JP2015117148A - チューブ状アルミニウムケイ酸塩及びアルミニウムケイ酸塩の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外的応力に対する耐久性に優れるチューブ状アルミニウムケイ酸塩を提供する。【解決手段】チューブ状アルミニウムケイ酸塩は、27Al−NMRスペクトルにおいて、ピークトップの位置が−10〜10ppmの領域内にあり、半値幅が5〜12ppmであるピークを少なくとも一つ有することを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、チューブ状アルミニウムケイ酸塩及びチューブ状アルミニウムケイ酸塩の製造方法に関する。
従来、チューブ状アルミニウムケイ酸塩として、イモゴライトが知られている。イモゴライトとは、火山灰及び軽石等の降下火山噴出物を母材とする土壌に現れる天然の粘土成分の一種で、ナノサイズのチューブ状非晶質アルミニウムケイ酸塩である。このチューブ状アルミニウムケイ酸塩は、主な構成元素をケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)及び水素(H)とし、多数の≡Si−O−Al≡結合で構成され、その形状は、外径2.0〜3.0nm、内径0.5〜1.5nm、長さ数十nm〜数μmのナノチューブ状構造である。
チューブ状アルミニウムケイ酸塩は、その特異な形状により、高い比表面積を有し、更に、水との親和性やイオン交換能、物質吸着性等に優れることが知られており、様々な分野に応用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、それらの特性を発揮するチューブ状アルミニウムケイ酸塩の構造については様々な報告がなされており、例えば、チューブ状アルミニウムケイ酸塩のSi/Al比の違いが金属イオン吸着性及びその選択性に影響を与えることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、これまでのチューブ状アルミニウムケイ酸塩に関する報告では、チューブ状構造の均一性については何ら言及されていない。チューブ状構造が均一でない部分、すなわち、チューブ状をなしていない部分が存在すると、チューブ状アルミニウムケイ酸塩の構造全体が不安定になり、外的応力に対する耐久性が大きく低下する。そうすると、例えば、チューブ状アルミニウムケイ酸塩を所定の材料中で分散させて使用する場合等において、分散工程中にチューブ状構造が崩壊し、期待される特性を得ることができない場合がある。
そこで、本発明の課題は、外的応力に対する耐久性に優れるチューブ状アルミニウムケイ酸塩及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明によれば、
27Al−NMRスペクトルにおいて、−10〜10ppmの間に少なくとも一つのピークを有し、当該ピークの半値幅が5ppm以上12ppm以下であることを特徴とするチューブ状アルミニウムケイ酸塩が提供される。
27Al−NMRスペクトルにおいて、−10〜10ppmの間に少なくとも一つのピークを有し、当該ピークの半値幅が5ppm以上12ppm以下であることを特徴とするチューブ状アルミニウムケイ酸塩が提供される。
本発明によれば、外的応力に対する耐久性に優れるチューブ状アルミニウムケイ酸塩及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《チューブ状アルミニウムケイ酸塩》
本発明のチューブ状アルミニウムケイ酸塩(イモゴライト)は、27Al−NMRスペクトルにおいて、ピークトップの位置が−10〜10ppmの領域内にあり、半値幅が5〜12ppmであるピークを少なくとも一つ有する。
本発明のチューブ状アルミニウムケイ酸塩(イモゴライト)は、27Al−NMRスペクトルにおいて、ピークトップの位置が−10〜10ppmの領域内にあり、半値幅が5〜12ppmであるピークを少なくとも一つ有する。
本発明において、27Al−NMRスペクトルは、日本電子社製核磁気共鳴スペクトルJNM−LA400を用い、下記の測定条件で得ることができる。
Field Strength:9.298T(400MHz)
X_Freq:103.1(MHz)
Scans:512
Relaxation_Delay:2(s)
Dim_Size:16384
化学シフト値基準:α−アルミナを3.94ppm
Field Strength:9.298T(400MHz)
X_Freq:103.1(MHz)
Scans:512
Relaxation_Delay:2(s)
Dim_Size:16384
化学シフト値基準:α−アルミナを3.94ppm
図1に、本発明に係るチューブ状アルミニウムケイ酸塩の27Al−NMRスペクトルの一例を示す。
図1に示す27Al−NMRスペクトルにおいては、ピークトップが−10〜10ppmの領域内にあり、半値幅が5〜12ppmであるピークが現れている。−10〜10ppmの領域内に現れるピークは、6配位構造のアルミニウムに由来するものであることが一般に知られているが、本発明においては、当該ピークの半値幅が5〜12ppmとなっている。チューブ状アルミニウムケイ酸塩が、27Al−NMRスペクトルにおいてこのようなピークを有することにより、均一性の高いチューブ状構造を得ることができ、外的応力に対して高い耐久性を持たせることができる。−10〜10ppmの領域内にあるピークの半値幅が5ppm未満であると、当該ピークは、チューブ状アルミニウムケイ酸塩に由来するものではなく、製造時に生成される副生成物のピークに由来するものと推定される。一方、−10〜10ppmの領域内にあるピークの半値幅が12ppmを超えていると、チューブ状をなしていない部分を含むと推定され、外的応力に対する耐久性が低いものとなる。
なお、チューブ状アルミニウムケイ酸塩は、27Al−NMRスペクトルにおいて、−10〜10ppmの領域内に半値幅が5〜12ppmのピークを少なくとも一つ有していれば良く、当該領域内に更に別のピークを有していても良い。
なお、チューブ状アルミニウムケイ酸塩は、27Al−NMRスペクトルにおいて、−10〜10ppmの領域内に半値幅が5〜12ppmのピークを少なくとも一つ有していれば良く、当該領域内に更に別のピークを有していても良い。
