JP2015128055A - リチウムイオン二次電池の活物質およびそれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電圧の急激な変化を抑え、酸化還元電位の制御性の良い活物質、および、そのような活物質を用いた、電圧の制御性の良いリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】リチウムイオン二次電池の活物質は、W(x)Me1(z1)Me2(z2)・・・Men(zn)O2(x+z1+z2+…+zn=1、nは1以上の整数、0<max{z1,z2,…,zn}/x<1/2)で表される組成、またはW(x)Mo(z1)Ti(z2)O2(x+z1+z2=1、0<z1≰xかつ0<z2≰0.1304)で表される組成を有し、Me1からMenは酸化物としてルチル型構造あるいはMoO2型構造を取り得る元素である。【選択図】なし
Description
本願は、リチウムイオン二次電池の活物質およびそれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、高電圧であり、かつ高エネルギー密度を有するため、電子機器用、電力貯蔵用または電気自動車の電源として期待されている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、正極、負極、正極および負極の間に配置されたセパレータ、および電解質を備えている。セパレータには、例えば、ポリオレフィン製の微多孔膜が用いられている。電解質としては、例えばLiBF4、LiPF6等のリチウム塩を非プロトン性の有機溶媒に溶解した液状リチウムなどの非水電解質が用いられる。正極は、例えばリチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO2)などの正極活物質を有している。負極は、例えば黒鉛など様々な炭素材料を用いた負極活物質を有している。
炭素材料を負極活物質として用いたリチウムイオン二次電池では、炭素材料の酸化還元電位がリチウム金属の析出電位に近いことから、高レート充電や僅かな電極内の充電ムラなどにより、負極表面上にリチウム金属が析出することがある。リチウム金属の析出は、サイクル寿命の劣化(特に低温で使用した場合)を引き起こす可能性があるため、リチウムイオン二次電池の開発における課題の一つとなっている。
このため、リチウム金属の析出電位よりも十分に高い電位で酸化還元する負極活物質が提案されている。例えば、リチウム金属を基準とする酸化還元電位が1.2VであるMoO2(特許文献1参照)や、0.5VであるWO2(特許文献2参照)が挙げられる。
しかしながら、WO2を活物質として用いたリチウムイオン二次電池は、充放電中に電圧が大きく変化するという問題がある。具体的には、これらの活物質のリチウムイオン充填率あるいは活物質1グラム当たりの静電容量と電圧との関係を示す充放電曲線において、プラトーと呼ばれる電圧が比較的なだらかに変化する2つの領域の間で、急激に電圧が変化することが知られている。これにより、電圧の制御性が低く、したがって電池の設計の自由度が低くなるため、実際に電池として使用できる静電容量や電圧の範囲が限られるおそれがあった。
本願の、限定的ではない例示的なある実施形態は、上記の電圧の急激な変化を抑え、酸化還元電位の制御性の良い活物質、および、そのような活物質を用いた、電圧の制御性の良いリチウムイオン二次電池を提供するものである。
上記課題を解決するために、本開示の一態様にかかるリチウムイオン二次電池の活物質は、W(x)Me1(z1)Me2(z2)・・・Men(zn)O2(x+z1+z2+…+zn=1、nは1以上の整数、0<max{z1,z2,…,zn}/x<1/2)で表される組成を有し、Me1からMenは酸化物としてルチル型構造あるいはMoO2型構造を取り得る元素である、活物質を含む。
なお、包括的または具体的な態様は、電池、装置、システム、または方法で実現されてもよく、物質、電池、システム、および方法の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示の一態様によれば、酸化還元電位の制御性の良いリチウムイオン二次電池用活物質、および、そのような活物質を用いた電圧の制御性の良いリチウムイオン二次電池を提供できる。
本開示の一態様のリチウムイオン二次電池の活物質は、W(x)Me1(z1)Me2(z2)・・・Men(zn)O2(x+z1+z2+…+zn=1、nは1以上の整数、0<max{z1,z2,…,zn}/x<1/2)で表される組成を有する。Me1からMenは、酸化物としてルチル型構造あるいはMoO2型構造を取り得る元素である。
Me1からMenは、Ti、V、Cr、Ge、Mn、Nb、Mo、Ru、Rh、Sn、Te、Ta、Re、Os、Ir、Pt、およびPbからなる群から選択したいずれかn種類の元素であってもよい。
活物質の組成は、W(x)Ti(z1)O2(0<z1/x≦1/3)で表されるものであってもよい。
活物質の組成は1/7≦z1/xを満たすものであってもよい。
活物質の組成は、W(x)Mo(z1)O2で表されるものであってもよい。
活物質の組成はz1/x≦1/8を満たすものであってもよい。
本開示の他の態様の活物質の組成は、W(x)Mo(z1)Ti(z2)O2(x + z1 + z2 = 1、0<z1≦xかつ0<z2≦0.1304)で表されるものである。
活物質の組成はz2/z1≦1を満たすものであってもよい。
本開示の一態様のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を含む正極と、上述した活物質を含む負極と、正極と負極との間に配置されたリチウムイオン伝導性を有する電解質とを含むものである。
以下、本開示による活物質の実施の形態を説明する。本実施の形態の活物質はリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能であり、例えばリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いられ得る。
(本開示に至った経緯)
本発明者は、MoO2やWO2を活物質として用いたリチウムイオン二次電池における充放電中の電圧の急激な変化を抑制するために、まず、当該電池を用い、充電中における電圧の急激な変化が起こる前後において、活物資の結晶構造をX線回折法を用いて調べた。その結果、急激な変化が起こる前(すなわち、変化点に対しリチウム充填率が低い側)では活物資は単斜晶であった。これに対し、急激な変化が起こった後(すなわち、リチウム充填率が高い側)では活物資は斜方晶であることを確認した。すなわち、リチウムイオンの挿入に伴い、MoO2やWO2は単斜晶から斜方晶に構造転移することがわかった。したがって、この構造転移による急激なエネルギー変化が、電圧の急激な変化として現れると考えられる。
本発明者は、MoO2やWO2を活物質として用いたリチウムイオン二次電池における充放電中の電圧の急激な変化を抑制するために、まず、当該電池を用い、充電中における電圧の急激な変化が起こる前後において、活物資の結晶構造をX線回折法を用いて調べた。その結果、急激な変化が起こる前(すなわち、変化点に対しリチウム充填率が低い側)では活物資は単斜晶であった。これに対し、急激な変化が起こった後(すなわち、リチウム充填率が高い側)では活物資は斜方晶であることを確認した。すなわち、リチウムイオンの挿入に伴い、MoO2やWO2は単斜晶から斜方晶に構造転移することがわかった。したがって、この構造転移による急激なエネルギー変化が、電圧の急激な変化として現れると考えられる。
ここで、WO2の結晶構造は、図16(1)に示すように、WO6の8面体が1方向(図16の上下方向)のみに互いに稜を共有し、8面体の1次元鎖を形成していることが知られている。また、このような1次元鎖を持つ構造として代表的なものに、図16(2)に示すルチル構造のTiO2があり、このため、これらの1次元鎖はルチル鎖と呼ばれている。
このように類似したルチル鎖を持つWO2とTiO2であるが、WO2は単斜晶であり、TiO2は斜方晶である。これはルチル鎖内の原子の並び方に由来する。WO2においては、ルチル鎖のW原子の間隔は長・短を繰り返しており、かつ隣接するルチル鎖の間でこの長・短の順番がずれているため、単斜晶となる。MoO2も同様の構造の単斜晶である。一方、TiO2においては、ルチル鎖のTi原子の間隔は一定であり、したがって隣接するルチル鎖の間でずれは発生せず、斜方晶となる。
このことから、本発明者は、リチウムイオンの挿入に伴うMoO2、WO2の単斜晶から斜方晶への構造転移は、ルチル鎖の原子の並び方の規則が変化したためであると推定した。そして、この規則の変化を妨げることにより電圧の急激な変化を抑制できると考え、ルチル鎖内のMo、W原子を他の原子に置換することでルチル鎖内の原子間隔の長・短の繰り返し規則を乱し、リチウムイオンの挿入に伴う構造転移を妨げることを着想した。
ここで、原子の置換をしてもルチル鎖が切れることなく鎖構造を維持できるよう、置換元素としては、その酸化物がルチル鎖を持つ、すなわちルチル型構造(図16(2))あるいはMoO2型構造(図16(1))を取り得る、Ti、V、Cr、Ge、Mn、Nb、Mo、Ru、Rh、Sn、Te、Ta、Re、Os、Ir、PtおよびPbから選択した。そして、これらの元素の置換の割合を調整することで、リチウムイオンの挿入に伴う構造転移を抑制し、したがって電圧の急激な変化を抑制することに成功した。
本実施の形態にかかるリチウムイオン電池の活物質は、W(x)Me1(z1)Me2(z2)・・・Men(zn)O2(x+z1+z2+…+zn=1、nは1以上の整数、0<max{z1,z2,…,zn}/x<1/2)で表される組成を有し、Me1からMenは酸化物としてルチル型構造あるいはMoO2型構造を取り得る元素である。maxは、最大値を求める演算記号である。
[実施の形態1]
本実施の形態の活物質は、W(x)Ti(z)O2(x+z=1かつ0<z/x<1/2)(以下、「活物質A」とする。)で表される組成、あるいは、W(x)Mo(y)O2(x+y=1かつ0<y/x<1/2)(以下、「活物質B」とする。)で表される組成を有する。活物質の組成式は、特に、W(x)Ti(z)O2(x+z=1かつ0<z/x≦1/3)またはW(x)Mo(y)O2(x+y=1かつ0<y/x≦1/3)が望ましい。
本実施の形態の活物質は、W(x)Ti(z)O2(x+z=1かつ0<z/x<1/2)(以下、「活物質A」とする。)で表される組成、あるいは、W(x)Mo(y)O2(x+y=1かつ0<y/x<1/2)(以下、「活物質B」とする。)で表される組成を有する。活物質の組成式は、特に、W(x)Ti(z)O2(x+z=1かつ0<z/x≦1/3)またはW(x)Mo(y)O2(x+y=1かつ0<y/x≦1/3)が望ましい。
上記組成を有する活物質では、リチウム金属を基準とする酸化還元電位(以下「電位」と略する)の充放電中の急激な変化が抑制され、良好な電位の制御性が得られる。従って、本実施の形態の活物質を用いると、電圧の制御性の良いリチウム二次電池を実現できる。
また、活物質が上記組成を有することにより、電位は0Vよりも高く、1.0V以下となる。電位が0Vよりも高いので、リチウム金属の析出を抑制できる。また、電位が1.0V以下であるため、本実施の形態の活物質をリチウムイオン二次電池の負極材料に用いると、正極と負極との間の電圧を確保でき、エネルギー密度の低下を抑制できる。従って、本実施の形態の活物質を用いると、リチウム金属の析出を抑制でき、かつ、高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池を実現できる。
なお、本実施の形態の活物質は、上記組成を有する活物質材料に加えて、他の活物質材料を含んでいてもよい。例えば、上記活物質材料と他の活物質材料との混合物であってもよい。
以下に、図面を参照しながら、従来の活物質、および、本実施の形態の活物質A、Bの充電特性を説明する。
<従来の活物質:WO2、MoO2>
上述のように、従来の活物質WO2、MoO2には、充電時に急激に電圧が変化するという問題がある。
上述のように、従来の活物質WO2、MoO2には、充電時に急激に電圧が変化するという問題がある。
図7(a)に、従来の活物質(MoO2)の充電曲線の一例を模式的に示す。なお、図7(a)に示すグラフは、充電時に生じる電位変化の傾向を説明するためのモデル図であり、電位(縦軸)の値などは特定していない。
