JP2015120940A - ばね鋼 - Google Patents

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清史 上井
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Shinji Mitao
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Abstract

【課題】従来の高強度ばね鋼に対して、C、Si、MnおよびCrに加えて、Sb、Sn、Bi、As、Ga、TeおよびInの添加量の適正化を行うことによって、耐脱炭性に優れ、かつ連続鋳造後の素材に割れの発生しない高強度ばね鋼を提供する。【解決手段】C:0.35質量%超0.65質量%未満、Si:0.15質量%以上0.70質量%以下、Mn:0.1質量%以上1.0質量%以下、Cr:0.01質量%以上1.50質量%以下、P:0.025質量%以下、S:0.025質量%以下およびO:0.0015質量%以下を含有し、Sb:0.001質量%超0.05質量%以下、Sn:0.001質量%以上0.05質量%以下、Bi:0.0001質量%以上0.01質量%以下、As:0.001質量%以上0.05質量%以下、Ga:0.0001質量%以上0.01質量%以下、Te:0.0001質量%以上0.01質量%以下、In:0.0001質量%以上0.01質量%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を、TDL値が0.05以上1.30以下、HB値が0.001質量%以上0.05質量%以下の条件下に含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば自動車用の足回り部品である懸架ばね、トーションバーおよびスタビライザーなどの素材となる高強度ばね鋼や建設機械用、鉄道車両用のばねとして好適な、高強度ばね鋼に関するものである。
近年、地球環境問題の観点から、二酸化炭素排出量の削減が要望されており、自動車、建設機械や鉄道車両の軽量化の要望がますます高くなっている。特に、これらで使用されるばねの軽量化に対する要望が強く、焼入れ−焼戻し後の強度が1800MPa以上となる、高強度化した素材を用いた高応力設計が適用されている。
汎用的なばね用鋼は、JIS G4801などに規定される、焼入れ−焼戻し後の強度が1600〜1800MPa程度のものであり、熱間圧延で所定の線材に製造後、熱間成形ばねの場合はばね状に加熱成形してから焼入れ−焼戻し処理を行い、冷間成形ばねの場合は、引き抜き加工後、焼入れ−焼戻し処理を行い、ばね状に成形される。
例えば、熱間形成ばねの場合は、焼入れ−焼戻し後、ショットピーニングによりばねの表面に圧縮残留応力を付与して、ばねの耐疲労特性の改善を図っている。
上述したばねにおいては、これまで一般的に使用されている素材として、JIS G4801に記載のSUP9Aがある。SUP9Aは熱間にてばね状に成形したのちに、耐疲労特性向上を目的にショットピーニングによって表面に圧縮残留応力が付与される。しかしながら、SUP9Aでは、熱間圧延で所定の線材に製造する際、また、ばね状に成形するための加熱の際に、表層のCが減少し、全脱炭が生じることから、ばね製造後の表面の硬度が低下しやすく、ショットピーニングによる圧縮残留応力の付与が十分ではなく、その結果、ばねとしての特性(特に、疲労特性)に悪影響を与える問題が生じる。
ばね鋼では、C量がほぼゼロとなり、加熱後急冷してもフェライトに変態してフェライト組織となるフェライト脱炭と、C量はゼロにならないものの母材のC量に比べてC量が低下し、加熱後急冷した場合に母材に比べて硬さが低下するもの全脱炭との2種類の脱炭が問題となる。ばね鋼では、鋼材の表層にフェライト脱炭が起こり、フェライト脱炭の内層側に全脱炭が起こるか、あるいは、成分系によってはフェライト脱炭は起こらないが全脱炭が起こる。上述したように、このような脱炭が鋼材表面近傍に生成すると、ショットピーニングによる圧縮残留応力の付与を十分に行うことができず、その結果、ばねとしての特性、特に疲労特性に悪影響を与えるという問題が生じる。
