JP2015128822A - 印刷版検査方法および装置、およびそれらを使用する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
版は、紫外線硬化樹脂を使用した露光現像で作製する方法や、レーザ照射で作製する方法などがある。作製された版は、検査された後、印刷機にセットされ、印刷に使用される。
本願の課題は、この目視検査のチェックを無くし、デジタル情報に基づいてトレサビリティーを可能とすることである。
製版部門にて、印刷版を作製し、印刷部門にて、前記印刷部門から送られた前記印刷版を検査する場合に、上記のいずれかに記載の印刷版検査方法を使用する方法を用いる。
本願の2次元データは、版やインクや対象物を考慮して作製されるので、より正確に検査できる。
実施の形態1は、版の形状のチェックを、目視でなくデジタル的にチェックする方法を説明する。版の形状をデジタル化する。
<版の凸部形状と印刷結果との関係>
図1(a)〜図1(d)を用いて、版と印字との関係を説明する。図1(a)は、目的の印刷物32の例を示し、平面図である。印字30は、円である。図1(b)は、図1(a)を印字するための版31の断面図である。版31には基板34上に凸部33があり、この場合、凸部33は、円錐台である。図1(c)は、図1(b)の版31の凸部33にインク36を付着させた断面図ある。図1(d)は、図1(c)のインク36を印刷物32に転写した平面図である。
しかし、実際の版31は、製造上の問題から、理想どおりの形状には形成されない部分がある。図2(a)〜図2(d)にその場合を示す。
図2(a)〜図2(d)は、図1(a)〜図1(d)にそれぞれ対応する。異なる点は、凸部33の形状である。左凸部33aは、その頂上が凹んでいる。右凸部33bは、頂上の一部が欠けている。
図1(b)のような凸部33の形状の版31なら、凸部33の頂部の部分のみを印字されるものとして、デジタル化すれば、他のものと比較できる可能性が高い。しかし、実際の版31では、図2(b)のような凸部33のものもある。一部にこのような状態がある場合もある。全体的にある場合もある。さらに、インク36、印刷物32の条件によっては、インク36が広がる場合もある。
また、図1(b)の形状の版であったとしても、インク36の粘度、版31のセット方法(平板、曲面のR)により、印字30が変化する。
図3(a)のフローチャートを用いて、全体のフローを説明する。まず、版の計測11をし、3次元データ13とする。この3次元データ13に、一定条件12を設定し、2次元データ14とする。この2次元データ14を、2次元の元データ、比較データと比較(差分)し、版31の良否を判断する。ここで、2次元形状データは、高さ方向の情報を含まない、XY面での2次元データである。色情報を含んでもよい。3次元形状データは、高さ方向の情報を含む3次元データである。
版の計測11では、レーザ計測など3次元の形状を測定できる機器を使用する。レーザによる3次元測定では、ポリゴンミラーなど小型ミラー、操作レンズ、受光素子を用いることができる。レーザユニットを操作させることで版31全体を測定できる。測定データは、最終、比較するため、デジタルデータである必要がある。レーザ以外の方法でも3次元計測ができればよい。
2次元データ14は、3次元データ13を、一定条件12を用いて、2次元データ14へ変換する。凸部33の頂部範囲T(図3(b))から、ある印字範囲Sまで広げる。インク36の広がり、凸部33の印刷時の加圧による潰れなどによる広がりを考慮する。一定条件は後で説明する。
<検査装置>
図4(a)に、版31の形状を計測する検査装置の断面図を示す。平板状のステージ20に版31をセットして、その表面の形状を測定するものである。ステージ20には、真空引きの穴(図示しない)があり、その穴を通して版31がステージ20に吸着保持される。当然、ステージ20の表面は、鏡面とされている。穴の大きさも小さく、版31の形状に影響しないようにされている。
検査装置には、別途データ処理部があり、上記データの演算、差分などができる。図3(a)の一定条件12も記憶できる。後で説明する。
図5(a)に装置の各部を示す。ステージ部301と、センサー部303と、制御部302と、データ処理部304と、記録部305と、入力部306とからなる。
ステージ部301は、ステージ20である。その上に版31を保持する(図4(a))。
センサー部303は、センサー37(図4(a))であり、3次元センサー部310と2次元センサー部311とを含む。版31などは、3次元センサー部310で計測する。印刷物32などは2次元センサー部311で計測する。
データ処理部304は、比較・差分部312と、誤差・解像度部314、位置合わせ部315、条件部330とを含む。
誤差・解像度部314は、2つの2次元画像の比較する場合の誤差の範囲を考慮する。また、2次元データの解像度の相違を調整する。
