本発明の課題は、前述した従来技術の短所を改善すること、具体的には、自転車チューブ内において自転車用車載装置を支持する支持構造体であって、簡単な構造でありながら、自転車用車載装置を様々な形状および/またはサイズの自転車チューブ内に装着させられると同時に、その自転車用車載装置の自転車チューブ内での装着位置からの変位についても十分に阻止可能な支持構造体を提供することである。
具体的に述べると、本発明の第1の主構成は、自転車チューブ(特に、シートポスト)内において自転車用車載装置を支持する支持構造体であって、前記自転車用車載装置を支持する支持手段と、前記自転車チューブ内部に挿入される被挿入部とを備え、前記自転車チューブ内部に挿入される前記被挿入部は、そのすべての角度方向位置および/またはそのすべての長手方向位置で、径方向変形に対する剛性が非一定である(一定でない)ことを特徴とする支持構造体に関する。
本明細書および添付の特許請求の範囲では、径方向変形に対する剛性のことを、単純に「剛性」と称する。
本明細書および添付の特許請求の範囲において「径方向」、「角度方向」、「軸方向」(すなわち、「長手方向」)等の表現は、円筒を基準系とした場合の言い方に過ぎず、必ずしも、前記自転車チューブ内部に挿入される前記被挿入部が略円筒(円筒状)であることを意味しない。
上記の構成によれば、前記自転車チューブ内部に挿入される前記被挿入部は、相異なる2つの角度方向位置および/または相異なる2つの長手方向位置で、径方向変形に対する剛性として、少なくとも2つ以上の異なる数値を取ることになる。
前記自転車チューブ内部に挿入される前記被挿入部の剛性を非一定とすることにより、低い剛性の領域が自転車チューブの形状および/またはサイズに対する適応性をもたらし、高い剛性の領域が自転車チューブの内面に対する十分な保持力(hold)をもたらす。
有利なことに、このような構成の支持構造体は、自転車用車載装置を様々な形状および/またはサイズの自転車チューブ内に装着させられると同時に、自身が自転車用チューブ内の取付位置から軸方向や径方向に動いてしまうのを(結果として、自転車用車載装置が自転車用チューブ内の装着位置から軸方向や径方向に動いてしまうのを)阻止することができる。
好ましくは、前記自転車チューブ内部に挿入される前記被挿入部は、径方向変形に対する剛性が、対向する2つの角度方向位置のうちの一方で最小値を取り、そのうちの他方で最大値を取る。
一部の実施形態において、前記自転車チューブ内部に挿入される前記被挿入部は、比較的に剛体なスライス、および比較的に弾性変形可能なスライスを含む。
本明細書および添付の特許請求の範囲において「スライス」とは、前記自転車チューブ内部に挿入される前記被挿入部を、円筒を基準系とした場合の軸心を含む2つの半平面で区分(分割)してなる、それぞれの部位のことを意味する。
本明細書および添付の特許請求の範囲において「剛性」、「剛体」、「実質的な剛体」等の用語は、所与の物体の、これを変形させようとする力の作用に対して変形し難い性質、またはその性質をもつ物体のことを意味する。
本明細書および添付の特許請求の範囲において「弾性変形可能」、「弾性変形性」等の用語は、所与の物体の、応力を受けることで変形し、かつ、その応力がなくなると変形がほぼ完全に元に戻る性質のことを意味する。
「比較的(比較的に)」という文言は、「剛性」や「剛体」等の用語と「弾性変形性」や「弾性変形可能」等の用語との対比関係を明確にするための文言である。
好ましくは、前記比較的に剛体なスライスと前記比較的に弾性変形可能なスライスとは、同伴角的(explementary)である。
好ましくは、前記実質的に剛体なスライスは、使用時に前記自転車チューブの内面に当接する(abut、直接または間接的に(何かを介して)当たる)外径面、および使用時に前記自転車用車載装置またはピンが当接する内径面を有し、
前記ピンは、その一端部に、前記自転車用車載装置を固定する機械的固定手段を有し、
より好ましくは、前記機械的固定手段は、着脱可能な機械的固定手段である。
実施形態によっては、前記実質的に剛体なスライスが、長手方向の空洞(cavity)を有する。
実施形態によっては、前記比較的に弾性変形可能なスライスが、溝を介して離隔した複数のローブ(lobes)または「花弁(petals)」を形成する波状表面(undulating surface)で構成される。
好ましくは、前記弾性変形可能なスライスは、連続するまたは不連続な外径側壁、連続するまたは不連続な内径側壁、およびこれら外径側壁と内径側壁とを接続する接続要素を有する。これにより、適切な弾性変形性をもたらす「グリッド(grid、格子型)」構造が得られる。
前記外径側壁も前記内径壁側もそれぞれ不連続である場合、前記弾性変形可能なスライスは、外径側の複数の部分壁(radially outer portions )、内径側の複数の部分壁(radially inner portions )、および隣り合う外径側の部分壁と内径側の部分壁との対を接続する接続要素を有する。
この場合、一連の外径側の部分壁間に、それぞれ内径側の部分壁および一対の接続要素により画定された溝が形成される。
好ましくは、前記接続要素の径方向長さ(radial extension、径方向寸法、径方向広がり)は、前記実質的に剛体なスライスから分かれ出て当該実質的に剛体なスライスと反対の位置で合わさる2つの方向において進むにつれて(前記実質的に剛体なスライスから離れるにつれて)増加する。この構成によれば、最大の剛性を有する領域と最大の弾性変形性を有する領域とが、向かい合って位置するので、作用する力の釣り合いを最適化することができる。
好ましくは、前記接続要素は、外径側の部分壁、または前記連続する外径側壁と前記連続する内径側壁との間の空洞を、その角度方向広がり(angular extension 、角度方向寸法、周方向長さ)が前記実質的に剛体なスライスから分かれ出て当該実質的に剛体なスライスと反対の位置で合わさる2つの方向において進むにつれて増加する外径側の部分壁または空洞として形成するように、互いに離間している。この構成においても、最大の剛性を有する領域と最大の弾性変形性を有する領域とが、向かい合って位置するので、作用する力の釣り合いを最適化することができる。
他の実施形態では、前記自転車チューブ内部に挿入される前記被挿入部が、実質的な環状体および当該環状体から長手方向に延びる少なくとも1つの帯体を含む。この場合、その環状体が前記支持構造体における比較的に剛体な領域を形成し、その少なくとも1つの帯体(特には、当該帯体のうち、前記環状体から最も離れた領域)が前記支持構造体における比較的に弾性変形可能な領域を形成する。
好ましくは、前記少なくとも1つの帯体または前記帯体のうちの少なくとも1つは、外径側に突出する少なくとも1つの部位を有する。このような部位は、使用時に前記自転車チューブの内壁に当接して当該内壁に圧接する。
好ましくは、前記少なくとも1つの帯体または前記帯体のうちの少なくとも1つは、外径側に突出する少なくとも2つの部位、および2つの隣り合う外径側の部位を接続する少なくとも1つの内径側の部位を有する。