また、本発明に係るチューブ状アルミニウムケイ酸塩は、更に、29Si−NMRスペクトルにおいて、ピークトップの位置が−90〜−70ppmの領域内にあり、半値幅が1〜10ppmであるピークを少なくとも一つ有することが好ましい。
本発明において、29Si−NMRスペクトルは、日本電子社製核磁気共鳴スペクトルJNM−LA400を用い、下記の測定条件で得ることができる。
Field Strength:9.298T(400MHz)
X_Freq:78.65(MHz)
Scans:128
Relaxation_Delay:600(s)
Dim_Size:8192
Field Strength:9.298T(400MHz)
X_Freq:78.65(MHz)
Scans:128
Relaxation_Delay:600(s)
Dim_Size:8192
図2に、本発明に係るチューブ状アルミニウムケイ酸塩の29Si−NMRスペクトルの一例を示す。
図2に示す29Si−NMRスペクトルにおいては、ピークトップが−90〜−70ppmの領域内にあり、半値幅が1〜10ppmであるピークが現れている。−90〜−70ppmの領域内に現れるピークは、HO−Si−(OAl)3に由来するものであって、チューブ状アルミニウムケイ酸塩やアロフェンに特有のピークであることが一般に知られている。本発明においては、当該ピークの半値幅が1〜10ppmとなっていることにより、より均一なチューブ状構造を得ることができ、外的応力に対してより高い耐久性を持たせることができる。
なお、チューブ状アルミニウムケイ酸塩は、29Si−NMRスペクトルにおいて、−90〜−70ppmの領域内に半値幅が5〜12ppmのピークを少なくとも一つ有していれば良く、当該領域内に更に別のピークを有していても良い。
なお、チューブ状アルミニウムケイ酸塩は、29Si−NMRスペクトルにおいて、−90〜−70ppmの領域内に半値幅が5〜12ppmのピークを少なくとも一つ有していれば良く、当該領域内に更に別のピークを有していても良い。
上記した本発明のチューブ状アルミニウムケイ酸塩を製造する方法としては、27Al−NMRスペクトルにおいて上記ピークを有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩を得られる方法であれば、いずれの製造方法であっても良いが、チューブ状アルミニウムケイ酸塩を得る上で好適な製造方法について以下説明する。
《チューブ状アルミニウムケイ酸塩の製造方法》
本発明のチューブ状アルミニウムケイ酸塩の製造方法は、無機アルミニウム化合物溶液及び尿素又はアンモニアを混合した混合液を加熱する第1工程と、無機ケイ素化合物をイオン交換体で処理して得られる電気伝導率5〜500μS/cmのオルトケイ酸溶液を、前記混合液に加えて加熱する第2工程と、を有する。
このように、オルトケイ酸溶液を加える前に、無機アルミニウム化合物溶液と尿素又はアンモニアの混合液を加熱する第1工程を行うことによって、安定的なギブサイト構造を形成させてから、これにオルトケイ酸を反応させることができる。このように反応させることで、均一なチューブ状構造を有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩を得ることができる。
このような製造方法で用いられる各材料や条件等について、以下、具体的に説明する。
本発明のチューブ状アルミニウムケイ酸塩の製造方法は、無機アルミニウム化合物溶液及び尿素又はアンモニアを混合した混合液を加熱する第1工程と、無機ケイ素化合物をイオン交換体で処理して得られる電気伝導率5〜500μS/cmのオルトケイ酸溶液を、前記混合液に加えて加熱する第2工程と、を有する。
このように、オルトケイ酸溶液を加える前に、無機アルミニウム化合物溶液と尿素又はアンモニアの混合液を加熱する第1工程を行うことによって、安定的なギブサイト構造を形成させてから、これにオルトケイ酸を反応させることができる。このように反応させることで、均一なチューブ状構造を有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩を得ることができる。
このような製造方法で用いられる各材料や条件等について、以下、具体的に説明する。
(1)第1工程
(1.1)無機アルミニウム化合物溶液
無機アルミニウム化合物溶液を構成するアルミニウム源としては、溶媒和した際にアルミニウムイオンが生じるものであれば特に制限されない。そのようなアルミニウム源としては、例えば、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミニウムsec−ブトキシド等が挙げられる。
(1.1)無機アルミニウム化合物溶液
無機アルミニウム化合物溶液を構成するアルミニウム源としては、溶媒和した際にアルミニウムイオンが生じるものであれば特に制限されない。そのようなアルミニウム源としては、例えば、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミニウムsec−ブトキシド等が挙げられる。
溶媒としては、原料であるアルミニウム源と溶媒和しやすいものを適宜選択して使用することができる。具体的には、例えば、水、アルコール類等を使用することができる。塩の溶解性及び加熱時の取扱い易さの観点から、水を用いることが好ましい。
(1.2)尿素又はアンモニア
尿素又はアンモニアとしては、いずれか一方を用いれば良く、所定の濃度に調整された溶液として添加することが取扱い性の観点から好ましい。
尿素又はアンモニアとしては、いずれか一方を用いれば良く、所定の濃度に調整された溶液として添加することが取扱い性の観点から好ましい。
(1.3)加熱処理
第1工程においては、無機アルミニウム化合物溶液と尿素又はアンモニアを混合した後、混合液を加熱する処理を行う。
このときの加熱温度及び加熱時間は、特に制限されないが、例えば、80〜120℃で1時間以上加熱することが好ましい。
加熱温度が120℃以下であると、副生成物であるベーマイト(一水和アルミニウム酸化物)の析出を抑制することができる傾向がある。
加熱温度が80℃以上であると、尿素の熱分解とそれに続く第2工程でのチューブ状アルミニウムケイ酸塩の合成速度が向上し、生産性を向上させることができる。
また、加熱時間が1時間以上であると、安定的なギブサイト構造を十分に形成させることができ、続く第2工程で十分な長さのチューブ状構造を有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩を合成することができる。