そこで、上記問題を克服するため、いくつかの提案がなされている。
特許文献1には、C、Si、Mn、P、S、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Nb、Ti、Al、NおよびBの添加量を制御し、As、SnおよびSbの合計の添加量、ならびにCuとNiの添加量を制御することにより、低脱炭および耐遅れ破壊特性に優れた高強度ばね鋼が開示されている。特許文献1には、As、SnおよびSbの合計の添加量と脱炭深さの関係が記載されているが、As、SnおよびSbの合計の添加量を適正化してもフェライト脱炭を抑制するには至っておらず、このことから、フェライト脱炭の内層側に生成する全脱炭も抑制することができるとは限らない。
特許文献2には、C、Si、Mn、Sb、AsおよびSnの添加量を最適化することにより脱炭を抑制した、ばね鋼が開示されている。特許文献2には、As、SnおよびSbの添加量ならびにAs、SnおよびSbの合計の添加量と脱炭深さの関係が掲載されているが、As、SnおよびSbの合計の添加量を適正化してもフェライト脱炭を抑制するには至っておらず、このことから、フェライト脱炭の内層に生成する全脱炭も抑制することができるとは限らない。
また、特許文献1や特許文献2に開示されている範囲で、As、SnおよびSbを添加すると、連続鋳造後の素材に割れが生じる場合があり、この割れの発生を極力抑制できるばね鋼が求められていた。
特開2003-105496号公報 特開昭61-183442号公報
上述の通り、二酸化炭素排出量の削減の観点から、自動車、建設機械および鉄道車両などに供する、ばねの更なる高強度化が課題となっていた。しかしながら、熱間圧延で所定の線材に製造する際、また、ばね状に成形するための加熱の際に、表層のCが減少し、全脱炭が生じることから、ばね製造後の表面の硬度が低下しやすく、ショットピーニングによる圧縮残留応力の付与が十分に行われない結果、ばねとしての特性、特に耐疲労特性に悪影響を与えることが問題となっていた。さらに、上記した連続鋳造時の割れの発生も問題であった。
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものであり、従来の高強度ばね鋼に対して、C、Si、MnおよびCrに加えて、Sb、Sn、Bi、As、Ga、TeおよびInの添加量の適正化を行うことによって、耐脱炭性に優れ、かつ連続鋳造後の素材に割れの発生しない高強度ばね鋼を提供しようとするものである。
発明者らは、脱炭を抑制するためには、脱炭抑制元素と脱炭素促進元素の添加比率を最適化することが重要であると着想した。そして、前記課題を解決するため、C、Si、MnおよびCrに加えて、Sb、Sn、Bi、As、Ga、Te、およびInの添加量と、下記(1)式で表されるTDL値並びに(2)式で表されるHB値とに着目した。すなわち、C、Si、MnおよびCrの添加量の最適化によりばね鋼として必要な諸特性を確保でき、また、TDL値すなわち、全脱炭の促進や抑制を支配している元素の添加比率を特定することで全脱炭を抑制可能でき、さらに、HB値すなわち連続鋳造後の素材の割れが生じないよう制御する必要がある合金元素の総和に上限を設けることで、連続鋳造後の素材の割れの防止が図れるのではないかと考えた。

TDL=[Si]/{100×[C]×([Sb]+[Sn]+[Bi]+[As]+[Ga]+[Te]+[In])} ・・・(1)
HB=[Sb]+[Sn]+[Bi]+[As]+[Ga]+[Te]+[In] ・・・(2)
但し、[ ]は該括弧内成分の含有量(質量%)
