JP6449685B2 - 透光性アルミナ磁器、およびled照明 - Google Patents

透光性アルミナ磁器、およびled照明 Download PDF

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Description

本発明は、透光性アルミナ磁器、およびLED照明に関する。
アルミナ材料は、耐熱性、熱伝導性に優れており、例えば照明のカバーなど放熱性が必要な部材として樹脂やガラスにアルミナフィラーを分散させたものや、透光性アルミナ磁器などが用いられている(例えば、特許文献1、2を参照)。
青色LEDの実用化により、青色LEDに黄色蛍光体を組み合わせた白色LEDをディスプレイや照明の光源として使用することが可能となり、このようなLED光源は省エネ対策としても急速に普及している。
LED光源から放射される光には、人間の目に悪影響を及ぼし易い波長380〜500nmのブルーライトと呼ばれる光が多く含まれている。ブルーライトは、可視光のなかではエネルギーが大きいため、目の奥で光の散乱が起きやすく、まぶしさを感じたり、チラツキを感じたりする原因になる。
ブルーライトを低減するには、樹脂やガラスに、ブルーライト吸収能を有する色素化合物(有機化合物)やSe、Ag、CeO、TiO,Feなどの着色成分を添加する方法が知られている。
特開2012−119313号公報 特開平8−293204号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載された透光性アルミナは、可視光と同様にブルーライトも透過するものであった。
本発明は上記の課題に鑑みなされたもので、ブルーライトの透過を抑制する透光性アルミナ磁器およびLED照明を提供することを目的とする。
本発明の透光性アルミナ磁器は、アルミナ結晶粒子と粒界とを有し、気孔率が0.5%以下であって、Alを99.7質量%以上、CrおよびNiをそれぞれ酸化物換算(Cr、NiO)で0.1ppm以上10ppm以下含有するとともに、波長380〜500nmの厚さ2mmあたりの分光透過率の平均値をT1、波長500〜780nmの厚さ2mmあたりの分光透過率の平均値をT2としたとき、該T2が25%以上、かつ前記T1が前記T2の65%以下であることを特徴とする。
本発明のLED照明は、1個以上のLED発光素子および該発光素子が搭載される回路基板を備える光源と、該光源の少なくとも一部を覆う透光性カバーと、を備え、該透光性カバーは、上述の透光性アルミナ磁器で構成されることを特徴とする。
本発明によれば、ブルーライトの透過を抑制する透光性アルミナ磁器およびLED照明を提供できる。
LED照明の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A’線断面図である。 LED照明の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B’線断面図である。
本発明のアルミナ材料の一実施形態を説明する。本実施形態のアルミナ材料は、Alを99.7質量%以上、CrおよびNiをそれぞれ酸化物換算(Cr、NiO)で0.1ppm以上10ppm以下含有しており、波長380〜500nmの分光吸収率の平均値A1が25%以上である。本実施形態のアルミナ材料では、定かではないが、材料中に含まれるCrはCr2+とCr3+が共存した状態であると考えられ、NiはNi1+とNi2+が共存した状態であると考えられる。その結果、本実施形態のアルミナ材料は、上述のようなブルーライトの吸収能を有すると考えられる。
本実施形態では、CrおよびNiをそれぞれ酸化物換算(Cr、NiO)で0.1ppm以上10ppm以下含んでいる。Crを含むアルミナ(コランダム)は、赤色を呈し、Niを含むアルミナ(コランダム)は、黄〜緑色を呈することが知られているが、この含有量では通常発色(着色)はせず、白色(無色)となる。本実施形態では、定かではないが、Cr2+とCr3+、およびNi1+とNi2+がアルミナ中に共存することにより、ブルーライトがCr、Niの両方で吸収され、他の可視光への影響は互いに相殺されると考えられる。
