JP2015117393A - 溶射方法及び溶射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被溶射面に対する溶射皮膜の密着力を高める。【解決手段】シリンダブロック1のシリンダボア3に対して溶射ガン5により溶射皮膜17を形成する際に、次に溶射するシリンダボア3に対してヒータ33により加熱する。シリンダブロック1は、溶射皮膜17の密着力を高めるために、溶射前に予熱している。一方、溶射時にはシリンダボア3内に集塵用の気体を流していることから、この集塵用の気体によってシリンダボア3の温度が低下してしまう。そこで、次に溶射するシリンダボア3に対してヒータ33により加熱することで、温度低下を抑制する。【選択図】図6

Description

本発明は、ワークの穴の内面に溶射皮膜を形成する溶射方法及び溶射装置に関する。
自動車用エンジンにおけるシリンダブロックのシリンダボア内面など、円形の穴の内面に、金属もしくはセラミックなどの溶射用材料を溶射して溶射皮膜を形成する溶射技術が知られている(下記非特許文献1参照)。
日本金属学会誌 第71巻 第3号(2007)354−360
このような溶射皮膜を形成する溶射方法としては、プラズマ溶射とアーク溶射が主流であるが、いずれの方法においても、被溶射面に対する溶射皮膜の密着力を高めることが課題となっている。
そこで、本発明は、被溶射面に対する溶射皮膜の密着力を高めることを目的としている。
本発明は、ワークに設けられた複数の穴の内面に対し連続して溶射皮膜を形成する際に、少なくとも次に溶射する穴の周辺を加熱することを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも次に溶射する穴の周辺を加熱することで、次に溶射する穴の内面の温度低下を抑制でき、温度低下を抑制した状態で溶射することにより、溶射皮膜の密着力を高めることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる基本的な溶射装置の全体構成図である。 図2は、図1の溶射装置におけるシリンダブロック及び溶射ガンを示す斜視図である。 図3は、図2の溶射ガンによりシリンダボア内面に対して溶射を行っている状態を示す断面図である。 図4は、図1の溶射装置における溶射ブース内で気流が発生している状態を示す作用説明図である。 図5は、シリンダブロックを予熱した後に、図1の溶射ブース内で複数のシリンダボアに対して順次溶射を行う際の、第1番目のシリンダボアと第4番目のシリンダボアの温度変化を示すグラフである。 図6は、第1の実施形態による溶射方法を示す断面図である。 図7は、第2の実施形態による溶射方法を示す断面図である。 図8は、第3の実施形態による溶射方法を、(a)、(b)、(c)の順に示す作用説明図である。 図9は、第4の実施形態による溶射方法を、(a)、(b)、(c)の順に示す作用説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。本発明の第1の実施形態に係わる溶射装置は、図1、図2に示すように、例えば自動車用直列4気筒エンジンのシリンダブロック1におけるシリンダボア3(3A,3B,3C,3D)の内面に対して溶射皮膜を形成する。ここで、シリンダブロック1はワークを構成し、シリンダボア3はワークの穴を構成している。すなわち、ワークであるシリンダブロック1には、穴であるシリンダボア3が複数形成されている。
シリンダボア3の内面に対して溶射皮膜を形成する際には、溶射ガン5を使用する。溶射ガン5は、図3に、溶射ガン5の先端(下端)の側部に形成されるノズル部7を示すように、ノズル部7内に溶射用材料である2本のワイヤ9,11を送り出すワイヤ挿入孔7a,7bを備えている。
ワイヤ挿入孔7a,7bは、互いに平行な平行部7a1,7b1と、平行部7a1,7b1の先端部から、ノズル部7の先端側に向けて互いの間隔が狭くなるような傾斜部7a2,7b2と、を備えている。傾斜部7a2,7b2は、ノズル部7の先端面7cの前方(図3中で左側)において、傾斜部7a2,7b2の傾斜方向に延びるそれぞれの延長線が互いに交差するように傾斜している。
ここで、一方のワイヤ9をプラス(+)電極とし、他方のワイヤ11をマイナス(−)電極として、各ワイヤ9,11の電極間に電圧を印加すると、上記した傾斜部7a2,7b2の延長線上の交差部において、電極間に放電アーク13が発生する。この放電アーク13の熱エネルギにより2本のワイヤ9,11が溶融する。すなわち、本実施形態における溶射装置は、放電アークを用いたアーク溶射装置である。
