JP4966510B2 - 直液式筆記具 - Google Patents
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Description
前記筆記具に適用されるペン芯は通常、合成樹脂成形物であり、表面は相対的に疎水性であるため、水性インキを適用する場合、インキ中に各種添加剤を添加してペン芯に対する濡れ性を向上させる試みがなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、特開平5−140498号公報に記載の添加剤は、ペン芯の濡れ性を向上させることができるものの、インキが増粘してペン先での耐ドライアップ性能が著しく劣化してしまうため不向きである。
更には、前記軸筒内にカートリッジ式のインキ貯蔵部を収容してなること、万年筆形態のペン先を有すること等を要件とする。
更に、前記インキ組成物を収容した金属製の万年筆型ペン先を備えた筆記具は、インキ組成物が金属に対して適度な濡れ性を有するため、比較的細い筆跡の形成を維持することができる。
そこで、N−アシルメチルタウリン塩を水性インキ中に添加することで、合成樹脂製ペン芯に対して適度な濡れ性を付与し、温度変化やキャップの着脱による筆記具内部の気圧変化に即応してインキのペン芯内への出入を円滑に行うことができる。しかも、ペン芯に対する表面張力が極端に高くなったり、低くなったりすることがなく、ペン芯でのインキ保持機能も維持され、万年筆型ペン先からのインキボタ落ち現象を抑制できる。
0.05重量%未満では所望の効果を得ることは困難であり、又、5重量%を越えて添加しても濡れ性の向上は認められないので、これ以上の添加を要しない。
前記N−アシルメチルタウリン塩としては、N−ココイルイメチルタウリン、N−ラウロイルメチルタウリン、N−ミリストイルメチルタウリン、N−パルミトイルメチルタウリン、N−ステアロイルメチルタウリン等のナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アミン塩、アルカノールアミン塩を例示できる。
酸性染料としては、
ニューコクシン(C.I.16255)、
タートラジン(C.I.19140)、
アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、
ギニアグリーン(C.I.42085)、
ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、
アシッドバイオレット6BN(C.I.43525)、
ソルブルブルー(C.I.42755)、
ナフタレングリーン(C.I.44025)、
エオシン(C.I.45380)、
フロキシン(C.I.45410)、
エリスロシン(C.I.45430)、
ニグロシン(C.I.50420)、
アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
クリソイジン(C.I.11270)、
メチルバイオレットFN(C.I.42535)、
クリスタルバイオレット(C.I.42555)、
マラカイトグリーン(C.I.42000)、
ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、
ローダミンB(C.I.45170)、
アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、
メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
コンゴーレッド(C.I.22120)、
ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、
バイオレットBB(C.I.27905)、
ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、
カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、
ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、
フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
C.I.Pigment Blue 15:3B〔商品名:Sandye Super Blue GLL、顔料分24%、山陽色素(株)製〕、
C.I. Pigment Red 146〔商品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素(株)製〕、
C.I.Pigment Yellow 81〔商品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Red220/166〔商品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業(株)製〕等を挙げることができる。
また、水溶性樹脂を用いた水分散顔料としては、
C.I.Pigment Black 7〔商品名:WA color Black
A250、顔料分15%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Green 7〔商品名:WA−S color Green、顔料分8%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Violet 23〔商品名:マイクロピグモ WMVT−5、顔料分20%、オリエント化学工業(株)製〕、
