JP2015126856A - 使い捨ておむつ - Google Patents

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Abstract

【課題】表面間隙の維持性に優れ、製造も容易である使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】下層吸収体23Bには、少なくとも股間部C2の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する細長状の下層貫通部60が前後方向に沿って延在され、上層吸収体23Aには、少なくとも下層貫通部60と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する上層貫通部50が設けられ、上層貫通部50は、下層貫通部60上に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分51と、この中間部分51における後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分52とを有し、張出部分52の側縁は、少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状とされ、上層貫通部50の中間部は上層吸収体23Aの前端まで延在されて上層吸収体23Aの前端に開口されており、上層吸収体23Aの前端は下層貫通部60の前端と同じか後側に位置されており、下層貫通部60は下層吸収体23Bの前後方向中間に設けられている。
【選択図】図6

Description

本発明は、漏れ防止性能に優れる使い捨ておむつに関するものである。
使い捨ておむつにおける漏れの形態は千差万別であるが、その中の一つの形態として、装着者が男性の場合における尿の前漏れ(使い捨ておむつの前側からの漏れ。以下、男性前漏れともいう。)がある。男性前漏れは、装着者が女性である場合には発生しないのに、装着者が男性であるとその他は同じ条件でも発生するものであり、その原因は、特許文献1,2に示されるように、排尿位置よりも後方に位置する陰嚢が使い捨ておむつ表面に密着して隙間が極端に少なくなることにより、尿の後方移動が阻害されることである、というものであった。
また、本発明者のその後の研究により、男女を問わず、1回の排尿量が多い場合や少量でも複数回の排尿があった場合は、尿の吸収が間にあわずに使い捨ておむつ表面を尿が移動する状態が長く続くのに反して、使い捨ておむつの股間部表面と身体表面との隙間(以下、単に表面間隙ともいう)が少ないため、尿が後方へ拡散し難くなり、隙間が発生し易い脚の付け根付近から漏れ易い傾向があることも判明した。
特開2013−135716号公報 特開2013−135717号公報 特開2011−104021号公報 特開2011−125537号公報
このような表面間隙の少なさに起因する漏れの解決手段として、本出願人による特許文献1,2記載の提案は男女を問わず有効なものであるが、特許文献1記載のものは表面間隙を形成する窪みの形状維持性の点で、また特許文献2記載のものは製造容易性の点でそれぞれ改善の余地があった。
そこで、本発明の主たる課題は、表面間隙の維持性に優れ、製造も容易である使い捨ておむつを提供することにある。
上記課題を解決した本発明は、以下のとおりである。
<請求項1記載の発明>
股間部と、股間部の後側に延在する後側部分とを有しており、
前記股間部から前記後側部分にかけて、尿を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体として、下層吸収体と、下層吸収体の上に設けられた上層吸収体とを備えており、
前記下層吸収体には、少なくとも股間部の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する細長状の下層貫通部が前後方向に沿って延在されており、
前記上層吸収体には、少なくとも前記下層貫通部と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する上層貫通部が設けられており、
前記上層貫通部は、前記下層貫通部上に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分と、この中間部分における前後方向中間位置または後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分とを有しており、
前記張出部分の側縁は、少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状とされており、
前記上層貫通部の前記中間部は、前記上層吸収体の前端まで延在され、かつ前記上層吸収体の前端に開口されており、
前記上層吸収体の前端は、前記下層貫通部の前端と同じか後側に位置されており、
前記下層貫通部は、前記下層吸収体の前後方向中間に設けられている、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような二層構造の吸収体では、下層貫通部及び上層貫通部の中間部分の重なり部分には吸収体が無く、上層貫通部の張出部分の部位は下層吸収体の一層構造となり、上層貫通部の張出部分の外側は上層吸収体及び下層吸収体の二層構造となる。装着状態で使い捨ておむつが両脚間に挟まれて幅方向に圧縮されたときには、下層貫通部及び上層貫通部の中間部分の重なり部分には吸収体が無いため、各貫通部の両側縁は圧縮量に応じて接近する。このとき、上層貫通部の張出部分に位置する一層構造部分にも互いに接近する方向に力が作用するものの、一層構造部分が二層構造部分との境界である上層貫通部の張出部分の側縁に沿って裏側に折れ曲がり易いこと、並びに上層貫通部の張出部分の側縁は少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状(つまり右側については右斜め後ろ向き、左側については左斜め後ろ向き)とされ、一層構造部分の幅が後側に向かうにつれて拡大することによって、一層構造部分は後側に向かうにつれて徐々にその幅方向外側の二層構造部分に対して裏側に折れ曲がり、これに伴い一層構造部分の間の無吸収体部分が裏側に向かって落ち込み、使い捨ておむつの表面にほぼ舟形の窪みが形成される。これに対して、上層貫通部の張出部分が矩形状(つまり張出部分の側縁はコ字状)では、一層構造部分の前側に位置する二層構造部分の角部が変形を阻害するため、舟形窪みを形成する変形が起こり難いのはもちろん、表面が窪むような変形自体が起こり難い。
また、下層貫通部が下層吸収体の前後に突き抜けない配置とすることにより、吸収体全体としての剛性を確保しつつ、上層貫通部については上層吸収体の前端に突き抜ける配置とし、かつ上層吸収体の前端を下層吸収体の前端と同じか後側に位置させることにより、股間部が幅方向に圧縮されたとき、上層吸収体の前側ほど、かつ上層貫通部の前側ほど圧縮され易くなり、その結果として、前述の舟形の窪みが形成され易くなる。
そして、このような舟形の窪みは幅方向の圧縮に対して復元し易いだけでなく、裏側に折れ曲がった一層構造部分が壁となって窪みの深さが維持されるため、舟形窪みの維持性、ひいては表面間隙の維持性に優れる。排尿時には、当該窪み領域の前側に排泄された尿のうち吸収されずに表面を移動する分は、この大きな表面間隙を流路として後側に流れ、その過程で後側の吸収体により吸収される。よって、従来問題となっていた表面間隙の少なさによる拡散阻害を効果的に防止することができる。なお、吸収体に前後方向スリットを設けて前後方向の拡散性を向上させることは知られているが、本発明はそのような周知の拡散向上技術と比べて次元の違う効果がある。
さらに、吸収体を二層構造とすることや、それぞれに厚み方向の貫通部を設けることは製造技術として確立されているため、その形状や位置関係を変更するだけで容易に製造できる。
<請求項2記載の発明>
前記上層貫通部の側方から突出する突出部分が前後方向に延在されるとともに、この突出部分の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部とされ、これら非起立部間の部分が非固定の起立部とされ、且つこの起立部にギャザー弾性伸縮部材が前後方向に伸張した状態で固定された股間部立体ギャザーが、表面の幅方向両側に設けられており、
