JP6519771B2 - ハードコートフィルム及び情報表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばスマートフォンやタブレット端末などの各種タッチパネルディスプレイの保護フィルムなどとして好適に使用できるハードコートフィルムに関する。
スマートフォンやタブレット端末などの携帯電子機器、テレビやパソコンなどの画像表示機器としては、タッチパネル機能付きディスプレイを搭載したものが普及している。
前記タッチパネルの搭載された画像表示機器は、通常、指やタッチペン等を前記ディスプレイ表面に接触させ、その表面を押圧することによって操作する。そのため、前記ディスプレイの表面には、前記タッチペン等により比較的強い力で繰り返し押圧及び擦過等された場合であっても凹みや擦傷を防止可能な高いレベルの耐擦傷性を備え、かつ、防汚性等の表面機能を長期間持続できることが求められている。
また、前記情報表示装置には、その高機能化に伴って、上記以外に様々な特性が求められている。例えば前記情報表示装置の表面には、タッチパネル機能の普及に伴って、指紋や大気中の汚れ等の付着を防止可能なレベルの防汚性や、曇り防止性能等の表面機能が求められる場合がある。
前記表面機能のうち、例えば防汚性を付与したハードコートフィルムとしては、フッ素系添加剤を活性エネルギー線硬化性組成物に予め添加し、フィルム基材に塗布した後、紫外線を照射し硬化させることによって得られるハードコートフィルムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、従来のハードコートフィルムは、防汚性、滑り性等の表面機能の点で十分でない場合があった。
特開2010−168419号公報
本発明が解決しようとする課題は、例えばタッチペン等によって繰り返し押圧及び擦過された場合であっても、凹みや擦傷の発生を防止できるレベルの耐擦傷性を有し、かつ、防汚性等の表面機能を長期間にわたり持続することのできるハードコートフィルムを提供することである。
本発明者等は、基材の少なくとも一方の面にハードコート層(X)と表面層(Y)とが順に積層されたハードコートフィルムであって、前記ハードコート層(X)が、加水分解性シリル基またはシラノール基と、ラジカル重合性官能基とを有する化合物(x1)、前記化合物(x1)以外のラジカル重合性化合物(x2)及び重合開始剤を含有するハードコート剤を用いて形成された層であり、前記化合物(x1)が前記ラジカル重合性化合物(x2)及び重合開始剤の合計に対して2.9質量%以上含まれ、かつ、前記ハードコートフィルムの前記表面層(Y)側の面の塑性硬さが1000N/mm以上であることを特徴とするハードコートフィルムによって、前記課題を解決した。
本発明のハードコートフィルムは、例えばタッチペン等によって繰り返し押圧及び擦過された場合であっても、凹みや擦傷の発生を防止することができ、かつ、防汚性や耐曇り性等の表面機能を長期間にわたり持続できることから、例えばスマートフォンやタブレット端末などの携帯電子機器、テレビ、パソコンなどの画像表示機器に搭載されたディスプレイの表面を保護するためのハードコートフィルムなどとして好適に使用することができる。
本発明のハードコートフィルムは、基材の少なくとも一方の面にハードコート層(X)と表面層(Y)とが順に積層されたハードコートフィルムであって、前記ハードコート層(X)が、加水分解性シリル基またはシラノール基と、ラジカル重合性官能基とを有する化合物(x1)、前記化合物(x1)以外のラジカル重合性化合物(x2)及び重合開始剤を含有するハードコート剤を用いて形成された層であり、前記化合物(x1)が前記ラジカル重合性化合物(x2)及び重合開始剤の合計に対して2.9質量%以上含まれ、かつ、前記ハードコートフィルムの前記表面層(Y)側の面の塑性硬さが1000N/mm以上であることを特徴とする。上記構成からなる本発明のハードコートフィルムは、単に基材の表面にハードコート層と表面層とが積層されたハードコートフィルムと比較して、タッチペン等で繰り返し押圧及び擦過された場合であっても、凹みや擦傷の発生を防止することができ、かつ、防汚性や耐曇り性等の表面機能を長期間にわたり持続することができる。
本発明のハードコートフィルムの実施態様としては、前記ハードコート層(X)と表面層(Y)とが順に積層された構成を、前記基材の一方の面側に有するものが挙げられる。
本発明のハードコートフィルムとしては、前記基材の他方の面側に、なんら層を有しないものであってもよく、前記基材の他方の面側に前記ハードコート層(X)と表面層(Y)とが順に積層された構成を有するものであってもよく、前記基材の他方の面側にハードコート層(X)、表面層(Y)またはその他の層を単独または2以上有するものであってもよい。
本発明のハードコートフィルムの好ましい実施態様としては、前記基材の一方の面に前記ハードコート層(X)と表面層(Y)とが順に積層された構成を有し、前記基材の他方の面側に、直接または他の層を介して、ハードコート層(X)を有するものが挙げられる。前記構成からなるハードコートフィルムは、その表面硬度をより一層向上させることができる。また、前記構成からなるハードコートフィルムは、前記ハードコート層(X)を形成する際の硬化収縮に起因したハードコートフィルムの反りを抑制することができる。
一方、前記基材の他方の面にハードコート層(X)を有しないハードコートフィルムは、その他方の面に粘着剤層を設けた態様で使用する場合に、良好な貼り作業性と後加工性とを付与することができ、その生産コストを抑制できるため好ましい。
前記ハードコートフィルムとしては、75μm〜500μmの厚さのものを使用することが好ましく、100μm〜400μmの厚さのものを使用することがより好ましく、100μm〜350μmの厚さのものを使用することがさらに好ましく、100μm〜300μmの厚さのものを使用することが特に好ましい。前記範囲の厚さを備えたハードコートフィルムは、例えば各種ディスプレイの表面に設置する用途で使用する場合であれば、前記ディスプレイを備えた携帯電子端末や画像表示機器の薄型化に貢献できる。また、ハードコートフィルムの厚さを上記範囲とすることによって、ディスプレイ等を保護するために必要な表面硬度を得やすく、作業性を損なわない程度の反りを抑制することができる。
また、前記ハードコートフィルムとしては、前記ハードコート層(X)と前記表面層(Y)とが結合(xy)を形成したものを使用する。これにより、防汚性等の表面機能の効果を長期間持続可能なハードコートフィルムを得ることができる。
前記ハードコート層(X)と前記表面層(Y)との間に形成されていてもよい前記結合(xy)としては、例えばケイ素原子と酸素原子またはチタン原子と酸素原子によって構成された結合が挙げられる。具体的には、前記結合(xy)は、前記ハードコート層(X)に含まれる前記化合物(x1)の加水分解性シリル基またはシラノール基と、前記表面層(Y)の形成に使用された化合物(y1)の官能基とが反応し形成された結合であることが好ましい。
前記結合(xy)としては、前記ハードコート層(X)を形成する成分のひとつである前記化合物(x1)に由来するアルコキシシリル基またはシラノール基などの加水分解性シリル基またはシラノール基と、前記表面層(Y)を形成する成分に由来する、例えばアルコキシシリル基やシラノール基やチタノール基や水酸基等とが反応し形成された結合が挙げられる。
前記結合(xy)を有するハードコートフィルムは、前記ハードコート層(X)と前記表面層(Y)との層間密着性に優れるため、例えばタッチペン等によって繰り返し押圧及び擦過された場合であっても、凹みや擦傷の発生を防止することができ、かつ、防汚性や耐曇り性等の表面機能を長期間にわたり持続できることが可能となる。
また、前記ハードコートフィルムとしては、透明性の高いものを使用することが、ディスプレイの表面に設置した場合であっても、良好な視認性を確保できるため好ましい。前記ハードコートフィルムの全光線透過率は85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
前記ハードコートフィルムとしては、2H以上の鉛筆硬度を有するものであることが、例えばタッチペン等で繰り返し押圧及び擦過された場合であっても、凹みや擦傷の発生を防止することができ、かつ、防汚性や耐曇り性等の表面機能を長期間にわたり持続することができるため好ましい。
[基材]
本発明のハードコートフィルムを構成する基材としては、透明性が高く、一般的に光学用ハードコートフィルムの基材として使用されているものを適宜選択して使用することができる。
前記基材としては、例えば、ポリエステル樹脂フィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アクリル樹脂フィルム、脂環式構造含有熱可塑性樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルムなどを使用することができる。
前記基材としては、前記で挙げた樹脂フィルムのみからなる基材を使用することもできるが、ハードコート層(X)との密着性をより一層向上させることを目的として、前記樹脂フィルムの表面に易接着層を有する基材を使用することもできる。
また、前記基材としては、ハードコート層(X)との密着性をより一層向上させることを目的として、前記樹脂フィルムの表面を、サンドブラスト法、溶剤処理法などで凹凸化処理したもの、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線照射処理、酸化処理したものなどを使用することができる。
また、前記基材としては、その全光線透過率が88%以上である透明基材を使用することが好ましく、90%以上である透明基材を使用することがより好ましい。本発明においては、全光線透過率を当該範囲とすることで透明基材の片面または両面にハードコート層(X)を設けた場合でも透過率に優れ、画像表示装置に適用した場合良好な視認性を得ることができる。
前記基材としては、厚さ5μm〜450μmの範囲のものを使用することが好ましく、50μm〜400μmの範囲のものを使用することがより好ましく、75μm〜300μmの範囲のものを使用することが、ハードコートフィルムの反りの発生を抑制するうえで更に好ましい。
[ハードコート層(X)]