好ましくは、各帯体が、少なくとも1つの高撓性要素(highly yielding element )を保持する。典型例として、そのような高撓性要素はゴムパッドであるか、あるいは、制振機能を有する既知の部品であれば、どのような部品であってもよい。より好ましくは、そのような高撓性要素は、各帯体のうち、外径側に突出する前記部位に少なくとも配置される。
好ましくは、前記実質的な環状体は、スリットを有する。
好ましくは、前記実質的な環状体からフラップが径方向に延びている。このフラップは、前記自転車チューブ内において前記支持構造体が回転するのを防ぐ回り止め機能を果たす。
好ましくは、前記実質的な環状体と前記フラップとが一体品として形成されている。換言すれば、前記フラップが、前記実質的な環状体のスリットの一端から延びている。
好ましくは、前記自転車チューブ内部に挿入される前記被挿入部は、使用時に前記自転車チューブの内面に当接する表面および/または使用時に前記自転車用車載装置を収容する座部を形成する表面に、接着材料の層を有する(当接、収容にあたり接着材料の層が介在する)。
好ましくは、前記接着材料に代えて、あるいは、前記接着材料に加えて、前記自転車チューブ内部に挿入される前記被挿入部の、使用時に前記自転車チューブの内面に当接する表面および/または使用時に前記自転車用車載装置を収容する座部を形成する表面には、波状加工、ローレット加工、溝加工、またはその他の凹凸加工が施されている(corrugated, knurled, grooved or textured in another way )。これにより、前記自転車チューブの内面に対するグリップ(つかみ)を向上させ、および/または前記自転車用車載装置に対するグリップを向上させることができる。
実施形態によっては、前記自転車用車載装置を支持する前記支持手段が、前記自転車チューブ内部に挿入される前記被挿入部内に形成された座部を含む。
好ましくは、前記座部は、突部および凹部および当該座部と別体の間接的な当接面部のいずれも有さず、前記自転車用車載装置との特殊な合致手段を介さずに当該自転車用車載装置に連結する、円筒状の座部である。
他の実施形態では、前記支持構造体が、さらに、前記前記自転車用車載装置を支持する前記支持手段を第1の長手方向端部に有するピンであって、前記弾性変形可能部内に形成された座部に長手方向に延設されるピンを備える。
好ましくは、本発明の第1の主構成にかかる支持構造体は、前述した付加的な構成に代えて、あるいは、前述した付加的な構成に加えて、本発明の第2の主構成にかかる下記の構成を少なくとも1つ備える。
本発明の他の技術的課題は、前述した従来技術の短所を改善すること、具体的には、自転車チューブ(特に、シートポスト)内において自転車用車載装置を支持する支持構造体であって、様々な形状および/またはサイズの自転車チューブやシートポストに対する優れた適応性を保ちながら、自転車チューブやシートポスト内に素早く組み付けることができる支持構造体を提供することである。
本発明は、さらに、自転車チューブ(特に、シートポスト)内において自転車用車載装置を支持する支持構造体であって、前記自転車チューブ内部に固定され、かつ、前記自転車用車載装置を固定する機械的固定手段が設けられており、さらに、前記自転車チューブ内部に少なくとも一部が強制的に(in a forced manner)挿入される弾性変形可能部を備えており、前記自転車用車載装置を固定する前記機械的固定手段が、前記弾性変形可能部内に長手方向に延設されるピンの第1の長手方向端部に形成されている、支持構造体に関する。
本発明にかかるこの支持構造体は、前記自転車チューブ内部に少なくとも一部が強制的に挿入される弾性変形可能部により、原則として特殊な工具を必要とし且つ時間のかかる調節作業をユーザが行う必要のある従来の機械的膨張可能部とは異なり、単純に自転車チューブ内部に押し込むだけで取り付けることができる。そして、自転車チューブ内部に押し込まれた前記弾性変形可能部は、自身の弾性復元(elastic return)により、自転車チューブを自らグリップして留まる。有利なことに、このように前記弾性変形可能部の弾性復元により自転車チューブに対するグリップがもたらされるので、従来の機械的膨張可能部とは異なり、過度の膨張による自転車チューブの損傷を回避することができる。
また、本発明にかかるこの支持構造体には、前記弾性変形可能部により、自転車の走行中に発生して自転車用車載装置の電子部品に損傷を与えるおそれがある振動を減衰することができるという大きな利点がある。
さらに、前記ピンを設けることにより、自転車用車載装置の重量(具体的には、前記支持構造体によってシートポスト内に懸架状態で装着された自転車用車載装置の重量)を、前記機械的固定手段を介してそのピンに分散させ、さらには、そのピンと連結した前記弾性変形可能部の表面全体に分散させることができる。これにより、前記弾性変形可能部に働く応力をより一様に分散させることができる。
好ましくは、前記自転車用車載装置を固定する前記機械的固定手段は、着脱可能な機械定固定手段である。
好ましくは、前記ピンは、前記弾性変形可能部の長手方向長さ(長手方向寸法)全体にわたって、長手方向に延設される。
前記ピンと前記弾性変形可能部とは、一体成形(co-moulding )、同時押出、接着、ねじ留め、リベット留め、圧力嵌め(forcedly coupled)およびベルクロ(登録商標)留めまたは他の方法により相互に拘束され得る。
好ましくは、前記ピンは、その長さの実質的に全体にわたって中空である。これにより、前記支持構造体を軽量化することができる。
好ましくは、前記ピンは、前記第1の長手方向端部とは反対側の第2の長手方向端部に、前記支持構造体の取付形態(取り付けられた形態)で前記弾性変形可能部の長手方向端部に当接するヘッドを有する。
好ましくは、前記ヘッドは、前記ピンの雌ねじ部にねじ係合する雄ねじに形成されている。
好ましくは、前記支持構造体は、さらに、前記雄ねじと前記弾性変形可能部との間に配置されるワッシャを備える(前記ヘッドが前記弾性変形可能部の長手方向端部に当接するにあたり、ワッシャが介在する)。
好ましくは、前記ワッシャは、前記弾性変形可能部を係止するように(動かなくするように)その内径が前記ピンの外径よりも大きい。この構成によれば、前記雄ねじが前記ピンに締め付けられると、前記ワッシャにより、前記弾性変形可能部に長手方向の圧力が加わる。これにより、前記弾性変形可能部が径方向に変形するので、自転車チューブに対するグリップが向上する。
好ましくは、前記ピンは、前記第1の長手方向端部側の底に、前記自転車用車載装置におけるねじ孔に螺合するねじを挿通するための孔が設けられている。
好ましくは、前記ピンと前記弾性変形可能部とが非同軸である(同軸でない)。
この構成によれば、前記自転車用車載装置のケーシングに任意で設けられる、前記支持構造体側の固定手段と合致する固定手段(例えば、ねじ孔など)を偏心させることができるので、その自転車用車載装置内の、当該自転車用車載装置の部品を収容するための空洞の空間を大きく取ることが可能になる。また、自転車チューブの内径が前記ピンの外径よりも少ししか大きくなくても、弾性変形可能部における少なくとも1つの領域を、プラスチック材料を用いた押出成形等の所望の方法により十分な肉厚に形成することができる。