前記上層貫通部の張出部分は、前後方向において前記股間部立体ギャザーの非起立部間に位置している、
請求項1記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような股間部立体ギャザーを有することにより、股間部立体ギャザーのギャザー弾性伸縮部材の収縮力が一層構造部分に効果的に作用し、前述の舟形窪みの形成が促進され、また窪みの形状維持性が向上する。さらに、上層貫通部の張出部分は窪みの壁となる部分であり、その間の部分を含めて吸収体の吸収量が少なく、尿が移動し易い部分であるため、その両側に股間部立体ギャザーを設けることにより、いわゆる横漏れ防止も図られる。
<請求項3記載の発明>
前記上層貫通部の張出部分は、中間部分との境界を下底とする台形状をなしている、請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
上層貫通部がこのような形状であると、製造が容易であるため好ましい。
以上のとおり本発明によれば、表面間隙の維持性に優れ、製造も容易となる等の利点がもたらされる。
パッドタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。 (a)下層吸収体、(b)上層吸収体、(c)下層吸収体及び上層吸収体の積層状態をそれぞれ示す平面図である。 図1のY−Y断面図である。 (a)図1のZ−Z断面図、(b)X−X断面図である。 斜視図である。 装着状態の斜視図である。 装着前及び装着後の状態の変化を示す概略断面図である。 サンプルの写真である。 装着前及び装着後の状態の変化を示す概略断面図である。 上層貫通部の各種形状を示す要部平面図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面に示されるパッドタイプ使い捨ておむつの例を参照しながら詳説する。
図1〜図6は、パッドタイプ使い捨ておむつ200を示している。このパッドタイプ使い捨ておむつ200は、股間部C2と、その前後両側に延在する前側部分F2及び後側部分B2とを有するものである。各部の寸法は適宜定めることができ、例えば、おむつ全長L(前後方向長さ)は350〜700mm程度、おむつ全幅W1は130〜400mm程度とすることができ、この場合における股間部C2の前後方向長さは10〜150mm程度、前側部分F2の前後方向長さは50〜350mm程度、及び後側部分B2の前後方向長さは50〜350mm程度とすることができる。なお、「股間部」とは使用時に身体の股間と対応させる部分を意味し、製品によって、図示形態のように物品の前後方向中央若しくはその近傍から前側の所定部位までの範囲であったり、物品の前後方向中央の所定範囲であったりするものである。図示形態のように、物品の前後方向中間あるいは吸収体の前後方向中間に幅の狭い括れ部分を有する場合は、「股間部」は括れ部分の最小幅部位を前後方向中央とする所定の前後方向範囲を意味する。また、「前側部分(腹側部分)」は股間部よりも前側の部分を意味し、「後側部分(背側部分)」は股間部よりも後側の部分を意味する。
パッドタイプ使い捨ておむつ200は、液不透過性シート21と、液透過性トップシート22との間に、吸収体23が介在された基本構造を有している。なお、図中の点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。
(液不透過性シート・外装シート)
吸収体23の裏側には、液不透過性シート21が吸収体23の周縁より若干食み出すように設けられている。液不透過性シート21としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
また、液不透過性シート21の外面は、不織布からなる外装シート26により被覆することができ、この場合、液不透過性シート21の幅を吸収体23の幅と同程度とすることができる。外装シート26としては各種の不織布を用いることができる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
(液透過性トップシート)
吸収体23の表側は、液透過性トップシート22により覆われている。図示形態ではトップシート22の側縁から吸収体23が一部食み出しているが、吸収体23の側縁が食み出さないようにトップシート22の幅を広げることもできる。トップシート22としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
トップシート22と吸収体23との間には、中間シート25を介在させるのが望ましい。この中間シート25は、吸収体23により吸収した尿の逆戻りを防止するために設けられるものであり、保水性が低く、且つ液透過性の高い素材、例えばメッシュフィルム等を用いるのが望ましい。トップシート22の前端を0%としトップシート22の後端を100%としたとき、中間シート25の前端は0〜11%の範囲に位置しているのが好ましく、中間シート25の後端は92〜100%の範囲に位置しているのが好ましい。また、中間シート25の幅25wは吸収体23の幅W2の50〜90%程度であるのが好ましい。
(エンドフラップ部・サイドフラップ部)
パッドタイプ使い捨ておむつ200の前後方向両端部では、外装シート26および液透過性トップシート22が吸収体23の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在されて貼り合わされ、吸収体23の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。パッドタイプ使い捨ておむつ200の両側部では、外装シート26が吸収体23の側縁よりも外側にそれぞれ延在され、この延在部からトップシート22の側部までの部分の内面には側部立体ギャザーシート31の幅方向外側の部分34が前後方向全体にわたり貼り付けられ、吸収体23の存在しないサイドフラップ部SFを構成している。これら貼り合わせ部分は、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールにより形成できる。外装シート26を設けない場合、外装シート26に代えて液不透過性シート21をサイドフラップ部SFまで延在させ、サイドフラップ部SFの外面側を形成することができる。
(側部立体ギャザー)
表面における両側部には、前後方向に延在する側部立体ギャザー30がそれぞれ設けられている。側部立体ギャザー30は上述の側部立体ギャザーシート31により形成されている。側部立体ギャザーシート31の幅方向中央側の部分32はトップシート22上にまで延在しており、その幅方向中央側の端部には、側部立体ギャザー弾性伸縮部材33が前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されている。
側部立体ギャザーシート31の素材としては、プラスチックシートやメルトブローン不織布を使用することもできるが、肌への感触性の点で、不織布にシリコンなどにより撥水処理をしたものが好適に使用される。この側部立体ギャザー弾性伸縮部材33としては、糸状、紐状、帯状等の細長状に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、各平面ギャザー弾性伸縮部材7の固定時の伸長率は170〜200%程度であるのが好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値である。
また、側部立体ギャザーシート31は、幅方向外側の部分34が前後方向全体にわたりおむつ内面(図示形態ではトップシート22表面および外装シート26内面)に貼り合わされて固定部分34とされるとともに、幅方向中央側の部分32がこの固定部分から突出する突出部分32とされている。そして、この突出部分32のうち、前後方向の両端部では倒伏状態でおむつ表面(図示形態ではトップシート22表面)に貼り合わされて非起立部35とされ、かつこれら非起立部35間の部分はおむつ表面(図示形態ではトップシート22表面)に固定されていない起立部36とされている。この起立部36は、側部立体ギャザー弾性伸縮部材33の収縮力が作用することにより、図4に二点差線で示されるように、おむつ表面(図示形態ではトップシート22表面)から起立して鼠径部等に接触する部分であり、その起立基端37は側部立体ギャザーシート31における固定部分34と突出部分32との境に位置する。
