ができなくなることがある。
ここで、前記軟化点は、例えば、ASTM D36など公知の方法で測定することができる。
前記離型層には、脱落防止、層塗工性の向上等のために低粘度化剤となる樹脂を添加してもよく、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。これらの添加量は、本発明の効果に影響しない程度のごく少量であることが好ましい。
また、前記離型層に弾力性を持たせて熱転写記録媒体と被転写体との密着性を向上させるために、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム類、公知の熱可塑性樹脂を添加してもよい。これらの添加量は、ワックスが有する溶融性及び離型性を阻害しない程度、即ち、離型層全体の0〜20質量%程度が好ましい。
前記離型層を作製するために、前記合成炭化水素を有機溶媒で分散して離型層塗工液を調製するが、塗工後の乾燥時に溶融開始温度より高い乾燥温度とすることで、合成炭化水素が溶解した状態となり、連続性を持ち、均一な層を形成することが可能となる。
不均一な層や非連続な層では、熱転写シートの取り扱い時や保存時に熱溶融性インク層が脱落する可能性がある。
前記離型層の厚みは、熱伝導の観点からは可能な限り薄い方が好ましいが、薄すぎると被転写体によっては画像の抜け(ボイドや白点)が発生したり、離型性やバリア性が発現しなかったりすることから、離型層の乾燥後の付着量は、1.0〜2.0g/mが好ましく、1.2〜1.5g/mがより好ましい。
<熱溶融性インク層>
前記熱溶融性インク層は、少なくとも着色剤及びバインダー樹脂を含有してなり、ワックス類、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えばカーボンブラック、アゾ系染顔料、フタロシアニン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、キノフタロン、アニリンブラック、酸化チタン、亜鉛華、酸化クロムなどが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。
−バインダー樹脂−
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、アイオノマー樹脂などが挙げられる。これらの中でも、飽和ポリエステル樹脂が特に好ましい。
前記飽和ポリエステル樹脂を用いることにより、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンフィルムをはじめとした多くの被転写体に転写し、定着させることができる。
前記飽和ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸等の酸成分と、多価アルコール成分とを重縮合反応によって合成した化合物である。
前記酸成分としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボ酸、デカリンジカルボン酸等の脂環族カルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸が特に好ましい。前記カルボン酸成分は、スルホン酸などの極性基で置換されていてもよい。
前記多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチルグリコール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オルトキシレングリコール、パラキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、ビスフェノールA、又はこれらのエチレンオキサイト付加物などが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、ネオペチルグリコールが特に好ましい。前記アルコール成分としてエチレングリコールに代表される短鎖のグリコール成分を主成分として用いることによって、熱溶融性インク層の凝集が密になり、耐摩擦性及び耐薬品性を更に向上させることができる。
前記飽和ポリエステル樹脂は、1種類のカルボン酸とグリコールのみが重合した単独重合体であってもよく、2種類以上のカルボン酸とグリコールが重合した共重合体であってもよく、これらの単独重合体及び共重合体の分子の一部又は全部が架橋されていてもよく、或いは架橋されていなくてもよい。
前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、10〜50℃が好ましく、30〜50℃がより好ましい。前記ガラス転移温度の範囲では、熱転写記録媒体としての性能が良好である。前記ガラス転移温度が10℃未満であると、耐久性が悪くなる可能性があり、保存時にブロッキングが発生しやすくなることがあり、50℃を超えると、熱感度が低下することがある。
−ワックス類−
前記熱溶融性インク層には、前記着色剤及びバインダー樹脂以外にも、被転写体に高感度で鮮明な転写画像を形成し、さらなる画像再現性及び堅牢性を持たせる目的でワックス類を添加することができる。