本発明のハードコートフィルムを構成するハードコート層(X)としては、加水分解性シリル基またはシラノール基と、ラジカル重合性官能基とを有する化合物(x1)、及び、前記化合物(x1)以外のラジカル重合性化合物(x2)を含有するハードコート剤を用いて形成された層を使用する。ここで、前記加水分解性シリル基としては、例えばケイ素原子にアルコキシ基が結合した官能基を指し、具体的にはアルコキシシリル基が挙げられる。また、前記シラノール基はケイ素原子に水酸基が結合した官能基を指す。
前記化合物(x1)が有する加水分解性シリル基またはシラノール基の一部または全部は、後述する表面層(Y)の形成に使用された化合物(y1)が有する官能基と反応し、前記結合(xy)の形成に寄与することが好ましい。
また、前記化合物(x1)が有するラジカル重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。前記ラジカル重合性官能基は、例えば後述するラジカル重合性化合物(x2)の(メタ)アクリロイル基等とラジカル重合することが、より一層耐擦傷性等に優れたハードコートフィルムを得るうえで好ましい。
前記化合物(x1)は、前記ハードコート剤に含まれる前記化合物(x1)以外のラジカル重合性化合物(x2)と重合開始剤との合計量(不揮発分)に対し、2.9質量%以上使用することが好ましく、3.9質量%以上使用することがより好ましく、4.9質量%以上使用することが、例えばタッチペン等によって繰り返し押圧及び擦過された場合であっても、表面層(Y)の脱落を抑制できるため、防汚性や耐曇り性等の表面機能を長期間にわたり持続可能なハードコートフィルムを得るうえで特に好ましい。
前記化合物(x1)の使用量の上限は、100質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがハードコート層の硬度を低下させ難く、耐擦傷性に優れたハードコートフィルムを得る上で特に好ましい。
前記化合物(x1)としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシオクチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシオクチルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を使用することができる。
前記化合物(x1)としては、とりわけ、前記加水分解性シリル基やシラノール基等の脱水縮合しうる官能基と、(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性官能基とを有するシラン化合物を使用することが、前記ハードコート層(X)と表面層(Y)との間で結合(xy)を形成でき、その結果、高硬度で耐擦傷性等の耐久性に優れ、かつ、防汚性等の効果を長期間持続可能なハードコートフィルムを得ることができるため好ましい。
なかでも、前記シラン化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物(x1−1)、または、下記一般式(2)及び一般式(3)で示される構造を有する化合物(x1−2)からなる群より選ばれる1種以上の化合物(x1)を使用することが、より高い耐久性を持ち、防汚性等の効果を長期間持続可能なハードコートフィルムを得るうえで好ましい。
Figure 0006519771
(一般式(1)中のR、R及びRはそれぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Rは炭素原子数3〜10のアルキレン基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
Figure 0006519771
(一般式(2)中のR、R及びRはそれぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、一般式(3)中Rは水素原子またはメチル基を表す。)
前記一般式(1)で示される化合物(x1−1)としては、具体的には、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシオクチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシオクチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、前記化合物(x1−2)としては、具体的には、前記一般式(2)及び一般式(3)で示される構造を有する化合物等を使用することができる。また、前記化合物(x1−2)としては、信越化学工業株式会社製の「X−12−1048」や「X−12−1050」等を使用することができる。
なかでも、前記化合物(x1−2)としては、前記一般式(3)で示される構造に対する前記一般式(2)で示される構造のモル比[一般式(2)で示される構造/一般式(3)で示される構造]が5/1〜1/5である化合物(x1−2−1)を使用することが好ましく、3/1〜1/3である化合物を使用することが、前記ハードコート層(X)内部の架橋密度の低下を抑制し、かつ、前記ハードコート層(X)と表面層(Y)との間で結合(xy)を形成でき、その結果、より一層高硬度で耐擦傷性等の耐久性に優れ、かつ、表面機能の効果を長期間持続可能なハードコートフィルムを得ることができるため好ましい。
また、前記ハードコート層(X)の形成に使用可能なハードコート剤としては、前記化合物(x1)の他に、前記化合物(x1)以外のラジカル重合性化合物(x2)を含有するものを使用する。
前記ラジカル重合性化合物(x2)としては、入手や取扱いが容易であり、用途などに応じて前記ハードコート層(X)の特性を制御しやすいことから、(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記(メタ)アクリレートとしては、ハードコート層(X)が形成される際の硬化収縮を抑制し、かつ、高い表面硬度と優れた耐久性とを備えたハードコート層を形成するうえで、ウレタン(メタ)アクリレートを使用することがより好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、各種ウレタン(メタ)アクリレートを使用することができ、なかでも、分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えばポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させることによって得られるものを使用することが好ましい。
前記ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナトシクロヘキサンなどの脂環式ポリイソシアネートなどを使用することができる。
前記ポリイソシアネートとしては、前記脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートの3量体を使用することもできる。
前記ポリイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネートであるヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであるノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートを使用することが、耐擦傷性などの耐久性のより一層優れたハードコートフィルムを得るうえで好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートの製造に使用可能な前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどを単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを使用することが、耐擦傷性などの耐久性に優れたハードコートフィルムを得るうえで好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、前記ポリイソシアネートと前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとを、ウレタン化触媒の存在下、常法でウレタン化反応させることによって製造することができる。
前記ウレタン化触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどのアミン化合物;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィンなどのリン化合物;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫などの有機錫化合物、オクチル酸亜鉛などの有機亜鉛化合物などが挙げられる。
前記方法で得られたウレタン(メタ)アクリレートは、単独または2種以上を組み合わせ使用することができる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、前記ポリイソシアネートとしてノルボルナンジイソシアネートを用いて得られたウレタンアクリレートと、前記ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネートを用いて得られたウレタンアクリレートとを組み合わせ使用することが好ましい。このような組み合わせとすることで、硬化させた際の硬化収縮によるハードコートフィルムの反りを抑制しながら、高い表面硬度と耐久性に優れたハードコートフィルムを得ることができる。
前記ハードコート層(X)の形成に使用可能なハードコート剤としては、前記ウレタン(メタ)アクリレート以外のその他の(メタ)アクリレートを含有するものを使用することができる。