図7(a)に模式的に示されるように、MoO2の充電曲線は、電位が比較的なだらかに変化する領域(プラトー)P1、P2を有している。領域P1の電位は領域P2の電位よりも高い。これらの領域P1、P2の間で、電位が急激に変化する領域Pαが存在している。領域Pαは、リチウムイオン充填率50%付近に位置している。このような場合、十分な電位制御性が得られるリチウムイオン充填率の範囲は、領域Pαよりも高リチウムイオン充填率側の領域、すなわち、電位変化の小さい領域P2に対応する範囲となる。図示していないが、WO2の充電曲線も、同様の傾向を示す。
<活物質A:W(x)Ti(z)O2(x+z=1かつ0<z/x<1/2)>
図7(b)に、活物質Aの充電曲線の一例を模式的に示す。MoO2の充電曲線ではリチウムイオン充填率50%付近に電位が急激に変化する領域Pαが見られたが、活物質Aの充電曲線では、リチウムイオン充填率50%付近における急激な電位の変化はほぼ解消されている。一方で、活物質Aの充電曲線では、リチウムイオン充填率15〜35%付近にある領域Pβにおいて、領域Pαにおける電位変化とは別のやや急激な電位の変化が出現する。この電位変化は、領域Pαにおける電位変化より緩やかである。領域Pβよりも高リチウムイオン充填率側には、電位の変化がゆるやかな領域(プラトー)P3が存在する。従って、活物質Aでは、十分な電位制御性が得られるリチウムイオン充填率の範囲は、領域Pβよりも高リチウムイオン充填率側にある、電位変化の小さい領域P3に対応する範囲となる。領域P3のリチウムイオン充填率の範囲は、従来の活物質における領域P2のリチウムイオン充填率の範囲よりも広い。従って、より広範囲のリチウムイオン充填率に亘り、良好な電位の制御性が得られる。さらに、後述するように、組成が1/7≦z/x≦1/3を満たすことで、一定の電位を維持しつつ、活物質1グラム当たりの容量をさらに大きくすることができる。
図7(b)に、活物質Aの充電曲線の一例を模式的に示す。MoO2の充電曲線ではリチウムイオン充填率50%付近に電位が急激に変化する領域Pαが見られたが、活物質Aの充電曲線では、リチウムイオン充填率50%付近における急激な電位の変化はほぼ解消されている。一方で、活物質Aの充電曲線では、リチウムイオン充填率15〜35%付近にある領域Pβにおいて、領域Pαにおける電位変化とは別のやや急激な電位の変化が出現する。この電位変化は、領域Pαにおける電位変化より緩やかである。領域Pβよりも高リチウムイオン充填率側には、電位の変化がゆるやかな領域(プラトー)P3が存在する。従って、活物質Aでは、十分な電位制御性が得られるリチウムイオン充填率の範囲は、領域Pβよりも高リチウムイオン充填率側にある、電位変化の小さい領域P3に対応する範囲となる。領域P3のリチウムイオン充填率の範囲は、従来の活物質における領域P2のリチウムイオン充填率の範囲よりも広い。従って、より広範囲のリチウムイオン充填率に亘り、良好な電位の制御性が得られる。さらに、後述するように、組成が1/7≦z/x≦1/3を満たすことで、一定の電位を維持しつつ、活物質1グラム当たりの容量をさらに大きくすることができる。
<活物質B:W(x)Mo(y)O2(x+y=1かつ0<y/x<1/2)>
図示していないが、活物質Bの充電曲線では、活物質Bの組成(y/x)によって、リチウムイオン充電率50%付近、または、リチウムイオン充填率15〜35%付近において、比較的大きな電位変化が生じ得る。ただし、活物質Aと同様に、リチウムイオン充填率50%付近における電位の変化は、従来の活物質における電位変化よりも小さい。従って、リチウムイオン充填率50%付近の電位の制御が容易となるので、リチウムイオン充填率50%付近を跨いで、より広範囲のリチウムイオン充填率に亘り、良好な電位の制御性を確保できる。さらに、後述するように、組成が0<y/x≦1/8を満たすことで、リチウムイオン充填率50%付近の電位の変化はほぼ解消され、電位の制御性をさらに高めることが可能になる。
図示していないが、活物質Bの充電曲線では、活物質Bの組成(y/x)によって、リチウムイオン充電率50%付近、または、リチウムイオン充填率15〜35%付近において、比較的大きな電位変化が生じ得る。ただし、活物質Aと同様に、リチウムイオン充填率50%付近における電位の変化は、従来の活物質における電位変化よりも小さい。従って、リチウムイオン充填率50%付近の電位の制御が容易となるので、リチウムイオン充填率50%付近を跨いで、より広範囲のリチウムイオン充填率に亘り、良好な電位の制御性を確保できる。さらに、後述するように、組成が0<y/x≦1/8を満たすことで、リチウムイオン充填率50%付近の電位の変化はほぼ解消され、電位の制御性をさらに高めることが可能になる。
<活物質の製造方法>
次いで、本実施の形態の活物質の製造方法の一例を説明する。
次いで、本実施の形態の活物質の製造方法の一例を説明する。
本実施の形態の活物質を製造する際には、タングステン(W)材料として、例えば、二酸化タングステン(WO2)を用いる。また、モリブデン(Mo)材料として、例えば、二酸化モリブデン(MoO2)を用いる。また、チタン材料として、例えばルチル構造やアナターゼ構造の二酸化チタン(TiO2)を用いる。
本実施の形態の活物質(W(x)Ti(z)O2(x+z=1かつ0<z/x<1/2)またはW(x)Mo(y)O2(x+y=1かつ0<y/x<1/2))は、例えば上記原料を粉砕混合し、還元雰囲気下で焼成することによって得られる。焼成温度は、例えば700℃以上1300℃以下、望ましくは1100℃以上1200℃以下に設定される。焼成温度が低すぎると、反応性が低下し、単一相を得るために長時間の焼成が必要となり、焼成温度が高すぎると、製造コストが高くなり、また、溶融により結晶性が失われてしまうおそれがある。
なお、活物質の製造方法は上記の方法に限定されない。上記方法の代わりに、水熱合成、超臨界合成、共同沈殿法などの種々の合成方法を用いることができる。
<リチウムイオン二次電池の構成>
次に、本実施の形態の活物質を用いたリチウムイオン二次電池の構成を説明する。なお、本実施の形態では、リチウムイオン二次電池の一方の電極が上記の活物質を含んでいればよく、その他の構成は特に限定されない。
次に、本実施の形態の活物質を用いたリチウムイオン二次電池の構成を説明する。なお、本実施の形態では、リチウムイオン二次電池の一方の電極が上記の活物質を含んでいればよく、その他の構成は特に限定されない。
本実施の形態の活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、負極活物質として本実施の形態の活物質を含む負極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な活物質(正極活物質)を含む正極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する電解質とを備える。
負極は、負極集電体と、負極集電体に支持された負極合剤とを有する。負極合剤は、本実施の形態の活物質(W(x)Ti(z)O2(x+z=1かつ0<z/x<1/2)またはW(x)Mo(y)O2(x+y=1かつ0<y/x<1/2))を含有する。これに加えて、他の活物質、結着剤、導電剤などを含んでもよい。負極は、例えば、負極合剤を液状成分と混合して負極合剤スラリーを調整し、得られたスラリーを負極集電体に塗布し、乾燥させることによって作製され得る。
負極における活物質(負極活物質)に対する結着剤および導電助剤の配合割合は、負極活物質100重量部に対し、結着剤の配合は1重量部以上、20重量部以下の範囲内、導電助剤の配合は1重量部以上、25重量部以下であることが望ましい。
負極集電体としては、例えばステンレス鋼、ニッケル、銅などが用いられる。負極集電体の厚さは、特に限定されないが、1〜100μmが望ましく、より望ましくは5〜20μmである。負極集電体の厚さを上記範囲とすることにより、極板の強度を保持しつつ、軽量化することができる。
正極は、正極集電体と、正極集電体に支持された正極合剤とを有する。正極合剤は、正極活物質、結着剤、導電剤などを含んでもよい。正極は、正極合剤を液状成分と混合して正極合剤スラリーを調整し、得られたスラリーを正極集電体に塗布し、乾燥させることによって作製され得る。
正極活物質としては、例えばコバルト酸リチウムおよびその変性体(アルミニウムやマグネシウムを共晶させたものなど)、ニッケル酸リチウムおよびその変性体(一部ニッケルをコバルトやマンガン置換させたものなど)、マンガン酸リチウムおよびその変性体などの複合酸化物や、鉄リン酸リチウムおよびその変性体、マンガンリン酸リチウムおよびその変性体などを挙げることができる。正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極または負極の結着剤には、例えばPVDF、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸、ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースなどが使用可能である。また、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエンより選択された2種以上の材料の共重合体を用いてもよい。またこれらのうちから選択された2種以上を混合して用いてもよい。電極に含ませる導電剤には、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウムなどの金属粉末類、酸化亜鉛やチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、フェニレン誘導体などの有機導電性材料などが用いられる。
正極における正極活物質に対する結着剤および導電助剤の配合割合は、正極活物質100重量部に対し、結着剤の配合は1重量部以上、20重量部以下の範囲内、導電助剤の配合は1重量部以上、25重量部以下であることが望ましい。
正極集電体としては、例えばステンレス鋼、アルミニウム、チタンなどが用いられる。正極集電体の厚さは、特に限定されないが、1〜100μmが望ましく、より望ましくは5〜20μmである。正極集電体の厚さを上記範囲内にすることにより、極板の強度を保持しつつ、軽量化することができる。
正極と負極との間に介在するセパレータとしては、例えば、十分なイオン透過度を有し、所定の機械的強度と絶縁性とを兼ね備えた微多孔薄膜、職布、不織布などが用いられる。微多孔薄膜は、1種の材料からなる単層または2種以上の材料からなる複合膜または多層膜であってもよい。セパレータの材質は、例えばポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンであってもよい。ポリオレフィンは耐久性に優れ、かつシャットダウン機能を有しているため、リチウムイオン二次電池の信頼性・安全性をより高めることができる。セパレータの厚さは、例えば10〜300μm、望ましくは10〜40μm、より望ましくは10〜25μmである。また、セパレータの空孔率は、30〜70%の範囲であることが望ましく、より望ましく35〜60%である。ここで、「空孔率」とは、セパレータ全体に対する空孔部(空隙)の体積比を指す。
電解質としては、液状、ゲル状または固体状の物質を使用することができる。
液状非水電解質(非水電解液)は、非水溶媒に電解質(例えば、リチウム塩)を溶解させることにより得られる。また、ゲル状非水電解質は、非水電解質と、この非水電解質が保持される高分子材料とを含む。高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン等が使用され得る。
