JP2015123335A - 温熱具 - Google Patents

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Abstract

【課題】保湿効果に加えて、所望の発熱特性を得ることができる温熱具を提供する。
【解決手段】温熱具100は、被酸化性金属および水を含む発熱部121Aと、水溶性保湿剤を保持し、使用時に肌側に位置する第一シート110Aとを備える。この温熱具100において、当該温熱具100全体の水と、前記水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)が0.95以上、5以下である。また、水溶性保湿剤を保持した第一シート110Aにおける水分量が200g/m以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、温熱具に関する。
従来、被酸化性金属の酸化反応で発生する熱を利用した温熱具が知られている。
このような温熱具に、薬剤を付与して、温熱効果に加え薬剤等による効果を発揮させることが検討されている。
たとえば、特許文献1には、発熱材が封入された袋体に保湿成分を含有させた使い捨てカイロが開示されている。
また、特許文献2には、発熱組成物を収容する袋体の肌密着側の面構成部材に、保湿剤を含浸してなる使い捨てカイロが開示されている。
特開2009−5958号公報 特開2009−160297号公報
特許文献1,2のような保湿剤を使用した温熱具が開発されているが、特定の保湿剤を使用した場合において、発熱特性に影響が生じ、保湿効果に改善の余地があることがわかった。
本発明者らは、温熱具において、水溶性保湿剤を使用することを検討したが、この場合、温熱具の発熱特性に課題があることがわかった。
本発明者らは、当該課題について検討したところ、シートに水溶性保湿剤が含まれると、水溶性保湿剤が水と水和することから、温熱具中の水がシート側に移動しやすく、その結果温熱具の発熱部中の水分が減り、所望の発熱特性が得られなくなると推測した。そして、シート中の水溶性保湿剤の量に対する温熱具全体の水分量の比率を特定範囲内とし、シート中の水分量を一定量以下に制御することで、当該課題を解決できることが判明した。
すなわち、本発明は、
被酸化性金属および水を含む発熱部と、
水溶性保湿剤を保持し、使用時に肌側に位置するシートと、を備える温熱具であって、
当該温熱具全体の水と、前記水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)が0.95以上、5以下であり、
前記水溶性保湿剤を保持した前記シートにおける水分量が200g/m以下である温熱具を提供するものである。
本発明によれば、保湿効果に加えて、所望の温熱効果を得ることができる温熱具が提供される。
温熱具の断面図であり、袋体を構成するシートのシート面と直交する方向の断面図である。 温熱具を、袋体を構成するシート側からみた平面図である。 温熱具の分解斜視図である。 温熱具の発熱体の断面図であり、水蒸気発生体の厚さ方向に沿った断面図である。 基材層の表面と直交する方向の断面図である。 発熱体の水蒸気発生量を測定する装置の構成である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
はじめに、図1を参照して本実施形態の温熱具100の概要について説明する。図1は、温熱具100の断面図であり、袋体110の第一シート110A、第二シート110Bのシート面と直交する方向の断面図である。
温熱具100は、被酸化性金属および水を含む発熱部121Aと、水溶性保湿剤を保持し、使用時に肌側に位置する第一シート110Aとを備える。
この温熱具100において、当該温熱具100全体の水と、前記水溶性保湿剤との質量比(以下、「(水/水溶性保湿剤)」とも示す)が0.95以上、5以下である。また、水溶性保湿剤を保持した第一シート110Aにおける水分量が200g/m以下である。
なお、本発明において、特に断りのないかぎり、温熱具100全体の水の質量、水溶性保湿剤の質量などの数値は、窒素雰囲気下にて包装材を開封して温熱具100を取り出し、10秒以内に測定したもので、発熱していないときの状態での数値である。
水溶性保湿剤を保持し、使用時に肌側に位置する第一シート110Aの水分量が200g/m以下と比較的少ない状態においては、温熱具100中の水が第一シート110A側に移動しやすい。第一シート110Aには、水溶性保湿剤が保持されているため、第一シート110A中の水溶性保湿剤が水と水和してしまう。しかしながら、当該温熱具100全体の水と、前記水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)を0.95以上とすることで、温熱具100全体の水分量が充分となり、水が水溶性保湿剤に吸着(水和)しても、発熱部121Aでの発熱に使用される水の量を確保することができる。これにより、発熱安定性に優れた温熱具100とすることができる。
次に、図1〜6を参照して、本実施形態の温熱具100について、詳細に説明する。
図1は、温熱具100の断面図であり、図2は、温熱具100の平面図であり、図3は、温熱具100の分解斜視図である。図4は、発熱体120の断面図であり、水蒸気発生部121の厚さ方向に沿った断面図である。図5は、基材層121Bの表面と直交する方向の断面図である。
温熱具100は、被酸化性金属の酸化反応によって発熱して十分な温熱効果を付与するものであり、JIS規格S4100(1996年改正版)に準拠した測定において、発熱温度40〜70℃の性能を有することができる。温熱具100は、本実施形態では、水蒸気の発生を伴う蒸気発熱具である。温熱具100は、本実施形態では、いわゆるアイマスクタイプのものであり、ヒトの目及びその周囲に当接させて、所定温度に加熱された水蒸気を目及びその周囲に付与するために用いられるものである。
この温熱具100の使用時に肌側に位置する最外層(本実施形態の場合、第一シート110A)を通じて発生する水蒸気発生量は、20mg/(25cm・10min.)以上が好ましく、30mg/(25cm・10min.)以上がより好ましい。また、水蒸気発生量の上限値は、例えば、300mg/(25cm・10min.)以下が好ましく、210mg(25cm・10min.)以下がより好ましい。なかでも、20mg/(25cm・10min.)以上300mg/(25cm・10min.)以下が好ましく、30mg/(25cm・10min.)以上210mg(25cm・10min.)以下がより好ましい。
ここで、水蒸気発生量は、図6に示されるような装置30を用いて、次のように測定される数値である。図6に示す装置30は、アルミニウム製の測定室(容積2.1L)31と、測定室31の下部に除湿空気(湿度2%未満、流量2.1L/分)を流入させる流入路32と、測定室31の上部から空気を流出させる流出路33とを備えている。流入路32には、入口温湿度計34と入口流量計35とが取り付けられている。一方、流出路33には、出口温湿度計36と出口流量計37とが取り付けられている。測定室31内には、温度計(サーミスタ)38が取り付けられている。温度計38としては、温度分解能が0.01℃程度のものを使用する。
測定環境温度30℃(30±1℃)において、包装材を開封して温熱具100を取り出し、その水蒸気放出面(第一シート110A)を上にして測定室31に載置し、金属球(4.5g)をつけた温度計38をその上に載せて計測する。この状態で測定室31の下部から除湿空気を流す。入口温湿度計34と出口温湿度計36で計測される温度及び湿度から測定室31に空気が流入する前後の絶対湿度の差を求める。さらに入口流量計35と出口流量計37で計測される流量から温熱具100が放出した水蒸気量を算出する。なお、本明細書における水蒸気発生量とは、温熱具の包装材を開封した時点を起点とし、10分後までに測定された水蒸気量の総量をいう。
以上のような温熱具100は、図1〜3に示すように、水蒸気発生部121を含む発熱体120と、1対の発熱体120を収容する袋体110と、耳掛部102とを備える。
発熱体120は、図1および図4に示すように、水蒸気発生部121と、この水蒸気発生部121を収容する袋体122とを備える。
水蒸気発生部121は、被酸化性金属が空気中の酸素と反応することで発熱するとともに、含有される水が気化して水蒸気を発生する。この水蒸気発生部121は、本実施形態では、シート状である。水蒸気発生部121は、発熱組成物で構成される発熱部121Aと、この発熱部121Aを支持する基材層121Bとを含む。
