JP2015126011A - プリント配線板 - Google Patents

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Abstract

【課題】差動伝送用の信号線を湾曲または屈曲した配線パターンで形成した場合でも、信号の到達タイミングにズレが生じることを抑制して安定した信号伝送が可能なプリント配線板を提供する。【解決手段】プリント配線板100は、信号層25、グランド層70およびこれらに挟まれた絶縁樹脂層60を備えている。信号層25には、差動伝送用の第一信号線21と第二信号線22が形成されている。グランド層70は、第一信号線21と第二信号線22に対向して設けられている。第一信号線21および第二信号線22は、信号層25の面内で湾曲または屈曲する曲げ部を有する。第二信号線22は曲げ部の内周側に位置し、第一信号線21よりも線路長が短い。絶縁樹脂層60には、第一信号線21に対向する位置に、絶縁樹脂層60よりも誘電率が低い低誘電領域40が設けられている。【選択図】図6

Description

本発明は、差動伝送用のプリント配線板に関する。
プリント配線板で行われる信号伝送には、大別してシングルエンド伝送と差動伝送がある。図11(a)に示すように、差動伝送は2本1組の伝送線路から構成され、信号1、信号2からそれぞれ正(P:Positive)と負(N:Negative)の論理信号を同時にドライバーから出力し、レシーバーへ入力する。図11(b)は、信号1および信号2の電圧振幅の時間変化を表している。縦軸は電圧振幅を示し、横軸は時間を示す。正論理の信号1は、Hiレベル信号を1、Lowレベル信号を0としている。負論理の信号2は、Hiレベル信号を0、Lowレベル信号を1とする。信号1および信号2をドライバーから同時に出力し、レシーバーでこれら2つの信号を同じタイミングで差分を取るように処理する。レシーバーで取得される電圧振幅の差分を、図11(c)に示すVSIGNAL(P)−VSIGNAL(N)で表す。同図に示すように、レシーバーでは個々の電圧振幅の2倍の振幅を、同じ立ち上がり速度で得ることが可能となる。このため、差動信号の回路は1つの信号に対して、各2本の出力および入力配線があり、その2本の信号は常にHiレベルとLowレベルの異なるレベルになっている。
直線的な差動伝送線路の場合、図11(d)に示すようにノイズを受けた場合でも、信号1側と信号2側の線路構造が略等しくノイズの影響も略同じであるため、レシーバーで差分として取得する電圧の読み値には影響しない(図11(e)参照)。このようにノイズに対するメリットがあることから、多くの高速シリアル伝送規格に差動伝送方式が広く採用されている。
近年は多種多様な配線パターンの差動伝送線路が提供され、図12(a)に示すように湾曲した配線経路の差動伝送線路が求められることも多くなっている。上述のように、論理信号が変化するとHiレベル信号がLowレベル信号に、そしてLowレベル信号がHiレベル信号に、同時に変化する。2本の信号線の配線長が同じであれば、タイミングのズレなくドライバーからレシーバーに信号伝送することが可能である。しかしながら、図12(a)のように曲げ部が存在する伝送路においては、曲げの外周側に位置する信号線と内周側に位置する信号線の長さが異なるため、信号の伝搬時間が相違することになる。このため、図12(b)に示すように信号がレシーバーに到達するタイミングにズレが発生する。信号の到達タイミングにズレが発生すると、図12(c)のように、レシーバーで差分取得された電圧波形が崩れ、読み取りエラーを起こすおそれがある。
そこで、差動伝送線路における対になる信号線の線路長を揃えるため、特許文献1の図9に示すように、内周側に位置する信号線に対し、ジグザグのミアンダ配線を適用することが提案されている。ミアンダ配線を適用することで曲げ部の内周側と外周側の信号線の線路長が均等になるため、これらの信号線の一端から他端までの信号伝搬時間が等しくなる。このため、ドライバーから出力される信号(入力信号)にノイズが混入したとしても、このノイズがレシーバーに到達するタイミングが一致する。よって、Hiレベル信号とLowレベル信号との電圧振幅の差分をレシーバーで取得することで、このノイズを除去することができる。
しかし、ミアンダ配線は信号線の幅方向にジグザグに突出する領域を用意する必要があるため、信号線の幅方向に多くの配線スペースを要するという問題がある。また、ミアンダ配線はジグザグの部分で信号の反射が発生して新たなノイズを発生させるほか、信号線同士の間隔がジグザグの部分で大小に変化するため特性インピーダンスが変動してインピーダンス不整合を招くという問題がある。
これに対し、特許文献1では、複数本の信号線が形成された配線層を挟むように第1および第2の誘電体層を積層し、線路長が短い信号線の領域ほど、当該信号線の直上における第2の誘電体層の実効誘電率を高くしている(特許文献1:図2参照)。これにより、線路長が短い信号線を伝送される信号の波長短縮率が大きくなって信号の遅延時間が大きくなるため、差動信号線対を伝送される信号の伝搬時間が等しくなるとされている。
また、特許文献2には、複数本の信号線が形成された配線層に対向するグランド層に多数の開口をパターン状に形成した配線基板が記載されている。線路長が短い信号線が形成された領域において開口パターンの開口率を大きくすることで、信号線を通過する信号の伝送速度が低下するため、線路長が異なる複数本の信号線における信号の遅延時間(伝搬時間)が等しくなるとされている。
特開2005−175078号公報 特開2000−77802号公報
しかしながら、特許文献1の発明では、第2の誘電体層を配線層の上方に形成する必要があるため、プリント配線基板の厚み寸法の増大を招来するという問題がある。また、グランド導体と信号線とに挟まれた第1の誘電体層は信号の波長短縮率を増大させることに大きく寄与するものの、信号線からみてグランド導体と反対側に形成された第2の誘電体層は信号の波長短縮率を増大させる効果がきわめて僅かである。このため、信号線の線路長の差が大きい配線パターンの場合、特許文献1の方法では対になる信号線における遅延時間を十分に等しくすることはできない。
特許文献2の発明では、複数対の差動配線対同士で信号の遅延時間を均等化することは図られるものの、一対の差動配線における信号伝搬時間を互いに等しくすることはできない。なぜならば、グランド層に形成する開口のスケールが差動配線対の配線間隔よりも遙かに大きいため、差動配線対の線路構造は略等しくなるからである。このため、内周側と外周側の信号線の線路長の差異に起因する信号の到達タイミングのズレを解消することはできない。また、特許文献2の発明ではグランド層に多数の開口を形成するため、グランド層によるシールド効果が低下する。さらに、グランド層は信号線を伝送される信号のリターン信号が流れる導体層の機能を有するところ、グランド層に開口が形成されることでリターン信号の伝達経路が複雑になるため、信号線ごとにリターン信号の経路長がばらつくことになる。このため、リターン信号の伝送速度を制御することが困難になる。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、差動伝送用の信号線を湾曲または屈曲した配線パターンで形成した場合でも、信号の到達タイミングにズレが生じることを抑制して安定した信号伝送が可能なプリント配線板を提供するものである。
