JP2015120253A - ハードコートフィルム及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明が解決しようとする課題は、例えばタッチペンなどで押圧した場合であっても、表面の凹みや擦傷の発生を防止でき、かつ、その表面層によって奏される防汚性などの効果を長期間持続可能なハードコートフィルムを提供することである。【解決手段】本発明は、基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層(X)、プライマー層(Y)及び表面層(Z)が順に積層された2H以上の鉛筆硬度を有するハードコートフィルムであって、前記表面層(Z)が110?以上の水接触角を有するものであることを特徴とするハードコートフィルムに関するものである。【選択図】なし
Description
本発明は、例えばスマートフォンやタブレット端末などの各種タッチパネルディスプレイの保護フィルムなどとして好適に使用できるハードコートフィルムに関する。
スマートフォンやタブレット端末などの携帯電子機器、テレビ、パソコンなどの画像表示装置には、タッチパネルが搭載されたものが普及しつつある。前記タッチパネルが搭載された画像表示装置は、通常、指やタッチペンなどで接触または押圧し操作することから、その表面には、指紋などに起因する汚れの付着を防止可能なレベルの防汚性と、タッチペンなどで押圧などした際に生じうる凹みや擦傷を防止可能なレベルの耐久性と、スムーズな操作性を付与可能なレベルの優れた滑り性とを両立することが求められている。
前記防汚性に優れたハードコートフィルムとしては、例えばフッ素系添加剤を活性エネルギー線硬化性組成物に予め添加し、フィルム基材に塗布した後、紫外線を照射し硬化させることによって得られるハードコートフィルムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、前記防汚性や滑り性に優れるハードコートフィルムとしては、例えば防汚性及び潤滑性を担う特殊な防汚表面層がハードコート層表面に固着された複合ハードコートフィルムが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
また、近年は、前記画像表示装置の高機能化などに伴って、前記ハードコートフィルムに、より一層高いレベルの防汚性、滑り性及び耐久性を両立できることが求められており、これらを実現するための開発が進められている。例えば、前記防汚性であれば、単に汚れの付着などを防止できるだけでなく、その効果を長期間持続できることなどが求められている。
しかし、従来のハードコートフィルムは、前記防汚性の点で実用上、あと一歩及ぶものではなく、また、比較的良好な防汚性であっても、それを長期間にわたり持続することが困難な場合があった。また、前記防汚性を損なうことなく、その表面の凹みや擦傷の発生を防止可能なレベルの耐久性を付与することが困難な場合があった。
本発明が解決しようとする課題は、例えばタッチペンなどで押圧した場合であっても、表面の凹みや擦傷の発生を防止でき、かつ、その表面層によって奏される防汚性などの効果を長期間持続可能なハードコートフィルムを提供することである。
本発明者などは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ハードコート層(X)とプライマー層(Y)と、特定の表面層(Z)とを順次形成したハードコートフィルムであれば、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層(X)、プライマー層(Y)及び表面層(Z)が順に積層された2H以上の鉛筆硬度を有するハードコートフィルムであって、前記表面層(Z)が110°以上の水接触角を有するものであることを特徴とするハードコートフィルムに関するものである。
本発明のハードコートフィルムは、防汚性と滑り性と耐久性とに優れることから、例えばスマートフォンやタブレット端末などの携帯電子機器、テレビ、パソコンなどの各種画像表示装置に備えられたディスプレイの表面を保護するためのハードコートフィルムなどとして好適に使用することができる。
本発明のハードコートフィルムは、基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層(X)、プライマー層(Y)及び表面層(Z)が順に積層された2H以上の鉛筆硬度を有するハードコートフィルムであって、前記表面層(Z)が110°以上の水接触角を有するものであることを特徴とする。上記構成からなる本発明のハードコートフィルムは、単に基材の表面にハードコート層(X)を設けた従来のハードコートフィルムに比べ、防汚性に優れ、かつ、その防汚性の効果を長期間持続することができる。
前記ハードコートフィルムとしては、2H以上の鉛筆硬度を有するものである。かかる鉛筆硬度を有するハードコートフィルムを使用することによって、例えばタッチペンなどで押圧した場合であっても、表面の凹みや擦傷の発生を防止可能なレベルの耐久性を付与でき、かつ、防汚性などの効果を長期間持続することが可能となる。前記鉛筆硬度は、3H以上であることが好ましい。
また、前記ハードコートフィルムとしては、その表面層(Z)の水接触角が110°以上のものを使用する。これにより、滑り性および防汚性に優れ、かつ、擦傷の発生を防止することができる。
前記水接触角は、前記した効果をより一層高めるうえで、112°以上であることが好ましく、113°以上であることが好ましい。
なお、前記水接触角は、ハードコートフィルムを構成する表面層(Z)に、3μlの水滴を接触させた時から1秒後に測定される接触角を表す。
本発明のハードコートフィルムとしては、例えば(1)基材の一方の面に、ハードコート層(X)、プライマー層(Y)及び表面層(Z)が順に積層された構成、(2)基材の一方の面にハードコート層(X)、プライマー層(Y)及び表面層(Z)が順に積層され、かつ、基材の他方の面にハードコート層(X)が積層された構成などからなるものが挙げられる。
前記(1)の構成からなるハードコートフィルムは、例えば後述する粘着剤層を備えたハードコートフィルムとして使用する場合に、良好な貼り作業性と後加工性とを向上でき、かつ、その生産コストを抑制できるため好ましい。
一方、前記(2)の構成からなるハードコートフィルムは、その表面硬度をより一層向上させ、より一層優れた耐久性を備える。また、前記ハードコートフィルムは、ハードコート層(X)を形成する際の硬化収縮に起因した反りの発生を抑制することができる。
前記ハードコートフィルムとしては、300μm以下の厚さのものを使用することが好ましく、10μm〜200μmの厚さのものを使用することがより好ましく、50μm〜150μmの厚さのものを使用することがさらに好ましく、80μm〜140μmの厚さのものを使用することがさらに好ましく、100μm〜135μmの厚さのものを使用することが特に好ましい。前記範囲の厚さを備えたハードコートフィルムは、例えば各種画像表示装置のディスプレイ用に使用する場合であれば、その画像表示装置の薄型化に貢献でき、高い鉛筆硬度を得るうえで好適である。
前記ハードコートフィルムとしては、透明性の高いものを使用することが、画像表示装置のディスプレイに適用した際に、良好な視認性を確保できるため好ましい。前記ハードコートフィルムの全光線透過率は85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層(X)とプライマー層(Y)と表面層(Z)とが順に積層されたものである。
ここで、前記ハードコートフィルムとしては、前記ハードコート層(X)と前記プライマー層(Y)とが結合(xy)を形成したものであることが、より一層優れた滑り性、防汚性、耐擦傷性を付与でき、かつ、前記防汚性をより一層長期間維持できるため好ましい。
前記結合(xy)としては、(メタ)アクリロイル基のラジカル重合によって形成された炭素−炭素結合が挙げられ、具体的には、前記ハードコート層(X)由来の(メタ)アクリロイル基と、前記プライマー層(Y)由来の(メタ)アクリロイル基とがラジカル重合することによって形成された結合が挙げられる。
また、前記ハードコートフィルムとしては、前記プライマー層(Y)と前記表面層(Z)とが結合(yz)を形成したものであることが、より一層優れた滑り性、防汚性、耐擦傷性を付与でき、かつ、前記防汚性をより一層長期間維持できるため好ましい。
前記結合(yz)としては、例えばケイ素原子と酸素原子とによって構成される結合が挙げられ、具体的には、前記プライマー層(Y)に由来するアルコキシシリル基またはシラノール基などの官能基と、前記表面層(Z)に由来するアルコキシシリル基やシラノール基や水酸基などとが反応し形成された結合が挙げられる。
[基材]
本発明のハードコートフィルムを構成する基材としては、透明性が高く、一般的に光学用ハードコートフィルムの基材として使用されているものを適宜選択して使用することができる。
本発明のハードコートフィルムを構成する基材としては、透明性が高く、一般的に光学用ハードコートフィルムの基材として使用されているものを適宜選択して使用することができる。
前記基材としては、例えば、ポリエステル樹脂フィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アクリル樹脂フィルム、脂環式構造含有熱可塑性樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルムなどを使用することができる。
前記基材としては、前記で挙げた樹脂フィルムのみからなる基材を使用することもできるが、ハードコート層(X)との密着性をより一層向上させることを目的として、前記樹脂フィルムの表面に易接着層を有する基材を使用することもできる。
また、前記基材としては、ハードコート層(X)との密着性をより一層向上させることを目的として、前記樹脂フィルムの表面を、サンドブラスト法、溶剤処理法などで凹凸化処理したもの、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理、酸化処理したものなどを使用することができる。
また、前記基材としては、その全光線透過率が88%以上である透明基材を使用することが好ましく、90%以上である透明基材を使用することがより好ましい。本発明においては、全光線透過率を当該範囲とすることで透明基材の片面または両面にハードコート層(X)を設けた場合でも透過率に優れ、画像表示装置に適用した場合良好な視認性を得ることができる。
前記透明基材としては、厚さ50μm〜150μmの範囲のものを使用することが好ましく、75μm〜125μmの範囲のものを使用することが、ハードコートフィルムのカール(反り)の発生を抑制するうえでより好ましい。
[ハードコート層(X)]
本発明のハードコートフィルムを構成するハードコート層(X)としては、例えば活性エネルギー線硬化性組成物を含有するハードコート剤を用いて形成されたものが挙げられる。
