JPH07150552A

JPH07150552A - 地下連続壁および鋼材

Info

Publication number: JPH07150552A
Application number: JP5300495A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Ishii; 紘石井
Original assignee: NKK Corp; Nippon Kokan Ltd
Current assignee: JFE Engineering Corp
Priority date: 1993-11-30
Filing date: 1993-11-30
Publication date: 1995-06-13

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は、仮設土留壁、遮水壁、本体地下
壁、剛体基礎等の建設基礎として用いられる地下連続壁
に関するもので、地下連続壁を構築する際に排出する掘
削残土が少ない地下連続壁を提供する。【構成】コンクリ−トと複数の鋼矢板からなる地下連
続壁であって、地下連続壁に作用する曲げモ−メントが
大きい部分の壁厚が、曲げモ−メントの小さな部分の壁
厚より厚くなるように、深さ方向の壁厚が変化している
ことを特徴とする地下連続壁。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、仮設土留壁、本体地下
壁、地下タンク、剛体基礎、遮水壁等の土木建築基礎で
ある地下連続壁および地下連続壁を構成する鋼材に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】鋼製地下連続壁（以下「地下連続壁」と
いう）は土留壁、遮水壁、本体地下壁等の土木建築基礎
に利用されている。例えば、人工島の基礎、ＬＮＧタン
クの基礎、橋梁の基礎として、地下深度１００ｍを越え
るような地下連続壁が利用されるケ−スも少なくない。
図１９は、従来の地下連続壁の一例の断面図（ハッチン
グは省略する）、図２０は従来の地下連続壁の一例の平
面図を示した図である。図１９および図２０中、１は地
下連続壁、１ａは１エレメント分の地下連続壁、２は鋼
材、３はコンクリ−ト、４は地下連続壁の根入れ部、５
は地盤、６は地下連続壁で仕切られた地盤のうち、根堀
りされた地盤の表面（以下「底盤床付レベル」とい
う）、７はＬＮＧタンク、８は不透水層を示している。
連続地下壁１は、鋼材２とコンクリ−ト３の合成部材で
構成されている。地下連続壁１は、図２０に示すように
個々の地下連続壁のエレメント１ａを連続して構築する
ことにより利用されている。

【０００３】従来、地下連続壁は以下の手順で構築され
ている。（１）まず、所定の幅、所定の長さ、所定の深さ（１エ
レメント分）の掘削溝を掘削する。この時、掘削溝の壁
面が崩れ落ちるのを防ぎ、かつ、掘削溝内に地下水が噴
出するのを防ぐため、掘削溝内を安定液で満たしながら
掘削する。（２）掘削溝内のスライムを除去した後、掘削溝内にイ
ンタ−ロッキングパイプおよび鋼材を立て込む。（３）トレミ−管で掘削溝内にコンクリ−トを打設し、
掘削溝内の安定液とコンクリ−トを置換する。

【０００４】（４）コンクリ−トがある程度の硬さに固
まってからインタ−ロッキングパイプを撤去し、１エレ
メント分の地下連続壁を完成する。（５）完成した地下連続壁の隣に新たに１エレメント分
の掘削溝を設け、上記手順を繰り返して地下連続壁を逐
次構築していく。掘削溝の幅、即ち地下連続壁の壁厚は、掘削機の刃先寸
法によって決まる。従来、地盤の掘削時には同一の掘削
機が使用される。したがって、地下連続壁の壁厚は深さ
方向では同一厚さになる。

【０００５】

【発明が解決すべき課題】一方、地下連続壁の壁厚は、
壁体に加わる曲げモ−メントの最大値に耐え得るように
設計される。地下連続壁壁面に加わる外力および曲げモ
−メントの大きさは、深さ方向で異なる。地下連続壁に
加わる外力、曲げモ−メントの大きさの深さ方向分布状
態は、周辺地盤の性質や地下連続壁の支持形式等によっ
て異なる。たとえば、地下連続壁が自立式土留壁である
か、切梁式土留壁であるか、あるいは切梁式土留壁にお
いても土留壁を支える切梁に先行荷重をかけるか、先行
荷重をかけないかによって、地下連続壁に加わる外力、
曲げモ−メントの大きさの深さ方向分布状態が異なる。