電解質を溶解させる非水溶媒としては、公知の非水溶媒を使用することができる。非水溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどであってもよい。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などが挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。環状カルボン酸エステルとしては、γ−ブチルラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などが挙げられる。非水溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水溶媒に溶解させる電解質には、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ホウ酸塩類、イミド塩類などを用いることができる。ホウ酸塩類としては、ビス(1、2−ベンゼンジオレート(2−)−O、O´)ホウ酸リチウム、ビス(2、3−ナフタレンジオレート(2−)−O、O´)ホウ酸リチウム、ビス(2、2´−ビフェニルジオレート(2−)−O、O´)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O、O´)ホウ酸リチウム等が挙げられる。イミド塩類としては、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム((CF3SO2)2NLi)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸イミドリチウム(LiN(CF3SO2)(C4F9SO2))、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム((C2F5SO2)2NLi)等が挙げられる。電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水電解液は、添加剤として負極上で分解してリチウムイオン伝導性の高い皮膜を形成し、充放電効率を高くすることができる材料を含んでいてもよい。このような機能を持つ添加剤としては、例えば、ビニリデンカーボネート(VC)、4−メチルビニリデンカーボネート、4、5−ジメチルビニリデンカーボネート、4−エチルビニリデンカーボネート、4、5−ジエチルビニリデンカーボネート、4−プロピルビニリデンカーボネート、4、5−ジプロピルビニリデンカーボネート、4−フェニルビニリデンカーボネート、4、5−ジフェニルビニリデンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、ジビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ビニリデンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、およびジビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種が望ましい。なお、上記化合物は、その水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい。電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2mol/Lの範囲内であることが望ましい。
さらに、非水電解液には、過充電時に分解して電極上に皮膜を形成し、電池を不活性化する公知のベンゼン誘導体を含有させてもよい。ベンゼン誘導体は、フェニル基およびフェニル基に隣接する環状化合物基を有してもよい。環状化合物基は、フェニル基、環状エーテル基、環状エステル基、シクロアルキル基、フェノキシ基などであってもよい。ベンゼン誘導体の具体例としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、ベンゼン誘導体の含有量は、非水溶媒全体の10体積%以下であることが望ましい。
図1は、コイン形のリチウムイオン二次電池100を例示する模式的な断面図である。
リチウムイオン二次電池100は、負極4、正極5およびセパレータ6を含む電極群を有している。負極4および正極5は、負極合剤と正極合剤とが対向するように配置されている。セパレータ6は、負極4と正極5との間(負極合剤と正極合剤との間)に配置されている。電極群にはリチウムイオン伝導性を有する電解質(図示せず)が含浸されている。正極5は、正極端子を兼ねた電池ケース3と電気的に接続されており、負極4は、負極端子を兼ねた封口板2と電気的に接続されている。また、電池ケース3の開口端部は、封口板2の周縁部に設けられたガスケット7にかしめられ、これによって電池全体が密閉されている。なお、図1ではコイン形電池の一例を示したが、本実施の形態のリチウムイオン二次電池の形状は、コイン形に限定されず、ボタン型、シート型、シリンダー型、扁平型、角型などであってもよい。
(実施例)
以下、実施例の活物質を作製し、評価を行った。その方法および結果を説明する。
以下、実施例の活物質を作製し、評価を行った。その方法および結果を説明する。
(1)活物質の作製
WO2、MoO2、TiO2の各原料粉体を、表1に示すモル混合比で、メノウ製乳鉢を用いて充分に混合した。得られた混合物を、水素ガスと炭酸ガスのモル比1:1の混合ガスによる還元雰囲気下にて、1200℃で8時間の焼成を行った。これにより、活物質A1〜A7およびB1〜B7を得た。
WO2、MoO2、TiO2の各原料粉体を、表1に示すモル混合比で、メノウ製乳鉢を用いて充分に混合した。得られた混合物を、水素ガスと炭酸ガスのモル比1:1の混合ガスによる還元雰囲気下にて、1200℃で8時間の焼成を行った。これにより、活物質A1〜A7およびB1〜B7を得た。
活物質A1〜A7は、WおよびTiを含み、Moを実質的に含まない金属酸化物である。このうち活物質A3〜A7は、W(x)Ti(z)O2(x+z=1かつ0<z/x<1/2)で表される組成を有する実施例の活物質である。活物質A1、A2は、上記z/xが1/2以上の比較例の活物質である。
活物質B1〜B7は、WおよびMoを含み、Tiを実質的に含まない金属酸化物である。このうち活物質B3〜B7は、W(x)Mo(y)O2(x+y=1かつ0<y/x<1/2)で表される組成を有する実施例の活物質である。活物質B1、B2は、上記y/xが1/2以上の比較例の活物質である。
また、比較のため、WO2のみを含む活物質C1、およびMoO2のみを含む活物質C2も、上記と同様の方法で作製した。
各実施例および比較例の活物質をX線回折法(XRD)を用いて分析した。この結果、いずれの活物質でも、WO2、MoO2、TiO2が相分離せずに固溶し、かつ副生成物がなく単一相であることを確認した。従って、原料のモル比がそのまま各活物質の組成比に対応する。各活物質の組成を表1に示す。
表1より、Ti置換(セルA)の方がMo置換(セルB)よりもピーク抑制効果が大きいことが分かる。よって、置換元素は、Moであってもよいが、Mo以外の候補材料がより望ましい。これは、MoとWのイオン半径等が比較的近いため、WをMoで置換したとしても活物質はWO2に近い挙動を示しやすく、ルチル鎖内の原子間隔の規則性を乱すという効果が弱いためと考えられる。
(2)電極の作製
次に、上記の方法で得られた各活物質をそれぞれ用いて電極を作製した。具体的には、各活物質100重量部と、導電剤としてアセチレンブラック10重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10重量部と、分散媒として適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液とを混合し、合剤ペーストを調製した。
次に、上記の方法で得られた各活物質をそれぞれ用いて電極を作製した。具体的には、各活物質100重量部と、導電剤としてアセチレンブラック10重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10重量部と、分散媒として適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液とを混合し、合剤ペーストを調製した。
合剤ペーストを集電体の表面に塗布し、乾燥させることにより、活物質層を形成した。集電体として、厚さが18μmの銅箔を用いた。次いで、活物質層が形成された集電体に対して、2ton/cm2で平板プレスを行い、集電体と活物質層との合計厚さが100μmに達するまで圧縮した。この後、活物質層が形成された集電体を直径が12.5mmの円形に打ち抜き、電極を作製した。
(3)対極の作製
厚さが300μmのLi箔を、直径が14.5mmの円形に打ち抜き、対極とした。
厚さが300μmのLi箔を、直径が14.5mmの円形に打ち抜き、対極とした。
(4)非水電解質の調製
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:3で含む混合溶媒に、溶質として、1.0mol/Lの濃度でLiPF6を溶解させて、非水電解質を得た。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:3で含む混合溶媒に、溶質として、1.0mol/Lの濃度でLiPF6を溶解させて、非水電解質を得た。
(5)評価用セルの作製
上記電極を作用極とし、対極にLi箔を用いて、評価用のセルを作製した。
上記電極を作用極とし、対極にLi箔を用いて、評価用のセルを作製した。
図1を参照する。各評価用セルでは、電池ケース3および封口板2として、耐有機電解液性のステンレス鋼板を加工したものを用いた。負極4(ここでは作用極4)として、上記各電極の何れかを用い、正極5(ここでは対極5)として上記Li箔を用いた。なお、評価用セルでは、電池ケース3の一部を集電体として機能させた。また、セパレータ6およびガスケット7として、それぞれ、微孔性のポリプロピレン製セパレ−タ、ポリプロピレン樹脂製絶縁ガスケットを用いた。
本実施例では、まず、電池ケース3の内面に、上記Li箔をスポット溶接し、対極5を得た。次いで、対極5の上にセパレータ6を配置して、非水電解質を収容した。一方、封口板2の内側に、作用極4として、上記各電極を圧着した。この後、作用極4が圧着された封口板2を、ガスケット7を介して電池ケース3の開口部にはめ込み、封口した。このようにして、コイン形の評価用セルを得た。
なお、本明細書において、表1の活物質A1を用いて作製した電極を作用極4とする評価用セルを「セルA1」と称する。同様に、活物質A2〜A7、B1〜B7、C1、C2を用いて作製した電極を作用極4とする評価用セルを、それぞれ、使用した活物質に付与した番号に対応させて呼ぶ。
(6)充放電特性の評価
各評価用セルの充放電サイクル試験を行い、充放電特性を測定した。具体的には、室温環境下にて、0.1mAの定電流で0.5Vに到達するまで充電した後、リチウムイオンを活物質から脱離させるために、0.1mAの定電流で1.5Vまで放電するサイクルを繰り返した。ただし、MoO2のみを含む活物質C2を用いたセルC2では、電位が常に0.5Vよりも高いため、充電はリチウムイオン充填率が90%程度になるまでとし、放電は2.5Vまでとした。
各評価用セルの充放電サイクル試験を行い、充放電特性を測定した。具体的には、室温環境下にて、0.1mAの定電流で0.5Vに到達するまで充電した後、リチウムイオンを活物質から脱離させるために、0.1mAの定電流で1.5Vまで放電するサイクルを繰り返した。ただし、MoO2のみを含む活物質C2を用いたセルC2では、電位が常に0.5Vよりも高いため、充電はリチウムイオン充填率が90%程度になるまでとし、放電は2.5Vまでとした。
以下、図2および図3を参照しながら、充放電特性の測定結果を説明する。
図2(a)および(b)は、それぞれ、表1に示す活物質A1〜A7のうち活物質A7の2サイクル目の充電曲線およびその微分曲線を示す図である。また、図3(a)および(b)は、それぞれ、表1に示す活物質B1〜B7のうち活物質B4の2サイクル目の充電曲線およびその微分曲線を示す図である。なお、比較のため、これらの図には、比較例の活物質C1(WO2)、活物質C2(MoO2)を用いたセルC1、C2の充電曲線および微分曲線も示す。
図2(a)および図3(a)では、充電曲線を、活物質に対するリチウムイオンの充填率を横軸とし、電極(作用極4)の電位(リチウム金属を基準とする電位)を縦軸として示している。リチウムイオン充填率は、セルを流れる電流が全て活物質のリチウムイオン挿入・脱離反応に関与すると仮定して電流の時間積分から求め、組成比Li(1)W(x)Mo(y)Ti(z)O2(x+y+z=1)に相当するときを100%とする百分率で示した。
図2(b)および図3(b)の微分曲線は、リチウムイオン充填率を横軸、電位をリチウムイオン充填率で微分した値の絶対値を縦軸としている。微分曲線は、具体的には、充電曲線の隣り合う2測定点における電位の差分をリチウムイオン充填率の差分で除算し、その絶対値をプロットした。ここでは、微分曲線における隣接する測定点の横軸(リチウムイオン充填率)の間隔を、0.28%以上1.6%以下とした。