(平面ギャザー)
サイドフラップ部SFの前後方向中間部には、側部立体ギャザーシート31と液不透過性シート21との間(液不透過性シート21と外装シート26との間でも良い)に細長状の平面ギャザー弾性伸縮部材27が前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されており、この平面ギャザー弾性伸縮部材27の収縮によりサイドフラップ部SFにはいわゆる平面ギャザーが形成されている。この平面ギャザーにより、おむつの側部が弾性伸縮して脚周りにフィットするようになる。
左右各側における平面ギャザー弾性伸縮部材27の本数は適宜定めることができるが、1〜10本程度、より好ましくは2〜5本程度が適当であり、複数本とする場合には、その間隔は2〜15mm程度、特に6〜10mm程度とするのが好ましい。また、各平面ギャザー弾性伸縮部材27としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500〜1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度が好ましい。また、各平面ギャザー弾性伸縮部材27の固定時の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。
(吸収体)
吸収体23は、下層吸収体23Bと、下層吸収体23Bの上に設けられた上層吸収体23Aとからなる二層構造となっている。
下層吸収体23B及び上層吸収体23Aとしては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて粒子状等の高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。下層吸収体23B及び上層吸収体23Aにおける繊維目付け及び高吸収性ポリマーの目付けは適宜定めることができるが、それぞれ繊維目付けは140〜230g/m2程度とするのが好ましく、またそれぞれ高吸収性ポリマーの目付けは60〜90g/m2程度とするのが好ましい。高吸収性ポリマー粒子を混合する場合等、必要に応じて、下層吸収体23B及び上層吸収体23Aは両者一体的に又は個別にクレープ紙等の包装シート24(図1、図7、図9参照)により包むことができる。
また、吸収体23の外形は、相対的に前側の部分が後側の部分よりも幅広な帯状、あるいは長方形状、台形状等、適宜の形状とすることもできるが、股間部C2を含む前後方向中間の所定部分が幅の狭い括れ部分23nとして形成されていることが好ましい。この括れ部分23nの最小幅W3は、括れ部分23nの前後に位置する非括れ部分の幅(吸収体23の全幅)W2の50〜65%程度であるのが好ましい。また、おむつ前端を0%としおむつ後端を100%としたとき、括れ部分23nの前端は10〜25%の範囲に位置しているのが好ましく、括れ部分23nの後端は40〜65%の範囲に位置しているのが好ましく、括れ部分23nの最小幅W3となる部位(最小幅部位)は25〜30%の範囲に位置しているのが好ましい。
吸収体を二層構造とする場合は、下層吸収体をより大きくすることが好ましいため、図示形態のように、下層吸収体により吸収体外形を形成し、かつその形を上述のような括れ形状とし、上層吸収体の外形については括れ部分23nの幅よりも狭い長方形状とすることが好ましい。
吸収体23は、股間部C2の前側から股間部C2を経て股間部C2の後側にかけて延在されているが、股間部C2から股間部C2の後側にかけて設けられていれば良い。特に男性用途を考慮するならば、陰嚢配置領域C1の前側から後側にかけて設けられていることが望ましい。ここで、「陰嚢配置領域C1」とは、装着者の陰嚢が配置される前後方向領域を意味し、従ってこれよりも前側が「陰嚢配置領域C1の前側の領域」となり、これよりも後側が「陰嚢配置領域C1の後側の領域」となる。通常の場合、陰嚢配置領域C1の前後方向長さは80〜100mm程度となる。
(上層貫通部及び下層貫通部)
特徴的には、図1〜図4に示すように、下層吸収体23Bにおける少なくとも股間部C2の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する(つまり吸収体が無い)細長状の下層貫通部60が前後方向に沿って延在されており、上層吸収体23Aには、少なくとも下層貫通部60と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する(つまり吸収体が無い)上層貫通部50が設けられている。そして、上層貫通部50は、下層貫通部60上に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分51と、この中間部分51における後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分52とを有しており、張出部分52の側縁は、少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状とされている。
このような二層構造の吸収体23では、下層貫通部60及び上層貫通部50の中間部分51の重なり部分には吸収体23が無く、上層貫通部50の張出部分52の部位は下層吸収体23Bの一層構造となり、上層貫通部50の張出部分52の外側は上層吸収体23A及び下層吸収体23Bの二層構造となる。図6〜図9に示すように、装着状態で使い捨ておむつが両脚間に挟まれて幅方向に圧縮(図7、図9の白抜き矢印参照)されたときには、下層貫通部60及び上層貫通部50の中間部分51の重なり部分には吸収体23が無いため、下層貫通部60及び上層貫通部50の両側縁は圧縮量に応じて接近し、使い捨ておむつの表面に細い溝71が形成される。このとき、上層貫通部50の張出部分52に位置する一層構造部分23wにも互いに接近する方向に力が作用するものの、上層貫通部50の張出部分52の側縁は少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状(つまり右側については右斜め後ろ向き、左側については左斜め後ろ向き)とされることにより、一層構造部分23wが、二層構造部分との境界である上層貫通部50の張出部分52の側縁に沿って裏側に折れ曲がり易くなっているため、一層構造部分23wがその幅方向外側の二層構造部分に対して裏側に折れ曲がり、これに伴い一層構造部分23wの間の無吸収体部分が裏側に向かって落ち込み、図6及び図8に示すように、使い捨ておむつの表面にほぼ舟形の窪み72が形成される。このような変形は、上層貫通部50の張出部分52が矩形状(つまり張出部分52の側縁はコ字状)では起こり難いものである。そして、このような舟形の窪みは幅方向の圧縮に対して復元し易いだけでなく、裏側に折れ曲がった一層構造部分23wが壁となって窪みの深さが維持されるため、表面間隙の維持性に優れる。排尿時には、当該窪み領域の前側に排泄された尿のうち吸収されずに表面を移動する分は、この大きな表面間隙を流路として後側に流れ、その過程で後側の吸収体23により吸収される。よって、従来問題となっていた表面間隙の少なさによる拡散阻害を効果的に防止することができる。
下層貫通部60の形状は細長状である限り、図示形態のように幅が前後方向に一定の長方形状とする他、幅が前後方向に変化する(例えば後に向かうにつれて幅が拡大する)形状とする等、適宜変更が可能である。下層貫通部60の寸法は適宜定めることができるが、この種の使い捨ておむつを用いる標準的な成人を考慮すると、前後方向長さ62は180〜210mm程度とするのが好ましい。また、下層貫通部60の幅61は適宜定めることができるが、余り広くないほうが後述する隙間の形状維持性が良いため、通常の場合は20〜40mm程度とするのが好ましい。
また、下層貫通部60は、下層吸収体23Bの前後方向中間に設けられている、つまり下層貫通部60が下層吸収体23Bの前後に突き抜けない配置とすることにより、吸収体23全体としての剛性が確保される。