【０００６】しかしながら、地下連続壁の壁厚が深さ方
向に全て同じ厚さの場合、地下連続壁に作用する曲げモ
−メントに耐えうるに必要以上の壁厚となる箇所もでて
くる。このため、（１）地下連続壁構築時に搬出される
排土が必要以上に多くなる、（２）地下連続壁構築時の
コンクリ−ト打設量が必要以上に多くなる、（３）地下
連続壁構築時に掘削溝内に入れる安定液の量が必要以上
に多くなる、（４）地下連続壁に使用する鋼材の量が必
要以上に多くなる等の問題点が生じる。

【０００７】また、地下連続壁の構造力学的な設計以外
の観点から、地下連続壁の根入れ深さを大きくとる事が
必要とされる場合がある。例えば、地下連続壁を止水壁
として用いるときに底盤床付レベルの地盤から湧出する
地下水を止めようとする場合、地下連続壁の下端部を粘
性土等の不透水層に達するまで根入れすることが必要と
なる。一般に地下連続壁の根入れ部に作用する曲げモ−
メントは、深度が大きな位置では減少する。このため、
底盤床付レベルから不透水層までの深さが深い場合、必
要以上の壁厚の地下連続壁を根入れしなければならない
というケ−スが考えられる。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本願第１の発明は、少な
くともコンクリ−トと鋼材を構成素材として用いた地下
連続壁であって、地下連続壁に作用する曲げモ−メント
が大きい部分の壁厚が曲げモ−メントの小さな部分の壁
厚より厚くなるように、深さ方向の壁厚が変化している
ことを特徴とする地下連続壁である。

【０００９】本願第２の発明は、少なくともコンクリ−
トと鋼材を構成材料として用いた地下連続壁であって、
地下連続壁の根入れ部の一部もしくは全部の壁厚が、地
下連続壁の底盤床付レベルより浅い部分の壁厚よりも薄
いことを特徴とする地下連続壁である。

【００１０】本願第３の発明は、１つのフランジ面と前
記フランジ面に平行かつ面間隔の異なる２つのフランジ
面が、単数もしくは複数のウェブを介して材軸方向に段
差をもって設けられていることを特徴とする鋼材であ
る。

【００１１】

【作用】本願第１の発明は、地下連続壁に作用する曲げ
モ−メントが小さい部分の壁厚が曲げモ−メントの大き
い部分の壁厚より薄くなるように、深さ方向の壁厚が変
化しているため、従来工法に比べ地下連続壁構築時の掘
削溝の体積を減少させることができる。

【００１２】本願第２の発明において、地下連続壁の根
入れ部の一部もしくは全部の壁厚が、地下連続壁の底盤
床付レベルより浅い部分の壁厚よりも薄いため、地下連
続壁施工時の掘削溝の体積を減少させることができる。

【００１３】本願第３の発明において、鋼材の一方のフ
ランジ部が材軸方向に段差をもって設けられているた
め、本願第３の発明の鋼材を間にして、フランジ面間隔
の異なる鋼材、あるいは大きさ（幅）の異なる鉄筋籠を
材軸方向に接続することができる。さらに、本願第３の
発明の鋼材は、フランジ面間隔の差を吸収するための段
差が、片側のフランジ面にしか設けられていない。この
ため、フランジ面間隔の異なる鋼材を本願第３の発明の
鋼材を介して材軸方向に接続した際、段差の設けられて
いないフランジ面先端に設けられた継手部は、上下の鋼
材の継手部に連続的につながる。

【００１４】

【実施例】図１は、本願第１（および本願第２）の発明
の一実施例である地下連続壁の断面図（ハッチングは省
略する）、図２は図１中のＡ−Ａ，Ｂ−Ｂ拡大図であ
る。図１中、１は地下連続壁、２１、２２、２３は鋼
材、３はコンクリ−ト、４は地下連続壁の根入れ部、５
は地盤、６は底盤床付レベル、７はＬＮＧタンク、８は
不透水層を示している。

【００１５】地下連続壁１は、鋼材２１、２２、２３と
コンクリ−ト３で構成されている。鋼材２１、２２、２
３は、鉛直方向には、複数個の鋼材２１、鋼材２２、複
数個の鋼材２３の順に接続されている。地下連続壁１の
構築方向（図中、紙面垂直方向）には、鉛直方向に同様
に接続された別の鋼材２１、２２、２３（図示せず）
が、継手を介して複数列接続されている。

