JP2015124563A - 箱型鋼矢板及びこれを用いた地下貯留タンク - Google Patents

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幹雄 仲井
林 幹朗
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幹朗 林
山之口 寛
Hiroshi Yamanoguchi
寛 山之口
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【課題】 簡易な構造で確実に止水を行うことができ、有害物質等が漏れ出すことがない箱型鋼矢板を提供する。
【解決手段】 中空の箱型鋼材10の対向する両辺部を延長してフランジ部20を形成し、当該フランジ部20の先端に継手30を設け、隣合う継手30同士を連結することにより連続壁110を構築する。箱型鋼材10の中空部の外面であって、隣合う他の箱型鋼材10を連結する側に、当該中空部の外側へ向かって突出する止水板40を設けて、箱型鋼矢板100を形成する。連結した継手30の隙間及び隣り合う箱型鋼材10の間に形成される空間部内に止水材50a、50bを充填することにより、地下貯留タンク120を構築する。
【選択図】図4

Description

本発明は、箱型鋼矢板及びこれを用いた地下貯留タンクに関するものであり、特に、箱型鋼矢板を連続して接続することにより遮水壁を構築する際に、確実に止水を行うことが可能な箱型鋼矢板及びこれを用いた地下貯留タンクに関するものである。
箱型鋼矢板は、H型鋼のフランジ端部に継手を有しており、隣合う継手同士を連結することにより護岸の土留め壁や遮水壁等を構築するための部材である。特に、箱型鋼矢板を用いて、廃棄物の埋め立て処分場の止水壁を構築する場合には、廃棄物に含まれる有害物質が埋め立て処分場の外部に漏れ出さないように、確実に止水を行う必要がある。
従来、廃棄物処分場等の遮水壁における止水性を向上させるための技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された鋼製矢板継手部の止水構造及び遮水護岸構造と構築方法は、不透水材料の鋼材より構成された内外遮水壁構成部材を用いて、継手部を連続させた内外連続壁を不透水性地層に単列もしくは複数列に立設させた後、空間部内を掘削洗浄してドライアップする。そして、空間部内に、アスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材を充填して遮水護岸を築造するものである。
特開2001−348862号公報
上述したように、特許文献1に記載された技術を含め、従来の遮水連続壁では、隣り合う箱型鋼矢板を連結した際に、フランジ部により形成される空間部内に、瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材を充填することにより遮水壁を構築している。
しかし、空間部内に充填した止水材は、温度変化や経年劣化等により収縮し、空間部の内壁面から剥がれてしまうことがある。このように、空間部内の止水材が空間部の内壁面から剥がれると箱型鋼矢板の空間部と止水材との間に空隙が生じ、この空隙を通して水等が漏れ出すおそれがある。
特に、有害物質を含有する廃棄物の埋め立て処分場では、漏水が生じないように十分な管理を行っているが、万が一漏水が生じた場合には周辺環境を悪化させることとなり、確実に止水を行うことができる技術の開発が望まれていた。この場合、止水性を高めるために、複雑な構造を採用することは、コスト面や作業効率を考慮すると好ましいことではない。
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、簡易な構造で確実に止水を行うことができ、有害物質等が漏れ出すことがない箱型鋼矢板及びこれを用いた地下貯留タンクを提供することを目的とする。
本発明の箱型鋼矢板及びこれを用いた地下貯留タンクは、上述した目的を達成するため、以下の特徴を有している。すなわち、本発明の箱型鋼矢板は、中空の箱型鋼材の対向する両辺部を延長してフランジ部を形成し、当該フランジ部に継手を設け、隣合う継手同士を連結することにより連続壁を構築するための部材である。そして、箱型鋼材の中空部の外面であって、隣合う他の箱型鋼材を連結する側に、当該中空部の外側へ向かって突出する止水板を設けたことを特徴とするものである。