発熱部121Aは、被酸化性金属および水を含有する発熱組成物で構成される。
被酸化性金属は、酸化反応熱を発する金属であり、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末あるいは繊維が挙げられる。中でも、取り扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の点から鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、及びアトマイズ鉄粉から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
被酸化性金属が粉末である場合、酸化反応が効率的に行われるという観点から、その平均粒径が10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、200μm以下あることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。なかでも、10〜200μmであることが好ましく、平均粒径が20〜150μmであることがより好ましい。なお、被酸化性金属の粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、篩による分級、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。
発熱部121Aにおける被酸化性金属の含有量は、坪量で表して、100g/m以上であることが好ましく、200g/m以上であることがより好ましい。また、発熱部121Aにおける被酸化性金属の含有量は、3000g/m以下であることが好ましく、1600g/m以下であることがより好ましい。より好ましくは、100〜3000g/mであり、さらに好ましくは、200〜1600g/mである。これにより、発熱体120の発熱温度を所望の温度に上昇させることができる。ここで、被酸化性金属の含有量は、JIS P8128(1995年改正版)に準じる灰分試験や、熱重量測定器で求めることができる。他に外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。
発熱部121Aは、保水能、酸素供給能、及び、触媒能を有する点から炭素成分を含有することが好ましい。炭素成分としては、例えば、活性炭、アセチレンブラック、及び黒鉛から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。ただし、湿潤時酸素を吸着しやすいことや、発熱部121Aの水分を一定に保てる観点から活性炭が好ましく用いられる。より好ましくは、椰子殻炭、木粉炭、及びピート炭から選ばれる1種又は2種以上の微細な粉末状物又は小粒状物が用いられる。発熱部121Aにおける炭素成分の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して0.3質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
発熱部121Aは、水を含む。ただし、水は、発熱部121Aと基材層121Bとの間を移動したり、発熱部121Aから第一シート122A側に移動したりして、温熱具100中に分散される。
そのため、温熱具100中(換言すると発熱部121A全体)の被酸化性金属100質量部に対する温熱具100全体に含まれる水の量は、35質量部以上80質量部以下が好ましい。35質量部以上とすることで、発熱反応に必要な水を確保でき、80質量部以下とすることで、発熱温度の立ち上がりが早くなる。なかでも、70重量部以下であることがより好ましい。
なお、発熱部121A中の水の量は、発熱部121Aの被酸化性金属100質量部に対し、少なくとも、5重量部以上であることが好ましく、また、60重量部以下であることが好ましい。
温熱具100全体の水は、水蒸気発生部121の製造工程において発熱組成物を基材層121Bに塗布後、まず発熱部121A中の水が基材層121Bに一部移行する。また、本発明は、水溶性保湿剤を保持し使用時に肌側に位置する第一シート110Aの水分量が200g/m以下と比較的少ないため、水蒸気発生部121中の水が第一シート110A側に移動しやすい。そのため、前述のように水蒸気発生部121中の水分は減少傾向にある。水蒸気発生部121中の水分の減少量は、第一シート110A中の水溶性保湿剤及び水分の含有量にもよるが、発熱特性や水蒸気発生能に影響を与えない観点から、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜35質量%であることがさらに好ましい。なお、水蒸気発生部121中の水分の減少量とは、水蒸気発生部121の製造直後から、温熱具100の使用時までに、水蒸気発生部121中で減少する水分量である。
発熱部121Aは、上述した各成分に加えて、反応促進剤を含んでいてもよい。また、必要に応じて、更に界面活性剤、薬剤、凝集剤、着色剤、紙力増強剤、pH調整剤、嵩高剤等を含むこともできる。
反応促進剤は、被酸化性金属の酸化反応を持続させる目的で用いられる。また、反応促進剤を用いることにより、被酸化性金属の酸化被膜を破壊して、酸化反応を促進することができる。反応促進剤には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩、及び塩化物から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、第1塩化鉄、第2塩化鉄等の各種塩化物、及び硫酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
発熱部121Aにおける反応促進剤の含有量は、十分な発熱量が長時間持続する点から被酸化性金属100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。なかでも、2〜15質量部とすることが好ましく、更に好ましくは3〜12質量部であることがより好ましい。
さらに、発熱部121Aは、上述した各成分に加えて、増粘剤を含んでいてもよい。
増粘剤には主として、水分を吸収して稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与する物質を用いることができ、アルギン酸ソーダ等のアルギン酸塩、アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガムなどの多糖類系増粘剤;デキストリン、α化澱粉、加工用澱粉などの澱粉系増粘剤;カルボキシメチルセルロース、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤;ポリビニルアルコール(PVA)などの増粘剤;ステアリン酸塩などの金属石鹸系増粘剤;ベントナイトなどの鉱物系増粘剤等から選ばれた1種又は2種以上の混合物を用いることができる。なかでも、発熱部121A中の水分量を一定に維持する観点から、多糖類系増粘剤が好ましく、キサンタンガム又はカルボキシメチルセルロースが好ましい。
発熱部121A中の増粘剤の含有量は、発熱組成物の塗布し易さの点から、被酸化性金属100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましい。また、5質量部以下が好ましく、4質量部以下であることが好ましい。そして、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜4質量部であることがより好ましい。
発熱部121Aは、基材層121B上に形成されている。
この基材層121Bは、本実施形態では、発熱部121Aに直接接触している。
基材層121Bとしては、水分の吸収保持が可能であり、柔軟性を有するシート材料が用いられるが、通気性を有するものが好ましい。そのような材料としては、例えば繊維を原料とする紙、不織布、織物、編み物のいずれかの繊維シートが挙げられ、なかでも紙が好ましい。前記の繊維としては、例えば植物繊維及び動物繊維などの天然繊維を主成分とするものや化学繊維を主成分とするもののなかから1種以上を使用できる。植物繊維としては、例えばコットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わらから選択される1種又は2種以上が挙げられ、中でも木材パルプを原料とするものが水分の吸収保持性、柔軟性、通気性の点で好ましい。動物繊維としては、例えば羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルパカ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維から選択される1種又は2種以上が挙げられる。化学繊維としては、例えばレーヨン、アセテート、セルロースから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
