JP2018104511A - 筆記具用水性インキ組成物及びそれを内蔵した直液式筆記具 - Google Patents

筆記具用水性インキ組成物及びそれを内蔵した直液式筆記具 Download PDF

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Abstract

【課題】合成樹脂製のペン芯を備えた筆記具に適用する水性インキにおいて、インキの表面張力を下げることなくペン芯の濡れ性を向上させることができ、滲みのない良好な筆跡が形成できる水性インキと直液式筆記具を提供する。【解決手段】ペン芯を介してペン先へインキを誘導する直液式筆記具に内蔵される水性インキ組成物であって、水と、着色剤と、アンモニウムイオンの複素環構造を有するジアリルアミン系ポリマーを0.05〜5重量%含む、前記水性インキ組成物。【選択図】なし

Description

本発明は筆記具用水性インキ組成物とそれを内蔵した直液式筆記具に関する。更には、インキがインキ貯蔵部からペン芯を介してペン先へ誘導される直液式筆記具に適用される水性インキ組成物とそれを内蔵した直液式筆記具に関する。
従来、多数の薄い円盤体が互いに僅かな間隙(櫛溝状間隔)を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなる、所謂ペン芯を介して、インキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するタイプの筆記具(直液式筆記具という)が広く使用されている。
通常ペン芯は合成樹脂材料から成形されるが、合成樹脂の表面は相対的に疎水性であるため、水性インキを適用する場合には、疎水性表面への親和性を付与するためにインキの表面張力を調整してペン芯の濡れ性を向上させる必要がある。インキの表面張力が高いとペン芯の濡れ性が悪く、ペン先からのインキ吐出性が安定せず筆跡にウスやトギレを生じることがある。これらを解消するべく、界面活性剤やエチレングリコールを水性インキ中に適用してインキの表面張力を下げる技術が適用されてきたが、表面張力を下げることでペン芯にインキが保持できなくなり、ペン先からのインキのボタ落ちを生じたり、紙によって筆跡が滲むことがあった。
そこでHLB18以上の非イオン系界面活性剤やマルトシルサイクロデキストリンを水性インキ中に添加してペン芯の濡れ性を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平3−79682号公報 特開平5−140498号公報
前記特許文献1は、非イオン系界面活性剤としてHLBが18〜20のものを適用することで、インキの表面張力を適度に下げて疎水性表面への親和性を付与し、ペン芯の濡れ性を向上させるものである。しかしながら、インキの表面張力を下げることで筆跡に滲みが生じ易くなってしまい、特に着色剤として染料を用いた場合には滲みが大きく、小さい文字を書いた際に文字が潰れて読めなくなることがあった。
前記特許文献2は、マルトシルサイクロデキストリンによりインキ粘度を上げて疎水性表面への親和性を向上させることで、ペン芯の濡れ性とボタ落ち防止性を向上させるものである。そのため、櫛溝間でのインキ保持力(貯溜性)が向上するものの、インキ中の固形分が増加して粘度が高くなるため、櫛溝間に保持したインキがインキ貯蔵部に戻る回収性が得られ難く、温度変化やキャップ着脱によって筆記具内部(インキ貯蔵部内)の圧力変化が複数回繰り返されるとペン先からインキ漏れ(ボタ落ち現象)を生じるものであった。
本発明は、前述の合成樹脂製のペン芯を備えた筆記具に適用する水性インキにおいて、インキの表面張力を下げることなくペン芯の濡れ性を向上させることができるとともに、筆記具内部の圧力変化に伴うインキ貯溜性とインキ回収性をともに満足することでペン先からのインキボタ落ち現象を生じることがなく、滲みのない良好な筆跡が形成できる水性インキと直液式筆記具を提供するものである。
本発明は、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯を介してペン先へインキを誘導する直液式筆記具に内蔵される水性インキ組成物であって、水と、着色剤と、下記一般式(1)〜(3)で表すジアリルアミン系ポリマーのいずれか一種以上を含むことを要件とする。
Figure 2018104511
〔式中、R、Rは炭素数1〜4のアルキル基から選ばれるいずれかであり、RはH又は炭素数1〜4のアルキル基から選ばれるいずれかであり、l、m、nは繰り返し数を表し、(1)〜(3)のいずれも分子量が50万以上である〕
更に、前記ジアリルアミン系ポリマーがインキ組成物全量中0.05〜5重量%の範囲で添加されること、前記着色剤が塩基性染料であること、pHが2〜7の範囲にあることを要件とする。
更には、前記いずれかの筆記具用水性インキ組成物を内蔵した直液式筆記具を要件とし、該筆記具が、ペン先と、インキ貯蔵部と、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯を備え、前記円盤体がABS樹脂成形物であることを要件とする。
本発明により、インキの表面張力を下げることなくペン芯の濡れ性を向上させることができるとともに、筆記具内部の圧力変化に伴うインキ貯溜性とインキ回収性をともに満足するペン芯性能に優れたものとなるため、温度変化やキャップ着脱が繰り返されることで生じる筆記具内部の圧力変化に対しても、ペン先からのインキボタ落ち現象が発生することがない水性インキと直液式筆記具となる。更に、表面張力の低下に伴う滲みを生じることなく良好な筆跡を長期に亘って形成できる水性インキと直液式筆記具となる。
