JP2015117666A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】最大リフト量を最小値や最大値に変更する際、カムが目標回転位相を超えて過度に回動してしまうことを抑えることのできる内燃機関の可変動弁装置を提供する。【解決手段】可変動弁装置は、内燃機関に設けられた機関バルブの最大リフト量を変更する可変機構部と、可変機構部を作動させるコントロールシャフトと、カム径が次第に変化することによりコントロールシャフトを軸方向に移動させるカム530と、カム530を回動させるモータとを備えており、カム530の回転位相を制御することにより最大リフト量の可変制御を行う。カム530のカムプロファイルとして、最大リフト量を可変制御するときに使用する制御領域と、この制御領域に隣接して設けられており最大リフト量が増大する増大領域とを設ける。【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関の可変動弁装置に関する。
例えば特許文献1に記載されているように、吸気バルブや排気バルブといった機関バルブの最大リフト量を機関運転状態に応じて変更する可変動弁装置が知られている。
この特許文献1に記載の可変動弁装置は、内燃機関の最大リフト量を変更する可変機構部(同文献における仲介駆動機構)と、可変機構部を作動させるコントロールシャフトと、カム径が次第に変化することによりコントロールシャフトを軸方向に移動させる勾玉状のカムと、カムを回動させるモータとを備えている。そして、カムの回転位相を制御することにより最大リフト量の可変制御を行うようにしている。
特開2004−339951号公報
ところで、上述したようなカムを使って最大リフト量を変更する場合には、当該カムのカムプロファイルにおいて、最大リフト量を可変制御するときに使用する制御領域、つまり最大リフト量の目標値が設定される領域が設けられており、そうした制御領域内のカムプロファイルを使って最大リフト量の可変制御が行われる。
ここで、最大リフト量を制御領域内において減少させて最小値へと変化させる場合、最小値に対応する目標回転位相を超えてカムが過度に回動してしまうおそれがある。同様に、最大リフト量を制御領域内において増大させて最大値へと変化させる場合にも、最大値に対応する目標回転位相を超えてカムが過度に回動してしまうおそれもある。このようにしてカムが過度に回動してしまうと、例えばカムの回転範囲を機械的に規制するストッパ機構が損傷したりするおそれがある。
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、最大リフト量を最小値や最大値に変更する際、カムが目標回転位相を超えて過度に回動してしまうことを抑えることのできる内燃機関の可変動弁装置を提供することにある。
上記課題を解決する内燃機関の可変動弁装置は、内燃機関に設けられた機関バルブの最大リフト量を変更する可変機構部と、可変機構部を作動させるコントロールシャフトと、カム径が次第に変化することによりコントロールシャフトを軸方向に移動させるカムと、カムを回動させるモータとを備えており、カムの回転位相を制御することにより最大リフト量の可変制御を行う。そして、上記カムのカムプロファイルには、最大リフト量を可変制御するときに使用する制御領域と、制御領域に隣接して設けられて最大リフト量が増大する増大領域とが設けられている。
同構成によれば、最大リフト量を最小値と最大値との間で変化させるときには、カムのカムプロファイルにおいて上記の制御領域が使用される。
ここで、上記コントロールシャフトには、機関バルブを付勢するバルブスプリングの反力に起因して軸方向の力(以下、軸力という)が作用する。こうした軸力は、最大リフト量が増大してバルブスプリングの圧縮量が多くなるほど増大し、最大リフト量が増大する方向にカムが回転するときには、そのカムの回転を妨げるブレーキ力として作用する。
そこで、同構成では、カムのカムプロファイルとして、上述した制御領域に隣接して設けられており最大リフト量が増大する増大領域を設けている。そのため、そうした増大領域を、制御領域内において最大リフト量が最小値となる領域に隣接して設ける場合には、最大リフト量の最小値に対応する目標回転位相を超えてカムが過度に回動してしまった場合でも、増大領域にてカムの回転にブレーキがかかるようになるため、そうしたカムの過度な回動を抑えることができる。
同様に、上記増大領域を、制御領域内において最大リフト量が最大値となる領域に隣接して設ける場合には、最大リフト量の最大値に対応する目標回転位相を超えてカムが過度に回動してしまった場合でも、増大領域にてカムの回転にブレーキがかかるようになるため、そうしたカムの過度な回動を抑えることができる。