なかでも基材層121Bとしては、前述した繊維で構成される繊維材料と、吸水性のポリマーとを含むものが好ましい。図5に基材層121Bの拡大図を示す。
図5には、成分(a)繊維材料、及び、成分(b)吸水性ポリマーを含むものを基材層121Bとした例が示されている。基材層121Bに成分(b)を含む場合、基材層121Bの形態は、(i)成分(a)及び成分(b)が均一に混合した状態の1枚のシートとしたもの、(ii)成分(a)を含む同一の又は異なるシート間に、成分(b)が配置されたもの、(iii)成分(b)を散布してシート状としたものを例示することができる。中でも、発熱部121Aの含水量のコントロールを容易に行うことができるため、好ましいものは、(ii)の形態のものである。なお、(ii)の形態の基材層121Bは、具体的には、例えば、成分(a)を含むシート上に成分(b)吸水性ポリマーを均一に散布し、その上から200g/mの量の水を噴霧した後、更にその上に成分(a)を含む同一の又は異なるシートを積層し、100±0.5℃、5kg/cmの圧力にてプレス乾燥して含水率が5質量%以下になるまで乾燥して製造することが可能である。
吸水性ポリマーとしては、吸水性ポリマーの自重の20倍以上の重さの液体を吸収・保持でき且つゲル化し得るヒドロゲル材料を用いることが好ましい。吸水性ポリマーの粒子の形状としては、球状、塊状、ブドウ房状、繊維状等が挙げられる。吸水性ポリマーの粒子の乾燥状態での平均粒径は、1〜1,000μmであることが好ましく、10〜500μmであることがより好ましい。なお、吸水性ポリマー粒子の乾燥状態での粒径は動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。
吸水性ポリマーの具体例としては、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体、ポリスルホン酸塩、無水マレイン酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアスパラギン塩、ポリグルタミン酸塩、デンプン、セルロースから選択される1種又は2種以上が挙げられる。中でも、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体を用いることが好ましい。
基材層121Bに占める成分(b)吸水性ポリマーの粒子の量は、乾燥状態で10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、基材層121Bに占める成分(b)吸水性ポリマーの粒子の量は、乾燥状態で70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましい。また、10〜70質量%であることが好ましく、20〜65質量%であることがより好ましい。
このような水蒸気発生部121は、例えば、被酸化性金属、炭素成分、及び水を含む発熱組成物を基材層121Bに塗布して積層することで作製することができる。発熱組成物は、前述した成分を全て一度に混合することで調製されてもよいが、予め、増粘剤を水に溶解したものに反応促進剤を溶解して水溶液を準備し、次に被酸化性金属と炭素成分とをプレ混合したものを水溶液と混合してもよい。
また、このような水蒸気発生部121は、袋体122に収容されている。そして、水蒸気発生部121と袋体122とで発熱体120を構成している。
袋体122は、扁平状であり、第一シート122Aと、第二シート122Bとを備える。これらの第一シート122A,第二シート122Bの外周縁同士を接合することで、袋体122が構成される。
そして、第一シート122A、第二シート122Bの間に水蒸気発生部121が介在している。具体的には、第一シート122A、第二シート122Bの周縁部以外の領域は非接合領域であり、非接合領域内に水蒸気発生部121が配置される。
温熱具100使用時に、第一シート122Aは、水蒸気発生部121よりも、使用者の肌側に位置する。一方で、温熱具100使用時に、第二シート122Bは、水蒸気発生部121を挟んで使用者の肌と反対側に位置する。
第一シート122Aは、通気性のシートであり、通気性を確保し、水蒸気を袋体122外部に多量に放出しやすくする観点から、その通気度は、7000秒/100ml以下であることが好ましく、6000秒/100ml以下であることがより好ましく、5000秒/100ml以下であることがさらに好ましい。
一方で、第一シート122Aは、異常発熱を防ぎ、温度を制御する観点から、その通気度は、100秒/100ml以上であることが好ましく、250秒/100ml以上であることがより好ましく、500秒/100ml以上であることがさらに好ましい。
なかでも、第一シート122Aの通気度は、100〜7,000秒/100mlであることが好ましく、250〜6,000秒/100mlであることがより好ましく、500〜5,000秒/100mlであることがさらに好ましい。
なお、通気度は、JIS P8117(2009年改正版、以下同じ)に準じて測定した。以下の通気度についても同様である。
このような通気度を有する第一シート122Aとしては、例えば透湿性は有するが透水性を有さない合成樹脂製の多孔性シートを用いることが好適である。具体的には、ポリエチレンに炭酸カルシウム等の微粉末を含有させてフィルム成型したものを延伸したフィルムを用いることができる。かかる多孔性シートを用いる場合には、多孔性シートの外面にニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、及び、スパンボンド不織布から選択される1種又は2種以上の不織布を始めとする各種の繊維シートをラミネートして、第一シート122Aの風合いを高めてもよい。第一シート122Aは、その一部又は全部が通気性を有する通気性シートであるとよいが、第二シート122Bよりも通気性の高いシート(即ち通気度の低いシート)であることが好ましい。
第二シート122Bは、その一部又は全部が通気性を有する通気性シートであってもよいし、通気性を有しない非通気性シートであってもよいが、第一シート122Aよりも通気性の低いシート(即ち通気度の高いシート)であることが好ましい。
第二シート122Bを非通気性シートとする場合、一層又は多層の合成樹脂製のフィルムや、該一層又は多層の合成樹脂製のフィルムの外面にニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、及びスパンボンド不織布などの不織布やパルプ紙や合成紙などの紙から選択される1種または2種以上の不織布や合成紙をラミネートして、第二シート122Bの風合いを高めてもよい。具体的には、ポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムからなる2層フィルム、ポリエチレンフィルムと不織布とからなるラミネートフィルム、ポリエチレンフィルムとパルプシートからなるラミネートフィルムなどが用いられるが、ポリエチレンフィルムとパルプシートからなるラミネートフィルムが殊更に好ましい。
第二シート122Bが通気性シートである場合には、第二シート122Bの通気性は、第一シート122Aの通気性よりも低いことが好ましい。たとえば、第二シート122Bの通気度は50,000秒/100ml以上とすることが好ましく、80,000秒/100ml以上とすることがさらに好ましい。第二シート122Bの通気性を第一シート122Aよりも低くすることで、水蒸気発生部121で発生した蒸気を第一シート122A側から放出しやすくすることができる。なかでも、被酸化性金属の酸化反応をより良好とし、第一シート122A側からより多くの水蒸気を発生させる観点から、第一シート122Aの通気度を500〜5,000秒/100mlとし、第二シート122Bの通気度を100,000秒/100ml以上とすることがより好ましい。
なお、水蒸気発生部121の基材層121Bは、使用時に発熱部121Aを挟んで使用者の肌側と反対側に位置するように、袋体122内に配置される。換言すると、基材層121Bが第二シート122B側に位置するように配置される。