前記その他の(メタ)アクリレートとしては、例えば分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート以外の前記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、前記ハードコート層(X)の耐擦傷性などの耐久性をより一層向上させるうえで、その(メタ)アクリロイル基当量が50g/eq.〜200g/eq.の範囲のものを使用することが好ましく、70g/eq.〜150g/eq.の範囲のものを使用することがより好ましく、80g/eq.〜120g/eq.の範囲のものを使用することがさらに好ましい。前記範囲の(メタ)アクリロイル基当量を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(アクロイル基当量:88g/eq.)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(アクロイル基当量:118g/eq.)などが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリレートは、前記ウレタン(メタ)アクリレートと組み合わせ使用することが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートと前記多官能(メタ)アクリレートとの質量比[前記ウレタン(メタ)アクリレート/前記多官能(メタ)アクリレート]は、ハードコートフィルムの耐擦傷性などの耐久性をより一層向上するうえで、90/10〜10/90の範囲であることが好ましく、80/20〜20/80の範囲であることがより好ましく、75/25〜25/75の範囲であることがさらに好ましい。
前記ウレタンアクリレートと前記多官能(メタ)アクリレートとの合計使用量は、前記ハードコート剤の不揮発分100質量部に対し、10質量部〜99.95質量部であることが好ましく、20質量部〜99.5質量部であることが好ましく、50質量部〜99質量部であることが特に好ましい。
前記ハードコート層(X)の形成に使用可能なハードコート剤としては、前記したもののほかに、本発明の効果を損なわない範囲で、分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有するモノ(メタ)アクリレート、分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有するジ(メタ)アクリレートなどのその他の(メタ)アクリレートを含有するものを使用することができる。それらは、前記ウレタン(メタ)アクリレート及び前記多官能(メタ)アクリレートの合計100質量部に対して、40質量部以下で使用することが好ましく、20質量部以下で使用することがより好ましい。
前記ハードコート層(X)の形成に使用可能なハードコート剤としては、活性エネルギー線を照射することによって硬化反応を開始しうる光重合開始剤等の重合開始剤を含有するものを使用することができる。
前記光重合開始剤としては、分子内開裂型光重合開始剤及び水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられる。分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンなどのアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステルなどが挙げられる。
一方、水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどのアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルサルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルサルフォニル)プロパン−1−オンなどを、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
また、前記ハードコート剤としては、光増感剤を含有するものを使用することができる。
前記光増感剤としては、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミンなどの3級アミン化合物、o−トリルチオ尿素などの尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネートなどの硫黄化合物などが挙げられる。
前記光重合開始剤及び光増感剤の使用量は、前記ハードコート剤の不揮発成分100質量部に対し、各々0.05質量部〜20質量部であることが好ましく、0.5質量部〜10質量部であることがより好ましい。なお、前記活性エネルギー線として電子線、α線、β線、γ線などの電離放射線を用いる場合には、光重合開始剤や光増感剤を使用する必要はない。
前記ハードコート剤としては、適当な溶媒で希釈されたものを使用することができる。
前記溶媒としては、例えば、アセトン、イソブチルアルコール、2−プロパノール、イソペンチルアルコール、エチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−ノルマル−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、オルト−ジクロルベンゼン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸ノルマル−ブチル、酢酸ノルマル−プロピル、酢酸ノルマル−ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、ジクロルメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、スチレン、テトラクロルエチレン、テトラヒドロフラン、1,1,1−トリクロルエタン、トルエン、ノルマルヘキサン、1−ブタノール、2−ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、メチル−ノルマル−ブチルケトンなどを、単独または2種以上を組み合わせ使用することができる。
また、前記ハードコート剤としては、必要に応じて、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、シリカビーズ、有機ビーズなどの添加剤;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、五酸化アンチモンなどの無機系充填剤などを含有するものを使用することができる。
前記ハードコート剤を用いて形成される前記ハードコート層(X)は、3μm〜25μmの厚さであることが好ましく、5μm〜15μmの厚さであることが、耐擦傷性などの耐久性及び滑り性に優れ、例えば薄型化の要請の高い画像表示装置に使用可能なハードコートフィルムを得るうえでより好ましい。
また、前記ハードコート層(X)としては、その表面の水接触角が85°以下であるものを使用することが好ましく、75°以下であるものを使用することがより好ましい。前記範囲の水接触角を備えたハードコート層(X)を使用することによって、前記ハードコート層(X)と前記表面層(Y)との密着性をより一層向上でき、表面機能を長期間持続可能なハードコートフィルムを得ることができる。
また、前記ハードコート層(X)は、前記基材の片面に積層した際の表面の鉛筆硬度が2H以上であることが好ましく、3H以上であることが、耐擦傷性などの耐久性のより一層優れたハードコートフィルムを得るうえでより好ましい。
[表面層(Y)]
本発明のハードコートフィルムを構成する表面層(Y)は、前記ハードコート層(X)の表面に積層される層であり、前記ハードコートフィルムに各種表面機能を付与する。
また、前記表面層(Y)は、前記ハードコート層(X)との間で結合(xy)を形成する。これにより、前記層間の密着性が高まり、表面機能の効果を長期間持続することが可能となる。
前記表面層(Y)によって付与される表面機能としては、例えば指紋などに起因した汚れの付着を防止可能な防汚性、曇り防止性等が挙げられる。
前記表面層(Y)は、表面層(Y)形成用コーティング剤を用いて形成することができる。前記表面層(Y)形成用コーティング剤としては、前記ハードコート剤に含まれる前記化合物(x1)の加水分解性シリル基またはシラノール基と反応しうる官能基を有する化合物を含有するものを使用することが、前記結合(xy)を形成し、より一層優れた耐擦傷性等を備えたハードコートフィルムを得るうえで好ましい。
前記化合物(y1)としては、例えば前記防汚性を備えた表面層(防汚層)を形成する場合であれば、前記化合物(x1)が有する官能基と反応し結合(xy)を形成可能な官能基を有するフッ素系化合物を使用することができる。
前記フッ素系化合物としては、前記化合物(x1)の加水分解性シリル基またはシラノール基と反応し結合(xy)を形成可能な官能基として、加水分解性シリル基またはシラノール基などを有するフッ素系化合物を使用することが好ましい。ここで、前記加水分解性シリル基としては、ケイ素原子にアルコキシ基が結合した官能基を指し、具体的にはアルコキシシリル基が挙げられる。また、シラノール基はケイ素原子に水酸基が結合した官能基を指す。
前記加水分解性シリル基またはシラノール基などを有するフッ素系化合物としては、本発明のハードコートフィルムにより一層高い滑り性を付与するうえで、例えば末端に加水分解性シリル基またはシラノール基を有するとともに、ポリパーフルオロポリエーテル鎖を有するフッ素系化合物を使用することが好ましい。
前記ポリパーフルオロポリエーテル鎖としては、例えば炭素原子数1〜6の2価フッ化アルキレン基と酸素原子とが交互に連結した構造を有するものが挙げられる。
前記ポリパーフルオロポリエーテル鎖としては、例えば下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006519771
前記一般式(4)中、Xは下記式(4−1)〜(4−3)である。また、Xは下記式(4−1)〜(4−3)のいずれか1種類のものであってもよいし、下記式(4−1)〜(4−3)のうち2種以上を有するのものであってもよい。例えば、前記Xとして下記式(4−1)〜(4−3)のうち2種以上を有する構造としては、−(CFCF−O)n−(CF−O)n−で示されるような構造が挙げられる。前記Xとして式(4−1)〜(4−3)で示される構造を2種類以上含む場合には、−(X−O)−の構造単位からなるランダム構造またはブロック構造を有していてもよい。また、nは繰り返し単位を表す2〜200の整数である。
Figure 0006519771
(式中aは1〜6の整数である。)
前記フッ素系化合物としては、前記パーフルオロポリエーテル鎖などのフッ素鎖とともに、加水分解性シリル基またはシラノール基を有するものを使用することが、前記ハードコート層(X)と前記表面層(Y)との間に結合(xy)を形成でき、その結果、優れた耐擦傷性や滑り性や防汚性と、優れた防汚性を長期間持続可能なハードコートフィルムを得ることができる。前記結合(xy)としては、ケイ素原子及び酸素原子によって構成される結合が挙げられ、例えば−Si−O−Si−結合が挙げられる。
