JP6052738B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents
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<請求項1記載の発明>
股間部と、股間部の後側に延在する後側部分とを有しており、
前記股間部から前記後側部分にかけて、尿を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体は、少なくとも股間部の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する貫通部及び薄手部の少なくとも一方からなる表面窪み形成領域を有しており、
前記表面窪み形成領域は、前後方向に延在する細長状の第1窪み形成部と、この第1窪み形成部における前後方向中間位置又は後側位置の幅方向両側に張り出した第2窪み形成部とを有しており、
前記第2窪み形成部は前記薄手部であり、前記第1窪み形成部は厚み方向に貫通する貫通部又は前記第2窪み形成部よりも薄い薄手部であり、
前記表面窪み形成領域の側方から突出する突出部分が前後方向に延在されるとともに、この突出部分の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部とされ、これら非起立部間の部分が非固定の起立部とされ、且つこの起立部にギャザー弾性伸縮部材が前後方向に伸長した状態で固定された股間部立体ギャザーが、表面の幅方向両側に設けられており、
前記第2窪み形成部は、前後方向において前記股間部立体ギャザーの非起立部間に位置している、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
本項記載の発明では、装着状態で使い捨ておむつが両脚間に挟まれて幅方向に圧縮された状態になると、表面窪み形成領域が幅方向中央から順におむつの外側に押し出されるように変形しつつ、おむつの表面に窪みが形成される。このとき、表面窪み形成領域のうち第1窪み形成部のみからなる部分よりも、第1窪み形成部及び第2窪み形成部からなる部分の方が第2窪み形成部の分だけ幅が広いために、より幅の広い窪みが形成される。しかも、この幅の広い窪み部分は薄手部によりある程度の剛性が確保されるため、窪みの形状及びの深さの維持性、ひいては表面間隙の維持性に優れるようになる。排尿時には、当該窪み領域及びその前側に排泄された尿のうち吸収されずに表面を移動する分は、この大きな表面間隙を流路として後側に流れ、その過程で後側の吸収体により吸収される。よって、従来問題となっていた表面間隙の少なさによる拡散阻害を効果的に防止することができる。なお、吸収体に前後方向スリットを設けて前後方向の拡散性を向上させることは知られているが、本発明はそのような周知の拡散向上技術と比べて次元の違う効果がある。
前記吸収体は一層構造のものである、請求項1記載の使い捨ておむつ。
吸収体が一層構造であっても、本発明の表面窪み形成領域を設けることで、前述の効果が奏せられる。
股間部と、股間部の後側に延在する後側部分とを有しており、
前記股間部から前記後側部分にかけて、尿を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体として、下層吸収体と、下層吸収体の上に設けられた上層吸収体とを備えており、
前記下層吸収体には、少なくとも股間部の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する細長状の下層貫通部が前後方向に沿って延在されており、
前記上層吸収体には、少なくとも前記下層貫通部と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する上層貫通部が設けられており、
前記上層貫通部は、前記下層貫通部上に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分と、この中間部分における前後方向中間位置又は後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分とを有しており、
前記上層貫通部の側方から突出する突出部分が前後方向に延在されるとともに、この突出部分の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部とされ、これら非起立部間の部分が非固定の起立部とされ、且つこの起立部にギャザー弾性伸縮部材が前後方向に伸長した状態で固定された股間部立体ギャザーが、表面の幅方向両側に設けられており、
前記張出部分は、前後方向において前記股間部立体ギャザーの非起立部間に位置している、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
