しかしながら、図15に示すような自動販売機の断熱構造では、平面視して2箇所で折曲させて平面視コ字状に形成した真空断熱材71、72、73を用いている構造であるため、断熱室の幅が少しでも異なると、異なる形状の真空断熱材71、72、73を個別に製造しなければならず、製造コストが増大する難点があった。このため、例えば、図16に示すように、真空断熱材71を背面真空断熱部材71aと、左側面真空断熱部材71bと、右側面真空断熱部材71cとに分けて、背面真空断熱部材71aの幅方向両端において厚肉部による折角部71dを形成し、この折角部71dに左右側面真空断熱部材71b、71cを当接させて真空断熱部材71を形成することで、さまざまな寸法の自動販売機に適合する断熱仕切壁を形成することが考えられる。しかしこの場合は、背面真空断熱部材71aの折角部71dと左右側面真空断熱部材71b、71cとの接合部分から熱漏洩するおそれがある。また、真空断熱材の周縁部は外装材からの熱の回り込みがあり中央部よりも熱断熱性能が弱いため、接合部周囲からの熱漏洩を十分には減少させることができないという問題も生じる。また、断熱庫の側壁部(断熱庫の背面部を含む)は、真空断熱材は厚み方向に1枚のものが用いられているため、例えば折曲部を薄肉に形成した真空断熱材を用いると、この部分からの熱漏洩が比較的大きくなる短所もあった。
本発明は上記課題を解決するもので、良好な断熱性能を維持できると同時に、製造コストの増大も最小限に抑えることができる自動販売機を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、自動販売機本体に断熱庫が設けられ、前記断熱庫が複数の断熱室に分割され、各断熱室の両側面と背面とが、前記断熱庫の断熱側壁と前記断熱庫内に設けられた断熱仕切壁とによって囲まれている自動販売機であって、前記断熱側壁は、複数の真空断熱材が、その一部で厚み方向に二重になるように重ねられていることを特徴とする。
この構成により、前記断熱側壁は、複数の真空断熱材が、その一部で厚み方向に二重になるように重ねられているので、例えば、真空断熱材の端部同士を側方に接合した箇所や真空断熱材の周縁部などの、熱断熱性能が弱い部分を、他の真空断熱材により二重に重ねて配設することで、このような部分からの熱漏洩を最小限に抑えることが可能となる。
また、本発明の前記断熱仕切壁は、断熱庫の背面に配設されている断熱側壁に対して隙間なく配設した断熱材により構成され、前記真空断熱材が重ねられていない部分に、他の板状の断熱材を配設して構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、真空断熱材同士が重ねられていない箇所では、真空断熱材と板状の断熱材とが厚み方向に二重に重ねて配設されているため、真空断熱材の重なり部分で一方の真空断熱材が厚み方向に変形して損傷したり、変形によって幅方向のずれが生じて端部の接合部に隙間が生じたりすることを防止できる。また、幅や奥行が異なる断熱室に対しても、数種類に共通化(規格化)された複数の真空断熱材と、これらの隙間を埋めるような形状の板状の断熱材を用いて、断熱側壁を構成でき、ひいては、製造コストを抑えることが可能となる。
また、本発明は、断熱庫の断熱側壁に配置される真空断熱材の少なくとも一部が、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材であり、折曲部に他の真空断熱材が重ねられていることを特徴とする。この構成により、折曲部を有する真空断熱材が配置される断熱室の角部は隙間がなく断熱されて構成されるので、角部からの熱漏洩を最小限に抑えることができる。また、例え真空断熱材の折曲部が、この真空断熱材の他の部分より断熱性能が低い場合でも、他の真空断熱材が重ねられているため、折曲部やこの近傍箇所からの熱漏洩を最小限に抑えることができるとともに、折曲部が変形するなどして損傷することも防止できる。
