JP2015127809A - 近赤外線吸収アルミナ材料および近赤外線吸収アルミナ磁器 - Google Patents

近赤外線吸収アルミナ材料および近赤外線吸収アルミナ磁器 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁性のアルミナ材料に近赤外線吸収特性を付与することによる、耐候性や耐熱性に優れた近赤外線吸収アルミナ材料および近赤外線吸収アルミナ磁器の提供。【解決手段】Al2O3を99.5質量%以上、FeをFe2O3換算で100ppm以上3000ppm以下含有するとともに、波長600nmの分光吸収率をA1、波長1900nmの分光吸収率をA2としたとき、前記A1が20%以下、かつ前記A2が30%以上であることにより、近赤外線吸収アルミナ材料として好適に用いることができる。また、さらに気孔率が0.5%以下の磁器とすることで、近赤外線吸収アルミナ磁器として好適に用いることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、近赤外線吸収アルミナ材料および近赤外線吸収アルミナ磁器に関する。
近赤外線を吸収する材料としては、従来よりガラスや有機ポリマーなどの材料が知られており、これらは、近赤外線吸収フィルター、近赤外線分光装置、生体センサー、太陽光吸収材料、建築用装飾材料、家庭用装飾材料、YAGレーザーや半導体レーザーの吸収材料等に利用されている。
一般的な近赤外線吸収ガラスとしては、リン酸ガラスにCuOを添加したものが知られている。また、特許文献1には、ソーダライムシリカガラスにFeOを添加したものが赤外線吸収ガラスとして開示されている。
また、無機材料としてはITO(酸化インジウム錫)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)などが知られており、ガラスのコーティングやフィルムとして用いられている。
国際公開第2005/063643号
しかしながら、有機ポリマーの赤外線吸収材料は、耐候性や耐熱性などの耐久性能にさらなる向上が求められていた。ガラスについても、リン酸ガラス系の材料は潮解性を有するため耐湿性に問題があり、ソーダライムシリカガラス系の材料はアルカリ成分を含んでいるため、長期間の使用または高温下での使用により、アルカリイオンが当該ガラスに接する周辺材料に拡散して周辺材料の劣化を引き起すという問題があった。また、ITOやATOは導電性を有するため、建材やガラスのコーティング等に用いると、携帯電話等の電波障害を誘発するという問題があった。
本発明は上記の課題に鑑みなされたもので、絶縁性のアルミナ材料に近赤外線吸収特性を付与することにより、耐候性や耐熱性に優れた近赤外線吸収アルミナ材料および近赤外線吸収アルミナ磁器を提供することを目的とする。
本発明の近赤外線吸収アルミナ材料は、Alを99.5質量%以上、FeをFe換算で100ppm以上3000ppm以下含有するとともに、波長600nmの分光吸収率をA1、波長1900nmの分光吸収率をA2としたとき、前記A1が20%以下、かつ前記A2が30%以上であることを特徴とする。
また、本発明の近赤外線吸収アルミナ材料は、Alを99.5質量%以上、FeをFe換算で100ppm以上3000ppm以下含有するとともに、波長600nmの分光透過率をT1、波長1900nmの分光透過率をT2としたとき、該T2が25%以下、かつ前記T1が前記T2以上であることを特徴とする。
本発明の近赤外線吸収アルミナ磁器は、アルミナ結晶粒子と粒界とを有し、気孔率が0.5%以下であって、Alを99.5質量%以上、FeをFe換算で100
ppm以上3000ppm以下含有するとともに、波長600nmの分光吸収率をA1、波長1900nmの分光吸収率をA2としたとき、前記A1が20%以下、かつ前記A2が30%以上であることを特徴とする。
