JPH11172403A - マスキング治具及びシリンダの溶射方法 - Google Patents

マスキング治具及びシリンダの溶射方法

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JPH11172403A
JPH11172403A JP34458297A JP34458297A JPH11172403A JP H11172403 A JPH11172403 A JP H11172403A JP 34458297 A JP34458297 A JP 34458297A JP 34458297 A JP34458297 A JP 34458297A JP H11172403 A JPH11172403 A JP H11172403A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単気筒又は多気筒エンジンのシリンダライナ
に溶射皮膜を形成する際にシリンダヘッドとの合わせ面
及び/又は隣のボアに皮膜が付着することを防止できる
マスキング治具を提供する。 【解決手段】 単気筒エンジン又は多気筒エンジンのシ
リンダライナ摺動面に溶射を行う際、シリンダヘッドと
の合わせ面及び/又は隣のボアに溶射皮膜が付着するこ
とを防止する手段を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単気筒エンジン又
は多気筒エンジンのシリンダライナの摺動面に耐摩耗性
及び耐焼付性に優れる溶射皮膜を形成する際に用いるマ
スキング治具に関する。
【0002】
【従来の技術】図15、16のような多気筒エンジンの
シリンダライナに溶射ガン101からのプラズマジェッ
ト102によって溶射皮膜を形成する際は、シリンダヘ
ッドとの合わせ面104及び隣のボア105に皮膜が付
着するのを防止する必要がある。まず、図15に示すシ
リンダヘッドとの合わせ面104に関しては、皮膜を除
去して仕上げ加工しなければならない。このとき、付着
している皮膜106は、耐摩耗性の向上を目的としたも
のであるから、シリンダ材のアルミニウム合金と比較し
て加工が難しくなる。また、既に合わせ面の加工が終わ
っているものに溶射を行った場合には、再度同様の加工
をすることになり、工程上の無駄である。
【0003】次に、図16に示す隣のボア105に関し
ては、ボアの状態によって不具合が変わる。最初はボア
が既に溶射済の場合であるが、このときは、後加工のホ
ーニングの削り代の部分に皮膜が付着するので皮膜性状
的には問題ないが、全体が均一な膜厚の一部のみ膜厚が
増加するので、ホーニングの際の仕上がり精度が低下す
る原因となり易い。次に、ボア105がブラスト処理さ
れている場合であるが、このときは、後で溶射される面
に皮膜が付着してしまう。この皮膜は隣のボアの溶射時
のものであるから溶射距離が設定値よりかなり大きくな
っている。このため、皮膜の密着強さが低下する等皮膜
性状を悪化させる原因となり易い。最後にボア105が
ブラスト前で未処理の場合であるが、この時は後のブラ
スト処理の際に皮膜が除去できなくなったり、除去する
のに時間がかかる等の不都合を生じる。しかし、このよ
うな問題点を解決するマスキング治具に関しては、従来
特に提案されていない。単気筒エンジンでは、隣接する
ボアはないが、シリンダヘッドとの合わせ面の保護につ
いて、多気筒エンジンと同様の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記事情に対して、本
発明は、単気筒又は多気筒エンジンのシリンダライナに
溶射皮膜を形成する際にシリンダヘッドとの合わせ面及
び/又は隣のボアに皮膜が付着することを防止できるマ
スキング治具を提供することを目的とする。さらに、本
発明は、単気筒又は多気筒エンジンのシリンダライナに
溶射皮膜を形成する際にシリンダヘッドとの合わせ面及
び/又は隣のボアに皮膜が付着することを防止できると
共に、シリンダごとへの着脱をなくすようにしたマスキ
ング治具を提供することを目的とする。またさらに、本
発明は、様々なボア径のシリンダに対応することができ