前記ワックス類としては、特に制限はなく、公知のワックスの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、密ロウ、鯨ロウ、木ロウ、米ぬかロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セラックワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エステルワックス、ポリオレフィンワックス、酸化パラフィンワックス、酸化ポリオレフィンワックス、オゾケライト、セレシン、α−オレフィン誘導体等の合成ワックス;高級脂肪酸、脂肪族エステル、脂肪族アミドなどが挙げられる。これらの中でも、熱や溶剤に侵されにくく硬い点から、ポリオレフィンワックス、酸化ポリオレフィンワックスが好ましく、ポリオレフィンワックスが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワックスの融点は、80〜130℃が好ましい。前記融点が、80℃未満であると、耐摩擦性が劣ることがあり、130℃を超えると、熱溶融性インク層が転写しにくくなることがある。
前記ポリオレフィンワックスの熱溶融性インク層における含有量は、1質量%〜20質量%が好ましい。
前記熱溶融性インク層には、滑剤として、シリコーンオイル、シリカ、オルガノポリシロキサン等の珪素化合物を添加することもできる。
また、アルコールやガソリンなどの溶剤に対して化学的耐性を更に向上する目的で、熱溶融性インク層に第二の成分としてポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ケトン樹脂などの公知の各種樹脂を添加することができる。
前記樹脂としては、特に耐摩擦性、耐薬品性などで優れた品質を有するものが好ましいが、従来の熱転写プリンタによって印加される熱量では不足である場合もあり、感度を阻害しない程度の添加が好ましい。例えば、前記樹脂の添加量としては、熱溶融性インク層全量に対して、1〜10質量%が好ましい。
以上のほか、感度向上や支持体からの熱溶融性インク層の脱落防止や分散性向上等の目的で、熱溶融性インク層中に種々の物質(界面活性剤等や熱溶融性物質)を添加してもよいが、熱感度及び耐久性を低下させない範囲の添加が好ましい。
前記熱溶融性インク層形成材料は、適当な溶媒中に分散させて、或いは溶解させて作製される。具体的には、ホットメルト塗工法、水性塗工法、有機溶媒を用いたグラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーターなど一般的な塗工法により、溶解した塗布液を支持体上に塗布し、乾燥させて熱溶融性インク層を形成することができる。
前記熱転写記録媒体は、さらなるバリア性付与のため、離型層と熱溶融性インク層の間に中間層を設けてもよい。
前記中間層は、公知の樹脂を含有することが好ましい。ただし、前記中間層を設ける場合、全体のインク面の厚みが増えることになるため、サーマルヘッドによって効率的に熱溶融性インク層に熱が印加されるのを阻害しない範囲での適用が望ましい。
本発明の熱転写記録媒体には、支持体から見て上記の各層とは反対の面(熱溶融性インク層が形成されている面と反対側の面)に背面層を設けてもよい。このような反対面には、転写時に、サーマルヘッド等で画像に合わせて熱が直接印加される。
前記背面層としては、必要に応じて、高熱に耐性を持つ層(耐熱保護層)、サーマルヘッド等との摩擦に耐性を持つ層(滑性保護層)などを設けることができる。
また、支持体の裏面の一部がサーマルヘッドに熱融着し、これが転写画像を傷つけたり熱転写記録媒体の搬送を困難にしたりする現象(この現象を「スティッキング」と称することもある)も発生するから、これを防止する層(スティック防止層)を設けることができる。
これらの背面層(耐熱保護層、滑性保護層、又はスティック防止層等)は、いずれも耐熱性高分子で形成される薄層であり、1つの層で2種以上の機能を担う層を兼用することもできる。
前記背面層の形成に好適な重合体としては、例えば、セルロース樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリウレタン、芳香族ポリスルホン、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール等が挙げられる。更に必要に応じて、タルク、シリカ、オルガノポリシロキサンなどの無機微粒子や滑剤などを添加することもできる。
(本発明の熱転写記録媒体の製造方法)
本発明の熱転写記録媒体の製造方法は、離型層形成工程を少なくとも含んでなり、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記離型層形成工程は、支持体上に、少なくとも合成炭化水素を含有する離型層形成用塗布液を塗布し、該合成炭化水素の軟化点以上の温度で加熱し、乾燥させて、離型層を形成する工程である。
前記合成炭化水素としては、α−オレフィンを重合してなり、側鎖を有し、数平均分子量が1,000〜6,000であって、軟化点が50〜90℃であるものが用いられる。
前記離型層形成用塗布液の塗布方法としては、常紙塗工用に用いられているブレードコーター、グラビアコーター、グラビアオフセットコーター、バーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、コンマコーター、Uコンマコーター、AKKUコーター、スムージングコーター、マイクログラビアコーター、リバースロールコーター、4本あるいは5本ロールコーター、ディップコーター、落下カーテンコーター、スライドコーター、ダイコーター等が挙げられる。
前記合成炭化水素の軟化点以上の溶融状態で離型層が形成されるので、取り扱い時に熱溶融性インク層が脱落したり、ブロッキングが発生することを防止できる。