好ましくは、前記自転車用車載装置を固定する着脱可能な前記機械的固定手段は、ねじ部を含む。変形例として、前記自転車用車載装置を固定するこの着脱可能な機械的固定手段は、圧入型、スナップ型、滑り嵌め型(slipping- )、バヨネット型またはベルクロ(登録商標)型の固定手段である。
好ましくは、前記支持構造体は、さらに、前記自転車用車載装置の回転を防ぐ回り止め装置を備える。これにより、前記自転車用車載装置が目的の位置に留まるので、支持構造体−自転車用車載装置の組立体(assembly)を自転車チューブに挿入し易くなる。
好ましくは、前記回り止め装置は、前記自転車用車載装置における着座部に収容される、前記ピンの前記第1の端部(第1の長手方向端部)から突出するペグを含む。
好ましくは、本発明の第2の主構成にかかる支持構造体は、前述した付加的な構成に代えて、あるいは、前述した付加的な構成に加えて、本発明の第1の主構成にかかる既述の構成を少なくとも1つ備える。
具体的に述べると、好ましくは、前記弾性変形可能部が、そのすべての角度方向位置および/またはそのすべての長手方向位置で、径方向変形に対する剛性が非一定である。
より好ましくは、前記弾性変形可能部が、比較的に剛体なスライス、および比較的に弾性変形可能なスライスを含む。
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しながら行う、好適な実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになる。また、構成間で互いに異なる特徴を、適宜組み合わせることも可能である。
図面を参照しながらの以下の説明において、同一または同様の機能を有する構成要素には、同一または同様の符号を付す(具体的には、符号の数字を100ずつ増やす)。
図1に、車載装置20を備えた自転車200の一例を概略的に示す。車載装置20は、本発明にかかる支持構造体により装着可能な複数の位置のうちの一つに装着されている。
自転車200は、周知のものと同じく、フレーム210と、フレーム210のシートチューブ212の上端部に少なくとも一部が挿入されたシートポスト230と、シートポスト230の上端に設けられたサドル232と、ハンドルバー234と、ヘッドチューブ226に回転可能に装着されたフォーク236と、フォーク236の下端部で回転可能に支持されたフロントホイール238と、フレーム210のリア部(後部)で回転可能に支持されたリアホイール240と、推進機構242と、フロントブレーキ244およびリアブレーキ246のうちの少なくとも一方と、を備える。
図示の実施形態のフレーム210は、ダイアモンド型のフレームである。フレーム210は、前述のシートチューブ212と、前述のヘッドチューブ226と、トップチューブ214と、ダウンチューブ216と、リアステーにおける4つのチューブ部分218,220,222,224と、を有する。具体的に述べると、リアステー218,220,222,224は、前述のダウンチューブ216、一対のチューブ部分218,220、およびさらなる一対のチューブ部分222,224で構成される。一対のチューブ部分218,220は、シートチューブ212とトップチューブ214とが合流して(meet、合体して)シートポスト230が取り付けられる箇所から下方および後方に向かって斜めに延びている。さらなる一対のチューブ部分222,224は、シートチューブ212とダウンチューブ216とが合流する箇所から後方に向かって略水平に延びている。そのうちの1つであるチューブ部分222は、当該技術分野においてスリーブとも称される。
典型的に、推進機構242は、ボトムブラケットアセンブリ(図示せず)のシャフトを回転駆動させる、ペダル250,251が設けられた一対のクランクアーム248,249を含む。前記シャフトには、少なくとも1つのフロントスプロケット254が取り付けられている。推進機構242は、さらに、リアホイール240に設けられた少なくとも1つのリア歯車256と、フロント歯車254とリア歯車256との間で延びるチェーン258と、を含む。可変の伝達比を有する推進機構242であれば、さらに、複数のフロント歯車254間でチェーン258を移動させるフロントディレイラ260、および/または、複数のリア歯車256間でチェーン258を移動させるリアディレイラ262を含む。
ブレーキ244,246および/またはディレイラ260,262を制御する制御装置264は、図示のようにハンドルバー234の端部に設けられるのが通例であるが、そこ以外にも、フレーム210の好都合な位置に固定され得る。制御装置264は、ブレーキ244,246および/またはディレイラ260,262を電気的に作動させる指令を生成するレバーおよび/またはボタン、あるいは、ブレーキ244,246および/またはディレイラ260,262を例えばボーデンケーブルなどを介して機械的に作動させるレバーおよび/またはボタンを有し得る。
自転車200に搭載される車載電子システムは、下記の装置または構成要素(それらの多くは図示せず)のうちの一つ以上を備える:制御装置264;各ディレイラ260,262を動かす電気モータ;各ディレイラ260,262の位置センサ;速度センサ;ペダル動作のケイデンスセンサ(pedalling cadence sensor);傾斜計;速度計;心拍数モニタまたは他のセンサ;ディスプレイユニット;オーディオユニット;少なくとも1つのバッテリー電源ユニット(好ましくは、充電可能なタイプ);1つ以上のプロセッサ;ならびにこれらの装置を動作させるおよび/またはデータを収集・記憶するための記憶手段。これら以外にも:マルチメディアコンテンツ、例えば、音楽、ビデオ、画像(地図ファイルを含む)などのリーダー;および/またはデジタルカメラ;および/またはビデオカメラ;および/または音声記録ユニット;および/または携帯電話ユニット;および/または他のアプリケーションも設けられ得る。
上記の各構成要素は、有線および/または無線で接続されており、それぞれ自転車の様々な箇所に配置され得る。
図2に、上記のような車載電子システムの一構成要素を成し得る自転車用車載装置(自転車用の車載装置)20を支持する、本発明の第1の実施形態の支持構造体10を、シートポスト230内でのその自転車用車載装置20の装着状態で概略的に示す。さらに、図3〜図5にもその詳細を示す。自転車用車載装置20は、例えば、バッテリー電源ユニットおよび/または給電電子部と、車載電子システム内での接続を行うコネクタ24が設けられたケーブル22とを備える。
以降では、説明を分かり易くするために、この実施形態の支持構造体および他の実施形態の支持構造体を、自転車用車載装置20をシートポスト230内に装着するものとして説明するが、これらの支持構造体は、自転車用車載装置20を別の自転車チューブ内に装着することも可能である。そのような別の自転車チューブとして、例えば、(特に、ストレートハンドルバー(図示せず)の場合に)ハンドルバー234の端部、シートチューブ212、トップチューブ214、ダウンチューブ216、ヘッドチューブ226等が挙げられる。
図2〜図5を参照する。支持構造体10は、シートポスト230内部に挿入される被挿入部11を備える。
被挿入部11は、弾性変形可能な弾性変形可能部である。
後で詳述するように、弾性変形可能部11は、シートポスト230内部に少なくとも一部が強制的に挿入される。