ただし、基材層121Bが、発熱部121Aの第一シート122A側に配置されてもよいし、発熱部121Aの第一シート122A側と第二シート122B側の両方に配置されてもよい。
袋体122に収容される水蒸気発生部121は、1枚でもよく、複数枚を積層させた多層状態で収容してもよい。また、袋体122の第一シート122Aのシート面と、複数の水蒸気発生部121のシート面とが対向するように、複数枚の水蒸気発生部121を並列配置してもよい。
次に、図1〜3を参照して、温熱具100のその他の構成(袋体110、耳掛け部102)について説明する。
図2に示すように、温熱具100は、本体部101と、耳が挿入される孔104が形成された耳掛け部102とを有している。
本体部101は、長手方向Xとこれに直交する幅方向Yを有する横長の形状をしている。本体部101は略長円形をしている。耳掛け部102は一対で用いられ、各耳掛け部102は本体部101の長手方向(X方向)の各端部にそれぞれ取り付けられている。温熱具100は、各耳掛け部102を着用者の耳に掛けて、本体部101を着用者の両目を覆うように装着される。この着用状態下、温熱具100から発生した水蒸気が着用者の目およびその周辺に施され、目の疲れや充血、眼精疲労が緩和され、またリラックス感が得られる。更に入眠感も誘発される。
図1および図3に示すように、温熱具100の本体部101は、前述した発熱体120と、この発熱体120を収容する袋体110とを有する。
袋体110は、使用時に着用者の肌に近い側に位置する第一シート110Aと、着用者の肌から遠い側に位置する第二シート110Bとを有している。
袋体110は扁平状である。第一シート110Aと、第二シート110Bとの間に発熱体120が配置されている。具体的には、第一シート110A及び第二シート110Bはそれらを重ね合わせ、それらの周縁部を接合し、かつX方向の中央部をY方向に沿って接合することで、内部に2つの空間を有する袋体110となされる。そして、各空間内に発熱体120がそれぞれ収容される。第一シート110A及び第二シート110Bを接合するためには、例えばホットメルト接着剤を用いることができる。なお、袋体110内には、発熱体120が収容されるが、発熱体120は接着剤やヒートシール等(図示略)により、袋体110に固定されていてもよい。
ここで、第一シート110Aは、疎水性のシートであることが好ましい。シートの形態としては不織布あるいは織布であることが好ましく、疎水性不織布であることがより好ましい。この第一シート110Aは、水溶性保湿剤を保持している。
疎水性のシートとは、以下のように定義される。
JIS L1907(2010年改正版)の繊維製品の吸水性試験法の滴下法に準じて測定を行い、10秒以上であるものをいう。具体的には、シートを所定面積にカットし、シート上10mmの高さから、水を1滴(0.03ml)滴下し、水滴がシートに到達してから、水の鏡面反射(キラキラした反射)が完全になくなるまでの時間を測定し、その時間が10秒以上である。なお、測定は、23℃50%RH環境で実施する。また、疎水性シートは、保湿効果、温熱効果を得る観点から、その時間は50秒以上であることが好ましく、100秒以上であることがより好ましく、300秒以上であることがさらに好ましい。
第一シート110Aとしては、合成樹脂の繊維で構成された不織布あるいは織布が好ましい。また、第一シート110Aを構成する繊維は、親水基を有しない樹脂で構成されていることが好ましく、たとえば、水酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基およびアミド基を有しない樹脂で構成されていることが好ましい。
たとえば、第一シート110Aとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、エチレンプロピレン共重合体等のポリオレフィンから選択される1種以上の合成繊維で構成されるものが好ましい。
なかでも、水溶性保湿剤を保持する観点からは、第一シート110Aは、不織布であることが好ましい。不織布としては、1種又は2種以上の繊維を用いて、エアスルー法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブローン法、カード法、熱融着法、水流交絡法、溶剤接着法のいずれかの製造方法により製造されたものを用いることができる。
第一シート110Aから、蒸気を放出するとともに発熱部121Aに酸素を供給するという観点から、水溶性保湿剤を保持した状態(発熱前)の第一シート110Aの通気度は、500秒/100ml以下であることが好ましく、300秒/100ml以下であることがより好ましく、100秒/100ml以下であることがさらに好ましい。水溶性保湿剤を保持した状態の第一シート110Aの通気度の下限値は、特に限定されず、0秒/100mlであってもよい。
また、水溶性保湿剤を保持した状態(発熱前)の第一シート110Aは、好ましくは坪量5g/m以上、より好ましくは10g/m以上、そして、好ましくは200g/m以下、より好ましくは120g/m以下である。軽量化等の観点から、坪量10〜120g/mのシートであることが好ましい。
前述したように、このような疎水性の第一シート110Aは、水溶性保湿剤を保持している。具体的には、水溶性保湿剤は、第一シート110Aの第二シート110Bと反対側の表面に塗布されており、本実施形態では、第一シート110Aの内部まで含浸している。
水溶性保湿剤とは、皮膚の水分量を保持する保湿効果を有する剤である。室温25℃で、水溶性保湿剤が固体である場合には、25℃の水100mlに0.01g以上溶解するものをいい、液状のものである場合には、水と相溶性があるものをいう。相溶性とは、水と水溶性保湿剤とを25℃で回転数150rpmで15分間攪拌混合し、その後、室温25℃で24時間放置した後、これを目視で観察した際に水と水溶性保湿剤とが分離してない性質をいう。
水溶性保湿剤としては、化粧品に通常用いられるものであることが好ましく、たとえば、水溶性有機酸、水溶性有機酸塩、多価アルコールのうちのいずれか一種を単独で、又はこれらのうちの二種以上を混合して用いることができる。
水溶性有機酸としては、例えば、L−グルタミン、L−グルタミン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、セリン、タンニン酸、L−チロシン、乳酸、尿酸、パラアミノ安息香酸、L−バリン、ヒアルロン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、DL−ピロリドンカルボン酸、フィチン酸、L−メチオニン、リンゴ酸、L−ロイシン、アジピン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、N−アセチル−L−グルタミン酸、ε−アミノカプロン酸、2−アミノ−2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジオール、γ−アミノ酪酸、アラニン、L−アルギニン、エデト酸、塩化リジン、L−オキシプロリン、カプリル酸、カプロン酸、クエン酸、グルタミン酸、グルコン酸、グルタチオンなどをあげることができ、これらのなかの一種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
水溶性有機酸塩としては、例えば、マロン酸、アスパラギン酸ナトリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインヒドロキシアルミニウム、L−グルタミン酸塩、エデト酸カリウム、エデト酸トリエタノールアミン、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二ナトリウムカリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、オレイン酸グリセリルリン酸エステルナトリウム、5−グアニル酸二ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グリシンアルミニウム、グルコン酸カルシウム、L−グルタミン酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、シュウ酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、L−ヒスチジン塩酸塩、DL−リンゴ酸ナトリウム、リン酸L−アスコルビン酸マグネシウム、リン酸−水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、アルギニンコハク酸塩、グアニジン誘導体の有機酸塩などをあげることができ、これらのなかの一種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