また、本発明の近赤外線吸収アルミナ磁器は、アルミナ結晶粒子と粒界とを有し、気孔率が0.5%以下であって、Alを99.5質量%以上、FeをFe換算で100ppm以上3000ppm以下含有するとともに、波長600nmの分光透過率をT1、波長1900nmの分光透過率をT2としたとき、該T2が25%以下、かつ前記T1が前記T2以上であることを特徴とする。
本発明によれば、耐候性や耐熱性に優れた近赤外線吸収アルミナ材料および近赤外線吸収アルミナ磁器を提供することができる。
各種アルミナ磁器の分光吸収率曲線を示す図である。 各種アルミナ磁器の分光透過率曲線を示す図である。
本発明の近赤外線吸収アルミナ材料について、その実施形態の一例を説明する。本実施形態の近赤外線吸収アルミナ材料(以下、単にアルミナ材料という場合もある)は、Alを99.5質量%以上、FeをFe換算で100ppm以上3000ppm以下含有する。
ここで、材料中に含まれるFeがFeOとして存在することにより、近赤外線を吸収することができる。近赤外線とは、700〜2500nmの波長を有する赤外線である。Feは、Feとして存在する場合、可視光領域に吸収を示し近赤外線領域では吸収を示さないが、FeOとして存在する場合には、近赤外線領域で吸収を示し可視光領域では吸収を示さない。したがって、FeOを含むアルミナは近赤外線の吸収能を備えるものとなる。
本実施形態の近赤外線吸収アルミナ材料では、波長600nmの分光吸収率をA1、波長1900nmの分光吸収率をA2としたとき、A1が20%以下、かつA2が30%以上である。このような近赤外線吸収特性を有することにより、本実施形態の近赤外線吸収アルミナ材料は、耐候性や耐熱性が必要とされる太陽電池用材料や建築用材料、ガラスのコーティング材等の近赤外線吸収材料として好適に用いることができる。
例えば、太陽電池はパネル温度の上昇によって夏期の出力が低くなることがよく知られている。例えば、80℃における太陽電池の出力は、25℃における出力に対して95%まで低下する。また、多結晶シリコンを用いた太陽電池は、1300nmまでの波長の太陽光を電気エネルギーに変換できるが、これより長い近赤外線以上の太陽光は電気エネルギーに変換されず熱エネルギーとして吸収され、パネル温度の上昇の原因となる。そのため1300nmまでの波長の太陽光は透過するが、それ以上の波長の太陽光を効率良く吸収する本実施形態の近赤外線吸収アルミナ材料は、パネル温度の上昇を抑制する太陽電池のカバー材料として好適に用いることができる。
本実施形態の近赤外線吸収アルミナ材料は、600nmの波長を有する可視光の分光透過率をT1とし、1900nmの波長を有する近赤外線の分光透過率をT2としたとき、T2が25%以下、かつT1がT2以上である。
近赤外線を用いたレーザーのうち、波長が1400nm以上のレーザーはアイセーフレーザーと呼ばれ、網膜まで到達せず目に損傷を与えにくいため、医療分野を始めレーザーを応用したレーダーや測距器、交通監視システム、携帯端末用の超高速データ通信等、特に社会生活に密接したレーザー応用分野において注目されている。このようなレーザーとしては、たとえばYAGレーザーや半導体レーザーが挙げられる。しかし、この波長領域であっても、最大許容露光量を越えた照射を受けると眼球に熱的損傷を受ける可能性がある。本実施形態の近赤外線吸収アルミナ材料は、このアイセーフレーザーの波長域における赤外線吸収能に優れ、当該波長域の分光透過率が低いため、アイセーフレーザーの吸収材料として、たとえばシール材や保護眼鏡のコーティング等に好適に用いることができる。
本実施形態の近赤外線吸収アルミナ材料は、更に、A1が20%以下、かつA2が30%以上であるとともに、T2が25%以下、かつT1がT2以上であることが好ましい。
なお、1900nmの波長を有する近赤外線の分光吸収率A2を30%以上、および分光透過率T2を25%以下とすることは、Feの含有量をFe換算で100ppm以上とすることにより実現できる。