その際、ノズル部7の中心に設けてあるアトマイズガス通路7dにアトマイズガスを流すことで、ワイヤ9,11が溶融した溶融物が溶射粒子15となって前方に飛散し、シリンダボア3の内面に付着して溶射皮膜17が形成される。アトマイズガス通路7dは、通路断面が先端側ほど小さくなるような先細形状としてあり、先端の吐出口7d1は、上記した傾斜部7a2,7b2の各延長線上の交差部、すなわち放電アーク13が形成される位置に指向している。
溶射ガン5は、溶射皮膜17を形成する際に、図2に示す矢印Aのように回転しながら、矢印Bのようにシリンダボア3の軸方向に移動する。これにより、溶射皮膜17をシリンダボア3の内面のほぼ全域に形成することができる。なお、シリンダボア3の内面は、溶射皮膜17の密着力を高めるために、図3に示すように凹凸形状部3aとしている。凹凸形状部3aは、例えばねじ切り加工によって形成する。
ここで、本実施形態では、シリンダブロック1を図1に示すように溶射ブース19内に収容した状態で溶射作業を実施する。その際、溶射ブース19内には、溶射時に発生する余剰の溶射粒子や煤などの異物を外部に排出して集塵を行うために、気体としての空気を流通させる。溶射ブース19は、直方体もしくは立方体の箱型であり、1つの側面には吸気管21を設ける一方、底面には下部排気管23を設けている。吸気管21を設けている側面に対向する側面には、側部排気管25を、上面には上部排気管27を、それぞれ設けている。なお、シリンダブロック1は、溶射ブース19内で、図示しない支持部材によって、例えば下部の外周縁部が支持されているものとする。
上記した下部排気管23は、溶射ブース19内に開口する内側開口部23aが、シリンダブロック1の下部のクランクケース側に開放する開放部位に、ガイド部29を介して連通している。下部排気管23の外側開口部23bは、溶射ブース19の外部に開口し、例えばファンなどを備える吸引装置31に連通している。
下部排気管23のほか側部排気管25及び上部排気管27からも溶射ブース19内の空気を吸引するが、この吸引力は下部排気管23からの吸引力よりも弱くして吸引量を少なくする。この場合、側部排気管25及び上部排気管27にそれぞれ個別にファンなどを設ける。あるいは、同一の吸引装置によって下部、側部、上部の各排気管23,25,27から空気を吸引し、各排気管23,25,27もしくはこれら排気管に接続する通路に流量制御弁を設け、該流量制御弁を図示しない制御部によって流量制御してもよい。
下部排気管23、側部排気管25及び上部排気管27から溶射ブース19内の空気を吸引することで、外部の空気が吸気管21を経て溶射ブース19内に流入する。溶射ブース19内に流入した空気は、主としてシリンダボア3を通り、下部排気管23から溶射ブース19の外部に排出される。吸気管21から溶射ブース19内に流入した空気の一部は、側部排気管25及び上部排気管27から溶射ブース19の外部に排出される。
シリンダボア3内では、図4に示すように、上部のシリンダヘッド取付面側の開口から下部に向けて、矢印Cで示すように4つのシリンダボア3の軸方向に沿って空気が流れる。4つのシリンダボア3を流れる空気は、下部の出口側のガイド部29内で合流する。また、側部排気管25及び上部排気管27からも空気を吸引することで、シリンダブロック1の周囲にも、矢印D、Eで示すように空気の流れが発生する。
このような空気の流れが溶射ブース19内で発生している状態で、溶射ガン5により、4つのシリンダボア3に対し、その配列方向一方側から他方側に向けて順番に溶射皮膜17を形成する作業を実施する。図4は、図中で左側端部の第1番目のシリンダボア3に対して溶射皮膜17を形成している状態を示し、その後これに隣接する右側の第2番目、第3番目、第4番目のシリンダボア3に対して順次溶射皮膜17を形成する。
ここで、被溶射面であるシリンダボア3の内面に対する溶射皮膜17の密着力を高めるために、シリンダブロック1に対して予熱を行う場合がある。図5は、予熱炉内などでシリンダブロック1を例えば170℃程度に加熱してから、図1に示す溶射ブース19内で溶射皮膜を形成しているときの、シリンダブロック1の温度変化を示している。実線は第1番目のシリンダボア3Aの温度で、破線は第4番目のシリンダボア3Dの温度である。