一方、上層貫通部50の寸法は適宜定めることができ、前後方向長さ(中間部分51も同様となる)は図示形態のように下層貫通部60と同じとする他、下層貫通部60よりも短く又は長くすることもできる。
上層貫通部50の中間部分51の幅55は、下層貫通部60の幅61以上であることが望ましく、張出部分52を確保することも考慮すると、下層貫通部60の幅61の1.2〜1.5倍程度とすることが望ましい。上層貫通部50の張出部分52を有する部分の幅56(中間部分51の幅及び張出部分52の幅の総和)は、窪みの寸法(主に壁の高さ)や窪みの形状維持性を考慮して定めることが望ましく、中間部分51の幅55の1.5〜2倍程度、より具体的には36〜120mm程度とすることが望ましい。
上層貫通部50の張出部分52の前後方向位置は適宜定めることができ、図示例のように上層貫通部50の後側位置を側方に拡張しても良いが、前後方向中間位置を側方に拡張して形成することも可能である。また、図示形態の上層貫通部50の前側に中間部分51を延長するとともに、その幅方向両側に、後側位置の張出部分52と前後対称的な形状で張出部分を追加し、装着状態で一対の舟形の窪みが細い溝71を長手方向に挟んで対向する(略砂時計状の窪みが形成される)ように構成しても良い。
上層貫通部50の中間部分51のうち張出部分52の無い部分の形状は、図示形態のように幅が前後方向に一定の長方形状とする他、幅が前後方向に変化する(例えば後に向かうにつれて幅が拡大する)形状とする等、適宜変更が可能である。上層貫通部50の張出部分52の形状は、張出部分52の側縁における少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状とされている限り、側縁形状が図示形態のような屈曲線状であっても、円弧状などの曲線状であっても良い。図示形態では、中間部分51との境界を下底とし、後縁が下底と直交する台形状(張出部分52及びその間の中間部分51を含めた形状は5角形状)とされているが、図10(a)に示すような台形状(張出部分52及びその間の中間部分51を含めた形状は六角形状)とすることもできる。
上層貫通部50の前端(中間部分51の前端)は下層貫通部60の前端と同じかそれよりも後側に位置される。上層貫通部50の後端は図示形態のように下層貫通部60の後端と同じとするか、それよりも後側に位置させることが好ましいが、それよりも前側に位置させることも好ましい。後者の例として、図10(b)に示すように、下層貫通部60を上層貫通部50の後端よりも後側かつ股間部C2よりも後側に延在させた形態(符号60xはこの延在部分を示している)を挙げることができ、この場合には尿が下層貫通部60を通り上層吸収体23Aの下側に入ると、肌側への逆戻りが上層吸収体23Aにより遮断されることになる。
また、図示形態のように、上層貫通部50の中間部分51は上層吸収体23Aの前端まで延在され、かつ上層吸収体23Aの前端に開口されており、上層吸収体23Aの前端は、下層貫通部60の前端と同じか後側に位置されていると、股間部C2が幅方向の圧縮されたとき、上層吸収体23Aの前側ほど、かつ上層貫通部50の前側ほど圧縮され易くなり、その結果として、前述の舟形の窪みが形成され易くなるため好ましい。
(股間部立体ギャザー)
また、図示形態では、上層貫通部50の側方から突出する突出部分42が前後方向に延在されるとともに、この突出部分42の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部45とされ、これら非起立部45間の部分が非固定の起立部46とされ、且つこの起立部46にギャザー弾性伸縮部材43が前後方向に伸張した状態で固定された股間部立体ギャザー40が、表面の幅方向両側に設けられている。起立部46は、ギャザー弾性伸縮部材43の収縮力が作用することにより、図4に二点差線で示されるように、おむつ表面から立ち上がる部分である。
股間部立体ギャザー40は設けなくても良いが、上層貫通部50及び下層貫通部60により股間部C2の吸収量は低下せざるを得ず、尿が移動し易くなるため、側部立体ギャザー30とは別に設けた方が好ましい。
股間部立体ギャザー40は、専用のシートをおむつ表面に取り付けて形成しても良いが、図示形態のように、トップシート22における上層貫通部50より側方の部分を折り出して、突出部分42を形成するのが好ましい。
股間部立体ギャザー40を設ける場合、上層貫通部50の張出部分52が、前後方向において股間部立体ギャザー40の非起立部45間に位置していると(換言すれば上層貫通部50の張出部分52の幅方向位置と股間部立体ギャザー40の非起立部45の幅方向位置とが重なると)、股間部立体ギャザー40のギャザー弾性伸縮部材43の収縮力が一層構造部分23wに効果的に作用し、前述の舟形窪みの形成が促進され、また窪みの形状維持性が向上するため好ましい。しかし、股間部立体ギャザー40の非起立部45が上層貫通部50の張出部分52より幅方向中央側又は外側に位置していても良い。
また、股間部立体ギャザー40における突出部分42の基端の幅方向位置は、図示形態のように、張出部分52から側方に離間していることが望ましいが、張出部分52の側縁に合わせたり、張出部分52内に位置させたりすることもできる。特に、股間部立体ギャザー40における突出部分42の基端の幅方向位置は、展開状態で、上層貫通部50の張出部分52の外側で上層吸収体23A及び下層吸収体23Bの二層構造部分上が最も好ましい。また、股間部立体ギャザー40における突出部分42の先端の幅方向位置は、展開状態で、一層構造部分23w上を通る位置とすることが最も好ましい。これらの配置とすることで、一層構造部分23wが二層構造部分との境界である上層貫通部50の張出部分52の側縁に沿って裏側に折れ曲がりやすくなるため、舟形の窪み72の形成及び維持がより良好となる。
股間部立体ギャザー40におけるギャザー弾性伸縮部材43の素材及び固定時の伸長率としては、側部立体ギャザー30と同様の素材、範囲の中から適宜選択して用いることができる。
股間部立体ギャザー40の各部の寸法は適宜定めることができるが、この種の使い捨ておむつを用いる標準的な成人を考慮すると、非起立部45の前後方向間隔は150〜180mm程度とするのが好ましく、突出部分42の基端の幅方向間隔は60〜80mm程度とするのが好ましい。また、側部立体ギャザー30の起立部36が、股間部立体ギャザー40の起立部46よりも前方及び後方にそれぞれ延在するように構成するのが好ましい。
図示例では、製造時に使い捨ておむつの前後方向に沿って素材を搬送しつつ組み立てる一般的な製造形態を考慮し、股間部立体ギャザー40は使い捨ておむつの全長Lに及んでいる(ただし、非起立部45の前後方向長さが側部立体ギャザー30よりも長い)が、上層貫通部50の張出部分52を有する前後方向範囲を基準として、その前側近傍から後側近傍までの長さとしても良い。
本発明は、パッドタイプ、パンツタイプ若しくはテープタイプ等、使い捨ておむつ全般に利用できるものである。
B2…後側部分、C1…陰嚢配置領域、C2…股間部、F2…前側部分、 21…液不透過性シート、22…トップシート、23…吸収体、23A…上層吸収体、23B…下層吸収体、23n…括れ部分、23w…一層構造部分、25…中間シート、26…外装シート、30…側部立体ギャザー、31…側部立体ギャザーシート、33…ギャザー弾性伸縮部材、40…股間部立体ギャザー、42…突出部分、43…ギャザー弾性伸縮部材、50…上層貫通部、51…中間部分、52…張出部分、60…下層貫通部。
本発明は、漏れ防止性能に優れる使い捨ておむつに関するものである。
使い捨ておむつにおける漏れの形態は千差万別であるが、その中の一つの形態として、装着者が男性の場合における尿の前漏れ(使い捨ておむつの前側からの漏れ。以下、男性前漏れともいう。)がある。男性前漏れは、装着者が女性である場合には発生しないのに、装着者が男性であるとその他は同じ条件でも発生するものであり、その原因は、特許文献1,2に示されるように、排尿位置よりも後方に位置する陰嚢が使い捨ておむつ表面に密着して隙間が極端に少なくなることにより、尿の後方移動が阻害されることである、というものであった。