本発明によれば、少なくとも一対の並行する差動伝送用の信号線が形成された信号層と、前記信号線に対向して設けられた導体層と、前記信号層と前記導体層とで挟まれる絶縁樹脂層と、を備え、一対の前記信号線は、前記信号層の面内で湾曲または屈曲する曲げ部を有するとともに、前記曲げ部の外周側に位置する第1の前記信号線と、前記曲げ部の内周側に位置し第1の信号線よりも線路長が短い第2の前記信号線と、を含み、前記絶縁樹脂層は、第1の信号線に対向する位置に、前記絶縁樹脂層よりも誘電率が低い低誘電領域が設けられていることを特徴とするプリント配線板が提供される。
本発明のプリント配線板によれば、曲げ部の外周側に位置する第1の信号線に対向する位置に低誘電領域が設けられている。ここで、信号の伝搬速度は信号層と導体層とで挟まれる絶縁樹脂層の比誘電率と負の相関があるため、低誘電領域に対向する第1の信号線における伝搬速度が向上する。よって、内周側の第2の信号線と外周側の第1の信号線とで信号の伝搬時間を均等化することができ、差動伝送用の信号線を湾曲または屈曲した配線パターンで形成した場合でも、信号の到達タイミングにズレが生じることを抑制できる。このため、本発明のプリント配線板によれば安定した信号伝送が可能である。
本発明の第一実施態様にかかるプリント配線板の平面図である。 (a)は図1に示す領域Xの拡大図である。(b)は図1に示す領域Yの拡大図である。 図2(a)に示すA−A線断面図である。 図2(a)に示すB−B線断面図である。 図2(a)に示すC−C線断面図である。 図2(b)に示すD−D線断面図である。 第一実施形態のプリント配線板の変形例を示す断面図である。 第一実施形態の信号線の拡大平面図である。 (a)から(f)は第一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。 (a)から(f)は本発明の第二実施形態にかかるプリント配線板の製造方法を示す断面図である。 (a)から(e)は差動伝送の原理を説明する図である。(a)は差動伝送線路の概念図、(b)は正負の論理信号の電圧振幅の時間変化を示すグラフ、(c)は(b)の電圧振幅の差分を示すグラフ、(d)はノイズを含む論理信号の電圧振幅の時間変化を示すグラフ、(e)は(d)の電圧振幅の差分を示すグラフである。 (a)は曲げ部を有する差動伝送線路の概念図、(b)は正負の論理信号の電圧振幅の時間変化を示すグラフ、(c)は(b)の電圧振幅の差分を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。以下の説明において積層方向に関して上下方向と呼称する場合があるが、これは各層の相対的な位置関係を説明するものであり、本実施形態にかかるプリント配線板100を製造または使用する際の方向を限定するものではない。
<第一実施形態>
図1から図6を用いて本発明の第一実施形態のプリント配線板100を説明する。図1はプリント配線板100の平面図である。図1に示す領域Xは直線部26であり、領域Yは曲げ部28である。図2(a)は領域Xの拡大図であり、図2(b)は領域Yの拡大図である。図3から図5は、それぞれ図2(a)に示すA−A線、B−B線、C−C線の断面図である。図6は、図2(b)に示すD−D線断面図である。なお、図2(b)に示すE−E線断面図は、図2(a)のC−C線の断面図(図5)と共通するため図示省略する。
はじめに、本実施形態の概要について説明する。本実施形態のプリント配線板100は、信号層25、導体層(グランド層70)および絶縁樹脂層60を備えている。信号層25には、少なくとも一対の並行する差動伝送用の信号線20(第一信号線21、第二信号線22)が形成されている。導体層(グランド層70)は、信号線(第一信号線21、第二信号線22)に対向して設けられている。絶縁樹脂層60は、信号層25と導体層(グランド層70)とで挟まれている。一対の信号線20は、信号層25の面内で湾曲または屈曲する曲げ部28を有するとともに、曲げ部28の外周側に位置する第1の信号線(第一信号線21)と、曲げ部28の内周側に位置し第一信号線21よりも線路長が短い第2の信号線(第二信号線22)と、を含む。本実施形態のプリント配線板100の絶縁樹脂層60には、第一信号線21に対向する位置に、この絶縁樹脂層60よりも誘電率が低い低誘電領域40が設けられていることを特徴とする。
次に、本実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のプリント配線板100は、たとえば可搬式の電子機器などに用いられ、各本の信号線20の線路長は数十mmから数百mmなどである。プリント配線板100はシート状をなす。なお、本明細書においてフィルムとシートとを区別しない。
プリント配線板100は、図1において図示省略する保護層80(図3参照)に覆われた信号層25が設けられている。プリント配線板100は内層として絶縁樹脂層60を備える。図1においては、図示省略された保護層80の下層に位置する信号層25から絶縁樹脂層60の一部が覗いている。信号層25は信号線20を包含する導体層である。信号線20の両端近傍には、幅方向の両外側にグランドパッド30が配置されている。図3に示すように、グランドパッド30と信号層25とは同層である。
本実施形態のプリント配線板100は一層または複数層の信号層25を有している。図1には一対の第一信号線21および第二信号線22で構成される信号層25のみを図示しているが、複数対の差動伝送線路を含んでもよい。信号線20の本数は任意であり、信号層25は、差動伝送線路に加えて、任意でシングルエンド伝送線路を含んでもよい。図1に示すプリント配線板100は、2本1対となった差動伝送の第一信号線21、第二信号線22の反対面に、導体層であるグランド層70を有する、所謂、マイクロストリップライン構造の差動伝送線路である。第一信号線21と第二信号線22とは略全長において互いに並行する差動伝送線路であり、両者をあわせて信号線20と呼称する。
信号線20は、曲げ部28を備えているほか、具体的な形状および寸法は特に限定されない。一例として、本実施形態の信号線20は角丸コ字状をなしており、複数の曲げ部28(28a、28b)を有し、その間および両端に直線部26を有している。
直線部26とは、実質的にまっすぐに形成された部位であり、僅かに湾曲していてもよい。曲げ部28は、直線部26に比して小さな曲率半径にて信号層25の面内で湾曲または屈曲している部位である。曲げ部28は、滑らかな孤状に湾曲していてもよく、または折れ曲がるように屈曲していてもよい。以下、明示の場合を除き、湾曲と屈曲とを区別せず、湾曲と総称する。プリント配線板100(絶縁樹脂層60)の平面視形状は任意であるが、本実施形態では信号線20に沿って延在する湾曲した帯状をなしている。また、明示の場合を除き、信号線20の直線部・曲げ部と、プリント配線板100(絶縁樹脂層60)の直線部・曲げ部と、を区別せず、直線部26・曲げ部28と呼称する。
図1に示すように、一対の信号線20(第一信号線21、第二信号線22)は互いに同方向に湾曲または屈曲する複数の曲げ部28a、28bを有している。低誘電領域40は、これらの複数の曲げ部28a、28bごとに第一信号線21に対向して設けられている。すなわち、複数の曲げ部28a、28bの湾曲方向が同方向であることにより、個々の曲げ部28a、28bにおける第一信号線21と第二信号線22との線路長の差が加算され、差動配線対における信号の遅延時間が顕著になる。これに対し、本実施形態では個々の曲げ部28a、28bごとに低誘電領域40を設けることで、外周側の第一信号線21における信号の遅延を抑制する。
曲げ部28の曲率半径および中心角は特に限定されず、複数の曲げ部28a、28bにおける曲率半径および中心角は、共通でもよく、または互いに相違してもよい。本実施形態では、曲げ部28a、28bの曲率半径Rおよび中心角(90度)は共通としている。曲率半径Rは、信号線20(第一信号線21、第二信号線22)の線幅よりも1オーダー(10倍)以上大きい。