前記その他の工程としては、例えば、熱溶融性インク層形成工程、背面層形成工程などが挙げられる。
(熱転写記録方法)
本発明の熱転写記録媒体は、ホットスタンプ、ヒートロール、レーザー照射転写、シリアルサーマルヘッド、ライン型サーマルヘッドなどの加熱溶融によって熱溶融性インク層を溶融させて、転写する方法により、被転写体に転写させることができる。
これらの中でも、画像の鮮鋭性を持ち少ないエネルギーで高速に転写することができるライン型サーマルヘッドによる転写方法が特に好ましい。
ライン型サーマルヘッドとしては、抵抗体がヘッドの面上にある平面ヘッド(フラットヘッド)、ヘッドの角にある端面ヘッド(コーナーヘッド)、ヘッドの面の端にある擬似端面ヘッド(ニアエッジヘッド)などが挙げられ、現在は平面ヘッドが一般的に用いられている。
端面ヘッドは各種カードなど厚手の被転写体に画像形成することができ、高速度の印字が可能であることより、今後主流になると予想されている。
なお、本発明の熱転写記録媒体は、平面ヘッドはもちろん、端面ヘッドでも印字が可能である。
<被転写体>
本発明で使用される被転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができりが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリアミドフィルム、ポリスチレンフィルム、合成紙、耐洗紙などの一般的に用いられているフィルムのほか、軽量コート紙、キャストコート紙、アート紙など一般的に用いられている紙、PVC、PET、厚紙などの厚みがあるカード、ナイロン、ポリエステル、綿、不織布に代表される布帛など、更に前述のフィルムを積層したもの、前述のフィルムにマット処理やコロナ処理、金属蒸着など表面処理をしたものも含め被転写体については公知のものが使用できる。
これらの中でも、高速で画像を形成することができ、耐摩擦性を発現できるものとしてポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好適である。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に示さない限り質量基準である。
(実施例1)
−熱転写記録媒体の作製−
シリコーン変性アクリル樹脂の5%トルエン溶液からなる背面層塗工液を、支持体としての厚み4.5μmのポリエステルフィルム上に塗布し、90℃で10秒間乾燥して、背面層を設けた。
次に、支持体の背面層とは反対側の面に下記組成からなる離型層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、50℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.0g/mの離型層を設けた。
−離型層形成用塗布液の組成−
・合成炭化水素(エチレン、プロピレン、2−ブテン、及び2−ヘプテンをモノマーとして側鎖を有するように共重合させた重合体、密度0.90g/cm、数平均分子量2,600、軟化点54℃)・・・9部
・エチレン−酢酸ビニル共重合体・・・1部
・トルエン・・・90部
次に、離型層上に下記組成からなる熱溶融性インク層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、60℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.5g/mの熱溶融性インク層を設けた。以上により、実施例1の熱転写記録媒体を作製した。
−熱溶融性インク層形成用塗布液の組成−
・カーボンブラック・・・5部
・アクリル樹脂(東亞合成株式会社製、アロンA−104)・・・15部
・メチルエチルケトン(MEK)・・・80部
(実施例2)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例1において、離型層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗工し、90℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.0g/mの離型層を設けた以外は、実施例1と同様にして、熱転写記録媒体を作製した。
(実施例3)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例1において、離型層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.5g/mの離型層を設けた以外は、実施例1と同様にして、熱転写記録媒体を作製した。
(実施例4)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例1において、離型層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗工し、90℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量2.0g/mの離型層を設けた以外は、実施例1と同様にして、熱転写記録媒体を作製した。
(実施例5)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例3において、離型層上に下記組成の熱溶融性インク層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、60℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.5g/mの熱溶融性インク層を設けた以外は、実施例3と同様にして、熱転写記録媒体を作製した。