【００１６】地下連続壁１で仕切られた地盤５の一方は
所定の深さまで掘削され、ＬＮＧタンク７等のスペ−ス
として利用される。地下連続壁１の先端部は不透水層８
に達するまで根入れされている。本実施例では、底盤床
付レベル６よりも浅い部分の地下連続壁１の壁厚は、根
入れ部４の壁厚よりも厚くなっている。どれくらいの深
さに達したときに地下連続壁１の壁厚を減少させるか
は、地盤の性質、地下連続壁の用途、支持方式等の設計
条件によって異なる。尚、本発明において鋼材２１、２
３の鉛直方向への接続個数は特に限定されるものではな
い。また、本発明は、鋼材２２を複数個用い、地下連続
壁１の壁厚を深さ方向に複数回減少させる場合について
も含む。

【００１７】鋼材２１、および鋼材２３は２枚の直線型
鋼矢板をフランジとし、フランジ面が所定の間隔で平行
になるように鋼板を溶接してウェブとした鋼材である。
鋼材２１のフランジ面間隔は、鋼材２３のフランジ面間
隔よりも狭くなっている。地下連続壁の構築時にコンク
リ−トを打設する際、掘削溝とフランジ面の隙間にコン
クリ−トが回り込むようにするため、鋼材２１、２３の
フランジ面には複数個の孔が設けてある。

【００１８】尚、本発明において鋼材２１、２３の形状
は、特に限定されるものではない。例えば、Ｈ型鋼矢板
に継手部を設けたものを使用した場合も含む。また、複
数個のＨ型鋼矢板をフランジ先端部同士を突き合わせて
接続した後、両端のフランジ先端部に継手部を設けたも
のを使用した場合も含む。角形鋼管に継手部材を溶接し
たものを使用した場合も含む。２枚の直線型鋼矢板をウ
ェブを介して平行に接続した鋼材を使用する場合におい
ても、ウェブの数は限定されるものではない。鋼材２
１、２３のフランジ面間隔の差は、図２に示す様に鋼材
２２の片方のフランジ面のみに設けられた段差によって
吸収されている。

【００１９】図３は、本願第３の発明である鋼材の１実
施例の斜視図を示した図である。図３において、２２は
本願第３の発明である鋼材、２２１、２２２、２２３は
鋼材２２のフランジ面、２２４は孔、２２５は継手部、
２２５ａはフランジ面２２１の先端部に設けられた継手
部を示している。また、図３中、２１はフランジ面間隔
の狭い鋼材、２１１は鋼材２１のフランジ面、２１５お
よび２１５ａは鋼材２１の継手部、２３はフランジ面間
隔の広い鋼材、２３１は鋼材２３のフランジ面、２３５
および２３５ａは鋼材２３の継手部、２１６、２２６、
２３６はボルト接合用の孔を示している。

【００２０】鋼材２２は、１つのフランジ面２２１とこ
れに平行で面間隔の異なる２つのフランジ面２２２、２
２３が材軸方向（図３中、Ｚ軸方向を示す。）に段差を
もって設けられている。フランジ面２２１とフランジ面
２２２の間隔は鋼材２１のフランジ面間隔と等しく、フ
ランジ面２２１とフランジ面２２３の間隔は鋼材２３の
フランジ面間隔に等しい。このように鋼材２２はフラン
ジ面の片方のみに鋼材２１、２３のフランジ面間隔の差
を吸収する段差が設けられている。尚、本発明において
鋼材２２のウェブの数は限定されるものではない。例え
ば、材軸方向に垂直な断面の形状がＨ型のものも含む。

【００２１】鋼材２２のフランジ面２２１、２２２、２
２３の先端には材軸方向に連続的に継手部２２５、２２
５ａが設けられている。段差がないフランジ面２２１の
先端部に設けられた継手部２２５ａの上下には、鋼材２
１の継手部２１５ａ、鋼材２３の継手部２３５ａが、地
表面から掘削溝の最深部にいたるまで鉛直方向に連続し
てつながる。すなわち、継手部２３５ａ、２２５ａ、２
１５ａは、鋼材のフランジ面間隔が変化するところでも
連続性が失われることがないため、鋼材の立て込み時に
はガイドの役目を果たす。このため、地表面から掘削溝
の最深部まで鋼材を立て込む作業を無理なくスム−ズに
行うことができる。

【００２２】鋼材２１、２２、２３のフランジ先端に設
ける継手部２１５、２１５ａ、２２５、２２５ａ、２３
５、２３５ａの形状、形式等は、止水性の確保および継
手強度の確保ができ、鋼材の立て込み時に引っ掛かり等
の支障がなければ特に問わない。