また、本発明者のその後の研究により、男女を問わず、1回の排尿量が多い場合や少量でも複数回の排尿があった場合は、尿の吸収が間にあわずに使い捨ておむつ表面を尿が移動する状態が長く続くのに反して、使い捨ておむつの股間部表面と身体表面との隙間(以下、単に表面間隙ともいう)が少ないため、尿が後方へ拡散し難くなり、隙間が発生し易い脚の付け根付近から漏れ易い傾向があることも判明した。
特開2013−135716号公報 特開2013−135717号公報 特開2011−104021号公報 特開2011−125537号公報
このような表面間隙の少なさに起因する漏れの解決手段として、本出願人による特許文献1,2記載の提案は男女を問わず有効なものであるが、特許文献1記載のものは表面間隙を形成する窪みの形状維持性の点で、また特許文献2記載のものは製造容易性の点でそれぞれ改善の余地があった。
そこで、本発明の主たる課題は、表面間隙の維持性に優れ、製造も容易である使い捨ておむつを提供することにある。
上記課題を解決した本発明は、以下のとおりである。
<請求項1記載の発明>
股間部と、股間部の後側に延在する後側部分とを有しており、
前記股間部から前記後側部分にかけて、尿を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体として、下層吸収体と、下層吸収体の上に設けられた上層吸収体とを備えており、
前記下層吸収体には、少なくとも股間部の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する細長状の下層貫通部が前後方向に沿って延在されており、
前記上層吸収体には、少なくとも前記下層貫通部と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する上層貫通部が設けられており、
前記上層貫通部は、前記下層貫通部上に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分と、この中間部分における前後方向中間位置または後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分とを有しており、
前記張出部分の側縁は、少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状とされており、
前記上層貫通部の前記中間部は、前記上層吸収体の前端まで延在され、かつ前記上層吸収体の前端に開口されており、
前記上層吸収体の前端は、前記下層貫通部の前端と同じか後側に位置されており、
前記下層貫通部は、前記下層吸収体の前後方向中間に設けられており、
前記吸収体は、前記上層貫通部の張出部分の領域が前記下層吸収体による一層構造とされるとともに、前記上層貫通部の張出部分の幅方向外側が前記上層吸収体及び下層吸収体による二層構造とされている
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような二層構造の吸収体では、下層貫通部及び上層貫通部の中間部分の重なり部分には吸収体が無く、上層貫通部の張出部分の部位は下層吸収体の一層構造となり、上層貫通部の張出部分の外側は上層吸収体及び下層吸収体の二層構造となる。装着状態で使い捨ておむつが両脚間に挟まれて幅方向に圧縮されたときには、下層貫通部及び上層貫通部の中間部分の重なり部分には吸収体が無いため、各貫通部の両側縁は圧縮量に応じて接近する。このとき、上層貫通部の張出部分に位置する一層構造部分にも互いに接近する方向に力が作用するものの、一層構造部分が二層構造部分との境界である上層貫通部の張出部分の側縁に沿って裏側に折れ曲がり易いこと、並びに上層貫通部の張出部分の側縁は少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状(つまり右側については右斜め後ろ向き、左側については左斜め後ろ向き)とされ、一層構造部分の幅が後側に向かうにつれて拡大することによって、一層構造部分は後側に向かうにつれて徐々にその幅方向外側の二層構造部分に対して裏側に折れ曲がり、これに伴い一層構造部分の間の無吸収体部分が裏側に向かって落ち込み、使い捨ておむつの表面にほぼ舟形の窪みが形成される。これに対して、上層貫通部の張出部分が矩形状(つまり張出部分の側縁はコ字状)では、一層構造部分の前側に位置する二層構造部分の角部が変形を阻害するため、舟形窪みを形成する変形が起こり難いのはもちろん、表面が窪むような変形自体が起こり難い。
また、下層貫通部が下層吸収体の前後に突き抜けない配置とすることにより、吸収体全体としての剛性を確保しつつ、上層貫通部については上層吸収体の前端に突き抜ける配置とし、かつ上層吸収体の前端を下層吸収体の前端と同じか後側に位置させることにより、股間部が幅方向に圧縮されたとき、上層吸収体の前側ほど、かつ上層貫通部の前側ほど圧縮され易くなり、その結果として、前述の舟形の窪みが形成され易くなる。
そして、このような舟形の窪みは幅方向の圧縮に対して復元し易いだけでなく、裏側に折れ曲がった一層構造部分が壁となって窪みの深さが維持されるため、舟形窪みの維持性、ひいては表面間隙の維持性に優れる。排尿時には、当該窪み領域の前側に排泄された尿のうち吸収されずに表面を移動する分は、この大きな表面間隙を流路として後側に流れ、その過程で後側の吸収体により吸収される。よって、従来問題となっていた表面間隙の少なさによる拡散阻害を効果的に防止することができる。なお、吸収体に前後方向スリットを設けて前後方向の拡散性を向上させることは知られているが、本発明はそのような周知の拡散向上技術と比べて次元の違う効果がある。
さらに、吸収体を二層構造とすることや、それぞれに厚み方向の貫通部を設けることは製造技術として確立されているため、その形状や位置関係を変更するだけで容易に製造できる。
<請求項2記載の発明>
前記上層貫通部の側方から突出する突出部分が前後方向に延在されるとともに、この突出部分の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部とされ、これら非起立部間の部分が非固定の起立部とされ、且つこの起立部にギャザー弾性伸縮部材が前後方向に伸張した状態で固定された股間部立体ギャザーが、表面の幅方向両側に設けられており、
前記上層貫通部の張出部分は、前後方向において前記股間部立体ギャザーの非起立部間に位置している、
請求項1記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような股間部立体ギャザーを有することにより、股間部立体ギャザーのギャザー弾性伸縮部材の収縮力が一層構造部分に効果的に作用し、前述の舟形窪みの形成が促進され、また窪みの形状維持性が向上する。さらに、上層貫通部の張出部分は窪みの壁となる部分であり、その間の部分を含めて吸収体の吸収量が少なく、尿が移動し易い部分であるため、その両側に股間部立体ギャザーを設けることにより、いわゆる横漏れ防止も図られる。
<請求項3記載の発明>
前記上層貫通部の張出部分は、中間部分との境界を下底とする台形状をなしている、請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
上層貫通部がこのような形状であると、製造が容易であるため好ましい。
以上のとおり本発明によれば、表面間隙の維持性に優れ、製造も容易となる等の利点がもたらされる。
パッドタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。 (a)下層吸収体、(b)上層吸収体、(c)下層吸収体及び上層吸収体の積層状態をそれぞれ示す平面図である。 図1のY−Y断面図である。 (a)図1のZ−Z断面図、(b)X−X断面図である。 斜視図である。 装着状態の斜視図である。 装着前及び装着後の状態の変化を示す概略断面図である。 サンプルの写真である。 装着前及び装着後の状態の変化を示す概略断面図である。 上層貫通部の各種形状を示す要部平面図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面に示されるパッドタイプ使い捨ておむつの例を参照しながら詳説する。