−熱溶融性インク層形成用塗布液の組成−
・カーボンブラック・・・5部
・飽和ポリエステル樹脂(ガラス転移温度=65℃)・・・15部
・メチルエチルケトン(MEK)・・・80部
(実施例6)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例3において、離型層上に下記組成の熱溶融性インク層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、60℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.5g/mの熱溶融性インク層を設けた以外は、実施例3と同様にして、熱転写記録媒体を作製した。
−熱溶融性インク層形成用塗布液の組成−
・カーボンブラック・・・5部
・飽和ポリエステル樹脂(ガラス転移温度=1℃)・・・15部
・メチルエチルケトン(MEK)・・・80部
(実施例7)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例3において、離型層上に下記組成の熱溶融性インク層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、60℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.5g/mの熱溶融性インク層を設けた以外は、実施例3と同様にして、熱転写記録媒体を作製した。
−熱溶融性インク層形成用塗布液の組成−
・カーボンブラック・・・5部
・飽和ポリエステル樹脂(ガラス転移温度=40℃)・・・15部
・メチルエチルケトン(MEK)・・・80部
(実施例8)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例3において、離型層上に下記組成の熱溶融性インク層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、60℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.5g/mの熱溶融性インク層を設けた以外は、実施例3と同様にして、熱転写記録媒体を作製した。
−熱溶融性インク層形成用塗布液の組成−
・カーボンブラック・・・5部
・飽和ポリエステル樹脂(ガラス転移温度=40℃)・・・5部
・ポリエチレンワックス(融点=95℃)・・・10部
・メチルエチルケトン(MEK)・・・80部
(実施例9)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例3において、離型層上に下記組成の熱溶融性インク層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、60℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.5g/mの熱溶融性インク層を設けた以外は、実施例3と同様にして、熱転写記録媒体を作製した。
−熱溶融性インク層形成用塗布液の組成−
・カーボンブラック・・・5部
・飽和ポリエステル樹脂(ガラス転移温度=40℃)・・・12部
・ポリエチレンワックス(融点=70℃)・・・3部
・メチルエチルケトン(MEK)・・・80部
(実施例10)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例3において、離型層上に下記組成の熱溶融性インク層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、60℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.5g/mの熱溶融性インク層を設けた以外は、実施例3と同様にして、熱転写記録媒体を作製した。
−熱溶融性インク層形成用塗布液の組成−
・カーボンブラック・・・5部
・飽和ポリエステル樹脂(ガラス転移温度=40℃)・・・12部
・ポリプロピレンワックス(融点=136℃)・・・3部
・メチルエチルケトン(MEK)・・・80部
(実施例11)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例3において、離型層上に下記組成の熱溶融性インク層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、60℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.5g/mの熱溶融性インク層を設けた以外は、実施例3と同様にして、熱転写記録媒体を作製した。
−熱溶融性インク層形成用塗布液の組成−
・カーボンブラック・・・5部
・飽和ポリエステル樹脂(ガラス転移温度=40℃)・・・12部
・ポリエチレンワックス(融点=95℃)・・・3部
・メチルエチルケトン(MEK)・・・80部
(実施例12)
−熱転写記録媒体の作製−
シリコーン変性アクリル樹脂の5%トルエン溶液からなる背面層塗工液を、支持体としての厚み4.5μmのポリエステルフィルム上に塗布し、90℃で10秒間乾燥して、背面層を設けた。