【００２３】地下連続壁の構築時にコンクリ−トを打設
する際、掘削溝とフランジ面の隙間にコンクリ−トが回
りこむようにするため、鋼材２２のフランジ面２２１、
２２２、２２３には複数個の孔２２４が設けられてい
る。ただし、鋼材２２の材軸方向の寸法が短かく、フラ
ンジ面２２１、２２２、２２３に孔２２４を設けると強
度的に不安がある場合には、特に孔２２４を設けなくと
もよい。

【００２４】鋼材２２のフランジ面２２１、２２２、２
２３には、ボルト接合用の孔２２６が複数個設けられて
いる。同様に、鋼材２１、２３のフランジ面２１１、２
３１にもボルト接合用の孔２１６、２３６が設けられて
いる。鋼材２１と鋼材２２および鋼材２２と鋼材２３
は、接合用の添接板を介して、ボルト接合される。尚、
本発明において鋼材２１と鋼材２２および鋼材２２と鋼
材２３の接合形式は、特にボルト接合に限定されるもの
ではない。例えば溶接による接合の場合も含む。

【００２５】地下連続壁１の断面２次モ−メントを増大
させるため、鋼材２１、２２、２３とコンクリ−トが合
成化されていることが必要である。このため、鋼材２１
のフランジ面２１１、鋼材２２のフランジ面２２１、２
２２、２２３、鋼材２３のフランジ面２３１には、材軸
方向に対して角度をなす方向に所定の長さ有する突起も
しくは突条が複数設けられていることが好ましい。もし
くは、フランジ面２１１、２２１、２２２、２２３、２
３１にジベル等が設けられていると好ましい。

【００２６】以上、鋼材２１、２２、２３がフランジと
ウェブを有する鋼材からなる１実施例を示した。前記実
施例の他に、鋼材２１、２２、２３のいずれか、もしく
はすべてが鉄筋籠で構成されている場合についても本願
第１の発明および本願第２の発明に含む。

【００２７】図４〜図１８は、本願発明の地下連続壁１
の構築手順を示すための断面図（ハッチングは省略す
る）である。図３〜図１５および図１７の右図は地下連
続壁１の構築方向を面法線とする断面図、左図は地下連
続壁１の壁厚方向を面法線とするＣ−Ｃ’断面図を示し
ている。図１６、図１８は、地下連続壁１の構築方向を
面法線とする断面図を示している。図３〜図１８におい
て、９および９ａは掘削溝、１０は麻袋、１１はトレミ
−管を示す。また、２１ａ、２１ｂ、・・・は鋼材２１
を、２２ａ、２２ｂ、・・・は鋼材２２を、２３ａ、２
３ｂ・・・は鋼材２３をそれぞれ示す。以下、本願発明
の地下連続壁１の構築方法の一例を示す。

【００２８】（１）所定の幅Ｂ₁、所定の長さ、所定の
深さＨ₁（１エレメント分）の掘削溝９ａを掘削する。
この時、掘削溝９ａの壁面が崩れ落ちるのを防ぎ、か
つ、掘削溝９ａ内に地下水が吹き出すのを防ぐため、掘
削溝９ａ内を安定液（図示せず）で満たしながら掘削す
る（図４参照）。（２）掘削溝内を安定液で満たしながら、掘削溝９ａの
底部をさらに所定の幅Ｂ ₂（Ｂ₂＜Ｂ₁）、所定の長
さ、所定の深さＨ₂まで掘削し、掘削溝９をつくる。こ
の時、掘削溝９の内壁の一方の面は段差部ができないよ
うに掘削する（図５参照）。（３）安定液中に浮遊している掘削土（残土）が掘削溝
９底部に沈降してから、掘削溝９内のスライム、掘削土
を除去する（図示せず）。

【００２９】（４）掘削溝９内に鋼材２１ａ、２１ｂ・
・・、２２ａ、２２ｂ、・・・、２３ａ、２３ｂ、・・
・を立て込む。鋼材の立て込み順序を以下に示す。（4.1 ）フランジ面間隔の狭い鋼材２１ａの先端に麻、
布、高分子材料等でできた袋１０を取付け、鋼材２１ａ
を掘削溝９の直上に支持する（図６参照）。鋼材２１ａ
の立て込み位置は、掘削溝９の端部から所定の間隔をと
った位置に合わせる。（4.2 ）鋼材２１ａおよび袋１０を掘削溝９内に徐々に
降ろし、掘削溝９の入口付近で鋼材２１ａと後続の鋼材
２１ａを、添接板を介してボルト接合する（図７参
照）。