具体的に述べると、弾性変形可能部11は、比較的に剛体なスライス12、および比較的に弾性変形可能なスライス13を含む。以降では、それぞれ「実質的に剛体なスライス」、「弾性変形可能なスライス」と称する場合がある。
実質的に剛体なスライス12は曲線(湾曲した)形状をしており、内径面14および外径面15を有する。
弾性変形可能なスライス13は、溝を介して離隔した複数のローブ(または「花弁」)を形成する波状表面で構成される。
具体的に述べると、弾性変形可能なスライス13は、外径側の複数の部分壁(radially outer portions)16a,16b,16c、内径側の複数の部分壁(radially inner portions)17a,17b、および隣り合う外径側の部分壁16a,16b,16cと内径側の部分壁17a,17bとの対を接続する接続要素18a,18b,18c,18dを有する。一連の外径側の部分壁16a,16b,16c間に、それぞれ内径側の部分壁17a,17bおよび一対の接続要素18a,18b,18c,18dにより画定された溝19が形成される。外径側の部分壁16a,16b,16cは不連続な外径側壁を全体として形成し、内径側の部分壁17a,17bは不連続な内径側壁を全体として形成する。
さらに具体的に述べると、好ましくは、弾性変形可能なスライス13は、図5に詳細に示されているように、実質的に剛体なスライス12の外径面15の両端から延びる第1の対の外径側の部分壁16a、接続要素18aにより第1の対の外径側の部分壁のうちの対応する部分壁16aにそれぞれ接続した第1の対の内径側の部分壁17a、接続要素18bにより第1の対の内径側の部分壁のうちの対応する部分壁17aにそれぞれ接続した第2の対の外径側の部分壁16b、接続要素18cにより第2の対の外径側の部分壁のうちの対応する部分壁16bにそれぞれ接続した第2の対の内径側の部分壁17b、および接続要素18dにより第2の対の内径側の部分壁17bのそれぞれに接続した第3の外径側の部分壁16cを有する。
好ましくは、外径側の部分壁16a,16b,16cの角度方向広がりが、支持構造体10における弾性変形可能部11のうちの実質的に剛体なスライス12から分かれ出て当該実質的に剛体なスライス12と反対の位置で合わさる2つの方向において進むにつれて増加する。具体的に述べると、第2の対の外径側の部分壁16bにおける各部分壁の角度方向広がりが第1の対の外径側の部分壁16aにおける各部分壁の角度方向広がりよりも大きく、かつ、第3の外径側の部分壁16cの角度方向広がりが第2の対の外径側の部分壁16bにおける各部分壁の角度方向広がりよりも大きい。
また、好ましくは、外径側の部分壁16a,16b,16cと内径側の部分壁17a,17bとを接続する接続要素18a,18b,18c,18dの径方向長さが、支持構造体10における弾性変形可能部11のうちの実質的に剛体なスライス12から分かれ出て当該実質的に剛体なスライス12と反対の位置で合わさる2つの方向において進むにつれて増加する。
具体的に述べると、前記第2の対の外径側の部分壁16bと前記第1の対の内径側の部分壁17aとを接続する接続要素18bの径方向長さが、前記第1の対の外径側の部分壁16aと前記第1の対の内径側の部分壁17aとを接続する接続要素18aの径方向長さよりも大きく、前記第2の対の内径側の部分壁17bと前記第2の対の外径側の部分壁16bとを接続する接続要素18cの径方向長さが、前記第2の対の外径側の部分壁16bと前記第1の対の内径側の部分壁17aとを接続する接続要素18bの径方向長さよりも大きく、かつ、第3の外径側の部分壁16cと前記第2の対の内径側の各部分壁17bとを接続する接続要素18dの径方向長さが、前記第2の対の内径側の部分壁17bと前記第2の対の外径側の部分壁16bとを接続する接続要素18cの径方向長さよりも大きい。
内径側の部分壁17a,17bの数および外径側の部分壁16a,16b,16cの数は、図示と異なる数であってもよい。
また、図示・説明の支持構造体10は対称面を有しているが、これは必須の構成ではない(任意の構成である)。
さらに、図示・説明の例では、外径側の部分壁16a,16b,16cを奇数とし、内径側の部分壁17a,17bを偶数とすることにより、実質的に剛体なスライス12と反対の位置に外径側の部分壁16cが配置されているが、支持構造体10の弾性変形可能部11において外径側の部分壁を偶数とし、内径側の部分壁を奇数とすることにより、実質的に剛体なスライス12と反対の位置に内径側の部分壁を配置するようにしてもよい(すなわち、溝が位置するようにしてもよい)。なお、図示の構成は、最大の剛性を有する領域と最大の弾性変形性を有する領域とが向かい合って位置するので有利である。
さらに、図示・説明の例では、実質的に剛体なスライス12の隣りに外径側の部分壁16aが位置しているが、これは必須の構成ではなく(任意の構成であり)、その変形例として、内径側の部分壁が実質的に剛体なスライス12の内径面14の両端から延びていてもよい。なお、図示の構成は、支持構造体10とシートポスト230の内面との、実質的に剛体なスライス12近辺(すなわち、最大の剛性を有する領域近辺)の接触面の角度方向広がりが増すので有利である。これにより、シートポスト230内での支持構造体10の位置がより安定する。
実質的に剛体なスライス12の内径面14と弾性変形可能なスライス13の内径側の部分壁17a,17bとが、使用時に自転車用車載装置20を収容する座部21を形成する。
詳細には、自転車用車載装置20はその座部21に着脱可能に固定される。しかしながら、自転車用車載装置20はその座部21に恒久的に固定されてもよい(図25を参照)。
実質的に剛体なスライス12の外径面15と弾性変形可能なスライス13の外径側の部分壁16a,16b,16cとが、使用時にシートポスト230の内面に当接する表面を形成する。
この実施形態では、弾性変形可能部11が支持構造体10の全体を構成する。この弾性変形可能部11は、そのすべての角度方向位置で弾性が相異なる構造(すなわち、弾性が非一定な構造)の形態であり、弾性変形可能なスライス13により、使用時に支持構造体10が様々な形状および/またはサイズのシートポスト230に適応できると同時に、実質的に剛体なスライス12により、自転車チューブの内面に対する十分なグリップをもたらし、また、振動が発生してもこれを減衰するので自転車用車載装置20の位置を所定の位置に安定させることができる。
好ましくは、実質的に剛体なスライス12の角度方向広がりは40°〜80°であり、より好ましくは約60°である。
好ましくは、実質的に剛体なスライス12の肉厚(厚さ、壁厚)は、弾性変形可能なスライス13の肉厚よりも大きい。
図示の例において、内径側の部分壁17a,17bの肉厚、外径側の部分壁16a,16b,16cの肉厚、および接続要素18a,18b,18c,18dの肉厚は一定であるが、これは必須の構成ではない(任意の構成である)。その肉厚が非一定である(一定でない)場合、好ましくは、当該肉厚は、支持構造体10における弾性変形可能部11のうちの実質的に剛体なスライス12から分かれ出て当該実質的に剛体なスライス12と反対の位置で合わさる2つの方向において進むにつれて減少する。
支持構造体10における弾性変形可能部11は、プラスチック材料、金属材料または支持構造体10に弾性変形性を付与可能な類似の材料から製作される。一具体例として、弾性変形可能部11は押出成形で製作される。