図2(a)に示すように、プリント配線板100の端部に形成された直線部26において、絶縁樹脂層60は、低誘電領域40と絶縁樹脂部45とから構成されており、平面視上、信号線20と重複する位置に低誘電領域40を有している。低誘電領域40と絶縁樹脂部45とは、プリント配線板100の伸長方向に沿って交互に、かつ規則的に配列されている。
本実施形態の低誘電領域40は、絶縁樹脂層60に設けられた空隙部である。ただし、後述する第二実施形態のように、低誘電領域40には絶縁樹脂部45よりも誘電率が低い他の樹脂材料を充填してもよい。
図2(b)に示す曲げ部28では、外周側の信号ラインである第1の信号線(第一信号線21)に対向して低誘電領域40が設けられている。曲げ部28における低誘電領域40は第2の信号線(第二信号線22)に対向しておらず、第一信号線21のみに対向している。
これにより、曲げ部28における第一信号線21と第二信号線22の伝搬速度が均等化されている。以下、その理由を説明する。
信号線20を伝達される信号の伝搬速度τは下式(2)で表される。
τ=C/√ε ・・・(2)
ただし、τは信号の伝搬速度、Cは光速、εは信号層25とグランド層70とで挟まれる絶縁層10(図3参照)の実効比誘電率である。実効比誘電率εは、後述するように、絶縁樹脂部45と低誘電領域40とでそれぞれε、εとして求められる。
上式(2)より、絶縁層10の実効比誘電率εが大きいほど伝搬速度τが低下し、逆に実効比誘電率εが小さいほど伝搬速度τが増大することが分かる。本実施形態のプリント配線板100では、曲げ部28の外周側に位置し線路長が長くなる第一信号線21に対向する位置に低誘電領域40を設けることで、曲げ部28を通過する信号の伝搬速度を第二信号線22よりも高速化させることができる。このため、線路長が短い第二信号線22を通過する信号と、線路長が長い第一信号線21を通過する信号とで信号伝搬時間が均等化されるため、信号の到達タイミングにズレが生じることが抑制される。
信号伝搬時間Tは、第1の信号線(第一信号線21)または第2の信号線(第二信号線22)の一端21a、22aから他端21b、22bまで信号が通過するまでの時間である。信号伝搬時間Tは、式(2)を変形して求まる下式(3)で表すことができる。本実施形態のプリント配線板100においては、第一信号線21および第二信号線22の信号伝搬時間Tは互いに等しい。
T=(L・√(ε)+L・√(ε))/C ・・・(3)
ただし、Tは、第1の信号線(第一信号線21)または第2の信号線(第二信号線22)の信号伝搬時間である。Lは、第1の信号線(第一信号線21)または第2の信号線(第二信号線22)の線路長のうち、絶縁樹脂層60(絶縁樹脂部45)に対向している長さである。Lは、第1の信号線(第一信号線21)または第2の信号線(第二信号線22)の線路長のうち、低誘電領域40に対向している長さである。より具体的に、第一信号線21のうち低誘電領域40と対向する長さL21と表記し、第二信号線22のうち低誘電領域40と対向する長さL22と表記する場合がある。εは、絶縁樹脂層60(絶縁樹脂部45)の形成領域の実効比誘電率である。εは、低誘電領域40の形成領域の実効比誘電率である。Cは光速である。
εおよびεは、信号層25とグランド層70とで挟まれる絶縁層10(図3参照)の実効比誘電率である。絶縁層10は絶縁樹脂層60を含む積層の総称である。本実施形態では、絶縁樹脂層60(絶縁樹脂部45または低誘電領域40)、接着層111・121、絶縁基材112・122の個別の比誘電率に各層の厚み割合を乗じた加重平均としてεおよびεを求めることができる。
直線部26においては、第一信号線21と第二信号線22の線路長は互いに等しい。このため、絶縁樹脂層60に低誘電領域40を設けないか、または設ける場合には第一信号線21のうち低誘電領域40と対向する長さL21と、第二信号線22のうち低誘電領域40と対向する長さL22とを等しくするとよい。これにより、直線部26において第一信号線21と第二信号線22における信号の伝搬速度が等しくなる。そして、曲げ部28においては上記のように実質的に第一信号線21にのみ対向するように低誘電領域40を設けて第一信号線21の伝搬速度を高速化することで、曲げ部28においても第一信号線21と第二信号線22とで信号の伝搬速度が等しくなる。
すなわち、第1の信号線(第一信号線21)のうち低誘電領域40に対向している長さL21は、第2の信号線(第二信号線22)のうち低誘電領域40に対向している長さL22よりも大きい。これにより、信号線20の一端21a、22aから他端21b、22bに到るまでのいずれの位置においても、正負の論理信号は、時間遅れなく差動配線対を伝送されることになる。このため、信号線20の不特定の位置に外部からノイズ信号が混入したとしても、当該ノイズ信号がレシーバーに同時に到達することになる。よって、レシーバーで電圧振幅の差分を取得することで、当該ノイズ信号を除去することができる。なお、ミアンダ配線を備える従来のプリント配線板の場合、正負の論理信号がジグザグのミアンダ配線を通過することで時間遅れが無くなるように調整することが可能であるものの、外部から混入したノイズ信号は除去することができない。ミアンダ配線に到るまでの線路領域において配線対に外部からノイズ信号が同時に混入した場合、このミアンダ配線を通過することでノイズ信号に時間遅れが生じてしまうからである。このため、従来のプリント配線板では、ドライバーから出力される信号に混入しているノイズ信号は除去できたとしても、信号線20に外部から混入する電磁波ノイズを除去できないという問題がある。これに対し、本実施形態のプリント配線板100によれば、ドライバーから出力される信号に混入しているノイズのみならず、上述のように外部から不特定の位置に混入する電磁波ノイズをも除去することが可能である。
以下、本実施形態のプリント配線板100の構造について更に詳細に説明する。
低誘電領域40は、第1の信号線(第一信号線21)における曲げ部28に対向する位置および直線部26に対向する位置の両方に設けられている。低誘電領域40は、第二信号線22の直線部26にも対向している。
これにより、信号線20(第一信号線21、第二信号線22)に対して絶縁樹脂層60の誘電率が全体的に低減するため、信号伝搬時間Tが短くなり、言い換えると信号の高速伝送が可能になる。
図2(a)に示すように、直線部26における低誘電領域40は、信号線20の幅方向に亘って形成されている。本実施形態の低誘電領域40は平面視矩形状であるが、形状および寸法は任意である。低誘電領域40は、プリント配線板100の全幅寸法で形成されていてもよく、またはプリント配線板100の幅寸法の一部に形成されていてもよい。
本実施形態のプリント配線板100は、曲げ部28a、28bの間および両端の複数箇所(3箇所)に直線部26が設けられている。低誘電領域40は、すべての直線部26に形成されていてもよく、または複数箇所のうちの一部の直線部26のみに形成されていてもよい。
一方、図2(b)に示すように、第1の信号線(第一信号線21)の曲げ部28に対向する位置に設けられた低誘電領域40の平面視形状は、曲げ部28の外周側に向かって幅広となるテーパー状である。具体的には、扇形または三角形とすることができる。曲げ部28の外周側に向かって低誘電領域40を幅広とすることで、低誘電領域40の形成領域の実効比誘電率εを好適に低減し、上式(2)で表される第一信号線21の伝搬速度τを増大することができる。
