JP5202113B2 - はんだ付け方法およびはんだ付け装置 - Google Patents

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本発明は、板状の被はんだ付けワーク例えばプリント配線板に電子部品が搭載され、その被はんだ付け部に予め供給されているはんだを加熱し溶融させてはんだ付けを行う方法および装置に関する。
プリント配線板に電子部品のはんだ付けを行う方法として、被はんだ付け部に予め供給しておいたはんだ(例えば、クリームはんだ)を加熱して溶融させるリフローはんだ付け方法がある。このはんだの溶融によって被はんだ付け部に金属間化合物が形成され、いわゆるはんだの「濡れ」を形成してはんだ付けが行われる。
はんだを加熱する手段としては、熱風加熱方法や熱線加熱方法そして蒸気加熱方法等があるが、総合的に見て使い勝手に優れた熱風加熱方法が主加熱方式として使用されている。
熱風加熱方法を採るリフローはんだ付け方法の技術として特許文献1の技術がある。この文献には、ノズルから吹き出した熱風がプリント配線板に吹き当たり、その後ノズルの周囲に設けられた隙間や孔を通して還流する構成が、プリント配線板の幅や長さから見て複数存在するように設ける技術が開示されている。
そして、この構成により電子部品相互の谷間になっている部分で熱風の流れが「淀む」ことがないように構成している。
特開平2−303674号公報
しかし、特許文献1の技術ではプリント配線板上における熱風の「流れを乱す」ことにより「熱伝達率が高く」なるように構成しているので、プリント配線板上において流れの整った風速の速い熱風を流動させることができないという問題を有している。
すなわち、熱風の風速や方向を激しく変動させることで「熱伝達率が高く」なるように構成しているので、プリント配線板の各部における加熱温度偏差Δtが大きくなり易く加熱温度プロファイルにもリップルを発生し易い問題がある。また、熱風が流れる流路の抵抗が大きいので、熱風を流動させるための手段の駆動に具体的には送風手段(ファン)の駆動に大きいエネルギーが必用となる問題がある。
本発明の目的は、プリント配線板上に高速で流れの整った熱風を少ないエネルギーで供給することができるように構成することによって、熱伝達率が高く加熱温度偏差Δtが小さい加熱を少ないエネルギーで行えるようにすることにある。
本発明は、多数の旋回流からなる熱風を被はんだ付けワークであるプリント配線板に吹きつけて加熱するように構成したところに特徴がある。
(1)本願の第1の発明は、被はんだ付け部に予めはんだが供給された板状の被はんだ付けワークの板面方向の旋回ベクトルを与えた旋回流熱風の吹き出し手段とこの吹き出し手段の熱風吹き出し口を取り囲む方向であって前記板状の被はんだ付けワークに吹きつけられた旋回流熱風を旋回させて吸い込む旋回還流手段とから成る旋回流熱風吹きつけ還流手段を多数設けることで多数の旋回流熱風を前記板状の被はんだ付けワークに吹きつけて前記被はんだ付け部に供給された前記はんだを加熱し溶融させてはんだ付けを行うように構成したはんだ付け方法である。
旋回流を形成している熱風では、熱風の流速やその方向の変動が極めて少なく、流速が速く(高速で)流れの整った(風速と風向が揃っている)熱風を板状の被はんだ付けワーク上に供給し吹きつけることができる。そして、吹きつけられた後も旋回還流手段で旋回流として還流される。
したがって、板状の被はんだ付けワークへの熱風の吹きつけと還流という板状の被はんだ付けワークの加熱プロセスの全てを、高速で流れの整った旋回流で行うことができる。
しかも、このような旋回流熱風を多数配列して板状の被はんだ付けワークに供給するので、その表面に電子部品等が搭載されて立体構造を呈する板状の被はんだ付けワークであっても、その微細な部分へも高速で流れの整った熱風を供給し吹きつけることができる。