条件部330は、一定条件12(図3(a))を有し、3次元測定データを2次元データへ変換する場合に、一定条件12を用いる。
入力部306は、図5(b)に示しているように、各種条件を入力する部である。例えば、一定条件12を入力する。印刷条件として、版31が平板(ステージ20)で印刷されるか、インク36の粘度、印刷物32が何であるか、など入力できる。例えば、予め、印刷機の品番ごとの条件を保有し、品番のみを入力してもよい。同時に使用される範囲、印刷物32も限定される。入力部306のデータを使用し、測定データの処理がされる。
一定条件12は、版31の頂部範囲Tをどの範囲(印字範囲S)まで広げるか(変化するか)の割合のデータを、条件ごとに有する。
図6(a)から図6(f)で、一定条件12(図3(a))についての例を示す。インク36、版31のセット条件、印刷物32などの条件により、版の頂部範囲Tの範囲以上に印字範囲Sが広がる。その広がる割合を考慮するため以下のように条件を設定する。
図6(b)では、印刷の対象物(印刷物32)による効果を示す。普通紙、ダンボール、プラスチックフィルム、コート紙ごとでインクのにじみが異なる。例えば普通紙が一番にじむので、印字範囲を頂部から110%と広く設定する。
図6(c)では、インクの粘度による効果を示す。粘度が高い、中、低いに分けている。粘度が低いと印字30が広がるので、大きく設定する。
図6(d)〜図6(f)では、凸部33の形状による場合を示す。
図6(e)は、1部分欠けた山型の凸部33である。頂部範囲Tが広いが、実際に印字される。印字範囲Sは狭く、30〜50%に設定する。この場合、印字範囲Sが広がらず、狭くなる、
図6(f)は、台形型の凸部33である。頂部範囲Tに平坦部分がある。印字範囲Sは、頂部範囲Tから少し広くなる。120〜130%に設定する。
1.
2×1.1×1.05=1.4(140)%・・・・(式1)
それぞれの要因の積で、印字広がりがわかる。この場合、インク36の粘度の数値により、印字広がりを計算してもよい。この方法では、少なくとも1つの条件を用いることが特徴である。
なお、上記割合は1つの例であり、数値に限定されるものではない。
差分時、2次元データ間の位置合わせが必要であるが、両者とも2次元データであり、全体同士をコンピュータ上で、差異が最小となるように位置合わせすることでできる。
<効果>
版31の形状の3次元データを、そのインク36の広がりなども考慮して2次元データとして、版31を作製した元データと比較するので、誰でも、簡単に、精度よく、間違いなく検査できる。
図7を用いて、印刷版全体システムの流れを説明する。図11に相当する図である。相違点を中心に説明する。図11との大きな相違点は、チェック時に、目視検査のチェックでなく、画像をデジタル化したデータを利用したチェックをしている点にある。
(1)注文受注102により、印刷会社101から、製版会社100へ原稿が送られる。製版会社100へ、原稿作製103のために、送られるデータは、二次元データ(元データ500)、または、紙の資料である。紙の資料の場合は、スキャナー、CCDカメラ、ラインセンサーなどで2次元のデジタル化(二次元データ)をする。この2次元データを元データ500と呼ぶ。
この2次元の元データ500から、デザイン性などを入れて原稿データ501をつくる。原稿データ501は、印刷されるデータ(印刷物のデータ)である。このデータも2次元データにする。
2次元の元データ500と、原稿データ501との差異をコンピュータ上で差分を取って、チェックする。
元データ500から原稿データ501へは、デザイン上、印刷上の問題などで、模様、文字など、内容を変更する場合もある。その場合は、その部分が差分として現れ、チェックできる。
(2)原稿データ501と、それをプリントアウトしたもの(印刷物)が印刷会社101へ送られる。印刷会社101では、目視でプリントアウトしたものを確認してもよいが、主体は、原稿データ501と元データ500との2次元データ間の比較をしてチェックする。コンピュータ上で差分を取って比較される。デジタルデータがなければ、実施の形態1の方法で、印刷物をデジタル化する。
(3)結果を判断し、よければ原稿データ501が校了済データ502として、製版会社100へ回答される。製版会社100での比較結果を印刷会社101へ報告するにより、この工程を省略することも可能である。
(4)製版会社100では、校了済データ502を元に、版31を作製する。この時、版31作製のための版作製用データ503が作成される。しかし、版の作製方法により必要な版作製用データ503は異なる。例えば、以下の場合がある。凸部33頂部に光を照射するための版作製用データ503が作成される場合、一定条件12(図3)下、校了済データ502から、頂部範囲T(図3(b))からなる版作製用データ503をつくる。