本発明のハードコートフィルムを構成するハードコート層(X)としては、例えば活性エネルギー線硬化性組成物を含有するハードコート剤を用いて形成されたものが挙げられる。
前記ハードコート層(X)の形成に使用可能なハードコート剤としては、入手や取扱いが容易であり、ハードコート層(X)の特性を制御しやすいことから、(メタ)アクリレートを含有するハードコート剤を使用することが好ましく、当該ハードコート剤を硬化させたときの硬化収縮を抑制しながら高い表面硬度と耐久性に優れたハードコート層を形成するうえで、ウレタン(メタ)アクリレート(A)を含有するハードコート剤を使用することがより好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)としては、各種ウレタン(メタ)アクリレートを使用することができ、なかでも、分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えばポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させて得られるものを使用することが好ましい。
前記ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナトシクロヘキサンなどの脂環式ポリイソシアネートなどを使用することができる。
前記ポリイソシアネートとしては、前記脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートの3量体を使用することもできる。
前記ポリイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネートであるヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであるノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートを使用することが、耐擦傷性などの耐久性のより一層優れたハードコートフィルムを得るうえで好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造に使用可能な前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどを単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを使用することが、耐擦傷性などの耐久性により一層優れたハードコート層(X)を備えたハードコートフィルムを得るうえで好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、前記ポリイソシアネートと前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとを、ウレタン化触媒の存在下、常法でウレタン化反応させることによって製造することができる。
前記ウレタン化触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどのアミン化合物;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィンなどのリン化合物;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫などの有機錫化合物、オクチル酸亜鉛などの有機亜鉛化合物などが挙げられる。
前記方法で得られたウレタン(メタ)アクリレート(A)は、1種を単独で使用、または2種以上を組み合わせ使用することができる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)としては、前記ポリイソシアネートとしてノルボルナンジイソシアネートを用いて得られたウレタンアクリレートと、前記ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネートを用いて得られたウレタンアクリレートとを組み合わせ使用することが好ましい。このような組み合わせとすることで、硬化させた際の硬化収縮によるハードコートフィルムの反りを抑制しながら、高い表面硬度と耐久性に優れたハードコートフィルムを得ることができる。
前記ハードコート層(X)の形成に使用可能なハードコート剤としては、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)以外のその他の(メタ)アクリレートを含有するものを使用することができる。
前記その他の(メタ)アクリレートとしては、例えば分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(B)が挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリレート(B)としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記多官能(メタ)アクリレート(B)としては、前記ハードコート層(X)の耐擦傷性などの耐久性をより一層向上させるうえで、その(メタ)アクリロイル基当量が50g/eq.〜200g/eq.の範囲のものを使用することが好ましく、70g/eq.〜150g/eq.の範囲のものを使用することがより好ましく、80g/eq.〜120g/eq.の範囲のものを使用することがさらに好ましい。前記範囲の(メタ)アクリロイル基当量を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(アクロイル基当量:88g/eq.)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(アクロイル基当量:118g/eq.)などが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリレート(B)は、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と組み合わせ使用することが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)との質量比[(A)/(B)]は、ハードコート層(X)の耐擦傷性などの耐久性をより一層向上するうえで、90/10〜10/90の範囲であることが好ましく、80/20〜20/80の範囲であることがより好ましく、75/25〜25/75の範囲であることがさらに好ましい。
前記ウレタンアクリレート(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)との合計使用量は、前記ハードコート剤の不揮発分100質量部に対し、10質量部〜99.95質量部であることが好ましく、20質量部〜99.5質量部であることが好ましい。
前記ハードコート層(X)の形成に使用可能なハードコート剤としては、前記したもののほかに、本発明の効果を損なわない範囲で、分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有するモノ(メタ)アクリレート、分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有するジ(メタ)アクリレートなどのその他の(メタ)アクリレートを含有するものを使用することができる。それらは、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び前記多官能(メタ)アクリレート(B)の合計100質量部に対して、40質量部以下で使用することが好ましく、20質量部以下で使用することがより好ましい。
前記ハードコート層(X)の形成に使用可能なハードコート剤としては、活性エネルギー線を照射することによって硬化反応を開始しうる光重合開始剤を含有するものを使用することができる。
前記光重合開始剤としては、分子内開裂型光重合開始剤及び水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられる。分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンなどのアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステルなどが挙げられる。
一方、水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどのアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルサルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルサルフォニル)プロパン−1−オンなどが挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
また、前記ハードコート剤としては、光増感剤を含有するものを使用することができる。
前記光増感剤としては、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミンなどの3級アミン化合物、o−トリルチオ尿素などの尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネートなどの硫黄化合物などが挙げられる。
前記光重合開始剤及び光増感剤の使用量は、前記ハードコート剤の不揮発成分100質量部に対し、各々0.05質量部〜20質量部であることが好ましく、0.5質量部〜10質量部であることがより好ましい。なお、前記活性エネルギー線として電子線、α線、β線、γ線などの電離放射線を用いる場合には、光重合開始剤や光増感剤を使用する必要はない。
前記ハードコート剤は、適当な溶媒で希釈されたものを使用することができる。
前記溶媒としては、例えば、アセトン、イソブチルアルコール、2−プロパノール、イソペンチルアルコール、エチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−ノルマル−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、オルト−ジクロルべンゼン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸ノルマル−ブチル、酢酸ノルマル−プロピル、酢酸ノルマル−ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、ジクロルメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、スチレン、テトラクロルエチレン、テトラヒドロフラン、1,1,1−トリクロルエタン、トルエン、ノルマルヘキサン、1−ブタノール、2−ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、メチル−ノルマル−ブチルケトンなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