また、近赤外線吸収アルミナ材料中にAlを99.5質量%以上含み、Feの含有量をFe換算で3000ppm以下とすることにより、高純度アルミナが本来持っている優れた熱特性、耐候性、耐湿性を維持したまま近赤外線の吸収能を付与することができる。なお、可視光領域の分光透過率を高く維持するという点から、Feの含有量はFe換算で500ppm以下とすることが好ましい。
このように、含まれるFeが可視光領域の吸収を示さず、さらにアルミナ結晶自体に可視光領域に吸収を持つ他の成分を含まない、Alを99.5質量%以上含有する高純度のアルミナ材料であることから、本実施形態においては、可視光領域の分光透過率を高く維持することができ、特にガラスのコーティング材や装飾材料として好適に用いることができる。
本実施形態においては、さらに600nmの波長を有する可視光の分光透過率T1が、25%以上であることが好ましい。これにより可視光の透過性が確保でき、ガラス等のコーティング材としてもさらに好適に用いることができる。可視光の透過率を高めるには、アルミナ材料に含まれる不純物を低減する、アルミナの結晶子サイズを大きくするなどの手法を用いればよい。
本実施形態における近赤外線吸収アルミナ材料の形状は、粒子状(粉末)および膜状のいずれであってもよい。粒子状の場合、アルミナ結晶粒子の表面にFeO粒子やFeO被膜を有するもの、複数のアルミナ結晶粒子が結合・凝集しその粒界にFeOが存在するものなどが使用できる。膜状の場合も、多結晶膜や多結晶体の粒界にFeOが存在するものが好適に用いられる。特に粒子状の近赤外線吸収アルミナ材料は、溶剤に分散させてコーティング材や遮熱塗料などに用いることもできる。なお、遮熱塗料に用いる場合、粒子の内部に空洞を有する中空粒子として用いることで、さらに遮熱性を高めることができる。このような遮熱塗料に用いる場合の近赤外線吸収アルミナ材料の平均粒径は、分散性、塗布性の面から1〜100μmとすることが好ましい。
本実施形態の近赤外線吸収アルミナ材料は、実質的にAl、Fe、Oを構成元素としてなることが望ましい。これにより最低限の構成元素により、近赤外線吸収アルミナ材料を得ることができる。ここで実質的にAl、Fe、Oを構成元素としてなるとは、原料にAl、Fe、O以外は積極的に添加しないという意味であるが、不可避不純物としてSi、
Mg、Ca、Na、Cr、Ni、Mn、CuおよびCを酸化物換算した合計量で、全量中0.2質量%以下含有することがある。
近赤外線吸収アルミナ材料の構成元素や不純物の種類および含有量は、たとえば高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光などの元素分析により確認すればよい。近赤外線吸収アルミナ材料に含まれるFeがFeOとして存在するか、Feとして存在するかについては、上述のようにFeは800nm以下の波長の範囲で吸収を示し、FeOは1300〜2500nmの波長の範囲で吸収を示すことから、可視光および近赤外線の分光透過率を測定することにより判断できる。また、X線吸収微細構造(XAFS)を確認することにより判別することもできる。
このような近赤外線吸収アルミナ材料は、以下のようにして作製すればよい。原料粉末として、例えば、原料粒径0.1〜0.8μmの高純度Al粉末とFe粉末とを所定量秤量し、高純度アルミナボールを用いて湿式混合を行う。
得られた混合物を乾燥・造粒し、真空中または還元雰囲気中にて1500℃以上で熱処理することにより、Feが還元され、FeOを含み近赤外線吸収能を有する、すなわち波長1900nmの分光吸収率A2が30%以上、かつ波長600nmの分光吸収率A1が20%以下である近赤外線吸収アルミナ粉末が得られる。なお、得られたアルミナ粉末をさらに粉砕して粒度調整を行ってもよい。