第1工程においては、無機アルミニウム化合物溶液と尿素又はアンモニアを混合した後、混合液を加熱する処理を行う。
このときの加熱温度及び加熱時間は、特に制限されないが、例えば、80〜120℃で1時間以上加熱することが好ましい。
加熱温度が120℃以下であると、副生成物であるベーマイト(一水和アルミニウム酸化物)の析出を抑制することができる傾向がある。
加熱温度が80℃以上であると、尿素の熱分解とそれに続く第2工程でのチューブ状アルミニウムケイ酸塩の合成速度が向上し、生産性を向上させることができる。
また、加熱時間が1時間以上であると、安定的なギブサイト構造を十分に形成させることができ、続く第2工程で十分な長さのチューブ状構造を有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩を合成することができる。
なお、上記加熱処理を行う前に、無機アルミニウム化合物溶液と尿素又はアンモニアの混合液のpHを3.0〜7.0に調整することが好ましい。pHの測定は、後述する方法により行うことができる。
(2)第2工程
(2.1)無機ケイ素化合物溶液
無機ケイ素化合物溶液を構成するケイ素源としては、溶媒和した際にケイ酸イオンが生じるものであれば特に制限されない。そのようなケイ素源としては、例えば、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、水ガラス等が挙げられる。
(2.1)無機ケイ素化合物溶液
無機ケイ素化合物溶液を構成するケイ素源としては、溶媒和した際にケイ酸イオンが生じるものであれば特に制限されない。そのようなケイ素源としては、例えば、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、水ガラス等が挙げられる。
溶媒としては、原料であるケイ酸源と溶媒和しやすいものを適宜選択して使用することができる。具体的には、例えば、水、アルコール類等を使用することができる。塩の溶解性及び加熱時の取扱い易さの観点から、水を用いることが好ましい。
また、イオン交換時にケイ酸からポリケイ酸が生成することを抑制する観点から、イオン交換体による処理時の無機ケイ素化合物溶液のケイ素濃度は20mM以下であることが好ましい。
(2.2)イオン交換体
無機ケイ素化合物溶液のイオン交換処理に用いられるイオン交換体は、陰イオン交換体や陽イオン交換体が用いられる。陰イオン交換体としては、陰イオン交換膜等が挙げられ、陽イオン交換体としては、陽イオン交換樹脂、陽イオン交換膜等が挙げられ、特に限定されるものではないが、イオン交換能が高いことやケイ素の濃度管理が容易なことから陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。具体的には、処理後に得られるオルトケイ酸溶液の電気伝導率を5〜500μS/cmとすることができるものであれば、従来公知のいずれのイオン交換体を用いても良い。
無機ケイ素化合物溶液のイオン交換処理に用いられるイオン交換体は、陰イオン交換体や陽イオン交換体が用いられる。陰イオン交換体としては、陰イオン交換膜等が挙げられ、陽イオン交換体としては、陽イオン交換樹脂、陽イオン交換膜等が挙げられ、特に限定されるものではないが、イオン交換能が高いことやケイ素の濃度管理が容易なことから陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。具体的には、処理後に得られるオルトケイ酸溶液の電気伝導率を5〜500μS/cmとすることができるものであれば、従来公知のいずれのイオン交換体を用いても良い。
陽イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂及び弱酸性陽イオン交換樹脂のいずれを用いても良く、複数組み合わせて用いるものとしても良い。
強酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライトIR120B(オルガノ社製)、アンバーライトIR124(オルガノ社製)、アンバーライト200CT(オルガノ社製)、アンバーライト252(オルガノ社製)、ダイヤイオンSK104(三菱化学社製)、ダイヤイオンSK110(三菱化学社製)、ダイヤイオンSK112(三菱化学社製)、ダイヤイオンPK212(三菱化学社製)、ダイヤイオンPK216(三菱化学社製)、ダイヤイオンPK228(三菱化学社製)、ダイヤイオンUBK08(三菱化学社製)、ダイヤイオンUBK10(三菱化学社製)、ダイヤイオンUBK12(三菱化学社製)、ダイヤイオンUBK510L(三菱化学社製)、ダイヤイオンUBK530(三菱化学社製)、ダイヤイオンUBK550(三菱化学社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
弱酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライトFPC3500(オルガノ社製)、アンバーライトIRC76(オルガノ社製)、ダイヤイオンWK10(三菱化学社製)、ダイヤイオンWK11(三菱化学社製)、ダイヤイオンWK100(三菱化学社製)、ダイヤイオンWK40L(三菱化学社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イオン交換樹脂を用いた場合、無機ケイ素化合物溶液のイオン交換処理の方法としては、例えば、バッチ法やカラム法等が用いられる。
バッチ法の場合、コンディショニング済みのイオン交換樹脂を容器に投入し、これに濃度調整した無機ケイ素化合物溶液を加え、イオン交換樹脂が浮遊する程度の強さで撹拌又は振盪しながら2時間程度反応させた後、イオン交換樹脂を濾別し、濾過液を回収することでオルトケイ酸溶液を得る。なお、マグネチックスターラーを使用すると、イオン交換樹脂の種類によってはイオン交換樹脂が破壊される場合があるので、混合の際には振盪を行うことが望ましい。ここで、コンディショニングとは、イオン交換樹脂をイオン交換能が発揮できる状態に復帰させることをいう。
カラム法の場合、コンディショニング済みのイオン交換樹脂をカラムに充填し、濃度調整した無機ケイ素化合物溶液をカラム内に一定の流速で流入し、カラムから流出される溶液を回収することでオルトケイ酸溶液を得る。