多価アルコールとしては、化粧品等に通常使用されるものであれば特に制限されない。ただし、水溶性保湿剤は、第一シート110Aを通過する水蒸気とともに使用者の肌に移行する。水蒸気が第一シート110Aを通過する際に、水溶性保湿剤を伴って肌側に移動することとなるので、水溶性保湿剤は、親水性の高いものであることが好ましい。そのため、1分子内に2個以上の水酸基を有する多価アルコールが好ましい。具体的には、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジプロプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、グルコース、マルチトール、ショ糖、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、澱粉分解糖還元アルコールなどを挙げることができ、これらのなかの一種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
第一シート110Aから肌への水溶性保湿剤の移行のしやすさの観点からすると、水溶性保湿剤は分子量が小さいことが好ましく、たとえば、炭素数が2以上、5以下であり、かつ1分子中に水酸基を2以上有するアルコールが好ましい。具体的には、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンからなる群から選択される1以上のものを水溶性保湿剤として使用することが好ましい。
また、保湿効果に加えて、所望の温熱効果を得ることができる観点からすると、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールからなる群から選択される1以上のものを水溶性保湿剤として使用することが好ましい。
ここで、温熱具100中の水は、発熱部121Aに存在するだけでなく、基材層121Bや、袋体122、袋体110にも存在する。そして、発熱時には、これら基材層121B、袋体122、袋体110に分散した水が発熱部121A側に移行したり、蒸発したりする。また、温熱具100中の水の一部は、水溶性保湿剤にも吸着すると考えられる。
そこで、温熱具100全体における水と、水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)を、0.95以上とすることで、温熱具100全体の水分量が充分となり、かりに、水が水溶性保湿剤に吸着(水和)しても、発熱部121Aの発熱に使用される水の量を確保することができる。さらに、(水/水溶性保湿剤)は、0.98以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましい。
一方、(水/水溶性保湿剤)を、5以下とすることで、温熱具100全体の水分量を制限して、発熱特性の低下等を抑制することができる。さらに、(水/水溶性保湿剤)は、4.5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。
また、(水/水溶性保湿剤)は、好ましくは、0.98以上4.5以下、より好ましくは、1以上4以下である。
また、発熱特性の低下を抑制する観点から、基材層121Bに含まれる水分量は、基材層121Bの最大吸水量の8〜43質量%とすることが好ましく、10〜35質量%とすることがより好ましく、13〜28質量%とすることがさらに好ましい。
第一シート110Aに保持される水溶性保湿剤の含浸量は10g/m以上であることが好ましく、50g/m以上であることがより好ましい。一方で、第一シート110Aに保持される水溶性保湿剤の量は500g/m以下であることが好ましく、300g/m以下であることがより好ましい。なかでも、第一シート110Aに保持される水溶性保湿剤の量は10g/m〜500g/mであることが好ましく、50g/m〜300g/mであることがより好ましい。
水溶性保湿剤の量を10g/m以上とすることで、肌の保湿効果を高めることができる。
一方で、水溶性保湿剤の量を500g/m以下とすることで、第一シート110Aの通気度を低下させてしまうことを防止できる。
また、第一シート110Aは、発熱体120からの水蒸気発生と水溶性保湿剤による保湿効果及び心地よい温感付与の観点から、水溶性保湿剤以外の保湿剤を保持していないことが好ましい。
以上のような水溶性保湿剤は、溶媒(たとえば、エタノール等の1価のアルコールの水溶液)に溶解させるか、または、水溶性保湿剤に水を加え、前記溶媒を加えて溶解させた後、第一シート110Aに塗布する。その後、第一シート110Aを25℃で90〜120分乾燥させて、前記溶媒を除去する。これにより、水溶性保湿剤が第一シート110Aに保持されることとなる。
第一シート110Aにおける水分量は、200g/m以下である。第一シート110Aにおける水分量は、良好な発熱特性を得る観点から、170g/m以下が好ましく、150g/m以下がより好ましい。一方、保湿効果を付与する観点から、10g/m以上が好ましく、30g/m以上がより好ましい。なお、温熱具100を製造した後、後述する包装材を開封するまでの間に、包装材内で、水蒸気発生部121中の水の一部が、第一シート110Aに移行することも考えられる。そこで、温熱具100を製造する際に、少量の水分を第一シート110Aに含有させておいてもよい。その場合、第一シート110Aに多量の水分を含有させると発熱特性や水蒸気発生能が低下するため、その含有量は200g/m以下とすることが好ましく、150g/m以下とすることがより好ましく、100g/m以下とすることがより好ましい。
本実施形態では、第一シート110Aは、使用時に温熱具100の最外層となる層であり、肌に直接接触する。これにより、肌への保湿効果を高めることができる。
温熱具100において、第一シート110Aを含み、使用時に、水蒸気発生部121よりも使用者の肌側に位置する層全体は、通気性を有する。使用者の肌側に位置する層全体の通気度は、特に限定されないが、過度な発熱を防止するために、100秒/100ml以上、8000秒/100ml以下であることが好ましい。より好ましくは、500秒/100ml以上、7000秒/100ml以下であり、さらに好ましくは、1000秒/100ml以上、6000秒/100ml以下である。
前記層全体の通気度は、肌側に位置するシートを重ね合わせて計測することができる。本実施形態では、水溶性保湿剤を含んだ状態(発熱前)の第一シート110Aおよび第一シート122Aを重ね合わせて計測する。
ただし、基材層121Bが第一シート122A側に配置された場合、または発熱部121Aの第一シート122A側と第二シート122B側の両方に配置された場合は、第一シート110Aおよび第一シート122Aに加え、基材層121Bを含んだときの、通気度となる。
次に、袋体110を構成する第二シート110Bについて説明する。
第二シート110Bは、使用時に使用者の肌と反対側に配置されるシートである。この第二シート110Bは、通気性を有してもよく、非通気であってもよい。第二シート110Bとしては、不織布をはじめとする繊維シートを使用できる。たとえば、ニードルパンチ不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布等を使用できる。
ただし、温熱具100の内部が透けて見えてしまうことを防止する観点や保温性、柔軟性、厚みの観点から第二シート110Bは、坪量が5g/m以上、さらには、10g/m以上であることが好ましく、200g/m以下、さらには、150g/m以下であることが好ましい。また、坪量が5〜200g/mであることが好ましく、坪量が10〜150g/mであることがより好ましい。
以上のような第一シート110Aと、第二シート110Bとは、同形であり、略長円形を有している。そして、第一シート110Aおよび第二シート110Bの外形が本体部101の外形をなしている。