図5において、時間t1で溶射ブース19内の空気に対して吸引を開始している。このとき、下部排気管23、側部排気管25及び上部排気管27から空気を吸引して外部に排出し、これ伴い外部の空気が吸気管21を経て溶射ブース19内に供給される。溶射ブース19内の空気を吸引することで、溶射ブース19内で空気の流れ、すなわち気流が発生し、この気流の影響でシリンダブロック1(第1〜第4番目のシリンダボア3)が冷却されて温度が低下する。
時間t2で第1番目のシリンダボア3Aに対して溶射を開始すると、溶射熱によって第1番目のシリンダボア3Aの温度が上昇する。第1番目のシリンダボア3Aに対して溶射を行っている間には、第4番目のシリンダボア3Dは、継続して発生している気流によって徐々に温度が低下していく。時間t3で第4番目のシリンダボア3Dに対して溶射を開始すると、第4番目のシリンダボアD3は溶射熱によって温度が上昇していく。
第2、第3番目のシリンダボア3B,3Cを溶射する際にも、第4番目のシリンダボア3Dと同様に、継続して発生している気流によって徐々に温度が低下していき、その後の溶射開始時には溶射熱によって温度が上昇することになる。
このように、シリンダボア3の温度は、予熱直後の温度に対して徐々に低下していき、温度低下によって溶射皮膜17の密着力が低下することになる。そこで、本実施形態では、温度低下による溶射皮膜17の密着力の低下を抑えるために、シリンダボア3を加熱する。
図6は、第1の実施形態によるシリンダボア3の周辺に対する加熱方法を示している。第1の実施形態による加熱方法は、熱源となる加熱器としてのヒータ33を使用している。ヒータ33は、基部33aと、基部33aから下方に延びるほぼU字形状の発熱部33bとを備え、発熱部33bをシリンダボア3内に挿入する。基部33aは、発熱部33bを発熱させるための電気回路などを備える。発熱部33bの基部33aから先端(図6中で下端)までの長さは、シリンダボア3の軸方向の長さとほぼ同等である。
図6では、第1番目のシリンダボア3Aは溶射が完了していて溶射皮膜17が形成され、第2番目のシリンダボア3Bに溶射ガン5を挿入して溶射している。そして、第3番目のシリンダボア3C及び第4番目のシリンダボア3Dに対し、ヒータ33の発熱部33bをそれぞれ挿入してシリンダボア3C及び3Dの周辺を加熱している。すなわち、シリンダボア3を加熱するに際し、現在溶射を行っているシリンダボア3Bに対し、少なくとも次に溶射するシリンダボア3Cの周辺を加熱している。
ここで、シリンダボア3Bの溶射が完了したら、シリンダボア3Cからヒータ33を取り出し、その後このシリンダボア3Cに対し、溶射ガン5を挿入して溶射を行う。このとき、シリンダボア3Dに対する加熱は継続して行う。シリンダボア3Cは、溶射を行う前にヒータ33で加熱しているので、集塵によってシリンダボア3C内に空気が流れていても、集塵空気による温度低下が抑制されている。このため、シリンダボア3Cに形成した溶射皮膜17の密着力は高いものとなり、信頼性の高い溶射皮膜17が得られる。
同様にして、シリンダボア3Cの溶射が完了したら、シリンダボア3Dからヒータ33を取り出し、その後このシリンダボア3Dに対し、溶射ガン5を挿入して溶射を行う。シリンダボア3Dは、溶射を行う前にヒータ33で加熱しているので、集塵によってシリンダボア内に空気が流れていても、集塵空気による温度低下が抑制されており、したがってシリンダボア3Dに形成した溶射皮膜17の密着力は高いものとなる。
第2番目のシリンダボア3Bについても、第1番目のシリンダボア3Aを溶射しているときに、ヒータ33で加熱することで、集塵空気による温度低下が抑制されており、したがって溶射皮膜17の密着力は高いものとなる。第1番目のシリンダボア3Aについては、シリンダブロック1を予熱後、最初に溶射を行うので、集塵空気による温度低下は小さく、よって温度は高く確保されているので、加熱を行わなくても溶射皮膜17の密着力は高いものとなる。
このように、第1の実施形態では、現在溶射を行っているシリンダボア3に対し、少なくとも次に溶射するシリンダボア3の周辺を加熱している。これにより、集塵空気によるシリンダボア3の温度低下が抑制されるので、溶射皮膜17の密着力を高く維持することができ、信頼性の高い溶射皮膜17を得ることができる。