得られるオルトケイ酸溶液の電気伝導率は、バッチ法の場合には、撹拌又は振盪の程度、反応時間等により調整でき、カラム法の場合には、カラム内を流れる試料の流速、カラムの体積(半径や長さ等)、イオン交換樹脂の充填量等により調整できる。つまり、オルトケイ酸溶液の電気伝導率は、無機ケイ素化合物溶液とイオン交換体との接触時間及び接触面積を適宜変更することで、調整することができる。
また、得られるオルトケイ酸溶液のpHは、使用するイオン交換樹脂の種類、イオン交換樹脂と無機ケイ素化合物溶液の接触時間等により調整することができる。具体的には、陽イオン交換樹脂を用いる場合、イオン交換が進む程、得られるオルトケイ酸溶液のpHは低くなるため、イオン交換率の高い強酸性陽イオン交換樹脂を使用するとオルトケイ酸溶液のpHはより低くなり、イオン交換率の低い弱酸性陽イオン交換樹脂を使用するとオルトケイ酸溶液のpHは高いままとなる。
また、得られるオルトケイ酸溶液のpHは、使用するイオン交換樹脂の種類、イオン交換樹脂と無機ケイ素化合物溶液の接触時間等により調整することができる。具体的には、陽イオン交換樹脂を用いる場合、イオン交換が進む程、得られるオルトケイ酸溶液のpHは低くなるため、イオン交換率の高い強酸性陽イオン交換樹脂を使用するとオルトケイ酸溶液のpHはより低くなり、イオン交換率の低い弱酸性陽イオン交換樹脂を使用するとオルトケイ酸溶液のpHは高いままとなる。
また、本発明においては、上記したように、イオン交換体としてイオン交換膜を用いても良い。イオン交換膜は、イオン交換樹脂を膜状に成形したもので、異符号のイオンの通過を阻止し、同符号のイオンのみを通過させる性質を有するイオン濾過膜である。
イオン交換膜を用いる場合には、陰イオン交換膜と陽イオン交換膜とを併用することが好ましいが、他の方法と組み合わせることでそれぞれを単独で用いるものとしても良い。
陰イオン交換膜は、膜に陽イオン基が固定されているため正に帯電しており、陽イオンを反発して通過させず、陰イオンのみを通過させる。このような陰イオン交換膜は、例えば、海水濃縮製塩、金属イオンの濃縮・除去、放射性イオン/物質の除去等に利用されている。このような陰イオン交換膜を用いることにより、無機ケイ素化合物溶液中の陰イオンのみを透過させて、目的のオルトケイ酸溶液を調製することができる。
また、陽イオン交換膜は、膜に陰イオン基が固定されているため負に帯電しており、陰イオンを反発して通過させず、陽イオンのみを通過させる。
イオン交換膜を用いる場合には、陰イオン交換膜と陽イオン交換膜とを併用することが好ましいが、他の方法と組み合わせることでそれぞれを単独で用いるものとしても良い。
陰イオン交換膜は、膜に陽イオン基が固定されているため正に帯電しており、陽イオンを反発して通過させず、陰イオンのみを通過させる。このような陰イオン交換膜は、例えば、海水濃縮製塩、金属イオンの濃縮・除去、放射性イオン/物質の除去等に利用されている。このような陰イオン交換膜を用いることにより、無機ケイ素化合物溶液中の陰イオンのみを透過させて、目的のオルトケイ酸溶液を調製することができる。
また、陽イオン交換膜は、膜に陰イオン基が固定されているため負に帯電しており、陰イオンを反発して通過させず、陽イオンのみを通過させる。
(2.3)オルトケイ酸溶液の電気伝導率σ
イオン交換体による処理条件は、イオン交換体による処理で得られるオルトケイ酸溶液の電気伝導率が5〜500μS/cmとなるように設定されている。特に、陽イオン交換樹脂を用いてカラム法によりイオン交換処理する場合には、カラム内を流れる試料の流速を調整することで、電気伝導率を調整することが可能である。オルトケイ酸溶液の電気伝導率としては、好ましくは5〜100μS/cmであり、更に好ましくは5〜15μS/cmである。
オルトケイ酸溶液の電気伝導率が500μS/cm以下であると、反応混合液への塩の混入が抑えられ、高収率でチューブ状アルミニウムケイ酸塩を製造することができる。また、オルトケイ酸溶液の電気伝導率が5μS/cm以上であると、イオン交換体による処理時間を短縮でき、生産性を向上させることができる。
イオン交換体による処理条件は、イオン交換体による処理で得られるオルトケイ酸溶液の電気伝導率が5〜500μS/cmとなるように設定されている。特に、陽イオン交換樹脂を用いてカラム法によりイオン交換処理する場合には、カラム内を流れる試料の流速を調整することで、電気伝導率を調整することが可能である。オルトケイ酸溶液の電気伝導率としては、好ましくは5〜100μS/cmであり、更に好ましくは5〜15μS/cmである。
オルトケイ酸溶液の電気伝導率が500μS/cm以下であると、反応混合液への塩の混入が抑えられ、高収率でチューブ状アルミニウムケイ酸塩を製造することができる。また、オルトケイ酸溶液の電気伝導率が5μS/cm以上であると、イオン交換体による処理時間を短縮でき、生産性を向上させることができる。
また、オルトケイ酸溶液の電気伝導率が500μS/cm以下であると、ナトリウムイオンやカリウムイオン等のような反応阻害因子の混入がある程度抑制され、反応の進行が阻害されることなくチューブ状アルミニウムケイ酸塩が生成する。このため、より均一なチューブ状構造を有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩を製造することができる。
また、オルトケイ酸溶液の電気伝導率が5μS/cm以上であると、ナトリウムイオンやカリウムイオン等のような反応阻害因子が僅かに混入し、反応の進行を適度に阻害することで、オルトケイ酸同士で反応してポリケイ酸が生成されるといった副反応の進行を抑制することができる。このため、より均一なチューブ状構造を有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩を製造することができる。
また、オルトケイ酸溶液の電気伝導率が5μS/cm以上であると、ナトリウムイオンやカリウムイオン等のような反応阻害因子が僅かに混入し、反応の進行を適度に阻害することで、オルトケイ酸同士で反応してポリケイ酸が生成されるといった副反応の進行を抑制することができる。このため、より均一なチューブ状構造を有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩を製造することができる。
したがって、第2工程において電気伝導率5〜500μS/cmのオルトケイ酸溶液を用いることで、27Al−NMRスペクトルにおいてピークトップが−10〜10ppmの領域内にあり、半値幅が5〜12ppmであるピークを少なくとも一つ有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩を好適に製造することができる。