図2,3に示すように、袋体110には、そのX方向に延びる2つの長辺の中央部の位置において、該長辺からY方向に沿って内方に切れ込んだ略V字形のノッチ部113A,113Bが形成されている。ノッチ部113A,113Bは、切れ込みの程度が異なっている。ノッチ部113Aは、温熱具100を装着したときに、着用者の眉間又はその近傍に位置する。ノッチ部113Bは、温熱具100を装着したときに、着用者の鼻梁に位置する。したがって、ノッチ部113Aよりもノッチ部113Bの方が切れ込みの程度が大きくなっている。なお、ノッチ部113A,113Bは、それらの少なくとも一方がスリットであってもよい。
次に、温熱具100の耳掛け部102について説明する。
耳掛け部102は、その使用前の状態では、図1及び図3に示すように、本体部101における第一シート110A上に配置されている。温熱具100を使用するときには、図2に示すように、耳掛け部102をX方向の外方へ向けて反転させて、開いた状態にする。使用前の状態、すなわち左右の耳掛け部102が本体部101上に位置している状態においては、左右の耳掛け部102によって形成される輪郭は、本体部101の輪郭とほぼ同じ形状になっている。耳掛け部102は、袋体110と同様な材料を用いることができる
本実施形態の温熱具100は、その使用前は、その全体が酸素バリア性を有する包装材(図示せず)によって包装されて、水蒸気発生部121が空気中の酸素と接触しないようになっている。
使用者が、包装材を開封して温熱具100を取り出すと、空気(酸素)が、温熱具100の内部に流入し、発熱部121Aに到達する。これにより、発熱部121A中の被酸化性金属が酸化し、熱を発生する。この熱により、温熱具100中の水(特に水蒸気発生部121中の水)が水蒸気となり、第一シート122A、及び第一シート110Aを通じて使用者の肌側に放出される。
このとき、第一シート110Aに保持されていた水溶性保湿剤が、水蒸気の移動に伴って、第一シート110Aから離れて使用者の肌側に移動することとなる。
本実施形態では、第一シート110Aは、温熱具100を使用する際に最外層となり、使用者の肌に接触する層である。
この層に、水溶性保湿剤を保持させているので、使用者の肌に水溶性保湿剤が接触しやすく、保湿効果をより高めることができる。
また、この第一シート110Aは、疎水性のシートであり、発熱前の第一シート110Aの水分量は、200g/m以下である。そのため、包装材を開封して取り出した温熱具100の第一シート110Aを肌に接触させた当初には、サラサラとした触感を得ることができる。
その後、前述したように、発熱部121Aが発熱することで、発熱部121Aから発生した水蒸気が、第一シート122A、第一シート110Aを通じて、温熱具100外部に放出される。そして、水蒸気が肌に接触するため、温かく、かつ、しっとりした触感を得ることができる。
そして、第一シート110Aに保持された水溶性保湿剤は水蒸気とともに、肌側に移行することとなるので、高い保湿効果を得ることができる。
特に、本実施形態では、保湿剤として水溶性保湿剤を使用しているので、疎水性の第一シート110Aから、水溶性保湿剤が離れやすく、水溶性保湿剤が使用者の肌側に移行しやすい。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
たとえば、前記実施形態では、温熱具100をいわゆるアイマスクタイプのものとし、温熱具100からの水蒸気を目及びその周囲に付与するために用いられるとしたが、これに限られるものではない。本発明の温熱具は、使用者の首等に貼り付けて使用するタイプの温熱具であってもよい。
さらには、前記実施形態では、水溶性保湿剤を保持する第一シート110Aは、温熱具100の最外層であったが、これに限られるものではない。たとえば、第一シート110A上に、第一シート110Aの表面(使用時に肌側に位置する面)を被覆する他のシートがあってもよい。これにより、良好な肌触りと保湿効果を得ることができる。ただし、他のシートは、水溶性保湿剤及び水蒸気の透過性が高いものである必要があり、たとえば、通気度は、500秒/100ml以下であることが好ましい。
また、前記実施形態では、基材層121B上に、発熱部121Aとなる発熱組成物を塗布して水蒸気発生部121を形成していたが、水蒸気発生部121はこのような製造方法で製造されたものに限られない。たとえば、上述した発熱組成物にパルプ繊維等の繊維状物を添加し、抄紙機を用いて湿式抄造して水蒸気発生部を製造してもよい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物、製造方法、或いは用途を開示する。
<1>被酸化性金属および水を含む発熱部と、
水溶性保湿剤を保持し、使用時に肌側に位置するシートと、を備える温熱具であって、
当該温熱具全体の水と、前記水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)が0.95以上、5以下であり、
前記水溶性保湿剤を保持した前記シートにおける水分量が200g/m以下である温熱具。
<2>前記水溶性保湿剤は、好ましくは1分子内にOH基を2以上備える化合物である<1>に記載の温熱具。
<3>前記水溶性保湿剤は、好ましくはエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジプロプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、グルコース、マルチトール、ショ糖、フルクトース、キシリトース、ソルビトール、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、澱粉分解糖還元アルコールから選択される一種を単独で又は二種以上を混合したものであり、より好ましくは1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンからなる群から選択される1以上のものである前記<1>または<2>に記載の温熱具。
<4>前記シートにおける前記水溶性保湿剤の含浸量は、好ましくは10g/m以上であり、より好ましくは50g/m以上であり、また、好ましくは500g/m以下であり、より好ましくは300g/m以下である<1>乃至<3>のいずれかに記載の温熱具。
<5>前記温熱具全体の水と、前記水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)は、好ましくは0.98以上であり、より好ましくは1以上であり、また、好ましくは4.5以下であり、より好ましくは4以下である<1>乃至<4>のいずれかに記載の温熱具。
<6>前記水溶性保湿剤を保持した前記シートにおける水分量が、好ましくは170g/m以下であり、より好ましくは150g/m以下であり、また、好ましくは10g/m以上であり、より好ましくは30g/m以上である<1>乃至<5>のいずれかに記載の温熱具。
<7>前記水溶性保湿剤を含浸した前記シートを含み、使用時に前記発熱部よりも肌側に位置する層全体の通気度(JIS P8117)が、好ましくは100秒/100ml以上8000秒/100ml以下であり、より好ましくは500秒/100ml以上、7000秒/100ml以下であり、さらに好ましくは、1000秒/100ml以上、6000秒/100ml以下である<1>乃至<6>のいずれかに記載の温熱具。
<8>前記発熱部からは発熱により水蒸気が発生し、
前記水蒸気は、前記水溶性保湿剤を含浸した前記シートを介して当該温熱具の外部に放出されるものである<1>乃至<7>のいずれかに記載の温熱具。
<6>
<9>前記温熱具の使用時に肌側に位置する最外層を通じて発生する水蒸気発生量は、好ましくは20mg/(25cm・10min.)以上であり、より好ましくは30mg/(25cm・10min.)以上であり、また、好ましくは300mg/(25cm・10min.)以下であり、より好ましくは210mg(25cm・10min.)以下である<1>乃至<8>のいずれかに記載の温熱具。
<10>前記被酸化性金属は、好ましくは鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末あるいは繊維であり、より好ましくは鉄粉であり、さらに好ましくは還元鉄粉、及びアトマイズ鉄粉から選ばれる1種又は2種以上である<1>乃至<9>のいずれかに記載の温熱具。
<11>前記被酸化性金属の含有量は、坪量で表して、好ましくは100g/m以上であり、より好ましくは200g/m以上であり、また、好ましくは3000g/m以下であり、より好ましくは1600g/m以下である<1>乃至<10>のいずれかに記載の温熱具。
<12>前記発熱部は、好ましくは炭素成分を含有する<1>乃至<11>のいずれかに記載の温熱具。