また、本発明は、前記断熱仕切壁が、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材の、仕切用平板部により構成されていることを特徴とする。この構成により、前記断熱側壁と断熱仕切壁との接続部分が、平面視L字形状の真空断熱材の折曲部により、隙間がなく断熱されて構成されるので、前記接続部分やこの近傍箇所を介しての熱漏洩を最小限に抑えることができる。また、仕切壁を構成する他の部材が不要で、製造コストを抑えることができる。
また、本発明は、少なくとも一部が折曲部を有する複数の真空断熱材と、真空断熱材とは異なる平板状の複数の断熱材とを、組み合わせることにより、前記断熱側壁と断熱仕切壁とが構成されていることを特徴とする。この構成により、幅や奥行が異なる断熱室に対しても、少なくとも一部が折曲部を有する複数の真空断熱材と、これらの隙間を埋めるような形状の板状の断熱材を用いて、断熱側壁を構成できる。すなわち、断熱側壁と断熱仕切壁は、平板状あるいは折曲部を有した真空断熱材と、平板状の複数の断熱材とを組み合わせるだけの簡単な構成部品で組み立てることができるため、良好に断熱できると同時に製造コストを抑えることが可能となる。
また、本発明は、前記断熱庫の断熱側壁において、外箱の内側に1段目の断熱材が配置され、この内側に2段目の断熱材が配置され、2段目の断熱材の継ぎ目にテープを貼って固定されていることを特徴とする。この構成により、断熱材同士の接着などを行うことなく、断熱側壁を容易に組み立てることができるとともに、分解することも容易に行うことができる。
また、本発明は、平板状の真空断熱材または真空断熱材を包含した壁体同士を直交する形で突き合わせて形成される角部に、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材を重ね合わせたことを特徴とする。この構成により、平板状の真空断熱材または真空断熱材を包含した壁体同士を直交する形で突き合わせて形成される角部からの熱漏洩を最小限に抑えることが可能となる。
また、本発明は、前記壁体に包含される真空断熱材は、突き合わせ面に臨む位置に配置されていることを特徴とする。この構成により、平板状の真空断熱材または真空断熱材を包含した壁体同士を直交する形で突き合わせて形成される角部からの熱漏洩をさらに抑えることが可能となる。
また、本発明は、複数の真空断熱材における少なくとも一部の真空断熱材同士が同じ形状に形成されていることを特徴とする。この構成により、真空断熱材を共通化できて製造コストを抑えることができる。
本発明によれば、前記断熱側壁を、複数の真空断熱材が、その一部で厚み方向に二重になるように重ねて構成することにより、例えば、真空断熱材の端部同士を側方に接合した箇所や真空断熱材の周縁部などの、熱断熱性能が弱い部分を、他の真空断熱材により二重に重ねて配設することで、このような部分からの熱漏洩を最小限に抑えることが可能となり、断熱性能を向上させることができる。
また、前記断熱仕切壁を、断熱庫の背面に配設されている断熱側壁に対して隙間なく配設した断熱材により構成し、前記真空断熱材が重ねられていない部分に、他の板状の断熱材を配設することにより、真空断熱材同士が重ねられていない箇所では、真空断熱材と板状の断熱材とが厚み方向に二重に重ねて配設されているため、真空断熱材の重なり部分で一方の真空断熱材が厚み方向に変形して損傷したり、変形によって幅方向のずれが生じて端部の接合部に隙間が生じたりすることを防止できる。また、幅や奥行が異なる断熱室に対しても、数種類に共通化(規格化)された複数の真空断熱材と、これらの隙間を埋めるような形状の板状の断熱材を用いて、断熱側壁を構成でき、ひいては、製造コストを抑えることが可能となる。
また、断熱庫の断熱側壁に配置される真空断熱材の少なくとも一部を、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材で構成し、折曲部に他の真空断熱材を重ねることにより、例え真空断熱材の折曲部が、この真空断熱材の他の部分より断熱性能が低い場合でも、他の真空断熱材が重ねられているため、折曲部やこの近傍箇所からの熱漏洩を最小限に抑えることができて断熱性能を向上できるとともに、折曲部が変形するなどして損傷することも防止できるので、信頼性が向上する。