したがって、熱伝達率が高く加熱温度偏差Δtの小さい加熱が可能となって、板状の被はんだ付けワーク各部のはんだ付けを均一に行うことができるようになる。
(2)本願の第2の発明は、前記(1)のはんだ付け方法において、旋回流熱風の吹き出し手段が孔軸に対する熱風流入口側の角度が熱風吹き出し口側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔を備えて成ると共に熱風流入口側には加圧されて圧縮された加熱雰囲気が供給されて成る。他方で旋回還流手段が前記熱風吹き出し口を取り囲んで前記吹き出し手段のコーン形状とは逆向きのコーン形状に形成された孔で成ると共に旋回還流先側へ吸気させて成る。そして、この旋回流熱風の吹き出し手段と旋回還流手段とから成る旋回流熱風吹きつけ還流手段を多数配列して設けることで多数の旋回流熱風を板状の被はんだ付けワークに吹きつけて被はんだ付け部に予め供給されたはんだを加熱し溶融させてはんだ付けを行うように構成したはんだ付け方法である。
圧縮された加熱雰囲気がコーン形状の孔に流れると、孔軸に直角方向のすなわち孔の半径方向の流動ベクトルが与えられ、このベクトル成分によって旋回流が発生する。
また、このコーンの開き角度が孔軸方向に沿って2段階以上に変化するように構成することによって、角度が小さくなる段階ごとにコアンダ効果により熱風の旋回運動すなわち旋回速度が増進されるようになる。
そして、旋回流熱風の吹き出し手段を旋回流として熱風が流れるので流れの乱れが極めて小さくなる。すなわち、流れの乱れに費やされていたエネルギーが旋回流の速度エネルギーに転換されるので、速度変動が少なく流れ方向も揃った旋回流熱風を得ることができる。したがって、旋回流熱風の吹き出し手段の熱風流入口側に圧縮されて供給される加熱雰囲気の圧縮圧力が小さくても、高速の熱風を発生させることができる。
すなわち、高速で流れの整った旋回流熱風を少ないエネルギーで発生することができるようになり、しかもこの配列された多数の旋回流熱風を同時に発生させることができる。そして、これら多数の旋回流熱風を板状の被はんだ付けワークの各部に吹きつけることができる。
他方で旋回還流手段が前記熱風吹き出し口を取り囲んで前記吹き出し手段のコーン形状とは逆向きのコーン形状に形成された孔で成るため、板状の被はんだ付けワークに吹きつけられて板状の被はんだ付けワークを加熱した旋回流熱風は再び旋回する流れとして旋回還流手段に吸い込まれ、この旋回還流手段においても孔軸に直角方向のすなわち孔の半径方向の流動ベクトルが与えられ、このベクトル成分によって旋回流が増進されて吸い込まれる。
すなわち、板状の被はんだ付けワークに吹きつけられた高速で流れの整った旋回流熱風は、吹きつけられた後も高速で流れの整ったまま旋回還流手段で還流される。しかも、これらは配列された各旋回流熱風の吹き出し手段と旋回還流手段とで行われる。
その結果、板状の被はんだ付けワークに多数存在する被はんだ付け部の加熱とはんだ付けを均一かつ少ないエネルギーで行うことができる。
(3)本願の第3の発明は、前記(1)のはんだ付け方法において、旋回流熱風の吹き出し手段が孔軸に対する熱風流入口側の角度が熱風吹き出し口側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔を備えて成ると共に熱風流入口側には加圧されて圧縮された加熱雰囲気が供給されて成る。他方で旋回還流手段が前記熱風吹き出し口を取り囲んで前記吹き出し手段のコーン形状の孔とは逆向きのコーン形状で孔軸に対する流入口側の角度が還流側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔を備えて成ると共に旋回還流先側へ吸気されて成る。そして、この旋回流熱風の吹き出し手段と旋回還流手段とから成る旋回流熱風吹きつけ還流手段を多数配列して設けることで多数の旋回流熱風を板状の被はんだ付けワークに吹きつけて被はんだ付け部に予め供給されたはんだを加熱し溶融させてはんだ付けを行うように構成したはんだ付け方法である。