また、中空粒子を得るには、熱処理によりFeOを含むアルミナとなる炭酸塩、酢酸塩等の素原料、または熱処理により得られたFeOを含むアルミナ粉末をスラリー化して、樹脂等のボールを芯材としたアルミナ被覆粒子を作製し、芯材が消失する条件で熱処理を行った後、真空中または還元雰囲気中にて1500℃以上でさらに熱処理すればよい。その際、熱処理温度を調整することにより、多孔性の殻を有する中空粒子、緻密な殻を有する中空粒子のいずれも作製することができる。中空粒子のサイズや殻の厚さは、芯材のサイズ、素原料やアルミナ粒子の粒径、スラリーの濃度や粘度等を適宜調整することにより所望のサイズや殻の厚さを有するものが得られる。
本発明の近赤外線吸収アルミナ磁器について、その実施形態の一例を説明する。本実施形態の近赤外線吸収アルミナ磁器(以下、単にアルミナ磁器という場合もある)は、アルミナ結晶粒子と粒界とを有し、気孔率が0.5%以下であって、Alを99.5質量%以上、FeをFe換算で100ppm以上3000ppm以下含有するアルミナ磁器である。
本実施形態においては、前述した近赤外線吸収アルミナ材料と同様に、磁器中に含まれるFeがFeOとして存在することにより、近赤外線を吸収することができる。
本実施形態の近赤外線吸収アルミナ磁器では、1900nmの波長を有する近赤外線の分光吸収率A2が30%以上、かつ600nmの波長を有する可視光の分光吸収率A1が20%以下である。このような赤外線吸収特性により、本実施形態の近赤外線吸収アルミナ磁器は、耐候性や耐熱性が必要とされる太陽電池用材料や建築用材料等の近赤外線吸収材料として好適に用いることができる。
また、1900nmの波長を有する近赤外線の分光透過率T2が25%以下、かつ600nmの波長を有する可視光の分光透過率T1がT2以上であることにより、アイセーフレーザーの波長域における赤外線吸収能に優れるため、アイセーフレーザーの吸収材料、たとえばシール材として特に好適に用いることができる。
本実施形態の近赤外線吸収アルミナ磁器は、更に、A1が20%以下、かつA2が30%以上であるとともに、T2が25%以下、かつT1がT2以上であることが好ましい。
なお、1900nmの波長を有する近赤外線の分光吸収率A2を30%以上、および分光透過率T2を25%以下とすることは、Feの含有量をFe換算で100ppm以上とすることにより実現できる。
また、近赤外線吸収アルミナ磁器中にAlを99.5質量%以上含み、Feの含有量をFe換算で3000ppm以下とすることにより、高純度アルミナが本来持っている優れた熱特性、耐候性、耐湿性を維持したまま近赤外線の吸収能を付与することができる。なお、可視光領域の分光透過率を高く維持するという点から、Feの含有量はFe換算で500ppm以下とすることが好ましい。
このように、含まれるFeが可視光領域の吸収を示さず、さらにアルミナ磁器自体に可視光領域に吸収を持つ他の成分を含まない、Alを99.5質量%以上含有する高純度のアルミナ磁器であることから、本実施形態においては、可視光領域の分光透過率を高く維持することができ、特に近赤外線吸収フィルターや建築用装飾材料、家庭用装飾材料として好適に用いることができる。
また、気孔率を0.5%以下とすることにより、気孔とアルミナ磁器を構成するアルミナ結晶粒子との屈折率の差に起因する光の散乱の影響(反射)が低減され、可視光領域の分光透過率の低下を抑制することができる。同様な理由から、アルミナ磁器の気孔径は小さいことが好ましく、特に平均気孔径が3μm以下であることが好ましい。また、気孔による光散乱の影響をさらに抑制するため、さらに平均気孔径を2μm以下、気孔率を0.4%以下とすることが好ましい。
本実施形態の近赤外線吸収アルミナ磁器を構成するアルミナ結晶粒子の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましい。アルミナ結晶粒子の平均粒子径が10μmを超えると機械的強度が低下する。高い機械的強度を維持するという点から、アルミナ結晶粒子の平均粒子径は、1〜5μmとすることがより好ましい。
平均気孔径、気孔率、およびアルミナ結晶粒子の平均粒子径は、たとえばアルミナ磁器の断面を鏡面研磨し、必要に応じサーマルエッチングやケミカルエッチングを施した後、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)によりアルミナ磁器の断面写真を撮影し、画像解析により算出すればよい。