本項記載の発明は、吸収体を二層構造とした場合の応用形態に関するものである。本項記載のような二層構造の吸収体では、下層貫通部及び上層貫通部の中間部分の重なり部分には吸収体が無く、上層貫通部の張出部分の部位は下層吸収体の一層構造となり、上層貫通部の張出部分の外側は上層吸収体及び下層吸収体の二層構造となる。装着状態で使い捨ておむつが両脚間に挟まれて幅方向に圧縮されたときには、下層貫通部及び上層貫通部の中間部分の重なり部分には吸収体が無いため、各貫通部の両側縁は圧縮量に応じて接近する。このとき、上層貫通部の張出部分に位置する一層構造部分にも互いに接近する方向に力が作用するものの、一層構造部分が二層構造部分との境界である上層貫通部の張出部分の側縁に沿って裏側に折れ曲がり易いことによって、一層構造部分はその幅方向外側の二層構造部分に対して裏側に折れ曲がり、これに伴い一層構造部分の間の無吸収体部分が裏側に向かって落ち込み、使い捨ておむつの表面に幅の広い窪みが形成される。
そして、このような窪みは幅方向の圧縮に対して復元し易いだけでなく、裏側に折れ曲がった一層構造部分が壁となって窪みの深さが維持されるため、窪みの維持性、ひいては表面間隙の維持性に優れる。したがって、本項記載の発明においても、排尿時には、当該窪み領域の前側に排泄された尿のうち吸収されずに表面を移動する分は、この大きな表面間隙を流路として後側に流れ、その過程で後側の吸収体により吸収される。よって、従来問題となっていた表面間隙の少なさによる拡散阻害を効果的に防止することができる。なお、吸収体に前後方向スリットを設けて前後方向の拡散性を向上させることは知られているが、本発明はそのような周知の拡散向上技術と比べて次元の違う効果がある。
さらに、吸収体を二層構造とすることや、それぞれに厚み方向の貫通部を設けることは製造技術として確立されているため、その形状や位置関係を変更するだけで容易に製造できる。
また、このような股間部立体ギャザーを有することにより、股間部立体ギャザーのギャザー弾性伸縮部材の収縮力が一層構造部分に効果的に作用し、前述の窪みの形成が促進され、また窪みの形状維持性が向上する。さらに、上層貫通部の張出部分に位置する一層構造部分は窪みの壁となる部分であり、その間の部分を含めて吸収体の吸収量が少なく、尿が移動し易い部分であるため、その両側に股間部立体ギャザーを設けることにより、いわゆる横漏れ防止も図られる。
前記下層貫通部の底に、前後方向の尿の拡散を促進する拡散シートを備えた、請求項3記載の使い捨ておむつ。
このような拡散シートを備えることにより、下層貫通部を通じた前後方向の尿の拡散が促進されるようになる。
股間部と、股間部の後側に延在する後側部分とを有しており、
前記股間部から前記後側部分にかけて、尿を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体として、下層吸収体と、下層吸収体の上に設けられた上層吸収体とを備えており、
前記下層吸収体には、少なくとも股間部の幅方向中央部に、細長状の下層薄手部が前後方向に沿って延在されており、
前記上層吸収体には、少なくとも前記下層薄手部と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する上層貫通部が設けられており、
前記上層貫通部は、前記下層薄手部上に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分と、この中間部分における前後方向中間位置又は後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分とを有しており、
前記上層貫通部の側方から突出する突出部分が前後方向に延在されるとともに、この突出部分の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部とされ、これら非起立部間の部分が非固定の起立部とされ、且つこの起立部にギャザー弾性伸縮部材が前後方向に伸長した状態で固定された股間部立体ギャザーが、表面の幅方向両側に設けられており、
前記張出部分は、前後方向において前記股間部立体ギャザーの非起立部間に位置している、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
請求項3記載の発明における下層吸収体の貫通部に代えて、本項記載のように薄手部を採用しても同様の利点がもたらされる。すなわち、本項記載のような二層構造の吸収体では、下層薄手部及び上層貫通部の中間部分の重なり部分は下層薄手部の一層構造となり、上層貫通部の張出部分の部位は下層吸収体の薄手部以外の一層構造となり、上層貫通部の張出部分の外側は上層吸収体及び下層吸収体の二層構造となる。装着状態で使い捨ておむつが両脚間に挟まれて幅方向に圧縮されたときには、上層貫通部の張出部分に位置する一層構造部分にも互いに接近する方向に力が作用するものの、当該一層構造部分が二層構造部分との境界である上層貫通部の張出部分の側縁に沿って裏側に折れ曲がり易いことによって、当該一層構造部分はその幅方向外側の二層構造部分に対して裏側に折れ曲がり、これに伴い当該一層構造部分の間の部分が裏側に向かって落ち込み、使い捨ておむつの表面に幅の広い窪みが形成される。