本実施形態の低誘電領域40は絶縁樹脂層60に形成された空隙部であり、プリント配線板100の外部と連通する通気孔を備えている。これにより、プリント配線板100に電子部品を実装する工程等での加熱や、プリント配線板100の輸送時等の気圧変化によってプリント配線板100が膨れたり、変形したりすることを防止できる。
低誘電領域40は、信号線20の延在方向に沿って、複数箇所に離散配置されている。個々の低誘電領域40は互いに非連通であり、個々に開口50を備えている。
低誘電領域40を区画する絶縁樹脂部45は、絶縁樹脂層60の厚み方向に亘って存在する。絶縁樹脂層60の厚み寸法は、絶縁樹脂部45によって一定に維持され得る。即ち、絶縁樹脂部45は絶縁樹脂層60の厚み方向のスペーサとしての機能も発揮し得る。一例として、低誘電領域40の幅寸法(図2(a)の上下寸法)は0.1mm以上10mm以下とすることができる。また、絶縁樹脂部45の幅寸法(同、上下寸法)は1mm以上10mm以下とすることができる。かかる絶縁樹脂層60により、プリント配線板100の厚み方向の剛性が確保される。またプリント配線板100は、デバイス内に組み込まれる際に折り曲げられ、あるいは製造工程中に厚み方向において外力を受ける場合がある。その場合でも、かかる絶縁樹脂層60の存在により、プリント配線板100が潰れ、あるいは低誘電領域40の厚みが変化することが防止される。
低誘電領域40は、図4に示すように開口50を有することにより、プリント配線板100の外部と連通させることができる。開口50は信号線20と異なる位置に設けられることが好ましく、これにより開口50の存在が信号線20の伝送状態を乱されることを回避することができる。具体的には、図4に示すように絶縁樹脂層60における厚み方向の側端面に開口50を形成することができる。このほか、開口50の面積を十分に小さくして保護層80の表面(図4における上面)に開口形成するとともに、絶縁基材112および保護層80を貫通して低誘電領域40と連通するベントホールを設けてもよい。また、本実施形態の変形例として、開口50を設ける代わりに、低誘電領域40を囲む上面、底面または側面のいずれかをガス透過性の部材とすることにより、低誘電領域40をプリント配線板100の外部とを連通させてもよい。
本実施形態のように開口50を絶縁樹脂層60の側端面に形成することで、プリント配線板100の表面または裏面に他の電子部材が実装される場合に、実装箇所の選択を狭めることがない。また、後述するように製造工程の後段において外縁周囲の不要部分を裁断する外形処理において、低誘電領域40の端部を同時に切断することによりプリント配線板100の外縁に開口50を設けることができる。
プリント配線板100の積層構成の概要について説明する。
図3から図6に示すように、プリント配線板100は、信号線20を有する絶縁基材112と、絶縁樹脂層60(絶縁樹脂部45)とが接着層111により貼り合わされている。絶縁樹脂層60の反対側の面には、銅箔層123を備える絶縁基材122が接着層121により貼りあわされている。銅箔層123と、この表面(下面)に設けられためっき層114とによりグランド層70が構成されている。本実施形態のプリント配線板100は、信号線20が絶縁樹脂層60を介してグランド層70と対向する、所謂、マイクロストリップライン構造である。
図3に示すように、プリント配線板100の層構成としては、信号面(信号線20)側から、保護層80、導体層(信号層25)、絶縁基材112、接着層111、絶縁樹脂層60(絶縁樹脂部45)、接着層121、絶縁基材122、導体層(グランド層70)、保護層80が積層されている。すなわち、プリント配線板100は絶縁樹脂層60を中心に対称な構造である。
図4は低誘電領域40を含む断面構造を示している。図3と異なり、絶縁樹脂部45のほか、接着層111・121がなく、この部分が低誘電領域(空隙部)40となる。低誘電領域40の形成に際しては、絶縁樹脂部45に接着層111・121を予め仮付けし、金型などで一括して打ち抜くことで形成できる。これにより、絶縁樹脂層60が接着層111・121や絶縁樹脂部45で充填されている構造に比べ、誘電率、誘電正接とも小さくなり、信号の伝搬速度τが向上し、伝送損失が低減できる。
図5は伝送線路のうち、低誘電領域(空隙部)40ではない箇所の積層構造を示す断面図であり、図3に示すプリント配線板100の端部断面と同様の材料構成である。
図6は、伝送線路の曲げ部28の積層構造を示す断面図である。曲げ部28の外周側に位置する第一信号線21に対向する領域のみ低誘電領域(空隙部)40が配置され、第二信号線22に対向する領域には絶縁樹脂部45が配置されている。
図3に戻り、プリント配線板100の信号層25にはグランドパッド30が同層で設けられている。信号線20を構成する第一信号線21および第二信号線22は、絶縁基材112の上面に銅箔層116およびめっき層117がこの順で積層されている。グランドパッド30も同様に、絶縁基材112の上面に銅箔層115およびめっき層114がこの順で積層されている。信号線20およびグランドパッド30は個別に形成されてもよく、または絶縁基材112の上に形成された銅箔を所定のパターンでパターニングすることにより同工程において同時に形成されてもよい。尚、グランドパッド30は、信号線20よりも幅広の導体部である。グランドパッド30は、信号層25と反対側面に設けられているグランド層70に対し、スルーホール90を介して電気的に接続されている。尚、グランド層70および信号線20を構成する銅箔は導電部材の一例であり、銅箔以外の導電材を適宜、選択して使用することができる。
スルーホール90は、絶縁樹脂部45を貫通し、グランドパッド30とグランド層70とにおけるめっき層114を連通させて電気的に接続している。絶縁樹脂層60のうちスルーホール90の周囲には、絶縁樹脂部45が設けられている。スルーホール90の形成位置およびその周囲に絶縁樹脂部45が存在することによって、スルーホール90が安定して形成される。スルーホール90は、図1に示すようにプリント配線板100の端部に設けられるものに限定されず、任意の箇所において絶縁樹脂層60を貫通して設けることができる。
プリント配線板100を構成する各層について詳細に説明する。
図3から図7に示すように、プリント配線板100の最上層および最下層には保護層80が設けられている。保護層80は絶縁性樹脂などの絶縁性材料で作成することができる。
保護層80の内部には、信号線20を備える信号層25が設けられている。信号線20(第一信号線21および第二信号線22)は、下層の銅箔層116と、その上に積層されためっき層117とで構成されている。信号線20の線幅は、所定の特定インピーダンスを満たすようにデザインされる。信号線20の線幅は特に限定されないが、たとえば50μm以上900μm以下といった幅広い範囲で作成することが可能である。本実施形態のプリント配線板100は、絶縁樹脂層60に低誘電領域40を設けて実効誘電率を抑制していることにより、所望の特性インピーダンスを維持しつつ、200μm以上900μm以下、さらには400μm以上800μm以下といった比較的線幅の大きいデザインを実現することができる。
一対の信号線20(第一信号線21、第二信号線22)の線幅は共通でもよく、または相違してもよい。同様に、複数対の信号線20を備える場合、配線対ごとの線幅は共通でもよく、または相違してもよい。また、1本の信号線20(第一信号線21、第二信号線22)の線幅は線路長の全長に亘って一定でもよく、または後述するように任意の箇所において線幅が異なってもよい(図8参照)。