また、前記断熱仕切壁を、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材の、仕切用平板部により構成することにより、前記断熱側壁と断熱仕切壁との接続部分やこの近傍箇所を介しての熱漏洩を最小限に抑えることができ、また、仕切壁を構成する他の部材が不要で、製造コストを抑えることができる。
また、本発明は、少なくとも一部が折曲部を有する複数の真空断熱材と、真空断熱材とは異なる平板状の複数の断熱材とを、組み合わせることにより、前記断熱側壁と断熱仕切壁とが構成されていることを特徴とする。この構成により、幅や奥行が異なる断熱室に対しても、少なくとも一部が折曲部を有する複数の真空断熱材と、これらの隙間を埋めるような形状の板状の断熱材を用いて、断熱側壁を構成できる。すなわち、断熱側壁と断熱仕切壁は、平板状あるいは折曲部を有した真空断熱材と、平板状の複数の断熱材とを組み合わせるだけの簡単な構成部品で組み立てることができるため、良好に断熱できると同時に製造コストを抑えることが可能となる。
また、外箱の内側に1段目の断熱材を配置させ、この内側に2段目の断熱材を配置させ、2段目の断熱材の継ぎ目にテープを貼って固定することにより、断熱材同士の接着などを行うことなく、断熱側壁を容易に組み立てることができるとともに、分解することも容易に行うことができる。
また、本発明は、平板状の真空断熱材または真空断熱材を包含した壁体同士を直交する形で突き合わせて形成される角部に、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材を重ね合わせたり、前記壁体に包含される真空断熱材を、突き合わせ面に臨む位置に配置させたりすることにより、角部からの熱漏洩を最小限に抑えることが可能となり、断熱性能をさらに向上させることができる。
また、複数の真空断熱材における少なくとも一部の真空断熱材同士が同じ形状に形成することで、真空断熱材を共通化できて製造コストを抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る自動販売機を、図面に基づき説明する。なお、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではない。
図1、図2に示すように、この自動販売機1は、商品2を収納する商品収納搬送路3と、この商品収納搬送路3の下端の商品2を払い出す商品払出機構4とを備えた商品収納装置5が、自動販売機本体6内に配設されている。自動販売機1は、外扉(前面扉とも称せられる)7が、自動販売機本体6の前面開口部を開閉可能な状態で自動販売機本体6に支持されている。また、自動販売機本体6には、商品収納装置5が左右方向に複数列収納されてなる断熱庫8が配設され、この断熱庫8にも前面開口部が設けられて、この前面開口部が、断熱性を有する内扉9により開閉自在とされている。そして、断熱庫8の内部は、上下および奥行方向(前後方向)に延びる断熱性を有する断熱仕切壁10によって、左右に分割されて複数(この実施の形態では2つ)の断熱室12(12A、12B)が設けられている。
また、自動販売機本体2の内部における断熱庫8の下方には外気が自由に出入可能とされた機械室(いわゆる庫外空間)11が設けられており、この機械室11には冷媒圧縮機や凝縮機、換気ファンなどからなる冷凍サイクルの庫外側機器が備えられている。そして、この冷凍サイクルの動作によって各断熱室12内に配設された蒸発機(庫内側機器)やヒータなどにより、各断熱室12内の空気を冷却または加熱して、各断熱室12内の温度を調整するよう構成されている。
図3に簡略的に示すように、断熱庫8は、左右の側面部8a、8bと、背面部8cと、天面部8dと、底面部8eとからなるが、断熱庫8の天面部8dや底面部8eは、大型で矩形の1枚の真空断熱材13、14がそれぞれ内部に配設されている。また、この実施の形態では、内扉9が、商品2を商品収納装置5に補充する際に開けられる補充開口部5a(図1参照)を開閉する上部内扉9aと、商品補充時でも開けなくて済む下部内扉9bとに上下に2分割されており、上部内扉9aとの下部内扉9bとのそれぞれに、大型で矩形の1枚の真空断熱材15、16がそれぞれ内部に配設されている。