好ましくは、弾性変形可能なスライス13の外径側の部分壁16a,16b,16cは、その外側(外表面)が、波状加工、ローレット加工、溝加工、またはその他の凹凸加工を施されている。これにより、支持構造体10とシートポスト230との間のグリップが向上するので、自転車用車載装置20をシートポスト230内の適切な位置により強固に保持することができる。この構成に加えて、あるいは、この構成に代えて、実質的に剛体なスライス12の外径面15に、同様の機能を果たす凹凸加工面を設けてもよい。
この構成に加えて、あるいは、この構成に代えて、弾性変形可能なスライス13の内径側の部分壁17a,17bにおける内径面および/または実質的に剛体なスライス12の内径面14に、凹凸加工が施されてもよい。これにより、支持構造体10と自転車用車載装置20との間のグリップを向上させることができる。
ユーザが自転車用車載装置20をシートポスト230内に装着するには、まず、自転車用車載装置20の少なくとも一部を、支持構造体10のうち、実質的に剛体なスライス12の内径面14および弾性変形可能なスライス13の内径側の部分壁17a,17bにより形成される座部21に強制的に挿入する。挿入された自転車用車載装置20は、実質的に剛体なスライス12の内径面14に当接し、かつ、弾性変形可能なスライス13の弾性復元により、この弾性変形可能なスライス13の内径側の部分壁17a,17bによって把持される。
次に、こうして得られた支持構造体10−自転車用車載装置20の組立体の、その少なくとも一部を、シートポスト230内部に強制的に挿入する。このように挿入された支持構造体10は、その実質的に剛体なスライス12の外径面15および弾性変形可能なスライス13の外径側の部分壁16a,16b,16cが、シートポスト230に当接し、かつ、弾性変形可能なスライス13の弾性復元により、そのシートポスト230の内面に押し付けられる。
しかしながら、まず支持構造体10だけをシートポスト230内部に挿入し、その後から支持構造体10内に自転車用車載装置20を挿入することで装着を行うようにしてもよい。
支持構造体10内への自転車用車載装置20の強制的挿入およびシートポスト230内部への支持構造体10の強制的挿入の両方を行うのではなく、一方の挿入だけが強制的としても、装着完了後の自転車用車載装置20の把握を十分に達成すると共に、弾性変形可能なスライス13の弾性復元により、支持構造体10をシートポスト230の内面に押し付けて当該内面を十分にグリップすることができる。
つまり、有利なことに、本発明にかかる支持構造体10の弾性変形可能なスライス13により、単純に自転車用車載装置20を支持構造体10内に押し込むだけで自転車用車載装置20の装着を行うことができるので、どのような形状および/またはサイズの自転車用車載装置であっても装着が可能になる。
また、有利なことに、弾性変形可能なスライス13により、従来の機械的膨張可能部のように一般的に特殊な工具を必要とし且つ時間のかかる調節作業をユーザが行わずとも、支持構造体10をシートポスト230内部に取り付けることができる。
また、有利なことに、弾性変形可能なスライス13の弾性復元によりシートポスト230に対するグリップがもたらされるので、従来の機械的膨張可能部とは異なり、過度の膨張によるシートポスト230の損傷を回避することができる。
さらに、本発明にかかるこの支持構造体10には、弾性変形可能部11により、自転車の走行中に発生して自転車用車載装置20の電子部品に損傷を与えるおそれがある振動を減衰することができるという大きな利点がある。
図6〜図8に、自転車用車載装置20を支持する他の実施形態の支持構造体110を示す。この支持構造体110は、先ほど図示・説明した実施形態と同じくシートポスト230内部に少なくとも一部が強制的に挿入される弾性変形可能部111を備える。
図6〜図8の実施形態は、弾性変形可能部111内に長手方向に延設されるピン130を備え、かつ、自転車用車載装置20を固定する固定手段がそのピン130の長手方向の一端部に形成されている点で、先ほど図示・説明した実施形態と異なる。
好ましくは、ピン130は、図示のように弾性変形可能部111の長手方向長さ全体にわたって延設される。
好ましくは、自転車用車載装置20を固定する固定手段は、ピン130におけるねじ付きの一端部132で構成されており、すなわち、着脱可能な機械的固定手段を形成している。
変形例として、ピン130の一端部132は、例えば圧入、滑り嵌め、バヨネット取付、スナップ取付、類似の着脱可能な機械的連結システム等で、自転車用車載装置20に形成された合致する固定手段と連結する。一例として、自転車用車載装置20側の合致する固定手段は、ねじ孔である。
他の変形例として、ピン130の一端部132は、自転車用車載装置20における孔に挿入かつ接着されてもよく、すなわち、恒久的な固定手段を形成するものであってもよい。
具体的に述べると、ピン130は、図8に詳細に示すように支持構造体110における弾性変形可能部111のうちの実質的に剛体なスライス112の内径面114および弾性変形可能なスライス113の内径側の部分壁117a,117bにより形成される座部121に収容される。
したがって、ピン130と弾性変形可能部111とは非同軸である(同軸でない)。
ピン130と弾性変形可能部111とは、例えば同時押出、一体成形等で、一体品として形成されてもよい。あるいは、ピン130と弾性変形可能部111とは、別体であってもよく、圧入(press-fit )、ねじ留め、接着、リベット留め、圧力嵌め(forced coupling)、ベルクロ(登録商標)留めまたは他の等価的な方法により相互に連結される。
ピン130は、例えば、プラスチック材料または金属材料から製作される。そのような金属材料の例として、アルミニウム、これと類似の金属材料等が挙げられる。
好ましくは、ピン130は、その長さの実質的に全体にわたって中空である(図11、図15および図29を参照)。特には、ピン130の長さのうち、弾性変形可能部111内に延設される長さにわたって中空である。これらの構成により、支持構造体110を軽量化することができる。
自転車用車載装置20をシートポスト230内に装着する場合、必要に応じてピン130と弾性変形可能部111とを結合してから、支持構造体110をシートポスト230内部に挿入した後、ピン130のねじ付きの一端部132を自転車用車載装置20に螺合する。しかしながら、上記の装着過程を別の順番で行うようにしてもよい。
図9〜図12に、自転車用車載装置20を支持する本発明のさらなる他の実施形態の支持構造体310を示す。この支持構造体310は、溝19を有さない点で、これまで図示・説明した実施形態と主に異なる。
支持構造体310も、シートポスト230内部に少なくとも一部が強制的に挿入される弾性変形可能部311を備える。
具体的に述べると、支持構造体310の弾性変形可能部311は、外側の中空円筒体316、内側の中空円筒体317、および外側の中空円筒体316と内側の中空円筒体317とを接続する複数の接続要素318a,318b,318cを有する。外側の中空円筒体316は連続する外径側壁を実現しており、内側の中空円筒体317は連続する内径側壁を実現している。好ましくは、内側の中空円筒体317は、外側の中空円筒体316に対してオフセットしている(同軸でない、偏心している)。図9では、複数の接続要素318a,318b,318cをまとめて符号318で表す。