図2(a)および図3(a)に示す充電曲線の変曲点は、図2(b)および図3(b)に示す微分曲線ではピークとなる。ピークの最大値が大きく且つ半値幅が小さいほど、変曲点前後で電位が“急激に変化”することを表す。また、微分曲線の縦軸の値(微分値の絶対値、以下、「微分曲線の値」と略する)は、その充填率における電位の傾きである。従って、微分曲線の値が小さいほど、電位は緩やかに変化する。なお、微分曲線における隣接する2つの測定点の横軸(リチウムイオン充填率)の間隔は特に限定しないが、例えば2%以下(0%より大きく2%以下)であれば、ピークの位置や最大値、ピーク形状をより確実に調べることができる。
図2(a)から分かるように、比較例のセルC1およびC2の充電曲線では、リチウムイオン充填率50%付近で、電位が急激に変化する。この変化は、図2(b)に示す微分曲線において、ピークαとして現れる。これに対し、実施例のセルA7の充電曲線では、リチウムイオン充填率50%付近における電位の変化は比較的緩やかであるが、リチウムイオン充填率25%付近で電位が比較的大きく変化する。この変化は、図2(b)に示す微分曲線において、ピークβとして現れる。図2(b)から分かるように、セルA7のピークβは、セルC1、C2のピークαよりも小さく、ブロードである。なお、「ピークが小さい」とは、微分曲線におけるピークの最大値が小さいことをいう。この結果から、セルA7では、セルC1およびC2と比べて、リチウムイオン充填率がより低い領域に、比較的大きい電位変化が生じることが確認できる。電位の変化が生じる領域よりも高リチウムイオン充填率側は、電位の変化が比較的緩やかな領域(プラトー)である。従って、セルA7では、セルC1およびC2よりも広いリチウムイオン充填率の範囲において、良好な負極電位あるいは電池電圧の制御性を実現し得る。
また、図3(a)から分かるように、実施例のセルB4の充電曲線では、リチウムイオン充填率50%付近における電位の変化は比較的緩やかであるが、リチウムイオン充填率10%付近で電位が急激に変化する。この変化は、図3(b)に示す微分曲線において、ピークγとして現れる。また、図3(b)に示すセルB4の微分曲線には、ピークγの他に、リチウムイオン充填率50%付近にピーク(ピークα)が観察される。さらに、図からは分かり難いが、リチウムイオン充填率20%付近に小さいピーク(ピークβ)が生じている。セルB4のピークαは、セルC1、C2のピークαよりも極めて小さく、ブロードである。このように、セルB4では、ピークγが生じている領域よりも高リチウムイオン充填率側の領域では、電位の変化が比較的緩やかである。従って、セルC1およびC2よりも広いリチウムイオン充填率の範囲において、良好な負極電位あるいは電池電圧の制御性を実現し得る。
なお、図2および図3において、セルA7およびセルB4の充電曲線は、セルC1およびC2の充電曲線よりも短い。これは、充放電特性の測定において、充電終止電圧(本実施例では、リチウム金属を基準とする電極の電位と等しい)を0.5Vに設定したからである。また、セルA7およびセルB4の充電曲線において、電位が0.5Vに達する直前に電位変化が大きくなっているが、これは充電を終了させる動作(カットの動作)に伴うものである。
このように、セルA3〜A7、B1〜B7およびC1、C2の微分曲線には、少なくとも1つのピークが観察された。本発明者が検討したところ、これらのピークは、ピークの生じる位置(リチウムイオン充填率)やピーク形状により、ピークα、ピークβおよびピークγの3つに分類され得る。
・ピークα:リチウムイオン充填率が概ね35〜60%の範囲に現れ得る。比較例のセルC1(活物質:WO2)およびセルC2(活物質:MoO2)では、ピークαは、最大値が0.03超の鋭いピークとなり、非常に急激な電位の変化が起こっていることが分かる(図2、図3参照)。一方、実施例のセルA3〜A7およびB7では、ピークαはほぼ消滅している。セルB2〜B6では、ピークαは存在しているが、その最大値の大きさはセルC1およびC2よりも明らかに小さく、またブロードである。
・ピークβ:リチウムイオン充填率が概ね15〜35%の範囲に現れ得る。比較例のセルC1、C2には見られない。活物質Aを含むセルA3〜A7の微分曲線で観察される。また、セルB1〜B7のうち、Wの比率の比較的高いセルB4〜B7でもピークβが現れ得る。ピークβのピークプロファイルは、ピークαおよびピークγに比べて直線的である。
・ピークγ:リチウムイオン充填率が概ね5〜15%の範囲に現れ得る。ピークγの形状は、ピークα、βに比べ歪である。
・ピークα:リチウムイオン充填率が概ね35〜60%の範囲に現れ得る。比較例のセルC1(活物質:WO2)およびセルC2(活物質:MoO2)では、ピークαは、最大値が0.03超の鋭いピークとなり、非常に急激な電位の変化が起こっていることが分かる(図2、図3参照)。一方、実施例のセルA3〜A7およびB7では、ピークαはほぼ消滅している。セルB2〜B6では、ピークαは存在しているが、その最大値の大きさはセルC1およびC2よりも明らかに小さく、またブロードである。
・ピークβ:リチウムイオン充填率が概ね15〜35%の範囲に現れ得る。比較例のセルC1、C2には見られない。活物質Aを含むセルA3〜A7の微分曲線で観察される。また、セルB1〜B7のうち、Wの比率の比較的高いセルB4〜B7でもピークβが現れ得る。ピークβのピークプロファイルは、ピークαおよびピークγに比べて直線的である。
・ピークγ:リチウムイオン充填率が概ね5〜15%の範囲に現れ得る。ピークγの形状は、ピークα、βに比べ歪である。
これらのピークのうち、ピークγは充電初期に位置しており、様々な副反応の影響で電位変化が生じ、これがピークとなって現れている可能性も懸念される。このため、ここでは、リチウムイオン充填率の実質的な使用範囲に存在するピークα、βに着目し、活物質の組成との関係を検討する。
表1に、各評価用セルにおけるピークα、βの最大値とその位置(ピークが最大値となるリチウムイオン充填率)を示す。これらの値と、活物質の組成との関係を検討したところ、以下のことが分かった。
・W、Tiを含む活物質(W(x)Ti(z)O2)を用いたセルA1〜A7
Tiの比率の高い活物質を用いたセルA1およびA2では、全く充電が行われないか、または、リチウムイオン充填率が20%以下で充電が終了した(表1には「充電不可」と記載)。これに対し、Tiの比率が比較的低い(Tiの比率:0.25以下、すなわちWとTiの組成比W/Ti:1/3以下)の活物質を用いたセルA3〜A7では、少なくとも電位が充電終止電圧の0.5Vに達するまで充電可能で,そのときのリチウムイオン充填率は50%超であった。図2(b)に例示したように、これらのセルA3〜A7の微分曲線には、有意なピークαが全く見られない一方、ピークβははっきりと見られた。ピークβの最大値は、リチウムイオン充填率が概ね25%〜35%の範囲内に位置していた。この結果、Tiの比率が比較的低い活物質を用いたセルA3〜A7では、ピークβよりも高リチウムイオン充填率側でプラトーを広く使用できることが分かった。従って、より広い範囲のリチウムイオン充填率に亘り、リチウムイオン充填率に対して電位を安定して制御することができ、良好な電位の制御性が得られる。
・W、Moを含む活物質(W(x)Mo(y)O2)を用いたセルB1〜B7
Moの比率の最も低い活物質を用いたセルB7以外のセルB1〜B6において、微分曲線にピークαが見られた。
・W、Tiを含む活物質(W(x)Ti(z)O2)を用いたセルA1〜A7
Tiの比率の高い活物質を用いたセルA1およびA2では、全く充電が行われないか、または、リチウムイオン充填率が20%以下で充電が終了した(表1には「充電不可」と記載)。これに対し、Tiの比率が比較的低い(Tiの比率:0.25以下、すなわちWとTiの組成比W/Ti:1/3以下)の活物質を用いたセルA3〜A7では、少なくとも電位が充電終止電圧の0.5Vに達するまで充電可能で,そのときのリチウムイオン充填率は50%超であった。図2(b)に例示したように、これらのセルA3〜A7の微分曲線には、有意なピークαが全く見られない一方、ピークβははっきりと見られた。ピークβの最大値は、リチウムイオン充填率が概ね25%〜35%の範囲内に位置していた。この結果、Tiの比率が比較的低い活物質を用いたセルA3〜A7では、ピークβよりも高リチウムイオン充填率側でプラトーを広く使用できることが分かった。従って、より広い範囲のリチウムイオン充填率に亘り、リチウムイオン充填率に対して電位を安定して制御することができ、良好な電位の制御性が得られる。
・W、Moを含む活物質(W(x)Mo(y)O2)を用いたセルB1〜B7
Moの比率の最も低い活物質を用いたセルB7以外のセルB1〜B6において、微分曲線にピークαが見られた。
図5は、セルB1〜B7、C2の活物質における混合比R(W:Mo=R:1)と、ピークαの最大値との関係を示す図である。図5から分かるように、各セルのピークαの最大値は、活物質における混合比(Moに対するWの比率)Rが高いほど小さくなる。例えばWの比率Rの小さい(W:Mo=1:1、R=1)のセルB1では、ピークαの最大値は0.03であり、セルC2(R=0)と同様の急激な電位の変化が存在する。活物質におけるWの比率Rが増大するにつれ、ピークαの最大値は十分に小さくなっていく。Wの比率Rが2を超える(WとMoの組成比Mo/W:1/2未満)の活物質を用いたセルB3〜B7では、ピークαによる電位の変化は比較的緩やかになるか、またはピークαが観察されない。
従って、実施例のセルB3〜B7では、ピークαの位置を跨いだより広い範囲のリチウムイオン充填率に亘り、良好な電位の制御性が得られることが分かる。特にWの比率Rが8以上(WとMoの組成比Mo/W:1/8以下)の活物質を用いたセルB7では、有意なピークαはほぼ見られなくなる。従って、より効果的に電位の制御性を高めることができる。
一方、セルB1〜B7のうち、活物質におけるWの比率Rが比較的高いセルB4〜B7では、微分曲線にピークβが現れる。ピークβの最大値の位置は、リチウムイオン充填率25%未満であり、セルA3〜A7のピークβよりも低リチウムイオン充填率側に位置している。従って、セルA3〜A7よりも広い範囲のリチウムイオン充填率に亘り、より良好な電位の制御性を得ることが可能である。
このように、実施例のセルA3〜A7、B3〜B7では、微分曲線において、ピークαが小さい(例えば最大値:0.015未満)、あるいは有意なピークαが存在しない。このため、リチウムイオン充填率50%付近において、電位の変化は緩やかなので(あるいは、ほとんど変化しないので)、リチウムイオン充填率50%付近でも十分な電位制御性を確保し得る。従って、従来の活物質を用いたセルC1、C2よりも、広い範囲のリチウムイオン充填率に亘り、十分な電位制御性が得られる。
また、所定の範囲のリチウムイオン充填率において、微分曲線の値が小さく抑えられていれば、その範囲内において電位制御性を向上できるので、より顕著な効果が得られる。以下、具体的に説明する。
微分曲線の値(微分値の絶対値)が、ピークαの概ねの下限位置(例えば35%)よりも高リチウムイオン充填率側の領域において、比較例のセルC1およびC2の最大値(ピークαの最大値)未満、例えば0.03未満であれば、従来よりも高い電位制御性を実現し得る。より望ましくは、リチウムイオン充填率が35%よりも高い領域において、微分曲線の値が0.015未満である。このような場合、より効果的に電位制御性を高めることができる。
ピークβの最大値は、いずれの実施例の活物質を用いたセルでも0.03未満であることから、微分曲線にピークβが存在しても、その領域における電位の変化は比較的緩やかであり、十分な電位制御性を確保できる。特に、ピークβの最大値の位置が、低リチウムイオン充填率側(例えばリチウムイオン充填率25%未満)であれば、ピークβの高リチウムイオン充填率側の領域(例えばリチウムイオン充填率:25%超の領域)の微分曲線の値をさらに小さく抑えることができるので、より広範囲のリチウムイオン充填率において、電位制御性をさらに高めることができる。
表1に、各評価用セルの微分曲線の値が、リチウムイオン充填率が35%より高い領域において、0.03未満および0.015未満を満たすか否か、およびリチウムイオン充填率が25%より高い領域において、0.03未満および0.02未満を満たすか否かを示す。微分曲線の値が0.03未満、0.02未満または0.015未満を満たす場合には○、満たさない場合には×で示している。表1に示す評価結果から、実施例のセルA3〜A7は「○」を3つ有しており且つピークαが無い。セルB3〜B7は「○」を4つ有している。よって、これらのセルの値は、比較例のセルC1、C2、B1、B2の値に比べて、電位制御性が向上していることを示している。特に、活物質Bを用いたセルB3からB7では、リチウムイオン充填率が25%より高い領域において微分曲線の値が0.02未満であることから(「○」が4つ)、より効果的に電位制御性が高められることが分かる。