また、アルミナ材料中にAlを99.7質量%以上含むことにより、高純度アルミナが本来持っている優れた熱特性、耐候性、耐湿性を維持したまま、上述のようなブルーライトの吸収能を付与することができる。
本実施形態のアルミナ材料は、更に、波長380〜500nmの分光吸収率の最小値が10%以上であることが好ましい。波長380〜500nmの分光吸収率の最小値を10%以上とすることにより、ブルーライトの透過をより抑制することができる。波長380〜500nmの分光吸収率の最小値を10%以上とするには、CrとNiの含有量の比率を、NiOに対するCrの比率(Cr/NiO)にして0.5〜3.0とすればよい。
本実施形態におけるアルミナ材料の形状は、Cr2+とCr3+が共存するとともにNi1+とNi2+が共存し、上述のようなブルーライト吸収能を備えていれば、粒子状(粉末状)および膜状のいずれであってもよい。なお、膜状の場合は、多結晶膜や多結晶体であることが好ましい。
粒子状、膜状のいずれも場合も、Crはアルミナ結晶粒子の内部に固溶していることが好ましい。Niは、その一部がアルミナ結晶粒子に固溶したり、不定比の酸化ニッケルや
ニッケルスピネルとして存在していてもよい。
粒子状のアルミナ材料は、溶剤に分散させてコーティング材などに用いたり、ガラスや樹脂中に分散させてブルーライト吸収機能を付与したガラスや樹脂フィルムとして用いることもできる。このようなコーティングや樹脂フィルムは、眼鏡用レンズのコーティングやディスプレイのカバーフィルムなどに適用できる。また、本実施形態のアルミナ材料を分散させたガラスや樹脂自体をレンズやカバーガラスとして用いてもよい。粒子状のアルミナ材料の平均粒径は、分散性、塗布性の面から0.01〜10μmとすることが好ましい。
LED光源には、波長380〜500nmの範囲のブルーライトが多く含まれており、本実施形態のアルミナ材料を、例えば図1、2に示すようなLED照明において、LED光源を覆うカバーに適用することで、ブルーライトを吸収してブルーライトによる人体への悪影響を低減することができる。
図1に示すLED照明は、複数のLED発光素子2が回路基板3に搭載されたLED光源と、LED光源を覆う透光性カバー1を備えている。LED光源が設置されたベース4には、電源コード5がつながっている。なお、LED発光素子2への給電は、電源コード5に限らず電池であってもよい。
図2に示すLED照明は、さらに給電部6を備え、ベース4が受電部を兼ねたワイヤレス給電式である。電源コード5は給電部6につながっており、受電部であるベース4は、受電した電力を、支柱7内に設けられた配線を介してLED発光素子2に給電している。透光性カバー1は支柱7上に設置されている。
これらのLED照明の透光性カバー1として、たとえば樹脂に本実施形態のアルミナ材料を分散したものを用いる。このようなLED照明では、透光性カバー1中のアルミナ材料がLED光源から放出されるブルーライトを吸収し、その透過を抑制することで、ブルーライトによる人体への悪影響を低減できる。透光性カバー1は、全体に本実施形態のアルミナ材料を含むものであってもよいし、一部のみに本実施形態のアルミナ材料を用いたものであってもよい。
本実施形態のアルミナ材料は、実質的にAl、Cr、Ni、Oを構成元素としてなることが望ましい。これにより最低限の構成元素により、ブルーライトの吸収能を有するアルミナ材料を得ることができる。ここで実質的にAl、Cr、Ni、Oを構成元素としてなるとは、原料にAl、Cr、Ni、O以外は積極的に添加しないという意味であるが、不可避不純物としてSi、Mg、Ca、Na、Fe、Mn、CuおよびCを酸化物換算した合計量で、全量中0.2質量%以下含有することがある。