また、第2工程において電気伝導率5〜100μS/cmのオルトケイ酸溶液を用いることで、27Al−NMRスペクトルにおいて上記ピークを有し、かつ、29Si−NMRスペクトルにおいてピークトップが−90〜−70ppmの領域内にあり、半値幅が1〜10ppmであるピークを少なくとも一つ有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩を好適に製造することができる。
また、第2工程において電気伝導率5〜100μS/cmのオルトケイ酸溶液を用いることで、27Al−NMRスペクトルにおいて上記ピークを有し、かつ、29Si−NMRスペクトルにおいてピークトップが−90〜−70ppmの領域内にあり、半値幅が1〜10ppmであるピークを少なくとも一つ有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩を好適に製造することができる。
理論純水の電気伝導率は、約0.055μS/cmの絶縁体であるため、特にオルトケイ酸溶液の溶媒が水の場合、電気伝導率は溶液中の全イオン量を示す指標といえる。
オルトケイ酸溶液の電気伝導率は、一般的な電気伝導率計によって測定でき、具体的には、例えば、ES−51(株式会社堀場製作所)を用いて、常温(25℃)で測定される。
(2.4)オルトケイ酸溶液のpH
イオン交換体による処理条件は、イオン交換体による処理で得られるオルトケイ酸溶液のpHが3.5〜7.5となるように設定されていることが好ましい。オルトケイ酸溶液のpHが7.5以下であると、溶液中のオルトケイ酸が重合してポリケイ酸が生成してしまうことを抑制することができる。また、オルトケイ酸溶液のpHが3.5以上であると、後述するように、上記混合液にオルトケイ酸溶液を加えた後にpH調整を行う場合に、アルカリ添加量を低減することができる。
イオン交換体による処理条件は、イオン交換体による処理で得られるオルトケイ酸溶液のpHが3.5〜7.5となるように設定されていることが好ましい。オルトケイ酸溶液のpHが7.5以下であると、溶液中のオルトケイ酸が重合してポリケイ酸が生成してしまうことを抑制することができる。また、オルトケイ酸溶液のpHが3.5以上であると、後述するように、上記混合液にオルトケイ酸溶液を加えた後にpH調整を行う場合に、アルカリ添加量を低減することができる。
pH測定は、一般的なガラス電極を用いたpHメーターによって測定できる。具体的には、例えば、MODEL(F−71S)(株式会社堀場製作所)を使用することができる。オルトケイ酸溶液のpHは、フタル酸塩pH標準液(pH:4.01)と、中性リン酸塩pH標準液(pH:6.86)と、ホウ酸塩pH標準液(pH:9.18)とをpH標準液として用い、pHメーターを3点校正した後、pHメーターの電極をオルトケイ酸溶液に入れて、5分以上経過して安定した後の値を読み取ることで得られる。このとき、pH標準液とオルトケイ酸溶液の液温は、例えば25℃とすることができる。
(2.6)混合液のpH調整
第2工程においては、無機アルミニウム化合物溶液及び尿素又はアンモニアの混合液にオルトケイ酸溶液を加えた後、加熱を行う前に、pHを2.8〜7.5に調整することが好ましい。pHを当該範囲に調整するためには、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等の塩基性溶液を添加する方法や、例えば、塩酸、酢酸、硝酸等の酸性溶液を添加する方法等が挙げられる。
第2工程においては、無機アルミニウム化合物溶液及び尿素又はアンモニアの混合液にオルトケイ酸溶液を加えた後、加熱を行う前に、pHを2.8〜7.5に調整することが好ましい。pHを当該範囲に調整するためには、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等の塩基性溶液を添加する方法や、例えば、塩酸、酢酸、硝酸等の酸性溶液を添加する方法等が挙げられる。
(2.7)加熱処理
第2工程においては、無機アルミニウム化合物溶液及び尿素又はアンモニアの混合液にオルトケイ酸溶液を加えた後、これを加熱する処理を行う。このときの加熱温度は特に限定されないが、より高純度なチューブ状アルミニウムケイ酸塩を得る観点から80〜120℃であることが好ましい。
加熱温度が120℃以下であると、副生成物であるベーマイト(一水和アルミニウム酸化物)の析出を抑制することができる傾向がある。なお、尿素を用いる場合には、加熱温度が高すぎると加熱開始初期で急速な熱分解が起き、混合液中のアンモニア濃度が急上昇してpHがアルカリ性側に近似する可能性があるため、中性〜弱酸性で形成されるチューブ状アルミニウムケイ酸塩の製造には不向きだと考えられる。
また、加熱温度が80℃以上であると、尿素の熱分解とそれに続くチューブ状アルミニウムケイ酸塩の合成速度が向上し、生産性を向上させることができる。
第2工程においては、無機アルミニウム化合物溶液及び尿素又はアンモニアの混合液にオルトケイ酸溶液を加えた後、これを加熱する処理を行う。このときの加熱温度は特に限定されないが、より高純度なチューブ状アルミニウムケイ酸塩を得る観点から80〜120℃であることが好ましい。
加熱温度が120℃以下であると、副生成物であるベーマイト(一水和アルミニウム酸化物)の析出を抑制することができる傾向がある。なお、尿素を用いる場合には、加熱温度が高すぎると加熱開始初期で急速な熱分解が起き、混合液中のアンモニア濃度が急上昇してpHがアルカリ性側に近似する可能性があるため、中性〜弱酸性で形成されるチューブ状アルミニウムケイ酸塩の製造には不向きだと考えられる。
また、加熱温度が80℃以上であると、尿素の熱分解とそれに続くチューブ状アルミニウムケイ酸塩の合成速度が向上し、生産性を向上させることができる。
また、本発明においては、80〜120℃の範囲内において、低い温度で加熱処理を行うと、チューブ状アルミニウムケイ酸塩の収率が低下するが、チューブ状構造が緩やかに形成されるため、より均一なチューブ状構造を有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩を得ることができる。また、80〜120℃の範囲内において、高い温度で加熱処理を行うと、チューブ状アルミニウムケイ酸塩の収率が向上するが、チューブ状構造が急速に形成されるため、チューブ状アルミニウムケイ酸塩のチューブ状構造の均一性が僅かに低下する傾向にある。