この構成は、旋回還流手段のコーン形状の孔が孔軸に対する流入口側の角度が還流側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔で構成されているところが前記(2)の構成と相違する。すなわち、板状の被はんだ付けワークに吹きつけられた旋回流熱風を旋回還流させる際に旋回流を一層増進され易く構成したものである。
すなわち、旋回還流手段のコーンの開き角度が孔軸方向に沿って2段階以上に変化するように構成することによって、角度が小さくなる段階ごとにコアンダ効果により熱風の旋回運動すなわち旋回速度が増進されるようになる。
したがって、板状の被はんだ付けワークへの熱風の旋回吹きつけとその後の旋回還流を一層安定して行うことができるようになり、板状の被はんだ付けワークに多数存在する被はんだ付け部の加熱とはんだ付けを一層均一に行うことができる。
(4)本願の第4の発明は、前記(1)(2)のはんだ付け方法を実現するはんだ付け装置の構成である。すなわち、旋回流熱風の吹き出し手段が孔軸に対する熱風流入口側の角度が熱風吹き出し口側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔を備えて成ると共に熱風流入口側には加圧されて圧縮された加熱雰囲気の供給手段を備えて成る。他方で旋回還流手段が前記熱風吹き出し口を取り囲んで前記吹き出し手段のコーン形状の孔とは逆向きのコーン形状に形成されて成ると共に旋回還流先側へ吸気する吸気手段を備えて成る。
そして、前記旋回流熱風の吹き出し手段と旋回還流手段とから成る旋回流熱風吹きつけ還流手段を板状の被はんだ付けワークの板面に面して多数設けると共に前記板状の被はんだ付けワークを旋回流熱風吹きつけ還流手段に面して搬送する搬送手段を備えて成るように構成したはんだ付け装置である。
したがって、板状の被はんだ付けワークは搬送されながら多数配列された旋回流熱風により加熱される。したがって、あらゆる部分に旋回流熱風が行き渡り板状の被はんだ付けワークを極めて均一に加熱してはんだ付けを行うことができる。
(5)本願の第5の発明は、前記(1)(3)のはんだ付け方法を実現するはんだ付け装置の構成である。すなわち、旋回流熱風の吹き出し手段が孔軸に対する熱風流入口側の角度が熱風吹き出し口側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔を備えて成ると共に熱風流入口側には加圧されて圧縮された加熱雰囲気の供給主題を備えて成る。他方で旋回還流手段が前記熱風吹き出し口を取り囲んで前記吹き出し手段のコーン形状の孔とは逆向きのコーン形状で孔軸に対する流入口側の角度が還流側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔を備えて成ると共に旋回還流先側へ吸気する吸気手段を備えて成る。
そして、前記旋回流熱風の吹き出し手段と旋回還流手段とから成る旋回流熱風吹きつけ還流手段を板状の被はんだ付けワークの板面に面して多数設けると共に前記板状の被はんだ付けワークを旋回流熱風吹きつけ還流手段に面して搬送する搬送手段を備えて成るように構成したはんだ付け装置である。
したがって、板状の被はんだ付けワークは搬送されながら多数配列された一層安定した旋回流熱風により加熱される。したがって、均一加熱性がさらに向上し、あらゆる部分に旋回流熱風が行き渡り板状の被はんだ付けワークを極めて均一に加熱してはんだ付けを行うことができる。
(6)本願の第6の発明は、前記(4)または(5)に記載のはんだ付け装置において、旋回流熱風の吹き出し手段の熱風吹き出し側コーン形状部分の先側に円柱状の孔が設けられと共にこの円柱状の孔の孔径に対する長さの比を1対4以下に設けるように構成したはんだ付け装置である。