そこで、発明者らは、前記課題を解決するため、C、Si、MnおよびCrに加えて、Sb、Sn、Bi、As、Ga、TeおよびInの添加量を変化させ、かつ上記(1)式で表されるTDL値や(2)式で表されるHB値を変化させた高強度ばね鋼を作製し、その耐脱炭性や連続鋳造後の素材の割れについて鋭意調査した。その結果、C、Si、Mn、CrおよびSb、Sn、Bi、As、Ga、Te、Inの添加量の最適化、並びにTDL値、HB値を適正範囲に制御することによって、耐脱炭性が向上し、さらには、連続鋳造後の素材の割れを抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
1.C:0.35質量%超0.65質量%未満、
Si:0.15質量%以上0.70質量%未満
Mn:0.1質量%以上1.0質量%以下、
Cr:0.01質量%以上1.50質量%以下、
P:0.025質量%以下、
S:0.025質量%以下および
O:0.0015質量%以下
を含有し、
Sb:0.001質量%超0.05質量%以下、
Sn:0.001質量%以上0.05質量%以下、
Bi:0.0001質量%以上0.01質量%以下、
As:0.001質量%以上0.05質量%以下、
Ga:0.0001質量%以上0.01質量%以下、
Te:0.0001質量%以上0.01質量%以下および
In:0.0001質量%以上0.01質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、下記(1)式で算出されるTDL値が1.30以下、下記(2)式で算出されるHB値が0.05質量%以下の条件下に含有し、残部不可避的不純物およびFeの成分組成を有することを特徴とするばね鋼。

TDL=[Si]/{100×[C]×([Sb]+[Sn]+[Bi]+[As]+[Ga]+[Te]+[In])} ・・・(1)
HB=[Sb]+[Sn]+[Bi]+[As]+[Ga]+[Te]+[In] ・・・(2)
但し、[ ]は該括弧内成分の含有量(質量%)
なお、Sb、Sn、Bi、As、Ga、TeおよびInについては、添加しない場合にはO(ゼロ)として取り扱い、積極的に添加した場合にはその含有量(質量%)、の値を用いるものとする。
2.前記成分組成は、さらに、
Al: 0.50質量%以下、
Cu: 1.0質量%以下、
Ni: 2.0質量%以下、
W: 2.0質量%以下、
Nb: 0.1質量%以下、
Ti: 0.2質量%以下、
V: 0.5質量%以下、
Mo: 1.0質量%以下および
B: 0.005質量%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記1に記載のばね鋼。
本発明によれば、従来の高強度ばね鋼に比べて遥かに優れた耐脱炭性を有する高強度ばね鋼を、安定して製造することが可能となる。
連続鋳造後の素材の割れを評価するための試験片形状を示した図である。 連続鋳造後の素材の割れを評価するための熱パターンを示した図である。
次に、本発明の高強度ばね鋼の成分組成並びにその製造条件について説明する。
C:0.35質量%超0.65質量%未満
Cは、必要な強度を確保するため必須の元素であり、0.35質量%以下では所定の強度確保が難しく、また所定強度を確保するためには、合金元素の多量添加が必要となって、合金コストの上昇を招くことから、0.35質量%超とする。また、含有するC量が少ないと、脱炭を生成し易くなる。一方、0.65質量%以上の添加は靭性の低下を招く。以上のことから、C量は0.35質量%超0.65質量%未満とする。
Si:0.15質量%以上0.70質量%以下
Siは、脱酸剤として、また、固溶強化や焼戻し軟化抵抗を向上させることにより鋼の強度を高め、鋼の耐へたり性を向上する元素であり、0.15質量%未満では所定の強度確保が難しく、また所定強度を確保するためには、合金元素の多量添加が必要となって、合金コストの上昇を招くことから、0.15質量%以上とする。しかし、Siは脱炭を促進する元素であり、0.70質量%を超える添加は全脱炭のみならずフェライト脱炭をも生成し易くなる。よって、Siの上限は0.70質量%以下とする。以上のことから、Si量は0.15質量%以上0.70質量%以下とする。