加熱時間は特に制限されないが、チューブ状アルミニウムケイ酸塩を効率良く得る観点から12時間以上、100時間以内であることが好ましい。
(3)その他の工程
本発明のチューブ状アルミニウムケイ酸塩の製造方法は、上記第1工程及び第2工程の他に、第2工程で得られた生成物を固体分離及び脱塩する回収工程を更に有することが好ましい。当該回収工程において、脱塩の方法は特に限定されないが、例えば、透析膜や限外濾過等により脱塩することが可能である。
また、本発明のチューブ状アルミニウムケイ酸塩の製造方法は、必要に応じて、溶媒置換、粉末乾燥など更に別の工程を有していても良い。
なお、上記した第2工程において、無機アルミニウム化合物溶液に対するオルトケイ酸水溶液の仕込み量を調整することで、製造されるチューブ状アルミニウムケイ酸塩のSi/Al比を変更することができる。
本発明のチューブ状アルミニウムケイ酸塩の製造方法は、上記第1工程及び第2工程の他に、第2工程で得られた生成物を固体分離及び脱塩する回収工程を更に有することが好ましい。当該回収工程において、脱塩の方法は特に限定されないが、例えば、透析膜や限外濾過等により脱塩することが可能である。
また、本発明のチューブ状アルミニウムケイ酸塩の製造方法は、必要に応じて、溶媒置換、粉末乾燥など更に別の工程を有していても良い。
なお、上記した第2工程において、無機アルミニウム化合物溶液に対するオルトケイ酸水溶液の仕込み量を調整することで、製造されるチューブ状アルミニウムケイ酸塩のSi/Al比を変更することができる。
(4)チューブ状アルミニウムケイ酸塩の同定
上記のような方法で製造されたチューブ状アルミニウムケイ酸塩は、X線回折による測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)による測定によって同定することができる。
上記のような方法で製造されたチューブ状アルミニウムケイ酸塩は、X線回折による測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)による測定によって同定することができる。
(4.1)X線回折による測定
図1に、チューブ状アルミニウムケイ酸塩のX線回折図を示す。図1に示すように、チューブ状アルミニウムケイ酸塩が形成されている場合には、チューブ状アルミニウムケイ酸塩に特有のピーク値が2θ=4,10,14付近に得られ、これによりチューブ状アルミニウムケイ酸塩の生成を確認することができる。
図1に、チューブ状アルミニウムケイ酸塩のX線回折図を示す。図1に示すように、チューブ状アルミニウムケイ酸塩が形成されている場合には、チューブ状アルミニウムケイ酸塩に特有のピーク値が2θ=4,10,14付近に得られ、これによりチューブ状アルミニウムケイ酸塩の生成を確認することができる。
(4.2)走査型電子顕微鏡による測定
図2に、チューブ状アルミニウムケイ酸塩の走査型電子顕微鏡写真(SEM画像)を示す。図2に示すように、チューブ状アルミニウムケイ酸塩が形成されている場合には、SEM画像上に糸状の構造体を確認することができ、これによりチューブ状アルミニウムケイ酸塩の生成を確認することができる。
図2に、チューブ状アルミニウムケイ酸塩の走査型電子顕微鏡写真(SEM画像)を示す。図2に示すように、チューブ状アルミニウムケイ酸塩が形成されている場合には、SEM画像上に糸状の構造体を確認することができ、これによりチューブ状アルミニウムケイ酸塩の生成を確認することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《サンプル1の調製》
まず、オルトケイ酸の調製を行った。オルトケイ酸ナトリウムをイオン交換水に溶解し、3.0mMのオルトケイ酸ナトリウム水溶液を5L調製した。調製したオルトケイ酸ナトリウム水溶液を、カラムに充填した強酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR120B(オルガノ社製))に流入して、3.0mMのオルトケイ酸水溶液を調製した。カラム内を流れる試料の流速は、得られるオルトケイ酸水溶液の電気伝導率が80μS/cmとなるように設定した。オルトケイ酸水溶液の電気伝導率は、電気伝導率計ES−51(堀場製作所社製)を用いて、25℃で測定した。また、オルトケイ酸水溶液のpHは3.5であった。オルトケイ酸水溶液のpHは、MODEL(F−71S)(株式会社堀場製作所)を用いて上記方法により測定した。
まず、オルトケイ酸の調製を行った。オルトケイ酸ナトリウムをイオン交換水に溶解し、3.0mMのオルトケイ酸ナトリウム水溶液を5L調製した。調製したオルトケイ酸ナトリウム水溶液を、カラムに充填した強酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR120B(オルガノ社製))に流入して、3.0mMのオルトケイ酸水溶液を調製した。カラム内を流れる試料の流速は、得られるオルトケイ酸水溶液の電気伝導率が80μS/cmとなるように設定した。オルトケイ酸水溶液の電気伝導率は、電気伝導率計ES−51(堀場製作所社製)を用いて、25℃で測定した。また、オルトケイ酸水溶液のpHは3.5であった。オルトケイ酸水溶液のpHは、MODEL(F−71S)(株式会社堀場製作所)を用いて上記方法により測定した。
次に、得られた3.0mMのオルトケイ酸水溶液を5L、30mMの硝酸アルミニウム水溶液を1L、28mMの尿素水溶液を1L、3.8mMのNaOH水溶液を1L、イオン交換水2Lを混合して、SiとAlのモル濃度が1:2の比になるように反応混合液を調製した。更に、混合液のpHが2.8になるように4MのNaOH水溶液を滴下した。調製した反応混合液のpHは上記と同様の方法により測定した。調製した反応混合液を充分に撹拌した後、この反応混合液をオートクレーブにて100℃で80時間加熱した。
反応混合液が室温に戻った後、5MのNaCl水溶液を反応混合液に1/10体積量加えてゲル化させ、遠心分離することで透明なチューブ状アルミニウムケイ酸塩のゲルを得た。得られたゲル中に含まれる塩であるNaClを透析膜を用いて除去し、チューブ状ケイ酸塩の水分散液を得た。
《サンプル2の調整》
まず、30mMの硝酸アルミニウム水溶液を1L、28mMの尿素水溶液を1L、3.8mMのNaOH水溶液を1L、イオン交換水2Lを混合した混合液を90℃で1h撹拌しながら加熱した(第1工程)。