本発明の箱型鋼矢板及びこれを用いた地下貯留タンクは、中空の箱型鋼材の対向する両辺部を延長してフランジ部を形成し、当該フランジ部に継手を設け、隣合う継手同士を連結することにより側壁を構築するとともに、底面に遮水層を形成する。この箱型鋼材は、中空部の内面であって、隣合う他の箱型鋼材を連結する側に、当該中空部の略中央部へ向かって突出する止水板を備えていることを特徴とするものである。そして、連結した継手の隙間及び隣り合う箱型鋼材の間に形成される空間部内に止水材を充填して地下貯留タンクを構築する。
本発明の箱型鋼矢板及びこれを用いた地下貯留タンクによれば、箱型鋼材の中空部の外面であって、隣合う他の箱型鋼材を連結する側に、当該中空部の外側へ向かって突出する止水板を設けている。
このような構造の箱型鋼矢板では、箱型鋼材を連結して形成される空間内に止水材を充填して止水を行うが、止水材を充填した当初は、止水材がフランジ部、中空部の外面に密着しているため、確実な止水を行うことができる。また、万が一、温度変化や経年劣化等により止水材が収縮した場合であっても、止水材は空間の内側に存在する止水板へ向かって収縮するため、止水板と止水材との間に空隙が生じることがない。
したがって、本発明の箱型鋼矢板及びこれを用いた地下貯留タンクでは、箱型鋼材の外面に止水板を設けた簡易な構造でありながら、確実に止水を行うことができる。このため、地下貯留タンク内に有害物質を含む廃棄物を貯留した場合であっても、有害物質が漏れ出すことがない。
本発明の実施形態に係る箱型鋼矢板の斜視図。 本発明の実施形態に係る箱型鋼矢板の平面図。 本発明の実施形態に係る箱型鋼矢板の継手の平面図。 本発明の実施形態に係る箱型鋼矢板を用いて構築した連続壁の一部を示す平面図。 本発明の実施形態に係る箱型鋼矢板を利用した地下貯留タンクの斜視模式図。 本発明の実施形態に係る箱型鋼矢板を利用した地下貯留タンクの縦断模式図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1〜図6は本発明の実施形態に係る箱型鋼矢板及びこれを用いた地下貯留タンクを説明するもので、図1は箱型鋼矢板の斜視図、図2は箱型鋼矢板の平面図、図3は継手の平面図、図4は箱型鋼矢板を用いて構築した連続壁の一部を示す平面図、図5は地下貯留タンクの斜視模式図、図6は地下貯留タンクの縦断模式図である。
<箱型鋼矢板及び地下貯留タンクの概要>
本発明の実施形態に係る箱型鋼矢板100は、図1及び図2に示すように、中空の箱型鋼材10の対向する両辺部を延長してフランジ部20が形成されており、各フランジ部20の先端には、それぞれ継手30を設けてある。そして、箱型鋼矢板100を地盤中に建て込み、隣合う継手30同士を連結することにより連続壁110を構築することができる。
また、箱型鋼矢板100を連結して構築した連続壁110を、円環状、断面四角形状、断面多角形状等とすることにより、地下貯留タンク120の壁部を構築することができる。地下貯留タンク120を構築する場合には、連続壁110で囲まれた底面に遮水層200を形成する。
<箱型鋼矢板>
上述したように、箱型鋼矢板100は、図1及び図2に示すように、中空の箱型鋼材10の対向する両辺部を延長してフランジ部20が形成されている。また、各フランジ部20の先端には、それぞれ継手30を設けてある。箱型鋼矢板100の形状、長さ、鋼板の厚み等は、構築する連続壁110の構造に応じて、適宜設定することができる。
<継手>
継手30は、図3に示すように、断面が略C字状となっており、開口部の一側に、他の継手30の内部に係合させるための膨出部31を設けてある。そして、一方の継手30の内部に、他方の継手30の膨出部31を挿入することにより、隣合う箱型鋼矢板100同士を連結することができる。また、各継手30内に止水材50c(例えば、水膨張性止水材)を充填することにより、連結する継手30の間で確実に止水を行うことができる。
<止水板>
止水板40は、図1及び図2に示すように、箱型鋼材10の中空部の外面であって、隣合う他の箱型鋼材10を連結する側に、当該中空部の外側へ向かって突出して設けた板状の部材からなる。すなわち、止水板40は、箱型鋼材10の中空部の外面のほぼ中央部から、対向して設けた一組のフランジ部20と略平行となるように突出している。止水板40の突出長さ、厚み、配設位置等は、箱型鋼矢板100の形状、大きさ、鋼板の厚み、充填する充填材の性質等に応じて、適宜設定することができる。
<連続壁>