従って、同構成によれば、最大リフト量を最小値または最大値に変更する際、カムが目標回転位相を超えて過度に回動してしまうことを抑えることができるようになる。
可変動弁装置の一実施形態が適用される内燃機関のシリンダヘッド周りの構造を示す断面図。 同実施形態における可変機構部の破断斜視図。 同実施形態における可変動弁装置の駆動部の模式図。 同実施形態の可変動弁装置に設けられたカムのカムプロファイルを示す図。 同実施形態の可変動弁装置による最大リフト量の変更態様を示すグラフ。 最大リフト量と軸力との関係を示すグラフ。
以下、内燃機関の可変動弁装置にかかる一実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図1に示すように、内燃機関1は、シリンダブロック10と、シリンダブロック10の上方に載置されたシリンダヘッド20とを備えている。
シリンダブロック10の内部には、気筒数に応じた円筒状のシリンダ11が形成されており、各シリンダ11には、ピストン12が摺動可能に収容されている。シリンダブロック10の上部にはシリンダヘッド20が組み付けられており、シリンダ11の内周面、ピストン12の上面及びシリンダヘッド20の下面によって燃焼室13が区画形成されている。
シリンダヘッド20には、吸気通路30及び燃焼室13に連通する吸気ポート21や、排気通路40及び燃焼室13に連通する排気ポート22が形成されている。吸気ポート21には、燃焼室13と吸気ポート21とを連通及び遮断する機関バルブとしての吸気バルブ31が設けられている。排気ポート22には、燃焼室13と排気ポート22とを連通及び遮断する機関バルブとしての排気バルブ41が設けられている。各バルブ31、41はバルブスプリング24によって閉弁方向に付勢されている。
シリンダヘッド20の内部には、各バルブ31、41に対応してラッシュアジャスタ25が設けられている。ラッシュアジャスタ25と各バルブ31、41との間には、ロッカアーム26が設けられている。ロッカアーム26は、一端がラッシュアジャスタ25に支持されており、他端が各バルブ31、41の端部に当接されている。
更に、シリンダヘッド20には、各バルブ31、41を駆動する吸気カムシャフト32及び排気カムシャフト42がそれぞれ回転可能に支持されている。吸気カムシャフト32には吸気カム32aが形成されており、排気カムシャフト42には排気カム42aが形成されている。排気カム42aの外周面は、排気バルブ41に当接しているロッカアーム26のローラ26aに当接されている。これにより、機関運転中に排気カムシャフト42が回転すると、排気カム42aの作用により、ラッシュアジャスタ25によって支持された部分を支点としてロッカアーム26が揺動する。そしてロッカアーム26の揺動により、排気バルブ41は開閉動作する。
一方、吸気バルブ31に当接するロッカアーム26と吸気カム32aとの間には、吸気バルブ31のバルブ特性を変更する可変機構部300が各気筒毎に設けられている。この可変機構部300は可変動弁装置の一部を構成しており、入力アーム311と出力アーム321とを有している。これら入力アーム311及び出力アーム321はシリンダヘッド20に固定された支持パイプ330を中心に揺動可能に支持されている。ロッカアーム26は、バルブスプリング24の付勢力によって出力アーム321側に付勢され、ロッカアーム26の中間部分に設けられたローラ26aが出力アーム321の外周面に当接されている。
また、可変機構部300の外周面には突起313が設けられており、この突起313には、シリンダヘッド20内に固定されたスプリング50の付勢力が作用する。このスプリング50の付勢力により、入力アーム311の先端に設けられたローラ311aが吸気カム32aの外周面に常時当接している。これにより、機関運転中に吸気カムシャフト32が回転すると、吸気カム32aの作用により、可変機構部300は支持パイプ330を中心に揺動する。そして、出力アーム321によってロッカアーム26が押圧されることにより、ラッシュアジャスタ25によって支持されている部分を支点としてロッカアーム26が揺動する。このロッカアーム26の揺動により、吸気バルブ31は開閉動作する。
上記支持パイプ330には、その軸方向に沿って移動可能なコントロールシャフト340が挿入されている。可変機構部300は、コントロールシャフト340を軸方向に変位させることにより、支持パイプ330を中心とした入力アーム311と出力アーム321との相対位相差、即ち図1に示す角度θを変更する。
次に、図2を参照して、可変機構部300の構成を更に詳しく説明する。
この図2に示すように、可変機構部300には、入力部310を挟んで両側に出力部320が配設されている。
入力部310及び出力部320の各ハウジング314、323は、それぞれ中空円筒形状に形成されており、それらの内部には支持パイプ330が挿通されている。