このように、熱風吹き出し側コーン形状部分の先側に円柱状の孔を設けると、吹き出す旋回流熱風の指向性を鋭くすることができる。しかし、円柱状の孔は旋回流を増進する作用がないので、その長さが長くなると旋回流が大きく減衰するようになり最終的に旋回流が消滅してしまう。そのため、この円柱状の孔の孔径に対する長さの比を1対4以下に設ける必用がある。
その結果、旋回流熱風を消滅させることなく吹き出す指向性を鋭く保ちながら旋回流熱風を板状の被はんだ付けワークに吹きつけることができるようになり、微細な被はんだ付け部や立体形状を呈してその奥深くに形成された被はんだ付け部へも確実に熱風を吹きつけることができるようになる。
すなわち、複雑な表面形状を有する板状の被はんだ付けワークであっても配列された旋回流熱風が満遍なく板状の被はんだ付けワークの各部で流動し、板状の被はんだ付けワークの各部において均一なはんだ付けが行われる。
本発明によれば、配列された多数の旋回流熱風を板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板に供給して吹きつけ、吹きつけられた後にも旋回流として還流させ、これらの配列された多数の旋回流熱風によってはんだを加熱し溶融させてはんだ付けを行う。
そして、従来よりも低圧の圧縮加熱雰囲気によって高速で流れの整った熱風を発生させかつ還流させてはんだ付けを行うことが可能になるので、加熱効率が高くなると共にプリント配線板各部の加熱温度偏差Δtも小さくなり、プリント配線板に存在する多数の被はんだ付け部のはんだ付けを均一にしかも少ないエネルギーで行うことができるようになる。しかも複雑な表面形状を有するプリント配線板であっても均一なはんだ付けが可能となる。
次に、本発明のはんだ付け方法およびはんだ付け装置を実際上どのように実施できるかを形態例を用いて説明する。
(1)旋回流熱風吹き出し手段と旋回還流手段
旋回流熱風吹き出し手段と旋回還流手段とで構成される旋回流熱風吹きつけ還流手段を図面を用いて説明する。
図1A,図1Bは、加圧された加熱雰囲気から旋回する旋回流熱風を発生させてプリント配線板に吹きつけるノズルで構成される旋回流熱風吹き出し手段と吹きつけられた後に旋回させながら還流させる旋回還流手段を説明する図で、図1Aは配列された旋回流熱風吹き出し手段および旋回還流手段をその孔軸方向に切断してその端面を見た図、図1Bは配列された旋回流熱風の吹き出し口の部分と旋回還流口の部分の一部を説明する斜視図、である。
また、図2は、図1Bを孔軸方向から見た場合の旋回流熱風の吹き出しと還流を流線でモデル的に示した図で、実線は旋回流熱風の吹き出しの様子を説明し破線は旋回還流する流れの様子を説明している。図3A,図3Bは、旋回還流手段の別の構成例を説明する図である。
図1Aに示すように、旋回流熱風吹き出し手段は、板状部材の板面に直角方向の孔軸を有して形成され、軸方向に連結される2つのコーン形状の孔部分を有し、加圧された圧縮加熱雰囲気が供給される流入口側のコーンの側面が孔軸に対して成す角度θ1が吹き出し口側のコーンの側面が孔軸に対して成す角度θ2よりも大きく(θ1>θ2)なるように構成してある。
第1のコーン形状の孔106は皿状でありθ1の大きさは60°〜90°程度の形状に構成する。また、第2のコーン形状の孔107はθ2が15゜〜60゜好ましくは15°〜45°程度の形状に構成する。
さらに、第2のコーン形状の孔107の先端側には円柱状の孔108があり、その孔径φ2は第2のコーン形状の孔107の先端径と同じ大きさである。そして、第2のコーン形状の孔107の大径側の孔径をφ1とすると、φ2:φ1=1:1.5〜1:3の比率で構成する。
そして、円柱状の孔108の孔径φ2とその長さとの比を1:4以下に構成する。すなわち、円柱状の孔108は旋回流を増進する作用がないのでこの比が1:4を越えると旋回流が減衰して最終的に消滅してしまうからである。より好ましくはその指向性を維持して大きな減衰を阻止するために1:1〜1:2の範囲において選定することが好ましい。