図6は、実施例および比較例の活物質の組成と、その活物質を用いたセルにおける電位制御性の評価結果を示す三角図である。三角図の頂点は、それぞれ、W100%、Ti100%、Mo100%である。図6では、各活物質を用いたセルの微分曲線の評価結果によって、異なる符号を用いている。具体的には、表1に示す評価結果が「○」を4つ有する場合には●、「○」を3つ有し且つピークαが無い場合には▲、「○」が2以下、充電不可または「○」が3つ且つピークαを有する場合には□を用いている。
なお、表1には示していないが、TiおよびMoを含み,Wを実質的に含まない活物質(Mo(y)Ti(z))についても、同様の評価を行ったところ、良好な電位制御性は得られなかった。評価を行った活物質の組成および評価結果も、参考例として図6に示す。
上記では各評価用セルの充電曲線とその微分曲線に関して述べたが、上記で高い電位制御性を有するセルA3〜A7およびB3〜B7は、いずれも、放電においても良好な電位の制御性を有している。
図4(a)および(b)は、それぞれ、セルA7およびセルB4の2サイクル目における放電曲線を示す図である。これらの図には、比較のため、比較例のセルC1およびC2の放電曲線も示している。グラフの横軸は、放電開始時からのリチウムイオンの放出率である。放電開始時のリチウムイオン充填率が各評価用セルで異なるため、放電開始時からのリチウムイオンの放出率を、充填率と同様に電流の時間積分から求めた。
図4(a)および(b)から分かるように、セルC2(活物質:MoO2)の放電曲線には、急激に電位が変化する領域が存在する。これに対し、セルA7、セルB4およびセルC1の放電曲線は比較的なだらかになっている。特に、セルB4の放電曲線は、セルC1よりもなだらかである。なお、図示していないが、セルA3〜A6、B3およびB5〜B7も、同様に、なだらかな放電曲線を示す。
このように、本実施の形態の活物質は、充放電(リチウムイオンの挿入・脱離)に伴う酸化還元電位の急激な変化が抑えられた充放電特性を有している。従って、本実施の形態の活物質を用いると、充放電時の急激な電圧の変化が抑えられ、良好な電圧の制御が可能なリチウムイオン二次電池を提供できる。
さらに、図2〜図4に示すように、本実施の形態の活物質は低い電位を有している。具体的には、充放電で主体となる電位領域は1.0V以下である。このため、本実施の形態の活物質を負極に用いたリチウムイオン二次電池では、正極と負極との間の電圧を確保でき、エネルギー密度の低下を抑制できる。
表1に、各評価用セルの2サイクル目の充電における、充電の初期に通常起こる電位降下がほぼ終了する時点での電位(表1において「電位I」と記す)、およびリチウム充填率35%における電位(表1において「電位II」と記す)も記載した。ここで、電位Iとしては、2サイクル目の充電曲線の微分曲線の値が、最初に0.02を下回ったときの電位を採用した。この結果から、セルA3〜A7およびB1〜B7の電位I、IIは、いずれも1.0V以下であることが分かる。
表1に示すように、活物質Aを用いたセルA3〜A7では、電位IIはWとTiとの比率にほとんど依存していない。特に組成比が1/7≦z/x≦1/3のセルA3〜A6においては、電位IIが0.76〜0.8Vの範囲に収まり、ほぼ一定である。従って、活物質Aを用いる場合、WとTiとの比率を1/7≦z/x≦1/3を満たすように設定することで、一定の低電位を維持しつつ、活物質1グラム当たりの静電容量を大きくすることができる。
また、活物質Bを用いたセルB3〜B7では、Moに対するWの比率が高いほど電位IIが低くなる傾向が見られる。従って、WとMoとの比率を変えることで、所望の電位を持つ活物質を得ることが可能である。
以上のように、本実施の形態の活物質では、充放電時の急激な電位の変化が抑えられているので、従来よりも広いリチウムイオン充填率の範囲で良好な電位制御性を実現できる。また、従来よりも電位制御性を高めることが可能である。従って、本実施の形態の活物質を用いると、良好な電圧の制御が可能なリチウムイオン二次電池を提供できる。また、本実施の形態の活物質の酸化還元電位は1.0V以下であることから、本実施の形態の活物質を負極に用いてリチウムイオン二次電池を構成すると、正極と負極との間の電圧を確保でき、エネルギー密度の低下を抑制できる。
[実施の形態2]
本実施の形態の活物質は、W(x)Mo(y)Ti(z)O2(x+y+z=1、0<y≦xかつ0<z≦0.1304)で表される組成を有する。実施の形態1の活物質では、Moの組成比yは、Wの組成比xの1/2よりも小さかったが、本実施の形態の活物質では、Moの組成比yは、Wの組成比x以下となっている。すなわち、本実施の形態では、WおよびMoにTiを付加することによって、Moの組成比yの範囲が広がる。後述するように、本実施の形態の活物質においても、実施の形態1と同様に、本開示の作用・効果を得ることができる。なお、実施の形態2の活物質において、組成比x、yおよびzが、さらに実施の形態1の範囲を満たしてもよい。すなわち、組成比x、yおよびzは、x+y+z=1、0<y≦xかつ0<z≦0.1304に加え、0<max{y,z}/x<1/2を満たしてもよい。
本実施の形態の活物質は、W(x)Mo(y)Ti(z)O2(x+y+z=1、0<y≦xかつ0<z≦0.1304)で表される組成を有する。実施の形態1の活物質では、Moの組成比yは、Wの組成比xの1/2よりも小さかったが、本実施の形態の活物質では、Moの組成比yは、Wの組成比x以下となっている。すなわち、本実施の形態では、WおよびMoにTiを付加することによって、Moの組成比yの範囲が広がる。後述するように、本実施の形態の活物質においても、実施の形態1と同様に、本開示の作用・効果を得ることができる。なお、実施の形態2の活物質において、組成比x、yおよびzが、さらに実施の形態1の範囲を満たしてもよい。すなわち、組成比x、yおよびzは、x+y+z=1、0<y≦xかつ0<z≦0.1304に加え、0<max{y,z}/x<1/2を満たしてもよい。
上記組成を有する活物質(以下、「活物質D」とする。)では、リチウム金属を基準とする酸化還元電位(以下「電位」と略する)の充放電中の急激な変化が抑制され、良好な電位の制御性が得られる。したがって、本実施の形態の活物質を用いると、電圧の制御性の良いリチウム二次電池を実現できる。
また、活物質Dが上記組成を有することにより、電位は0Vよりも高く、1.0V以下となる。電位が0Vよりも高いので、リチウム金属の析出を抑制できる。また、電位が1.0V以下であるため、本実施の形態の活物質をリチウムイオン二次電池の負極材料に用いると、正極と負極との間の電圧を確保でき、エネルギー密度の低下を抑制できる。したがって、本実施の形態の活物質を用いると、リチウム金属の析出を抑制でき、かつ、高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池を実現できる。
図9は、活物質Dの組成におけるx、y、z(W、MoおよびTiの比率)を示す三角図である。三角図の頂点は、それぞれ、W100%(x=1)、Mo100%(y=1)、Ti100%(z=1)である。三角図内に位置する点は、Wの比率x、Moの比率yおよびTiの比率z(x+y+z=1、x>0、y>0、z>0)で表される。活物質Dの組成におけるx、y、zは、上述のように、式1:0<y≦x、および式2:0<z≦0.1304の両方を満たす。なお、式2に規定されるTiの比率zの範囲は、Tiの比率zがWおよびMoの比率の合計に対して15%以下(z/(x+y)≦0.15、ただしx+y+z=1)となる範囲である。
ここで、式1:0<y≦xを満たす範囲は、三角図において、Wの比率xがy=xを表す線L1以上となる範囲である。一方、式2:0<z≦0.1304を満たす範囲は、三角図において、Tiの比率zがz=0.1304を表す線L2以下となる範囲である。従って、活物質Dの組成におけるx、y、zは、三角図において、線L1、線L2、y=0を表す辺、およびz=0を表す辺で囲まれた範囲ra内(ただし、線L1、L2上の点を含み、y=0およびz=0を表す辺上の点は含まない)となる。
なお、本実施の形態の活物質は、上記組成を有する活物質材料に加えて、他の活物質材料を含んでいてもよい。例えば、上記活物質材料と他の活物質材料との混合物であってもよい。
本実施の形態の活物質Dでは、従来の活物質におけるリチウムイオン充填率50%付近で生じる急激な電位変化を低減できる。また、活物質Dでは、リチウムイオン充填率15〜35%付近の領域に上記とは別の電位変化が出現するが、この領域よりも高リチウムイオン充填率側においては、リチウムイオン充填率50%付近を跨いで、従来よりも広い範囲のリチウムイオン充填率に亘り、良好な電位制御性が得られる。さらに、後で詳述するように、活物質Dの組成がz/y≦1を満たすと、リチウム充填率15〜35%付近の電位変化をさらに低リチウム充填率側に引き寄せることができる。よって、さらに広範囲で良好に電位を制御することが可能である。
以下に、図面を参照しながら、従来の活物質、および、本実施の形態の活物質Dの充電特性を説明する。
<従来の活物質:WO2、MoO2>
上述のように、従来の活物質WO2、MoO2には、充電時に急激に電圧が変化するという問題がある。
上述のように、従来の活物質WO2、MoO2には、充電時に急激に電圧が変化するという問題がある。
図15(a)に、従来の活物質(MoO2)の充電曲線の一例を模式的に示す。なお、図15(a)に示すグラフは、充電時に生じる電位変化の傾向を説明するためのモデル図であり、電位(縦軸)の値などは特定していない。
図15(a)に模式的に示されるように、MoO2の充電曲線は、電位が比較的なだらかに変化する領域(プラトー)P1、P2を有している。領域P1の電位は領域P2の電位よりも高い。これらの領域P1、P2の間で、電位が急激に変化する領域Pαが存在している。領域Pαは、例えばリチウムイオン充填率が50%付近に位置している。このような場合、十分な電位制御性が得られるリチウムイオン充填率の範囲は、領域Pαよりも高リチウムイオン充填率側の領域、すなわち、電位変化の小さい領域P2に対応する範囲となる。図示していないが、WO2の充電曲線も、同様の傾向を示す。
<活物質D:W(x)Mo(y)Ti(z)O2(x+y+z=1、0<y≦xかつ0<z≦0.1304)>
図15(b)に、活物質Dの充電曲線の一例を模式的に示す。MoO2の充電曲線ではリチウムイオン充填率50%付近に電位が急激に変化する領域Pαが見られたが、活物質Dの充電曲線では、リチウムイオン充填率50%付近における急激な電位の変化はほぼ解消されている。一方で、活物質Dの充電曲線では、リチウムイオン充填率15〜35%付近にある領域Pβにおいて、領域Pαにおける電位変化とは別のやや急激な電位の変化が出現する。この電位変化は、領域Pαにおける電位変化より緩やかである。領域Pβよりも高リチウムイオン充填率側には、電位の変化がゆるやかな領域(プラトー)P3が存在する。従って、活物質Dでは、十分な電位制御性が得られるリチウムイオン充填率の範囲は、領域Pβよりも高リチウムイオン充填率側にある、電位変化の小さい領域P3に対応する範囲となる。領域P3のリチウムイオン充填率の範囲は、従来の活物質における領域P2のリチウムイオン充填率の範囲よりも広い。したがって、より広範囲のリチウムイオン充填率に亘り、良好な電位の制御性が得られる。
図15(b)に、活物質Dの充電曲線の一例を模式的に示す。MoO2の充電曲線ではリチウムイオン充填率50%付近に電位が急激に変化する領域Pαが見られたが、活物質Dの充電曲線では、リチウムイオン充填率50%付近における急激な電位の変化はほぼ解消されている。一方で、活物質Dの充電曲線では、リチウムイオン充填率15〜35%付近にある領域Pβにおいて、領域Pαにおける電位変化とは別のやや急激な電位の変化が出現する。この電位変化は、領域Pαにおける電位変化より緩やかである。領域Pβよりも高リチウムイオン充填率側には、電位の変化がゆるやかな領域(プラトー)P3が存在する。従って、活物質Dでは、十分な電位制御性が得られるリチウムイオン充填率の範囲は、領域Pβよりも高リチウムイオン充填率側にある、電位変化の小さい領域P3に対応する範囲となる。領域P3のリチウムイオン充填率の範囲は、従来の活物質における領域P2のリチウムイオン充填率の範囲よりも広い。したがって、より広範囲のリチウムイオン充填率に亘り、良好な電位の制御性が得られる。
<活物質Dの製造方法>
次いで、本実施の形態の活物質Dの製造方法の一例を説明する。
次いで、本実施の形態の活物質Dの製造方法の一例を説明する。