Mn:0.1質量%以上1.0質量%以下
Mnは、鋼の焼入れ性を向上させ強度増加に有益であるため、0.1質量%以上添加する。しかし、1.0質量%を超える添加は、鋼を高強度化するため、母材靭性の低下を招く。よって、Mnの上限は、1.0質量%とする。以上のことから、Mn量は、0.1質量%以上1.0質量%以下とする。
P:0.025質量%以下
S:0.025質量%以下
PおよびSは、粒界に偏析して鋼の母材靭性の低下を招く。以上のことから、これらの元素はできるかぎり低減するのが好ましい。よって、PおよびSはいずれも0.025質量%以下とする。
Cr:0.01質量%以上1.50質量%未満
Crは、鋼の焼入れ性を向上させ強度を増加させる元素である。そのため、0.01質量%以上は添加する。一方で、1.50質量%以上の添加は、鋼を高強度化するため、母材靭性の低下を招く。また、Crはピット底でのpHを低下させるため、耐孔食性を低下させる元素である。以上のことから、Cr量は0.01質量%以上1.50質量%未満とする。より好ましくは、0.05質量%以上である。
O:0.0015質量%以下
Oは、SiやAlと結合し、硬質な酸化物系非金属介在物を形成して、ばねの特性の低下を招くため、可能な限り低い方が良いが、本発明では、0.0015質量%までは許容される。
Sb:0.001質量%超0.05質量%以下、Sn:0.001質量%以上0.05質量%以下、Bi:0.00
01質量%以上0.01質量%以下、As:0.001質量%以上0.05質量%以下、Ga:0.0001質量%以上0.01質量%以下、Te:0.0001質量%以上0.01質量%以下およびIn:0.0001質量%以上0.01質量%以下のうちから選ばれる1種または2種以上
Sb、Sn、Bi、As、Ga、TeおよびInは、表層に濃化して表層のC量の低下を抑制する元素であり、Sb、SnおよびAsは0.001質量%以上にて、またBi、Ga、Te、およびInは0.0001質量%以上にて添加する。しかし、Sb、SnおよびAsは0.05質量%を超えて、またBi、Ga、Te、およびInは0.01質量%を超えて、添加すると、これら成分が鋼中に偏析するようになり、ばねの特性の低下を招く。また、連続鋳造時やばね鋼の焼戻し時に液体金属となり、素材に割れを生じる可能性がある。以上のことから、Sb:0.001質量%超0.05質量%以下、Sn:0.001質量%以上0.05質量%以下、Bi:0.0001質量%以上0.01質量%以下、As:0.001質量%以上0.05質量%以下、Ga:0.0001質量%以上0.01質量%以下、Te:0.0001質量%以上0.01質量%以下およびIn:0.0001質量%以上0.01質量%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を添加する。
TDL値(上記(1)式):1.30以下
TDL値は、脱炭を抑制するための指数であり、TDL値が1.30超になることは、添加するSiの添加量が多いか、添加するC量やSb、Sn、Bi、As、Ga、Te、In量が少ないことであり、Si量が多くなれば脱炭が促進し、添加するC量やSb、Sn、Bi、As、Ga、Te、In量が少なくなれば、表層のCの低下を抑制できなくなり、やはり脱炭が促進する。以上のことから、TDL値は1.30以下とする。
Al: 0.50質量%以下、Cu:1.0質量%以下およびNi:2.0質量%以下、W:2.0質量%以下、Nb:0.1質量%以下、Ti:0.2質量%以下およびV:0.5質量%以下、Mo:1.00質量%以下、B:0.005質量%以下のうちの1種または2種以上
CuおよびNiは、焼入れ性や焼戻し後の強度を高める元素であり、選択して添加することができる。このような効果を得るためには、CuおよびNiは0.005質量%以上で添加することが好ましい。しかし、Cuは1.0質量%およびNiは2.0質量%を超えて添加すると、却って合金コストが上昇するため、Cuは1.0質量%およびNiは2.0質量%を上限として添加するのが好ましい。