銅箔層116は、印刷形成、フォトリソグラフィ手法による形成などによりパターン形成することができる。銅箔層116に用いられる銅箔は導電性材料の一例である。銅箔のほか、銅含有組成物や銀含有組成物などの導電性金属材料、または銀箔やニッケル箔などの金属箔を用いることもできる。金属箔は、単一の金属材料からなる単層の箔を用いてもよく、または複数の金属材料の薄箔を積層して用いてもよい。
信号線20を構成するめっき層117は、スルーホール90を通じてグランドパッド30とグランド層70とを電気的に接続するめっき層114と同種または異種の導電材料より作成することができる。めっき層114および/またはめっき層117を構成する材料の例としては、例えば電解銅めっきを挙げることができる。なお、めっき層114および/またはめっき層117に代えて、銅箔層116や銅箔層123の表面に導電ペーストを塗布してもよい。
絶縁樹脂層60を挟んで信号層25の反対側には、導体層(グランド層70)が設けられている。グランド層70は、銅箔層123とめっき層114とで積層構成されている。導体層は導電性材料で構成される層であり、グランド層70のほか、シールド層や電源層などの導電層を包含する。導体層は信号層25と同様の材料および手法により形成することができる。
信号層25の内側には絶縁基材112が設けられ、絶縁基材112は接着層111により絶縁樹脂層60の上面に接合されている。また、グランド層70の内側には絶縁基材122が設けられ、絶縁基材122は接着層121により絶縁樹脂層60の下面に接合されている。絶縁基材112・122は、ガラスエポキシ、テフロンガラス、アルミナなどで構成することができる。絶縁基材112・122は互いに同種の材料を用いてもよく、または異種の材料でもよい。絶縁基材112・122としてフレキシブル性の高い材質を選択することで、プリント配線板100に柔軟性を付与し、所謂、フレキシブルプリント配線板とすることが可能である。フレキシブル性の高い材質としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などのポリアミド樹脂;エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂;液晶ポリマーなどの熱可塑性樹脂を挙げることができる。このほか、ガラス織布などの絶縁性の繊維基材を用いることもできる。特に、信号の伝送損失を低減するという観点からは、誘電率の低い誘電体としてポリイミド樹脂や液晶ポリマーを選択することができる。より具体的には、例えば、主として液晶ポリマーから構成される厚さ20μm以上30μm以下程度の絶縁性フィルムを絶縁基材112・122として用い、且つ、絶縁樹脂層60と組み合わせることができる。これにより、伝送損失が有意に低減されたフレキシブル性の示されるプリント配線板100を提供することが可能である。
接着層111・121には、同種または異種の絶縁性の接着材を選択することができる。例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、液晶ポリマー、ガラスエポキシなどを用いることができる。これらの接着材を印刷法で塗工するか、またはフィルム状に成形した接着材を貼り付ける方法で接着層111・121を形成することができる。具体的には、例えば、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂、またはポリエチレンレテフタレート系樹脂を接着材の主成分とするローフロータイプのボンディングシートにより接着層111を構成することができる。接着層111の厚みは特に限定されないがたとえば10μm以上20μm以下程度の厚さとすることができる。
絶縁樹脂層60は、上述のとおり低誘電領域40と絶縁樹脂部45とを備え、本実施形態の低誘電領域40は空隙部である。低誘電領域40は、プリント配線板100の平面視上、長辺の一方または両方において開口50を有する。絶縁樹脂部45には、上述した絶縁基材112・122と同様の材料を用いることができる。伝送損失の低減という観点から、絶縁樹脂部45はポリイミド樹脂、あるいは液晶ポリマーから構成されることが好ましい。絶縁樹脂部45は、絶縁基材112・122と異種の材料でもよい。
低誘電領域40は、絶縁樹脂層60の全厚みに亘って設けられていてもよく、または絶縁樹脂層60の一部厚みのみに設けられていてもよい。言い換えると、低誘電領域40は絶縁樹脂層60を厚み方向に貫通して設けられていてもよく、または絶縁樹脂層60(絶縁樹脂部45)の表面または内部の一部を凹形状に形成することにより低誘電領域40を形成してもよい。
絶縁層10は、信号層25とグランド層70とで挟まれる絶縁性の積層の総称である。ここで、絶縁樹脂層60から信号層25までの距離を「距離I」といい、絶縁樹脂層60からグランド層70までの距離を「距離II」と呼称する。距離Iと距離IIとが略同等の場合は、距離Iと距離IIとが異なる場合に比べて、信号線20とグランド層70との間のキャパシタンスをより小さくすることができる。また、距離Iが距離IIより小さい場合は、距離Iと距離IIとが略同等の場合または距離Iより距離IIの方が大きい場合に比べて、実効非誘電率をより小さくすることができる。距離Iを距離IIより小さくするには、例えば、プリント配線板100において絶縁基材112を省略するか、または絶縁基材112の層厚を絶縁基材122の層厚よりも小さくすればよい。
図7は、第一実施形態のプリント配線板100の変形例を示す断面図であり、図4に対応している。第一実施形態では、図4に示したように絶縁層10は絶縁基材112・122のみで構成され、絶縁樹脂部45および接着層111・121(図5参照)が設けられていない。これに対し、変形例の絶縁層10では、絶縁樹脂部45のみを除いて低誘電領域(空隙部)40とし、接着層111・121を絶縁基材112・122の内面側にそれぞれ設けている。これは、後述する製造方法において、接着層111・121を予め絶縁樹脂部45に対して仮付けしている場合に作成される構造である。本変形例によれば、絶縁層10の実効誘電率をより小さくすることができ、伝送損失の低減に貢献することができる。
本実施形態のプリント配線板100はマイクロストリップライン構造を採用したものであるが、本発明はストリップライン構造のプリント配線板にも適用することができる。また本発明は、絶縁樹脂層60を介して信号層25と導体層(グランド層70)とが対向する層構成を複合または多層に積層した配線基板にも適用することができる。
図8は本実施形態の信号線20の拡大平面図である。第1の信号線(第一信号線21)の線幅は、絶縁樹脂層60(絶縁樹脂部45)に対向する領域から、低誘電領域40に対向する領域に亘って連続的に増大している。即ち、プリント配線板100は、低誘電領域40が亘る領域における信号線20の幅寸法が、上記領域以外の他領域(絶縁樹脂部45)における信号線20の幅寸法より大きくなるよう構成されている。これは、信号線20とグランド層70との間において、低誘電領域40が設けられた箇所における実効比誘電率が、絶縁樹脂部45が設けられた箇所における実効比誘電率より小さくなる傾向にあることに起因する。信号線20の線幅の調整により、高精度のインピーダンス整合の要求に応じ、且つ、高速伝送下における伝送損失の低減をより良好に図ることが可能である。
一例として、信号線間隔100μmの差動伝送配線対の場合、低誘電領域40と対向する配線領域24aにおいて第一信号線21および第二信号線22の線幅を160μmとし、絶縁樹脂部45と対向する配線領域24cにおいて各線幅を110μmとすることができる。そして、配線領域24aと配線領域24cとの中間領域24bにおいて、線幅が連続的に変化するように信号線20を作成することができる。これにより、所定の特性インピーダンス(例えば、100Ω)を高精度に実現することができる。