本実施形態においては、さらに600nmの波長を有する可視光の分光透過率T1が、25%以上であることが好ましい。これにより可視光の透過性が確保でき、特に建築用装飾材料や家庭用装飾材料として好適に用いることができる。また、可視光透過性が高いことから、アイセーフレーザー用保護眼鏡のレンズとしての使用も可能となる。
このように可視光の透過率を高めるには、アルミナ磁器に含まれる不純物を低減する、アルミナの結晶子サイズを大きくするなどの手法を用いればよい。
また、本実施形態においては、アルミナ磁器中にMgをMgO換算で300ppm以上含むことが好ましい。Mgはアルミナ磁器を焼成する際に焼結助剤として機能するとともに、アルミナ結晶粒子の粒成長抑制効果を有しており、MgをMgO換算で300ppm以上含むことにより、気孔率が小さく緻密で、アルミナ結晶粒子の平均粒径が小さいアルミナ磁器とすることができる。なお、MgがMgO換算で300ppmより少ない場合には焼結性が低下して気孔径や気孔率が増大したり、磁器強度が低下しやすくなる傾向があ
る。
本実施形態の近赤外線吸収アルミナ磁器は、実質的にAl、Mg、Fe、Oを構成元素としてなることが望ましい。これにより最低限の構成元素により、近赤外線吸収アルミナ磁器を得ることができる。ここで実質的にAl、Mg、Fe、Oを構成元素としてなるとは、原料にAl、Mg、Fe、O以外は積極的に添加しないという意味であるが、不可避不純物としてSi、Ca、Na、Cr、Ni、Mn、Cu、Cを酸化物換算した合計量で、全量中0.2質量%以下含有することがある。
このような近赤外線吸収アルミナ磁器は、以下のようにして作製すればよい。原料粉末として、例えば、原料粒径0.1〜0.8μmのAl粉末、Fe粉末およびMgO粉末を所定の割合で秤量し、高純度アルミナボールを用いて湿式混合を行う。得られたスラリーに適量のバインダを加えて所望の形状に成形し、この成形体を大気雰囲気中で600〜1000℃で仮焼成を行う。成形方法はシート成形、金型プレス成形等、所望の形状に応じて周知の成形方法を適用すればよい。
その後、真空中または還元雰囲気中にて1600〜1800℃で焼成することにより、Feが還元され、FeOを含み近赤外線吸収能を有する、すなわち波長1900nmの波長を有する近赤外線の分光吸収率A2が30%以上、かつ600nmの波長を有する可視光の分光吸収率A1が20%以下である近赤外線吸収アルミナ磁器が得られる。
なお、Al、Fe、Mgの金属元素を含有する原料粉末としては、酸化物以外にも炭酸塩、酢酸塩等の無機化合物等、焼成により酸化物として形成されるものであれば、いずれの粉末を用いても良い。
また、真空中または還元雰囲気中で焼成した後、さらに緻密化させるため、たとえば圧力100〜200MPa、温度1300〜1650℃の条件で熱間等方圧加圧プレス(HIP)を行ってもよい。
以上のようにして得られるアルミナ磁器は、上述のような近赤外線吸収能を有すると同時に、抗折強度(JIS R 1601−2008、3点曲げ強さ)が380MPa以上、熱伝導率が30W/mK以上、という機械的、熱的に優れた特性を有するものとすることが可能となる。すなわち、抗折強度が高いことから、建築材料等の構造材料として耐久性の高いものとなり、熱伝導率が高いことから、熱を効率良く放出することができ、耐熱性に優れたものとなる。
図1に、本実施形態の近赤外線吸収アルミナ磁器(A)と、Feを含まないアルミナ磁器(B)およびFeを含むものの大気雰囲気中で焼成を行ったアルミナ磁器(C)の分光吸収率曲線を示す。本実施形態の近赤外線吸収アルミナ磁器(A)は、近赤外線領域で大きな吸収を示すのに対し、Feを含まないアルミナ磁器(B)とFeを含むが大気雰囲気焼成を行ったアルミナ磁器(C)では近赤外線領域では吸収を示さないことがわかる。