次に、支持体の背面層とは反対側の面に下記組成からなる離型層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、50℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.0g/mの離型層を設けた。
−離型層形成用塗布液の組成−
・合成炭化水素(エチレン、プロピレン、2−ブテン、及び2−ヘプテンをモノマーとして側鎖を有するように共重合させた重合体、密度0.92g/cm、数平均分子量2,800、軟化点74℃)・・・9部
・エチレン−酢酸ビニル共重合体・・・1部
・トルエン・・・90部
次に、離型層上に実施例1と同様にして、熱溶融性インク層を設けた。以上により、実施例12の熱転写記録媒体を作製した。
(比較例1)
−熱転写記録媒体の作製−
支持体(ポリエステルフィルム)上に、実施例1と同様に背面層を設け、該背面層とは反対側の支持体上に下記組成からなる離型層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗工し、50℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.0g/mの離型層を設けた。
次に、得られた離型層上に実施例1と同様の熱溶融性インク層を実施例1と同様の方法で塗布して、熱溶融性インク層を設けた。以上により、比較例1の熱転写記録媒体を作製した。
−離型層形成用塗布液の組成−
・カルナウバワックス(密度0.98g/cm、軟化点83℃)・・・9部
・エチレン−酢酸ビニル共重合体・・・1部
・トルエン・・・90部
(比較例2)
−熱転写記録媒体の作製−
支持体(ポリエステルフィルム)上に、実施例1と同様に背面層を設けた。該背面層とは反対側の支持体上に、下記組成からなる離型層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗工し、50℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.0g/mの離型層を設けた。
次に、得られた離型層上に実施例1と同様の熱溶融性インク層形成用塗布液を実施例1と同様の方法で塗布して、熱溶融性インク層を設けた。以上により、比較例2の熱転写記録媒体を作製した。
−離型層形成用塗布液の組成−
・酸変性ポリエチレンワックス(密度0.98g/cm、数平均分子量3,200、軟化点115℃)・・・9部
・エチレン−酢酸ビニル共重合体・・・1部
・トルエン・・・90部
(比較例3)
−熱転写記録媒体の作製−
支持体(ポリエステルフィルム)上に、実施例1と同様に背面層を設けた。該背面層とは反対側の支持体上に、下記組成からなる離型層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗工し、50℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.0g/mの離型層を設けた。
次に、得られた離型層上に実施例1と同様の熱溶融性インク層形成用塗布液を実施例1と同様の方法で塗布し、熱溶融性インク層を設けた。以上により、比較例3の熱転写記録媒体を作製した。
−離型層形成用塗布液の組成−
・直鎖ポリエチレンワックス(密度0.96g/cm、数平均分子量1,000、軟化点110℃)・・・9部
・エチレン−酢酸ビニル共重合体・・・1部
・トルエン・・・90部
(比較例4)
−熱転写記録媒体の作製−
支持体(ポリエステルフィルム)上に、実施例1と同様に背面層を設けた。該背面層とは反対側の支持体上に、下記組成からなる離型層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗工し、60℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.0g/mの離型層を設けた。
次に、得られた離型層上に実施例1と同様の熱溶融性インク層形成用塗布液を実施例1と同様の方法で塗布し、熱溶融性インク層を設けた。以上により、比較例4の熱転写記録媒体を作製した。
−離型層形成用塗布液の組成−
・合成炭化水素(密度0.90g/cm、数平均分子量520、軟化点67℃、エチレン、プロピレン、2−ブテン、及び2−ヘプテンをモノマーとして側鎖を有するように共重合した合成炭化水素)・・・9部
・エチレン−酢酸ビニル共重合体・・・1部
・トルエン・・・90部
(比較例5)
−熱転写記録媒体の作製−
支持体(ポリエステルフィルム)上に、実施例1と同様に背面層を設けた。該背面層と反対側の支持体上に、下記組成からなる離型層形成用塗布液をワイヤーバーにて塗工し、60℃で10秒間乾燥して、乾燥付着量1.0g/mの離型層を設けた。
次に、得られた離型層上に実施例1と同様の熱溶融性インク層形成用塗布液を実施例1と同様の方法で塗布し、熱溶融性インク層を設けた。以上により、比較例5の熱転写記録媒体を作製した。
−離型層形成用塗布液の組成−
・合成炭化水素(密度0.92g/cm、数平均分子量7,200、軟化点118℃、エチレン、プロピレンより合成された直鎖の合成炭化水素)・・・9部
・エチレン−酢酸ビニル共重合体・・・1部
・トルエン・・・90部
(比較例6)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例1において、離型層形成用塗布液における合成炭化水素としてポリエチレン(密度0.96g/cm、数平均分子量3,000、軟化点80℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例6の熱転写記録媒体を作製した。