前記結合(xy)を形成可能なフッ素系化合物としては、具体的には、ダイキン工業(株)製のオプツールDSX、信越化学工業(株)製の商品名「KY−164」「KY−130」「KY−108」「X−71−190」などが挙げられる。
前記フッ素系化合物等の前記化合物(y1)の含有量としては、前記表面層(Y)の形成に使用する表面層(Y)形成用コーティング剤の不揮発分100質量部に対し、80質量部〜100質量部であることが好ましく、90質量部〜100質量部であることがより好ましく、95質量部〜100質量部であることが更に好ましい。
前記表面層(Y)としては、その表面の水接触角が110°以上であることが好ましく、112°以上であることがより好ましく、113°以上であることが更に好ましい。なお、前記水接触角は、ハードコートフィルムを構成する表面層(Y)に、3μlの水滴を接触させた時から1秒後に測定される接触角を表す。
本発明のハードコートフィルムは、例えば(i)前記基材の少なくとも一方の面に、前記ハードコート剤を用いてハードコート層(X)を形成する工程、(ii)前記ハードコート層(X)の表面に、前記表面層(Y)形成用コーティング剤等を用いて表面層(Y)を形成する工程を経ることによって製造することができる。
なお、未硬化または半硬化状態のハードコート層(X’)の表面に、前記表面層(Y)形成用コーティング剤等を用いて表面層(Y)を形成し、加熱養生などによってハードコート層(X’)と表面層(Y)との界面に結合(xy)を形成させた後、活性エネルギー線を照射してハードコート層(X)を完全硬化させることが好ましい。これにより、前記ハードコート層(X)と前記表面層(Y)との間に十分な結合(xy)を形成でき、各種表面機能の効果を長期間持続することが可能となる。
はじめに、前記工程(i)について説明する。
前記工程(i)によりハードコート層(X)を形成する方法は、具体的には、前記基材の片面または両面の一部または全部に前記ハードコート剤を塗布及び乾燥し、硬化させる方法が挙げられる。
前記基材の片面または両面の一部または全部に前記ハードコート剤を塗布する方法としては、例えばダイコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコートなどの方法が挙げられる。
前記硬化方法としては、例えば前記ハードコート剤が活性エネルギー線硬化性組成物を含有するものであれば、前記ハードコート剤を塗布し乾燥した塗布面に活性エネルギー線を照射し硬化させる方法が挙げられる。
前記活性エネルギー線としては、例えば紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線が挙げられる。
前記活性エネルギー線を照射する装置としては、例えば紫外線であれば、その発生源として低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LEDなどが挙げられる。
本発明のハードコートフィルムを製造する際には、前記した方法によって、基材の表面にハードコート層(X)を形成した後、後述する表面層(Y)を積層する工程を行ってもよいが、ハードコート層(X)と表面層(Y)の界面で高い密着性を得る観点から、基材の表面に前記ハードコート剤を塗布し乾燥した後、活性エネルギー線を照射しない、または、完全硬化に十分な量の活性エネルギー線を照射しないことで、未硬化または半硬化状態のハードコート層(X’)形成し、次いで、後述する表面層(Y)を積層しハードコートフィルムを製造してもよい。この場合、前記ハードコート層(X’)は、前記表面層(Y)との間に十分な結合(xy)を形成した後に、活性エネルギー線を照射されることで、本硬化したハードコート層(X)を形成する。これにより、前記ハードコート層(X)と前記表面層(Y)との間に十分な結合(xy)を形成でき、各種表面機能の効果を長期間持続することが可能となる。
前記ハードコート層(X)の表面は、後述する表面層(Y)と積層した際の層間密着性をより一層向上するうえで、コロナ処理、プラズマ処理などが施されていてもよい。
次に、前記工程(ii)について説明する。
前記工程(ii)は、前記工程(i)で形成したハードコート層(X)またはハードコート層(X’)の表面に、前記コーティング剤などを塗布及び乾燥することで表面層(Y)を形成する工程である。
前記ハードコート層(X)またはハードコート層(X’)の表面に表面層(Y)を積層する方法としては、例えば前記ハードコート層(X)またはハードコート層(X’)の表面に前記コーティング剤などを塗布し、乾燥して溶剤を除去した後に、加熱処理を施して表面層(Y)を形成する方法が挙げられる。この時の処理温度としては、20℃以上であれば十分であるが、前記ハードコート層(X)またはハードコート層(X’)と表面層(Y)の界面に結合(xy)を速やかに形成させることを目的として、更に高い温度で処理をすることも可能である。前記温度は、例えば、40℃以上の環境で処理することが好ましく、60℃以上の環境で処理することが更に好ましい。
前記ハードコート層(X)またはハードコート層(X’)の表面に前記コーティング剤などを塗布する方法としては、例えばダイコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、真空蒸着などの方法が挙げられる。
また、コーティング剤などに含有している加水分解性シリル基を予め加水分解して用いることもできる。加水分解によって生成したシラノール基は、複数分子の間で脱水縮合してSi−O−Siを生成する。脱水縮合は速やかに進み、オリゴマーが生成する。脱水縮合が十分に進むように、加水分解後、養生してもよい。このように加水分解、部分縮合したオリゴマーを用いることにより、コーティング剤が硬化して表面層(Y)を形成するまでの硬化時間を短縮することができる。
また、前記ハードコート層(X)またはハードコート層(X’)の表面に前記コーティング剤を塗布等し表面層(Y)を形成したものを、水蒸気雰囲気下または微量の水分が存在する雰囲気下で加熱等することが、前記ハードコート層(X)またはハードコート層(X’)及び表面層(Y)に含まれていてもよい加水分解性シリル基を加水分解させシラノール基を形成でき、その結果、前記シラノール基間またはシラノール基と加水分解性シリル基間で、ケイ素原子及び酸素原子によって構成された結合等の結合(xy)を効率よく形成できるため好ましい。
本発明のハードコートフィルムを、いわゆるロールトゥロール方式で製造する場合、合紙として水蒸気透過率の高い材料を使用することが好ましい。具体的には、基材の表面にハードコート剤を塗工し乾燥等した後、その表面に前記コーティング剤を塗工し乾燥等したものを、合紙を介してロール状に巻き取る。その後、前記ロール状に巻き取ったものを、ロール状のまま養生等する。
前記合紙は、ロール状に巻き取られた状態であっても、その端部からロールの中心部付近にまで水分を透過させることができる。そのため、前記ロール状に巻き取られた状態であっても、前記プライマー層(Y)及び表面層(Y)に含まれていてもよい加水分解性シリル基を加水分解させ、前記プライマー層(Y)及び表面層(Y)に存在する前記シラノール基間またはシラノール基と加水分解性シリル基間の反応を進行させ、その結果、ケイ素原子及び酸素原子によって構成された結合等の結合(xy)を効率よく形成させることができる。
また、前記合紙を使用することで、表面層(Y)を形成した面と、前記基材の裏面との接触を避けることができるため、それらの界面でのブロッキング等を防止することができる。
前記合紙としては、例えば、ポリスチレンフィルム、セロファン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル樹脂フィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アクリル樹脂フィルム、脂環式構造含有熱可塑性樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルムなどの樹脂フィルムを使用することができる。なかでも、水蒸気透過率が10g/m・day以上のものを使用することが好ましく、20g/m・day以上のものを使用することがより好ましい。このような水蒸気透過率の高い合紙としては、ポリスチレンフィルム、セロファン、ポリエステル樹脂フィルムなどが挙げられる。
前記合紙としては、厚さ5μm〜250μmの範囲のものを使用することができる。製造したハードコートフィルムを巻き取る際の作業性を確保する上で、厚さ5μm〜200μmの範囲であることが好ましく、10μm〜100μmの範囲のものを使用することがより好ましく、10μm〜80μmの範囲のものを使用する事がさらに好ましい。
前記合紙としては、適宜任意の層を有するものを使用することができる。例えば、前記樹脂フィルムの表面に微粘着剤層を有する合紙は、前記微粘着剤層を前記表面層(Y)の表面に貼り合わせて使用することによって、前記表面層(Y)を保護するフィルムとして使用することもできる。また、前記微粘着層を有する合紙を使用することによって、未硬化状態の前記表面層の一部脱落を防止することができる。
前記方法で得られる本発明のハードコートフィルムは、表層の少なくとも一部に表面層(Y)が露出している構成であればよく、上記構成以外にも、適宜任意の層を有していてもよい。
本発明のハードコートフィルムは、その片面または両面の一部または全部に、加飾層や粘着剤層を有していてもよい。前記加飾層が一部または全部に設けられた本発明のハードコートフィルムは、加飾フィルムとして使用することができる。また、前記粘着剤層が一部または全部に設けられた本発明のハードコートフィルムは、保護フィルムとして使用することができる。
前記加飾層としては、例えば文字、図形、記号をはじめ、隠ぺい性やデザインを付与することを目的とした額縁状の縁取りなどによって構成されるものが挙げられる。
[加飾層]
本発明のハードコートフィルムには、加飾層を設けて加飾フィルムとして使用してもよい。加飾層は、前記ハードコートフィルムに一般的な印刷により設けることができる。印刷方法は、例えば、シルク印刷、スクリーン印刷、熱転写印刷、グラビア印刷などが挙げられる。
加飾層は、ハードコートフィルムに各種の意匠性を付与するものであれば特に制限されず、例えば、画像表示パネルとして使用する際の画像表示部の周囲に視認される文字や図形、あるいは、画像表示部に額縁状に設けられる黒色の縁取り状の加飾層などが挙げられる。