図10に詳細に示すように、外側の中空円筒体316と内側の中空円筒体317とがオフセットしていることにより、接続要素318a,318b,318cの径方向長さは非一定である。特には、それらの径方向長さが、接続要素318a、接続要素318b、接続要素318cの順番で増加する。具体的に述べると、三対の接続要素が設けられており、第2対における接続要素318bの径方向長さが第1対における接続要素318aの径方向長さよりも大きく、かつ、第3対における接続要素318cの径方向長さが第2対における接続要素318bの径方向長さよりも大きい。
外側の中空円筒体316と内側の中空円筒体317と接続要素318a,318b,318cとの間には、略台形(台形状)の横断面を有する空洞C1,C2,C3,C4が形成されている。これら空洞の径方向長さは、空洞C1、空洞C2、空洞C3、空洞C4の順番で増加する。具体的に述べると、空洞C1の径方向長さは小さく、空洞C1の両側に隣り合って位置する第1対の空洞C2の径方向長さは前記空洞C1の径方向長さよりも大きく、第1対の空洞C2のうちの対応する空洞C2にそれぞれ隣り合って位置する第2対の空洞C3の径方向長さはその第1対の空洞C2の径方向長さよりも大きく、かつ、第2対の空洞C3に隣り合って且つ前記空洞C1と反対の位置(特には、前記空洞C1と正反対の位置)に位置する空洞C4の径方向長さはその第2対の空洞C3の径方向長さよりも大きい。
このように空洞C1〜C4の径方向長さを増加させることにより、弾性変形可能部311の弾性変形性が増加する。この構成によれば、弾性変形可能部311の剛性を、その角度方向において相異らせることができる(すなわち、弾性変形可能部311の剛性を、そのすべての角度方向位置で非一定にすることができる)。具体的に述べると、支持構造体310では、最小の径方向長さを有する空洞C1の箇所を実質的に剛体なスライス312とすることができ、かつ、径方向長さが徐々に増加する空洞C2〜C4の箇所を弾性変形可能なスライス313とすることができる。
図2〜図5の実施形態についての説明での補足と類似するが、連結要素318a,318b,318cの数、したがって、空洞C1〜C4の数は、図示と異なる数であってもよい。
また、図示・説明の支持構造体310は対称面を有しているが、これは必須の構成ではない(任意の構成である)。
さらに、図示・説明の例では、空洞C4が実質的に剛体なスライス312と反対の位置に配置されているが、接続要素318をこの実質的に剛体なスライス312と反対の位置に配置するようにしてもよい(図16を参照)。なお、図示の構成は、最大の剛性を有する領域と最大の弾性変形性を有する領域とが向かい合って位置するので有利である。
さらに、図示・説明の例では、実質的に剛体なスライス312と反対側に位置する空洞C4の角度方向広がりが、これに隣り合う空洞C3の角度方向広がりよりも小さいが、これは必須の構成ではなく(任意の構成であり)、その変形例として、空洞C4の角度方向広がりを、空洞C1〜C4のなかで最大に設定してもよい。この構成によれば、弾性変形可能部311の変形性の上限(最大限)をさらに増やすことができる。
図11および図12に詳細に示すように、支持構造体310は、図6〜図8の実施形態と同様にピン330を備える。このピン330は、内側の中空円筒体317内に収容される。
同図には、ピン330を弾性変形可能部311に固定するねじ333が示されている。このねじ333は、ピン330のうち、雌ねじ部330aが設けられた長手方向端部に螺合する。この長手方向端部は、ピン330のうち、自転車用車載装置20に形成された合致する固定手段26と連結する長手方向の一端部332とは反対側の端部である。図示の例において、固定手段26は、雌ねじ部が設けられたねじ孔である。
ねじ333は、ピン330のヘッド333aとなる。ヘッド333aは、弾性変形可能部311の長手方向端部に当接する。
好ましくは、ねじ333は、ワッシャ335を介してピン330に螺合する(ヘッド333aが弾性変形可能部311の長手方向端部に当接するにあたり、ワッシャ335が介在する)。
好ましくは、ワッシャ335は、その内径がピン330の外径よりも大きい。この構成によれば、ねじ333がピン330に締め付けられると、ワッシャ335により、弾性変形可能部311に長手方向の圧力が加わる。これにより、弾性変形可能部311が径方向に変形するので、シートポスト230に対するグリップが向上する。
自転車用車載装置20をシートポスト230内に装着するには、まず、ピン330を支持構造体310における内側の中空円筒体317内に挿入し、ねじ333およびワッシャ335によりピン330を固定する。次に、ピン330のねじ付きの一端部332を自転車用車載装置20に螺合する。そして、こうして得られた支持構造体310−自転車用車載装置20の組立体をシートポスト230内部に挿入する。しかしながら、上記の装着過程を別の順番で行うようにしてもよい。
図13〜図15に、図9〜図12を参照しながら説明した支持構造体310が、非円形状の横断面を有するシートポスト230内部に挿入されている様子を示す。
図13〜図15から、非円形状の断面を有するシートポスト230内部に支持構造体310を強制的に挿入すると、弾性変形可能なスライス313が変形することにより、当該支持構造体310がその非円形状の断面に適応できることが分かる。具体的に述べると、そのような強制的な挿入により、外側の中空円筒体316が変形して、長円状(oblong)、卵形状(ovoidal )になる。また、そのように強制的な挿入を行うと、弾性変形可能なスライス313が弾性復元を生じることにより、外側の中空円筒体316の外面がシートポスト230の内面に当接する。これにより、支持構造体310−自転車用車載装置20の組立体をシートポスト230内の適切な位置に保持することができるので、当該組立体が径方向や軸方向に動いてしまうのを阻止することができる。
変形例として、支持構造体310を、図13〜図15に示す形状を有し、円筒状のシートポスト内部に挿入されると図9〜図12の形状に変形する支持構造体としてもよい。
図16〜図18に、シートポスト内部に挿入される被挿入部について、その形状の様々な変形例を示す。これらの被挿入部は、図示のように自転車用車載装置20と直接連結するのにも、図6〜図15のように自転車用車載装置20とピンで連結するのにも適している。
図16には、自転車用車載装置20を支持する本発明のさらなる他の実施形態の支持構造体410が示されている。支持構造体410は、シートポスト230内部に挿入される被挿入部411を備える。被挿入部411は略円筒(円筒状)である。また、被挿入部411内には、自転車用車載装置20を収容する座部421が形成されている。座部421は、被挿入部411の長手軸心に対してオフセットしている。好ましくは、座部421が円形状の横断面を有する。