(比較例7)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例1において、離型層形成用塗布液における合成炭化水素としてエチレン及び2−ブテンをモノマーとして重合させた共重合体(密度0.94g/cm、数平均分子量600、軟化点6℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例7の熱転写記録媒体を作製した。
(比較例8)
−熱転写記録媒体の作製−
実施例1において、離型層形成用塗布液における合成炭化水素として炭素数20以上の末端に二重結合を含まないオレフィンを共重合させた共重合体(密度0.95g/cm、数平均分子量8,000、軟化点98℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例8の熱転写記録媒体を作製した。
<評価>
以上のようにして作製した実施例1〜12及び比較例1〜8の各熱転写記録媒体について、被転写体としての白色ポリエステルフィルム(リンテック社製、LVIPシリーズ)に熱転写プリンタ(ライン型薄膜平面サーマルヘッド、Zebra社製、Z140Xi、ドット密度12本/mm)を用い、印字速度を76mm/秒〜304mm/秒まで変えて、5mm角ゴシック体の漢字、数字、及び巾2mmの太線の印字を行った。
印字試験で、文字、太線の欠けやつぶれ、はみ出しがなく正常に印字できる最大の印字速度を記録し、高速印字性の評価を行った。結果を表1に示す。
また、芯の出ていないシャープペンシルの先端で画像を加重40グラム、印字面に対し40°の角度で擦り、画像が欠けるまでの回数を評価し、画像堅牢性の判定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006289966
表1の結果から、実施例1〜12では200mm/秒以上の速度で印字可能であった。特に、実施例6では304mm/秒でも正常に印字でき、実施例8、10、及び11では耐摩擦性も向上することが判った。
本発明の熱転写記録媒体は、汎用的に用いられている被転写体に高速で画像を記録できることができ、得られる転写画像は耐摩擦性が高いので、ライン型サーマルヘッドを有する熱転写プリンタ等の各種熱転写記録装置に好適に用いられる。

Claims (14)

  1. 支持体と、該支持体上に離型層及び熱溶融性インク層をこの順に有する熱転写記録媒体において、
    前記離型層が側鎖を有する合成炭化水素を含有し、かつ該合成炭化水素がα−オレフィンを重合してなり、数平均分子量が1,000〜6,000であって、軟化点が50〜90℃であることを特徴とする熱転写記録媒体。
  2. 合成炭化水素の密度が、0.92g/cm以下である請求項1に記載の熱転写記録媒体。
  3. 離型層の乾燥付着量が、1.0〜2.0g/mである請求項1から2のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
  4. 熱溶融性インク層が、バインダー樹脂及び着色剤を含有する請求項1から3のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
  5. バインダー樹脂が飽和ポリエステル樹脂であり、該飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度が、10〜50℃である請求項4に記載の熱転写記録媒体。
  6. 熱溶融性インク層が、更にポリオレフィンワックスを含有する請求項4から5のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
  7. ポリオレフィンワックスの融点が、80〜130℃である請求項6に記載の熱転写記録媒体。
  8. ポリオレフィンワックスの熱溶融性インク層における含有量が、1〜20質量%である請求項6から7のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
  9. 支持体の熱溶融性インク層が設けられている面と反対側の面に背面層を有する請求項1から8のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
  10. 支持体上に、少なくとも合成炭化水素を含有する離型層形成用塗布液を塗布し、該合成炭化水素の軟化点以上の温度で加熱し、乾燥させて、離型層を形成する離型層形成工程を含むことを特徴とする熱転写記録媒体の製造方法。
  11. 合成炭化水素がα−オレフィンを重合してなり、側鎖を有し、数平均分子量が1,000〜6,000であって、軟化点が50〜90℃である請求項10に記載の熱転写記録媒体の製造方法。
  12. 請求項1から9のいずれかに記載の熱転写記録媒体を、ライン型サーマルヘッドを有するプリンタを用いて、被転写体に転写することを特徴とする熱転写記録方法。
  13. ライン型サーマルヘッドが端面ヘッド及び平面ヘッドのいずれかである請求項12に記載の熱転写記録方法。
  14. 被転写体が、ポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項12から13のいずれかに記載の熱転写記録方法。
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