一方、断熱庫8の左右の側面部8a、8bおよび背面部8cが断熱庫8の断熱側壁をなしており、この断熱側壁と前記断熱仕切壁10とにより、各断熱室12の両側面と背面とを構成して断熱室12を側方から囲んでいるが、特に、図4などに示すように、前記断熱側壁は、内部が真空状態に密閉された複数の真空断熱材20(20A、20B、20C・・・)が、その一部で厚み方向に二重になるように重ねられ、前記真空断熱材20(20A、20B、20C・・・)が重ねられていない部分に、板状の断熱材、例えば真空断熱材ではない板状の断熱材(非真空断熱材)21(21A、21B、21C・・・)を配設して構成されている。すなわち、前記断熱側壁は、真空断熱材20(20A、20B、20C・・・)と断熱材(非真空断熱材)21(21A、21B、21C・・・)とが組み合わされて、殆どの箇所で厚み方向に二重になるように配設されている。なお、真空断熱材ではない板状の断熱材(非真空断熱材)21(21A、21B、21C・・・)は、例えば発泡ウレタンの表面にポリエステルなどの樹脂製のフィルムが覆うように貼り付けられて構成される。
なお、真空断熱材20が重ねられていない部分に配置される板状の断熱材としては板状の真空断熱材等を用いてもよい。しかし、非真空断熱材であっても真空断熱材20と重ねられるため、断熱側壁の断熱性能としては劣ることがなく、材料コストの面でも有利となる。また、図4など(図4〜図6、図8〜図12)においては、真空断熱材20(20A、20B、20C・・・、25A・・・)や真空断熱材ではない板状の断熱材(非真空断熱材)21(21A、21B、21C・・・)の配設状態が理解し易いように、これらの部材の厚みを誇張して若干大きく示している。また、図4(a)は、断熱庫8の構造を概略的に示しており、また、図4(b)は、これに加えて、内側の断熱材(後述する2段目の断熱材)同士を固定するためのテープ31や、断熱側壁の前端部を保持する固定枠体32や、後述する断熱仕切壁10の前端部を保持する固定枠体33を配設した状態を簡略的に示している。
図4(a)、(b)は断熱庫8の一例を示す平面断面図である。図4(a)、(b)に示す断熱庫8の場合には、断熱庫8の断熱側壁と断熱仕切壁10とが、平板状の3枚の真空断熱材20A〜20Cと、平面視L字形状(すなわち折曲部を有する形状)の3枚の真空断熱材20D〜20Fと、平板状の5枚の断熱材(非真空断熱材)21A〜21Eと、を組み合わせて構成されている。この実施の形態では、後述する、平板状の3枚の真空断熱材20A〜20C、平面視L字形状の3枚の真空断熱材20D〜20Fが同形状のもので共通化された構成とされている。
詳しくは、断熱仕切壁10が、平面視L字形状の真空断熱材20Dの長辺部からなる仕切用平板部で構成されている。また、断熱庫8の断熱側壁が、断熱庫8の左側面部8aの内側に配設される平板状の真空断熱材20Aと、断熱庫8の左側面部8baの外側に配設される平板状の断熱材(非真空断熱材)21Aおよび平面視L字形状の真空断熱材20Eの短辺部と、左側の断熱室12Aの背面部内側に配設される断熱材(非真空断熱材)21Bおよび平面視L字形状の真空断熱材20Dの短辺部と、左側の断熱室12Aの背面部外側に配設される平面視L字形状の真空断熱材20Eの長辺部と、右側の断熱室12Bの背面部内側に配設される平板状の真空断熱材20Cおよび平板状の断熱材(非真空断熱材)21Dと、右側の断熱室12Bの背面部外側に配設される平面視L字形状の真空断熱材20Eの長辺部および平板状の断熱材(非真空断熱材)21Cおよび平面視L字形状の真空断熱材20Fの長辺部と、右側の断熱室12Bの右側面部8bの内側に配設される平板状の真空断熱材20Bと、右側の断熱室12Bの右側面部8bの外側に配設される平面視L字形状の真空断熱材20Fの短片部および平板状の断熱材(非真空断熱材)21Eとにより構成されている。
そして、平面視L字形状の真空断熱材20Dの折曲部20Dsが、平面視L字形状の真空断熱材20Eの中央部と重ねられた状態で配設され、平面視L字形状の真空断熱材20Eの折曲部20Esに、真空断熱材20Aの後部が突き合わされた状態(重ねられた状態)で配設され、平面視L字形状の真空断熱材20Fの折曲部20Fsに、真空断熱材20Bの後部が突き合わされた状態(重ねられた状態)で配設されている。