なお、これらの不純物として挙げた元素の含有量を、上述の分光吸収率を損なわない程度に制御した着色アルミナ材料としてもよい。ブルーライトの吸収能を備えるとともに、着色されたアルミナ材料は、特にLED光源の装飾材料として好適に用いることができる。
アルミナ材料の構成元素や不純物の種類および含有量は、たとえば高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光などの元素分析により確認すればよい。アルミナ材料に含まれるCrおよびNiの原子価は、上述のように380〜780nmの波長の範囲で分光透過率を測定することにより判断できる。また、X線吸収微細構造(XAFS)を確認することにより判断することもできる。
このようなアルミナ材料は、例えば、以下のようにして作製できる。原料粉末として、
例えば、平均粒径0.1〜0.8μmの高純度Al粉末、Cr粉末、NiO粉末(いずれも純度99.8質量%以上)を所定の割合で秤量し、高純度アルミナボールを用いて湿式混合を行う。
得られた混合物を乾燥・造粒し、真空中にて第1の熱処理を1600℃以上で2〜7時間行う。第1の熱処理における真空度は例えば1×10−1〜1×10−3Paとすれば
よい。その後、さらに大気中にて第2の熱処理を1600〜1680℃で2〜5時間行う。このような熱処理を行うことで、第1の熱処理によりCr2+に還元されたCrの一部が、第2の熱処理により再度Cr3+に酸化され、Cr2+とCr3+が共存した状態になると考えられる。また、第1の熱処理によりNi1+に還元されたNiの一部が、第2の熱処理により再度Ni2+に酸化され、Ni1+とNi2+が共存した状態となると考えられる。なお、Crはコランダム構造をとることからアルミナ結晶粒子中に固溶していると考えられる。
このようにして得られたアルミナ粉末は、波長380〜500nmの分光吸収率が向上してブルーライトの吸収能を有するものとなり、波長380〜500nmの分光吸収率の平均値A1が25%以上となる。なお、得られたアルミナ粉末をさらに粉砕して粒度調整を行ってもよい。また、後述する透光性アルミナ磁器を粉砕して粒子状(粉末状)のアルミナ材料としてもよい。
膜状のアルミナ材料は、例えば原料としてアルミニウムアルコキシドに所定量のCrおよびNiを導入し、ゾルゲル法により作製することができる。ゾルゲル法で作製する場合、第1および第2の熱処理の温度は上述のような原料粉末を用いた場合より低くてもよく、使用する原料に応じて適宜調整すればよい。
本発明の透光性アルミナ磁器の一実施形態を説明する。本実施形態の透光性アルミナ磁器は、アルミナ結晶粒子と粒界とを有し、気孔率が0.5%以下であって、Alを99.7質量%以上、CrおよびNiをそれぞれ酸化物換算(Cr、NiO)で0.1ppm以上10ppm以下含有している。そして、波長380〜500nmの分光透過率の平均値をT1、波長500〜780nmの分光透過率の平均値をT2としたとき、T2が25%以上かつT1のT2に対する比(T1/T2)が0.65以下である。
本実施形態では、気孔率が0.5%以下であることから、気孔とアルミナ磁器を構成するアルミナ結晶粒子との屈折率の差に起因する光の散乱の影響(反射)が低減され、可視光領域の分光透過率T2が25%以上となり、適度に可視光を透過する透光性を有するものとなる。
また、磁器中に含まれるCrは、Cr2+とCr3+が共存した状態であると考えられ、NiはNi1+とNi2+が共存した状態であると考えられる。その結果、本実施形態の透光性アルミナ磁器は、上述のようにT1のT2に対する比(T1/T2)が0.65以下となり、ブルーライトの透過を抑制することができると考えられる。T1/T2は、さらに0.55以下であることが好ましい。
このような分光透過率の挙動を示す本実施形態の透光性アルミナ磁器は、アイボリーの色調を呈する。なお、アイボリーの色調とは、RGBカラーモデルにおける(255,255,170)〜(255,255,210)の範囲とする。