まず、30mMの硝酸アルミニウム水溶液を1L、28mMの尿素水溶液を1L、3.8mMのNaOH水溶液を1L、イオン交換水2Lを混合した混合液を90℃で1h撹拌しながら加熱した(第1工程)。
次に、オルトケイ酸の調製を行った。オルトケイ酸ナトリウムをイオン交換水に溶解し、3.0mMのオルトケイ酸ナトリウム水溶液を5L調製した。調製したオルトケイ酸ナトリウム水溶液を、カラムに充填した強酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR120B)に流入して、3.0mMのオルトケイ酸水溶液を調製した。カラム内を流れる試料の流速は、得られるオルトケイ酸水溶液の電気伝導率が表1に記載の値になるように設定した。オルトケイ酸水溶液の電気伝導率は、電気伝導率計ES−51(堀場製作所社製)を用いて、25℃で測定した。また、オルトケイ酸水溶液のpHは3.5であった。オルトケイ酸水溶液のpHは、MODEL(F−71S)(株式会社堀場製作所)を用いて上記方法により測定した。
得られた3.0mMのオルトケイ酸水溶液を5L、SiとAlのモル濃度が1:2の比になるように、上記第1工程で調製した混合液に加えて、充分に撹拌した後、この溶液をオートクレーブにて100℃で80時間加熱した(第2工程)。
溶液が室温に戻った後、5MのNaCl水溶液を1/10体積量加えてゲル化させ、遠心分離することで透明なチューブ状アルミニウムケイ酸塩のゲルを得た。得られたゲル中に含まれる塩であるNaClを透析膜を用いて除去し、チューブ状ケイ酸塩の水分散液を得た。
《サンプル3〜8の調製》
サンプル2の調製において、第2工程で用いるオルトケイ酸水溶液の電気伝導率を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、サンプル3〜8を調製した。
サンプル2の調製において、第2工程で用いるオルトケイ酸水溶液の電気伝導率を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、サンプル3〜8を調製した。
《サンプル9の調製》
サンプル1の調製において、オルトケイ酸水溶液の電気伝導率を600μS/cmに変更し、オルトケイ酸水溶液、硝酸アルミニウム水溶液、尿素水溶液、NaOH水溶液、イオン交換水を混合した後のオートクレーブでの加熱処理を80℃、80時間に変更した以外は同様にして、サンプル9を調製した。
サンプル1の調製において、オルトケイ酸水溶液の電気伝導率を600μS/cmに変更し、オルトケイ酸水溶液、硝酸アルミニウム水溶液、尿素水溶液、NaOH水溶液、イオン交換水を混合した後のオートクレーブでの加熱処理を80℃、80時間に変更した以外は同様にして、サンプル9を調製した。
《サンプル1〜9の評価》
上記のようにして調製されたサンプル1〜8について下記の評価を行った。
なお、サンプル9について、上記X線回折による測定及び走査型電子顕微鏡による測定を行ったところ、目的のチューブ状アルミニウムケイ酸塩が生成されていないことが分かった。このため、サンプル9については、下記粒径評価及び吸水性評価を行っていない。
上記のようにして調製されたサンプル1〜8について下記の評価を行った。
なお、サンプル9について、上記X線回折による測定及び走査型電子顕微鏡による測定を行ったところ、目的のチューブ状アルミニウムケイ酸塩が生成されていないことが分かった。このため、サンプル9については、下記粒径評価及び吸水性評価を行っていない。
(1)27Al−NMR及び29Si−NMRの測定
各サンプルについて、核磁気共鳴スペクトルJNM−LA400(日本電子社製)を用いて上記した条件で27Al−NMR測定及び29Si−NMR測定を行った。得られた27Al−NMRスペクトルにおいて、ピークトップが−10〜10ppmの領域内にあるピークの半値幅を求めた。また、得られた29Si−NMRスペクトルにおいて、ピークトップが−90〜−70ppmの領域内にあるピークの半値幅を求めた。各サンプルの半値幅を表1に示す。
なお、各サンプルについて27Al−NMRスペクトルの−10〜10ppmの領域内に現れたピークは一つのみであり、29Si−NMRスペクトルの−90〜−70ppmの領域内に現れたピークは一つのみであった。
各サンプルについて、核磁気共鳴スペクトルJNM−LA400(日本電子社製)を用いて上記した条件で27Al−NMR測定及び29Si−NMR測定を行った。得られた27Al−NMRスペクトルにおいて、ピークトップが−10〜10ppmの領域内にあるピークの半値幅を求めた。また、得られた29Si−NMRスペクトルにおいて、ピークトップが−90〜−70ppmの領域内にあるピークの半値幅を求めた。各サンプルの半値幅を表1に示す。
なお、各サンプルについて27Al−NMRスペクトルの−10〜10ppmの領域内に現れたピークは一つのみであり、29Si−NMRスペクトルの−90〜−70ppmの領域内に現れたピークは一つのみであった。
(2)粒径評価
各サンプルの水分散液に対して、超音波分散機 UH-300((株)MST製)を用いて24時間超音波分散した。
この超音波分散の前後で粒径を測定し、粒径変化率を求めた。粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製)で測定されるD50の値とした。また、粒径変化率は、下記式で求めた。
粒径変化率=(分散後の分散粒径)/(分散前の分散粒径)
粒径変化率の値が小さいものほど、超音波分散によってチューブ状アルミニウムケイ酸塩の構造が破壊されているものと推定することができる。各サンプルの粒径変化率を表1に示す。
各サンプルの水分散液に対して、超音波分散機 UH-300((株)MST製)を用いて24時間超音波分散した。
この超音波分散の前後で粒径を測定し、粒径変化率を求めた。粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製)で測定されるD50の値とした。また、粒径変化率は、下記式で求めた。
粒径変化率=(分散後の分散粒径)/(分散前の分散粒径)
粒径変化率の値が小さいものほど、超音波分散によってチューブ状アルミニウムケイ酸塩の構造が破壊されているものと推定することができる。各サンプルの粒径変化率を表1に示す。
上記のようにして求めた粒径変化率を下記の基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。