また、前記ハードコート剤としては、必要に応じて、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、シリカビーズ、有機ビーズなどの添加剤;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、五酸化アンチモンなどの無機系充填剤などを含有するものを使用することができる。
前記ハードコート剤を用いて形成される前記ハードコート層(X)は、3μm〜25μmの厚さであることが好ましく、5μm〜15μmの厚さであることが、耐擦傷性などの耐久性及び滑り性に優れ、例えば薄型化の要請の高い画像表示装置に使用可能なハードコートフィルムを得るうえでより好ましい。
また、前記ハードコート層(X)としては、その表面の水接触角が85°以下であるものを使用することが好ましく、75°以下であるものを使用することがより好ましい。前記範囲の水接触角を備えたハードコート層(X)を使用することによって、前記ハードコート層(X)と前記プライマー層(Y)との密着性をより一層向上でき、耐久性のより一層優れたハードコートフィルムを得ることができる。
また、前記ハードコート層(X)は、前記基材の片面に積層した際の表面の鉛筆硬度が2H以上であることが好ましく、3H以上であることが、耐擦傷性などの耐久性のより一層優れたハードコートフィルムを得るうえでより好ましい。
[プライマー層(Y)]
本発明のハードコートフィルムを構成するプライマー層(Y)は、前記ハードコート層(X)と前記表面層(Z)との密着性などを向上させることを目的として設けられる。
本発明のハードコートフィルムを構成するプライマー層(Y)は、前記ハードコート層(X)と前記表面層(Z)との密着性などを向上させることを目的として設けられる。
前記プライマー層(Y)は、前記ハードコート層(X)及び表面層(Z)の両方と、それぞれ結合を形成し得るものであることが、より一層優れた密着性を備えたハードコートフィルムを形成するうえで好ましい。
前記プライマー層(Y)は、活性エネルギー線硬化性組成物からなるプライマー剤を用いて形成することができる。
前記プライマー剤としては、例えばアルコキシシリル基またはシラノール基を有するシラン化合物(C)を含有するものを使用することができる。ここで、前記アルコキシシリル基は、ケイ素原子にアルコキシ基が結合した官能基を指し、シラノール基はケイ素原子に水酸基が結合した官能基を指す。
後述する表面層(Z)として前記アルコキシシリル基やシラノール基や水酸基などを有する層を形成する場合、前記プライマー剤としては、前記アルコキシシリル基またはシラノール基を有するシラン化合物(C)を含有するプライマー剤を使用することが、前記プライマー層(Y)と前記表面層(Z)との界面に結合(yz)を形成し、その結果、耐久性や防汚性、耐擦傷性に優れ、かつ、前記防汚性を長期間持続可能なハードコートフィルムを得るうえで好ましい。
前記シラン化合物(C)としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランなどを使用することができる。
前記シラン化合物(C)としては、とりわけ、前記アルコキシシリル基やシラノール基などの脱水縮合しうる官能基と、重合性不飽和基とを有するシラン化合物(C)を使用することが、前記ハードコート層(X)とプライマー層(Y)との間で結合(xy)を形成し、かつ、前記プライマー層(Y)と前記表面層(Z)との間で結合(yz)を形成し、その結果、高硬度で耐擦傷性などの耐久性に優れ、かつ、防汚性などの効果を長期間持続可能なハードコートフィルムを得るうえで好ましい。
前記シラン化合物(C)としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどを使用することができる。
前記シラン化合物(C)は、前記プライマー剤の不揮発分100質量部に対し、0.1質量部〜80質量部含まれることが好ましく、0.5質量部〜70質量部含まれることより好ましく、1質量部〜60質量部含まれることがさらに好ましい。
前記プライマー層(Y)の形成に使用可能なプライマー剤としては、前記したもののほかに、必要に応じて、その他の成分、例えば(メタ)アクリレートなどの活性エネルギー線硬化性化合物を含有するものを使用することができる。
前記(メタ)アクリレートとしては、例えば分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(D)などを使用することが、高硬度で耐擦傷性などの耐久性に優れ、かつ、防汚性などの効果を長期間持続可能なハードコートフィルムを得ることができる。
前記多官能(メタ)アクリレート(D)としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、前記プライマー層(Y)の耐擦傷性などの耐久性をより一層向上させるうえで、その(メタ)アクリロイル基当量が50g/eq.以上であるものを使用することが好ましく、70g/eq.以上であるものを使用することがより好ましく、80g/eq.以上であるものを使用することがさらに好ましい。
前記多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(アクロイル基当量:88g/eq.)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(アクロイル基当量:118g/eq.)などが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリレートは、前記プライマー剤の不揮発分100質量部に対して、30質量部〜95質量部含まれることが好ましく、35質量部〜85質量部含まれることがより好ましく、40質量部〜75質量部含まれることがさらに好ましい。
前記プライマー層(Y)の形成に使用可能なプライマー剤としては、前記(メタ)アクリレートとして、各種ウレタン(メタ)アクリレートを含有するものを使用することができる。前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、前記ハードコート層(X)の製造に使用可能なものとして例示したウレタン(メタ)アクリレート(A)と同様のものを使用することができる。
前記シラン化合物と、前記多官能(メタ)アクリレートや前記ウレタン(メタ)アクリレート等の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物との質量比[シラン化合物/活性エネルギー線硬化型樹脂組成物]は、前記プライマー層(Y)と前記表面層(Z)の間の密着性をより一層向上させることによって、ハードコートフィルムの耐擦傷性などの耐久性をより一層向上させるうえで、5/95〜95/5の範囲であることが好ましい。
前記プライマー層(Y)の形成に使用可能なプライマー剤としては、活性エネルギー線を照射することによって硬化反応を開始しうる光重合開始剤を含有するものを使用することができる。
前記光重合開始剤としては、前記ハードコート層(X)を形成する際に使用可能なものとして例示した光重合開始剤と同様のものを使用することができる。
また、前記プライマー剤としては、光増感剤を含有するものを使用することができる。
前記光増感剤としては、前記ハードコート層(X)を形成する際に使用可能なものとして例示した光重増感剤と同様のものを使用することができる。
前記光重合開始剤及び光増感剤の使用量は、前記プライマー剤に含有される活性エネルギー線硬化性組成物中の不揮発成分100質量部に対し、各々0.05質量部〜20質量部であることが好ましく、1質量部〜15質量部であることがより好ましい。なお、前記活性エネルギー線として電子線、α線、β線、γ線などの電離放射線を用いる場合には、光重合開始剤や光増感剤を使用する必要はない。
また、前記プライマー剤としては、必要に応じて、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、シリカビーズ、有機ビーズなどの添加剤;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、五酸化アンチモンなどの無機系充填剤などを含有するものを使用することができる。
前記プライマー剤を用いて形成される前記プライマー層(Y)は、0.1μm〜3μmの厚さであることが好ましく、0.5μm〜2μmの厚さであることがより好ましく、0.8μm〜1.2μmの厚さであることが耐擦傷性などの耐久性や、滑り性により一層優れ、防汚性などの効果を長期間持続可能で、かつ、例えば薄型化の要請の高い画像表示装置に使用可能なハードコートフィルムを得るうえでより好ましい。
前記プライマー層(Y)は、アルコキシシリル基が直接ケイ素原子に結合したシラン化合物のアルコキシ基を加水分解させる目的で水蒸気雰囲気下または微量の水分が存在する雰囲気下で加熱処理してもよい。
[表面層(Z)]
本発明のハードコートフィルムを構成する表面層(Z)は、前記プライマー層(Y)の表面に積層される層であり、前記ハードコートフィルムに各種機能を付与する。
本発明のハードコートフィルムを構成する表面層(Z)は、前記プライマー層(Y)の表面に積層される層であり、前記ハードコートフィルムに各種機能を付与する。
また、前記表面層(Z)は、表面の凹みや擦傷の発生を防止できる硬度を備えた優れた耐久性や滑り性(低摩擦係数)や防汚性をハードコートフィルムに付与でき、優れた防汚性を長期間持続することができる。
前記滑り性や防汚性に優れた表面層(Z)としては、例えばフッ素系化合物を含有する層が挙げられる。
前記表面層(Z)は、前記プライマー層(Y)の表面の一部または全部にフッ素系化合物を含有するコーティング剤などを塗布などすることによって形成することができる。
前記フッ素系化合物としては、従来知られるフッ素系化合物を使用することができる。なかでも、前記フッ素系化合物としては、前記プライマー層(Y)との間で結合(yz)を形成することによって、層間の密着性をより一層高め、優れた耐擦傷性や滑り性や防汚性と、優れた防汚性を長期間持続可能な表面層(Z)を形成するうえで、末端にアルコキシシリル基またはシラノール基などを有するフッ素系化合物を使用することが好ましい。
前記末端にアルコキシシリル基またはシラノール基などを有するフッ素系化合物としては、本発明のハードコートフィルムにより一層高い滑り性を付与するうえで、例えば末端にアルコキシシリル基またはシラノール基を有するとともに、ポリパーフルオロポリエーテル鎖を有するフッ素系化合物を使用することが好ましい。