そして、断熱庫8の断熱側壁における、左側の断熱室12Aの後部左側角部に対応する箇所において、平面視L字形状の真空断熱材20Eにおける短辺部と平板状の真空断熱材20Aの後部とが厚み方向に重ねられて、左側の断熱室12Aの後部左側角部を、これらの真空断熱材20A、20Eにより二重に覆っている。
また、断熱庫8の断熱側壁における、左側の断熱室12Aの後部右側角部に対応する箇所において、平面視L字形状の真空断熱材20Dにおける短辺部と平面視L字形状の真空断熱材20Eの中央部とが厚み方向に重ねられて、左側の断熱室12Aの後部右側角部を、これらの真空断熱材20D、20Eにより二重に覆っている。
また、断熱庫8の断熱側壁における、右側の断熱室12Bの後部右側角部に対応する箇所において、平板状の真空断熱材20Bの後部と平面視L字形状の真空断熱材20Fの短辺部とが厚み方向に重ねられて、右側の断熱室12Bの後部右側角部を、これらの真空断熱材20B、20Fにより二重に覆っている。
また、断熱庫8の断熱側壁の背面部8cにおいて、平板状の真空断熱材20Cの左側部と平面視L字形状の真空断熱材20Eとの長辺部とが厚み方向に重ねられ、平板状の真空断熱材20Cの右側部と平面視L字形状の真空断熱材20Fの左側部とが厚み方向に重ねられて配設されている。
また、断熱庫8の断熱側壁において、真空断熱材同士が厚み方向に重ねられていない箇所では、断熱材(非真空断熱材)21A〜21Eが密接した状態で配設されている。
なお、図3や図4(a),(b)などには図示していないが、断熱庫8の底面部8e以外の外側は複数枚の金属板からなる箱型の外殻部としての外箱が設けられ、この外箱の内側に、前記断熱側壁(側面部8a、8b、背面部8c)および天面部8dが密着された状態で配設されている。具体的には、外箱の内側に1段目の断熱材である、断熱材(非真空断熱材)21A、真空断熱材20E、断熱材(非真空断熱材)21C、真空断熱材20F、断熱材(非真空断熱材)21Eがまず配設され、この後に、この内側に2段目である、真空断熱材20A、断熱材(非真空断熱材)21B、真空断熱材20Dの短辺部、真空断熱材20C、断熱材(非真空断熱材)21D、真空断熱材20Bが配置される。そして、図4(b)に示すように、2段目の断熱材の継ぎ目(すなわち、真空断熱材20Aの後端部と断熱材(非真空断熱材)21Bの左端部との継ぎ目、断熱材(非真空断熱材)21Bの右端部と真空断熱材20Dの短辺部の左端部との継ぎ目、真空断熱材20Dの長辺部の後端部と真空断熱材20Cの左端部との継ぎ目、真空断熱材20Cの右端部と断熱材(非真空断熱材)21Dの左端部との継ぎ目、および、断熱材(非真空断熱材)21Dの右端部と真空断熱材20Bの後端部との継ぎ目)に、耐熱性や耐湿性を有するテープ31をそれぞれ貼って固定している。また、断熱側壁の左側前端部を、断熱材(非真空断熱材)21Aの前端部と真空断熱材20Aの前端部とが密接した状態で、固定枠体32により保持させて固定し、断熱側壁の右側前端部を、断熱材(非真空断熱材)21Eの前端部と真空断熱材20Bの前端部とが密接した状態で、固定枠体32により保持させて固定し、断熱仕切壁10の前端部(真空断熱材20Dの長辺部の前端部)を固定枠体33により保持して固定している。
この構成によれば、断熱側壁と断熱仕切壁との接続部分が、平面視L字形状の真空断熱材20Dの折曲部20Dsにより、隙間がなく断熱されて構成されているので、前記接続部分やこの近傍箇所を介しての熱漏洩を最小限に抑えることができる。さらに、断熱庫8の断熱側壁における、左側の断熱室12Aの後部右側角部に対応する箇所だけでなく、左側の断熱室12Aの後部左側角部に対応する箇所や、右側の断熱室12Bの後部右側角部に対応する箇所においても、真空断熱材20(20A、20E、20B、20F)により二重に覆っているので、このような、断熱室12(12A、12B)の角部からの熱漏洩を極めて低減することができる。