加飾層の厚さとしては、30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下が特に好ましい。当該厚さの加飾層とすることで好適な意匠性を得やすくなる。
加飾層はハードコートフィルムの片面又は両面の任意の箇所に設けることができるが、表面層(Y)上に設ける場合には、表面層(Y)の一部が露出するように設けられる。また、画像表示装置のディスプレイ用に使用する場合には、通常は画像表示部以外の箇所に設けられる。
[粘着剤層]
本発明のハードコートフィルムの一面、片面にのみ表面層(Y)を有する場合にはその他面に粘着剤層を設けて保護フィルムとして使用してもよい。前記粘着層はハードコートフィルムに粘着テープを貼り合わせるか、ハードコートフィルムの表面層(Y)とは反対面に直接粘着剤層を塗布することで設けることができる。
前記粘着剤層の厚さは、5μm〜200μmの範囲が好ましく、8μm〜175μmの範囲がより好ましく、10μm〜100μmの範囲がさらに好ましい。本発明において、粘着剤層の厚さを当該範囲とすることで、接着信頼性に優れ、またハードコートフィルムの表面硬さを著しく損なわず維持することができる。
本発明に用いる粘着剤層に使用される粘着剤には、公知のアクリル系、ゴム系、シリコーン系などの粘着樹脂を使用することができる。そのなかでも、アクリル系重合体を含有するアクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤を使用することが、干渉縞を低減し、前記基材との密着性や、透明性、耐候性などをより一層向上するうえで好ましい。
前記アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル単量体を重合して得られるものを使用することができる。前記(メタ)アクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリレートが挙げられ、炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含有するものを使用することが好ましい。
前記炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどが挙げられる。
前記の(メタ)アクリレートとしては、前記したなかでも、炭素原子数4〜9のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、炭素原子数4〜9のアルキル基を有するアルキルアクリレートを使用することがより好ましい。
前記炭素原子数4〜9のアルキル基を有するアルキルアクリレートとしては、n−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、エチルアクリレートが、好適な粘着力を確保しやすいためさらに好ましい。
前記炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、前記(メタ)アクリル単量体の全量に対して90質量%〜99質量%の範囲で使用することが好ましく、90質量%〜96質量%の範囲で使用することが好適な粘着力を確保しやすいためより好ましい。
前記アクリル系重合体としては、例えば水酸基、カルボキシル基、アミド基などの極性基を有するものを使用することができる。
前記アクリル系重合体は、例えば水酸基、カルボキシル基、アミド基などの極性基を有する(メタ)アクリル単量体を含有する(メタ)アクリル単量体を重合することによって製造することができる。
前記水酸基を有する(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのなかでも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、アクリル酸又はメタクリル酸の2量体、エチレンオキサイド変性コハク酸アクリレートなどが挙げられる。これらのなかでも、アクリル酸を使用することが好ましい。
前記アミド基を有する(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−(パーヒドロフタルイミド−N−イル)エチルアクリレートなどが挙げられる。これらのなかでも、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリンを使用することが好ましい。
前記その他の極性基を有するビニル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
極性基を有する(メタ)アクリル単量体は、前記アクリル系重合体の製造に使用する(メタ)アクリル単量体の全量に対して0.1質量%〜20質量%の範囲で使用することが好ましく、1質量%〜13質量%の範囲で使用することがより好ましく、1.5質量%〜8重量%の範囲で使用することが、凝集力、保持力、接着性を好適な範囲に調整しやすいためさらに好ましい。
前記アクリル系重合体の重量平均分子量は40万〜140万であることが好ましく、60万〜120万であることが、接着力を特定範囲に調整しやすいためより好ましい。
なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。より具体的には、GPC測定装置として、東ソー株式会社製「SC8020」を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPC測定条件で測定して求めることができる。
(GPCの測定条件)
・サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHHR−H」
・検出器:示差屈折
前記粘着剤としては、より一層凝集力を高めるうえで、前記アクリル系重合体などのほかに、架橋剤を含有するものを使用することが好ましい。
前記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤などが挙げられる。
前記架橋剤は、形成される粘着剤層のゲル分率が25質量%〜80質量%となる範囲で使用することが好ましく、ゲル分率が40質量%〜75質量%となる範囲で使用することがより好ましく、50質量%〜70質量%となる範囲で使用することが、保護フィルムを基材に貼付した際の表面鉛筆硬度の低下を抑制することができ、接着性も十分なものとすることができる。なお、本発明におけるゲル分率は、養生後の粘着剤層をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対して百分率で表したものである。
前記粘着剤としては、より一層接着力を高めるうえで、粘着付与樹脂を含有するものを使用することができる。
前記粘着付与樹脂は、前記アクリル系重合体100質量部に対して、10質量部〜60質量部の範囲で使用することが好ましい。さらに接着性を重視する場合は、20質量部〜50質量部の範囲で添加するのが好ましい。
前記粘着剤としては、前記以外に公知慣用の添加剤を含有するものを使用することができる。
前記添加剤としては、例えばガラス基材への接着性を向上するために、粘着剤100質量部に対して、0.001質量部〜0.005質量部の範囲でシランカップリング剤を添加することが好ましい。さらに、必要に応じて、その他の添加剤として、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、難燃剤などを添加することもできる。
また、前記粘着剤層としては、シリコーン系粘着剤層を使用することができる。前記シリコーン系粘着剤層は、シリコーン系粘着剤を用いることによって形成することができる。
前記シリコーン系粘着剤としては、一般にガム成分及びレジン成分といわれるものを含有するものを使用することができる。また、前記シリコーン系粘着剤としては、前記した成分の他に、架橋剤や金属触媒等を含有するものを使用することができる。
前記ガム成分としては、主に粘着剤のバインダー成分となるものを使用することができ、例えばポリオルガノシリコーン等を使用することができる。前記ポリオルガノシリコーンとしては、過酸化物硬化型と付加硬化型が知られており、いずれも使用することができるが、より一層優れたリワーク性及びエア抜け性と優れた耐衝撃性とを両立するうえで、付加硬化型のポリオルガノシリコーンを含有するものを使用することが好ましい。
前記付加硬化型のポリオルガノシリコーンとしては、例えばケイ素原子に重合性不飽和二重結合が結合した構造(−Si−CH=CH基)を有するポリオルガノシロキサン等を使用することができる。
また、前記付加硬化型のポリオルガノシリコーンとしては、後述する構造(1)〜(4)のいずれかを有するものを使用することができ、下記構造(1)及び(2)を有するものを使用することが好ましい。
付加硬化型のポリオルガノシリコーンとしては、具体的には付加硬化型ジメチルポリシロキサン、付加硬化型ジメチルフェニルポリシロキサン、付加硬化型ポリエチルフェニルシロキサン、付加硬化型ポリメチルフェニルシロキサン等を使用することができる。
前記付加硬化型のポリオルガノシリコーンとしては、フェニル基を有するものを使用することが、リワーク性及びエア抜け性をより一層向上できるため好ましい。また、前記付加硬化型のポリオルガノシリコーンとしては、付加硬化型ジメチルポリシロキサンを使用することが、より一層優れたエア抜け性と、被着体への良好な追従性とを両立しやすいため好ましい。
前記付加硬化型のポリオルガノシリコーンとしては、5万〜100万の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、10万〜50万の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましく、20万〜35万の重量平均分子量を有するものを使用することが、エア抜け性の特に優れた粘着剤層を得るうえでさらに好ましい。
また、前記シリコーン系粘着剤としては、前記した成分の他に、必要に応じて、前記レジン成分を含有するものを使用することができる。
前記レジン成分としては、従来知られるものから適宜選択し使用できるが、比較的低分子量のポリオルガノシリコーンを使用することが好ましく、付加硬化型のポリオルガノシリコーンを使用することがより好ましい。