そして、このような窪みは幅方向の圧縮に対して復元し易いだけでなく、裏側に折れ曲がった一層構造部分が壁となって窪みの深さが維持されるため、窪みの維持性、ひいては表面間隙の維持性に優れる。したがって、本項記載の発明においても、排尿時には、当該窪み領域の前側に排泄された尿のうち吸収されずに表面を移動する分は、この大きな表面間隙を流路として後側に流れ、その過程で後側の吸収体により吸収される。よって、従来問題となっていた表面間隙の少なさによる拡散阻害を効果的に防止することができる。なお、吸収体に前後方向スリットを設けて前後方向の拡散性を向上させることは知られているが、本発明はそのような周知の拡散向上技術と比べて次元の違う効果がある。
さらに、吸収体を二層構造とすることや、それぞれに厚み方向の貫通部を設けることは製造技術として確立されているため、その形状や位置関係を変更するだけで容易に製造できる。
また、このような股間部立体ギャザーを有することにより、股間部立体ギャザーのギャザー弾性伸縮部材の収縮力が一層構造部分に効果的に作用し、前述の窪みの形成が促進され、また窪みの形状維持性が向上する。さらに、上層貫通部の張出部分に位置する一層構造部分は窪みの壁となる部分であり、その間の部分を含めて吸収体の吸収量が少なく、尿が移動し易い部分であるため、その両側に股間部立体ギャザーを設けることにより、いわゆる横漏れ防止も図られる。
股間部と、股間部の後側に延在する後側部分とを有しており、
前記股間部から前記後側部分にかけて、尿を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体として、上層吸収体と、上層吸収体の下に設けられた下層吸収体とを備えており、
前記上層吸収体には、少なくとも股間部の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する細長状の上層貫通部又は上層薄手部が前後方向に沿って延在されており、
前記下層吸収体には、少なくとも前記上層貫通部又は上層薄手部と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する下層貫通部が設けられており、
前記下層貫通部は、前記上層貫通部又は上層薄手部下に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分と、この中間部分における前後方向中間位置又は後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分とを有しており、
前記下層貫通部の側方から突出する突出部分が前後方向に延在されるとともに、この突出部分の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部とされ、これら非起立部間の部分が非固定の起立部とされ、且つこの起立部にギャザー弾性伸縮部材が前後方向に伸長した状態で固定された股間部立体ギャザーが、表面の幅方向両側に設けられており、
前記張出部分は、前後方向において前記股間部立体ギャザーの非起立部間に位置している、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
請求項3記載の上層貫通部及び下層貫通部の形状、及び請求項5記載の上層貫通部及び下層薄手部の形状を、本項記載のように上下逆にしても同様の利点がもたらされる。すなわち、本項記載のような二層構造の吸収体では、上層貫通部又は上層薄手部と下層貫通部の中間部分との重なり部分は吸収体が無いか又は上層薄手部の一層構造となり、下層貫通部の張出部分の部位は上層吸収体の一層構造又は上層吸収体の薄手部以外の一層構造となり、下層貫通部の張出部分の外側は下層吸収体及び上層吸収体の二層構造となる。装着状態で使い捨ておむつが両脚間に挟まれて幅方向に圧縮されたときには、下層貫通部の張出部分に位置する一層構造部分にも互いに接近する方向に力が作用するものの、当該一層構造部分が二層構造部分との境界である下層貫通部の張出部分の側縁に沿って裏側に折れ曲がり易いことによって、当該一層構造部分はその幅方向外側の二層構造部分に対して裏側に折れ曲がり、これに伴い当該一層構造部分の間の部分が裏側に向かって落ち込み、使い捨ておむつの表面に幅の広い窪みが形成される。
そして、このような窪みは幅方向の圧縮に対して復元し易いだけでなく、裏側に折れ曲がった一層構造部分が壁となって窪みの深さが維持されるため、窪みの維持性、ひいては表面間隙の維持性に優れる。したがって、本項記載の発明においても、排尿時には、当該窪み領域の前側に排泄された尿のうち吸収されずに表面を移動する分は、この大きな表面間隙を流路として後側に流れ、その過程で後側の吸収体により吸収される。よって、従来問題となっていた表面間隙の少なさによる拡散阻害を効果的に防止することができる。なお、吸収体に前後方向スリットを設けて前後方向の拡散性を向上させることは知られているが、本発明はそのような周知の拡散向上技術と比べて次元の違う効果がある。
さらに、吸収体を二層構造とすることや、それぞれに厚み方向の貫通部を設けることは製造技術として確立されているため、その形状や位置関係を変更するだけで容易に製造できる。
前記張出部分の側縁は、少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状とされている、請求項3〜6のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