<13>前記炭素成分は、好ましくは活性炭、アセチレンブラック、及び黒鉛から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは活性炭である<12>に記載の温熱具。
<14>前記発熱部は、好ましくは反応促進剤を含有する<1>乃至<13>のいずれかに記載の温熱具。
<15>前記反応促進剤は、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩、及び塩化物から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、第1塩化鉄、第2塩化鉄等の各種塩化物、及び硫酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上である<1>乃至<14>のいずれかに記載の温熱具。
<16>前記発熱部中の前記反応促進剤の含有量は、前記被酸化性金属100質量部に対して、好ましくは2質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは15質量部以下であり、より好ましくは12質量部以下である<1>乃至<15>のいずれかに記載の温熱具。
<17>前記発熱部は、好ましくは基材層上に形成されている<1>乃至<16>のいずれかに記載の温熱具。
<18>前記基材層は、好ましくは繊維を原料とする紙、不織布、織物、編み物のいずれかの繊維シートである<1>乃至<17>のいずれかに記載の温熱具。
<19>前記繊維は、好ましくはコットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わらから選択される1種又は2種以上であり、より好ましくは木材パルプを原料とするものである<1>乃至<18>のいずれかに記載の温熱具。
<20>前記温熱具中の被酸化性金属100質量部に対する温熱具全体に含まれる水分量は、好ましくは35質量部以上80質量部以下であり、より好ましくは70重量部以下である<1>乃至<19>のいずれかに記載の温熱具。
<21>前記水溶性保湿剤を含浸した前記シートは、好ましくは疎水性不織布あるいは疎水性織布であり、より好ましくは疎水性不織布である<1>乃至<20>のいずれかに記載の温熱具。
<22>前記水溶性保湿剤を含浸した前記シートの通気度は、好ましくは500秒/100ml以下であり、より好ましくは300秒/100ml以下であり、さらに好ましくは100秒/100ml以下であり、殊更好ましくは0秒/100mlである<1>乃至<21>のいずれかに記載の温熱具。<23>前記温熱具を使用者の肌に配置して使用する<1>乃至<22>のいずれかに記載の温熱具の使用。
<24>前記水溶性保湿剤を含浸した前記シートを介して当該温熱具の外部に放出される水蒸気を肌にあてて保湿効果を得る<1>乃至<22>のいずれかに記載の温熱具の使用。
(実施例1)
前記実施形態と同様の温熱具100を製造した。具体的には以下のとおりである。
<水蒸気発生部121の作製>
表1に示す組成の発熱組成物を、次の手順で調整した。
増粘剤を水に溶解し、次いでリン酸三カリウムを溶解して水溶液を用意した。一方で鉄粉、活性炭をプレ混合した粉体を用意し、前記水溶液にプレ混合粉体を入れ、ディスクタービン型攪拌羽根で150rpm、10分間攪拌してスラリー状の発熱組成物を得た。
そして、発熱組成物を基材層121Bの片面にダイコーティング法を用いて塗工した。
基材層121Bとしては、木材パルプ製の紙(秤量20g/m、伊野紙株式会社製)と吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、球状、平均粒子径300μm、秤量50g/m、アクアリックCA、株式会社日本触媒製)と木材パルプ製の紙(坪量30g/m、伊野紙株式会社製)を積層して一体化したポリマーシートを使用した。
発熱組成物は、発熱部121A1個あたりの鉄粉が0.884g、水が0.548gになるように塗布した(塗布量:1.6g)。その後、基材層121Bの幅方向に裁断(5cm×5cm)をし、発熱組成物の塗工面上に、食塩(局方塩化ナトリウム(大塚製薬社製))を0.084gずつ摘下して、1.85gの水蒸気発生部121を得た。
このようにして得られた直後の水蒸気発生部121中の水分量は、鉄粉100質量部に対し、62質量部であった。
Figure 2015123335
<温熱具100の作製>
得られた水蒸気発生部121全体を袋体122で被覆し発熱体120を作成した。具体的には、発熱体120の第一シート122A(以下同じ)として、通気度2,500秒/100ml、坪量50g/m、TSF−EU、株式会社興人社製の炭酸カルシウム含有ポリエチレンフィルムを用意した。発熱体120の第二シート122B(以下同じ)として、非通気性で、ポリエチレン100質量%のフィルムとパルプシートとをラミネートした坪量40g/mのシートを用意した。第一シート122Aと第二シート122Bとの間に水蒸気発生部121を配置して、周縁部を密閉シールし、発熱体120を得た。このとき、水蒸気発生部121の基材層121Bは、第二シート122B側に配置された。
次に、得られた発熱体120を、第一シート110A及び第二シート110Bから構成される袋体110内に収容した。
具体的には、使用者の肌に接する第一シート110A(以下同じ)として、エアスルー不織布、ポロプロピレン50質量%、ポリエチレンテレフタレート50質量%、繊維径1dtex、通気度1秒/100ml、坪量80g/mを用意した。次に、第一シート110Aに水溶性保湿剤を塗布した。水溶性保湿剤としては、1,3−プロパンジオール(デュポン社製 商品名Zemea、以下同じ)を使用した。20gの1,3−プロパンジオールを、80gの98質量%のエタノール水溶液に添加し、攪拌した。その後、得られた溶液を第一シート110Aの表面に塗布し、第一シート110A内部にまで含浸させた後、25℃で90分乾燥し、エタノールを完全に蒸発させた。
第一シート110A(25cm)に含まれる水溶性保湿剤の含浸量は、0.48gであり、第一シート110Aの水溶性保湿剤の保持量は、192g/mであった。
また、水溶性保湿剤を保持した状態での第一シート110Aの通気度は、1秒/100mlであった。
一方で、使用者の肌に接する第一シート110Aと発熱体120を挟んで反対側に位置する第二シート110B(以下同じ)として、ニードルパンチ不織布ポリプロピレン製、繊維径2.2dtex、通気度1秒/100ml、坪量80g/mを用意した。
上記のような第一シート110Aと第二シート110Bとの間に、発熱体120を配置し、周縁部を密閉シールしたものを温熱具100とした。第一シート110Aは、第一シート122Aと隣接し、第二シート110Bは、第二シート122Bと隣接している。温熱具100は、後述する評価を実施するまで、酸素遮断袋に入れた。
以上の各操作は、酸素が存在しない雰囲気下に行った。
なお、水蒸気発生部121よりも、使用者の肌側に位置する層全体の通気度、すなわち、水溶性保湿剤を保持した状態での第一シート110Aと、第一シート122Aとを重ね合わせて測定した際の通気度は、3200秒/100mlであった。
また、温熱具100全体に含まれる水と、水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)は、1.2であった。結果を表2に示した。
(実施例2)
水溶性保湿剤として、ポリエチレングリコール(PEG)400(三洋化成株式会社、マクロゴールPEG400)を使用した。その他の点は、実施例1と同じとした。また、温熱具100全体に含まれる水と、水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)は、1.2であった。結果を表2に示した。
(実施例3)
水溶性保湿剤として、グリセリン(花王株式会社製、化粧品用濃グリセリン)を使用した。その他の点は、実施例1と同じとした。また、温熱具100全体に含まれる水と、水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)は、1.2であった。結果を表2に示した。
(実施例4)
第一シート110A(25cm)に含まれる水溶性保湿剤の含有量は、0.24gである以外は、実施例1と同じとした。また、温熱具100全体に含まれる水と、水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)は、2.4であった。結果を表2に示した。
(実施例5)