る汎用性を持ったマスキング治具を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明にかかるマスキング治具では、単気筒エンジ
ン又は多気筒エンジンのシリンダライナ摺動面に溶射を
行う際、シリンダヘッドとの合わせ面及び/又は隣のボ
アに溶射皮膜が付着することを防止する手段を設けた。
本発明では、各気筒のボア位置に開口部を設けることが
できる。これによって、各ボアの溶射の際にマスキング
治具を取り替えなくても済む。上記溶射皮膜が付着する
ことを防止する手段は、上記開口部同士の間に設けた上
向きの支柱とすることができる。
【0006】本発明では、マスキング治具上面の開口部
分に着脱自在のアタッチメントを設けることができる。
このような構成とすることにより、マスキング治具に皮
膜が堆積し、治具交換が必要になったとき、アタッチメ
ントを交換するだけで済む。また、溶射するシリンダの
ボア径に応じた径のアタッチメントに交換するだけで他
の種類のシリンダに対応することができ、汎用性が高く
なる。さらに、多品種生産に応じたアタッチメントだけ
を準備すれば良いので、治具の保管場所が少なくて済
む。
【0007】本発明では、マスキング治具をシリンダが
スライド可能なトンネル形状に構成し、該マスキング治
具の上面にシリンダボア内面を溶射するための開口部を
設けるようにすることができる。これによって、シリン
ダごとにマスキング治具をセットする必要がなくなり、
量産性が高くなる。また、溶射したいボア用の開口部以
外はマスクされているため、シリンダヘッドとの合わせ
面及び他のボアに溶射皮膜が付着しない。
【0008】本発明では、マスキング治具上面の開口部
中心軸が、ターンテーブル中心軸又は溶射ガン公転軸と
一致するようにすることができる。これによって、ター
ンテーブルにシリンダをセットして回転させる場合で
も、溶射ガンを公転させて溶射する場合でも、常に開口
部中心軸が回転中心となり好都合である。
【0009】本発明は上記のようなシリンダがスライド
可能なトンネル形状に構成したマスキング治具を用いた
シリンダ溶射方法もその一側面として含み、かかる方法
によれば、シリンダをマスキング治具の下でスライドさ
せ、単気筒又は多気筒エンジンのシリンダの各ボアをマ
スキング治具上面の開口部に順次合わせて溶射すること
もできる。これによって、マスキング治具を固定したま
ま、単気筒エンジン、多気筒エンジン等全てのシリンダ
に溶射することができ、シリンダごとのマスキング治具
の着脱が不要となり、量産に向いている。加えて、シリ
ンダごとにマスキングした場合に比べて、治具の数が極
めて少なくて済むため、保管場所や治具の移動が少なく
て済む。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に添付図面に示した実施の形
態を参照しながら、本発明を説明する。なお、これらの
実施の形態は、本発明をより具体的に示すものであっ
て、これらの実施の形態によって本発明が限定されるも
のではない。実施の形態(その1) 図1に本実施の形態にかかるマスキング治具1を示す。
このマスキング治具1は、シリンダヘッドとの合わせ面
の各気筒のボア位置に合わせ、開口部2を有する。さら
に、図1、2に示すように各開口部2間に上向の支柱3
を設けている。開口部2は、その直径がボアの直径未満
の値となるように設定している。図2に示すように、支
柱3は、ジェットの吹出口4から隣のボアに引いた二本
の接線5、5より支柱3の端部が外になるような幅を有
し、図3に示すように高さを10〜50mmとしてい
る。
【0011】本実施の形態のマスキング治具1の材質
は、入手及び加工が比較的容易な鉄又はアルミニウム合
金等が適している。また、板厚は、溶射の際の熱で変形
しない程度であれば特に問題はない。本実施の形態のマ
スキング治具1は、各気筒のボア位置に開口部2を有す
るプレートにより、溶射皮膜が付着するのが好ましくな
いシリンダヘッドとの合わせ面を覆ってしまうので、こ
のような合わせ面に皮膜が付着することがない。また、
各開口部2間にある支柱3により隣のボアに皮膜が付着