図1〜図6は、パッドタイプ使い捨ておむつ200を示している。このパッドタイプ使い捨ておむつ200は、股間部C2と、その前後両側に延在する前側部分F2及び後側部分B2とを有するものである。各部の寸法は適宜定めることができ、例えば、おむつ全長L(前後方向長さ)は350〜700mm程度、おむつ全幅W1は130〜400mm程度とすることができ、この場合における股間部C2の前後方向長さは10〜150mm程度、前側部分F2の前後方向長さは50〜350mm程度、及び後側部分B2の前後方向長さは50〜350mm程度とすることができる。なお、「股間部」とは使用時に身体の股間と対応させる部分を意味し、製品によって、図示形態のように物品の前後方向中央若しくはその近傍から前側の所定部位までの範囲であったり、物品の前後方向中央の所定範囲であったりするものである。図示形態のように、物品の前後方向中間あるいは吸収体の前後方向中間に幅の狭い括れ部分を有する場合は、「股間部」は括れ部分の最小幅部位を前後方向中央とする所定の前後方向範囲を意味する。また、「前側部分(腹側部分)」は股間部よりも前側の部分を意味し、「後側部分(背側部分)」は股間部よりも後側の部分を意味する。
パッドタイプ使い捨ておむつ200は、液不透過性シート21と、液透過性トップシート22との間に、吸収体23が介在された基本構造を有している。なお、図中の点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。
(液不透過性シート・外装シート)
吸収体23の裏側には、液不透過性シート21が吸収体23の周縁より若干食み出すように設けられている。液不透過性シート21としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
また、液不透過性シート21の外面は、不織布からなる外装シート26により被覆することができ、この場合、液不透過性シート21の幅を吸収体23の幅と同程度とすることができる。外装シート26としては各種の不織布を用いることができる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
(液透過性トップシート)
吸収体23の表側は、液透過性トップシート22により覆われている。図示形態ではトップシート22の側縁から吸収体23が一部食み出しているが、吸収体23の側縁が食み出さないようにトップシート22の幅を広げることもできる。トップシート22としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
トップシート22と吸収体23との間には、中間シート25を介在させるのが望ましい。この中間シート25は、吸収体23により吸収した尿の逆戻りを防止するために設けられるものであり、保水性が低く、且つ液透過性の高い素材、例えばメッシュフィルム等を用いるのが望ましい。トップシート22の前端を0%としトップシート22の後端を100%としたとき、中間シート25の前端は0〜11%の範囲に位置しているのが好ましく、中間シート25の後端は92〜100%の範囲に位置しているのが好ましい。また、中間シート25の幅25wは吸収体23の幅W2の50〜90%程度であるのが好ましい。
(エンドフラップ部・サイドフラップ部)
パッドタイプ使い捨ておむつ200の前後方向両端部では、外装シート26および液透過性トップシート22が吸収体23の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在されて貼り合わされ、吸収体23の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。パッドタイプ使い捨ておむつ200の両側部では、外装シート26が吸収体23の側縁よりも外側にそれぞれ延在され、この延在部からトップシート22の側部までの部分の内面には側部立体ギャザーシート31の幅方向外側の部分34が前後方向全体にわたり貼り付けられ、吸収体23の存在しないサイドフラップ部SFを構成している。これら貼り合わせ部分は、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールにより形成できる。外装シート26を設けない場合、外装シート26に代えて液不透過性シート21をサイドフラップ部SFまで延在させ、サイドフラップ部SFの外面側を形成することができる。
(側部立体ギャザー)
表面における両側部には、前後方向に延在する側部立体ギャザー30がそれぞれ設けられている。側部立体ギャザー30は上述の側部立体ギャザーシート31により形成されている。側部立体ギャザーシート31の幅方向中央側の部分32はトップシート22上にまで延在しており、その幅方向中央側の端部には、側部立体ギャザー弾性伸縮部材33が前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されている。
側部立体ギャザーシート31の素材としては、プラスチックシートやメルトブローン不織布を使用することもできるが、肌への感触性の点で、不織布にシリコンなどにより撥水処理をしたものが好適に使用される。この側部立体ギャザー弾性伸縮部材33としては、糸状、紐状、帯状等の細長状に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、各平面ギャザー弾性伸縮部材7の固定時の伸長率は170〜200%程度であるのが好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値である。
また、側部立体ギャザーシート31は、幅方向外側の部分34が前後方向全体にわたりおむつ内面(図示形態ではトップシート22表面および外装シート26内面)に貼り合わされて固定部分34とされるとともに、幅方向中央側の部分32がこの固定部分から突出する突出部分32とされている。そして、この突出部分32のうち、前後方向の両端部では倒伏状態でおむつ表面(図示形態ではトップシート22表面)に貼り合わされて非起立部35とされ、かつこれら非起立部35間の部分はおむつ表面(図示形態ではトップシート22表面)に固定されていない起立部36とされている。この起立部36は、側部立体ギャザー弾性伸縮部材33の収縮力が作用することにより、図4に二点差線で示されるように、おむつ表面(図示形態ではトップシート22表面)から起立して鼠径部等に接触する部分であり、その起立基端37は側部立体ギャザーシート31における固定部分34と突出部分32との境に位置する。
(平面ギャザー)
サイドフラップ部SFの前後方向中間部には、側部立体ギャザーシート31と液不透過性シート21との間(液不透過性シート21と外装シート26との間でも良い)に細長状の平面ギャザー弾性伸縮部材27が前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されており、この平面ギャザー弾性伸縮部材27の収縮によりサイドフラップ部SFにはいわゆる平面ギャザーが形成されている。この平面ギャザーにより、おむつの側部が弾性伸縮して脚周りにフィットするようになる。
左右各側における平面ギャザー弾性伸縮部材27の本数は適宜定めることができるが、1〜10本程度、より好ましくは2〜5本程度が適当であり、複数本とする場合には、その間隔は2〜15mm程度、特に6〜10mm程度とするのが好ましい。また、各平面ギャザー弾性伸縮部材27としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500〜1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度が好ましい。また、各平面ギャザー弾性伸縮部材27の固定時の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。
(吸収体)
吸収体23は、下層吸収体23Bと、下層吸収体23Bの上に設けられた上層吸収体23Aとからなる二層構造となっている。
