JP2015124345A - ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着色剤と、水と、ハイパーブランチポリマーを含有するボールペン用水性インキ組成物。前記ボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペン。前記ボールペンがインキ流量調節部材を備えてなる。
【選択図】なし
Description
更に、前記ボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペンを要件とし、該ボールペンが、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、更に軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるインキ流量調節部材を備えてなることを要件とする。
これらのハイパーブランチポリマーの製造方法としては、例えば、M.Suzuki et al;Macromolecules,25巻,7071頁(1992)、同31巻,1716頁(1998)に記載されるように、一級アミンを求核成分とし、パラジウム触媒による環状化合物の開環重合による合成方法等が挙げられる。
また、多官能基を有するモノマーを一段階ずつ化学反応させて規則的な分岐構造(コア部分を中心に複数の分岐した鎖状部分を有する構造)を形成させるデンドリマーに比べ、ハイパーブランチポリマーはモノマーから重縮合で一気に製造することができるため、デンドリマーよりも製造が容易であり、製造コストが安価であるという長所を有している。また、合成条件を適宜選択することにより分岐度も制御できるため、用途に応じた分子設計も容易に実施できることから、本発明の水性インキ組成物への適用に有用である。尚、ハイパーブランチポリマーは、構造の規制、分子量分布についてはデンドリマーほど精密ではないため、分子量や分岐度の異なる化合物の混合物となるが、デンドリマーが中心部分の結合密度が高くなるのに対して、均一な密度で結合できるため水性媒体への溶解性が高くなる。
0.01重量%未満では十分なインキ吐出性能を付与することは困難であり、また、20重量%を越えて添加しても一定以上の性能向上は認められないので、これ以上の添加を要しない。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
その他、パール顔料、金色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、修正ペン等に用いられる二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、更には熱変色性組成物、光変色性組成物、香料等を直接又はマイクロカプセル化したカプセル顔料等を例示できる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示すものや、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させ加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
また、着色剤として顔料を用いた場合、必要に応じて顔料分散剤を添加できる。前記顔料分散剤としてはアニオン、ノニオン等の界面活性剤、ポリアクリル酸、スチレンアクリル酸等のアニオン性高分子、PVP、PVA等の非イオン性高分子等が用いられる。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
また、アスコルビン酸類、エリソルビン酸類、α−トコフェロール、カテキン類、合成ポリフェノール、コウジ酸、アルキルヒドロキシルアミン、オキシム誘導体、α−グルコシルルチン、α−リポ酸、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素等を添加して化学的に気泡を除去することもできる。N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することもできる。
ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、従来から汎用のものが適用でき、例えば、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、更にインキの端面には逆流防止用のインキ逆流防止体が密接しているボールペンや、チップを筆記先端部に装着し、軸筒内部(インキ貯蔵部)に直接インキを収容し、合成樹脂製の櫛溝状インキ流量調節部材(ペン芯)を介在させる構造を有するボールペンが例示できる。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等が適用でき、直径0.1mm〜2.0mmの範囲のものが好適に用いられる。
前記インキ収容体は、有底筒状のインキ貯蔵部(栓体を用いたカートリッジ形態を含む)とする他、筒状のインキ収容管として、チップを直接または接続部材を介して連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、α−オレフィンコオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド等を添加することもできる。また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。前記液状及び固体のインキ逆流防止体は併用することも可能である。
出没機構の操作方法としては、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
前記ノック式は、軸筒後端部や軸筒側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部を押圧することにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、軸筒後部に回転部を有し、該回転部を回すことによりボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部をスライドさせることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記出没式ボールペンは軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなる複合タイプの出没式ボールペン(レフィル交換式)であってもよい。
以下の表に実施例及び比較例のボールペン用水性インキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
(1)富士色素(株)製、商品名:SP ブルー 6455、固形分27.5%
(2)保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:ブリリアントブルーFCF−L
(3)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラック 191L
(4)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(5)アーチ・ケミカルズ・ジャパン社製、商品名:プロキセルXL−2
(6)DMS社製、商品名:Hybrane PX−100(50%水溶液)
(7)BASF社製、商品名:ルビテックK−30
(8)ACGセイミケミカル(株)製、商品名:サーフロンS−111N
水に各成分を添加して室温又は必要に応じて50℃〜60℃の範囲に加温して混合攪拌した後に、室温でディスパーにて1時間攪拌し、ろ過することで各インキを調製した。
前記実施例及び比較例のインキ組成物をペン芯式ボールペン(パイロットコーポレーション社製、Hi−TecpointV5)外装のインキ貯蔵部に2g充填し、キャップを嵌合することで試料ボールペンを作製した。尚、前記ボールペンのペン芯はABS樹脂材料を射出成形することで形成した。
筆記試験A
筆記可能であることを確認した各ボールペンを自動筆記試験機にて、JIS P3201筆記用紙Aに螺旋状の丸を連続筆記した際の吐出安定性を確認した。尚、前記試験機は、室温にて筆記荷重50g、筆記角度70°、筆記速度4m/分の条件で使用した。
筆記試験B
筆記可能であることを確認した各ボールペンを、室温にてJIS P3201筆記用紙Aに手書きで1行に12個の螺旋状の丸を3行連続筆記した。その際の筆跡状態を目視により確認した。
前記各試験の結果を以下の表に示す。
筆記試験A
○:一定の吐出量で最後まで書き切れた。
×:吐出量にばらつきが見られる又は途中で筆記不能となる。
筆記試験B
○:良好な筆跡であった。
×:筆跡に複数のカスレや線飛びが見られた、又は筆跡に滲みが見られた。
Claims (3)
- 着色剤と、水と、ハイパーブランチポリマーを含有するボールペン用水性インキ組成物。
- 前記請求項1記載のボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペン。
- 多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、更に軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるインキ流量調節部材を備えてなる請求項2記載のボールペン。
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