図2に、本実施形態の近赤外線吸収アルミナ磁器(A)と、Feを含まないアルミナ磁器(B)およびFeを含むものの大気雰囲気中で焼成を行ったアルミナ磁器(C)の分光透過率曲線を示す。本実施形態の近赤外線吸収アルミナ磁器(A)は、可視光領域全域で安定した分光透過率を示すとともに、近赤外線領域で大きな透過率の低下を示すのに対し、Feを含まないアルミナ磁器(B)は近赤外線領域でも高い透過率を示し、Feを含むが大気雰囲気焼成を行ったアルミナ磁器(C)は近赤外線領域で低い透過率を示すが可視光領域において近赤外領域以上に低い透過率を示すことがわかる。
以下、本発明の近赤外線吸収アルミナ磁器について、実施例に基き詳細に説明する。
平均粒径が0.5μmの99.99%Al粉末に対して、Fe粉末、MgO粉末を所定量添加し、高純度アルミナボールを使用したミルで24時間混合した後、バインダを追加投入して1時間二次混合を行った。得られた混合粉末を、乾燥・造粒した後、1ton/cmの圧力で金型成形により成形体を作製した。
作製した成形体を脱バインダ処理した後、表1に記載した雰囲気、温度にて焼成し、種々のアルミナ磁器を作製した。
得られたアルミナ磁器について誘導結合プラズマ(ICP)発光分光により元素分析を行い、アルミナ磁器中のFeおよびMgの含有量を、FeおよびMgO換算値として算出した。結果を表1に示す。なお、得られたアルミナ磁器のAl含有量は、いずれも99.5質量%以上であった。
得られたアルミナ磁器の分光吸収率、分光透過率の評価は、以下のようにして行った。アルミナ磁器を20mm×20mm、厚さ2mmの大きさに加工し、20mm×20mmの面を両面とも鏡面研磨し、評価用サンプルとした。分光透過率、分光反射率の測定は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光製 V−670)を用いて、波長範囲が200〜2000nm、照射径が4mm×8mmの条件で全透過率を測定した。分光吸収率は下記の計算式により算出した。
<計算式> 分光吸収率(%)=100−分光透過率(%)−分光反射率(%)
波長600nmにおける分光吸収率(A1)、分光透過率(T1)と1900nmにおける分光吸収率(A2)、分光透過率(T2)を表2に示す。
アルミナ磁器の組織評価には、上記の評価用サンプルをサーマルエッチングしたものを用いた。サーマルエッチング後の鏡面部分の光学顕微鏡画像(倍率100倍)を用いて、気孔の分布状態を画像解析装置(三谷商事製 Win ROOF)により解析し、平均気孔径および気孔率を数値化した。アルミナ結晶粒子の平均粒子径は、倍率200倍の光学顕微鏡画像を用いて同様に数値化した。平均気孔径、気孔率、およびアルミナ結晶粒子の平均粒子径を表2に示す。
抗折強度としては、アルミナ磁器を4mm×3mm×40mmの試験片に加工し、室温において3点曲げ強度の測定を行った(JIS R 1601−2008に準拠)。測定結果を表2に示す。
熱伝導率は、アルミナ磁器を直径10mm、厚さ2mmの試験片に加工し、レーザーフラッシュ法(真空理工製 TC−7000)により測定した(JIS R 1611−1997に準拠)。測定結果を表2に示す。
なお、ソーダライムガラスについてもアルミナ磁器と同様な評価を行った。結果を表1、表2に示す。
Figure 2015127809
Figure 2015127809
以上の結果から、Alを99.5質量%以上、FeをFe換算で100ppm以上3000ppm以下含有する試料No.1〜8は、波長1900nmでの分光吸収率A2が30%以上、分光透過率T2が25%以下、かつ波長600nmでの分光吸収率A1が20%以下、分光透過率T1がT2以上であった。これらの試料はまた、3点曲げによる抗折強度が290MPa以上、熱伝導率が30W/mK以上と、機械的、熱的に優れた特性を有する耐久性の高い材料であることがわかる。