前記ポリパーフルオロポリエーテル鎖としては、例えば炭素原子数1〜6の2価フッ化アルキレン基と酸素原子とが交互に連結した構造を有するものが挙げられる。
前記ポリパーフルオロポリエーテル鎖としては、例えば下記構造式(1)で表されるものが挙げられる。
前記一般式(1)中、Xは下記式(1−1)〜(1−3)である。また、Xは下記式(1−1)〜(1−3)のいずれか1種類のものであってもよいし、下記式(1−1)〜(1−3)のうち2種以上を有するのものであってもよい。例えば、前記Xとして下記式(1−1)〜(1−3)のうち2種以上を有する構造としては、−(CF2CF2−O)n−(CF2−O)n−で示されるような構造が挙げられる。前記Xとして式(1−1)〜(1−3)で示される構造を2種類以上含む場合には、−(X−O)−の構造単位からなるランダム構造またはブロック構造を有していてもよい。また、nは繰り返し単位を表す2〜200の整数である。
(式中aは1〜6の整数である。)
前記フッ素系化合物としては、前記パーフルオロポリエーテル鎖などのフッ素鎖とともに、アルコキシシリル基またはシラノール基を有するものを使用することが、前記プライマー層(Y)と前記表面層(Z)との間に結合(yz)を形成でき、その結果、優れた耐擦傷性や滑り性や防汚性と、優れた防汚性を長期間持続可能なハードコートフィルムを得ることができる。前記結合(yz)としては、ケイ素原子及び酸素原子によって構成される結合が挙げられ、例えば−Si−O−Si−結合が挙げられる。
前記結合(yz)を形成可能なフッ素系化合物としては、具体的には、ダイキン工業(株)製のオプツールDSX、信越化学工業(株)製の商品名「KY−164」「KY−130」「KY−108」「X−71−190」などが挙げられる。
前記フッ素系化合物の含有量としては、前記表面層(Z)を形成するコーティング剤の不揮発分100質量部に対し、80質量部〜100質量部であることが好ましく、90質量部〜100質量部であることがより好ましく、95質量部〜100質量部であることが更に好ましい。
前記表面層(Z)の形成に使用可能なコーティング剤としては、前記フッ素系化合物と溶媒とを含有するものを使用することができる。
前記溶媒としては、例えばパーフルオロヘプタンなどのフッ素変性脂肪族炭化水素系溶剤;m−キシレンヘキサフロライドなどのフッ素変性芳香族炭化水素系溶剤;ハイドロフルオロエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテルやパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)などのフッ素変性エーテル系溶剤;パーフルオロトリブチルアミンなどのフッ素変性アルキルアミン系溶剤;石油ベンジン、ミネラルスピリッツ、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤を使用することができる。
なかでも、前記コーティング剤としては、前記フッ素系化合物に対する良好な溶解性と、コーティング剤の良好な濡れ性などとを両立するうえで、m−キシレンヘキサフロライド、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、パーフルオロトリブチルアミンなどを使用することが好ましい。
前記表面層(Z)は、ハードコートフィルムの干渉縞を抑制し、かつ、より一層優れた防汚性を付与するうえで、0.001μm〜0.1μmの厚さであることが好ましく、0.002μm〜0.05μmの厚さであることがより好ましい。
前記コーティング剤としては、前記したもののほかに、必要に応じて縮合触媒を含有するものを使用することができる。
前記縮合触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネートなどの有機チタン酸エステル;ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタンなどの有機チタンキレート化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などの有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラブチレートなどの有機ジルコニウム化合物;ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジオクトエートなどの有機スズ化合物;ナフテン酸スズ、オレイン酸スズ、ブチル酸スズ、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛などの有機カルボン酸の金属塩;ヘキシルアミン、燐酸ドデシルアミンなどのアミン化合物、およびその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテートなどの4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、硝酸リチウムなどのアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミンなどのジアルキルヒドロキシルアミン;テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシランなどのグアニジル基含有有機ケイ素化合物;有機酸(酢酸、メタンスルホン酸など)、無機酸(塩酸、硫酸など)を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記硬化触媒としては、酢酸、テトラn−ブチルチタネート、ジブチルスズジアセテートを使用することが好ましい。前記硬化触媒は、通常、前記フッ素化合物100質量部に対して0.01質量部〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1質量部〜10質量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明のハードコートフィルムは、例えば(i)前記基材の少なくとも一方の面に、前記ハードコート剤を用いてハードコート層(X)を形成する工程、(ii)前記ハードコート層(X)の表面に、前記プライマー剤を用いてプライマー層(Y)を形成する工程、及び、(iii)前記プライマー層(Y)の表面に、前記コーティング剤などを用いて表面層(Z)を形成する工程を経ることによって製造することができる。
なお、前記ハードコート剤及びプライマー剤として活性エネルギー線硬化性組成物を使用する場合、未硬化または半硬化状態のハードコート層(X’)の表面に、プライマー剤を用いて未硬化または半硬化状態のプライマー層(Y’)を形成した後、活性エネルギー線を照射することによって、ハードコート層(X)及びプライマー層(Y)を一括して硬化させることが好ましい。これにより、前記ハードコート層(X)と前記プライマー層(Y)との間に結合(xy)を形成でき、より一層優れた耐久性と、防汚性とを両立し、かつ、前記防汚性などの効果を長期間持続することが可能となる。
はじめに、前記工程(i)について説明する。
前記工程(i)によりハードコート層(X)を形成する方法は、具体的には、前記基材の片面または両面の一部または全部に前記ハードコート剤を塗布及び乾燥し、硬化させる方法が挙げられる。
前記基材の片面または両面の一部または全部に前記ハードコート剤を塗布する方法としては、例えばダイコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコートなどの方法が挙げられる。
前記硬化方法としては、例えば前記ハードコート剤が活性エネルギー線硬化性組成物を含有するものであれば、前記ハードコート剤を塗布し乾燥した塗布面に活性エネルギー線を照射し硬化させる方法が挙げられる。
前記活性エネルギー線としては、例えば紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線が挙げられる。
前記活性エネルギー線を照射する装置としては、例えば紫外線であれば、その発生源として低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LEDなどが挙げられる。
本発明のハードコートフィルムを製造する際には、前記した方法によって、基材の表面にハードコート層(X)を形成した後、後述するプライマー層(Y)及び表面層(Z)を順に積層する工程を行ってもよいが、ハードコート層(X)とプライマー層(Y)の界面で高い密着性を得る観点から、基材の表面に前記ハードコート剤を塗布し乾燥した後、活性エネルギー線を照射しない、または、完全硬化に十分な量の活性エネルギー線を照射しないことで、未硬化または半硬化状態のハードコート層(X’)形成し、次いで、後述するプライマー層(Y)及び表面層(Z)を順に積層しハードコートフィルムを製造してもよい。この場合、前記ハードコート層(X’)は、前記プライマー層(Y)を形成するときに照射される活性エネルギー線によって本硬化され、ハードコート層(X)を形成することができる。
前記ハードコート層(X)の表面は、後述するプライマー層(Y)と積層した際の層間密着性をより一層向上するうえで、コロナ処理、プラズマ処理などが施されていてもよい。
次に、前記工程(ii)について説明する。
前記工程(ii)は、前記工程(i)で形成したハードコート層(X)または前記ハードコート層(X’)の表面に、前記プライマー剤を塗布及び乾燥し、硬化させる工程である。
前記プライマー剤を塗布する方法としては、例えばダイコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコートなどの方法が挙げられる。
前記硬化方法としては、例えば前記プライマー剤が活性エネルギー線硬化性組成物を含有するものであれば、前記プライマー剤を塗布し乾燥した塗布面に活性エネルギー線を照射し硬化させる方法が挙げられる。
前記活性エネルギー線としては、例えば紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線が挙げられる。
前記活性エネルギー線を照射する装置としては、例えば紫外線であれば、その発生源として低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LEDなどが挙げられる。
また、前記プライマー剤を、未硬化または半硬化状態のハードコート層(X’)の表面に塗布などした場合には、前記プライマー剤の塗布面に活性エネルギー線を照射することによって、前記ハードコート層(X)と前記プライマー層(Y)とを形成することが、前記層間の密着性をより一層向上させ、より一層優れた耐擦傷性と、優れた防汚性などの効果を長期間持続可能とするうえで好ましい。
次に、前記工程(iii)について説明する。
前記工程(iii)は、前記工程(ii)で形成したプライマー層(Y)の表面に、前記コーティング剤などを塗布及び乾燥することで表面層(Z)を形成する工程である。