また、第1の実施形態では、シリンダボア3の内部に設けた加熱器であるヒータ33により、シリンダボア3の周辺を加熱している。このため、シリンダボア3の加熱を簡素な構成でより確実に行うことができる。なお、図6では、シリンダボア3Bを溶射しているときに、二つのシリンダボア3C及び3Dを加熱しているが、次に溶射を行うシリンダボア3Cのみを加熱するようにしてもよい。この場合、ヒータ33が一つで済むので、設備費などのコスト低下を実現できる。
図7は、第2の実施形態によるシリンダボア3周辺に対する加熱方法を示している。第2の実施形態による加熱方法は、シリンダボア3に熱源となる温風35を供給している。温風35は、例えばヒータと、ヒータにより加熱された空気をシリンダボア3に送り込むブロワなどの送風機とを備える温風供給部37から供給される。送風機によって個々のシリンダボア3に温風を供給するために、送風機にダクトを接続してもよい。ダクトの送風機と反対側の端部を各シリンダボア3の開口を覆うよう接続することで、温風を個々のシリンダボア3に確実に供給することができる。
図7では、図6と同様に、第1番目のシリンダボア3Aは溶射が完了していて溶射皮膜17が形成され、第2番目のシリンダボア3Bに溶射ガン5を挿入して溶射している。そして、第3番目のシリンダボア3C及び第4番目のシリンダボア3Dに対し、ヒータ33による加熱に代えて温風35を供給してシリンダボア3C及び3Dの周辺を加熱している。すなわち、シリンダボア3を加熱するに際し、現在溶射を行っているシリンダボア3Bに対し、少なくとも次に溶射するシリンダボア3Cの周辺を加熱している。
ここで、シリンダボア3Bの溶射が完了したら、シリンダボア3Cに対する温風35の供給を停止し、その後このシリンダボア3Cに対し、溶射ガン5を挿入して溶射を行う。このとき、シリンダボア3Dに対する温風35の供給は継続して行う。シリンダボア3Cは、溶射を行う前に温風35により加熱しているので、集塵によってシリンダボア3C内に空気が流れていても、集塵空気による温度低下が抑制されている。このため、シリンダボア3Cに形成した溶射皮膜17の密着力は高いものとなり、信頼性の高い溶射皮膜17が得られる。
同様にして、シリンダボア3Cの溶射が完了したら、シリンダボア3Dに対する温風35の供給を停止し、その後このシリンダボア3Dに対し、溶射ガン5を挿入して溶射を行う。シリンダボア3Dは、溶射を行う前に温風35により加熱しているので、集塵によってシリンダボア3D内に空気が流れていても、集塵空気による温度低下が抑制されており、したがってシリンダボア3Dに形成した溶射皮膜17の密着力は高いものとなる。
第2番目のシリンダボア3Bについても、第1番目のシリンダボア3Aを溶射しているときに、温風35で加熱することで、集塵空気による温度低下が抑制されており、したがって溶射皮膜17の密着力は高いものとなる。第1番目のシリンダボア3Aについては、シリンダブロック1を予熱後、最初に溶射を行うので、集塵空気による温度低下は小さく、よって温度は高く確保されているので、加熱を行わなくても溶射皮膜17の密着力は高いものとなる。
したがって、第2の実施形態においても、現在溶射を行っているシリンダボア3に対し、少なくとも次に溶射するシリンダボア3の周辺を加熱している。これにより、集塵空気によるシリンダボア3の温度低下が抑制されるので、溶射皮膜17の密着力を高く維持することができ、信頼性の高い溶射皮膜17を得ることができる。
また、第2の実施形態では、シリンダボア3の内部に温風を供給して、シリンダボア3の周辺を加熱している。このため、シリンダボア3の内面をより均一に加熱することができる。なお、第2の実施形態においても、シリンダボア3Bを溶射しているときに、二つのシリンダボア3C及び3Dを温風35により加熱しているが、次に溶射を行うシリンダボア3Cのみに温風35を供給して加熱するようにしてもよい。
図8は、第3の実施形態によるシリンダボア3の周辺に対する加熱方法を示している。第3の実施形態による加熱方法は、シリンダブロック1のウォータジャケット39の内部を加熱器としてのヒータ41により加熱する。ヒータ41は、図6のヒータ33と同様に、基部41aと、基部41aから下方に延びるほぼU字形状の発熱部41bとを備え、発熱部41bを図8(b)のようにウォータジャケット39内に挿入する。基部41aは、発熱部41bを発熱させるための電気回路などを備える。発熱部41bの基部41aから先端(図8(a)中で下端)までの長さは、ウォータジャケット39の深さとほぼ同等である。