【００３０】（4.3 ）鋼材２１ａおよび袋１０を掘削溝
９内に徐々に降ろし、掘削溝９の入口付近で鋼材２１ａ
と本願第２の発明の鋼材２２ａを、添接板を介してボル
ト接合する（図８参照）。（4.4 ）鋼材２１ａ、２２ａおよび袋１０を掘削溝９内
に徐々に降ろし、掘削溝９の入口付近で鋼材２２ａとフ
ランジ面間隔の広い鋼材２３ａを、添接板を介してボル
ト接合する（図９参照）。

【００３１】（4.5 ）鋼材２１ａ、２２ａ、２３ａおよ
び袋１０を掘削溝９内に徐々に降ろし、掘削溝９の入口
付近で鋼材２３ａと後続の鋼材２３ａを、添接板を介し
てボルト接合する（図１０参照）。（4.6 ）鋼材２１ａの下端部が掘削溝９底部に達するま
で、鋼材２１ａ、２２ａ、２３ａおよび袋１０を降ろす
（図示せず）。

【００３２】（4.7 ）すでに掘削溝９内に立て込んだ鋼
材２１ａ、２２ａ、２３ａの継手のうち、地表面から掘
削溝９の最深部まで連続している継手に鋼材２１ｂの継
手を噛み合わせ、鋼材２１ｂを掘削溝９の直上に支持す
る（図１１参照）。（4.8 ）継手をガイドにして鋼材２１ｂを掘削溝９内に
除々に降ろし、掘削溝９の入口付近で鋼材２１ｂと後続
の鋼材２１ｂを、添接板を介してボルト接合する（図示
せず）。（4.9 ）継手をガイドにして鋼材２１ｂを掘削溝９内に
除々に降ろし、掘削溝９の入口付近で鋼材２１ｂと鋼材
２２ｂを、添接板を介してボルト接合する（図１２参
照）。

【００３３】（4.10）継手をガイドにして鋼材２１ｂ、
２２ｂを除々に掘削溝９内に除々に降ろし、鋼材２２ｂ
のフランジ面間隔の広い部分に設けられている２つの継
手と鋼材２３ａの２つの継手を噛み合わせる（図１３参
照）。尚、本実施例においては、鋼材の材軸方向の合計
長さのうち、フランジ面間隔が広い部分が占める長さ
が、フランジ面間隔の狭い部分の長さよりも大きくなっ
ている。したがって、掘削溝９の入口で鋼材２２ｂと鋼
材２３ａの２対の継手を噛み合わせれば、鋼材のフラン
ジ面間隔の変化する掘削溝９の中程の位置における鋼材
２１ａと鋼材２１ｂの２対の継手の噛み合わせ位置が、
自動的に決まる。

【００３４】（4.11）継手をガイドにして鋼材２１ｂ、
２２ｂを除々に掘削溝に降ろし、鋼材２１ｂと鋼材２２
ａの２対の継手部を噛み合わせるとともに、掘削溝９の
入口付近で、鋼材２２ｂと鋼材２３ｂを添接板を介して
ボルト接合する（図１４参照）。（4.12）継手をガイドにして鋼材２１ｂ、２２ｂ、２３
ｂを掘削溝９内に除々に降ろし、鋼材２３ｂに後続の鋼
材２３ｂを添接板を介してボルト接合する（図１５参
照）。

【００３５】（4.13）鋼材２１ｂの下端部が掘削溝９底
部に達するまで、鋼材２１ｂ、２２ｂ、２３ｂを降ろす
（図示せず）。（4.14）鋼材２１ｂ、２２ｂ、２３ｂを立て込んだと同
様の手順で、所定の列の鋼材２１、２２、２３を掘削溝
に立て込む。尚、掘削溝９の端部においては、鋼材２１
ａ、２２ａ、２３ａを立て込んだ時と同様に、掘削溝９
内に袋１０を送り込む（図示せず）。

【００３６】（５）鋼材の立て込み後、掘削溝９の両端
部に送り込んでおいた袋１０の中に砂、礫を詰め込む
（図１６参照）。袋１０の中に砂、礫をつめておくこと
によって、掘削溝９の端部にはコンクリ−トが打設され
ない空間部が確保される。この空間部は、先行エレメン
トの隣に連続して後続エレメント用の掘削溝の掘る際、
掘削機の刃が先行エレメントのコンクリ−トに当たるの
を避けるために設けられる。袋１０の中に詰められるも
のが砂、礫であるため、後続エレメント用の掘削溝を掘
り進めるとともに袋１０の中の砂、礫が自然に崩れ落
ち、先行エレメントの端部に空間部が確保されているの
と同じ状態になる。