また、図15に示すような、平面視して2箇所で折曲させた平面視コ字状に形成した特殊な形状の真空断熱材71〜73を用いなくても済んで、幅や奥行が異なる断熱室に対しても、数種類に共通化(規格化)された複数の真空断熱材20A〜20C、20D〜20Fと、これらの隙間を埋めるような形状の板状の断熱材(非真空断熱材)21A〜21Eを用いて、断熱側壁を構成でき、ひいては、製造コストを抑えることが可能となる。この実施の形態では、平板状の3枚の真空断熱材20A〜20C、平面視L字形状の3枚の真空断熱材20D〜20Fが同形状のもので共通化されているため、その分だけ、真空断熱材20A〜20Fの1枚当たりの製造コストを低減できる。また、共通化した真空断熱材20A〜20C、20D〜20Fを設けることにより、寸法の異なる真空断熱材20を誤って配設する可能性を低減できて信頼性が向上するとともに、組付け時の作業能率が向上する利点もある。
また、この実施の形態では、断熱庫8の断熱側壁の背面部8cに配置される板状の断熱材(非真空断熱材)21B、21Dの幅寸法を調整することにより、断熱室12Aの幅が異なっている場合でも同じ真空断熱材20を用いて対応可能であり、これによっても、製造コストの低減を図ることができる。
また、平面視L字形状の真空断熱材20D〜20Fの折曲部20Ds〜20Fsを含む短辺部には、他の真空断熱材20E、20A、20Bが隙間なく重ねられているので、極めて良好な断熱性を得ることができ、例え、真空断熱材20の折曲部が、折曲し易いように若干薄肉状とされるなどして、この真空断熱材20の他の部分より断熱性能が低い場合でも、折曲部やこの近傍箇所からの熱漏洩を極めて最小限に抑えることができるとともに、折曲部が変形するなどして損傷することも防止できて信頼性が向上する。
また、断熱庫8の断熱側壁(断熱庫8の側面部8a、8bおよび背面部8c)の大部分の箇所が、真空断熱材20A〜20F同士または、真空断熱材20A〜20Fと平板状の断熱材(非真空断熱材)21A〜21Eとを厚み方向に二重に重ねて配設されているため、真空断熱材20A〜20Fが厚み方向に変形して損傷することも防止されるとともに、真空断熱材20A〜20Fが断熱材(非真空断熱材)21A〜21Eにより保護され、これによっても信頼性が向上する。
また、図4(a)に示す自動販売機の断熱庫8では、断熱庫8の断熱側壁における、右側の断熱室12Bの背面部の中央箇所に対応する箇所で、平板状の真空断熱材20Cの右側部と平面視L字形状の真空断熱材20Fの長辺部とが厚み方向に重ねられているので、断熱室12Bの背面部の中央箇所からの熱漏洩も極めて良好に抑えることができる利点がある。
また、図5は他の実施の形態に係る自動販売機の断熱庫8の例を示すもので、図4に示す断熱庫8よりも右側の断熱室12Bの幅が小さく形成されている。この実施の形態においても、断熱側壁は、複数の真空断熱材20A、20B、20D〜20Fが、その一部で厚み方向に二重になるように重ねられ、前記真空断熱材20A、20B、20D〜20Fが重ねられていない部分に、真空断熱材ではない板状の断熱材(非真空断熱材)21A、21B、21E,21Fを配設することにより、構成されている。
この図5に示す断熱庫8の場合には、断熱庫8の断熱側壁と断熱仕切壁10とが、平板状の2枚の真空断熱材20A、20Bと、平面視L字形状(すなわち折曲部を有する形状)の3枚の真空断熱材20D、20E、20Fと、平板状の4枚の断熱材(非真空断熱材)21A、21B、21E,21Fと、を組み合わせて構成されている。そして、この実施の形態では、平板状の2枚の真空断熱材20A、20Bが同形状のもので共通化され、平面視L字形状の3枚の真空断熱材20D、20E、20F同士も同形状のもので共通化されている。
詳しくは、断熱仕切壁10が、平面視L字形状の真空断熱材20Dにおける長辺部からなる仕切用平板部で構成されている。また、断熱庫8の断熱側壁(断熱庫8の左右の側面部8a、8bおよび背面部8c)が、左側の断熱室12Aの左側面部8aの内側に配設される平板状の真空断熱材20Aと、左側の断熱室12Aの左側面部8aの外側に配設される平板状の断熱材(非真空断熱材)21Aおよび平面視L字形状の真空断熱材20Eの短辺部と、左側の断熱室12Aの背面部内側に配設される平板状の断熱材(非真空断熱材)21Bおよび平面視L字形状の真空断熱材20Dの短辺部と、左側の断熱室12Aの背面部外側に配設される平面視L字形状の真空断熱材20Eの長辺部と、右側の断熱室12Bの背面部内側に配設される平板状の断熱材(非真空断熱材)21Fと、右側の断熱室12Bの背面部外側に配設される平面視L字形状の真空断熱材20Eの長辺部および平面視L字形状の真空断熱材20Fの長辺部と、右側の断熱室12Bの右側面部8bの内側に配設される平板状の真空断熱材20Bと、右側の断熱室12Bの右側面部8bの外側に配設される平面視L字形状の真空断熱材20Fの短辺部および平板状の断熱材(非真空断熱材)21Eとにより構成されている。