C.I.Pigment Yellow 83〔商品名:エマコールNSイエロー4618、顔料分30%、山陽色素(株)製〕が挙げられる。
前記蛍光顔料としては、
黄色蛍光顔料〔シンロイヒ(株)製、商品名:SF5015レモンイエロー、固形分30%〕、
桃色蛍光顔料〔シンロイヒ(株)製、商品名:SF5017ピンク、固形分30%〕、
橙色蛍光顔料〔日本蛍光化学(株)製、商品名:ルミコールNKW−3904E、固形分33.5%〕が挙げられる。
前記金属光沢顔料としては、アルミニウムや真鍮等の金属光沢顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した金属光沢顔料(パール顔料)、透明又は着色透明フィルムに金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、透明性樹脂層を複数積層した虹彩性フィルムを細かく裁断した虹彩性を有する金属光沢顔料が例示できる。
前記着色剤は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、インキ組成中1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%の範囲で用いられる。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用することもでき、3〜30重量%の範囲で用いられる。
前記剪断減粘性付与剤は従来より公知のものから適宜選択することができ、具体例には、キサンタンガム、サクシノグリカン、ウェランガム、アルカシーガム、グァーガム、カラギーナン等の多糖類、ポリアクリル酸、架橋型アクリル酸、ポリビニルアセトアミド、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、会合性ウレタンエマルジョン等が挙げられる。
また、万年筆形態のペン先としては、ステンレス板、金合金板等の金属板を先細テーパー状に裁断し、屈曲又は湾曲したものや、ペン先形状に樹脂成形したもの等が適用できる。尚、前記ペン体には中心にスリットを設けたり、先端に玉部を設けることもできる。
特に、前記ペン先として金属板片からなるペン体を用いた場合、本発明のインキ組成物が金属に対して適度な濡れ性を保持できることから、細い筆跡の形成を維持できる。
(1)ダイワ化成(株)製、商品名:エオシン GHコンク35%液
(2)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラックR510(酸性染料、C.I.50420)
(3)保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:ブリリアントブルーFCF−L(酸性染料、C.I.42090)
(4)N−ラウロイルメチルタウリンのナトリウム塩、日光ケミカルズ(株)製、商品名:LMT
(5)第一工業製薬(株)製、商品名:ノイゲンP
水にフェノール以外の成分を添加し、室温又は必要に応じて50℃〜60℃の範囲に加温して混合攪拌した後、放冷してフェノールを添加して均一に混合することで各インキを調製した。
前記各インキ組成物を万年筆形態のペン先を有する筆記具(パイロットコーポレーション社製、SVP−20NS)のインキ貯蔵部に充填し、キャップを嵌合することで筆記具を作製した。
ペン芯濡れ性試験
ペン先下向き状態で保持した試料用筆記具を、キャップ嵌合状態で0℃、1時間放置した後、ペン先下向き状態のままキャップを外して40℃まで上昇させた際のペン芯櫛溝部へのインキ流入状態及びペン先からのインキボタ落ちの有無を観察した。
ペン芯濡れ性試験の後、再び0℃に冷却した際にペン芯櫛溝部からインキ貯蔵部へのインキの回収状態を観察した。
ペン先下向き状態で、キャップの着脱動作を連続的に繰り返した際における、ペン芯櫛溝部内へのインキの出入状態を観察した。
前記各試験の結果を以下の表に示す。
ペン芯濡れ性試験
○:円滑に流入し、ボタ落ちは発生しなかった。
×:流入が変則的で、ボタ落ちが発生した。
インキ回収試験
○:良好に全て回収した。
×:回収されず、ペン芯櫛溝部内に残留した。
キャップ着脱試験
○:着脱によるインキの出入が円滑に行われ、ボタ落ちは発生しなかった。
×:インキの出入が円滑に行われず、ペン先又は空気溝からボタ落ちが発生した。
Claims (4)
- 軸筒内に、内外圧の変化に応じてインキ貯蔵部の少なくとも着色剤と水とN−アシルメチルタウリン塩を含むインキ組成物を一時的に溜める合成樹脂製ペン芯を収容してなり、前記ペン芯の先端部にペン先を設け、且つ、ペン芯にはインキ貯蔵部からインキをペン先へ誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなる直液式筆記具。
- 前記N−アシルメチルタウリン塩をインキ組成物全量中0.05〜5重量%の範囲で添加してなる請求項1記載の直液式筆記具。
- 前記軸筒内にカートリッジ式のインキ貯蔵部を収容してなる請求項1記載の直液式筆記具。
- 万年筆形態のペン先を有する請求項3記載の直液式筆記具。
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