するのを防いでいる。開口部2の直径は、ボアの直径以
上であると皮膜がシリンダとの合わせ面の方まではみ出
してしまう。さらに、マスキング治具1に付着した皮膜
とシリンダライナに付着した皮膜がくっついてしまうの
で、マスキング治具を取り外す際にシリンダライナ側の
皮膜に欠けや剥離を生じ易い。そこで、先に述べたよう
に、開口部2の直径をボアの直径より小さく設定するこ
とが好ましい。開口部2の直径は、マスキング治具1側
とシリンダライナ側に付着した皮膜がつながらないこと
と、マスキング治具1の影になって皮膜が付着しない部
分が多くなり過ぎないことを条件とすると、ボアの直径
より0.5〜2mm小さい値が好ましい範囲である。
【0012】支柱3は、隣のボアがジェットの吹き出し
口4から影になるように配置されなければならない。そ
れによって、支柱3がなかった場合にボア内まで飛来し
た溶射粒子が支柱3で止められ、隣のボアに皮膜が付着
することがなくなる。そこで、図2について先に述べた
ように、支柱3の幅をジェットの吹き出し口4から隣の
ボアに引いた二本の接線5、5より支柱3の端部が外に
なるように設定すれば、溶射粒子がボア内に入らない。
【0013】溶射の開始や終了地点付近は、膜厚が他の
部分より小さい等の問題があるため、部品への溶射の際
には、開始及び終了点を部品の外へ持って来るのが一般
的である。つまり、シリンダライナへの溶射では、シリ
ンダライナ上端より上部が実際の溶射終了地点となる。
通常は、上端より5〜30mm程度上の位置まで溶射を
行うので、その間に隣のボアに皮膜が付着するのを防止
しなければならない。また、プラズマジェットに乗って
飛んでいる溶射粒子は、ある程度の広がりを持っている
ので、支柱3の高さが溶射終了地点と同じでは全ての溶
射粒子を止めることはできない。そこで、前述のように
図3に示すごとく、支柱3の高さは、10〜50mmが
好ましい範囲である。
【0014】実施の形態(その2) 図4から図14に、本発明の他の実施の形態を示す。上
記実施の形態(その1)は、従来あった問題を解消して
いる。ただし、マスキング治具の着脱の時間がかかり、
取り外したマスキング治具を取り付け場所に移動しなく
てはならず、機種ごとに違ったマスキング治具が必要で
ある等の改良すべき点がある。本実施の形態(その2)
では、さらにこれらの点についても対応がなされてい
る。図4から6に、本実施の形態によるマスキング治具
51をシリンダ溶射用ターンテーブル52上に設置した
状態を示す。マスキング治具51は、ターンテーブル5
2上に固定され、シリンダ53が矢印B―B方向にスラ
イドできるように前後方向が開放されたトンネル形状を
なしている。これにより、設置したマスキング治具51
の下をスライドレール54等を利用して次々にシリンダ
53が設置もしくは移動でき、シリンダ53ごとにマス
キング治具51を着脱する必要がなくなる。また、マス
キング治具51の上面は、シリンダボア内面の溶射に必
要な内径溶射ガン55が入るための開口部56が設けて
あり、それ以外の部分は、シリンダヘッド面及びシリン
ダ外周に溶射皮膜が形成しないように十分な幅だけ遮蔽
されている。
【0015】図4から6では、マスキング治具51は完
全なトンネル形状をしているが、マスキング治具51の
側面57部分は、つながっている必要はなく、支柱とし
て何本かに別れていてもかまわない。トンネル長さ(図
7のL)は、単気筒でも多気筒でも、溶射ガンを一番高
く上げた時にシリンダ53に溶射フレームがかかる範囲
をマスキングできるよう遮蔽板58を設けておけば良
い。また、トンネルの幅(図7のW)は、シリンダ53
がスライドするのに十分な広さがあれば良い。加えて、
製造予定の一番大きいシリンダに合わせてトンネル幅を
設計すると共に、マスキング治具51の高さの調整がで
きるようにしておけば、全てのシリンダがマスキング治
具の下を通過できるようになる。
【0016】溶射を行う場合、基材と溶射ガンとの距離
が安定した皮膜作りの重要な因子となる。したがって、
シリンダボア内面のような内径溶射の場合、図7に示す
ように、ターンテーブル上にワーク53を固定し、ター
ンテーブル中心軸C1とワーク内径中心軸(ここでは溶