【００３７】（６）トレミ−管１１で掘削溝９内に水中
コンクリ−トを打設し、安定液とコンクリ−ト３の置換
を行う（図１７参照）。（７）以上の手順で構築した１エレメント分の地下連続
壁１ａの隣に、後続エレメント用の掘削溝９を堀り、同
様の手順で地下連続壁の後続エレメントを構築する（図
１８参照）。ただし、掘削溝９端部の空間部は先行エレ
メント側には設けない。したがって、先行エレメントが
構築されている方から掘削溝９内に鋼材を立て込んでい
く際、最初に立て込む鋼材の列には空間を確保するため
の袋１０を設けない。

【００３８】尚、掘削溝９を掘削する際、先に幅Ｂ₂深
さＨ₂の掘削溝を設けた後、掘削溝の上部深さＨ₁まで
の部分を幅Ｂ₁に掘削拡大しても差支えない。ただし、
この場合、掘削溝９にたまるスライムの量が増えるた
め、あまり好ましくはない。

【００３９】また、先行エレメントの掘削溝の端部に空
間部を確保する方法は、袋を用いた方法のみに限定され
るものではない。例えば、連続地下壁の深度が浅い場合
は、所定の幅を有するブロック（すなわち、インタ−ロ
ッキング材）を掘削溝の端部に立て込んで空間部を確保
しても差し支えない。ただし、この場合、掘削溝の断面
形状に合わせてブロックを立て込むことになる。

【００４０】

【発明の効果】本発明によれば、地下連続壁の壁厚を下
端部において減少させたことによって、以下の様な効果
が得られる。（１）地下連続壁構築時に地盤掘削で搬出される排土を
削減することができる。（２）地下連続壁構築時のコンクリ−ト打設量が削減で
きる。（３）地下連続壁構築時に掘削溝内に入れる安定液の量
を削減できる。（４）従来の壁厚が一定な地下連続壁よりも使用する鋼
材の量を低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願第１（および本願第２）の発明の連続地下
壁の一実施例を示す断面図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ，Ｂ−Ｂ拡大図である。

【図３】本願第３の発明の鋼材の一実施例を示す斜視図
である。

【図４】本願第１（および本願第２）の発明である地下
連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図５】本願第１（および本願第２）の発明である地下
連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図６】本願第１（および本願第２）の発明である地下
連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図７】本願第１（および本願第２）の発明である地下
連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図８】本願第１（および本願第２）の発明である地下
連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図９】本願第１（および本願第２）の発明である地下
連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図１０】本願第１（および本願第２）の発明である地
下連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図１１】本願第１（および本願第２）の発明である地
下連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図１２】本願第１（および本願第２）の発明である地
下連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図１３】本願第１（および本願第２）の発明である地
下連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図１４】本願第１（および本願第２）の発明である地
下連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図１５】本願第１（および本願第２）の発明である地
下連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図１６】本願第１（および本願第２）の発明である地
下連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図１７】本願第１（および本願第２）の発明である地
下連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図１８】本願第１（および本願第２）の発明である地
下連続壁の構築手順の一例を説明するための断面図であ
る。

【図１９】従来の地下連続壁の一例を示す断面図であ
る。

【図２０】従来の地下連続壁の一例を示す平面図であ
る。

【符号の説明】

１地下連続壁２１鋼材２２本願第３の発明である鋼材２３フランジ面間隔が鋼矢板２１のフランジ面間隔よ
りも広い鋼材３コンクリ−ト６底盤床付レベル２２１本願第３の発明である鋼材のフランジ面２２２本願第３の発明である鋼材のフランジ面２２３本願第３の発明である鋼材のフランジ面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくともコンクリ−トと鋼材を構成素
材として用いた地下連続壁であって、地下連続壁に作用
する曲げモ−メントが大きい部分の壁厚が曲げモ−メン
トの小さな部分の壁厚より厚くなるように、深さ方向の
壁厚が変化していることを特徴とする地下連続壁。
【請求項２】少なくともコンクリ−トと鋼材を構成材
料として用いた地下連続壁であって、地下連続壁の根入
れ部の一部もしくは全部の壁厚が、地下連続壁の底盤床
付レベルより浅い部分の壁厚よりも薄いことを特徴とす
る地下連続壁。
【請求項３】１つのフランジ面と前記フランジ面に平
行かつ面間隔の異なる２つのフランジ面が、単数もしく
は複数のウェブを介して材軸方向に段差をもって設けら
れていることを特徴とする鋼材。