入力部310のハウジング314の内周には、ヘリカルスプライン312が形成されている。一方、各出力部320のハウジング323の内周には、入力部310のヘリカルスプライン312に対して歯筋が逆向きのヘリカルスプライン322が形成されている。
入力部310及び2つの出力部320の各ハウジング314、323によって形成される一連の内部空間には、スライダギヤ350が配設されている。このスライダギヤ350は、中空円筒状に形成されており、支持パイプ330の外周面上において、支持パイプ330の軸方向に往復動可能、且つ支持パイプ330の軸回りに相対回動可能に配設されている。
スライダギヤ350の軸方向中央部の外周面には、入力部310のヘリカルスプライン312に噛み合うヘリカルスプライン351が形成されている。一方、スライダギヤ350の軸方向両端部の外周面には、出力部320のヘリカルスプライン322に噛み合うヘリカルスプライン352がそれぞれ形成されている。
支持パイプ330の内部には、同支持パイプ330の軸方向に移動可能なコントロールシャフト340が設けられている。このコントロールシャフト340とスライダギヤ350とはピンで係合されており、支持パイプ330に対してスライダギヤ350は回動可能、かつコントロールシャフト340の軸方向への移動に合わせてスライダギヤ350も軸方向に移動する。
このように構成された可変機構部300では、コントロールシャフト340が軸方向に移動すると、このコントロールシャフト340の移動に連動してスライダギヤ350も軸方向に移動する。このスライダギヤ350の外周面に形成されたヘリカルスプライン351、352は、歯筋の形成方向がそれぞれ異なっており、入力部310及び出力部320の内周面に形成されたヘリカルスプライン312、322とそれぞれ噛合している。そのため、スライダギヤ350が軸方向に移動すると、入力部310と出力部320はそれぞれ逆の方向に回動する。その結果、入力アーム311と出力アーム321との相対位相差が変更され、吸気バルブ31のバルブ特性である最大リフト量及び開弁期間が変更される。具体的には、最大リフト量が多くなる方向にコントロールシャフト340を移動させると、コントロールシャフト340とともにスライダギヤ350も同じ方向に移動する。これに伴って入力アーム311と出力アーム321との相対位相差、即ち図1に示した角度θが大きくなり、吸気バルブ31の最大リフト量VL及び開弁期間がともに大きくなって吸入空気量が増大する。一方、最大リフト量が小さくなる方向にコントロールシャフト340を移動させると、コントロールシャフト340とともにスライダギヤ350も同じ方向に移動して、入力アーム311と出力アーム321との相対位相差、即ち図1に示した角度θが小さくなる。これにより、吸気バルブ31の最大リフト量VL及び開弁期間がともに小さくなって吸入空気量は減少する。
次に、コントロールシャフト340を軸方向に移動させる駆動部の構成を説明する。
図3に示すように、可変動弁装置の駆動部は、電動式のモータ210、モータ210の回転速度を減速する減速機構220、コントロールシャフト340の端部に設けられたローラ341が当接するカム530などを備えている。モータ210には、同モータ210の回転角度を検出する回転角度センサ211が設けられている。
減速機構220のハウジング内には、複数の歯車等が備えられている。減速機構220の入力軸は、モータ210の出力軸に接続されており、減速機構220の出力軸は、カム530の中心軸に接続されている。カム530が回動すると、カム径(カムの回転中心からカム面までの半径)の変化に合わせて、コントロールシャフト340は、コントロールシャフト340の中心軸が延びる方向である軸方向に変位する。また、減速機構220内の1つの歯車には、その側面に第1突部221が設けられており、減速機構220のハウジング内には、第1突部221の設けられた歯車の回転可能範囲を規制する第2突部230が設けられている。これら第1突部221及び第2突部230によって、カム530の最小回転位相及び最大回転位相を機械的に規制するストッパ機構が構成されている。
モータ210には、モータ210の駆動を制御するモータ用制御装置150が接続されている。モータ210は、モータ用制御装置150からの駆動信号に応じて回転角度が制御される。モータ用制御装置150は、内燃機関1の運転状態を制御する機関用制御装置100に接続されている。