そして、ヒータ41によりウォータジャケット39内を加熱しながら、溶射ガン5により、シリンダボア3(3A,3B,3C,3D)の内面に対して順次溶射皮膜を形成する。図8では、ヒータ41を、シリンダボア3の両側で、かつ四つのシリンダボア3A,3B,3C,3Dに対応する位置のウォータジャケット39にそれぞれ配置している。つまり、ヒータ41は全部で八つ使用している。
この場合、八つ全てのヒータ41を、四つのシリンダボア3A,3B,3C,3Dに対して溶射する間に作動させて加熱する。あるいは、第1、第2の実施形態のように、現在溶射を行っているシリンダボア3に対し、少なくとも次に溶射するシリンダボア3の周辺を加熱するように、次に溶射するシリンダボア3近傍に設けてあるヒータ41のみを作動させてもよい。
以上より、第3の実施形態においても、現在溶射を行っているシリンダボア3に対し、少なくとも次に溶射するシリンダボア3の周辺を加熱している。これにより、集塵空気によるシリンダボア3の温度低下が抑制されるので、溶射皮膜17の密着力を高く維持することができ、信頼性の高い溶射皮膜17を得ることができる。
また、第3の実施形態では、シリンダブロック1のウォータジャケット39の内部に設けた加熱器であるヒータ41によりシリンダボア3の周辺を加熱している。このため、シリンダボア3周辺の加熱を簡素な構成でより確実に行うことができる。
図9は、第4の実施形態によるシリンダボア3周辺に対する加熱方法を示している。第4の実施形態による加熱方法は、シリンダブロック1のウォータジャケット39の内部に温風43を供給している。ここでは、温風を供給するにあたり、シリンダブロック1のシリンダヘッド取付面1aに、マスキング部材45を密閉状態で配置している。シリンダヘッド取付面1aには、図示しないシリンダヘッドが取り付けられる。
マスキング部材45は、シリンダブロック1の長手方向に対応した長方形の板状部材であって、シリンダボア3の端部開口に対応する円形の開口部45aを備え、ウォータジャケット39やその外側の空洞部47を塞いでいる。また、マスキング部材45は、四つの開口部45aの配列方向の一端側に温風供給用の入口ダクト49を備える一方、他端側に温風排出用の出口ダクト51を備えている。
上記した入口ダクト49は、マスキング部材45の平板部45bから上方に向けて立ち上がり、かつ外側に向けて湾曲して、その先端に温風供給口49aを備える。入口ダクト49の温風供給口49aと反対側の下部の開口は、図9(b)のようにマスキング部材45をシリンダヘッド取付面1aに密閉状態で配置した状態でウォータジャケット39に連通する。
同様にして、出口ダクト51は、マスキング部材45の平板部45bから上方に向けて立ち上がり、かつ外側に向けて湾曲して、その先端に温風排出口51aを備える。出口ダクト51の温風排出口51aと反対側の下部の開口は、図9(b)のようにマスキング部材45をシリンダヘッド取付面1aに密閉状態で配置した状態でウォータジャケット39に連通する。
溶射作業を行う際には、図9(a)に示すマスキング部材45を、図9(b)のように、シリンダブロック1のシリンダヘッド取付面1a上に載置し、別途固定具などを利用して固定配置する。このとき、マスキング部材45は、開口部45aがシリンダボア3の端部開口に整合し、ウォータジャケット39の端部開口や空洞部47の端部開口を閉塞している。
そして、この状態で、図9(c)のように、温風供給口49aから温風43を供給すると、供給した温風43は、入口ダクト49を通ってウォータジャケット39内に流入する。ウォータジャケット39は、四つのシリンダボア3の周囲を囲むように形成されており、シリンダヘッド取付面1aと反対の図9中で下部側のクランクケース側に、底部を形成する底壁が形成されている。
したがって、ウォータジャケット39内に流入した温風43は、四つのシリンダボア3の周囲に沿って流れ、これら四つのシリンダボア3の周囲の外壁を加熱する。加熱後の温風43は、出口ダクト51の温風排出口51aから排気55となって外部に排出される。このようにして、四つのシリンダボア3の周辺を加熱している間に、溶射ガン5により、シリンダボア3(3A,3B,3C,3D)の内面に対して順次溶射皮膜を形成する。