本実施の形態の活物質を製造する際には、タングステン(W)材料として、例えば、二酸化タングステン(WO2)を用いる。また、モリブデン(Mo)材料として、例えば、二酸化モリブデン(MoO2)を用いる。また、チタン材料として、例えばルチル構造やアナターゼ構造の二酸化チタン(TiO2)を用いる。
本実施の形態の活物質は、例えば上記原料を粉砕混合し、還元雰囲気下で焼成することによって得られる。焼成温度は、例えば700℃以上1300℃以下、望ましくは1100℃以上1200℃以下に設定される。焼成温度が低すぎると、反応性が低下し、単一相を得るために長時間の焼成が必要となり、焼成温度が高すぎると、製造コストが高くなり、また、溶融により結晶性が失われてしまうおそれがある。
なお、活物質の製造方法は上記の方法に限定されない。上記方法の代わりに、水熱合成、超臨界合成、共同沈殿法などの種々の合成方法を用いることができる。
<リチウムイオン二次電池の構成>
次に、本実施の形態の活物質を用いたリチウムイオン二次電池の構成を説明する。なお、本実施の形態では、リチウムイオン二次電池の一方の電極が上記の活物質を含んでいればよく、その他の構成は特に限定されない。
次に、本実施の形態の活物質を用いたリチウムイオン二次電池の構成を説明する。なお、本実施の形態では、リチウムイオン二次電池の一方の電極が上記の活物質を含んでいればよく、その他の構成は特に限定されない。
本実施の形態の活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、負極活物質として本実施の形態の活物質を含む負極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な活物質(正極活物質)を含む正極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する電解質とを備える。
負極は、負極集電体と、負極集電体に支持された負極合剤とを有する。負極合剤は、本実施の形態の活物質(W(x)Mo(y)Ti(z)O2(x+y+z=1、0<y≦xかつ0<z≦0.1304)を含有する。これに加えて、他の活物質、結着剤、導電剤などを含んでもよい。負極は、例えば、負極合剤を液状成分と混合して負極合剤スラリーを調整し、得られたスラリーを負極集電体に塗布し、乾燥させることによって作製され得る。
負極における活物質(負極活物質)に対する結着剤および導電助剤の配合割合は、負極活物質100重量部に対し、結着剤の配合は1重量部以上、20重量部以下の範囲内、導電助剤の配合は1重量部以上、25重量部以下であることが望ましい。
負極集電体としては、例えばステンレス鋼、ニッケル、銅などが用いられる。負極集電体の厚さは、特に限定されないが、1〜100μmが望ましく、より望ましくは5〜20μmである。負極集電体の厚さを上記範囲とすることにより、極板の強度を保持しつつ、軽量化することができる。
正極は、正極集電体と、正極集電体に支持された正極合剤とを有する。正極合剤は、正極活物質、結着剤、導電剤などを含んでもよい。正極は、正極合剤を液状成分と混合して正極合剤スラリーを調整し、得られたスラリーを正極集電体に塗布し、乾燥させることによって作製され得る。
正極活物質としては、例えばコバルト酸リチウムおよびその変性体(アルミニウムやマグネシウムを共晶させたものなど)、ニッケル酸リチウムおよびその変性体(一部ニッケルをコバルトやマンガン置換させたものなど)、マンガン酸リチウムおよびその変性体などの複合酸化物や、鉄リン酸リチウムおよびその変性体、マンガンリン酸リチウムおよびその変性体などを挙げることができる。正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極または負極の結着剤には、例えばPVDF、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースなどが使用可能である。また、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエンより選択された2種以上の材料の共重合体を用いてもよい。またこれらのうちから選択された2種以上を混合して用いてもよい。電極に含ませる導電剤には、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウムなどの金属粉末類、酸化亜鉛やチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、フェニレン誘導体などの有機導電性材料などが用いられる。
正極における正極活物質に対する結着剤および導電助剤の配合割合は、正極活物質100重量部に対し、結着剤の配合は1重量部以上、20重量部以下の範囲内、導電助剤の配合は1重量部以上、25重量部以下であることが望ましい。
正極集電体としては、例えばステンレス鋼、アルミニウム、チタンなどが用いられる。正極集電体の厚さは、特に限定されないが、1〜100μmが望ましく、より望ましくは5〜20μmである。正極集電体の厚さを上記範囲内にすることにより、極板の強度を保持しつつ、軽量化することができる。
正極と負極との間に介在するセパレータとしては、例えば、十分なイオン透過度を有し、所定の機械的強度と絶縁性とを兼ね備えた微多孔薄膜、職布、不織布などが用いられる。微多孔薄膜は、1種または2種以上の材料からなる複合膜または多層膜であってもよい。セパレータの材質は、例えばポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンであってもよい。ポリオレフィンは耐久性に優れ、かつシャットダウン機能を有しているため、リチウムイオン二次電池の信頼性・安全性をより高めることができる。セパレータの厚さは、例えば10〜300μm、望ましくは10〜40μm、より望ましくは10〜25μmである。また、セパレータの空孔率は、30〜70%の範囲であることが望ましく、より望ましく35〜60%である。ここで、「空孔率」とは、セパレータ全体に対する空孔部(空隙)の体積比を指す。
電解質としては、液状、ゲル状または固体状の物質を使用することができる。
液状非水電解質(非水電解液)は、非水溶媒に電解質(例えば、リチウム塩)を溶解させることにより得られる。また、ゲル状非水電解質は、非水電解質と、この非水電解質が保持される高分子材料とを含む。高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン等が使用され得る。
電解質を溶解させる非水溶媒としては、公知の非水溶媒を使用することができる。非水溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどであってもよい。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などが挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。環状カルボン酸エステルとしては、γ−ブチルラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などが挙げられる。非水溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水溶媒に溶解させる電解質には、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ホウ酸塩類、イミド塩類などを用いることができる。ホウ酸塩類としては、ビス(1、2−ベンゼンジオレート(2−)−O、O´)ホウ酸リチウム、ビス(2、3−ナフタレンジオレート(2−)−O、O´)ホウ酸リチウム、ビス(2、2´−ビフェニルジオレート(2−)−O、O´)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O、O´)ホウ酸リチウム等が挙げられる。イミド塩類としては、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム((CF3SO2)2NLi)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸イミドリチウム(LiN(CF3SO2)(C4F9SO2))、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム((C2F5SO2)2NLi)等が挙げられる。電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水電解液は、添加剤として負極上で分解してリチウムイオン伝導性の高い皮膜を形成し、充放電効率を高くすることができる材料を含んでいてもよい。このような機能を持つ添加剤としては、例えば、ビニリデンカーボネート(VC)、4−メチルビニリデンカーボネート、4、5−ジメチルビニリデンカーボネート、4−エチルビニリデンカーボネート、4、5−ジエチルビニリデンカーボネート、4−プロピルビニリデンカーボネート、4、5−ジプロピルビニリデンカーボネート、4−フェニルビニリデンカーボネート、4、5−ジフェニルビニリデンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、ジビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ビニリデンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、およびジビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種が望ましい。なお、上記化合物は、その水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい。電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2mol/Lの範囲内であることが望ましい。
さらに、非水電解液には、過充電時に分解して電極上に皮膜を形成し、電池を不活性化する公知のベンゼン誘導体を含有させてもよい。ベンゼン誘導体は、フェニル基およびフェニル基に隣接する環状化合物基を有してもよい。環状化合物基は、フェニル基、環状エーテル基、環状エステル基、シクロアルキル基、フェノキシ基などであってもよい。ベンゼン誘導体の具体例としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、ベンゼン誘導体の含有量は、非水溶媒全体の10体積%以下であることが望ましい。
図8は、コイン形のリチウムイオン二次電池200を例示する模式的な断面図である。
リチウムイオン二次電池200は、負極14、正極15およびセパレ−タ16を含む電極群を有している。負極14および正極15は、負極合剤と正極合剤とが対向するように配置されている。セパレ−タ16は、負極14と正極15との間(負極合剤と正極合剤との間)に配置されている。電極群にはリチウムイオン伝導性を有する電解質(図示せず)が含浸されている。正極15は、正極端子を兼ねた電池ケース13と電気的に接続されており、負極14は、負極端子を兼ねた封口板12と電気的に接続されている。また、電池ケース13の開口端部は、封口板12の周縁部に設けられたガスケット17にかしめられ、これによって電池全体が密閉されている。なお、図8ではコイン形電池の一例を示したが、本実施の形態のリチウムイオン二次電池の形状は、コイン形に限定されず、ボタン型、シート型、シリンダー型、扁平型、角型などであってもよい。
(実施例)
以下、実施例の活物質を作製し、評価を行った。その方法および結果を説明する。
以下、実施例の活物質を作製し、評価を行った。その方法および結果を説明する。
(1)活物質の作製
WO2、MoO2、TiO2の各原料粉体を、表2に示すモル混合比で、メノウ製乳鉢を用いて充分に混合した。得られた混合物を、水素ガスと炭酸ガスのモル比1:1の混合ガスによる還元雰囲気下にて、1200℃で8時間の焼成を行った。これにより、活物質D1〜A16を得た。このうち活物質D2〜D6、D8〜D16は、W(x)Mo(y)Ti(z)O2(x+y+z=1、0<y≦xかつ0<z≦0.1304)で表される組成を有する実施例の活物質である。活物質D1およびD7は、W(x)Mo(y)Ti(z)O2で表される組成を有するが、0<z≦0.1304を満足しない比較例の活物質である。