機関用制御装置100には、アクセル操作量センサによって検出されるアクセル操作量や、クランク角センサによって検出されるクランク角などが入力される。そして、機関用制御装置100は、例えば、クランク角から算出される機関回転速度NE及びアクセル操作量ACCPなどに基づいて機関運転状態に応じた要求吸入空気量を算出し、要求吸入空気量が得られる吸気バルブ31の最大リフト量を算出する。そしてその算出された最大リフト量を目標リフト量VLpとして設定する。このようにして目標リフト量VLpが設定されると、モータ用制御装置150では、目標リフト量VLpに対応するカム530の目標回転位相Kpが算出され、その算出された目標回転位相Kpとなるようにモータ210の回転角度を制御する。
また、モータ用制御装置150は、回転角度センサ211にて検出されるモータ210の回転角度からカム530の実際の回転位相を算出し、その算出された回転位相Kから最大リフト量VLの現状値を算出する。そして、モータ用制御装置150は、算出された最大リフト量VLの現状値を機関用制御装置100に送信する。
次に、コントロールシャフト340を変位させるカム530について詳細に説明する。
図4にカム530のカムプロファイルを示す。この図4に示すように、カム530のカムプロファイルには、最大リフト量VLを可変制御するときに使用する制御領域(図4に示す第2回転位相R2〜第7回転位相R7の領域)が設けられている。また、カム530のカムプロファイルには、制御領域に隣接して設けられており最大リフト量VLが増大する増大領域(図4に示す第1回転位相R1〜第2回転位相R2の領域、及び第7回転位相R7〜第8回転位相R8の領域)も設けられている。
上記制御領域は、目標リフト量VLpに対応するカム530の目標回転位相Kpが設定される領域であって、この制御領域内のカムプロファイルを使って最大リフト量VLの可変制御が行われる。つまり、最大リフト量VLを最小値と最大値との間で変化させるときには、カム530のカムプロファイルにおいてこの制御領域内のカム面が使用される。
制御領域のカム面には、一方向に向かってカム径が次第に大きくなることによりコントロールシャフト340の変位量が線形に増加する変化区間(図4に示す第3回転位相R3〜第4回転位相R4、及び第5回転位相R5〜第6回転位相R6の区間)が設けられている。また、制御領域のカム面には、カム径が一定であってコントロールシャフト340の変位量が変化することなく一定のままになる保持区間(図4に示す第2回転位相R2〜第3回転位相R3の区間、第4回転位相R4〜第5回転位相R5の区間、及び第6回転位相R6〜第7回転位相R7の区間)も設けられている。
なお、以下の説明では、カム530の回転位相について、第1回転位相R1から第2回転位相R2、第3回転位相R3へと変化させる方向(図4において右回り(時計回り)にカム530を回転させる方向)を、カム530の回転位相を大きくする方向と定義する。
カム530の回転位相が第2回転位相R2〜第3回転位相R3の区間では、コントロールシャフト340の変位量は「0」に維持される。また、カム530の回転位相が第4回転位相R4〜第5回転位相R5の区間では、コントロールシャフト340の変位量が一定の値であって「0」よりも大きい「L1」に維持される。そして、カム530の回転位相が第6回転位相R6〜第7回転位相R7の区間では、コントロールシャフト340の変位量は一定の値であって上記「L1」よりも大きい「L2」に維持される。
制御領域のカム面は、上述したカムプロファイルを有しているため、カム530の回転位相が第2回転位相R2から第7回転位相R7までの範囲内で変化すると、吸気バルブ31の最大リフト量VLは、図5に示すように変化する。
図5に示すように、制御領域内(第2回転位相R2〜第7回転位相R7の領域)では、モータ210の回転角度が大きくなるに伴って、カム530の回転位相も徐々に大きくなる。そして、カム530の回転位相が第2回転位相R2〜第3回転位相R3の区間では、では、コントロールシャフト340の変位量が「0」であり、このときの最大リフト量VLは、第1リフト量VL1に保持される。なお、この第1リフト量VL1は、最大リフト量VLの最小値である。そして、カム530の回転位相が、第3回転位相R3から第4回転位相R4に変化する過程では、コントロールシャフト340の変位量が徐々に増大するため、最大リフト量VLは、第1リフト量VL1から徐々に大きくなっていく。
カム530の回転位相が第4回転位相R4〜第5回転位相R5の区間では、コントロールシャフト340の変位量が一定の「L1」に維持されるため、このときの最大リフト量VLは、第1リフト量VL1よりも大きい第2リフト量VL2に保持される。そして、カム530の回転位相が、第5回転位相R5から第6回転位相R6に変化する過程では、コントロールシャフト340の変位量が徐々に増大するため、最大リフト量VLは、第2リフト量VL2から徐々に大きくなっていく。
カム530の回転位相が第6回転位相R6〜第7回転位相R7の区間では、コントロールシャフト340の変位量が上記「L1」よりも大きい「L2」に維持されるため、このときの最大リフト量VLは、第2リフト量VL2よりも大きい第3リフト量VL3に保持される。なお、この第3リフト量VL3は、最大リフト量VLの最大値である。