前記レジン成分として使用可能なポリオルガノシリコーンとしては、例えば下記一般式(5)〜(8)からなる群より選ばれる少なくとも1種を有するものを使用することができ、前記式(5)及び(6)を有するものを使用することが好ましい。前記式(5)と式(6)との比(モル比)は、式(5):式(6)=0.4:1〜1.4:1であることが好ましく、0.6:1〜1.2:1であるものを使用することがより好ましい。
Figure 0006519771
(上記Rは、一価の炭化水素基または水酸基を示す。)
前記レジン成分としてのポリオルガノシリコーンとしては、前記ガム成分として例示したもののうち、好ましくは重量平均分子量が100〜1万、より好ましくは300〜8000、さらに好ましくは3000〜6000のものを使用することができる。
前記ガム成分であるポリオルガノシリコーンと、レジン成分であるポリオルガノシリコーンとの質量比は、100:0〜65:35であることが好ましく、95:5〜70:30であることがより好ましく、93:7〜80:20であることが、より一層優れたエア抜け性、リワーク性、耐衝撃性を高度に両立しやすいため特に好ましい。
また、前記レジン成分と前記ガム成分とは、予め混合されたものを使用してもよい。前記レジンと前記ガム成分と溶剤を予め混合されたものとしては、「X−40−3306」、「X−40−3229」、「X−40−3323」(信越化学工業株式会社製)として市販されているものを使用することができる。
また、前記シリコーン系粘着剤に含まれていてもよい架橋剤としては、前記ガム成分やレジン成分が有する官能基と反応し得る構造を有するものを使用することができ、例えばケイ素原子に水素原子が結合した構造(−Si−H基)を有するシロキサンを含有する架橋剤を使用することができる。
また、前記シリコーン系粘着剤に含まれていてもよい金属触媒としては、例えば元素周期表第10族の有機金属触媒を使用することが好ましく、具体的には白金系触媒を使用することが、反応促進効果に優れるためより好ましい。
前記架橋剤と触媒とは、予め混合されたものを使用してもよく、それらが錯体を形成したものを使用してもよい。
また、前記シリコーン系粘着剤は、前記した成分の他に、塗布作業性等を向上させるうえで、メチルエチルケトンやトルエン等の溶媒を含有してもよい。
前記シリコーン系粘着剤を用いて形成されるシリコーン系粘着剤層としては、そのゲル分率が85質量%〜99質量%であるものを使用することが好ましく、86質量%〜97質量%であるものを使用することがより好ましく、87質量%〜92質量%であるものを使用することが、例えばディスプレイの情報表示部等に対する優れたリワーク性とエア抜け性と、優れた耐衝撃性とを両立した粘着剤層を得るうえでさらに好ましい。
なお、上記ゲル分率は、基材である東洋紡株式会社製ポリエステルフィルム「A4300#100」の片面に、リップコーターを用いてシリコーン系粘着剤を、乾燥後の厚さが30μmになるよう塗工し、140℃で2分乾燥させた後、40℃で48時間養生することによって片面粘着テープを製造し、それをトルエンに浸漬する前後の質量と、以下の式によって算出した値を指す。
ゲル分率(質量%)={(片面粘着テープをトルエンに浸漬した後のシリコーン系粘着剤層の質量)/(片面粘着テープをトルエンに浸漬する前のシリコーン系粘着剤層の質量)}×100
また、前記シリコーン系粘着剤を用いて形成されるシリコーン系粘着剤層としては、その可視光における全光線透過率(JIS K7361)が90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、93%以上であるものを使用することがさらに好ましい。また、前記シリコーン系粘着剤層としては、その可視光におけるヘイズ(JIS K7136)が2%以下であるものを使用することが好ましく、1%以下であるものを使用することがより好ましく、0.8%以下であるものを使用することが透明性の高いハードコートフィルムを得る上で、さらに好ましい。
[実施態様]
本発明のハードコートフィルムは、優れた耐擦傷性を備え、防汚性や曇り防止性等の表面機能を長期間にわたり持続可能であることから、各種用途で使用することができる。なかでも、本発明のハードコートフィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイなどの表面に設置し使用することができる。特に、本発明のハードコートフィルムは、薄型であっても好適な耐擦傷性などの耐久性や優れた防汚性や滑り性を実現できることから、電子手帳、携帯電話、スマートフォン、携帯オーディオプレイヤー、モバイルパソコン、タブレット端末などの小型化や薄型化の要請の高い携帯電子端末のディスプレイを保護する用途で好適に使用することができる。
本発明のハードコートフィルムは、例えば、LCDモジュールや有機ELモジュールなどの情報表示モジュールを保護するために設けられる透明パネルの表面または裏面に貼り付けて使用することができる。
また、本発明のハードコートフィルムは、いわゆるオンセルタイプまたはインセルタイプと称されるタッチパネル機能が搭載された情報表示部の表面に積層し使用することができる。
本発明の情報表示装置としては、例えば本発明のハードコートフィルムが、粘着剤層等を介して、偏光板等の非ガラス部材の表面に積層された構成を有するものが挙げられる。
前記非ガラス部材としては、例えば偏光板が挙げられる。偏光板としては、通常、偏光子の両面に偏光子保護層を積層した一般的なものを使用することができる。
以下に実施例により本発明をより具体的に説明する。
(合成例1:ウレタンアクリレート(A1)の合成)
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル250質量部、ノルボルナンジイソシアネート206質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、空気を吹き込みながら、70℃に昇温した後、ペンタエリスリトールトリアクリレート(以下、「PE3A」と省略。)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、「PE4A」と省略。)との混合物(質量比75/25の混合物)795質量部を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、70℃で3時間、前記反応を継続させ、さらにイソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応させることによって、ウレタンアクリレート(A1)とPE4Aとを含有する酢酸ブチル溶液(不揮発分80質量%、以下、「ウレタンアクリレート(A1)溶液」と省略。)を得た。前記ウレタンアクリレート(A1)の分子量(計算値)は802であった。
(合成例2:ウレタンアクリレート(A2)の合成)
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル254質量部、イソホロンジイソシアネート222質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、70℃に昇温した後、PE3AとPE4Aとの混合物(質量比75/25の混合物)795質量部を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、70℃で3時間、前記反応を継続させ、さらにイソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応させることによって、ウレタンアクリレート(A2)とPE4Aとを含有する酢酸ブチル溶液(不揮発分80質量%、以下、「ウレタンアクリレート(A2)溶液」と省略。)を得た。前記ウレタンアクリレート(A2)の分子量(計算値)は818であった。
(合成例3:ウレタンアクリレート(A3)の合成)
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル254質量部、イソホロンジイソシアネート222質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、70℃に昇温した後、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート369質量部、及び、PE3AとPE4Aとの混合物(質量比75/25の混合物)398質量部を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、70℃で3時間、前記反応を継続させ、さらにイソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応させることによって、ウレタンアクリレート(A3)とPE4Aとを含有する酢酸ブチル溶液(不揮発分80質量%、以下、「ウレタンアクリレート(A3)溶液」と省略。)を得た。前記ウレタンアクリレート(A3)の分子量(計算値)は889であった。
(調製例1:ハードコート剤の調製)
合成例1で得られたウレタンアクリレート(A1)溶液、合成例2で得られたウレタンアクリレート(A2)溶液、合成例3で得られたウレタンアクリレート(A3)溶液、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ジペンタエリスリトールペンタアクリレート=60/40(質量比))、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、シランカップリング剤(「X−12−1050」、一般式(2)中のRとRとRとがメチル基である構造と、一般式(3)中のRが水素原子である構造とを有する化合物を含有する。前記化合物(x1−2)に相当、前記一般式(3)で示される構造に対する前記一般式(2)で示される構造のモル比[一般式(2)で示される構造/一般式(3)で示される構造]=1:5)、シランカップリング剤(「X−12−1048」、一般式(2)中のRとRとRとがメチル基である構造と、一般式(3)中のRが水素原子である構造とを有する化合物を含有する。前記化合物(x1−2)に相当、前記一般式(3)で示される構造に対する前記一般式(2)で示される構造のモル比[一般式(2)で示される構造/一般式(3)で示される構造]=1:1)、シランカップリング剤(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、前記化合物(x1−1)に相当)、シランカップリング剤(3−アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、前記化合物(x1−1)に相当)、酢酸エチル、2−プロパノールを、下記表1〜3に記載の質量部に従い混合することによって、ハードコート剤(1)〜(25)を調製した。