張出部分の側縁は少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状(つまり右側については右斜め後ろ向き、左側については左斜め後ろ向き)とされていると、張出部分に位置する一層構造部分の幅が後側に向かうにつれて拡大することによって、当該一層構造部分は後側に向かうにつれて徐々にその幅方向外側の二層構造部分に対して裏側に折れ曲がり、これに伴い当該一層構造部分の間の無吸収体部分が裏側に向かって落ち込み、使い捨ておむつの表面にほぼ舟形の窪みが形成される。このような舟形の窪みは幅方向の圧縮に対して復元し易いだけでなく、裏側に折れ曲がった一層構造部分が壁となって窪みの深さが維持されるため、舟形窪みの維持性、ひいては表面間隙の維持性に優れる。
前記張出部分は、中間部分との境界を下底とする台形状をなしている、請求項3〜7のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
張出部分がこのような形状であると、製造が容易であるため好ましい。
図1〜図6は、パッドタイプ使い捨ておむつ200を示している。このパッドタイプ使い捨ておむつ200は、股間部C2と、その前後両側に延在する前側部分F2及び後側部分B2とを有するものである。各部の寸法は適宜定めることができ、例えば、おむつ全長L(前後方向長さ)は350〜700mm程度、おむつ全幅W1は130〜400mm程度とすることができ、この場合における股間部C2の前後方向長さは10〜150mm程度、前側部分F2の前後方向長さは50〜350mm程度、及び後側部分B2の前後方向長さは50〜350mm程度とすることができる。なお、「股間部」とは使用時に身体の股間と対応させる部分を意味し、製品によって、図示形態のように物品の前後方向中央若しくはその近傍から前側の所定部位までの範囲であったり、物品の前後方向中央の所定範囲であったりするものである。図示形態のように、物品の前後方向中間あるいは吸収体の前後方向中間に幅の狭い括れ部分を有する場合は、「股間部」は括れ部分の最小幅部位を前後方向中央とする所定の前後方向範囲を意味する。また、「前側部分(腹側部分)」は股間部よりも前側の部分を意味し、「後側部分(背側部分)」は股間部よりも後側の部分を意味する。
吸収体23の裏側には、液不透過性シート21が吸収体23の周縁より若干食み出すように設けられている。液不透過性シート21としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
吸収体23の表側は、液透過性トップシート22により覆われている。図示形態ではトップシート22の側縁から吸収体23が一部食み出しているが、吸収体23の側縁が食み出さないようにトップシート22の幅を広げることもできる。トップシート22としては、有孔又は無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
パッドタイプ使い捨ておむつ200の前後方向両端部では、外装シート26および液透過性トップシート22が吸収体23の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在されて貼り合わされ、吸収体23の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。パッドタイプ使い捨ておむつ200の両側部では、外装シート26が吸収体23の側縁よりも外側にそれぞれ延在され、この延在部からトップシート22の側部までの部分の内面には側部立体ギャザーシート31の幅方向外側の部分34が前後方向全体にわたり貼り付けられ、吸収体23の存在しないサイドフラップ部SFを構成している。これら貼り合わせ部分は、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールにより形成できる。外装シート26を設けない場合、外装シート26に代えて液不透過性シート21をサイドフラップ部SFまで延在させ、サイドフラップ部SFの外面側を形成することができる。
表面における両側部には、前後方向に延在する側部立体ギャザー30がそれぞれ設けられている。側部立体ギャザー30は上述の側部立体ギャザーシート31により形成されている。側部立体ギャザーシート31の幅方向中央側の部分32はトップシート22上にまで延在しており、その幅方向中央側の端部には、側部立体ギャザー弾性伸縮部材33が前後方向に沿って伸長状態でホットメルト接着剤等により固定されている。
サイドフラップ部SFの前後方向中間部には、側部立体ギャザーシート31と液不透過性シート21との間(液不透過性シート21と外装シート26との間でも良い)に細長状の平面ギャザー弾性伸縮部材27が前後方向に沿って伸長状態でホットメルト接着剤等により固定されており、この平面ギャザー弾性伸縮部材27の収縮によりサイドフラップ部SFにはいわゆる平面ギャザーが形成されている。この平面ギャザーにより、おむつの側部が弾性伸縮して脚周りにフィットするようになる。
吸収体23は、下層吸収体23Bと、下層吸収体23Bの上に設けられた上層吸収体23Aとからなる二層構造となっている。