吸気バルブ31の最大リフト量VLが、第1リフト量VL1→第2リフト量VL2→第3リフト量VL3の順に大きくなるにつれて、吸気バルブ31の開弁時期は進角方向に変化するとともに閉弁時期は遅角方向に変化することにより、開弁期間は長くなる。
本可変動弁装置では、吸気バルブ31の目標リフト量VLpとして、上述した第1リフト量VL1、第2リフト量VL2、及び第3リフト量VL3のいずれかが機関運転状態に応じて選択される。そして、選択された最大リフト量を保持することにより、吸気バルブ31の最大リフト量VLは機関運転状態に応じて3段階に変更される。このように本可変動弁装置は、予め設定された複数のバルブ特性の中からいずれかのバルブ特性を選択することによりバルブ特性を多段階に変更する多段可変式の動弁装置となっている。
他方、上述したように、カム530のカムプロファイルには、制御領域に隣接して設けられており最大リフト量VLが増大する増大領域(図4に示す第1回転位相R1〜第2回転位相R2の領域、及び第7回転位相R7〜第8回転位相R8の領域)も設けられている。
先の図4に示すように、第2回転位相R2よりも回転位相が小さい第1回転位相R1と同第2回転位相R2との間の区間は、カム530の回転位相が小さくなるにつれてカム径が大きくなるようにカムプロファイルが構成された第1増大領域となっている。この第1増大領域では、カム530の回転位相が小さくなるにつれてコントロールシャフト340の変位量は「0」から徐々に増大していく。なお、第1回転位相R1は、上記ストッパ機構によって規制されるカム530の最小回転位相に対して直前の位相に設定されている。従って、カム530の回転位相が第1回転位相R1よりも小さくなると、カム530の回転位相はストッパ機構によって規制される。
また、第7回転位相R7よりも回転位相が大きい第8回転位相R8と同第7回転位相R7との間の区間は、カム530の回転位相が大きくなるにつれてカム径が大きくなるようにカムプロファイルが構成された第2増大領域となっている。この第2増大領域では、カム530の回転位相が大きくなるにつれてコントロールシャフト340の変位量は「L2」から徐々に増大していく。なお、第8回転位相R8は、上記ストッパ機構によって規制されるカム530の最大回転位相に対して直前の位相に設定されている。従って、カム530の回転位相が第8回転位相R8よりも大きくなると、カム530の回転位相はストッパ機構によって規制される。
従って、先の図5に示すように、第1増大領域では、カム530の回転位相が小さくなるにつれて、最大リフト量VLは、最小値である第1リフト量VL1よりも徐々に増大していく。また、第2増大領域では、カム530の回転位相が大きくなるにつれて、最大リフト量VLは、最大値である第3リフト量VL3よりも徐々に増大していく。
次に、本実施形態の作用を説明する。
上述したコントロールシャフト340には、吸気バルブ31を付勢するバルブスプリング24の反力に起因して軸力が作用する。
図6に示すように、そうした軸力は、最大リフト量VLが増大してバルブスプリング24の圧縮量が多くなるほど増大し、最大リフト量VLが増大する方向にカム530が回転するときには、そうしたカム530の回転を妨げるブレーキ力として作用する。
そこで、カム530のカムプロファイルとして、上述した制御領域に隣接して設けられており最大リフト量VLが増大する第1増大領域及び第2増大領域を設けている。
より具体的には、先の図4や図5に示したように、上記第1増大領域は、制御領域内で最大リフト量VLが最小値になる第2回転位相R2に隣接して設けられている。従って、最大リフト量VLを制御領域内において減少させて最小値へと変化させる際、最小値に対応する目標回転位相Kpを超えてカム530が過度に回動した場合、つまりカム530の回転位相が第2回転位相R2よりも小さくなった場合には、第1増大領域にてカム530の回転にブレーキがかかるようになる。そのため、そうした目標回転位相Kpを超えるカム530の過度な回動が抑えられる。
また、上記第2増大領域は、制御領域内で最大リフト量VLが最大値になる第7回転位相R7に隣接して設けられている。従って、最大リフト量VLを制御領域内において最大値へと変化させる際、最大値に対応する目標回転位相Kpを超えてカム530が過度に回動した場合、つまりカム530の回転位相が第7回転位相R7よりも大きくなった場合には、第2増大領域にてカム530の回転にブレーキがかかるようになる。そのため、この場合にも、目標回転位相Kpを超えるカム530の過度な回動が抑えられる。