図4に示すように、上述した箱型鋼矢板100を複数連結することにより連続壁110を構築することができる。この際、隣り合う箱型鋼材10の間に形成される空間部内に、アスファルト混合物等からなる止水材50aを充填する。また、箱型鋼材10の中空部内にも、コンクリート等の止水材50bを充填する。なお、止水材50a、50bは、空間部内及び中空部内に充満して止水を行うことができれば、どのような材料を用いてもよく、上述した材料の他に、粘土、モルタル、粘土モルタル、粘性系材料、合成樹脂材料等を使用することができる。
<地下貯留タンク>
本発明の実施形態に係る地下貯留タンク120は、上述した箱型鋼矢板100を複数連結して、側壁となる連続壁110を側壁とし、底面に遮水層200を形成することにより構築する。地下貯留タンク120の形状は、円環状、断面四角形状、断面多角形状等、どのような形状であってもよい。
地下貯留タンク120の底面を構築するには、例えば、図6に示すように、箱型鋼矢板100を連結した連続壁110で囲まれた地盤上に、コンクリート層210と、締め固めたベントナイト混合土層220とを積層したもので、貯留槽となる凹部の内面は防水シート230により覆われている。また、コンクリート層210とベントナイト混合土層220との間に砕石層240を設け、砕石層240から地上部へ向かってドレーン管250を設置することにより、地下貯留タンク120の底面からの漏水検知を行うことができるようにしてもよい。
さらに、図示しないが、地下貯留タンク120の上部を覆土することにより、地下貯留タンク120を設置した用地を有効利用することができる。また、地下貯留タンク120を設置した用地上に屋根を設置することにより、降雨水の流入を防止することができる。
<連続壁の造成手順>
連続壁110を造成するには、例えば、連続壁110(地下貯留タンク120)を構築する地盤300を掘削し、隣り合う箱型鋼矢板100の継手30同士を連結しながら、地盤300中に箱型鋼矢板100を設置する。この際、継ぎ手30同士を連結した際の空隙に、止水材50cを充填する。そして、箱型鋼材10の中空部内にコンクリート等からなる止水材50bを充填し、隣り合う箱型鋼矢板100の間に存在する空間部内を洗浄した後にドライアップして清掃を行い、空間部内にアスファルト材等からなる止水材50aを充填する。
連続壁110の造成に際しては、連続壁110を先行エレメントと後行エレメントとに分けて、まず所定間隔を空けて先行エレメントを造成し、隣り合う先行エレメントの間に後行エレメントを造成することにより、先行エレメントと後行エレメントが一体となった連続壁110を造成してもよい。
なお、連続壁110の造成は、上述した手順に限定されるものではなく、油圧ハンマーやバイブロハンマー等を用いて箱型鋼矢板100を地盤300中に打ち込んでもよい。この際、アースオーガーやウォータジェットを併用することができる。また、先行して地盤300中に打ち込んだ部材に反力をとり、油圧機構等を用いて、箱型鋼矢板100を地盤300中に圧入してもよい。
10 箱型鋼材
20 フランジ部
30 継手
31 膨出部
40 止水板
50a、50b、50c 止水材
100 箱型鋼矢板
110 連続壁
120 地下貯留タンク
200 遮水層
210 コンクリート層
220 ベントナイト混合土層
230 防水シート
240 砕石層
250 ドレーン管
300 地盤

Claims (2)

  1. 中空の箱型鋼材の対向する両辺部を延長してフランジ部を形成し、当該フランジ部に継手を設け、隣合う継手同士を連結することにより連続壁を構築するための箱型鋼矢板であって、
    前記箱型鋼材の中空部の外面であって、隣合う他の箱型鋼材を連結する側に、当該中空部の外側へ向かって突出する止水板を設けた、
    ことを特徴とする箱型鋼矢板。
  2. 中空の箱型鋼材の対向する両辺部を延長してフランジ部を形成し、当該フランジ部に継手を設け、隣合う継手同士を連結することにより側壁を構築するとともに、底面に遮水層を形成した地下貯留タンクであって、
    前記箱型鋼材は、中空部の内面であって、隣合う他の箱型鋼材を連結する側に、当該中空部の略中央部へ向かって突出する止水板を備え、
    前記連結した継手の隙間及び前記隣り合う箱型鋼材の間に形成される空間部内に止水材を充填した、
    ことを特徴とする地下貯留タンク。
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