本発明では、前記一般式(1)〜(3)で表すジアリルアミン系ポリマーのいずれか一種以上をインキ中に添加することで、インキの表面張力を下げることなくペン芯の濡れ性を向上させることが可能となるため、筆記時のインキ吐出安定性が付与できるものである。その際、インキの粘度が上昇したり、筆跡に滲みを生じることがないため、従来の不具合を発生することなく、高いペン芯性能と筆記性能が発現される。
前記一般式で表されるジアリルアミン系ポリマーは、いずれもジアリルアミン(第四級アンモニウム塩構造体)を必須モノマーとして単重合または他のモノマーと共重合させて得られるカチオン物質であり、一般式(2)においては共重合成分としてアクリルアミドが、一般式(3)においては共重合成分としてアクリルアミドと、アクリル酸又はアクリル酸アルキルエステル(C1〜4)が併用される。前記ジアリルアミン等のモノマーを公知のラジカル重合法等により重合(共重合)させることで得られるポリマーである。
更に、本発明で適用される前記ジアリルアミン系ポリマーは、重量平均分子量(Mw)が50万以上の高分子量のポリマーであり、一般式の構造において前記高分子量のものがインキ中に添加しても表面張力の低下や粘度上昇を生じることなく、ペン芯性能と筆記性能を向上させるものとなる。尚、一般式の構造であっても10万未満の低分子量体や、10万〜50万の中分子量体では本発明の効果は得られない。
前記一般式の構造で高分子量のものは、一定のポリマー鎖長有しているため合成樹脂との親和性が高く、四級アンモニウム塩により水との親和性を有することから、両親媒性を備える。そのため、水性インキ中に添加することで、表面張力を下げることなく、ペン芯の濡れ性を向上させることができると推察される。
また、アクリルアミドやアクリル酸、アクリル酸アルキルエステルと共重合させたポリマーでは、重合体と比べて分子中の四級アンモニウム塩の比率が変わるため、着色剤や添加剤等のインキ成分との反応性が制御できるようになると推察される。
前記ジアリルアミン系ポリマーの第四級アンモニウム塩構造単位の部分構造の具体例としては、N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジエチルアンモニウムクロリド、N,N−ジプロピルアンモニウムクロリド、N,N−ジブチルアンモニウムクロリド、N−メチル−N−エチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
前記ジアリルアミン系ポリマーの市販品としては、例えば、センカ(株)製「ユニセンスシリーズ」、東邦化学工業(株)製「MEポリマーシリーズ」等が挙げられ、これらのうちの重量平均分子量が50万以上の高分子量タイプが適用される。
前記ジアリルアミン系ポリマーはインキ組成物全量中0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の範囲で添加される。
0.01重量%未満では所期の効果が長期的には得られ難く、又、5重量%を越えて添加しても効果の向上は認められないので、これ以上の添加を要しない。
前記着色剤としては、水性媒体に溶解もしくは分散可能な染料及び顔料がすべて使用可能であり、その具体例を以下に例示する。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料の他、予め界面活性剤等を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等が用いられ、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:S.S.Blue GLL−E、顔料分26.3%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Red 146〔品名:S.S.Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、C.I.Pigment Red220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
その他、パール顔料、金色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、修正ペン等に用いられる二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、更には熱変色性組成物、光変色性組成物、香料等を直接又はマイクロカプセル化したカプセル顔料等を例示できる。
前記熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物が好適であり、マイクロカプセルに内包させて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として適用される。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示すものや、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させ加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
尚、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
尚、前記着色剤のうち塩基性染料を用いたインキでは、表面張力を下げることで筆跡が滲み易くなる傾向があるため、表面張力によらずペン芯性能を付与できる本発明の構成が特に有用なものとなる。そのため、塩基性染料を適用した際にも滲みのない良好な筆跡が得られる直液式筆記具を構成できるようになる。