特徴的には、図1〜図4に示すように、下層吸収体23Bにおける少なくとも股間部C2の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する(つまり吸収体が無い)細長状の下層貫通部60が前後方向に沿って延在されており、上層吸収体23Aには、少なくとも下層貫通部60と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する(つまり吸収体が無い)上層貫通部50が設けられている。そして、上層貫通部50は、下層貫通部60上に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分51と、この中間部分51における後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分52とを有しており、張出部分52の側縁は、少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状とされている。
不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。不織布の目付けは10〜40g/m2程度が好ましい。プラスチックシートを用いる場合は、表面へ前後方向に沿って溝状構造を設けたシートの他、複数のプラスチックシートを張り合わせて中空構造としたシート等を、用いることができる。また、不織布を基本とし、必要に応じて粒子状等の高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いてもよい。
フィラメント集合体を用いる場合の繊維目付けとしては、30〜120g/m2程度とすることができる。繊度は、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
また、図示形態では、上層貫通部50の側方から突出する突出部分42が前後方向に延在されるとともに、この突出部分42の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部45とされ、これら非起立部45間の部分が非固定の起立部46とされ、且つこの起立部46にギャザー弾性伸縮部材43が前後方向に伸長した状態で固定された股間部立体ギャザー40が、表面の幅方向両側に設けられている。起立部46は、ギャザー弾性伸縮部材43の収縮力が作用することにより、図4に二点差線で示されるように、おむつ表面から立ち上がる部分である。
第1の形態における下層吸収体23Bの下層貫通部60に代えて、図17〜図19に示すように、周囲よりも厚みの薄い(厚み方向に貫通しない)下層薄手部64を形成しても、第1の形態と略同様の利点がもたらされる。すなわち、本第2の形態では、下層薄手部64及び上層貫通部50の中間部分51の重なり部分(第1窪み形成部)は下層薄手部64の一層構造となり、上層貫通部50の張出部分52の部位(第2窪み形成部)は下層吸収体23Bの薄手部以外の部分23wからなる一層構造となり、上層貫通部50の張出部分52の外側は上層吸収体23A及び下層吸収体23Bの二層構造となる。装着状態で使い捨ておむつが両脚間に挟まれて幅方向に圧縮されたときには、上層貫通部50の張出部分52に位置する一層構造部分23wにも互いに接近する方向に力が作用するものの、当該一層構造部分23wが二層構造部分との境界である上層貫通部50の張出部分52の側縁に沿って裏側に折れ曲がり易いことによって、当該一層構造部分23wはその幅方向外側の二層構造部分に対して裏側に折れ曲がり、これに伴い当該一層構造部分23wの間の部分が裏側に向かって落ち込み、使い捨ておむつの表面に幅の広い窪みが形成される。そして、このような窪みは幅方向の圧縮に対して復元し易いだけでなく、裏側に折れ曲がった一層構造部分23wが壁となって窪みの深さが維持されるため、窪みの維持性、ひいては表面間隙の維持性に優れる。したがって、本第2の形態においても、排尿時には、当該窪み領域の前側に排泄された尿のうち吸収されずに表面を移動する分は、この大きな表面間隙を流路として後側に流れ、その過程で後側の吸収体23により吸収される。よって、従来問題となっていた表面間隙の少なさによる拡散阻害を効果的に防止することができる。
上記第1の形態の上層貫通部及び下層貫通部の形状を、図21〜図22に示すように上下逆にしても同様の利点がもたらされる。図21〜図22中の符号80は上層貫通部、符号81は上層貫通部80の幅、符号82は上層貫通部80の前後方向長さ、符号90は下層貫通部、符号91は下層貫通部90の中間部分、符号92は下層貫通部90の張出部分、符号95は中間部分91の幅、符号96は下層貫通部90の張出部分92を有する部分の幅をそれぞれ示している。本第3の形態では、上層貫通部80と下層貫通部90の中間部分91との重なり部分(第1窪み形成部)は吸収体23が無い構造となり、下層貫通部90の張出部分92の部位(第2窪み形成部)は上層吸収体23Aの一層構造となり、下層貫通部90の張出部分92の外側は下層吸収体23B及び上層吸収体23Aの二層構造となる。