なお、このような旋回流熱風吹き出し手段105を板状部材に配列して設けるが、金属製板状部材を金型を用いてプレス加工を施すことにより、このような旋回流熱風吹き出し手段105を多数配列して設けることができる。ここで言う多数とは、1枚のプリント配線板に面して2個以上すなわち複数配列される構成を言い、好ましくは1枚のプリント配線板に面して4個以上配列するとよい。
そして、圧縮加熱雰囲気100を供給した場合に、第2のコーン形状の孔107だけでも旋回流を発生させることが可能であるが、前記のような第1のコーン形状の孔106を併用すると旋回流101の増進作用を得ることができる。
旋回流101は、加圧された圧縮加熱雰囲気100がコーン形状の孔106,107を流れる際に孔軸に対して直角方向すなわち孔の半径方向への流れベクトルが与えられることによって発生する。
第1のコーン形状の孔106では、孔表面近傍において加圧された圧縮加熱雰囲気100による孔軸方向の流れ速度よりも半径方向の流れ速度(分力)が大きくなるように流れが発生し、これにより旋回流101が発生する。そして、この旋回流101はコアンダ効果により第2のコーン形状の孔107に流れ込んで流速が速くなり、旋回流が増進される。したがって、第2のコーン形状の孔107だけでも旋回流熱風102を発生させることは可能であるが、より好ましくは第1のコーン形状の孔106も併用するとよい。
なお、第2のコーン形状の孔107の先端側に設けてある円柱状の孔108は、先にも説明したように、吹き出し口109から吹き出す旋回流熱風102の指向性を向上させるために設けてある。
コーン形状の孔の形態としては、前記条件の場合に旋回流熱風102の良好な発生状態を確保することが可能である。そして、この旋回流熱風102は流れの乱れに費やされていたエネルギーを旋回方向流れの速度エネルギーに転換させるので、流れの乱れが減少すると共に低い圧力の圧縮加熱雰囲気でも高速で流れの整った旋回流熱風102を発生させることができる。
そして、旋回流熱風102がプリント配線板115に吹きつけられた後は、旋回したまま旋回還流熱風103として旋回還流手段110に吸い込まれる。
旋回還流手段110も前記旋回流熱風吹き出し手段105の孔軸と同軸に設けられたコーン形状の孔111で形成され、前記旋回流熱風吹き出し手段105の吹き出し口109を取り囲むように吸い込み孔すなわち還流口112を設けてある。そして、旋回還流手段110の先には吸気手段113を設けてある。したがって、旋回還流手段110はその周辺の雰囲気をコーン形状の先側へ向けて吸い込むことになる。
旋回還流手段110のコーン形状の孔111の側面が孔軸に対する角度θ3は、旋回流を減衰することなく増進させて還流させるために15°〜90°好ましくは15゜〜60゜の範囲で選定することが必用である。すなわち、旋回流熱風吹き出し手段105により旋回状態の熱風を板状の被はんだ付けワークに吹きつけているが、この旋回を減衰により消滅させることなく増進させ、旋回流の状態で還流させるためである。
つまり、プリント配線板115等の板状の被はんだ付けワークに吹きつけられた旋回流熱風102は、コーン形状の旋回還流手段110へ還流する際に孔軸に対して直角方向すなわち孔の半径方向への流れベクトルが与えられるので、旋回流が減衰することなく増進されて旋回流すなわち旋回還流熱風103として還流する。
プリント配線板115への旋回流熱風102の吹きつけとそれに続く旋回還流の際の旋回流の様子を、モデル図として図1Aでは孔軸方向の断面で示し図2では孔軸に概ね直交する面つまり旋回流熱風の吹きつけ手段を設けた板状部材の板面と並行な面で示している。
すなわち、実線の示すように旋回流熱風吹き出し手段105により旋回状態で広がりながら吹き出した熱風102は、プリント配線板115に吹きつけられて還流する際に、破線で示すように収束しながら旋回しつまり旋回半径を小さくしながら旋回速度を増し旋回還流熱風103として旋回還流手段110に還流する。