前記プライマー層(Y)に表面層(Z)を積層する方法としては、例えば前記プライマー層(Y)に前記コーティング剤などを塗布し、乾燥して溶剤を除去した後に、加熱処理を施して表面層(Z)を形成する方法が挙げられる。この時の処理温度としては、20℃以上であれば十分であるが、プライマー層(Y)と表面層(Z)の界面に結合(yz)を速やかに形成させることを目的として、更に高い温度で処理をすることも可能である。例えば、40℃以上の環境で処理することが好ましく、60℃以上の環境で処理することが更に好ましい。
前記プライマー層(Y)に前記コーティング剤などを塗布する方法としては、例えばダイコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、真空蒸着などの方法が挙げられる。
また、コーティング剤などに含有しているアルコキシシリル基を予め加水分解して用いることもできる。加水分解によって生成したシラノール基は、複数分子の間で脱水縮合してSi−O−Siを生成する。脱水縮合は速やかに進み、オリゴマーが生成する。脱水縮合が十分に進むように、加水分解後、養生してもよい。このように加水分解、部分縮合したオリゴマーを用いることにより、コーティング剤が硬化して表面層(Z)を形成するまでの硬化時間を短縮することができる。
前記方法で得られる本発明のハードコートフィルムは、表層の少なくとも一部に表面層(Z)が露出している構成であればよく、上記構成以外にも、適宜任意の層を有していてもよい。
本発明のハードコートフィルムは、その片面または両面の一部または全部に、加飾層や粘着剤層を有していてもよい。前記加飾層が一部または全部に設けられた本発明のハードコートフィルムは、加飾フィルムとして使用することができる。また、前記粘着剤層が一部または全部に設けられた本発明のハードコートフィルムは、保護フィルムとして使用することができる。
前記加飾層としては、例えば文字、図形、記号をはじめ、隠ぺい性やデザインを付与することを目的とした額縁状の縁取りなどによって構成されるものが挙げられる。
[加飾層]
本発明のハードコートフィルムには、加飾層を設けて加飾フィルムとして使用してもよい。加飾層は、前記ハードコートフィルムに一般的な印刷により設けることができる。印刷方法は、例えば、シルク印刷、スクリーン印刷、熱転写印刷、グラビア印刷などが挙げられる。
本発明のハードコートフィルムには、加飾層を設けて加飾フィルムとして使用してもよい。加飾層は、前記ハードコートフィルムに一般的な印刷により設けることができる。印刷方法は、例えば、シルク印刷、スクリーン印刷、熱転写印刷、グラビア印刷などが挙げられる。
加飾層は、ハードコートフィルムに各種の意匠性を付与するものであれば特に制限されず、例えば、画像表示パネルとして使用する際の画像表示部の周囲に視認される文字や図形、あるいは、画像表示部に額縁状に設けられる黒色の縁取り状の加飾層などが挙げられる。
加飾層の厚さとしては、30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下が特に好ましい。当該厚さの加飾層とすることで好適な意匠性を得やすくなる。
加飾層はハードコートフィルムの片面又は両面の任意の箇所に設けることができるが、表面層(Z)上に設ける場合には、表面層(Z)の一部が露出するように設けられる。また、画像表示装置のディスプレイ用に使用する場合には、通常は画像表示部以外の箇所に設けられる。
[粘着剤層]
本発明のハードコートフィルムの一面、片面にのみ表面層(Z)を有する場合にはその他面に粘着剤層を設けて保護フィルムとして使用してもよい。前記粘着層はハードコートフィルムに粘着テープを貼り合わせるか、ハードコートフィルムの表面層(Z)とは反対面に直接粘着剤層を塗布することで設けることができる。
本発明のハードコートフィルムの一面、片面にのみ表面層(Z)を有する場合にはその他面に粘着剤層を設けて保護フィルムとして使用してもよい。前記粘着層はハードコートフィルムに粘着テープを貼り合わせるか、ハードコートフィルムの表面層(Z)とは反対面に直接粘着剤層を塗布することで設けることができる。
前記粘着剤層の厚さは、5μm〜50μmの範囲が好ましく、8μm〜30μmの範囲がより好ましく、10μm〜25μmの範囲がさらに好ましい。本発明において、粘着剤層の厚さを当該範囲とすることで、接着信頼性に優れ、またハードコートフィルムの表面硬さを著しく損なわず維持することができる。
本発明に用いる粘着剤層に使用される粘着剤には、公知のアクリル系、ゴム系、シリコーン系などの粘着樹脂を使用することができる。そのなかでも、アクリル系重合体を含有するアクリル系粘着剤を使用することが、干渉縞を低減し、前記基材との密着性や、透明性、耐候性などをより一層向上するうえで好ましい。
前記アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル単量体を重合して得られるものを使用することができる。前記(メタ)アクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリレートが挙げられ、炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含有するものを使用することが好ましい。
前記炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどが挙げられる。
前記の(メタ)アクリレートとしては、前記したなかでも、炭素原子数4〜9のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、炭素原子数4〜9のアルキル基を有するアルキルアクリレートを使用することがより好ましい。
前記炭素原子数4〜9のアルキル基を有するアルキルアクリレートとしては、n−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、エチルアクリレートが、好適な粘着力を確保しやすいためさらに好ましい。
前記炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、前記(メタ)アクリル単量体の全量に対して90質量%〜99質量%の範囲で使用することが好ましく、90質量%〜96質量%の範囲で使用することが好適な粘着力を確保しやすいためより好ましい。
前記アクリル系重合体としては、例えば水酸基、カルボキシル基、アミド基などの極性基を有するものを使用することができる。
前記アクリル系重合体は、例えば水酸基、カルボキシル基、アミド基などの極性基を有する(メタ)アクリル単量体を含有する(メタ)アクリル単量体を重合することによって製造することができる。
前記水酸基を有する(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのなかでも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、アクリル酸又はメタクリル酸の2量体、エチレンオキサイド変性コハク酸アクリレートなどが挙げられる。これらのなかでも、アクリル酸を使用することが好ましい。
前記アミド基を有する(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−(パーヒドロフタルイミド−N−イル)エチルアクリレートなどが挙げられる。これらのなかでも、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリンを使用することが好ましい。
前記その他の極性基を有するビニル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
極性基を有する(メタ)アクリル単量体は、前記アクリル系重合体の製造に使用する(メタ)アクリル単量体の全量に対して0.1質量%〜20質量%の範囲で使用することが好ましく、1質量%〜13質量%の範囲で使用することがより好ましく、1.5質量%〜8質量%の範囲で使用することが、凝集力、保持力、接着性を好適な範囲に調整しやすいためさらに好ましい。
前記アクリル系重合体の重量平均分子量は40万〜140万であることが好ましく、60万〜120万であることが、接着力を特定範囲に調整しやすいためより好ましい。
なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。より具体的には、GPC測定装置として、東ソー株式会社製「SC8020」を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPC測定条件で測定して求めることができる。
(GPCの測定条件)
・サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHHR−H」
・検出器:示差屈折
(GPCの測定条件)
・サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHHR−H」
・検出器:示差屈折
前記粘着剤としては、より一層凝集力を高めるうえで、前記アクリル系重合体などのほかに、架橋剤を含有するものを使用することが好ましい。
前記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤などが挙げられる。
前記架橋剤は、形成される粘着剤層のゲル分率が25質量%〜80質量%となる範囲で使用することが好ましく、ゲル分率が40質量%〜75質量%となる範囲で使用することがより好ましく、50質量%〜70質量%となる範囲で使用することが、保護フィルムを基材に貼付した際の表面鉛筆硬度の低下を抑制することができ、接着性も十分なものとすることができる。なお、本発明におけるゲル分率は、養生後の粘着剤層をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対して百分率で表したものである。
前記粘着剤としては、より一層接着力を高めるうえで、粘着付与樹脂を含有するものを使用することができる。
前記粘着付与樹脂は、前記アクリル系重合体100質量部に対して、10質量部〜60質量部の範囲で使用することが好ましい。さらに接着性を重視する場合は、20質量部〜50質量部の範囲で添加するのが好ましい。
前記粘着剤としては、前記以外に公知慣用の添加剤を含有するものを使用することができる。
前記添加剤としては、例えばガラス基材への接着性を向上するために、粘着剤100質量部に対して、0.001質量部〜0.005質量部の範囲でシランカップリング剤を添加することが好ましい。さらに、必要に応じて、その他の添加剤として、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、難燃剤などを添加することもできる。
[実施態様]