このようにしてカム530の過度な回動が抑えられるようになるため、例えば上記ストッパ機構によるカム530の回動規制が起きにくくなったり、ストッパ機構を構成する第1突部221と第2突部230との衝突速度が抑えられるようになる。そのため、ストッパ機構を構成する第1突部221と第2突部230とが衝突することによる当該ストッパ機構の損傷等を抑えることができる。また、こうした損傷が抑えられるようになるため、ストッパ機構の損傷による異物の発生や、そうした異物が可変動弁装置の可動部に噛み込まれてしまうといった不都合の発生も抑えられる。
以上説明したように、本実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
(1)カム530のカムプロファイルとして、最大リフト量VLを可変制御するときに使用する制御領域と、制御領域に隣接して設けられており最大リフト量VLが増大する第1増大領域及び第2増大領域とを設けるようにしている。そのため、最大リフト量VLの最小値または最大値に対応する目標回転位相Kpを超えてカム530が過度に回動してしまった場合でも、増大領域にてカム530の回転にブレーキがかかるようになる。従って、最大リフト量VLを最小値または最大値に変更する際、カム530が過度に回動してしまうことを抑えることができるようになる。
(2)また、このようにしてカム530が過度に回動してしまうことを抑えることができるようになるため、カム530の回転範囲を規制するストッパ機構の損傷等を抑えることも可能になる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・カム530のカムプロファイルにおいて、最大リフト量VLの最小値側に第1増大領域を設けるとともに、最大リフト量VLの最大値側に第2増大領域を設けるようにした。この他、カム530の過度な回動を抑える増大領域として、第1増大領域及び第2増大領域のいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。
・可変動弁装置は、吸気バルブ31の最大リフト量を3段階に変更する装置であったが、そうした最大リフト量の変更段数は適宜変更することができる。
・カム530のカムプロファイルにおいて、制御領域には、最大リフト量VLを一定値に保持する保持区間を備えるようにした。この他、そうした保持区間を備えておらず、上述した変化区間のみを備えるようにしてもよい。
・上記カム530の形状は一例であり、コントロールシャフト340を軸方向に移動させることが可能なカムであれば、他の形状でもよい。
・上記可変機構部300は、吸気バルブ31の動弁系に設けられていたが、排気バルブ41の動弁系に設けられていてもよい。
1…内燃機関、10…シリンダブロック、11…シリンダ、12…ピストン、13…燃焼室、20…シリンダヘッド、21…吸気ポート、22…排気ポート、24…バルブスプリング、25…ラッシュアジャスタ、26…ロッカアーム、26a…ローラ、31…吸気バルブ、32…吸気カムシャフト、32a…吸気カム、30…吸気通路、40…排気通路、41…排気バルブ、42…排気カムシャフト、42a…排気カム、50…スプリング、100…機関用制御装置、150…モータ用制御装置、210…モータ、211…回転角度センサ、220…減速機構、300…可変機構部、310…入力部、311…入力アーム、311a…ローラ、312…ヘリカルスプライン、313…突起、314…ハウジング、320…出力部、321…出力アーム、322…ヘリカルスプライン、323…ハウジング、330…支持パイプ、340…コントロールシャフト、341…ローラ、350…スライダギヤ、351…ヘリカルスプライン、352…ヘリカルスプライン、530…カム。

Claims (1)

  1. 内燃機関に設けられた機関バルブの最大リフト量を変更する可変機構部と、前記可変機構部を作動させるコントロールシャフトと、カム径が次第に変化することにより前記コントロールシャフトを軸方向に移動させるカムと、前記カムを回動させるモータとを備えており、前記カムの回転位相を制御することにより前記最大リフト量の可変制御を行う内燃機関の可変動弁装置であって、
    前記カムのカムプロファイルには、前記最大リフト量を可変制御するときに使用する制御領域と、同制御領域に隣接して設けられており前記最大リフト量が増大する増大領域とが設けられている
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004339951A (ja) * 2003-05-13 2004-12-02 Toyota Motor Corp 内燃機関の可変動弁装置
JP2014122552A (ja) * 2012-11-21 2014-07-03 Denso Corp 駆動装置

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