JP2015116574A - 反応性多層膜およびそれを用いたデバイス用接合方法 - Google Patents

反応性多層膜およびそれを用いたデバイス用接合方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015116574A
JP2015116574A JP2013259375A JP2013259375A JP2015116574A JP 2015116574 A JP2015116574 A JP 2015116574A JP 2013259375 A JP2013259375 A JP 2013259375A JP 2013259375 A JP2013259375 A JP 2013259375A JP 2015116574 A JP2015116574 A JP 2015116574A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
multilayer film
heat
thickness
bonded body
reactive multilayer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013259375A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015116574A5 (ja
Inventor
資大 生津
Takahiro Namazu
資大 生津
章也 南端
Akiya Minamihata
章也 南端
尚三 井上
Shozo Inoue
尚三 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
University of Hyogo
Original Assignee
Japan Science and Technology Agency
University of Hyogo
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Agency, University of Hyogo filed Critical Japan Science and Technology Agency
Priority to JP2013259375A priority Critical patent/JP2015116574A/ja
Publication of JP2015116574A publication Critical patent/JP2015116574A/ja
Publication of JP2015116574A5 publication Critical patent/JP2015116574A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】従来に比べより省エネルギーな刺激により発熱可能な反応性多層膜を提供すること。
【解決手段】異種金属をナノメータオーダーの膜厚で交互に積層してなり、その異種金属がTiとSiであり、原子比Ti/Siが2/7〜6/3であり、バイレイヤーの厚さが10nm〜200nmである、反応性多層膜を提供する。
【選択図】図4