<製造方法>
以下、本実施形態のプリント配線板100の製造方法について説明する。本製造方法を、順番に記載された複数の工程を用いて説明する場合があるが、その記載の順番は複数の工程を実行する順番やタイミングを限定するものではない。本製造方法を実施するときには、その複数の工程の順番は内容的に支障のない範囲で変更することができ、また複数の工程の実行タイミングの一部または全部が互いに重複していてもよい。
図9(a)から図9(f)は本実施形態のプリント配線板100の製造方法を示す工程断面図であり、図6に示した曲げ部28の断面を表している。
はじめに、図9(a)に示すように、絶縁樹脂層60の表裏面に接着層111・121を形成して絶縁樹脂フィルム170を作成する。絶縁樹脂層60には、厚さ25μm程度のポリイミドなどの樹脂シートを用いることができる。接着層111・121の形成方法にはダイコーティング等の塗布手法や、接着材シートをラミネートする手法等が選択できる。接着材シートには、厚さ5μm程度のローフローボンディングシートを用いることができる。
その後、図9(b)に示すように、この絶縁樹脂フィルム170を所定の寸法および位置において、金型での打ち抜く等の手法により低誘電領域(空隙部)40を形成する。低誘電領域(空隙部)40を形成する手法としては、金型による打ち抜きのほか、レーザ加工、プラズマ照射、ドリル加工、ウエットエッチング等の手法も単独または組み合わせで適用可能である。
本製造方法は、信号層25やグランド層70などの導体層を積層形成する前に低誘電領域40を形成する。そのため、空隙部の形成が容易であるとともに、空隙部を形成する際に他の層に損傷を与える虞がない。
曲げ部28においては、絶縁樹脂フィルム170の幅寸法のうち、第一信号線21の形成予定領域を含む一部を打ち抜いて空隙部とする。幅方向の両端の切り落とし領域と、第二信号線22の予定形成領域に絶縁樹脂部45として残す幅寸法を考慮して、本実施形態の低誘電領域(空隙部)40は、絶縁樹脂フィルム170の幅寸法の約三分の一に形成する。
次に、図9(c)に示すように、絶縁基材112(例えば、厚さ12.5μmのポリイミドフィルム)の片面に銅箔層116が貼り付けられた片面銅張積層板を2枚用意する。片面銅張積層板を、絶縁樹脂フィルム170の両面において絶縁基材112が内側となるよう位置合わせして、接着層111・121により仮付けして積層する。これにより低誘電領域(空隙部)40が閉止される。積層に平板プレスを用いることで、不要な接着材の流れ出しを防ぐことができる。一方側(同図の上面側)の銅箔層116は、信号層25に用いられるほか、グランドパッド30の下地となる銅箔層115に用いられる。他方側(同図の下面側)の銅箔層116は、グランド層70の下地となる銅箔層123に用いられる(図3参照)。
次に両面の銅箔層116同士の層間接続を行うためのスルーホール90(図3参照)を作成する。スルーホール90は、NCドリルによる貫通スルーホールのほか、レーザ加工等による非貫通の有底ビアホールとして作成することができる。本実施形態では、貫通スルーホールに導電化処理および電気銅めっきを行うことによって、めっき層114・117を、スルーホール90の内周面と、銅箔層116(115および123を含む)の表面に形成する。これにより、両面の銅箔層116同士の導通を得る。
さらに、図9(d)に示すように、上面側の銅箔層116(115)に対して、第一信号線21、第二信号線22およびグランドパッド30等の必要なパターンを、フォトグラフィ法などにより形成する。下面側の銅箔層116(123)に対しても、グランド層70のパターンをフォトリソグラフィ法などにより形成する。以上の工程により、両面に信号層25とグランド層70がパターン形成された、低誘電領域40を有する基板180を得る。
つぎに、図9(e)に示すように基板180の両面側に保護層80を形成したのち、図9(f)に示すように外形加工を行い、低誘電領域40と絶縁樹脂部45をそれぞれ通過するカットラインで基板180を切断する。これにより、低誘電領域40を有するマイクロストリップライン構造(差動伝送線路)のプリント配線板100を得る。この外形加工により、低誘電領域(空隙部)40の端面が解放されて開口50となる。
本製造方法によれば、空隙部が外部と連通する開口50を設ける前に信号線20やグランド層70を積層させるため、この間に使用される薬液や、この間に発生する粉塵が空隙部に入り込むことを回避することができる。そして、基板180の外形加工によって開口50が形成されるため、低誘電領域(空隙部)40を外部連通させるための特別な工程を用意する必要がない。
<第二実施形態>
図10(a)から図10(f)は本発明の第二実施形態のプリント配線板100の製造方法を示す工程断面図であり、図6に示した曲げ部28の断面を表している。
本実施形態のプリント配線板100は、低誘電領域40に、絶縁樹脂層60を構成する樹脂材料(絶縁樹脂部45)よりも誘電率が低い他の樹脂材料が充填されている点で第一実施形態と相違する(図10(f)参照)。
絶縁樹脂部45には、第一実施形態と同様に、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などのポリアミド樹脂のほか、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂や、液晶ポリマーなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。絶縁樹脂部45の比誘電率は3以上であることが好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂(比誘電率:3.0以上4.5以下程度)または液晶ポリマー(比誘電率:3.0以上3.5以下程度)を好適に用いることができる。
低誘電領域40に充填される他の樹脂材料(低誘電樹脂)としては、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの熱可塑性樹脂材料や、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)を例示することができる。低誘電領域40に用いる低誘電樹脂は、比誘電率が3未満であることが好ましい。PPEやm−PPEの比誘電率は2.5程度、PEの比誘電率は2.3程度、PTFEの比誘電率は2.1程度である。
本実施形態の低誘電領域40は、絶縁樹脂層60に形成した空隙部に低誘電樹脂を充填することにより形成される。プリント配線板100の製造工程として、絶縁基材112・122や導体層(信号層25、グランド層70)の形成前に絶縁樹脂層60に空隙部を形成し、そこに低誘電領域40を充填する先充填法を例示することができる。
はじめに、図10(a)に示すようにシート状の絶縁樹脂層60を用意する。この絶縁樹脂層60の所定位置に、打ち抜き等の手法により空隙部を形成し、予め同形状に形成したシート状の低誘電樹脂を空隙部に嵌め込むか、または液状の低誘電樹脂を空隙部に塗工することにより絶縁樹脂フィルム170を作成する(図10(b)参照)。本実施形態の絶縁樹脂フィルム170は、比誘電率が互いに相違する複数の樹脂材料(絶縁樹脂部45および低誘電樹脂)が面内方向に複合した複合樹脂シートである。
図10(c)に示すように、絶縁樹脂フィルム170の表裏面に、内側から順に接着層111・121、絶縁基材112・122および銅箔層116を積層する。各層の材料は第一実施形態と共通とすることができる。