本発明のハードコートフィルムは、好適な耐擦傷性や滑り性および防汚性を有することから各種用途に適用できるが、なかでも、液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイなどの画像表示装置の画像表示部に好適に適用できる。特に、薄型であっても好適な耐擦傷性や滑り性を実現できることから、電子手帳、携帯電話、スマートフォン、携帯オーディオプレイヤー、モバイルパソコン、タブレット端末などの小型化や薄型化の要請の高い携帯電子端末の画像表示装置の画像表示部を保護する用途に好適である。このような画像表示装置においては、例えば、LCDモジュールや有機ELモジュールなどの画像表示モジュールをその構成中に有し、当該画像表示モジュール上部に当該画像表示モジュールを保護する透明パネルが設けられた構成の画像表示装置においては、当該透明パネルの表面又は裏面に貼り付けて使用することで、傷つき防止や透明パネルが破損した際の飛散防止に有効である。
本発明のハードコートフィルムは、好適な耐擦傷性や滑り性および防汚性を有することから各種用途に適用できるが、なかでも、液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイなどの画像表示装置の画像表示部に好適に適用できる。特に、薄型であっても好適な耐擦傷性や滑り性を実現できることから、電子手帳、携帯電話、スマートフォン、携帯オーディオプレイヤー、モバイルパソコン、タブレット端末などの小型化や薄型化の要請の高い携帯電子端末の画像表示装置の画像表示部を保護する用途に好適である。このような画像表示装置においては、例えば、LCDモジュールや有機ELモジュールなどの画像表示モジュールをその構成中に有し、当該画像表示モジュール上部に当該画像表示モジュールを保護する透明パネルが設けられた構成の画像表示装置においては、当該透明パネルの表面又は裏面に貼り付けて使用することで、傷つき防止や透明パネルが破損した際の飛散防止に有効である。
以下に実施例により本発明をより具体的に説明する。
(合成例1:ウレタンアクリレート(A1)の合成)
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル250質量部、ノルボルナンジイソシアネート206質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、空気を吹き込みながら、70℃に昇温した後、ペンタエリスリトールトリアクリレート(以下、「PE3A」と省略。)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、「PE4A」と省略。)との混合物(質量比75/25の混合物)795質量部を1時間かけて滴下した。
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル250質量部、ノルボルナンジイソシアネート206質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、空気を吹き込みながら、70℃に昇温した後、ペンタエリスリトールトリアクリレート(以下、「PE3A」と省略。)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、「PE4A」と省略。)との混合物(質量比75/25の混合物)795質量部を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、70℃で3時間、前記反応を継続させ、さらにイソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応させることによって、ウレタンアクリレート(A1)とPE4Aとを含有する酢酸ブチル溶液(不揮発分80質量%、以下、「ウレタンアクリレート(A1)溶液」と省略。)を得た。前記ウレタンアクリレート(A1)の分子量(計算値)は802であった。
(合成例2:ウレタンアクリレート(A2)の合成)
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル254質量部、イソホロンジイソシアネート222質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、70℃に昇温した後、PE3AとPE4Aとの混合物(質量比75/25の混合物)795質量部を1時間かけて滴下した。
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル254質量部、イソホロンジイソシアネート222質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、70℃に昇温した後、PE3AとPE4Aとの混合物(質量比75/25の混合物)795質量部を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、70℃で3時間、前記反応を継続させ、さらにイソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応させることによって、ウレタンアクリレート(A2)とPE4Aとを含有する酢酸ブチル溶液(不揮発分80質量%、以下、「ウレタンアクリレート(A2)溶液」と省略。)を得た。前記ウレタンアクリレート(A2)の分子量(計算値)は818であった。
(合成例3:ウレタンアクリレート(A3)の合成)
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル254質量部、イソホロンジイソシアネート222質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、70℃に昇温した後、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート369質量部、及び、PE3AとPE4Aとの混合物(質量比75/25の混合物)398質量部を1時間かけて滴下した。
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル254質量部、イソホロンジイソシアネート222質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、70℃に昇温した後、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート369質量部、及び、PE3AとPE4Aとの混合物(質量比75/25の混合物)398質量部を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、70℃で3時間、前記反応を継続させ、さらにイソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応させることによって、ウレタンアクリレート(A3)とPE4Aとを含有する酢酸ブチル溶液(不揮発分80質量%、以下、「ウレタンアクリレート(A3)溶液」と省略。)を得た。前記ウレタンアクリレート(A3)の分子量(計算値)は889であった。
(合成例4:ウレタンアクリレート(A4)の合成)
撹拌機、ガス導入管、コンデンサーおよび温度計を備えたフラスコに、PEA3とPEA4との混合物(質量比60/40の混合物)549.1質量部、ジブチル錫ジアセテート0.1質量部、スミライザーBHT〔住友化学工業(株)製、酸化防止剤〕0.6質量部、メトキノン〔精工化学工業(株)製、重合禁止剤〕0.1質量部、および、酢酸ブチル160.0質量部を加え、均一に混合しながら徐々に昇温した。60℃に達したところでデスモジュールH〔住友バイエルウレタン(株)製ヘキサメチレンジイソシアネート、NCO%=50%)90.9質量部を加えた後、80℃で5時間反応させることによって、ウレタンアクリレート(A4)とPE4Aとを含有する酢酸ブチル溶液(不揮発分80質量%、以下、「ウレタンアクリレート(A4)溶液」と省略。)を得た。
撹拌機、ガス導入管、コンデンサーおよび温度計を備えたフラスコに、PEA3とPEA4との混合物(質量比60/40の混合物)549.1質量部、ジブチル錫ジアセテート0.1質量部、スミライザーBHT〔住友化学工業(株)製、酸化防止剤〕0.6質量部、メトキノン〔精工化学工業(株)製、重合禁止剤〕0.1質量部、および、酢酸ブチル160.0質量部を加え、均一に混合しながら徐々に昇温した。60℃に達したところでデスモジュールH〔住友バイエルウレタン(株)製ヘキサメチレンジイソシアネート、NCO%=50%)90.9質量部を加えた後、80℃で5時間反応させることによって、ウレタンアクリレート(A4)とPE4Aとを含有する酢酸ブチル溶液(不揮発分80質量%、以下、「ウレタンアクリレート(A4)溶液」と省略。)を得た。
(調製例1:ハードコート剤(1)の調製)
合成例1で得られたウレタンアクリレート(A1)溶液31.3質量部、合成例2で得られたウレタンアクリレート(A2)溶液31.3質量部、合成例3で得られたウレタンアクリレート(A3)溶液25質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ジペンタエリスリトールペンタアクリレート=60/40(質量比))30質量部、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)4.5質量部を均一に攪拌した後、酢酸エチルで希釈して、不揮発分40質量%のハードコート剤(1)を調製した。
合成例1で得られたウレタンアクリレート(A1)溶液31.3質量部、合成例2で得られたウレタンアクリレート(A2)溶液31.3質量部、合成例3で得られたウレタンアクリレート(A3)溶液25質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ジペンタエリスリトールペンタアクリレート=60/40(質量比))30質量部、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)4.5質量部を均一に攪拌した後、酢酸エチルで希釈して、不揮発分40質量%のハードコート剤(1)を調製した。
(調製例2:ハードコート剤(2)の調製)
合成例4で得られたウレタンアクリレート(A4)溶液に酢酸ブチルを添加して不揮発分濃度が35質量%になるように希釈した後、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)3.2質量部を配合し、ハードコート剤(2)を調製した。
合成例4で得られたウレタンアクリレート(A4)溶液に酢酸ブチルを添加して不揮発分濃度が35質量%になるように希釈した後、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)3.2質量部を配合し、ハードコート剤(2)を調製した。
(調製例3:ハードコート剤(3)の調製)