WO2、MoO2、TiO2の各原料粉体を、表2に示すモル混合比で、メノウ製乳鉢を用いて充分に混合した。得られた混合物を、水素ガスと炭酸ガスのモル比1:1の混合ガスによる還元雰囲気下にて、1200℃で8時間の焼成を行った。これにより、活物質D1〜A16を得た。このうち活物質D2〜D6、D8〜D16は、W(x)Mo(y)Ti(z)O2(x+y+z=1、0<y≦xかつ0<z≦0.1304)で表される組成を有する実施例の活物質である。活物質D1およびD7は、W(x)Mo(y)Ti(z)O2で表される組成を有するが、0<z≦0.1304を満足しない比較例の活物質である。
また、比較のため、W、MoおよびTiのうち2種類の金属元素のみを含む活物質E1、E2、1種類の金属元素のみを含む活物質C1、C2を同様の方法で作製した。活物質B1は、WおよびMoを含み、Tiを実質的に含まない金属酸化物(W0.5Mo0.5O2)であり、活物質E2は、WおよびTiを含み、Moを実質的に含まない金属酸化物W0.5Ti0.5O2である。活物質C1はWO2、活物質C2はMoO2である。
各実施例および比較例の活物質をX線回折法(XRD)を用いて分析した。この結果、いずれの活物質でも、WO2、MoO2、TiO2が相分離せずに固溶し、かつ副生成物がなく単一相であることを確認した。したがって、原料のモル比がそのまま各活物質の組成比に対応する。各活物質の組成を表2に示す。
(2)電極の作製
次に、上記の方法で得られた各活物質をそれぞれ用いて電極を作製した。具体的には、各活物質100重量部と、導電剤としてアセチレンブラック10重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10重量部と、分散媒として適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液とを混合し、合剤ペーストを調製した。
次に、上記の方法で得られた各活物質をそれぞれ用いて電極を作製した。具体的には、各活物質100重量部と、導電剤としてアセチレンブラック10重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10重量部と、分散媒として適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液とを混合し、合剤ペーストを調製した。
合剤ペーストを集電体の表面に塗布し、乾燥させることにより、活物質層を形成した。集電体として、厚さが18μmの銅箔を用いた。次いで、活物質層が形成された集電体に対して、2ton/cm2で平板プレスを行い、集電体と活物質層との合計厚さが100μmに達するまで圧縮した。この後、活物質層が形成された集電体を直径が12.5mmの円形に打ち抜き、電極を作製した。
(3)対極の作製
厚さが300μmのLi箔を、直径が14.5mmの円形に打ち抜き、対極とした。
厚さが300μmのLi箔を、直径が14.5mmの円形に打ち抜き、対極とした。
(4)非水電解質の調製
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:3で含む混合溶媒に、溶質として、1.0mol/Lの濃度でLiPF6を溶解させて、非水電解質を得た。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:3で含む混合溶媒に、溶質として、1.0mol/Lの濃度でLiPF6を溶解させて、非水電解質を得た。
(5)評価用セルの作製
上記電極を作用極とし、対極にLi箔を用いて、評価用のセルを作製した。
上記電極を作用極とし、対極にLi箔を用いて、評価用のセルを作製した。
図8を参照する。各評価用セルでは、電池ケース13および封口板12として、耐有機電解液性のステンレス鋼板を加工したものを用いた。負極14(ここでは作用極14)として、上記各電極の何れかを用い、正極15(ここでは対極15)として上記Li箔を用いた。なお、評価用セルでは、電池ケース13の一部を集電体として機能させた。また、セパレ−タ16およびガスケット17として、それぞれ、微孔性のポリプロピレン製セパレ−タ、ポリプロピレン樹脂製絶縁ガスケットを用いた。
本実施例では、まず、電池ケース13の内面に、上記Li箔をスポット溶接し、対極15を得た。次いで、対極15の上にセパレ−タ16を配置して、非水電解質を収容した。一方、封口板12の内側に、作用極14として、上記各電極を圧着した。この後、作用極14が圧着された封口板12を、ガスケット17を介して電池ケース13の開口部にはめ込み、封口した。このようにして、コイン形の評価用セルを得た。
なお、本明細書において、表2の活物質D1を用いて作製した電極を作用極14とする評価用セルを「セルD1」と称する。同様に、活物質D2〜D16、E1、E2、C1、C2を用いて作製した電極を作用極14とする評価用セルを、それぞれ、使用した活物質に付与した番号に対応させて呼ぶ。
(6)充放電特性の評価
各評価用セルの充放電サイクル試験を行い、充放電特性を測定した。具体的には、室温環境下にて、0.1mAの定電流で0.5Vに到達するまで充電した後、リチウムイオンを活物質から脱離させるために、0.1mAの定電流で1.5Vまで放電するサイクルを繰り返した。ただし、MoO2のみを含む活物質C2を用いたセルC2では、電位が常に0.5Vよりも高いため、充電はリチウムイオン充填率が90%程度になるまでとし、放電は2.5Vまでとした。
各評価用セルの充放電サイクル試験を行い、充放電特性を測定した。具体的には、室温環境下にて、0.1mAの定電流で0.5Vに到達するまで充電した後、リチウムイオンを活物質から脱離させるために、0.1mAの定電流で1.5Vまで放電するサイクルを繰り返した。ただし、MoO2のみを含む活物質C2を用いたセルC2では、電位が常に0.5Vよりも高いため、充電はリチウムイオン充填率が90%程度になるまでとし、放電は2.5Vまでとした。
以下、図10を参照しながら、充放電特性の測定結果を説明する。
図10(a)および(b)は、それぞれ、表2に示す実施例の活物質のうち活物質D8の2サイクル目の充電曲線およびその微分曲線を示す図である。なお、比較のため、これらの図には、比較例の活物質C1(WO2)、活物質C2(MoO2)を用いたセルC1、C2の充電曲線および微分曲線も示す。
図10(a)では、活物質に対するリチウムイオンの充填率を横軸とし、電極(作用極14)の電位(リチウム金属を基準とする電位)を縦軸として、充電曲線を示している。リチウムイオン充填率は、セルを流れる電流が全て活物質のリチウムイオン挿入・脱離反応に関与すると仮定して電流の時間積分から求め、組成比Li(1)W(x)Mo(y)Ti(z)O2(x+y+z=1)に相当するときを100%とする百分率で示した。
図10(b)の微分曲線は、リチウムイオン充填率を横軸、電位をリチウムイオン充填率で微分した値の絶対値を縦軸としている。微分曲線は、具体的には、充電曲線の隣り合う2測定点における電位の差分をリチウムイオン充填率の差分で除算し、その絶対値をプロットした。ここでは、微分曲線における隣接するプロットの横軸(リチウムイオン充填率)の間隔を、0.28%以上1.6%以下とした。
図10(a)に示す充電曲線の変曲点は、図10(b)に示す微分曲線ではピークとなる。ピークの最大値が大きく且つ半値幅が小さいほど、変曲点前後で電位が“急激に変化”することを表す。また、微分曲線の縦軸の値(微分値の絶対値、以下、「微分曲線の値」と略する)は、その充填率における電位の傾斜である。従って、微分曲線の値が小さいほど、電位は緩やかに変化する。なお、微分曲線における隣接する2つのプロットの横軸(リチウムイオン充填率)の間隔は特に限定しないが、例えば2%以下(0%より大きく2%以下)であれば、ピークの位置や最大値、ピーク形状をより確実に調べることができる。
図10(a)から分かるように、比較例のセルC1およびC2の充電曲線では、リチウムイオン充填率50%付近で、電位が急激に変化する。この変化は、図10(b)に示す微分曲線において、ピークαとして現れる。これに対し、実施例のセルD8の充電曲線では、リチウムイオン充填率50%付近における電位の変化は比較的緩やかであるが、リチウムイオン充填率20〜25%付近で電位が比較的大きく変化する。この変化は、図10(b)に示す微分曲線において、ピークβとして現れる。図10(b)から分かるように、セルD8のピークβは、セルC1、C2のピークαよりも小さく、ブロードである。なお、「ピークが小さい」とは、微分曲線におけるピークの最大値が小さいことをいう。この結果から、セルD8の充電時に生じる比較的急激な電位変化は、セルC1およびC2に生じる電位変化よりも小さく、且つ、リチウムイオン充填率のより低い領域で生じることが確認できる。電位変化が生じる領域よりも高リチウムイオン充填率側は、電位の変化が比較的緩やかな領域(プラトー)である。従って、セルD8では、セルC1およびC2よりも広いリチウムイオン充填率の範囲において、良好な負極電位(あるいは電池電圧)の制御性を実現し得る。
なお、図10において、セルD8の充電曲線は、セルC1およびC2の充電曲線よりも短い。これは、充放電特性の測定において、充電終止電圧(本実施例では、リチウム金属を基準とする電極の電位と等しい)を0.5Vに設定したからである。また、セルD7およびセルE4の充電曲線において、電位が0.5Vに達する直前に電位変化が大きくなっているが、これは充電を終了させる動作(カットの動作)に伴うものである。
このように、セルD2〜D6、D8〜D16、E1、C1、C2の微分曲線には、少なくとも1つのピークが観察された。本発明者が検討したところ、これらのピークは、ピークの生じる位置(リチウムイオン充填率)やピーク形状により、ピークα、ピークβおよびピークγの3つに分類され得る。
・ピークα:リチウムイオン充填率が概ね35〜60%の範囲に現れ得る。比較例のセルC1(活物質:WO2)およびセルC2(活物質:MoO2)では、ピークαは、最大値が0.03超の鋭いピークとなり、非常に急激な電位の変化が起こっていることが分かる(図10参照)。一方、実施例の活物質を用いたセルD2〜D6およびD8〜D16では、ピークαはほぼ消滅しているか、あるいは、ピークαが存在していても、そのピークαは、セルC1およびC2のピークαよりも明らかに小さく、ブロードである。
・ピークβ:リチウムイオン充填率が概ね15〜35%の範囲に現れ得る。比較例のセルC1、C2には見られない。実施例の活物質を用いたセルD2〜D6およびD8〜D16の微分曲線で観察される。ピークβのピークプロファイルは、ピークαおよびピークγに比べて直線的である。
・ピークγ:リチウムイオン充填率が概ね5〜15%の範囲に現れ得る。ピークγの形状は、ピークα、βに比べ歪である。
・ピークα:リチウムイオン充填率が概ね35〜60%の範囲に現れ得る。比較例のセルC1(活物質:WO2)およびセルC2(活物質:MoO2)では、ピークαは、最大値が0.03超の鋭いピークとなり、非常に急激な電位の変化が起こっていることが分かる(図10参照)。一方、実施例の活物質を用いたセルD2〜D6およびD8〜D16では、ピークαはほぼ消滅しているか、あるいは、ピークαが存在していても、そのピークαは、セルC1およびC2のピークαよりも明らかに小さく、ブロードである。
・ピークβ:リチウムイオン充填率が概ね15〜35%の範囲に現れ得る。比較例のセルC1、C2には見られない。実施例の活物質を用いたセルD2〜D6およびD8〜D16の微分曲線で観察される。ピークβのピークプロファイルは、ピークαおよびピークγに比べて直線的である。
・ピークγ:リチウムイオン充填率が概ね5〜15%の範囲に現れ得る。ピークγの形状は、ピークα、βに比べ歪である。
これらのピークのうち、ピークγは充電初期に位置しており、様々な副反応の影響で電位変化が生じ、これがピークとなって現れている可能性も懸念される。このため、ここでは、リチウムイオン充填率の実質的な使用範囲に存在するピークα、βに着目し、活物質の組成との関係を検討する。
表2に、各評価用セルにおけるピークα、βの最大値とその位置(ピークが最大値となるリチウムイオン充填率)を示す。これらの値と、活物質の組成との関係を検討したところ、以下のことが分かった。
Tiの比率の高い活物質を用いたセルD1、D7およびE2では、全く充電が行われないか、または、リチウムイオン充填率が20%以下で充電が終了した(表2には「充電不可」と記載)。これに対し、Tiが含まれていない活物質を用いたセルE2、C1およびC2や、Tiの比率zが比較的低い(z≦0.1304)を満たす活物質を用いたセルD2〜D6、D8〜D16では、少なくとも電位が充電終止電位の0.5Vに達するまで充電可能で、リチウムイオン充填率が35%超まで充電を行うことができた。