そして、この実施の形態では、図5に示すように、断熱庫8の断熱側壁における、左側の断熱室12Aの後部左側角部に対応する箇所において、平面視L字形状の真空断熱材20Eの短辺部と、平板状の真空断熱材20Aの後部とが、厚み方向に重ねられて、左側の断熱室12Aの後部左側角部を、これらの真空断熱材20E、20Aにより二重に覆っている。また、断熱庫8の断熱側壁における、左側の断熱室12Aの後部右側角部に対応する箇所において、平面視L字形状の真空断熱材20Dの短辺部と、平板状の真空断熱材20Eの中央部とが、厚み方向に重ねられて、左側の断熱室12Aの後部右側角部を、これらの真空断熱材20D、20Eにより二重に覆っている。また、断熱庫8の断熱側壁における、右側の断熱室12Bの後部右側角部に対応する箇所において、平板状の真空断熱材20Bの後部と平面視L字形状の真空断熱材20Fの短辺部と、が厚み方向に重ねられて、右側の断熱室12Bの後部右側角部を、これらの真空断熱材20B、20Fにより二重に覆っている。
この実施の形態によれば、断熱側壁と断熱仕切壁との接続部分が、平面視L字形状の真空断熱材20Dの折曲部により、隙間がなく断熱されて構成されているので、前記接続部分やこの近傍箇所を介しての熱漏洩を最小限に抑えることができる。さらに、断熱庫8の断熱側壁における、左側の断熱室12Aの後部左側角部および後部右側角部に対応する箇所や、右側の断熱室12Bの後部右側角部に対応する箇所において、真空断熱材20(20A、20B、20D〜20F)により二重に覆っているので、このような、断熱室12(12A、12B)の角部からの熱漏洩を極めて低減することができる。
また、この実施の形態によれば、平板状の2枚の真空断熱材20A、20Bと平面視L字形状の3枚の真空断熱材20D、20E、20Fが、それぞれ同形状のもので共通化されているため、これらの真空断熱材20の製造コストも低減することができる。また、共通化した平板状の2枚の真空断熱材20A、20Bおよび平面視L字形状の3枚の真空断熱材20D、20E、20Fを設けることにより、寸法の異なる真空断熱材20を誤って配設する可能性を低減できて信頼性が向上するとともに、組付け時の作業能率が向上する。
さらに、図6は他の実施の形態に係る自動販売機の断熱庫8を示すもので、この断熱庫8は、断熱仕切壁10に平面視L字形状の真空断熱材20Sの長辺部からなる仕切用平板部で構成し、左右の側面部8a、8bおよび背面部8cの一部に従来から用いられている発泡ウレタン等で形成された厚い板状の厚板断熱部材で構成している。
詳しくは、断熱仕切壁10が、平面視L字形状の真空断熱材20Pの長辺部からなる仕切用平板部で構成されている。また、断熱庫8の断熱側壁が、左側の断熱室12Aの背面部において、背面部内側に配設される平板状の真空断熱材20Qと、背面部外側に配設される平面視L字形状の真空断熱材20Pの短辺部および平板状の断熱材(非真空断熱材)21Pとにより構成され、断熱庫8の左側面部8aおよび右側の断熱室12Bの背面部および断熱庫8の右側面部8bに厚板断熱部材22(22A、22B、22C)を配設している。厚板断熱部材22A、22B、22Cは、真空断熱材20R、20S、20Tの周囲に発泡ウレタン等を充填して板状に形成したものである。
この構成によれば、断熱側壁と断熱仕切壁との接続部分において、上記実施の形態と同様な作用効果を得られる。