装着状態で使い捨ておむつが両脚間に挟まれて幅方向に圧縮されたときには、下層貫通部90の張出部分92に位置する一層構造部分23wにも互いに接近する方向に力が作用するものの、当該一層構造部分23wが二層構造部分との境界である下層貫通部90の張出部分92の側縁に沿って裏側に折れ曲がり易いことによって、当該一層構造部分23wはその幅方向外側の二層構造部分に対して裏側に折れ曲がり、これに伴い当該一層構造部分23wの間の部分が裏側に向かって落ち込み、使い捨ておむつの表面に幅の広い窪みが形成される。そして、このような窪みは幅方向の圧縮に対して復元し易いだけでなく、裏側に折れ曲がった一層構造部分23wが壁となって窪みの深さが維持されるため、窪みの維持性、ひいては表面間隙の維持性に優れる。したがって、本項記載の発明においても、排尿時には、当該窪み領域の前側に排泄された尿のうち吸収されずに表面を移動する分は、この大きな表面間隙を流路として後側に流れ、その過程で後側の吸収体23により吸収される。よって、従来問題となっていた表面間隙の少なさによる拡散阻害を効果的に防止することができる。
図示しないが、同様に第2の形態の上層貫通部50及び下層薄手部64の形状を上下逆にすることも可能である。
第1〜第3の形態は吸収体を二層構造として表面窪み形成領域を形成するものであるが、図23〜図26に示すように、一層構造の吸収体においても本発明の表面窪み形成領域を設けることにより同様の特徴を有する使い捨ておむつを得ることもできる。
以上に説明した第1〜第4の形態では、吸収体23を二層構造とするか、又は一層構造としているが、三層以上とすることもできる。また、本発明の範囲内において、表面窪み形成領域231,232は、貫通部、薄手部(圧縮加工、低目付)、吸収体23の積層数のいずれか一つ又は複数を組み合わせて形成することができる。よって、例えば複数層構造の吸収体23において、貫通部を設けることなく、第4の形態のような薄手部のみを設けることも本発明に含まれる。
表面窪み形成領域231,232は、股間部C2の前後方向範囲内に設けられていれば良いが、特に第1窪み形成部231は陰嚢配置領域C1の前側から後側まで延び、第2窪み形成部232は陰嚢配置領域C1内の前後方向中央位置又はこれよりも後方位置から後方に延びていることが望ましい。また、図示形態のように、吸収体23の前後方向中間に幅の狭い括れ部分23nを有する場合は、その括れ部分23nの幅が後方に向かうにつれて拡大する前後方向範囲内まで、又はそれよりも後方まで、第1窪み形成部231及び第2窪み形成部232が延びていることが好ましい。
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。すなわち、試料から100mm×100mm(±2mm)の寸法を、ロールカッターで切り取る。試料の重量を測定し、1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、株式会社尾崎製作所の厚み測定器(ピーコック、ダイヤルシックネスゲージ大型タイプ、型式J−B(測定範囲0〜35mm)又は型式K−4(測定範囲0〜50mm))を用い、試料と厚み測定器を水平にして、測定する。
Claims (8)
- 股間部と、股間部の後側に延在する後側部分とを有しており、
前記股間部から前記後側部分にかけて、尿を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体は、少なくとも股間部の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する貫通部及び薄手部の少なくとも一方からなる表面窪み形成領域を有しており、
前記表面窪み形成領域は、前後方向に延在する細長状の第1窪み形成部と、この第1窪み形成部における前後方向中間位置又は後側位置の幅方向両側に張り出した第2窪み形成部とを有しており、
前記第2窪み形成部は前記薄手部であり、前記第1窪み形成部は厚み方向に貫通する貫通部又は前記第2窪み形成部よりも薄い薄手部であり、
前記表面窪み形成領域の側方から突出する突出部分が前後方向に延在されるとともに、この突出部分の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部とされ、これら非起立部間の部分が非固定の起立部とされ、且つこの起立部にギャザー弾性伸縮部材が前後方向に伸長した状態で固定された股間部立体ギャザーが、表面の幅方向両側に設けられており、
前記第2窪み形成部は、前後方向において前記股間部立体ギャザーの非起立部間に位置している、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。 - 前記吸収体は一層構造のものである、請求項1記載の使い捨ておむつ。
- 股間部と、股間部の後側に延在する後側部分とを有しており、
前記股間部から前記後側部分にかけて、尿を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体として、下層吸収体と、下層吸収体の上に設けられた上層吸収体とを備えており、
前記下層吸収体には、少なくとも股間部の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する細長状の下層貫通部が前後方向に沿って延在されており、