凸部33の頂部範囲Tのデータ(図3(b))を利用する場合もあるし、印字範囲Sのデータを利用する場合もある。露光現像を利用する製造方法の場合は、マスクの形状のデータとして、頂部範囲Tのデータが利用される。
結果、問題なければ、ゲラ校正物107と版31を印刷会社101へ納入する。必要に応じて、第1印刷物データ506と第1版計測データ504も納入する。
(5)印刷会社101は、版31の計測を行い2次元データの第2版計測データ505とする。第2版計測データ505と、校了済データ502とを比較する。製版会社100から、第1印刷物データ506と第1版計測データ504をもらい、省略することも可能である。
問題なければ、版31を用いて、印刷を行う。
(6)その結果の印刷物32を計測し(実施の形態1)、2次元データである第2印刷物データ507とする。第2印刷物データ507と校了済データ502とを比較する。問題なければ、印刷を行う。結果、印刷物32ができる。
(7)初期、途中などで、印刷物110を計測し、第3印刷物データ508とする。校了済データ502、第2版計測データ505などと比較し、チェックする。
時間の経過とともに検査ができるので、版31の劣化、ゴミ付きなどを検査できる。ごみ付きの場合、版31を洗浄する。版31の劣化の場合、版31を交換できる。
記載しなかった事項は実施の形態1と同様である。
原稿作製、版の製造、印刷前後、印刷途中、版31、印刷物の2次元データが、コンピュータ上で比較しできる。結果、ミスがなく、容易に、だれでも検査(チェック)ができる。
各工程でのチェック、検査が容易にできる。特に印刷物と、版との検査が各工程で容易にできるため、欠陥など間違いがあった時点で、原因が容易にわかる。
<現物との比較>
データの比較の例を図8(a)〜図8(c)にて示す。
図8(a)は、紙資料の場合である。印刷会社101などからの依頼では、紙資料の場合や、あるソフトで作成されたデータである場合が多く、プリントした紙を利用しなければならない場合が多い。これら紙を計測61し、2次元データ62とする。紙をスキャナー、CCD、イメージサンサーなどで読み取り、デジタル化する。これら2次元データを、原稿データ501、校了済データ502、版作製用データ503、第1版計測データ504、第2版計測データ505、第1印刷物データ506、第2印刷物データ507、第3印刷物データ508(図7)などの2次元データ63と比較、差分をし、判定する。
図8(b)は、版31の版作製用データ503(図7)の場合である。1つの例として、版31の製造で、露光する場合のマスクのマスクデータ64を2次元データ62とする。この2次元データ62を、原稿データ501、校了済データ502、版作製用データ503、第1版計測データ504、第2版計測データ505、第1印刷物データ506、第2印刷物データ507、第3印刷物データ508(図7)などの2次元データ63と比較、差分をし、判定する。ただし、版31の版作製用データ503の場合、印字範囲Sでなく、頂部範囲Tのデータの場合もある。この場合、版31の版作製用データを、一定条件12を用いて、印字範囲Sへ変換して比較してもよい。
ただし、版作製用データは、最終の印刷物のデータと異なる場合がある。図3(a)に示したように一定条件12を考慮し、2次元データ62とする必要がある時もある。
図8(c)は、紙データ同士のチェックの場合である。例えば、第1印刷物データ506、第2印刷物データ507、第3印刷物データ508、元データ500(図7)を比較する場合、それぞれを2次元データ62、63として、コンピュータ上で比較する。ただし、この場合、両者とも最終の形であるので、図3(a)の一定条件12での補正はしない。
ただし、図5(a)で説明したように、誤差、解像度、位置合わせなどを2つのデータ間でする必要がある。記載しなかった事項は実施の形態1と同様である。
すべてのデータを2次元データとすることで、いろいろな検査、チェックが容易にできる。
従来、カラー画像の印字30の場合、色ごとの版31のデータで、チェックをしていた。つまり、赤色の版31と赤色のみの印刷物とを目視で検査していた。
しかし、この方法では、色ごとの2次元データを加算して、まとめてチェック、検査ができる。
従来、各色ごとにチェック、検査されていた。しかし、この方法では、3色の各々の版31のデータをコンピュータ上で加算し、校了済データ502、第1版計測データ504、第2版計測データ505などと、2次元データ間で比較すれば、検査できる(図7)。
データ処理などは上記実施の形態と同様である。なお、2次元データは、色情報を含めることができる。記載しなかった事項は実施の形態1と同様である。
従来では、色ごとで版31の形状と印字30のチェックをしていたが、合成してできるので、色ごとの検査を、1回でできる。
版31の3次元データは、上記実施の形態では、レーザで計測し、2次元データへ変換していた。しかし、CCDやイメージセンサなどの2次元のデータから、2次元データへ変換することも可能である。