Figure 0006519771
Figure 0006519771
Figure 0006519771
Figure 0006519771
(調製例2:表面層形成用のコーティング剤(1)の調製)
信越化学工業株式会社製「X−71−190」1質量部を3M社製「Novec7200」199質量部で希釈することによって不揮発分0.1質量%のコーティング剤(1)(加水分解性シリル基及びシラノール基を有する化合物を含有)を調製した。
(実施例1)
ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300、厚さ100μm)上に、ワイヤーバーを用いて前記ハードコート剤(1)を塗布し、85℃で2分間乾燥した後、空気雰囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製「MIDN−042−C1」、ランプ:120W/cm、高圧水銀灯)を用いて、照射光量0.25J/cmで紫外線を照射することによって、厚さ10μmのハードコート層(x−1)を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのハードコート層(x−1)の表面に、前記表面層形成用のコーティング剤(1)をワイヤーバー#4を用いて塗布し、85℃で2分間乾燥することで表面層(y−1)を形成して積層フィルムを得た。得られた積層フィルムを、空気雰囲気下60℃の環境で一週間養生させることによって、ハードコート層(x−1)と表面層(y−1)との界面に−Si−O−Si−結合を形成させた。最後に、窒素雰囲気下で積層フィルムの表面層側から照射光量0.25J/cmで紫外線を照射することによって、ハードコートフィルムを作製した。
参考例2
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(2)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−2)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
参考例3
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(3)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−3)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(実施例4)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(4)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−4)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(実施例5)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(5)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−5)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(実施例6)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(6)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−6)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(実施例7)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(7)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−7)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
参考例8
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(8)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−8)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(実施例9)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(9)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−9)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(実施例10)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(10)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−10)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(実施例11)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(11)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−11)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
参考例12
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(12)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−12)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
参考例13
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(13)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−13)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(実施例14)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(14)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−14)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(実施例15)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(15)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−15)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(実施例16)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(16)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−16)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(実施例17)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(17)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−17)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(実施例18)
実施例2と同様の方法で養生前の積層フィルムを形成した後、前記養生前の積層フィルムを、ポリスチレンフィルム(旭化成ケミカルズ社製、OPSフィルム GMタイプ、厚さ20μm)を介して、ロール状に巻き取った。その際、前記表面層形成用のコーティング剤(1)を用いて形成された層の表面に前記ポリスチレンフィルムが接するようにした。
前記ロール状に巻き取ったものを、空気雰囲気下60℃の環境で一週間放置することによって、前記ハードコート層(x−5)と表面層(y−1)との界面で−Si−O−Si−結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(比較例1)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(18)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−18)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(比較例2)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(19)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−19)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(比較例3)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(20)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−20)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(比較例4)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(21)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−21)