本実施形態では、CrおよびNiをそれぞれ酸化物換算(Cr、NiO)で0.1ppm以上10ppm以下含有している。Crを含むアルミナ(コランダム)は、赤色を呈し、Niを含むアルミナ(コランダム)は、黄〜緑色を呈することが知られているが
、この含有量では通常発色(着色)はせず、白色(無色)となる。本実施形態では、定かではないが、Cr2+とCr3+、およびNi1+とNi2+がアルミナ中に共存することにより、ブルーライトがCr、Niの両方で吸収され、他の可視光への影響は互いに相殺されると考えられる。このように、本実施形態の透光性アルミナ磁器では、含有するCrとNiによりブルーライトが吸収され、ブルーライトの透過が抑制される。
また、本実施形態の透光性アルミナ磁器では、Alを99.7質量%以上含むことにより、高純度アルミナが本来持っている優れた熱特性、耐候性、耐湿性を維持したまま、上述のようなブルーライトの透過抑制能を付与することができる。
本実施形態の透光性アルミナ磁器は、更に、波長380〜500nmの分光透過率の最大値が30%以下であることが好ましい。波長380〜500nmの分光透過率の最大値を30%以下とすることにより、より確実にブルーライトの透過を抑制することができる。
なお、波長380〜500nmの分光透過率の最大値を30%以下とするには、CrとNiの含有量の比率を、NiOに対するCrの比率(Cr/NiO)にして0.5〜3.0とすればよい。
磁器中に存在する気孔の平均気孔径は、3μm以下であることが好ましい。また、気孔による光散乱の影響をさらに抑制するため、さらに平均気孔径が2μm以下であることが好ましく、気孔率は0.4%以下であることが好ましい。
本実施形態の透光性アルミナ磁器を構成するアルミナ結晶粒子の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましい。アルミナ結晶粒子の平均粒子径が10μmを超えると、磁器の機械的強度が低下する。高い機械的強度を維持するという点から、アルミナ結晶粒子の平均粒子径は、1〜5μmとすることがより好ましい。
気孔率、平均気孔径、およびアルミナ結晶粒子の平均粒子径は、たとえば磁器の断面を鏡面研磨し、必要に応じサーマルエッチングやケミカルエッチングを施した後、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)により磁器の断面写真を撮影し、画像解析により算出すればよい。
また、本実施形態においては、透光性アルミナ磁器中にMgをMgO換算で300ppm以上含むことが好ましい。Mgはアルミナ磁器を焼成する際に焼結助剤として機能するとともに、アルミナ結晶粒子の粒成長抑制効果を有しており、MgをMgO換算で300ppm以上含むことにより、気孔率が小さく緻密で、アルミナ結晶粒子の平均粒子径が小さい透光性アルミナ磁器とすることができる。なお、MgがMgO換算で300ppmより少ない場合には、焼結性が低下して気孔径や気孔率が増大したり、磁器の機械的強度が低下しやすくなる傾向がある。MgOの含有量は、600ppm以下であることが好ましい。
LED光源には、波長380〜500nmの範囲のブルーライトが多く含まれており、本実施形態の透光性アルミナ磁器を、例えば図1、2に示すようなLED照明において、LED光源を覆う透光性カバー1に適用することで、ブルーライトを吸収してブルーライトによる人体への悪影響を低減することができる。透光性カバー1は、全体が本実施形態の透光性アルミナ磁器からなるものであってもよいし、一部のみに本実施形態の透光性アルミナ磁器用いたものであってもよい。透光性カバー1に用いられる透光性アルミナ磁器の厚さは、可視光の透過性、ブルーライトの透過抑制、および耐久性の点から、1.0〜6.0mmとすることが好ましい。