また、Alは脱酸剤として添加することができ、さらに、焼入れ時のオーステナイト粒成長を抑制することによって、強度の維持に有効な元素であるため、好ましくは0.01質量%以上で添加する。しかしながら、0.50質量%を超えて添加しても、その効果は飽和してコスト上昇を招く不利が生じる上、冷間でのコイリング性も低下する。よって、Alは0.50質量%を上限として添加することが好ましい。
W、Nb、TiおよびVは、いずれも焼入れ性や焼戻し後の鋼の強度を高める元素であり、必要とする強度に応じて選択して添加することができる。このような効果を得るためには、W、NbおよびTiは、それぞれ0.001質量%以上、Vは0.002質量%以上添加することが好ましい。しかし、Vは0.5質量%、Nbは0.1質量%およびTiは0.2質量%を超えて添加すると、鋼中に炭化物が多量に生成し、高強度化して靭性の低下を招く。Nb、TiおよびVは、それぞれ上記の値を上限として添加するのが好ましい。また、Wは2.0質量%を超えて添加すると、高強度化して靭性が低下し、合金コストの上昇を招く。よって、Wは、2.0質量%を上限として添加するのが好ましい。
Moは、焼入れ性や焼戻し後の強度を高める元素であり、選択して添加することができる。このような効果を得るためには、0.01質量%以上で添加することが好ましい。しかし、1.00質量%を超えて添加すると、却って合金コストが上昇するため、1.00質量%を上限として添加するのが好ましい。
Bは、焼入れ性の増大により焼戻し後の鋼の強度を高める元素であり、必要に応じて含有することができる。上記効果を得るためには、0.0002質量%以上で添加するのが好ましい。しかし、0.005質量%を超えて添加すると、冷間での加工性が劣化する。よって、Bは0.0002〜0.005質量%の範囲で添加することが好ましい。
以上の成分組成を有する鋼塊は、転炉による溶製においても真空溶製によるものでも使用できる。そして、鋼塊、スラブ、ブルームまたはビレットなどの素材は、加熱されて熱間圧延され、酸洗してスケール除去された後に伸線されて所定の太さに整えられ、ばね用鋼に供される。その後、熱間成形あるいは冷間成形にてばね鋼に製造される。
かくして得られた高強度ばね鋼は、安価に製造できるにも関わらず、優れた耐脱炭性ならびに連続鋳造性を有し、例えば自動車の足回り部品である懸架ばね、建設機械や鉄道車両などで使用される懸架ばねへの適用が可能である。
表1に示した成分組成を有する鋼を真空溶解炉で溶製し、これらの鋼から製造した鋼塊を、1000℃に加熱後、熱間圧延を行い、直径15mmの線材にした。加熱時の雰囲気は、大気雰囲気で実施したが、他の雰囲気(例えば、Mガス、LNG、都市ガス、COG+BFGのような混合ガス、COG、重油、窒素、アルゴンなど)を用いて加熱しても良い。熱間圧延後の線材からミクロ組織観察用サンプル(直径15mm、長さ10mm)を採取し、後述する方法で耐脱炭性を調査した。連続鋳造性、すなわち、ばね鋼を連続鋳造した際に割れが生じるか否かは、実際に連続鋳造して行うのが好ましいが、ここでは、上述した直径15mmの線材を、図1に示す試験片に加工を行い、後述する方法で連続鋳造の際の割れ発生の有無を模擬した調査を行った。
[耐脱炭性]
耐脱炭性は、熱間圧延後の線材の表層における全脱炭の有無により判断した。評価方法は、次の通りである。熱間圧延後の線材から長手方向(圧延方向)に対して10mm切断した。切断面(長手方向に対して垂直な断面、以下、C断面)の組織観察を行うため、樹脂に埋め込み、鏡面研磨後、3%ナイタルにて腐食を行い、C断面表層の組織観察を光学顕微鏡にて400倍で行った。表層に全脱炭が認められる場合、一番深いところを全脱炭深さと定義した。
[連続鋳造性]
連続鋳造性は、図1に示す試験片を、富士電波工機製ThermecMaster-Z試験機に供して、真空中で図2に示す熱パターンで熱間引張試験を行い、破断後の試験片の絞り値にて評価した。この絞り値が40%以上であれば、連続鋳造後の素材に割れが発生しないため、ここでは、絞り値が40%以上の場合、良好な連続鋳造性を有すると判断した。