また、CCDなどを複数用いて、凸部33を異なる方向から撮像して、3次元データとする。その後、2次元データへ変換してもよい。または、直接、2次元データとしてもよい。
<効果>レーザなどの3次元計測器を使用しなくとも、版の形状データを2次元化できる。よって、装置構成が簡素化できる。記載しなかった事項は実施の形態1と同様である。
上記方法、装置で、版31の欠陥検査も当然できる。元のデータと版形状のデータとを比較する場合に、版31に欠陥、異物、欠けなどあれば、その部分が差分でわかり、検査できる。
基板34は、ポリエチレンテレフタレートを用いることができる。基板34の厚みは、100μm程度である。凸部33の形成としては、感光性樹脂を用いることができる。レーザ、UVなど光で露光しパターニングされる。凸版印刷だけでなく、印刷版を用いる分野では、この発明を用いることができる。上記実施の形態は、それぞれ組み合わせることができる。
12 一定条件
13 3次元データ
14 2次元データ
15 比較
20 ステージ
25 シリンダー
30 印字
31 版
32 印刷物
33 凸部
33a 左凸部
33b 右凸部
34 基板
36 インク
37 センサー
61 紙を計測
62 2次元データ
63 2次元データ
64 マスクデータ
100 製版会社
101 印刷会社
102 注文受注
103 原稿作製
104 原稿確認
105 校了済データ
106 版作製
107 ゲラ校正物
110 印刷物
301 ステージ部
302 制御部
303 センサー部
304 データ処理部
305 記録部
306 入力部
310 3次元センサー部
311 2次元センサー部
312 比較・差分部
314 誤差・解像度部
315 位置合わせ部
330 条件部
500 元データ
501 原稿データ
502 校了済データ
503 版作製用データ
504 第1版計測データ
505 第2版計測データ
506 第1印刷物データ
507 第2印刷物データ
508 第3印刷物データ
T 頂部範囲
S 印字範囲
Claims (12)
- 印刷版の表面の凸部の形状を3次元計測する計測工程と、
前記計測工程で計測された3次元データを、第1の2次元データへ変換する変換工程と、
前記第1の2次元データを、第2の2次元データと比較する第1の比較工程と、
前記比較工程の結果により、前記印刷版の合否を判定する判定工程と、を含む印刷版検査方法。 - 前記変換工程では、前記印刷版の凸部の頂部範囲を印字範囲へ変換するための一定条件により、前記3次元データを前記第1の2次元データへ変換する請求項1記載の印刷版検査方法。
- 前記一定条件とは、凸部の形状、印刷物、印刷で使用するインクの少なくとも1つにより決定される請求項2記載の印刷版検査方法。
- 前記第2の2次元データとは、前記印刷版を作製するために利用されたデータである請求項1から3のいずれか1項に記載の印刷版検査方法。
- 前記第2の2次元データは、印刷物をスキャナーによりデジタル化したデータである請求項1から3のいずれか1項に記載の印刷版検査方法。
- 前記第2の2次元データが複数種類あり、それらを比較する第2の比較工程がある請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷版検査方法。
- 前記比較工程では、2つのデータ間の差分が最小となるように、データ間の位置合わせをする請求項1から6のいずれか1項に記載の印刷版検査方法。
- 印刷版の表面の凸部を3次元計測する計測部と、
前記計測部で3次元計測したデータを、第1の2次元データへ変換する変換部と、
前記第1の2次元データを、第2の2次元データと比較する比較部と、
前記比較部の結果により、前記印刷版の合否を判定する判定部と、を含む印刷版検査装置。 - 前記計測部が、3次元計測器と2次元計測器を有する請求項8記載の印刷版検査装置。
- 前記第1の2次元データへの変換部では、前記3次元データの頂部のデータを、一定条件下、前記第1の2次元データへ、印字範囲を変換する請求項8または9に記載の印刷版検査装置。
- 製版部門にて前記印刷版を作製し、印刷部門にて前記製版部門から送られた前記印刷版を利用して印刷するしくみにおいて、
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷版検査方法、または、請求項8〜10のいずれか1項に記載の印刷版検査装置を使用する方法。 - 製版部門にて印刷版を作製し、印刷部門にて前記製版部門から送らせた前記印刷版を使用する方法で、
前記印刷版の形状データを2次元データとし、前記印刷版で印刷した印刷物の2次元データとを比較し、印刷版の検査する方法。
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