本実施形態の透光性アルミナ磁器は、実質的にAl、Cr、Ni、Mg、Oを構成元素としてなることが望ましい。これにより最低限の構成元素により、ブルーライトの透過を抑制する透光性アルミナ磁器を得ることができる。ここで実質的にAl、Cr、Ni、Mg、Oを構成元素としてなるとは、原料にAl、Cr、Ni、Mg、O以外は積極的に添加しないという意味であるが、不可避不純物としてSi、Ca、Na、Fe、Mn、Cu、Cを酸化物換算した合計量で、全量中0.2質量%以下含有することがある。
なお、これらの不純物として挙げた元素の含有量を、上述の分光透過率を損なわない程度に制御して、着色された透光性アルミナ磁器としてもよい。適度な可視光の透過性とブルーライトの透過抑制能を備えるとともに、着色された透光性アルミナ磁器は、特にLED照明の装飾用として好適に用いることができる。
透光性アルミナ磁器の構成元素や不純物の種類および含有量は、たとえば高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光などの元素分析により確認すればよい。透光性アルミナ磁器に含まれるCrおよびNiの原子価は、上述のように380〜780nmの波長の範囲で分光透過率を測定することにより判断できる。また、X線吸収微細構造(XAFS)を確認することにより判断することもできる。
このような透光性アルミナ磁器は、以下のようにして作製すればよい。原料粉末として、例えば、原料粒径0.1〜0.8μmのAl粉末、Cr粉末、NiO粉末、および必要に応じMgO粉末(いずれも純度が99.8%以上)を所定の割合で秤量し、高純度アルミナボールを用いて湿式混合を行う。
得られたスラリーに適量のバインダを加えて所望の形状に成形する。成形方法はシート成形、金型プレス成形等、所望の形状に応じて周知の成形方法を適用すればよい。成形した成形体を大気雰囲気中で600〜1000℃で0.5〜2時間の仮焼成を行う。
その後、真空中にて第1の焼成を1600〜1800℃で2〜7時間行う。第1の熱処理における真空度は例えば1×10−1〜1×10−3Paとすればよい。この第1の焼
成(真空焼成)により、アルミナ磁器の気孔率が0.5%以下まで緻密化する。その後、さらに大気中にて第2の焼成を1600〜1680℃で2〜5時間行う。このような2段階焼成を行うことで、第1の焼成によりCr2+に還元されたCrの一部が、第2の焼成により再度Cr3+に酸化され、Cr2+とCr3+が共存した状態になると考えられる。また、第1の焼成によりNi1+に還元されたNiの一部が、第2の焼成により再度Ni2+に酸化され、Ni1+とNi2+が共存した状態となると考えられる。なお、Crはコランダム構造をとることからアルミナ結晶粒子中に固溶していると考えられる。
このようにして、T2が25%以上で適度な可視光の透過性を備えるとともに、T1のT2に対する比(T1/T2)が0.65以下でブルーライトの透過抑制能を有する透光性アルミナ磁器が得られる。
なお、第1の焼成(真空焼成)後に得られるアルミナ磁器は、気孔率0.5%以下に緻密化しているものの、酸素欠陥が多数存在することから白色を呈し、可視光の分光反射率が高く、分光吸収率および分光透過率の低いものである。次いで第2の焼成(大気焼成)を行うことにより、酸素欠陥が減少して可視光の分光反射率が低下し、波長500〜780nmの範囲の分光透過率が向上する。
同時に、第1の焼成によりCr2+に還元されたCrの一部およびNi1+に還元され
たNiの一部が、第2の焼成により再度Cr3+およびNi2+に酸化され、Cr2+とCr3+およびNi1+とNi2+が共存した状態となり、ブルーライトの吸収能が発現してその透過が抑制され、波長380〜500の分光透過率が低下する。このように第1、第2の焼成を経たアルミナ磁器は、アイボリーの色調を呈し、可視光の透過率を適度に有するとともに、ブルーライトの透過抑制能を有する透光性アルミナ磁器となる。
なお、大気焼成のみの場合や、大気焼成後に真空焼成した場合は、気孔が多く存在し、380〜780nmの可視光の波長域全体で分光透過率が低下するため、本実施形態のような透光性アルミナ磁器は得られない。