水溶性保湿剤として、1,3−プロパンジオールを使用した。10gの1,3−プロパンジオールに10gの水を加え、98質量%のエタノール水溶液を80g添加し、攪拌した。得られた溶液を第一シート110Aの表面に塗布し、第一シート110A内部にまで含浸させた後、25℃で90分乾燥し、エタノールを蒸発させて、シートを作製した。その他は実施例1と同じとした。
第一シート110A(25cm)に含まれる水溶性保湿剤の含有量は0.24g、水分量は0.24gであり、また、温熱具100全体に含まれる水と、水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)は、3.4であった。結果を表2に示した。
(実施例6)
水溶性保湿剤として、1,3−プロパンジオールを使用し、10gの1,3−プロパンジオールに加える水の量を20gとした以外は実施例5と同じとした。
第一シート110A(25cm)に含まれる水溶性保湿剤の含有量は0.24g、水分量は0.48gであり、また、温熱具100全体に含まれる水と、水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)は、4.4であった。結果を表2に示した。
(比較例1)
発熱組成物は、発熱部121A1個あたりの鉄粉が0.884g、水が0.425gになるように塗布した(塗布量:1.6g)。温熱具100全体に含まれる水と、水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)は、0.9であり、水蒸気発熱部の質量は1.73gであった。
その他の点は、実施例1と同じとした。結果を表2に示した。
(比較例2)
水溶性保湿剤として、1,3−プロパンジオールに水を添加した溶液を用い、第一シート110A(25cm)に含まれる水溶性保湿剤の含有量を0.24g、水分量を0.72gとした以外は、実施例1と同じとした。また、温熱具全体に含まれる水と、水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)は、5.4であった。結果を表2に示した。
(測定)
〔通気度〕
温熱具100を作製後、50℃で1日保存したものを、酸素遮断袋から取り出し、第一シート122Aと第二シート122Bで構成される袋内にある水蒸気発生部121を取り出し、除去した。
その後、第一シート122Aおよび第一シート110Aを重ね合わせたもの(「第一シート全体」ともいう)の通気度を、JIS P8117に準じて王研式通気度計にて測定した。
〔第一シート110Aの吸水度〕
JIS L1907の「繊維製品の吸水性試験方法」の「吸水速度法」の中の「滴下法」に準じて測定を行った。
はじめに、第一シート110Aに使用するシートを50mm×50mmに切り取りサンプルとする。このサンプルを試験片保持枠に取り付け、光源と観察者との間に置き、シート上10mmの高さから、水を1滴(0.03ml)滴下し、水滴がシートに到達してから、水の鏡面反射(キラキラした反射)が完全になくなり、湿潤だけが残った状態となるまでの時間を測定した。測定は、23℃50%RH環境で実施した。
〔第一シート110Aの水分量〕
温熱具100を作製後、50℃で1日保存したものを、酸素遮断袋から取り出し、第一シート110Aの水分量を計測した。計測方法は以下の通りである。
はじめに、第一シート110Aを切り取りサンプルとする。このサンプルの質量を測定し、質量Aとした。次に、25℃、2時間で乾燥し、水分を取り除き、再度質量を計測し、質量Bとした。そして、(質量A)−(質量B)の値を、第一シート110Aから切り取った当該サンプルの表面積で割ることで、第一シート110Aの水分量(g/m)を算出することができる。
〔水蒸気発生部121中の水分変化量〕
温熱具100を作製後、50℃で1日保存したものを、酸素遮断袋から取り出し、第一シート122Aと第二シート122Bで構成される袋内にある水蒸気発生部121を窒素雰囲気下(酸素濃度0.5%以下)で取り出し、電子天秤により質量を測定した。製造直後の水蒸気発生部121の質量と比較して、変化した質量を水分変化量とし、製造直後の水蒸気発生部121中の水分量から変化した水分の質量%を求めた。
〔発熱特性(持続時間、昇温時間、最高到達温度)〕
温熱具100を作製後、50℃で1日保存したものを、酸素遮断袋から取り出して発熱特性を計測した。
JIS S4100(1996年改正版)に準拠した測定機を用いて、温熱具100の第二シート110Bに、温度センサーを設置して固定した。温度センサーは、メッシュ材(ポリエステル製、厚み8ミリのダブルラッセル生地)で測定面に固定されている。酸素遮断袋を開封後、10秒間隔で測定面の温度を測定して40分間測定を行った。
測定結果から、38℃以上の温度が持続した時間(持続時間(分))、温度の立ち上がり(昇温時間:酸素遮断袋を開封後、発熱温度が35℃に達した時点から45℃に到達するまでの時間(分))、酸素遮断袋から開封後の最高温度(℃)について、評価した。結果を表2に示した。
(官能評価)
温熱具100を作製後、50℃で1日保存したアイマスク形態の温熱具100を、20代女性4名がそれぞれ使用し、目の周囲の保湿感(肌触り)、温感を以下の基準で5段階評価し、得られたスコアを平均することにより評価値とした。
<保湿感(肌触り)>
1:保湿感がない
2:わずかに保湿感がある
3:やや保湿感がある
4:保湿感がある
5:とても保湿感がある
<温感>
1:ぬるい
2:ややぬるい
3:温感あり
4:心地よい温感あり
5:非常に心地よい温感あり
Figure 2015123335
実施例1〜6の温熱具では、比較例1に比べ、発熱最高温度が高く、発熱持続時間が長いものとなり、発熱特性は良好であった。この違いは、水蒸気発生部121中の水分量の違いに起因すると考えられる。実施例1〜6の温熱具100では、温熱具100全体の水/水溶性保湿剤(質量比)を0.95〜5の範囲内としたため、水が水溶性保湿剤に吸着しても、水蒸気発生部121中に十分な量の水が存在し、発熱に使用できる水を確保できたものと考えられる。
これに対し、比較例1では、水溶性保湿剤に対する温熱具100全体の水の量が、実施例1〜6に比べて少なく、水蒸気発生部121中の水が保存中に第一シート110Aに塗布された水溶性保湿剤に吸着し、発熱に必要な水を十分に確保できなかったと考えられる。
比較例2では、温熱具100全体の水/水溶性保湿剤(質量比)が5.4となっており、保存中に第一シート110Aに塗布された水溶性保湿剤中の水が水蒸気発生部121へ移行し、さらに、第一シート122Aの通気性を阻害したために、発熱特性が低下したものと思われる。
比較例1、2では、保存後、発熱特性が著しく低下し、使用評価では、温感の低下だけでなく、保湿感の低下も認められた。
30 装置
31 測定室
32 流入路
33 流出路
34 入口温湿度計
35 入口流量計
36 出口温湿度計
37 出口流量計
38 温度計
100 温熱具
101 本体部
102 耳掛部
104 孔
110 袋体
110A 第一シート
110B 第二シート
113A ノッチ部
113B ノッチ部
120 発熱体
121 水蒸気発生部
121B 基材層
121A 発熱部
122 袋体
122A 第一シート
122B 第二シート

Claims (5)

  1. 被酸化性金属および水を含む発熱部と、
    水溶性保湿剤を保持し、使用時に肌側に位置するシートと、を備える温熱具であって、
    当該温熱具全体の水と、前記水溶性保湿剤との質量比(水/水溶性保湿剤)が0.95以上、5以下であり、
    前記水溶性保湿剤を保持した前記シートにおける水分量が200g/m以下である温熱具。
  2. 前記水溶性保湿剤は、1分子内にOH基を2以上備える化合物である請求項1に記載の温熱具。
  3. 前記シートにおける前記水溶性保湿剤の含浸量は、10g/m以上、500g/m以下である請求項1または2に記載の温熱具。
  4. 前記水溶性保湿剤を含浸した前記シートを含み、使用時に前記発熱部よりも肌側に位置する層全体の通気度(JIS P8117)が100秒/100ml以上8000秒/100ml以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の温熱具。
  5. 前記発熱部からは発熱により水蒸気が発生し、
    前記水蒸気は、前記水溶性保湿剤を含浸した前記シートを介して当該温熱具の外部に放出されるものである請求項1乃至4のいずれかに記載の温熱具。
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