合成例1で得られたウレタンアクリレート(A1)溶液31.3質量部、合成例2で得られたウレタンアクリレート(A2)溶液31.3質量部、合成例3で得られたウレタンアクリレート(A3)溶液25質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ジペンタエリスリトールペンタアクリレート=60/40(質量比))30質量部、反応性フッ素防汚剤(オプツールDAC−HP;ダイキン工業株式会社製、不揮発分20質量%)2.0質量部及び光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)4.5質量部を均一に攪拌した後、酢酸エチルで希釈して、不揮発分40質量%のハードコート剤(3)を調製した。
合成例1で得られたウレタンアクリレート(A1)溶液31.3質量部、合成例2で得られたウレタンアクリレート(A2)溶液31.3質量部、合成例3で得られたウレタンアクリレート(A3)溶液25質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ジペンタエリスリトールペンタアクリレート=60/40(質量比))30質量部、反応性フッ素防汚剤(オプツールDAC−HP;ダイキン工業株式会社製、不揮発分20質量%)2.0質量部及び光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)4.5質量部を均一に攪拌した後、酢酸エチルで希釈して、不揮発分40質量%のハードコート剤(3)を調製した。
(調製例4:ハードコート剤(4)の調製)
信越化学工業株式会社製「KP−86」をハードコート剤(4)とした。
信越化学工業株式会社製「KP−86」をハードコート剤(4)とした。
(調製例5:プライマー剤(1)〜(7)の調製)
ウレタンアクリレート(A1)溶液、ウレタンアクリレート(A2)溶液、ウレタンアクリレート(A3)溶液、多官能モノマー(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ジペンタエリスリトールペンタアクリレート=60/40(質量比)))、シランカップリング剤(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、酢酸エチル、2−プロパノールを下記表1記載の質量部に混合することでプライマー剤(1)〜(7)を調製した。
ウレタンアクリレート(A1)溶液、ウレタンアクリレート(A2)溶液、ウレタンアクリレート(A3)溶液、多官能モノマー(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ジペンタエリスリトールペンタアクリレート=60/40(質量比)))、シランカップリング剤(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、酢酸エチル、2−プロパノールを下記表1記載の質量部に混合することでプライマー剤(1)〜(7)を調製した。
(調製例6:表面層形成用のコーティング剤(1)の調製)
信越化学工業株式会社製「X−71−190」1質量部を3M社製「Novec7200」199質量部で希釈して、不揮発分0.1質量%のコーティング剤(1)を調製した。
(調製例7:表面層形成用のコーティング剤(2)の調製)
ダイキン工業株式会社製「オプツールDSX」1質量部を3M社製「Novec7200」199質量部で希釈して、不揮発分0.1質量%のコーティング剤(2)を調製した。
信越化学工業株式会社製「X−71−190」1質量部を3M社製「Novec7200」199質量部で希釈して、不揮発分0.1質量%のコーティング剤(1)を調製した。
(調製例7:表面層形成用のコーティング剤(2)の調製)
ダイキン工業株式会社製「オプツールDSX」1質量部を3M社製「Novec7200」199質量部で希釈して、不揮発分0.1質量%のコーティング剤(2)を調製した。
(実施例1)
ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300、厚さ100μm)上に、ワイヤーバーを用いて前記ハードコート剤(1)を塗布し、80℃で1分間乾燥した後、空気雰囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製「MIDN−042−C1」、ランプ:120W/cm、高圧水銀灯)を用いて、照射光量0.25J/cm2の紫外線を照射することによって、厚さ10μmのハードコート層(x1)を有するフィルムを得た。
ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300、厚さ100μm)上に、ワイヤーバーを用いて前記ハードコート剤(1)を塗布し、80℃で1分間乾燥した後、空気雰囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製「MIDN−042−C1」、ランプ:120W/cm、高圧水銀灯)を用いて、照射光量0.25J/cm2の紫外線を照射することによって、厚さ10μmのハードコート層(x1)を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのハードコート層(x1)の表面に、プライマー剤(1)をワイヤーバーを用いて塗布し、85℃で2分間乾燥した後、空気雰囲気下で上記と同じ紫外線照射装置を用い、照射光量0.25J/cm2の紫外線を照射することによって、厚さ1μmのプライマー層(y1)が積層されたフィルムを得た。
次に、前記フィルムのプライマー層(y1)の表面に、前記コーティング剤(1)をワイヤーバーを用いて塗布し、85℃で2分間乾燥した後、空気雰囲気下60℃の環境で一週間放置することによって、前記プライマー層(y1)が積層された表面層(z1)を備えたハードコートフィルムを作製した。
(実施例2)
実施例1のプライマー層(y1)の厚さを1μmから2μmに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
実施例1のプライマー層(y1)の厚さを1μmから2μmに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(実施例3)
プライマー剤(1)の代わりにプライマー剤(2)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
プライマー剤(1)の代わりにプライマー剤(2)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(実施例4)
プライマー剤(1)の代わりにプライマー剤(3)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
プライマー剤(1)の代わりにプライマー剤(3)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(実施例5)
プライマー剤(1)の代わりにプライマー剤(4)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
プライマー剤(1)の代わりにプライマー剤(4)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(実施例6)
プライマー剤(1)の代わりにプライマー剤(5)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
プライマー剤(1)の代わりにプライマー剤(5)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(実施例7)
プライマー剤(1)の代わりにプライマー剤(6)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
プライマー剤(1)の代わりにプライマー剤(6)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(実施例8)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(2)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(2)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(実施例9)
表面層形成用のコーティング剤(1)の代わりに表面層形成用のコーティング剤(2)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
表面層形成用のコーティング剤(1)の代わりに表面層形成用のコーティング剤(2)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(比較例1)
プライマー剤(1)の代わりにプライマー剤(7)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
プライマー剤(1)の代わりにプライマー剤(7)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(比較例2)
プライマー層(y1)を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
プライマー層(y1)を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(比較例3)
プライマー層(y1)と表面層(z1)を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
プライマー層(y1)と表面層(z1)を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(比較例4)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(3)を使用し、かつ、プライマー層(Y)と表面層(Z)とを形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(3)を使用し、かつ、プライマー層(Y)と表面層(Z)とを形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(比較例5)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(4)を使用し、かつ、プライマー層(y1)を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(4)を使用し、かつ、プライマー層(y1)を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
(比較例6)