図10(b)および表2から分かるように、比較例のセルE1、C1、C2の微分曲線には、最大値が0.03以上のピークαが生じる。これに対し、実施例のセルD2〜D6、D8〜D16の微分曲線には、有意なピークαが全く見られないか、あるいは、ピークαが見られても、その最大値はセルE1、C1、C2におけるピークαの最大値よりも明らかに小さい。一方、セルD2〜D6、D8〜D16の微分曲線には、ピークβが見られた。ピークβの最大値は、リチウムイオン充填率が概ね15%〜30%の範囲内に位置していた。この結果、Tiの比率が比較的低い活物質を用いたセルD2〜D6、D8〜D16では、ピークβよりも高リチウムイオン充填率側でプラトーを広く使用できることが分かった。従って、より広い範囲のリチウムイオン充填率に亘り、リチウムイオン充填率に対して電位を安定して制御することができ、良好な電位の制御性が得られる。
ここで、ピークβの位置と活物質の組成との関係を調べたので、説明する。
図11は、セルD11〜D14の活物質における混合比R(W:Mo:Ti=9:R:1−R)と、ピークβの位置との関係を示す図である。図11から分かるように、混合比Rが大きいほど(すなわちMoの比率が高いほど)、各セルのピークβの位置は、低リチウムイオン充填率側にシフトする。例えばTiの比率zがMoの比率y以下である(R:0.5以上)セルD12〜D14では、ピークβはリチウムイオン充填率25%未満に位置し、ピークβ以降(ピークβの高リチウムイオン充填率側)における電位変化の小さい領域をさらに拡大できる。
図11では、一部のセルにおけるピークβと混合比Rとの関係のみを示しているが、他のセルでも、同様の傾向がみられる。具体的には、表2に示す結果から分かるように、Tiの比率zがMoの比率yよりも大きいセルD4、D11では、ピークβはリチウムイオン充填率25%以上に位置している。これに対し、Tiの比率zがMoの比率y以下(z/y≦1)のセルでは、セルD4、D11よりも、ピークβが低リチウムイオン充填率側(リチウムイオン充填率25%未満)に位置している。従って、活物質の組成比がz/y≦1を満たしていると、良好な電位制御性の得られる範囲をより効果的に拡大し得ることが確認される。
上述の結果から、Tiの比率zが比較的低く、WおよびMoの比率x、yの合計の15%以下(z/(x+y)≦0.15)(x+y+z=1からz≦0.1304)のセルD2〜D6、D8〜D16では、リチウムイオン充填率50%付近に生じる電位の変化は緩やかなので(あるいは、ほとんど変化しないので)、リチウムイオン充填率50%付近でも十分な電位制御性を確保し得る。したがって、従来の活物質を用いたセルE1、C1、C2よりも、広い範囲のリチウムイオン充填率に亘り、十分な電位制御性が得られる。特に、Tiの比率zがMoの比率y以下のセルD2、D3、D5、D6、D8〜D10、D12〜D16においては、ピークβの位置をリチウムイオン充填率25%未満まで、低リチウムイオン充填率側にシフトさせることが可能となり、さらに広範囲のリチウムイオン充填率を使用できることが分かる。
また、所定の範囲のリチウムイオン充填率において、微分曲線の値が小さく抑えられていれば、その範囲内において電位制御性を向上できるので、より顕著な効果が得られる。以下、具体的に説明する。
微分曲線の値(微分値の絶対値)が、ピークαの概ねの下限位置(例えば35%)よりも高リチウムイオン充填率側の領域において、比較例のセルC1およびC2の最大値(ピークαの最大値)未満、例えば0.03未満であれば、従来よりも高い電位制御性を実現し得る。より望ましくは、リチウムイオン充填率が35%よりも高い領域において、微分曲線の値が0.015未満である。このような場合、より効果的に電位制御性を高めることができる。また、表2に示すように、ピークβの最大値は0.03未満と小さいことから、ピークβが存在しても、微分曲線の値を小さく抑えることが可能である。ただし、ピークβの最大値の位置が低リチウムイオン充填率側(例えばリチウムイオン充填率25%未満)に位置していれば、リチウムイオン充填率が25%よりも高い領域における微分曲線の値をさらに小さくできる。よって、より広範囲のリチウムイオン充填率において、電位制御性をより効果的に高めることができる。
表2に、リチウムイオン充填率が35%より高い領域より高い領域において、0.03未満および0.015未満を満たすか否か、およびリチウムイオン充填率が25%より高い領域において、各評価用セルの微分曲線の値が0.03未満あるいは0.02未満を満たすか否かを示す。微分曲線の値が0.03未満、0.02未満または0.015未満を満たす場合には○、満たさない場合には×で示している。表2に示す評価結果から、実施例の活物質を用いたセルD2〜D6、D8〜D16は「○」を3つ以上有しており、セルC1、C2、E2に比べて、電位制御性が向上していることが分かる。また、上記のセルのうち活物質のTiの比率zがMoの比率y以下である(すなわち組成比がz/y≦1を満たす)セルでは、リチウムイオン充填率が25%より高い領域において微分曲線の値が0.02未満であることから(「○」が4つ)、より効果的に電位制御性が高められることが分かる。
図12は、実施例および比較例の活物質の組成と、その活物質を用いたセルにおける電位制御性の評価結果とを示す三角図である。三角図の頂点は、それぞれ、W100%(x=1)、Ti100%(z=1)、Mo100%(y=1)である。図12では、各活物質を用いたセルの微分曲線の評価結果によって、異なる符号を用いている。具体的には、表2に示す評価結果が「○」を4つ有する場合には●、「○」を3つ有する場合には▲、「○」が2以下あるいは充電不可の場合には□を用いている。実施例の活物質を用いたセルは、「○」を3つ以上有しているので、三角図において●または▲で示されている。
図13は、電位制御性の評価結果とともに、本実施の形態の活物質の組成におけるx、y、zの範囲raを示す三角図である。図13に示す線L1、L2は、それぞれ、y=xおよびz=0.1304を表す。また、線L3は、y=zを表す。
図9を参照しながら前述したように、範囲raは、三角図において、Wの比率xが線L1以上(x≧y)であり、かつ、Tiの比率zが線L2以下(z≦0.1304)の範囲である。図13から分かるように、範囲ra内にある組成を有する活物質は、何れも、良好な電位制御性(評価結果における「○」が3以上)を有することが確認される。
また、範囲raのうち、Moの比率yが線L3以上(y≧z)となる範囲rbでは、さらに高い電位制御性(評価結果における「○」が4以上)を実現できることが分かる。従って、三角図において、活物質の組成が、線L1、L2およびL3で包囲された範囲rb内(線L1、L2、L3上の点を含む)であれば、より顕著な効果が得られる。
上記では各評価用セルの充電曲線とその微分曲線に関して述べたが、上記で高い電位制御性を有するセルD2〜D6、D8〜D16は、いずれも、放電においても良好な電位の制御性を有している。
図14は、実施例のセルD8、および比較例のセルC1、C2の2サイクル目における放電曲線を示す図である。グラフの横軸は、放電開始時からのリチウムイオンの放出率である。放電開始時のリチウムイオン充填率が各評価用セルで異なるため、放電開始時からのリチウムイオンの放出率を、充填率と同様に電流の時間積分から求めた。
図14から分かるように、セルC2(活物質:MoO2)の放電曲線には、急激に電位が変化する領域が存在する。これに対し、セルD8およびセルC1の放電曲線は比較的なだらかになっている。特に、セルD8の放電曲線は、セルC1よりもなだらかである。なお、図示していないが、セルD2〜D6、D9〜D16も、同様に、なだらかな放電曲線を示す。
このように、本実施の形態の活物質は、充放電(リチウムイオンの挿入・脱離)に伴う酸化還元電位の急激な変化が抑えられた充放電特性を有している。したがって、本実施の形態の活物質を用いると、充放電時の急激な電圧の変化が抑えられ、良好な電圧の制御が可能なリチウムイオン二次電池を提供できる。
さらに、図10および図14に示すように、本実施の形態の活物質は低い電位を有しており、このように、本実施の形態の活物質は充放電での主体となる電位領域が1.0V以下であるため、本実施の形態の活物質を負極に用いたリチウムイオン二次電池では、正極と負極との間の電圧を確保でき、エネルギー密度の低下を抑制できる。
表2に、各評価用セルの2サイクル目の充電における、充電の初期に通常起こる電位降下がほぼ終了する時点での電位(表2において「電位I」と記す)、およびリチウム充填率35%における電位(表2において「電位II」と記す)も記載した。ここで、電位Iとしては、2サイクル目の充電曲線の微分曲線の値が、最初に0.02を下回ったときの電位を採用した。この結果から、セルD2〜D6およびD8〜D16の電位I、IIは、いずれも1.0V以下であることが分かる。
以上のように、本実施の形態の活物質では、充放電時の急激な電位の変化が抑えられているので、従来よりも広いリチウムイオン充填率の範囲で良好な電位制御性を実現できる。また、従来よりも充電曲線における電位変化を低減できるので、電位制御性を高めることが可能である。したがって、本実施の形態の活物質を用いると、良好な電圧の制御が可能なリチウムイオン二次電池を提供できる。また、本実施の形態の活物質の酸化還元電位は1.0V以下であることから、本実施の形態の活物質を負極に用いてリチウムイオン二次電池を構成すると、正極と負極との間の電圧を確保でき、エネルギー密度の低下を抑制できる。
本開示の一態様にかかるリチウムイオン二次電池の活物質およびリチウムイオン二次電池は、例えば、電力貯蔵や電気自動車などの環境エネルギー分野の動力源として利用される。また、パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯情報端末(PDA)、携帯用ゲーム機器、ビデオカメラなどの携帯用電子機器の電源として利用される。ハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車などにおいて電気モーターを補助する二次電池、電動工具、掃除機、ロボットなどの駆動用電源、プラグインHEVの動力源などとしての利用も期待される。
2,12 封口板
3,13 電池ケース
4,14 負極あるいは作用極
5,15 正極あるいは対極
6,16 セパレ−タ
7,17 ガスケット
100,200 リチウムイオン二次電池
3,13 電池ケース
4,14 負極あるいは作用極
5,15 正極あるいは対極
6,16 セパレ−タ
7,17 ガスケット
100,200 リチウムイオン二次電池
Claims (9)
- W(x)Me1(z1)Me2(z2)・・・Men(zn)O2(x+z1+z2+…+zn=1、nは1以上の整数、0<max{z1,z2,…,zn}/x<1/2)で表される組成を有し、
Me1からMenは酸化物としてルチル型構造あるいはMoO2型構造を取り得る元素である、
リチウムイオン二次電池の活物質。 - 前記Me1からMenは、Ti、V、Cr、Ge、Mn、Nb、Mo、Ru、Rh、Sn、Te、Ta、Re、Os、Ir、Pt、およびPbからなる群から選択したいずれかn種類の元素である、
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の活物質。 - 前記組成は、W(x)Ti(z1)O2(0<z1/x≦1/3)で表される、
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の活物質。 - 前記組成は1/7≦z1/xを満たす、
請求項3に記載のリチウムイオン二次電池の活物質。 - 前記組成は、W(x)Mo(z1)O2で表される、
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の活物質。 - 前記組成はz1/x≦1/8を満たす、
請求項5に記載のリチウムイオン二次電池の活物質。 - W(x)Mo(z1)Ti(z2)O2(x+z1+z2=1、0<z1≦xかつ0<z2≦0.1304)で表される組成を有するリチウムイオン二次電池の活物質。
- 前記組成はz2/z1≦1を満たす、
請求項7に記載のリチウムイオン二次電池の活物質。 - リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を含む正極と、
請求項1〜8のいずれかに記載の活物質を含む負極と、
前記正極と前記負極との間に配置されたリチウムイオン伝導性を有する電解質と
を含むリチウムイオン二次電池。
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