前記上層吸収体には、少なくとも前記下層貫通部と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する上層貫通部が設けられており、
前記上層貫通部は、前記下層貫通部上に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分と、この中間部分における前後方向中間位置又は後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分とを有しており、
前記上層貫通部の側方から突出する突出部分が前後方向に延在されるとともに、この突出部分の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部とされ、これら非起立部間の部分が非固定の起立部とされ、且つこの起立部にギャザー弾性伸縮部材が前後方向に伸長した状態で固定された股間部立体ギャザーが、表面の幅方向両側に設けられており、
前記張出部分は、前後方向において前記股間部立体ギャザーの非起立部間に位置している、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。 - 前記下層貫通部の底に、前後方向の尿の拡散を促進する拡散シートを備えた、請求項3記載の使い捨ておむつ。
- 股間部と、股間部の後側に延在する後側部分とを有しており、
前記股間部から前記後側部分にかけて、尿を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体として、下層吸収体と、下層吸収体の上に設けられた上層吸収体とを備えており、
前記下層吸収体には、少なくとも股間部の幅方向中央部に、細長状の下層薄手部が前後方向に沿って延在されており、
前記上層吸収体には、少なくとも前記下層薄手部と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する上層貫通部が設けられており、
前記上層貫通部は、前記下層薄手部上に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分と、この中間部分における前後方向中間位置又は後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分とを有しており、
前記上層貫通部の側方から突出する突出部分が前後方向に延在されるとともに、この突出部分の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部とされ、これら非起立部間の部分が非固定の起立部とされ、且つこの起立部にギャザー弾性伸縮部材が前後方向に伸長した状態で固定された股間部立体ギャザーが、表面の幅方向両側に設けられており、
前記張出部分は、前後方向において前記股間部立体ギャザーの非起立部間に位置している、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。 - 股間部と、股間部の後側に延在する後側部分とを有しており、
前記股間部から前記後側部分にかけて、尿を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体として、上層吸収体と、上層吸収体の下に設けられた下層吸収体とを備えており、
前記上層吸収体には、少なくとも股間部の幅方向中央部に、厚み方向に貫通する細長状の上層貫通部又は上層薄手部が前後方向に沿って延在されており、
前記下層吸収体には、少なくとも前記上層貫通部又は上層薄手部と対応する前後方向範囲内に、厚み方向に貫通する下層貫通部が設けられており、
前記下層貫通部は、前記上層貫通部又は上層薄手部下に位置し前後方向に延在する細長状の中間部分と、この中間部分における前後方向中間位置又は後側位置の幅方向両側に張り出した張出部分とを有しており、
前記下層貫通部の側方から突出する突出部分が前後方向に延在されるとともに、この突出部分の前側及び後側に位置する部分がそれぞれ倒伏状態で固定された非起立部とされ、これら非起立部間の部分が非固定の起立部とされ、且つこの起立部にギャザー弾性伸縮部材が前後方向に伸長した状態で固定された股間部立体ギャザーが、表面の幅方向両側に設けられており、
前記張出部分は、前後方向において前記股間部立体ギャザーの非起立部間に位置している、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。 - 前記張出部分の側縁は、少なくとも前側の一部が後側に向かうにつれて幅方向外側に位置する形状とされている、請求項3〜6のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
- 前記張出部分は、中間部分との境界を下底とする台形状をなしている、請求項3〜7のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
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