以上より、第4の実施形態においても、現在溶射を行っているシリンダボア3に対し、少なくとも次に溶射するシリンダボア3の周辺であるウォータジャケット39内を加熱している。これにより、集塵空気によるシリンダボア3の温度低下が抑制されるので、溶射皮膜17の密着力を高く維持することができ、信頼性の高い溶射皮膜17を得ることができる。また、ウォータジャケット39の内部に温風を供給して、シリンダボア3の周辺を外側から加熱しているため、シリンダボア3の内面をより均一に加熱することができる。
また、第4の実施形態では、マスキング部材45をシリンダヘッド取付面1aに配置した状態で、ウォータジャケット39に温風43を供給している。このため、ウォータジャケット39には、温風43をより確実に供給して、シリンダボア3周辺の加熱をより確実に実施することができる。
また、上記した各実施形態では、ワークがエンジンのシリンダブロック1であって、穴がシリンダボア3である。このため、シリンダボア3の内面に溶射皮膜17を形成するにあたり、シリンダブロック1を事前に予熱し、かつ溶射時にシリンダボア3に集塵用の気体を流しても、少なくとも次に溶射するシリンダボア3は、ヒータや温風によって加熱することで温度低下を抑制でき、溶射皮膜17の密着力の低下を抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。例えば、上記した実施形態では、直列4気筒エンジンのシリンダブロック1について説明したが、直列6気筒エンジンやV型6気筒エンジンのシリンダブロックに対しても本発明を適用することができる。
また、図8のヒータ41は、四つのシリンダボア3に対応してそれぞれ配置しているが、溶射を実施しているシリンダボア3に対して次に溶射を実施するシリンダボア3周辺のみを加熱するように、ヒータ41を二つのみとしてもよい。この場合、四つのシリンダボア3に対し、溶射を順次実施するに伴って二つのヒータ41も順次移動することになる。図8の八つのヒータ41は、別体となっているが一体化してもよい。これにより、ヒータのウォータジャケット39への挿入作業が容易となる。
1 シリンダブロック(ワーク)
1a シリンダブロックのシリンダヘッド取付面
3 シリンダボア(穴)
5 溶射ガン
17 溶射皮膜
33,41 ヒータ(加熱器、熱源)
35,43 温風(熱源)
39 ウォータジャケット
45 マスキング部材
45a マスキング部材の開口部
49a 温風供給口
51a 温風排出口

Claims (8)

  1. ワークに形成された複数の穴の内面に対し連続して溶射皮膜を形成する溶射方法であって、
    前記複数の穴のうち少なくとも次に溶射する穴の周辺を加熱することを特徴とする溶射方法。
  2. 前記穴の内部に設けた加熱器により前記穴の周辺を加熱することを特徴とする請求項1に記載の溶射方法。
  3. 前記穴の内部に温風を供給して前記穴の周辺を加熱することを特徴とする請求項1に記載の溶射方法。
  4. 前記ワークがエンジンのシリンダブロックであって、前記穴がシリンダボアであり、
    前記シリンダブロックのウォータジャケットの内部に設けた加熱器により前記シリンダボアの周辺を加熱することを特徴とする請求項1に記載の溶射方法。
  5. 前記ワークがエンジンのシリンダブロックであって、前記穴がシリンダボアであり、
    前記シリンダブロックのウォータジャケットの内部に温風を供給して前記シリンダボアの周辺を加熱することを特徴とする請求項1に記載の溶射方法。
  6. 前記シリンダブロックのシリンダヘッド取付面に、ウォータジャケットの端部開口を閉塞し、かつシリンダボアの端部開口に対応する開口部を備えるマスキング部材を配置し、
    前記マスキング部材に設けられた温風供給口から供給する温風を前記ウォータジャケット内に流入させて前記シリンダボアの周辺を加熱し、この加熱後の温風を前記マスキング部材に設けた温風排出口から前記ウォータジャケットの外部に排出することを特徴とする請求項5に記載の溶射方法。
  7. 前記ワークがエンジンのシリンダブロックであって、前記穴がシリンダボアであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の溶射方法。
  8. ワークに形成された複数の穴の内面に対し連続して溶射皮膜を形成する溶射ガンと、
    前記溶射ガンにより少なくとも次に溶射する穴の周辺を加熱する熱源と、を有することを特徴とする溶射装置。
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