以下、第一実施形態と同様に、スルーホール90により銅箔層116の層間接続を行ったうえで、めっき層114・117を形成する(図3参照)。次に、図10(d)に示すように第一信号線21、第二信号線22およびグランドパッド30(図3参照)をパターニングして基板180を形成し、両面側に保護層80を形成する(図10(e)参照)。最後に、図10(f)に示すように外形加工を行い、基板180の幅方向の両側を切断することによりプリント配線板100を得る。この外形加工により、低誘電領域40が切断されてプリント配線板100の端面に低誘電樹脂が露出する。
上記の製造方法を用いることにより、外形加工の工程においてプリント配線板100の内部に空隙部が実質的に存在しないため、プリント配線板100が厚み方向に高強度となる。このため、加工性と寸法安定性に優れるプリント配線板100を得ることができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
たとえば、図1に示すプリント配線板100は、2箇所の曲げ部28が直線部26で連結された平面形状をなしているが、本発明はこれに限られない。たとえば、図1のプリント配線板100の両端部が更に内側に湾曲していてもよい。これにより、合計4箇所の曲げ部28が存在することになり、外周側の第一信号線21の線路長が第二信号線22よりも更に長くなる。
<実施例>
以下、第一実施形態および第二実施形態に関し、一般的な寸法のプリント配線板100によって曲げ部28の外周側の第一信号線21と内周側の第二信号線22との信号伝搬時間Tを均等化できることを説明する。
プリント配線板100の形状として、図1に示すように平面的な曲げ部28が2箇所(28aおよび28b)存在する角丸コ字状の信号ラインを例示する。第二信号線22はミアンダ配線を有していない。曲げ部28a、28bの合計の中心角は180度である。
外周側に位置する第一信号線21の曲率半径Rを30mm、内周側に位置する第二信号線22の曲率半径Rを29.5mmとする。直線部26の長さは第一信号線21と第二信号線22とで共通とする。これにより、第一信号線21の一端21aから他端21bまでの長さは、第二信号線22の一端22aから他端22bまでの長さよりも、π/2(≒1.57mm)だけ長くなる。すなわち、第二信号線22の線路長を300mmとすると、第一信号線21の線路長は301.57mmとなる。
絶縁樹脂層60(絶縁樹脂部45)には、比誘電率=3.25のポリイミド樹脂を用い、低誘電領域40は空気(比誘電率≒1)または低誘電樹脂を用いるものとする。低誘電樹脂としては、PPE(比誘電率≒2.5)、PE(比誘電率≒2.3)、PTFE(比誘電率≒2.1)を用いた。
実効比誘電率(見かけ誘電率)εと、上式(2)で求まる伝搬速度τを以下の表1に示す。各ケースの実効比誘電率εは、比誘電率の物性値と、絶縁樹脂部45の比誘電率とを50%ずつの重率で加重平均して算出した。
表1より、信号線20に対向する低誘電領域40が空気である場合の伝搬速度τは0.21mm/psec程度であり、絶縁樹脂部45に対向する信号線20の伝搬速度τよりも0.04mm/psec程度高速化されていることが分かった。同様に、低誘電領域40に低誘電樹脂を充填した場合も伝搬速度τが高速化されていることが分かった。
Figure 2015126011
上記のケースについて、上式(3)で求まる信号伝搬時間Tが第一信号線21と第二信号線22とで等しくなるために最低限必要な低誘電領域40の長さLを、以下の表2に示す。言い換えると、曲げ部28の外周側に位置する第一信号線21を、第二信号線22と比してどれだけ長く低誘電領域40に対向させることで、1.57mmだけ線路長が長いことによる信号遅延をキャンセルできるかを求めた。
Figure 2015126011
表2の結果より、低誘電領域40が空隙部(空気)である場合、8.21mmの線路長に亘って第一信号線21が低誘電領域40に対向していることで、第一信号線21と第二信号線22の信号伝搬時間Tを等しくしうることが分かった。言い換えると、第二信号線22のうち低誘電領域40と対向する長さL22に比べて、第一信号線21のうち低誘電領域40と対向する長さL21を8.21mmだけ長くすることで信号伝搬時間Tが等しくなるということである。
また、低誘電領域40が低誘電樹脂(PPE、PE、PTFE)である場合も、それぞれ26.4mm、20.7mm、16.9mmの線路長に亘って第一信号線21が低誘電領域40に対向していることで、第一信号線21と第二信号線22の信号伝搬時間Tを等しくしうることが分かった。
すなわち、第二信号線22の直下に低誘電領域40を配置しない場合について言えば、第一信号線21の線路長(301.57mm)の僅か数パーセント(8.21mmから26.4mm)の線路長だけ低誘電領域40に対向させることで、第一信号線21と第二信号線22の信号伝搬時間Tを等しくすることが可能である。
また、本実施例のプリント配線板100の場合、曲率半径R=30mmの2箇所の曲げ部28a、28bにおける第一信号線21の線路長は約94mmであり、これは低誘電領域40の必要長さLを超えている。よって、低誘電領域40を空気または低誘電樹脂のいずれで作成するケースにおいても、曲げ部28の長さ領域の内部のみで第一信号線21と第二信号線22の信号伝搬時間Tを等しくすることが可能である。
すなわち、第1の信号線(第一信号線21)のうち低誘電領域40に対向している部分の長さL21と、第2の信号線(第二信号線22)のうち低誘電領域40に対向している部分の長さL22との差を、曲げ部28の長さよりも小さくすることができる。なお、信号線20に沿って離散的に配置された複数箇所において第一信号線21または第二信号線22が低誘電領域40に対向している場合、上記の長さL21や長さL22とは当該複数箇所の対向長さの合計である。
本実施例のプリント配線板100によれば、曲げ部28の長さの一部領域において低誘電領域40を形成して第一信号線21と対向させることで、信号線20の全長に亘って、外周側の第一信号線21に信号遅延が生じることが防止できる。このため、直線部26のみならず曲げ部28も含めて信号線20のいずれの位置に電磁波などの外部ノイズが混入したとしても、このノイズ信号が遅延することなく第一信号線21および第二信号線22で伝送されてレシーバーに入力される。このため、レシーバー(図11(a)参照)で電圧振幅の差分を取得することで、このノイズ信号を容易に除去することができる。また、第一信号線21と第二信号線22の信号遅延が曲げ部28のみで解消できるため、直線部26には任意の比率で低誘電領域40を形成することができる。このため、プリント配線板100は全体として絶縁樹脂層60の実効比誘電率を抑制することができ、信号の高速伝送が可能になる。
以上、実施形態および実施例では、複数の曲げ部28が同方向に湾曲または屈曲する場合を例示したが、本発明はこれに限られない。プリント配線板100は、複数箇所の曲げ部28が逆方向に湾曲していてもよい。また、第一信号線21と第二信号線22の線路長が全体として等しくてもよい。第一信号線21と第二信号線22の線路長が全体として等しい場合、信号線20の途中に曲げ部28が有ったとしても、ドライバーから出力された信号はレシーバー(図11(a)参照)に同時に到達する。したがって、ドライバーから出力される入力信号に混入しているノイズはレシーバーの差分処理によって自然に除去される。しかしながら、この場合でも、曲げ部28を通過するごとに外周側と内周側の信号線20で交互に信号遅延が発生している。したがって、電磁波などの外部ノイズが信号線20に混入した場合、その混入位置によってはレシーバーの差分処理でノイズを除去することができない。