Al、Cr、Ni、Mgの金属元素を含有する原料粉末としては、酸化物以外にも炭酸塩、酢酸塩等の無機化合物等、焼成により酸化物として形成されるものであれば、いずれの粉末を用いても良い。また、焼成により酸化物となる金属アルコキシドや金属錯体等の有機化合物を原料としてもよい。
また、第1の焼成(真空焼成)を行った後、さらに緻密化させるため、たとえば圧力100〜200MPa、温度1300〜1650℃の条件で熱間等方圧加圧プレス(HIP)を行い、その後第2の焼成(大気焼成)を行っても良い。
以上のようにして得られる透光性アルミナ磁器は、上述のような可視光の透光性とブルーライトの透過抑制能を有すると同時に、抗折強度(JIS R 1601−2008、3点曲げ強さ)が380MPa以上、熱伝導率が30W/(m・K)以上、という機械的、熱的に優れた特性を有するものとすることが可能となる。すなわち、抗折強度が高いことから耐久性の高いものとなり、熱伝導率が高いことから、熱を効率良く放出することができ、耐熱性に優れたものとなる。
以下、本発明のアルミナ材料および透光性アルミナ磁器について、実施例に基き詳細に説明する。
(粉末アルミナ材料)
平均粒径が0.5μm、Crを酸化物(Cr)換算で10ppm、Niを酸化物(NiO)換算で10ppm含有する白色のアルミナ原料粉末(Al純度99.99%)を準備した。この粉末に、第1の熱処理として1×10−2Paの真空中において1600℃で2時間、第2の熱処理として大気中において1580℃で2時間の熱処理を施した。得られたアルミナ粉末を解砕し、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光により元素分析を行った結果、アルミナ粉末中のCr、Niの含有量は熱処理前と同様、いずれも酸化物換算で10ppmであった。
得られたアルミナ粉末の分光吸収率は、以下のようにして求めた。得られたアルミナ粉末のみを用いて20mm×20mm、厚さ2mmの大きさにプレス成形したものを評価用サンプルとした。紫外可視近赤外分光光度計(日本分光製 V−670)を用いて、波長範囲200〜2000nmの拡散反射測定を行い、その結果から分光吸収率を求めた。アルミナ粉末の波長380〜500nmにおける分光吸収率の平均値(A1)は25%、最小値は10%であった。
(透光性アルミナ磁器)
Cr、Niを含み、平均粒径が0.5μm、Al純度99.8〜99.99質量%のアルミナ原料粉末を準備した。これらのアルミナ原料粉末100質量%に対し、MgO粉末(純度99.9%)をそれぞれ所定量添加し、高純度アルミナボールを使用したミ
ルで24時間の一次混合を行った。その後、バインダを追加投入して1時間の二次混合を行った。得られた混合粉末を、乾燥・造粒した後、1ton/cmの圧力で金型成形により成形体を作製した。
作製した成形体を脱バインダ処理した後、表1に記載した雰囲気、温度にて焼成し、種々のアルミナ磁器を作製した。
得られたアルミナ磁器について誘導結合プラズマ(ICP)発光分光により元素分析を行い、アルミナ磁器中のCr、NiおよびMgの含有量を、Cr、NiOおよびMgO換算値として算出した。結果を表1に示す。なお、得られたアルミナ磁器のAl含有量は、いずれも99.7質量%以上であった。
分光透過率の評価は、以下のようにして行った。得られたアルミナ磁器を20mm×20mm、厚さ2mmの大きさに加工し、20mm×20mmの面を両面とも鏡面研磨し、評価用サンプルとした。分光透過率、分光反射率の測定は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光製 V−670)を用いて、波長範囲が200〜2000nm、照射径が4mm×8mmの条件で全透過率を測定した。波長380〜500nmにおける分光透過率の平均値(T1)および最大値、および500〜780nmにおける分光透過率の平均値(T2)を表2に示す。