被挿入部411では、連続する外径壁416と連続する内径壁417との間に、第1対の長手方向の空洞C1および第2対の長手方向の空洞C2が設けられている。好ましくは、空洞C1および空洞C2が台形状の横断面を有する。第2対における空洞C2の径方向長さは、第1対における空洞C1の径方向長さよりも大きい。また、各対の空洞C1,C2において、それぞれの空洞は、被挿入部411で長手方向に延びる平面について対称である。このようにして被挿入部411には、これまでの実施形態で述べた機能と同じ機能を果たす実質的に剛体なスライス412および弾性変形可能なスライス413が形成される。
この実施形態では、実質的に剛体なスライス412が形成する最大の剛性を有する箇所と反対の箇所に、空洞ではなく接続要素418が存在する。
また、この実施形態では、実質的に剛体なスライス412が空洞を有さない。
図17には、自転車用車載装置20を支持する本発明のさらなる他の実施形態の支持構造体510であって、非円筒状の横断面を有するシートポスト内に挿入されている様子が示されている。
支持構造体510は、シートポスト230内部に挿入される被挿入部511に形成されている台形状横断面の空洞の数が、図16を参照しながら説明した支持構造体410と異なるが、他の点では同様である。
具体的に述べると、支持構造体510は、連続する外径壁516と連続する内径壁517との間に、第1の対の長手方向の空洞C1、第2の対の長手方向の空洞C2および第3の空洞C3を有する。好ましくは、これらの空洞C1〜C3がすべて台形状の横断面を有する。第2の対の空洞C2の径方向長さは第1の対の空洞C1の径方向長さよりも大きく、かつ、第3の空洞C3の径方向長さは第2の対の空洞C2の径方向長さよりも大きい。また、各対の空洞C1,C2において、それぞれの空洞は、被挿入部511で長手方向に延びる平面について対称である。
このようにして被挿入部511にも、これまでの実施形態で述べた機能と同じ機能を果たす実質的に剛体なスライス512および弾性変形可能なスライス513が形成される。
図示の実施形態から、支持構造体510が、上記の構成を有する弾性変形可能なスライス513により、非円形状の横断面を有するシートポスト230内に有利に挿入できることが分かる。
図18には、自転車用車載装置20を支持する本発明のさらなる他の実施形態の支持構造体610が示されている。支持構造体610は、比較的に剛体なスライスおよび比較的に弾性可能なスライスを含まず、シートポスト230内部に挿入される被挿入部611が、一定の回転対称性を有するように構成されている点で、図2〜図5を参照しながら説明した支持構造体10と異なる。「回転対称性」とは、被挿入部611を長手軸心を中心として1回転させた際に、少なくとも1回は、その被挿入部611の形状が回転前の形状と合致することを意味する。
具体的に述べると、被挿入部611は、外径側の複数の部分壁616、内径側の複数の部分壁617、および外径側の部分壁616と内径側の部分壁617とを接続する複数の接続要素618を有する。一連の外径側の部分壁616間に、それぞれ溝619が形成される。支持構造体10の場合とは異なり、外径側の部分壁616は周方向長さがすべて同じであり、内径側の部分壁617も周方向長さがすべて同じであり、さらに、接続要素618についても径方向長さがすべて同じである。
内径側の部分壁617が、使用時に自転車用車載装置20を収容する座部621を形成する。被挿入部611の外径側の部分壁616は、使用時にシートポスト230の内面に当接する。
図19〜図21に、自転車用車載装置20を支持する本発明のさらなる他の実施形態の支持構造体710を示す。支持構造体710は、実質的な環状体717および環状体717から軸方向(すなわち、長手方向)に延びる一対の帯体713を備える。好ましくは、実質的な環状体717は、スリット717aで開口している。好ましくは、一対の帯体713は、環状体717において対向する側から延びている。
帯体713の数は3つ以上であってもよい。また、帯体713は単一の帯体であってもよい。
帯体713は、それぞれ、環状体717に係止される係止端部または拘束端部である第1の端部712および自由端部である第2の端部714を有する。
帯体713は、それぞれ、波形(undulated、うねり形状)をしている。具体的に述べると、各帯体713の2つの端部(係止端部と自由端部)712,714間に、外径側に突出する2つの部位(または膨出部位)716a,716bおよび2つの外径側の前記部位716a,716b同士を接続する内径側の部位(または凹部位または谷部位)718が形成されている。変形例として、前記外径側の部位を単一の部位としてもよい。また、他の変形例として、前記外径側の部位の数および/または前記内径側の部位の数を、図示の数よりも多くしてもよい。
好ましくは、膨出部位716a,716bのそれぞれに、高撓性要素720が(例えば接着で)固定されている。典型例として、高撓性要素720はゴムパッドであるか、あるいは、制振機能を有する既知の部品であれば、どのような部品であってもよい。
環状体717は、支持構造体710における比較的に剛体な領域を形成する。自由端部714側の膨出部位716bは、支持構造体710における比較的に弾性変形可能な領域を形成する。さらに、帯体713の係止端部712側の膨出部位716aは、環状体717の剛性と帯体713の自由端部714側の膨出部位716bの剛性との中間の剛性を有する領域を形成する。
環状体717ならびに帯体713の拘束端部712および自由端部714が、自転車用車載装置20を支持する座部721を形成する。
膨出部位716a,716bの内径面および膨出部位716a,716b同士を接続する内径側の部位718の内径面は、前記端部712,714の内径面よりも外径側に位置する。したがって、膨出部位716a,716bおよび内径側の部位718は、前記座部721の形成に寄与しない。つまり、支持構造体710と自転車用車載装置20との間には、帯体713の長さの実質的に全体に沿って、円筒状の隙間719が形成される。このような隙間719により、自転車用車載装置20の形状および/またはサイズに対する適応性が向上し、および/または、シートポスト230の形状および/またはサイズに対する適応性が向上する。しかしながら、隙間719はなくてもよい。
このような構成により、支持構造体710では、シートポスト230内部に挿入される被挿入部(具体的には、その支持構造体710の全体)が、そのすべての角度方向位置だけでなくそのすべての長手方向位置においても、径方向変形に対する剛性が非一定となる。
ユーザが自転車200のシートポスト230内に支持構造体710を取り付けるには、まず、自転車用車載装置20を、環状体717内部に且つ帯体713間に挿入する。そして、こうして得られた支持構造体710−自転車用車載装置20の組立体を、シートポスト230内部に挿入する。
膨出部位716bにより、さらに、(膨出部位716bよりは貢献度は下がるが)膨出部位716aにより、使用時に支持構造体710が様々な形状および/サイズのシートポスト230に適応できると同時に、環状体717および膨出部位716aが使用時にシートポスト230の内面に当接してこれに押し付けられるので、振動が発生しても自転車用車載装置20の位置を所定の位置に安定させることができる。
図22〜図24に、自転車用車載装置20を支持する本発明のさらなる他の実施形態の支持構造体810を示す。