射したいシリンダボア59の中心軸)C2を一致させて
回転させ、内径溶射ガンをボア59内に送り込むことに
より、一定の溶射距離を保って溶射できる。また、ター
ンテーブル上にワーク53を固定しなくても、溶射ガン
55が公転して一定の溶射距離を保つ方法もあるが、こ
の場合も、図8に示すように、溶射ガン公転軸C3とワ
ーク内径中心軸(溶射したいシリンダボア59の中心
軸)C2を一致させる必要がある。
【0017】そして、マスキング治具51上面の開口部
56は、シリンダボア59を溶射するための内径溶射ガ
ン55の通り道であり、ターンテーブルによりシリンダ
53及びマスキング治具51が回転している場合でも、
内径溶射ガン55が公転している場合でも、溶射ガン5
5と接触せず、溶射時に不要な影を作らないためには溶
射したいシリンダボア中心軸C2とマスキング治具51
上面の開口部56の中心軸C4が一致していなければな
らない。図9のようにずれていると、シリンダヘッドの
合わせ面上に皮膜61が堆積してしまうこととなる。す
なわち、マスキング治具51上面の開口部56中心軸C
4は、ターンテーブル中心軸C1もしくは内径溶射ガン
公転軸C3と一致していなければならない。
【0018】以上の条件が満たされることで単気筒でも
多気筒シリンダでも順次各ボア中心軸をマスキング治具
51上面の開口部56中心軸C4と合うようにスライド
させ、溶射することで、一つのマスキング治具51で連
続してシリンダボア59内面の溶射ができ、治具の着脱
等不要な時間を取らずに済むことで量産性が上がる。加
えて、シリンダ53一つ一つにマスキング治具を付ける
場合、数多くの治具を保管しなくてはならないのに対し
て、トンネルの幅、高さ調整等の工夫をすることで、一
つのマスキング治具ですべてのシリンダに対応すること
も可能となる。
【0019】シリンダ53とマスキング治具51の隙間
部分を拡大したものを図10に示す。図中D1 はシリン
ダボア内径、D2 はマスキング治具51上面の開口部5
6内径、Δhはシリンダ53とマスキング治具51との
隙間を示す。シリンダ53とマスキング治具51の隙間
Δhは、あまり狭いとシリンダ53をスライド又はシリ
ンダ回転時にシリンダ53とマスキング治具51が接触
して傷付あったり、かみ込みが生じてシリンダ53がス
ライドしにくくなったりする。また、あまり広いと、シ
リンダヘッドとの合わせ面を保護するために、マスキン
グ治具51の開口部56の内径D2 をかなり小さくしな
くてはならず、溶射ガン55との接触等の問題が生じ
る。したがって、0.5≦Δh≦5mm程度が良く、よ
り好ましくは、0.5≦Δh≦2mm程度が良い。
【0020】図11に示すように、マスキング治具51
上面の開口部56の内径D2 は、あまり小さいと内径溶
射ガン55が通過する際に接触を起こしたり、溶射フレ
ームにあぶられて治具が溶けてしまったり、マスキング
治具51の影になってシリンダボア59上部で皮膜が堆
積しない部分が広く存在したりする。また、図12に示
すように、逆に大きすぎるとシリンダヘッドとの合わせ
面が保護できず、皮膜63が堆積してしまう。
【0021】市販の溶射ガンでは、溶射フレームが45
deg、60deg、90degで吹き出すものがあ
る。90degの溶射ガンでは、溶射フレームの吹き出
し角度とシリンダヘッドとの合わせ面がほぼ平行である
ため、シリンダヘッドとの合わせ面に皮膜は堆積されに
くい。したがって、90degの場合、他のボアにフレ
ームが届かなければ良いため、D1 ≧D2 であれば良
い。45deg、60degの場合は、図13に示した
ように、D2 ≦D1 −2・Tanθ・Δhであれば、シ
リンダヘッドとの合わせ面に皮膜は堆積しない。ここで
θは、溶射フレーム64の角度であり、この角度はボア
の中心線に対する溶射ガンの噴射口の角度として定義さ
れる。
【0022】また、図14に示すように、ピストン65
の摺動を考慮して、シリンダボア59上部では、シリン
ダボア59を摺動するピストン65のピストンヘッド6
6から1stピストンリング67の溝68の上端までの
長さΔtに相当する部分がピストン65及びピストンリ