また、上記実施の形態では、何れも断熱室12が左右の2室である場合を述べたが、これに限るものではなく、例えば、図7、図8に示すように、断熱室12としてさらに左右の断熱室の間に中央の断熱室12Cが設けられる場合でも同様の作用効果を得ることが可能である。この場合においては、例えば、中央の断熱室12Cと右側の断熱室12Bとを仕切るように平面視L字形状の真空断熱材20Gを設けてもよく、また、これに代えて平板状の真空断熱材を、断熱庫8の背面に配設した断熱材に隙間なく密接するように配設してもよい。また、上記の実施の形態では、断熱室12(12A、12B、12C)同士を仕切る断熱仕切壁10として何れの場合も真空断熱材20(20D、20G、20P)を用いた場合を述べたが、これに限るものではなく、例えば図9に示すように、断熱仕切壁10として発泡断熱材23(23A、23B)等で形成した真空でない断熱材(非真空断熱材)や真空断熱材を内包した断熱材等を用いて、この断熱材を、断熱庫8の背面に配設した断熱材に隙間なく密接するように配設してもよい。
また、上記実施の形態では、何れも断熱側壁の全体が、真空断熱材や断熱材(非真空断熱材)により厚み方向に二重になるように重ねられている場合を述べたが、これに限るものではなく、断熱側壁の一部だけが、真空断熱材や断熱材(非真空断熱材)により厚み方向に二重になるように重ねられていてもよい。例えば、図10に示すように、断熱庫8の背面部8cを形成する平板状の断熱真空材24Aに、左右の側面部8a、8bをなす平板状の真空断熱材24B、24Cの後端部や、断熱仕切壁をなす平板状の断熱真空材24D、24Dを直交する形で突き合わせるように配設し、平板状の真空断熱材同士が突き合わせて形成される角部に、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材25A〜25Dを重ね合わせて配設してもよい。
なお、この場合に、図10に示すように、平板状の真空断熱材同士が突き合わせて形成される角部の内側に、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材25A〜25Dを重ね合わせて配設してもよいが、これに限るものではなく、図11(a)に示すように、平板状の真空断熱材同士が突き合わせて形成される角部の外側に、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材25A〜25Dを重ね合わせて配設したり、平板状の真空断熱材同士が突き合わせて形成される角部の、一方の外側と他方の内側とに位置するように、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材25A〜25Dを重ね合わせて配設したりしてもよい。
また、図12に示すように、断熱庫8として、内側に真空断熱材を包含した厚板断熱部材26(26A〜26E)からなる壁体同士を直交する形で突き合わせ、これらの壁体により形成される角部に、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材25A〜25Dを重ね合わせて配設してもよい。図12に示す場合では、断熱側壁と断熱仕切壁とをなす厚板断熱部材26A〜26Eが、片面に真空断熱材26a〜26eが配設され、これらの周囲に発泡ウレタン等を充填して板状に形成したもので構成している。そして、厚板断熱部材26(26A〜26E)からなる壁体に包含される真空断熱材26a〜26eが、突き合わせ面に臨む位置に配置されており、角部に、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材25A〜25Dが重ね合わせて配設されている。
このような構成によれば、平板状の真空断熱材24A〜24Eまたは真空断熱材26a〜26eを包含した壁体(厚板断熱部材26(26A〜26E))同士を直交する形で突き合わせて形成される角部に、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材25A〜25Dを重ね合わせているので、真空断熱材24A〜24E、26a〜26e同士を突き合わさせた角部からの熱漏洩が、平面視L字形状で折曲部を有する真空断熱材25A〜25Dによって最小限に抑えることが可能となり、断熱性能をさらに向上させることができる。
なお、上記実施の形態に用いる真空断熱材20(20A〜20T)、24A〜24E、26a〜26eとしては、例えば、ガラス繊維等の熱伝導率が低い材料からなる芯材に、アルミ箔等からなるフィルムで被包して脱気密封した板状体のものを用いればよいが、これに限るものではない。