前記着色剤は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、インキ組成中1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%の範囲で用いられる。
また、着色剤として顔料を用いた場合、必要に応じて顔料分散剤を添加できる。前記顔料分散剤としてはアニオン、ノニオン等の界面活性剤、ポリアクリル酸、スチレンアクリル酸等のアニオン性高分子、PVP、PVA等の非イオン性高分子等が用いられる。
更に必要に応じて、水に相溶性のある従来汎用の水溶性有機溶剤を用いることができる。具体的には、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
更に、紙面への固着性や粘性を付与するために水溶性樹脂を添加することもできる。前記水溶性樹脂としては、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等が挙げられる。前記水溶性樹脂は一種又は二種以上を併用することができ、インキ組成中1〜30重量%の範囲で用いられる。
その他、必要に応じて、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、トリルトリアゾール、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を使用してもよい。
更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
更に、必要に応じて剪断減粘性付与剤を添加し、インキに適当な粘性を与えて実用に供することができる。用いられる剪断減粘性付与剤は従来公知のものから適宜選択することができ、その具体例としては、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン等の多糖類、ポリアクリル酸、架橋型アクリル酸、ポリビニルアセトアミド、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、会合性ウレタンエマルジョン等が挙げられ、単独或いは混合して用いられる。
前記材料から得られる水性インキ組成物は、汎用の水性筆記具に適用できるpHに調整されるが、pH2〜7の酸性〜中性領域、好ましくは2.5〜6.9の酸性領域に調整することが望ましい。
前記pHに調整することで、着色剤として塩基性染料を用いた際に発色性の高い筆跡が得られるとともに、還元消去性の筆記具インキを構成することが可能となる。この場合、紙面に形成した筆跡に対して変色液を塗布することで、筆跡を消去することができる。
前記変色液としては、水媒体中に還元剤が添加されたものが用いられ、前記還元剤として具体的には、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸亜鉛、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、次亜塩素酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等が例示できる。特に、安全性及び消色性能の観点から亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩が好適に用いられる。尚、前記変色液は筆記具形態の外装に内蔵されて実用に供されることが好ましく、特にマーキングペン形態での使用が好ましい。
前記水性インキ組成物は、各種チップを筆記先端部に装着し、軸筒内部(インキ貯蔵部)に直接インキを収容し、合成樹脂製の櫛溝状インキ流量調節部材(ペン芯)を介在させる構造を有するマーキングペン、ボールペン、筆ペン、万年筆等の汎用のペン芯式筆記具に充填される。
尚、櫛溝状インキ流量調節部材(ペン芯)は、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなる筆記具部材である。
前記チップのうち、マーキングペンチップとしては、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ、毛筆等が適用でき、ボールペンチップとしては、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等が適用できる。尚、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等が適用でき、直径0.1mm〜2.0mmの範囲のものが好適に用いられる。
また、万年筆形態のチップ(ペン体)としては、ステンレス板、金合金板等の金属板を先細テーパー状に裁断し、屈曲又は湾曲したものや、ペン先形状に樹脂成形したもの等が適用できる。尚、前記ペン体には中心にスリットを設けたり、先端に玉部を設けることもできる。
前記ペン芯の材質としては、多数の円盤体を櫛溝状とした構造に射出成形できる合成樹脂であれば汎用のポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等いずれを用いることもできるが、特に成形性が高く、ペン芯性能が得られやすい点からアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)が好適である。
更に、前記ペン芯後方に配設され、水性インキを収容するインキ貯蔵部は、着脱可能な構造としてカートリッジ形態とすることもできる。この場合、筆記具本体が、収容するインキを使い切った後に新たなカートリッジと取り替えて使用されるため、筆記具内の内圧変化を受ける回数がより多くなる。そのため、本発明のインキ構成の適用がより有用なものとなる。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の表に実施例及び比較例の水性インキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。また、表面張力は、協和界面科学(株)製の表面張力計を用いて測定した。