Figure 2015120940
表2に、全脱炭の深さおよび絞り値の各結果を示した。本発明に従う成分組成、さらにTDL値およびHB値を満たす、A−2〜A−18の鋼は、全脱炭の発生がなく、また、絞り値も40%以上あり、良好な耐脱炭性および連続鋳造性を有していることが分かる。これに対して、成分組成ならびにTDL値およびHB値が本発明の範囲外であるA−19〜A−28の鋼は、全脱炭が発生しているか、あるいは、絞り値が40%未満であることが分かる。
Figure 2015120940
表3に示した成分組成を有する鋼を真空溶解炉で溶製し、これらの鋼から製造した鋼塊を、1000℃に加熱後、熱間圧延を行い、直径15mmの線材にした。加熱時の雰囲気は、Mガス雰囲気で実施したが、他の雰囲気(例えば、大気、LNG、都市ガス、COG+BFGのような混合ガス、COG、重油、窒素、アルゴンなど)を用いて加熱しても良い。熱間圧延後の線材からミクロ組織観察用サンプル(直径15mm、長さ10mm)を採取し、前述した方法で耐脱炭性を調査した。ばね鋼の連続鋳造性においても前述した方法で調査した。
Figure 2015120940
表4に、全脱炭の深さおよび絞り値の各結果を示した。本発明の成分組成およびDF値を満たす、B−1、B−3、B−5〜B−7、B−9〜B−18の鋼は、全脱炭の発生がなく、また、絞り値も40%以上あり、良好な耐脱炭性、連続鋳造性を有していることが分かる。これに対して、成分組成ならびにTDL値、HB値が本発明の範囲外であるB−2、B−4、B−8の鋼は、全脱炭が発生するか、あるいは、絞り値が40%未満であることが分かる。
Figure 2015120940

Claims (2)

  1. C:0.35質量%超0.65質量%未満、
    Si:0.15質量%以上0.70質量%以下、
    Mn:0.1質量%以上1.0質量%以下、
    Cr:0.01質量%以上1.50質量%以下、
    P:0.025質量%以下、
    S:0.025質量%以下および
    O:0.0015質量%以下
    を含有し、
    Sb:0.001質量%超0.05質量%以下、
    Sn:0.001質量%以上0.05質量%以下、
    Bi:0.0001質量%以上0.01質量%以下、
    As:0.001質量%以上0.05質量%以下、
    Ga:0.0001質量%以上0.01質量%以下、
    Te:0.0001質量%以上0.01質量%以下および
    In:0.0001質量%以上0.01質量%以下
    のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、下記(1)式で算出されるTDL値が1.30以下、下記(2)式で算出されるHB値が0.05質量%以下の条件下に含有し、残部不可避的不純物およびFeの成分組成を有することを特徴とするばね鋼。

    TDL=[Si]/{100×[C]×([Sb]+[Sn]+[Bi]+[As]+[Ga]+[Te]+[In])} ・・・(1)
    HB=[Sb]+[Sn]+[Bi]+[As]+[Ga]+[Te]+[In] ・・・(2)
    但し、[ ]は該括弧内成分の含有量(質量%)
  2. 前記成分組成は、さらに、
    Al: 0.50質量%以下、
    Cu: 1.0質量%以下、
    Ni: 2.0質量%以下、
    W: 2.0質量%以下、
    Nb: 0.1質量%以下、
    Ti: 0.2質量%以下、
    V: 0.5質量%以下、
    Mo: 1.0質量%以下および
    B: 0.005質量%以下
    のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のばね鋼。
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