そして、この過程においてプリント配線板115に搭載された電子部品116の被はんだ付け部117に予め供給されたはんだを加熱し溶融させてはんだ付けが行われる。また、プリント配線板115は矢印A方向に搬送されるので、旋回流熱風102が万遍なくプリント配線板115ひいては電子部品116の被はんだ付け部117に吹きつけられる。
なお、このような旋回還流手段110を板状部材に配列して設けるが、金属製板状部材を金型を用いてプレス加工を施すことにより、このような加工が可能になる。
また、図3A,図3Bは旋回還流手段110を2段に角度が変化するコーン形状の孔111a、111bで構成した例を示す図で、孔軸方向に切断して見た図である。すなわち、孔軸に対する流入口側の角度θ4が還流側の角度θ5よりも大きく(θ4>θ5)なるように形成した例である。
このように構成することによって、旋回流熱風吹き出し手段105により旋回状態で広がりながらプリント配線板115に吹きつけられた旋回流熱風102を旋回還流手段110に吸い込む際に、その旋回の増進作用を一層大きくすることが可能になり、旋回流熱風102の吹きつけと旋回還流103を一層安定して行うことができるようになり、高速で流れの安定した熱風によりプリント配線板115ひいてはその被はんだ付け部117を加熱し溶融させてはんだ付けを行うことができるようになる。
また、図3Aの構成例では、旋回還流手段110の周囲に凸状リング110aを設けてある。すなわち、旋回還流手段110を取り囲むように凸状のリング110aを設けて周囲の平面から離隔するように構成している。これは、旋回還流手段110を形成した板状部材の板表面近傍を這うように流れて旋回還流手段110へ流入しようとする低温雰囲気の流れに抵抗を与える手段である。したがって、図1A,図1Bに例示する手段に設けてもよい。
なお、図3Aに例示する凸状リング110aもプレス加工で形成可能であるが、別途にリング状部品を作成して取り付けてもよい。また、図3Bに例示するように旋回還流手段110のコーン裾部111cが前記板面から飛び出すように構成してもよい。
(2)はんだ付け装置の構成例
次に、上記旋回流熱風吹き出し手段と旋回還流手段とで構成される旋回流熱風吹きつけ還流手段を用いた本発明のはんだ付け装置の構成例を図面を用いて説明する。
図4は、リフローはんだ付け装置の構成例を説明する図で、搬送コンベアの搬送方向に対する横断面で示した図である。なお、この図4は、搬送コンベアの上方側の加熱炉部分のみを示しているが、搬送コンベアの下方側にも対称形状に加熱炉が形成されている。
プリント配線板412は、ピン414で支持され搬送コンベア413により図面に対して直角方向に搬送される。
また、循環流路形成板407は炉体400内に雰囲気の循環流路を有する加熱室401を形成する。そして、加熱炉の炉体内にはモータ402で駆動されるファン403を設けてあり、このファン403の吐出口405側では雰囲気を加圧し圧縮して前記旋回流熱風吹き出し手段408へ供給すると同時に、吸い込み口404側では負圧を形成して雰囲気を吸い込む吸気手段を構成する。
また、雰囲気の循環流路内にはヒータ406を設けてあり、雰囲気の循環過程で加熱が行われる。そして、図示しない温度調節装置と温度センサにより前記ヒータ406に供給する電力を調節して炉体内雰囲気温度ひいてはプリント配線板412に吹きつける旋回流熱風410の温度が制御される。
一方で、搬送コンベア413で搬送されるプリント配線板412に面して旋回流熱風吹き出し手段408と旋回還流手段409とを図1A,図1Bや図2,図3A,図3Bで示すように設けてある。そのうち旋回流熱風吹き出し手段408はファン403の吐出口405側に接続されて圧縮加熱雰囲気が供給される。他方で、旋回還流手段409が嵌め合わされて、旋回流熱風吹き出し手段408と旋回還流手段409との間に形成された空間が前記ファン403の吸い込み口404側にすなわち吸気手段に接続されている。