ング67と接触しない。したがって、シリンダボア上部
Δtまで皮膜が形成されなくても良いとすると、D1
2・Tanθ(Δh+Δt)≦D2 となる。したがっ
て、 D1 −2・Tanθ(Δh+Δt)≦D2 ≦D1 −2・
Tanθ・Δh の範囲が好ましい。ただし、溶射ガン55の太さ、溶射
距離を考慮して、マスキング治具51の溶解や溶射ガン
55との接触は避けなくてはならない。
【0023】開口部56の内径D2 を隙間Δhとシリン
ダD1 で表したが、機種によってD 1 が違う以上、必要
とされる内径D2 も変化して来る。したがって、開口部
56だけアタッチメント方式で取り換えれば、シリンダ
ボア59に関しては、全てのシリンダに対応可能とな
る。すなわち、本実施の形態では、アタッチメント69
を設けている。先に述べたように、トンネルの幅を予定
されている一番大きいシリンダ53に合わせると共にマ
スキング治具51の高さ調整ができるようにしておけ
ば、汎用性を持たせることができる。また、マスキング
治具51のメンテナンス部分としては、皮膜が堆積する
開口部56となり、アタッチメント69を皮膜が堆積す
る領域に広げて交換すればメンテナンス性も向上する。
アタッチメント69は、図10では断面カギ形で示した
が、この形状にとらわれるものではなく、簡単に取り換
えられる形であればどのような形状でも良い。
【0024】溶射材料については、ボア内面に耐摩耗性
を付与するためのものであれば、金属、サーメット等特
に限定されるものではない。その他、本発明は、上記実
施の形態に限定されるものではなく、当業者にとって自
明な、変形、付加等は全て本発明の技術的範囲に含まれ
る。
【0025】
【実施例】実施例1 ボアの直径76mm、ボア間のピッチ85mmの4気筒
シリンダブロックに溶射を行った。マスキング治具は、
図1から図3について説明した実施の形態にかかるもの
を用いた。板厚8mm、開口部の直径75mm、支柱の
幅80mm、支柱の高さ40mmであった。溶射は、表
1の条件でマスキング治具を取り付けた場合とそうでな
い場合について比較した。
【0026】
【表1】 マスキング治具を取付なかったものは、シリンダヘッド
との合わせ面及び隣のボアに皮膜が付着してしまった
が、マスキング治具を取り付けたものは、全く皮膜の付
着は見られなかった。
【0027】実施例2 ボア直径D1 76mm、ボア間のピッチ85mmの4気
筒シリンダブロックを、図4の治具を用いて、ターンテ
ーブルに載せて溶射した。マスキング治具51のトンネ
ル長さは250mm(今回の溶射では、内径溶射ガン5
5吹き出し口がシリンダヘッド合わせ面から50mm離
れた所で退避させた)。トンネル幅は、380mm、シ
リンダ53との隙間Δhは、3mm、マスキング治具5
1の開口部56の内径D2 は68mmとした。また、シ
リンダ溶射の際の溶射条件は表1示したと同様であっ
た。溶射ガン55の溶射フレーム吹き出し角度θは、4
5degであるから、マスキング治具51の開口部56
の内径D2は64≦D2 ≦70であり、D2 =68mm
は範囲内であることが了解される。上記条件で4気筒シ
リンダを溶射したところ、溶射中他のボアに皮膜が堆積
したり、シリンダヘッドとの合わせ面に皮膜が堆積する
ことはなく、効率良く溶射できることが確認された。
【0028】
【発明の効果】上記したところから明かなように、本発
明によれば、単気筒又は多気筒エンジンのシリンダライ
ナに溶射皮膜を形成する際にシリンダヘッドとの合わせ
面及び/又は隣のボアに皮膜が付着することを防止でき
るマスキング治具が提供される。さらに、本発明によれ
ば、単気筒又は多気筒エンジンのシリンダライナに溶射
皮膜を形成する際にシリンダヘッドとの合わせ面及び/
又は隣のボアに皮膜が付着することを防止できると共
に、シリンダごとへの着脱をなくすようにしたマスキン
グ治具が提供される。またさらに、本発明によれば、様
々なボア径のシリンダに対応することができる汎用性を
持ったマスキング治具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるマスキング治具の一実施の形態
を説明する斜視図である。