ハードコート層(x1)を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
ハードコート層(x1)を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。
上記実施例及び比較例にて得られたハードコートフィルムについて、以下の評価を行った。
[鉛筆硬度の測定]
ハードコートフィルムを10cm角に切りとったものを、その表面層が上になるようにセロハンテープを用いてガラス板に固定した後、その表面層の鉛筆硬度を、JIS K 5600−5−4(1999年版)の規定に基づき、株式会社井元製作所製の塗膜用鉛筆引掻き試験機(荷重:750g 手動式)を用いて測定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの鉛筆硬度は、任意の表面の鉛筆硬度を、上記と同様の方法で測定した。
ハードコートフィルムを10cm角に切りとったものを、その表面層が上になるようにセロハンテープを用いてガラス板に固定した後、その表面層の鉛筆硬度を、JIS K 5600−5−4(1999年版)の規定に基づき、株式会社井元製作所製の塗膜用鉛筆引掻き試験機(荷重:750g 手動式)を用いて測定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの鉛筆硬度は、任意の表面の鉛筆硬度を、上記と同様の方法で測定した。
[水接触角の測定]
協和界面科学株式会社製の自動接触角計「DROMPAMSTER500」を用いて、前記で得られたハードコートフィルムの表面層の表面に精製水3μLを着滴させた後、1秒後の接触角を測定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの水接触角は、任意の表面の水接触角を、上記と同様の方法で測定した。
協和界面科学株式会社製の自動接触角計「DROMPAMSTER500」を用いて、前記で得られたハードコートフィルムの表面層の表面に精製水3μLを着滴させた後、1秒後の接触角を測定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの水接触角は、任意の表面の水接触角を、上記と同様の方法で測定した。
本測定における接触角の算出方法は、JIS R3257に記載の試験方法のうち、静滴法にしたがった。
[防汚性の評価]
前記ハードコートフィルムの表面層の表面に、人差し指を、500g荷重をかけた状態で10秒間押し付けた後、その表面を、3波長蛍光灯下で目視観察した。10人のモニターにて評価し下記の基準にて防汚性を判定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの防汚性は、任意の表面の防汚性を、上記と同様の方法で評価した。
前記ハードコートフィルムの表面層の表面に、人差し指を、500g荷重をかけた状態で10秒間押し付けた後、その表面を、3波長蛍光灯下で目視観察した。10人のモニターにて評価し下記の基準にて防汚性を判定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの防汚性は、任意の表面の防汚性を、上記と同様の方法で評価した。
◎:10〜8人が、前記ハードコートフィルムの表面に指紋の付着がほとんどないと評価した。
○:7〜5人が、前記ハードコートフィルムの表面に指紋の付着がほとんどないと評価した。
△:4〜2人が、前記ハードコートフィルムの表面に指紋の付着がほとんどないと評価した。
×:2人未満が、前記ハードコートフィルムの表面に指紋の付着がほとんどないと評価した。
<防汚性の持続性(耐久性)1[指紋付着性に基づく評価]>
前記ハードコートフィルムの表面層の表面に、スチールウール(ボンスター#0000)を荷重500g/cm2をかけながら、速度30回/分で5000回摩擦した。当該摩擦箇所の状態を目視で観察して、下記の基準にて耐擦傷性を判定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの防汚性は、任意の表面の防汚性を、上記と同様の方法で評価した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの防汚性の耐久性は、任意の表面を上記条件で摩擦した箇所の防汚性をもとに評価した。
前記ハードコートフィルムの表面層の表面に、スチールウール(ボンスター#0000)を荷重500g/cm2をかけながら、速度30回/分で5000回摩擦した。当該摩擦箇所の状態を目視で観察して、下記の基準にて耐擦傷性を判定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの防汚性は、任意の表面の防汚性を、上記と同様の方法で評価した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの防汚性の耐久性は、任意の表面を上記条件で摩擦した箇所の防汚性をもとに評価した。
前記摩擦した箇所の防汚性を、上記[防汚性の評価]に記載した方法と同様の方法で評価した。なお評価基準は、下記の基準を採用した。
◎:10〜8人が、前記ハードコートフィルムの摩耗箇所表面に指紋の付着がほとんどないと評価した。
○:7〜5人が、前記ハードコートフィルムの摩耗箇所表面に指紋の付着がほとんどないと評価した。
△:4〜2人が、前記ハードコートフィルムの摩耗箇所表面に指紋の付着がほとんどないと評価した。
×:2人未満が、前記ハードコートフィルムの摩耗箇所表面に指紋の付着がほとんどないと評価した。
<防汚性の持続性(耐久性)2[摩耗試験後の水接触角に基づく評価]>
前記摩擦箇所の水接触角を上記[水接触角の測定]の欄に記載した方法と同様の方法で測定し、摩擦後の水接触角を測定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの水接触角は、任意の表面を上記条件で摩擦した箇所の水接触角を、上記と同様の方法で測定した。
前記摩擦箇所の水接触角を上記[水接触角の測定]の欄に記載した方法と同様の方法で測定し、摩擦後の水接触角を測定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの水接触角は、任意の表面を上記条件で摩擦した箇所の水接触角を、上記と同様の方法で測定した。
[耐久性(耐擦傷性)の評価]
前記ハードコートフィルムの表面層の表面に、スチールウール(ボンスター#0000)を荷重500g/cm2をかけながら、速度30回/分で5000回摩擦した。当該摩擦箇所の状態を目視で観察して、下記の基準にて耐擦傷性を判定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの防汚性は、任意の表面の防汚性を、上記と同様の方法で評価した。
前記ハードコートフィルムの表面層の表面に、スチールウール(ボンスター#0000)を荷重500g/cm2をかけながら、速度30回/分で5000回摩擦した。当該摩擦箇所の状態を目視で観察して、下記の基準にて耐擦傷性を判定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの防汚性は、任意の表面の防汚性を、上記と同様の方法で評価した。
◎:摩擦箇所にキズは発生していなかった。
○:摩擦箇所にキズが1〜5本発生した。
×:摩擦箇所にキズが5本以上発生した。
[滑り性1の評価方法]
前記ハードコートフィルムの表面層の表面に、人差し指で擦った際の滑りやすさを10人のモニターにて評価した。判定基準は以下のとおりとした。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの滑り性は、任意の表面の滑り性を、上記と同様の方法で評価した。
前記ハードコートフィルムの表面層の表面に、人差し指で擦った際の滑りやすさを10人のモニターにて評価した。判定基準は以下のとおりとした。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの滑り性は、任意の表面の滑り性を、上記と同様の方法で評価した。
◎:10〜8人がよく滑ると評価した。
○:7〜5人がよく滑ると評価した。
×:5人未満がよく滑ると評価した。
[滑り性の評価方法2(動摩擦係数)]
前記ハードコートフィルムの表面層を、直径10mmのステンレス製の丸棒(重さ約82g)の先端に両面粘着テープで固定し、蒸留水0.01gを含浸させた綿帆布#11を摩擦子として、速度1000mm/分の速さで摩擦した際の荷重を測定し、動摩擦係数を算出した。なお、表面層を設けていない比較例3〜4で得たハードコートフィルムについては、その最表面の滑り性を評価した。
前記ハードコートフィルムの表面層を、直径10mmのステンレス製の丸棒(重さ約82g)の先端に両面粘着テープで固定し、蒸留水0.01gを含浸させた綿帆布#11を摩擦子として、速度1000mm/分の速さで摩擦した際の荷重を測定し、動摩擦係数を算出した。なお、表面層を設けていない比較例3〜4で得たハードコートフィルムについては、その最表面の滑り性を評価した。
上記表から明らかなとおり、実施例1〜9の本発明のハードコートフィルムは、表面硬度、防汚性、滑り性に優れ、かつ各特性の耐久性にも優れるハードコートフィルムであった。一方、比較例1〜4のハードコートフィルムは、滑り性、耐久性が十分でなく、比較例5及び6のハードコートフィルムは表面硬度が十分でなかった。
Claims (7)
- 基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層(X)、プライマー層(Y)及び表面層(Z)が順に積層された2H以上の鉛筆硬度を有するハードコートフィルムであって、前記表面層(Z)が110°以上の水接触角を有するものであることを特徴とするハードコートフィルム。
- 前記ハードコート層(X)と前記プライマー層(Y)とが結合(xy)を形成したものであり、かつ、前記プライマー層(Y)と前記表面層(Z)とが結合(yz)を形成したものである請求項1に記載のハードコートフィルム。
- 前記結合(xy)が、(メタ)アクリロイル基のラジカル重合によって形成された炭素−炭素結合である請求項2に記載のハードコートフィルム。
- 前記結合(yz)が、ケイ素原子及び酸素原子によって構成される結合である請求項2に記載のハードコートフィルム。
- 前記プライマー層(Y)が、アルコキシ基またはヒドロキシル基が直接ケイ素原子に結合したシラン化合物を含有するプライマー剤を用いて形成されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
- さらに加飾層または粘着剤層を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のハードコートフィルムが積層された画像表示装置。
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