したがって、搬送コンベア413により搬送されるプリント配線板412には、旋回流熱風吹き出し手段408で発生させた多数の旋回流熱風410が供給されて万遍なく吹きつけられ、プリント配線板412の被はんだ付け部に予め供給されたはんだを加熱し溶融させてはんだ付けが行われる。
そして、プリント配線板412に吹きつけられた旋回流熱風410は旋回還流手段409により旋回を増進しながら旋回還流熱風411として還流し、その後はファン403に還流して加圧された後にヒータ406により加熱されてから旋回流熱風吹き出し手段408へ再び供給される。すなわち、旋回状態の熱風を搬送コンベア413で搬送されるプリント配線板412に吹きつけその後も旋回状態で還流するので、旋回流が多数配列された状態で加熱雰囲気の循環が行われ、プリント配線板のリフローはんだ付けが行われる。
なお、図4のヒータ406に代えて冷媒を通したパイプ(熱交換手段)を設ければ、はんだ付けの完了したプリント配線板を冷却するための手段として応用することが可能である。
本発明のはんだ付け方法およびはんだ付け装置は、大型電子部品が搭載されたプリント配線板や微細で軽量な電子部品が高密度実装されたプリント配線板等々、被はんだ付けワークであるプリント配線板の種類が異なっても同じような加熱温度プロファイルが得られるので、極めて高い汎用性を有するリフローはんだ付け装置として利用できる。
旋回流熱風吹き出し手段と旋回還流手段の構成例を説明する図。 旋回流熱風吹き出し手段と旋回還流手段の構成例を説明する図。 旋回流熱風の吹き出しと還流を流線でモデル的に示した図。 旋回流熱風吹き出し手段と旋回還流手段の第2の構成例を説明する図。 旋回流熱風吹き出し手段と旋回還流手段の第2の構成例を説明する図。 旋回流熱風吹きつけ還流手段を用いたはんだ付け装置の構成例を説明する図
符号の説明
100 圧縮加熱雰囲気
101 旋回流
102 旋回流熱風
103 旋回還流熱風
105 旋回流熱風吹き出し手段
106 第1のコーン形状の孔
107 第2のコーン形状の孔
108 円柱状の孔
109 吹き出し口
110 旋回還流手段
110a 凸状リング
111 コーン形状の孔
111a 第1のコーン形状の孔
111b 第2のコーン形状の孔
111c 裾部
112 還流口
113 吸気手段
115 プリント配線板
116 電子部品
117 被はんだ付け部
400 炉体
401 加熱室
402 モータ
403 ファン
404 吸い込み口
405 吹き出し口
406 ヒータ
407 循環流路形成板
408 旋回流熱風吹き出し手段
409 旋回還流手段
410 旋回流熱風
411 旋回還流熱風
412 プリント配線板
413 搬送コンベア
414 ピン

Claims (6)

  1. 被はんだ付け部に予めはんだが供給された板状の被はんだ付けワークに面して、その板面方向の旋回ベクトル与えられてそれぞれが独立した回転軸座標をその吹き出し口内に有して回転運動を行うところの旋回流熱風の吹き出し手段とこの吹き出し手段の熱風吹き出し口を取り囲む方向であって前記板状の被はんだ付けワークに吹きつけられた旋回流熱風を旋回させて吸い込む旋回還流手段とから成る同軸状に構成された旋回流熱風吹きつけ還流手段を前記板状の被はんだ付けワークの板面に沿って多数設けることで多数の旋回流熱風を前記板状の被はんだ付けワークに吹きつけてさらに同軸状に旋回還流させることで吹き出し手段から吹き出す旋回流熱風が同軸状に旋回還流される流れを形成しておいて前記被はんだ付け部に供給された前記はんだを加熱し溶融させてはんだ付けを行うこと、を特徴とするはんだ付け方法。