これに対し、本実施形態および実施例のプリント配線板100によれば、曲げ部28において信号遅延が解消されているため、曲げ部28の個数および湾曲や屈曲の方向によらず、任意の位置に外部ノイズが混入しても、レシーバーの差分処理によりこれを除去することが可能である。
以上説明した本発明のプリント配線板100の各構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)少なくとも一対の並行する差動伝送用の信号線が形成された信号層と、前記信号線に対向して設けられた導体層と、前記信号層と前記導体層とで挟まれる絶縁樹脂層と、を備え、一対の前記信号線は、前記信号層の面内で湾曲または屈曲する曲げ部を有するとともに、前記曲げ部の外周側に位置する第1の前記信号線と、前記曲げ部の内周側に位置し第1の信号線よりも線路長が短い第2の前記信号線と、を含み、前記絶縁樹脂層は、第1の信号線に対向する位置に、前記絶縁樹脂層よりも誘電率が低い低誘電領域が設けられていることを特徴とするプリント配線板。
(2)第1の信号線と第2の信号線とで、一端から他端まで信号が通過するまでの下式(1)で表される信号伝搬時間が互いに等しいことを特徴とする上記(1)に記載のプリント配線板;
T=(L・√(ε)+L・√(ε))/C ・・・(1)
ただし、Tは第1の信号線または第2の信号線の前記信号伝搬時間、Lは第1の信号線または第2の信号線の線路長のうち前記絶縁樹脂層に対向している長さ、Lは第1の信号線または第2の信号線の線路長のうち前記低誘電領域に対向している長さ、εは前記絶縁樹脂層の形成領域の実効比誘電率、εは前記低誘電領域の形成領域の実効比誘電率、Cは光速、である。
(3)第1の信号線のうち前記低誘電領域に対向している長さが、第2の信号線のうち前記低誘電領域に対向している長さよりも大きい上記(1)または(2)に記載のプリント配線板。
(4)第1の信号線の前記曲げ部に対向して前記低誘電領域が設けられているとともに、当該低誘電領域が第2の信号線に対向していないことを特徴とする上記(3)に記載のプリント配線板。
(5)前記低誘電領域に対向している第1の信号線の長さと、前記低誘電領域に対向している第2の信号線の長さとの差が、前記曲げ部の長さよりも小さい上記(3)または(4)に記載のプリント配線板。
(6)前記低誘電領域が、第1の信号線における前記曲げ部に対向する位置および直線部に対向する位置の両方に設けられている上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のプリント配線板。
(7)第1の信号線の前記曲げ部に対向する位置に設けられた前記低誘電領域の平面視形状が、前記曲げ部の外周側に向かって幅広となるテーパー状である上記(6)に記載のプリント配線板。
(8)一対の前記信号線が互いに同方向に湾曲または屈曲する複数の前記曲げ部を有しており、前記低誘電領域が複数の前記曲げ部ごとに対向して設けられている上記(1)から(7)のいずれか一項に記載のプリント配線板。
(9)第1の信号線の線幅が、前記絶縁樹脂層に対向する領域から、前記低誘電領域に対向する領域に亘って連続的に増大している上記(1)から(8)のいずれか一項に記載のプリント配線板。
(10)前記低誘電領域には、前記絶縁樹脂層を構成する樹脂材料よりも誘電率が低い他の樹脂材料が充填されている上記(1)から(9)のいずれか一項に記載のプリント配線板。
(11)前記低誘電領域が、前記絶縁樹脂層に設けられた空隙部である上記(1)から(9)のいずれか一項に記載のプリント配線板。
(12)前記低誘電領域が、外部と連通する通気孔を備える上記(11)に記載のプリント配線板。
10 絶縁層
20 信号線
21 第一信号線
22 第二信号線
21a、22a 一端
21b、22b 他端
24a、24c 配線領域
24b 中間領域
25 信号層
26 直線部
28、28a、28b 曲げ部
30 グランドパッド
40 低誘電領域
45 絶縁樹脂部
50 開口
60 絶縁樹脂層
70 グランド層
80 保護層
90 スルーホール
100 プリント配線板
111・121 接着層
112・122 絶縁基材
114・117 めっき層
115、116、123 銅箔層
170 絶縁樹脂フィルム
180 基板

Claims (12)

  1. 少なくとも一対の並行する差動伝送用の信号線が形成された信号層と、前記信号線に対向して設けられた導体層と、前記信号層と前記導体層とで挟まれる絶縁樹脂層と、を備え、
    一対の前記信号線は、前記信号層の面内で湾曲または屈曲する曲げ部を有するとともに、前記曲げ部の外周側に位置する第1の前記信号線と、前記曲げ部の内周側に位置し第1の信号線よりも線路長が短い第2の前記信号線と、を含み、
    前記絶縁樹脂層は、第1の信号線に対向する位置に、前記絶縁樹脂層よりも誘電率が低い低誘電領域が設けられていることを特徴とするプリント配線板。
  2. 第1の信号線と第2の信号線とで、一端から他端まで信号が通過するまでの下式(1)で表される信号伝搬時間が互いに等しいことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板;
    T=(L・√(ε)+L・√(ε))/C ・・・(1)
    ただし、Tは第1の信号線または第2の信号線の前記信号伝搬時間、
    は第1の信号線または第2の信号線の線路長のうち前記絶縁樹脂層に対向している長さ、
    は第1の信号線または第2の信号線の線路長のうち前記低誘電領域に対向している長さ、
    εは前記絶縁樹脂層の形成領域の実効比誘電率、
    εは前記低誘電領域の形成領域の実効比誘電率、
    は光速、である。
  3. 第1の信号線のうち前記低誘電領域に対向している長さが、第2の信号線のうち前記低誘電領域に対向している長さよりも大きい請求項1または2に記載のプリント配線板。
  4. 第1の信号線の前記曲げ部に対向して前記低誘電領域が設けられているとともに、当該低誘電領域が第2の信号線に対向していないことを特徴とする請求項3に記載のプリント配線板。
  5. 前記低誘電領域に対向している第1の信号線の長さと、前記低誘電領域に対向している第2の信号線の長さとの差が、前記曲げ部の長さよりも小さい請求項3または4に記載のプリント配線板。
  6. 前記低誘電領域が、第1の信号線における前記曲げ部に対向する位置および直線部に対向する位置の両方に設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載のプリント配線板。
  7. 第1の信号線の前記曲げ部に対向する位置に設けられた前記低誘電領域の平面視形状が、前記曲げ部の外周側に向かって幅広となるテーパー状である請求項6に記載のプリント配線板。
  8. 一対の前記信号線が互いに同方向に湾曲または屈曲する複数の前記曲げ部を有しており、前記低誘電領域が複数の前記曲げ部ごとに対向して設けられている請求項1から7のいずれか一項に記載のプリント配線板。
  9. 第1の信号線の線幅が、前記絶縁樹脂層に対向する領域から、前記低誘電領域に対向する領域に亘って連続的に増大している請求項1から8のいずれか一項に記載のプリント配線板。
  10. 前記低誘電領域には、前記絶縁樹脂層を構成する樹脂材料よりも誘電率が低い他の樹脂材料が充填されている請求項1から9のいずれか一項に記載のプリント配線板。
  11. 前記低誘電領域が、前記絶縁樹脂層に設けられた空隙部である請求項1から9のいずれか一項に記載のプリント配線板。
  12. 前記低誘電領域が、外部と連通する通気孔を備える請求項11に記載のプリント配線板。
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