支持構造体810は、2つの帯体のうちの一方の帯体813bだけが膨出部位816a,816bを有しており、他方の帯体813aが波形ではなくて2つのゴムパッド820を備えているだけである点で、図19〜図21を参照しながら説明した支持構造体710と異なる。同様の構成要素については、符号の数字を100増やしている。
このような構成により、支持構造体810では、自転車チューブ内部に挿入される被挿入部(図示の例では、その支持構造体810の全体)が、相異なる2つの角度方向位置(具体的には、2つの帯体813a,813b)および相異なる3つの長手方向位置(具体的には、環状体817、膨出部位816aおよび膨出部位816b)で、径方向変形に対する剛性として、少なくとも2つ以上の異なる数値を取ることになる。
これに加えて、支持構造体810は、実質的な環状体817からフラップ815が径方向に延びている点でも、図19〜図21を参照しながら説明した支持構造体710と異なる。
好ましくは、実質的な環状体817とフラップ815とが一体品として形成されている。換言すれば、フラップ815が、実質的な環状体817のスリット817aの一端から延びている。
フラップ815は、シートポスト230内において支持構造体810が回転するのを防ぐ回り止め機能を果たす。具体的に述べると、図24に示すように、フラップ815の自由端部819が、シートポスト230のうち、最小の曲率半径を有する領域の内面に当接する。
支持構造体810の取り付けは、フラップ815をシートポストのサイズに応じて切断する点を除けば、図19〜図21の支持構造体710の取り付けと実質的に同じである。
このようなフラップ815は、図19〜図21の支持構造体710にも設けられてよい。
図25および図26に、自転車用車載装置20を支持する本発明のさらなる他の実施形態の支持構造体910を示す。支持構造体910は、図2〜図5を参照しながら説明した支持構造体10と全体的には同様であり、シートポスト230内部に少なくとも一部(好ましくは、全体)が挿入される被挿入部911を備える。
被挿入部911は、実質的に剛体なスライス912および弾性変形可能なスライス913を含む。
被挿入部911は、被挿入部11と同様の構成を有する。したがって、被挿入部911の構成要素の符号は、被挿入部11での構成要素の符号の数字に900を足したものとしている。
シートポスト230の内面と、被挿入部911において使用時に当該内面に当接する表面との間には、接着材料の層930が設けられる(当接にあたり接着材料の層930が介在する)。そのような接着材料は、例えばグルーである。具体的に述べると、そのような被挿入部911の表面とは、実質的に剛体なスライス912の外径面915、および弾性変形可能なスライス913の外径側の部分壁916a,916b,916cにおける外径面である。
上記の構成に代えて、または、上記の構成に加えて、図示のように、自転車用車載装置20と、被挿入部911において使用時にその自転車用車載装置20を収容する座部921を形成する表面との間に、接着材料の層932が設けられてもよい(収容にあたり接着材料の層932が介在してもよい)。そのような接着材料は、例えばグルーである。具体的に述べると、そのような被挿入部911の表面とは、実質的に剛体なスライス912の内径面914、および弾性変形可能なスライス913の内径側の部分壁917a,917bにおける内径面である。
上記のような接着材料の層930,932と同様の層が、本発明の他の実施形態においても設けられてよい。
図27〜図29に、自転車用車載装置20を支持する本発明のさらなる他の実施形態の支持構造体1010を示す。
支持構造体1010は、シートポスト230内部に少なくとも一部が強制的に挿入される弾性変形可能部1011を備える。
具体的に述べると、支持構造体1010の弾性変形可能部1011は、円筒状の横断面を有する点で、図17の支持構造体510と異なる。つまり、弾性変形可能部1011は、連続する外径側壁1016と連続する内径側壁1017との間に空洞C1,C2,C3を奇数個(5個)有するが、そのうちの空洞C3は、空洞を有さない実質的に剛体なスライス1012と反対の位置に配置されている。
また、図27〜図29の支持構造体1010は、図6〜図8の実施形態および図9〜図12の実施形態と同様に、シートポスト230内部に挿入される被挿入部1011に自転車用車載装置20用の座部を直接形成するのではなく、その被挿入部1011内の座部にピン1030を収容する。
この実施形態において、ピン1030は中空であり、かつ、その第1の長手方向端部側の底1033には、自転車用車載装置20におけるねじ孔26に螺合するねじ1032を挿通するための孔1031が設けられている。
これらのねじ1032およびねじ孔26は、自転車用車載装置20を固定する別の着脱可能な機械的固定手段に置き換えられてもよい。
支持構造体1010は、さらに、自転車用車載装置20の回転を防ぐ回り止め装置を備える。しかしながら、この回り止め装置は省略されてもよい。
そのような回り止め装置1034は、自転車用車載装置20における着座部28に収容される、ピン1030の前記第1の端部(第1の長手方向端部)側の底1033から突出するペグ1034を含む。
ピン1030の前記底1033において、前記ペグ1034の箇所に、肉厚部1038が、当該ピン1030の長手方向の空洞1036内部に盛り上げて厚肉に設けられてもよい。この構成によれば、強度を向上させることができる。
ピン1030は、支持構造体1010の弾性変形可能部1011内の位置に、例えば接着、圧入(forcing )等の適切な方法により固定(係止)される。
自転車用車載装置20をシートポスト230内に装着するには、まず、自転車用車載装置20と支持構造体1010の弾性変形可能部1011とを、前記ペグ1034がその自転車用車載装置20の前記着座部28に収容されるような、相対的な角度方向位置で合わせる。
次に、ねじ1032をピン1030の前記長手方向の空洞1036内に挿入し、さらに、このねじ1032を前記底1033における前記孔1031に挿通させてから、自転車用車載装置20におけるねじ孔26に螺合させる。
そして、このようにして得られた支持構造体1010−自転車用車載装置20の組立体を、シートポスト230内部に挿入する。
しかしながら、上記の装着過程を別の順番で行うようにしてもよい。
当然ながら、図27〜図29に示す弾性変形可能部1011とは異なる構成を有する弾性変形可能部または被挿入部においても、自転車用車載装置20と支持構造体との連結構成として、図27〜図29を参照しながら説明した連結構成を採用することも可能である。
また、上記のような回り止め装置についても、これまでに説明したどの支持構造体にも設けることが可能である。
また、これまでに説明した自転車用車載装置を支持する支持構造体について、様々な変更および変形が可能であるが、いずれも本発明の範疇である。さらに、細部についても、技術的に等価な構成要素によって置き換え可能である。事実、使用する材料や寸法などは、その時々の技術的要件に応じて任意に選定されてよい。
具体的に述べると、当業者であれば、本明細書に明記されていなくても、これまでに説明した複数の相異なる実施形態から、各実施形態の特徴を適宜組み合わせて新たな実施形態としたり、これまでに説明した複数の相異なる実施形態から、各実施形態の特徴を別の実施形態に適用したりすることも可能である。