【図2】本発明にかかるマスキング治具の一実施の形態
を説明する部分平面図である。
【図3】本発明にかかるマスキング治具の一実施の形態
を説明する部分側面図である。
【図4】本発明にかかるマスキング治具の他の実施の形
態について、使用状態を説明する斜視図である。
【図5】本発明にかかるマスキング治具の他の実施の形
態について、使用状態を説明する側面図である。
【図6】本発明にかかるマスキング治具の他の実施の形
態について、使用状態を説明する正面図である。
【図7】本発明にかかるマスキング治具の他の実施の形
態について、使用状態を説明する平面図である。
【図8】本発明にかかるマスキング治具を用いて溶射を
行う際の溶射ガンの動きを説明する平面図である。
【図9】本発明のマスキング治具を使用する際の開口部
とシリンダボアの位置関係を説明する部分断面図であ
る。
【図10】図6のA部拡大図である。
【図11】本発明のマスキング治具の開口部の内径とシ
リンダボアの内径の関係を説明する断面図である。
【図12】本発明のマスキング治具の開口部の内径とシ
リンダボアの内径の関係を説明する断面図である。
【図13】本発明のマスキング治具を使用する際の溶射
フレームの角度と、他の諸元との関係を説明する部分断
面図である。
【図14】本発明のマスキング治具を使用する際のピス
トンリング及び溝と、他の諸元との関係を説明する部分
断面図である。
【図15】従来の溶射方法を説明する概念的平面図であ
る。
【図16】従来の溶射方法を説明する概念的平面図であ
る。
【符号の説明】
1、51 マスキング治具 2、56 開口部 3 支柱 4 ジェットの吹出口 52 ターンテーブル 53、104 シリンダ 54 スライドレール 55、101 内径溶射ガン 58 遮蔽板 59 シリンダボア 65 ピストン 69 アタッチメント
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 春彦 静岡県浜松市高塚町300番地 スズキ株式 会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単気筒エンジン又は多気筒エンジンのシ
    リンダライナ摺動面に溶射を行う際、シリンダヘッドと
    の合わせ面及び/又は隣のボアに溶射皮膜が付着するこ
    とを防止する手段を設けたことを特徴とするマスキング
    治具。
  2. 【請求項2】 各気筒のボア位置に開口部を設けたこと
    を特徴とする請求項1のマスキング治具。
  3. 【請求項3】 上記開口部同士の間に上向きの支柱を設
    けたことを特徴とする請求項1又は2のマスキング治
    具。
  4. 【請求項4】 請求項1のマスキング治具において、マ
    スキング治具上面の開口部分に着脱自在のアタッチメン
    トを設けたことを特徴とするマスキング治具。
  5. 【請求項5】 請求項1又は4のマスキング治具におい
    て、マスキング治具をシリンダがスライド可能なトンネ
    ル形状に構成し、該マスキング治具の上面にシリンダボ
    ア内面を溶射するための開口部を設けたことを特徴とす
    るマスキング治具。
  6. 【請求項6】 請求項1、4、又は5のいずれかのマス
    キング治具において、マスキング治具上面の開口部中心
    軸が、ターンテーブル中心軸又は溶射ガン公転軸と一致
    するようにしたことを特徴とするマスキング治具。
  7. 【請求項7】 シリンダをマスキング治具の下でスライ
    ドさせ、単気筒又は多気筒エンジンのシリンダの各ボア
    をマスキング治具上面の開口部に順次合わせて溶射する
    ことを含む請求項1、4、5、又は6のいずれかのマス
    キング治具を用いた単気筒又は多気筒エンジンのシリン
    ダの溶射方法。
JP34458297A 1997-12-15 1997-12-15 マスキング治具及びシリンダの溶射方法 Expired - Fee Related JP3856256B2 (ja)

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