◎・・・0.9以上
○・・・0.85以上0.9未満
△・・・0.8以上0.85未満
×・・・0.8未満
◎・・・0.9以上
○・・・0.85以上0.9未満
△・・・0.8以上0.85未満
×・・・0.8未満
(3)吸水性評価
上記超音波分散の前後で吸水試験を行い、吸水変化率を求めた。吸水試験は、各サンプルを乾燥して粉体状態とし、温度60℃、湿度90%雰囲気下に放置し、飽和吸水率を測定した。また、吸水変化率は、下記式で求めた。
吸水変化率=(分散後の飽和吸水率)/(分散前の飽和吸水率)
吸水変化率の値が小さいものほど、超音波分散によってチューブ状アルミニウムケイ酸塩の構造が破壊され、吸水特性が低下しているものと推定することができる。各サンプルの吸水変化率を表1に示す。
上記超音波分散の前後で吸水試験を行い、吸水変化率を求めた。吸水試験は、各サンプルを乾燥して粉体状態とし、温度60℃、湿度90%雰囲気下に放置し、飽和吸水率を測定した。また、吸水変化率は、下記式で求めた。
吸水変化率=(分散後の飽和吸水率)/(分散前の飽和吸水率)
吸水変化率の値が小さいものほど、超音波分散によってチューブ状アルミニウムケイ酸塩の構造が破壊され、吸水特性が低下しているものと推定することができる。各サンプルの吸水変化率を表1に示す。
上記のようにして求めた吸水変化率を下記の基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。
○・・・0.95以上
△・・・0.9以上0.95未満
×・・・0.9未満
○・・・0.95以上
△・・・0.9以上0.95未満
×・・・0.9未満
(4)まとめ
表1に示すように、27Al−NMRスペクトルにおいて−10〜10ppmの領域内にあるピークの半値幅が20ppmであるサンプル1、13ppmであるサンプル2は、超音波分散前後において粒径及び吸水性が大きく変化している。サンプル1、2では、チューブ状構造のうちの一部が不安定な構造となっており、このため、外的応力に対する耐久性が低く、超音波分散によってチューブ状構造が破壊されてしまったと考えられる。
表1に示すように、27Al−NMRスペクトルにおいて−10〜10ppmの領域内にあるピークの半値幅が20ppmであるサンプル1、13ppmであるサンプル2は、超音波分散前後において粒径及び吸水性が大きく変化している。サンプル1、2では、チューブ状構造のうちの一部が不安定な構造となっており、このため、外的応力に対する耐久性が低く、超音波分散によってチューブ状構造が破壊されてしまったと考えられる。
また、27Al−NMRスペクトルにおいて−10〜10ppmの領域内にあるピークの半値幅が4ppmであるサンプル9では、上記したとおり、チューブ状アルミニウムケイ酸塩が生成されていない。したがって、当該ピークの半値幅が5ppm未満である場合には、チューブ状アルミニウムケイ酸塩が生成されていないといえる。
これら比較例に対し、本発明に係るサンプル3〜8は、27Al−NMRスペクトルにおいて−10〜10ppmの領域内にあるピークの半値幅が5〜12ppmであるため、粒径変化率及び吸水変化率が高い値となっている。サンプル3〜8は、ピークの半値幅が5〜12ppmであるため、均一なチューブ状構造を有し、外的応力に対する耐久性に優れているためと考えられる。
また、本発明に係るサンプル3〜8のうち、29Si−NMRスペクトルにおいて−90〜−70ppmの領域内にあるピークの半値幅が1〜10ppmであるサンプル6〜8は、粒径変化率及び吸水変化率が共に高い値となっている。サンプル6〜8は、当該ピークを有していることで、より均一なチューブ状構造を有し、外的応力に対する耐久性に更に優れていると考えられる。
Claims (4)
- 27Al−NMRスペクトルにおいて、ピークトップの位置が−10〜10ppmの領域内にあり、半値幅が5〜12ppmであるピークを少なくとも一つ有することを特徴とするチューブ状アルミニウムケイ酸塩。
- 29Si−NMRスペクトルにおいて、ピークトップの位置が−90〜−70ppmの領域内にあり、半値幅が1〜10ppmであるピークを少なくとも一つ有することを特徴とする請求項1に記載のチューブ状アルミニウムケイ酸塩。
- 無機原料溶液からチューブ状アルミニウムケイ酸塩を製造する方法であって、
無機アルミニウム化合物溶液及び尿素又はアンモニアを混合した混合液を加熱する第1工程と、
無機ケイ素化合物溶液をイオン交換体で処理して得られる電気伝導率5〜500μS/cmのオルトケイ酸溶液を、前記混合液に加えて加熱する第2工程と、を有するチューブ状アルミニウムケイ酸塩の製造方法。 - 前記オルトケイ酸溶液の電気伝導率が5〜100μS/cmであることを特徴とする請求項3に記載のチューブ状アルミニウムケイ酸塩の製造方法。
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Citations (4)
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---|---|---|---|---|
JP2001064010A (ja) * | 1999-08-30 | 2001-03-13 | Agency Of Ind Science & Technol | 高濃度な無機溶液からのチューブ状アルミニウムケイ酸塩の合成法 |
JP2001220129A (ja) * | 2000-02-09 | 2001-08-14 | Natl Inst Of Advanced Industrial Science & Technology Meti | 前駆体連続添加によるチューブ状アルミニウムケイ酸塩の高濃度合成法 |
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JP2013127956A (ja) * | 2011-11-15 | 2013-06-27 | Hitachi Chemical Co Ltd | リチウムイオン二次電池用バインダ |
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- 2013-12-18 JP JP2013260746A patent/JP2015117148A/ja active Pending
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