下層吸収体23B及び上層吸収体23Aとしては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて粒子状等の高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。下層吸収体23B及び上層吸収体23Aにおける繊維目付け及び高吸収性ポリマーの目付けは適宜定めることができるが、それぞれ繊維目付けは140〜230g/m2程度とするのが好ましく、またそれぞれ高吸収性ポリマーの目付けは60〜90g/m2程度とするのが好ましい。高吸収性ポリマー粒子を混合する場合等、必要に応じて、下層吸収体23B及び上層吸収体23Aは両者一体的に又は個別にクレープ紙等の包装シート24(図1、図7、図9参照)により包むことができる。
また、吸収体23の外形は、相対的に前側の部分が後側の部分よりも幅広な帯状、あるいは長方形状、台形状等、適宜の形状とすることもできるが、股間部C2を含む前後方向中間の所定部分が幅の狭い括れ部分23nとして形成されていることが好ましい。この括れ部分23nの最小幅W3は、括れ部分23nの前後に位置する非括れ部分の幅(吸収体23の全幅)W2の50〜65%程度であるのが好ましい。また、おむつ前端を0%としおむつ後端を100%としたとき、括れ部分23nの前端は10〜25%の範囲に位置しているのが好ましく、括れ部分23nの後端は40〜65%の範囲に位置しているのが好ましく、括れ部分23nの最小幅W3となる部位(最小幅部位)は25〜30%の範囲に位置しているのが好ましい。
吸収体を二層構造とする場合は、下層吸収体をより大きくすることが好ましいため、図示形態のように、下層吸収体により吸収体外形を形成し、かつその形を上述のような括れ形状とし、上層吸収体の外形については括れ部分23nの幅よりも狭い長方形状とすることが好ましい。
吸収体23は、股間部C2の前側から股間部C2を経て股間部C2の後側にかけて延在されているが、股間部C2から股間部C2の後側にかけて設けられていれば良い。特に男性用途を考慮するならば、陰嚢配置領域C1の前側から後側にかけて設けられていることが望ましい。ここで、「陰嚢配置領域C1」とは、装着者の陰嚢が配置される前後方向領域を意味し、従ってこれよりも前側が「陰嚢配置領域C1の前側の領域」となり、これよりも後側が「陰嚢配置領域C1の後側の領域」となる。通常の場合、陰嚢配置領域C1の前後方向長さは80〜100mm程度となる。
(上層貫通部及び下層貫通部)
特徴的には、図1〜図4に示すように、下層吸収体23Bにおける少なくとも股間部C2の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する(つまり吸収体が無い)細長状の下層貫通部60が前後方向に沿って延在されており、上層吸収体23Aには、少なくとも下層貫通部60と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する(つまり吸収体が無い)上層貫通部50が設けられている。そして、上層貫通部50は、下層貫通部60上に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分51と、この中間部分51における後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分52とを有しており、張出部分52の側縁は、少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状とされている。
このような二層構造の吸収体23では、下層貫通部60及び上層貫通部50の中間部分51の重なり部分には吸収体23が無く、上層貫通部50の張出部分52の部位は下層吸収体23Bの一層構造となり、上層貫通部50の張出部分52の外側は上層吸収体23A及び下層吸収体23Bの二層構造となる。図6〜図9に示すように、装着状態で使い捨ておむつが両脚間に挟まれて幅方向に圧縮(図7、図9の白抜き矢印参照)されたときには、下層貫通部60及び上層貫通部50の中間部分51の重なり部分には吸収体23が無いため、下層貫通部60及び上層貫通部50の両側縁は圧縮量に応じて接近し、使い捨ておむつの表面に細い溝71が形成される。このとき、上層貫通部50の張出部分52に位置する一層構造部分23wにも互いに接近する方向に力が作用するものの、上層貫通部50の張出部分52の側縁は少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状(つまり右側については右斜め後ろ向き、左側については左斜め後ろ向き)とされることにより、一層構造部分23wが、二層構造部分との境界である上層貫通部50の張出部分52の側縁に沿って裏側に折れ曲がり易くなっているため、一層構造部分23wがその幅方向外側の二層構造部分に対して裏側に折れ曲がり、これに伴い一層構造部分23wの間の無吸収体部分が裏側に向かって落ち込み、図6及び図8に示すように、使い捨ておむつの表面にほぼ舟形の窪み72が形成される。このような変形は、上層貫通部50の張出部分52が矩形状(つまり張出部分52の側縁はコ字状)では起こり難いものである。そして、このような舟形の窪みは幅方向の圧縮に対して復元し易いだけでなく、裏側に折れ曲がった一層構造部分23wが壁となって窪みの深さが維持されるため、表面間隙の維持性に優れる。排尿時には、当該窪み領域の前側に排泄された尿のうち吸収されずに表面を移動する分は、この大きな表面間隙を流路として後側に流れ、その過程で後側の吸収体23により吸収される。よって、従来問題となっていた表面間隙の少なさによる拡散阻害を効果的に防止することができる。
下層貫通部60の形状は細長状である限り、図示形態のように幅が前後方向に一定の長方形状とする他、幅が前後方向に変化する(例えば後に向かうにつれて幅が拡大する)形状とする等、適宜変更が可能である。下層貫通部60の寸法は適宜定めることができるが、この種の使い捨ておむつを用いる標準的な成人を考慮すると、前後方向長さ62は180〜210mm程度とするのが好ましい。また、下層貫通部60の幅61は適宜定めることができるが、余り広くないほうが後述する隙間の形状維持性が良いため、通常の場合は20〜40mm程度とするのが好ましい。
また、下層貫通部60は、下層吸収体23Bの前後方向中間に設けられている、つまり下層貫通部60が下層吸収体23Bの前後に突き抜けない配置とすることにより、吸収体23全体としての剛性が確保される。
一方、上層貫通部50の寸法は適宜定めることができ、前後方向長さ(中間部分51も同様となる)は図示形態のように下層貫通部60と同じとする他、下層貫通部60よりも短く又は長くすることもできる。
上層貫通部50の中間部分51の幅55は、下層貫通部60の幅61以上であることが望ましく、張出部分52を確保することも考慮すると、下層貫通部60の幅61の1.2〜1.5倍程度とすることが望ましい。上層貫通部50の張出部分52を有する部分の幅56(中間部分51の幅及び張出部分52の幅の総和)は、窪みの寸法(主に壁の高さ)や窪みの形状維持性を考慮して定めることが望ましく、中間部分51の幅55の1.5〜2倍程度、より具体的には36〜120mm程度とすることが望ましい。
上層貫通部50の張出部分52の前後方向位置は適宜定めることができ、図示例のように上層貫通部50の後側位置を側方に拡張しても良いが、前後方向中間位置を側方に拡張して形成することも可能である。また、図示形態の上層貫通部50の前側に中間部分51を延長するとともに、その幅方向両側に、後側位置の張出部分52と前後対称的な形状で張出部分を追加し、装着状態で一対の舟形の窪みが細い溝71を長手方向に挟んで対向する(略砂時計状の窪みが形成される)ように構成しても良い。
上層貫通部50の中間部分51のうち張出部分52の無い部分の形状は、図示形態のように幅が前後方向に一定の長方形状とする他、幅が前後方向に変化する(例えば後に向かうにつれて幅が拡大する)形状とする等、適宜変更が可能である。上層貫通部50の張出部分52の形状は、張出部分52の側縁における少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状とされている限り、側縁形状が図示形態のような屈曲線状であっても、円弧状などの曲線状であっても良い。図示形態では、中間部分51との境界を下底とし、後縁が下底と直交する台形状(張出部分52及びその間の中間部分51を含めた形状は5角形状)とされているが、図10(a)に示すような台形状(張出部分52及びその間の中間部分51を含めた形状は六角形状)とすることもできる。