一方、Feを含有しない、またはFeがFe換算で100ppmより少ない試料No.9、10は波長1900nmの分光吸収率が30%以下で、分光透過率T2が25%を超え、十分な近赤外線の吸収効果を発揮できなかった。また、大気焼成を行った試料No.11は、FeをFe換算で100ppm以上含有するが、分光吸収率A2が12%と低く、波長600nmでの分光透過率T1が波長1900nmの分光透過率T2よりも小さいものとなった。なお、図1に示す分光透過率曲線は、(A)が試料No.1、(B)が試料No.9、(C)が試料No.11の測定結果である。
なお、試料No.12はソーダライムガラスであり、波長1900nmでの分光吸収率A2が2%と低く、分光透過率T2が25%よりも大きく、またアルミナ材料に比べて機械的特性および熱特性に劣るものであることがわかる。
(A):本実施形態の近赤外線吸収アルミナ磁器
(B):Feを含まないアルミナ磁器
(C):大気雰囲気中で焼成したFeを含むアルミナ磁器
Figure 2015127809
Figure 2015127809

Claims (11)

  1. Alを99.5質量%以上、FeをFe換算で100ppm以上3000ppm以下含有するとともに、波長600nmの分光吸収率をA1、波長1900nmの分光吸収率をA2としたとき、前記A1が20%以下、かつ前記A2が30%以上であることを特徴とする近赤外線吸収アルミナ材料。
  2. Alを99.5質量%以上、FeをFe換算で100ppm以上3000ppm以下含有するとともに、波長600nmの分光透過率をT1、波長1900nmの分光透過率をT2としたとき、該T2が25%以下、かつ前記T1が前記T2以上であることを特徴とする近赤外線吸収アルミナ材料。
  3. 前記Feの含有量が、Fe換算で500ppm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収アルミナ材料。
  4. 前記T1が25%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の近赤外吸収アルミナ材料。
  5. アルミナ結晶粒子と粒界とを有し、気孔率が0.5%以下であって、Alを99.5質量%以上、FeをFe換算で100ppm以上3000ppm以下含有するとともに、波長600nmの分光吸収率をA1、波長1900nmの分光吸収率をA2としたとき、前記A1が20%以下、かつ前記A2が30%以上であることを特徴とする近赤外線吸収アルミナ磁器。
  6. アルミナ結晶粒子と粒界とを有し、気孔率が0.5%以下であって、Alを99.5質量%以上、FeをFe換算で100ppm以上3000ppm以下含有するとともに、波長600nmの分光透過率をT1、波長1900nmの分光透過率をT2としたとき、該T2が25%以下、かつ前記T1が前記T2以上であることを特徴とする近赤外線吸収アルミナ磁器。
  7. 前記Feの含有量が、Fe換算で500ppm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の近赤外線吸収アルミナ磁器。
  8. 平均気孔径が3μm以下であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の近赤外線吸収アルミナ磁器。
  9. 前記アルミナ結晶粒子の平均粒子径が10μm以下であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の近赤外線吸収アルミナ磁器。
  10. 前記T1が25%以上であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれかに記載の近赤外線吸収アルミナ磁器。
  11. MgをMgO換算で300ppm以上含むことを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の近赤外線吸収アルミナ磁器。
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