  2. 請求項1記載のはんだ付け方法において、旋回流熱風の吹き出し手段が孔軸に対する熱風流入口側の角度が熱風吹き出し口側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔を備えて成ると共に熱風流入口側には加圧されて圧縮された加熱雰囲気が供給されて成り、他方で旋回還流手段が前記熱風吹き出し口を取り囲んで前記吹き出し手段のコーン形状とは逆向きのコーン形状に形成された孔で成ると共に旋回還流先側へ吸気されて成り、この旋回流熱風の吹き出し手段と旋回還流手段とから成る旋回流熱風吹きつけ還流手段を多数配列して設けることで多数の旋回流熱風を板状の被はんだ付けワークに吹きつけて被はんだ付け部に予め供給されたはんだを加熱し溶融させてはんだ付けを行うこと、を特徴とするはんだ付け方法。
  3. 請求項1記載のはんだ付け方法において、旋回流熱風の吹き出し手段が孔軸に対する熱風流入口側の角度が熱風吹き出し口側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔を備えて成ると共に熱風流入口側には加圧されて圧縮された加熱雰囲気が供給されて成り、他方で旋回還流手段が前記熱風吹き出し口を取り囲んで前記吹き出し手段のコーン形状の孔とは逆向きのコーン形状で孔軸に対する流入口側の角度が還流側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔を備えて成ると共に旋回還流先側へ吸気されて成り、この旋回流熱風の吹き出し手段と旋回還流手段とから成る旋回流熱風吹きつけ還流手段を多数設けることで多数の旋回流熱風を板状の被はんだ付けワークに吹きつけて被はんだ付け部に予め供給されたはんだを加熱し溶融させてはんだ付けを行うこと、を特徴とするはんだ付け方法。
  4. 旋回流熱風の吹き出し手段が孔軸に対する熱風流入口側の角度が熱風吹き出し口側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔を備えて成ると共に熱風流入口側には加圧されて圧縮された加熱雰囲気の供給手段を備えて成り、他方で旋回還流手段が前記熱風吹き出し口を取り囲んで前記吹き出し手段のコーン形状の孔とは逆向きのコーン形状に形成されて成ると共に旋回還流先側へ吸気する吸気手段を備えて成り、
    前記旋回流熱風の吹き出し手段と旋回還流手段とから成る旋回流熱風吹きつけ還流手段を板状の被はんだ付けワークの板面に面して多数設けると共に前記板状の被はんだ付けワークを旋回流熱風吹きつけ還流手段に面して搬送する搬送手段を備えて成ること、
    を特徴とするはんだ付け装置。
  5. 旋回流熱風の吹き出し手段が孔軸に対する熱風流入口側の角度が熱風吹き出し口側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔を備えて成ると共に熱風流入口側には加圧されて圧縮された加熱雰囲気の供給手段を備えて成り、他方で旋回還流手段が前記熱風吹き出し口を取り囲んで前記吹き出し手段のコーン形状の孔とは逆向きのコーン形状で孔軸に対する流入口側の角度が還流側の角度よりも大きくなるように形成された孔軸方向に少なくとも2段に角度が変化するコーン形状の孔を備えて成ると共に旋回還流先側へ吸気する吸気手段を備えて成り、
    前記旋回流熱風の吹き出し手段と旋回還流手段とから成る旋回流熱風吹きつけ還流手段を板状の被はんだ付けワークの板面に面して多数設けると共に前記板状の被はんだ付けワークを旋回流熱風吹きつけ還流手段に面して搬送する搬送手段を備えて成ること、
    を特徴とするはんだ付け装置。
  6. 前記請求項4または請求項5に記載のはんだ付け装置において、旋回流熱風の吹き出し手段の熱風吹き出し側コーン形状部分の先側に円柱状の孔が設けられると共にこの円柱状の孔の孔径に対する長さの比を1対4以下に設けたこと、を特徴とするはんだ付け装置。
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