上層貫通部50の前端(中間部分51の前端)は下層貫通部60の前端と同じかそれよりも後側に位置される。上層貫通部50の後端は図示形態のように下層貫通部60の後端と同じとするか、それよりも後側に位置させることが好ましいが、それよりも前側に位置させることも好ましい。後者の例として、図10(b)に示すように、下層貫通部60を上層貫通部50の後端よりも後側かつ股間部C2よりも後側に延在させた形態(符号60xはこの延在部分を示している)を挙げることができ、この場合には尿が下層貫通部60を通り上層吸収体23Aの下側に入ると、肌側への逆戻りが上層吸収体23Aにより遮断されることになる。
また、図示形態のように、上層貫通部50の中間部分51は上層吸収体23Aの前端まで延在され、かつ上層吸収体23Aの前端に開口されており、上層吸収体23Aの前端は、下層貫通部60の前端と同じか後側に位置されていると、股間部C2が幅方向の圧縮されたとき、上層吸収体23Aの前側ほど、かつ上層貫通部50の前側ほど圧縮され易くなり、その結果として、前述の舟形の窪みが形成され易くなるため好ましい。
(股間部立体ギャザー)
また、図示形態では、上層貫通部50の側方から突出する突出部分42が前後方向に延在されるとともに、この突出部分42の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部45とされ、これら非起立部45間の部分が非固定の起立部46とされ、且つこの起立部46にギャザー弾性伸縮部材43が前後方向に伸張した状態で固定された股間部立体ギャザー40が、表面の幅方向両側に設けられている。起立部46は、ギャザー弾性伸縮部材43の収縮力が作用することにより、図4に二点差線で示されるように、おむつ表面から立ち上がる部分である。
股間部立体ギャザー40は設けなくても良いが、上層貫通部50及び下層貫通部60により股間部C2の吸収量は低下せざるを得ず、尿が移動し易くなるため、側部立体ギャザー30とは別に設けた方が好ましい。
股間部立体ギャザー40は、専用のシートをおむつ表面に取り付けて形成しても良いが、図示形態のように、トップシート22における上層貫通部50より側方の部分を折り出して、突出部分42を形成するのが好ましい。
股間部立体ギャザー40を設ける場合、上層貫通部50の張出部分52が、前後方向において股間部立体ギャザー40の非起立部45間に位置していると(換言すれば上層貫通部50の張出部分52の幅方向位置と股間部立体ギャザー40の非起立部45の幅方向位置とが重なると)、股間部立体ギャザー40のギャザー弾性伸縮部材43の収縮力が一層構造部分23wに効果的に作用し、前述の舟形窪みの形成が促進され、また窪みの形状維持性が向上するため好ましい。しかし、股間部立体ギャザー40の非起立部45が上層貫通部50の張出部分52より幅方向中央側又は外側に位置していても良い。
また、股間部立体ギャザー40における突出部分42の基端の幅方向位置は、図示形態のように、張出部分52から側方に離間していることが望ましいが、張出部分52の側縁に合わせたり、張出部分52内に位置させたりすることもできる。特に、股間部立体ギャザー40における突出部分42の基端の幅方向位置は、展開状態で、上層貫通部50の張出部分52の外側で上層吸収体23A及び下層吸収体23Bの二層構造部分上が最も好ましい。また、股間部立体ギャザー40における突出部分42の先端の幅方向位置は、展開状態で、一層構造部分23w上を通る位置とすることが最も好ましい。これらの配置とすることで、一層構造部分23wが二層構造部分との境界である上層貫通部50の張出部分52の側縁に沿って裏側に折れ曲がりやすくなるため、舟形の窪み72の形成及び維持がより良好となる。
股間部立体ギャザー40におけるギャザー弾性伸縮部材43の素材及び固定時の伸長率としては、側部立体ギャザー30と同様の素材、範囲の中から適宜選択して用いることができる。
股間部立体ギャザー40の各部の寸法は適宜定めることができるが、この種の使い捨ておむつを用いる標準的な成人を考慮すると、非起立部45の前後方向間隔は150〜180mm程度とするのが好ましく、突出部分42の基端の幅方向間隔は60〜80mm程度とするのが好ましい。また、側部立体ギャザー30の起立部36が、股間部立体ギャザー40の起立部46よりも前方及び後方にそれぞれ延在するように構成するのが好ましい。
図示例では、製造時に使い捨ておむつの前後方向に沿って素材を搬送しつつ組み立てる一般的な製造形態を考慮し、股間部立体ギャザー40は使い捨ておむつの全長Lに及んでいる(ただし、非起立部45の前後方向長さが側部立体ギャザー30よりも長い)が、上層貫通部50の張出部分52を有する前後方向範囲を基準として、その前側近傍から後側近傍までの長さとしても良い。
本発明は、パッドタイプ、パンツタイプ若しくはテープタイプ等、使い捨ておむつ全般に利用できるものである。
B2…後側部分、C1…陰嚢配置領域、C2…股間部、F2…前側部分、 21…液不透過性シート、22…トップシート、23…吸収体、23A…上層吸収体、23B…下層吸収体、23n…括れ部分、23w…一層構造部分、25…中間シート、26…外装シート、30…側部立体ギャザー、31…側部立体ギャザーシート、33…ギャザー弾性伸縮部材、40…股間部立体ギャザー、42…突出部分、43…ギャザー弾性伸縮部材、50…上層貫通部、51…中間部分、52…張出部分、60…下層貫通部。

Claims (3)

  1. 股間部と、股間部の後側に延在する後側部分とを有しており、
    前記股間部から前記後側部分にかけて、尿を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
    前記吸収体として、下層吸収体と、下層吸収体の上に設けられた上層吸収体とを備えており、
    前記下層吸収体には、少なくとも股間部の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する細長状の下層貫通部が前後方向に沿って延在されており、
    前記上層吸収体には、少なくとも前記下層貫通部と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する上層貫通部が設けられており、
    前記上層貫通部は、前記下層貫通部上に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分と、この中間部分における前後方向中間位置または後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分とを有しており、
    前記張出部分の側縁は、少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状とされており、
    前記上層貫通部の前記中間部は、前記上層吸収体の前端まで延在され、かつ前記上層吸収体の前端に開口されており、
    前記上層吸収体の前端は、前記下層貫通部の前端と同じか後側に位置されており、
    前記下層貫通部は、前記下層吸収体の前後方向中間に設けられている、
    ことを特徴とする使い捨ておむつ。
  2. 前記上層貫通部の側方から突出する突出部分が前後方向に延在されるとともに、この突出部分の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部とされ、これら非起立部間の部分が非固定の起立部とされ、且つこの起立部にギャザー弾性伸縮部材が前後方向に伸張した状態で固定された股間部立体ギャザーが、表面の幅方向両側に設けられており、
    前記上層貫通部の張出部分は、前後方向において前記股間部立体ギャザーの非起立部間に位置している、
    請求項1記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記上層貫通部の張出部分は、中間部分との境界を下底とする台形状をなしている、請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
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