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(比較例5)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(22)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−22)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(比較例6)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(23)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−23)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(比較例7)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(24)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−24)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(比較例8)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(25)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−25)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(比較例9)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(26)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−26)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(比較例10)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(27)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−27)と表面層(y−1)との界面に結合を形成したハードコートフィルムを作製した。
(比較例11)
ハードコート剤(1)の代わりにハードコート剤(28)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ハードコート層(x−28)と表面層(y−1)との界面に結合を形成していないハードコートフィルムを作製した。
[塑性硬さの測定]
ハードコートフィルムの裏面(ハードコート層及び表面層を有しない面)に、DIC株式会社製の高透明粘着テープ「ZB7010W−15」を貼り合わせ、それをガラス板上に貼り合わせた。
前記ハードコートフィルムを構成する表面層の塑性硬さを、フィッシャースコープHM2000Xyp(フィッシャーインストルメンツ社)を用い、23℃及び50%RHの環境下で稜間角136°のビッカース圧子を1mN荷重にて押し込むことによって測定した。
[水接触角の測定]
協和界面科学株式会社製の自動接触角計「DROMPAMSTER500」を用いて、前記で得られたハードコートフィルムの表面層の表面に精製水3μLを着滴させた後、1秒後の接触角を測定した。なお、表面層を有さないハードコートフィルムの水接触角は、任意の表面の水接触角を、上記と同様の方法で測定した。
本測定における接触角の算出方法は、JIS R3257に記載の試験方法のうち、静滴法にしたがった。
[防汚性の評価]
前記ハードコートフィルムの表面層の表面に、人差し指を、500g荷重をかけた状態で10秒間押し付けた後、その表面を、3波長蛍光灯下で目視観察した。10人のモニターにて評価し下記の基準にて防汚性を判定した。
○:10〜5人が、前記ハードコートフィルムの表面に指紋の付着がほとんどないと評価した。
△:4〜2人が、前記ハードコートフィルムの表面に指紋の付着がほとんどないと評価した。
×:2人未満が、前記ハードコートフィルムの表面に指紋の付着がほとんどないと評価した。
[滑り性の評価方法(動摩擦係数)]
直径10mmのステンレス製の丸棒(重さ約82g)の先端に綿帆布#11を両面粘着テープで固定した摩擦子を作製し、前記ハードコートフィルムの表面層を、速度1000mm/分の速さで摩擦した際の摩擦抵抗値を測定して動摩擦係数を算出した。
[鉛筆硬度の測定]
ハードコートフィルムを10cm角に切りとったものを、その表面層が上になるようにセロハンテープを用いてガラス板に固定した後、その表面層の鉛筆硬度を、JIS K 5600−5−4(1999年版)の規定に基づき、株式会社井元製作所製の塗膜用鉛筆引掻き試験機(荷重:750g 手動式)を用いて測定した。
[耐擦傷性の評価]
ハードコートフィルムの裏面(ハードコート層及び表面層を有しない面)に、DIC株式会社製の高透明粘着テープ「ZB7010W−15」を貼り合わせ、それを透明なガラス板上に貼り合わせた。次に、スチールウール(ボンスター#0000)を荷重500g/cmでハードコートフィルムの表面層に接地させた後、摩擦距離が100mm、摩擦速度が60往復/分となるように3000回摩擦した。耐擦傷性の判定は、当該摩擦箇所を蛍光灯の透過光を利用して目視で観察した結果から、下記の基準にて判定した。
◎:キズが無かった。
○:長さが5mm未満のキズが付いた。
×:長さが5mm以上のキズが付いた。
[防汚耐久性1<摩耗試験後の水接触角に基づく評価>]
前記[耐擦傷性の評価]に使用したハードコートフィルムの摩擦箇所の水接触角を上記[水接触角の測定]の欄に記載した方法と同様の方法で測定し、摩擦後の水接触角を測定した。
[防汚耐久性2<指紋>]
前記[耐擦傷性の評価]に使用したハードコートフィルムの摩擦箇所の防汚性を前記[防汚性の評価]の欄に記載した方法と同様の方法で判定した。
[防汚耐久性の評価3<マジック>]
前記で得られたハードコートフィルムの表面層の表面をマジック(ゼブラ社製マッキ―ケア、黒色)を500g荷重で10往復擦り付け、インクのハジき具合を目視で観察した。また、上記試験箇所をキムワイプで5回拭き取ったあとのインクの拭き取り具合を目視で観察した。判定は表5に記載の基準で判定した。
Figure 0006519771
Figure 0006519771
Figure 0006519771

Figure 0006519771
Figure 0006519771
上記表から明らかなとおり、実施例1〜18の本発明のハードコートフィルムは、防汚性や耐擦傷性に優れ、耐久性にも優れるハードコートフィルムであった。一方、比較例1〜11のハードコートフィルムは、耐擦傷性や防汚耐久性が十分でなかった。

Claims (11)

  1. 基材の少なくとも一方の面にハードコート層(X)と表面層(Y)とが順に積層されたハードコートフィルムであって、
    前記ハードコート層(X)が、加水分解性シリル基またはシラノール基と、ラジカル重合性官能基とを有する化合物(x1)、前記化合物(x1)以外のラジカル重合性化合物(x2)及び重合開始剤を含有するハードコート剤を用いて形成された層であり、
    前記化合物(x1)が前記ラジカル重合性化合物(x2)及び重合開始剤の合計に対して4.49質量%以上含まれ、かつ、前記ハードコートフィルムの前記表面層(Y)側の面の塑性硬さが1000N/mm以上であることを特徴とするハードコートフィルム。
  2. 前記化合物(x1)の加水分解性シリル基またはシラノール基と、前記表面層(Y)の形成に使用された化合物(y1)の官能基とが反応し結合(xy)を形成したものである請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 前記化合物(x1)のラジカル重合性官能基と、前記ラジカル重合性化合物(x2)のラジカル重合性官能基とが重合したものである請求項1または2に記載のハードコートフィルム。
  4. 前記化合物(x1)が、下記一般式(1)で示される化合物(x1−1)、または、下記一般式(2)及び一般式(3)で示される構造を有する化合物(x1−2)を含有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。

    Figure 0006519771
    (一般式(1)中のR、R及びRはそれぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Rは炭素原子数4〜10のアルキレン基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
    Figure 0006519771
    (一般式(2)中のR、R及びRはそれぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、一般式(3)中Rは水素原子またはメチル基を表す。)
  5. 前記化合物(x1−2)は、前記一般式(3)で示される構造に対する前記一般式(2)で示される構造のモル比[前記一般式(2)で示される構造/前記一般式(3)で示される構造]が5/1〜1/5である化合物(x1−2−1)である請求項4に記載のハードコートフィルム。
  6. 前記ラジカル重合性化合物(x2)がウレタン(メタ)アクリレートである請求項1〜5のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
  7. 前記表面層(Y)によって構成される面の水接触角が110°以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
  8. さらに加飾層または粘着剤層を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のハードコートフィルムが積層された情報表示装置。
  10. オンセル型タッチパネル装置またはインセル型タッチパネル装置の情報表示部の表面を構成する非ガラス部材に、請求項1〜8のいずれか1項に記載のハードコートフィルムが貼付された構成を有する情報表示装置。
  11. 前記非ガラス部材が偏光板である請求項10に記載の情報表示装置。
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