Figure 2018104511
表中の原料の内容について注番号に沿って説明する。
(1)保土谷化学工業(株)製、商品名:SWT−レッド−4
(2)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターピンク2
(3)山陽色素(株)製、商品名:サンダイスーパーブルーGLL−E(顔料成分:26.3%水溶液)
(4)ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体、センカ(株)製、商品名:ユニセンスFPA1002L(重量平均分子量50万以上)
(5)ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、センカ(株)製、商品名:ユニセンスFCA1000L(重量平均分子量50万以上)
(6)アクリルアミド・アクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、東邦化学工業(株)製、商品名:MEポリマーT−343(重量平均分子量50万以上)
(7)ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、東邦化学工業(株)製、商品名:MEポリマー09W(重量平均分子量50万以上)
(8)ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体、ニットーボーメディカル(株)製、商品名:PAS−H−5L(重量平均分子量3万)
(9)ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、ニットーボーメディカル(株)製、商品名:PAS−J−81(重量平均分子量18万)
(10)日光ケミカルズ(株)製、商品名:ニッコールBPS−30
インキの調製
水に各成分を添加し、20℃でディスパーにて6000rpmで1時間攪拌し、濾過することで各インキを調製した。
筆記具の作製
前記各インキ組成物をマーキングペン形態のペン先を有するペン芯式筆記具(パイロットコーポレーション社製、SVW−15ML)外装の一方のインキ貯蔵部に0.5g充填し、キャップを嵌合することで試料筆記具を作製した。尚、前記筆記具のペン芯はABS樹脂材料を射出成形することで形成した。更に、実施例1〜3及び比較例1〜3のインキを充填したものには、水媒体中に亜硫酸ナトリウムを加えてなる変色液を他方のインキ貯蔵部に充填した。
前記試料用筆記具を用いて以下の試験を行った。
ペン芯性能試験
ペン先下向き状態で保持した各試料筆記具を、キャップ嵌合状態で0℃、1時間放置した後、ペン先下向き状態のままキャップを外して30℃まで上昇させた際のペン芯櫛溝部へのインキ流入状態及びペン先からのインキボタ落ちの有無を観察した。更に、再び0℃に冷却した際にペン芯櫛溝部からインキ貯蔵部へのインキの回収状態を観察した。
筆記試験
筆記可能であることを確認した各試料ボールペンを、20℃にてJIS P3201筆記用紙Aに手書きで1行に12個の螺旋状の丸を連続筆記した。その際の筆跡状態を目視により確認した。
尚、実施例1〜3及び比較例1〜3のインキを充填した筆記具の筆跡は、変色液側のペン先でなぞることで消去することが確認できた。
前記各試験の結果を以下の表に示す。
Figure 2018104511
尚、試験結果の評価は以下の通りである。
ペン芯性能試験
○:円滑に流入し、ボタ落ちは発生しなかった。また、ペン芯内の全てのインキを良好に回収した。
×:流入が変則的で、ボタ落ちが発生した、またはインキが回収されず、ペン芯櫛溝部内に残留した。
筆記試験
○:良好な筆跡を示した。
△:筆跡に若干の滲みが見られた。
×:筆跡に大きな滲みが見られた。

Claims (6)

  1. 多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯を介してペン先へインキを誘導する直液式筆記具に内蔵される水性インキ組成物であって、
    水と、着色剤と、下記一般式(1)〜(3)で表すジアリルアミン系ポリマーのいずれか一種以上を含む筆記具用水性インキ組成物。
    Figure 2018104511
    〔式中、R、Rは炭素数1〜4のアルキル基から選ばれるいずれかであり、RはH又は炭素数1〜4のアルキル基から選ばれるいずれかであり、l、m、nは繰り返し数を表し、(1)〜(3)のいずれも分子量が50万以上である〕
  2. 前記ジアリルアミン系ポリマーがインキ組成物全量中0.05〜5重量%の範囲で添加される請求項1記載の筆記具用水性インキ組成物。
  3. 前記着色剤が塩基性染料である請求項1又は2に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  4. pHが2〜7の範囲にある請求項3記載の筆記具用水性インキ組成物。
  5. 前記請求項1乃至4のいずれかに記載の筆記具用水性インキ組成物を内蔵した直液式筆記具。
  6. ペン先と、インキ貯蔵部と、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯を備え、前記円盤体がABS樹脂成形物である請求項5記載の直液式筆記具。
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