アルミナ磁器の組織評価には、上記の評価用サンプルをサーマルエッチングしたものを用いた。サーマルエッチング後の鏡面部分の光学顕微鏡画像(倍率100倍)を用いて、気孔の分布状態を画像解析装置(三谷商事製 Win ROOF)により解析し、平均気孔径および気孔率を数値化した。アルミナ結晶粒子の平均粒子径は、倍率200倍の光学顕微鏡画像を用いて同様に数値化した。アルミナ磁器の平均気孔径、気孔率、およびアルミナ結晶粒子の平均粒子径を表2に示す。
抗折強度は、アルミナ磁器を4mm×3mm×40mmの試験片に加工し、室温において3点曲げ強度の測定を行った(JIS R 1601−2008に準拠)。熱伝導率は、アルミナ磁器を直径10mm、厚さ2mmの試験片に加工し、レーザーフラッシュ法(真空理工製 TC−7000)により測定した(JIS R 1611−1997に準拠)。作製した試料はいずれも、抗折強度が380MPa以上、熱伝導率が30W/(m・K)以上であった。
Figure 0006449685
Figure 0006449685
以上の結果から、気孔率が0.5%以下で、Alを99.7質量%以上、CrおよびNiをそれぞれ酸化物換算(Cr、NiO)で0.1ppm以上10ppm以下含有する試料No.1〜4、7〜9は、波長500〜780nmの分光透過率の平均値(T2)が25%以上、かつ380〜500nmの分光透過率の平均値(T1)のT2に対する比(T1/T2)が0.65以下であり、ブルーライトの透過を効果的に抑制できることがわかる。
一方、気孔率が0.5%を超える試料No.5、6、13〜17は、T2が25%よりも小さく可視光の透光性に劣るものであった。これは、多数の気孔により可視光が散乱さ
れるためと考えられる。また、真空中で第1の焼成のみ行い、大気中での第2の焼成を行わなかった試料No.10〜13では、T1とT2の分光透過率に差がなく、ブルーライトの透過抑制機能に劣るものとなった。CrまたはNiのいずれかを含まない試料No.18、19も同様に、T1とT2の分光透過率に差がなく、ブルーライトの透過抑制機能に劣るものとなった。
1 透光性カバー
2 LED発光素子
3 回路基板
4 ベース
5 電源コード
6 給電部
7 支柱

Claims (7)

  1. アルミナ結晶粒子と粒界とを有し、気孔率が0.5%以下であって、
    Alを99.7質量%以上、CrおよびNiをそれぞれ酸化物換算(Cr、NiO)で0.1ppm以上10ppm以下含有するとともに、
    波長380〜500nmの厚さ2mmあたりの分光透過率の平均値をT1、波長500〜780nmの厚さ2mmあたりの分光透過率の平均値をT2としたとき、
    該T2が25%以上、かつ前記T1が前記T2の65%以下であることを特徴とする透光性アルミナ磁器。
  2. 波長380〜500nmの厚さ2mmあたりの分光透過率の最大値が、30%以下であることを特徴とする請求項に記載の透光性アルミナ磁器。
  3. 平均気孔径が3μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の透光性アルミナ磁器。
  4. 前記アルミナ結晶粒子の平均粒子径が10μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透光性アルミナ磁器。
  5. Mgを酸化物換算(MgO)で300ppm以上含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透光性アルミナ磁器。
  6. 1個以上のLED発光素子および該発光素子が搭載される回路基板を備える光源と、
    該光源の少なくとも一部を覆う透光性カバーと、を備え、
    該透光性カバーは、請求項1〜5のいずれかに記載の透光性アルミナ磁器で構成されることを特徴とするLED照明。
  7. 前記透光性アルミナ磁器の平均厚さが、1.0〜6.0mmであることを特徴とする請求項に記載のLED照明。
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