Description

本発明は、反応性多層膜およびそれを用いたデバイス用接合方法に関する。
異種金属をナノメータオーダーの膜厚で交互に積層したある種の多層膜は、微小エネルギーを与えることにより瞬時に大量に熱を発生させることができ、反応性多層膜として知られている。例えば、代表的な反応性多層膜であるAlとNiの多層膜は、エネルギーを与えることでNiAl金属間化合物が生成し、発熱する。例えば、AlとNiの多層膜では、ある条件では1秒未満で最大温度が約1000Kにまで達し、その1秒後には室温に戻る。反応性多層膜の反応は自己伝播発熱反応であり、熱が瞬時に膜全体に伝わるため、反応性多層膜を熱源として用いることができる。例えば、ハンダ接合に反応性多層膜を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。反応性多層膜を熱源として用いることによりハンダを瞬時に溶融でき、および局所的な加熱であるため、接合するデバイスの熱損傷を抑制することが期待できる。
特表2007−502214号公報
反応性多層膜を発熱させる方法(以下、発熱刺激法という)としては、一般的にスパークや抵抗加熱等の電気的刺激法、レーザー照射等の光学的刺激法、およびヒーター加熱等の熱的刺激法等が用いられている。
しかしながら、上記の従来の発熱刺激法は、電源、レーザー、ヒーター等の装置が必要であり、また電力消費が大きいという問題がある。そのため、より省エネルギーで低コストの刺激により発熱可能な反応性多層膜が望まれている。
そこで、本発明は、従来に比べより省エネルギーで低コストの刺激により発熱可能な反応性多層膜を提供することを目的とした。
上記の課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、異種金属としてTiとSiを用いた反応性多層膜が、AlとNiの反応性多層膜に比べてより少ないエネルギーで発熱可能なことを見出して本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の反応性多層膜は、異種金属をナノメータオーダーの膜厚で交互に積層してなる反応性多層膜であって、該異種金属がTiとSiであり、原子比Ti/Siが2/7〜6/3であり、バイレイヤーの厚さが10nm〜200nmであることを特徴とする。
また、本発明は、前記反応性多層膜を用いたデバイス用接合方法を提供するものであり、該デバイス用接合方法は、第1のハンダ層を有する第1の被接合体と、第2のハンダ層を有する第2の被接合体とを接合するデバイス用接合方法であって、第1のハンダ層と第2のハンダ層の少なくとも一方の表面に、異種金属がTiとSiであり、原子比Ti/Siが2/7〜6/3であり、バイレイヤーの厚さが10nm〜200nmである反応性多層膜を形成し、第1のハンダ層と第2のハンダ層とが対向するように被接合体と第2の被接合体とを積層し、第1の被接合体および/または第2の被接合体を加圧することにより反応性多層膜を発熱せしめ、前記の第1および第2のハンダ層を溶融させて第1の被接合体と第2の被接合体とを接合することを特徴とする。
本発明によれば、従来に比べより省エネルギーで低コストの刺激により発熱可能な反応性多層膜およびそれを用いたデバイス用接合方法を提供することが可能となる。
原子比の異なるTi/Si多層膜のDSC曲線の一例である。 バイレイヤー厚さの異なるTi/Si多層膜のDSC曲線の一例である。 Ti/Si多層膜のバイレイヤー厚さと反応熱量の関係を示すグラフである。 原子比の異なるTi/Si多層膜のXRDパターンの一例である。 バイレイヤー厚さと反応限界膜厚の関係を示すグラフである。 本発明の接合方法の工程の一例を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(反応性多層膜)
本発明の反応性多層膜(以下、多層膜という)には、異種金属をナノメータオーダーの膜厚で交互に積層して得られた多層膜(積層膜)を用いる。多層膜は、例えばDCスパッタリング装置を用いて異種金属を交互にスパッタリングして積層することにより作製できる。
本発明において、従来に比べより省エネルギーで低コストの刺激により発熱可能とするためには、多層膜を構成する異種金属がTiとSiであり、原子比Ti/Siが2/7〜6/3であり、バイレイヤーの厚さが10nm〜200nmであることを要する。
なお、本明細書で用いる「従来に比べより省エネルギーで低コストの刺激により発熱可能」とは、代表的な反応性多層膜であるAlとNiの多層膜(特に断らない限り原子比が1/1のものを言い、以下Al/Ni多層膜と略す)の場合と比較して、より少ないエネルギーで発熱することを言う。また、本発明におけるバイレイヤーとは、積層された1層のTi層と1層のSi層とからなる層を言う。
本発明の反応性多層膜は、Ti層とSi層が交互に積層されていればよく、多層膜を構成するTi層とSi層の総数は奇数でも偶数でも特に制限されないが、3以上のバイレイヤーを含むこと、好ましくは6以上のバイレイヤーを含むものである。バイレイヤーの数が3より少ないと、発熱量が少なくなり、反応が伝播しにくくなるからである。Ti層にSi層を積層する場合、Ti層の表面全面にSi層を形成し、次いでそのSi層の表面全面にTi層を積層し、この手順を繰り返してTi層とSi層の交互積層構造を形成することができる。また、パターン状のTi層の表面に同様パターンのSi層を形成し、そのSi層の表面に同様パターンのTi層を積層し、この手順を繰り返してTi層とSi層の交互積層構造を形成することができる。また、Ti層の表面全面にパターン状にSi層を形成し、次いでそのSi層を挟むようにTi層を全面に積層し、この手順を繰り返してTi層とSi層の交互積層構造を形成することができる。また、Si層の表面全面にパターン状にTi層を形成し、次いでそのTi層を挟むようにSi層を全面に積層し、この手順を繰り返してTi層とSi層の交互積層構造を形成してもよい。パターン状に形成する場合、所望の原子比を満たすようにSi層またはTi層の厚さを調整すればよい。そのパターンは空隙を含み、その空隙の大きさ、形状、数は特に限定されない。空隙の形状は、定形でも不定形でもよく、定形の場合、例えば、平面視で、直線状、曲線状、円状、および三角形、矩形等の多角形状を挙げることができる。また、複数の空隙の配列は規則的でも不規則的でもよい。また、パターン状のSi層またはTi層は、空隙により複数のSi層またはTi層が孤立した孤立多層群でもよく、あるいは多層群が連続した連続層でもよい。
多層膜中のTiとSiの原子比(Ti原子数/Si原子数)はTiとSiの膜厚比を変化させることにより変化させることができる。原子比(Ti/Si)は、2/7〜6/3、好ましくは1/3〜5/3、より好ましくは5/4である。原子比(Ti/Si)が2/7より小さくても6/3より大きくても、発熱しにくくなるからである。
また、バイレイヤーの厚さは10nm〜200nm、好ましくは10nm〜100nm、より好ましくは25nm〜50nmである。10nmより薄いと、発熱量が小さくなり、
200nmより厚いと発熱しにくくなるからである。なお、バイレイヤーの厚さとは、Ti層の厚さとSi層の厚さからなる2層の厚さの合計値である。
また、多層膜全体の膜厚(以下、総膜厚ともいう)は、用途に応じて選定することができ、例えば、以下に説明するデバイス用接合方法に用いる場合、0.2μm〜5μm、好ましくは4μm〜5μmである。
本発明の多層膜は、低刺激、すなわち、後で説明する電気的刺激法、光学的刺激法、熱的刺激法、および機械的刺激法において低電力消費あるいは簡単な装置により発熱可能な微小熱源として、接合や点火等の用途に用いることができる。本発明の多層膜は、箔状や帯状等の自立型の多層膜としても用いてもよく、あるいは基材上に積層した多層膜として用いてもよい。自立型の多層膜として用いる場合、多層膜の総膜厚は、0.15μm〜5μmである。また、基材上に積層した多層膜として用いる場合、基材は多層膜が製膜可能であれば特に限定されず、用途に応じて難燃性材料、例えば、金属、合金、セラミック、石、ガラス、難燃プラスチック、あるいは可燃性材料から選択することができる。可燃性材料としては、樹脂、竹材、木材、紙、炭等を挙げることができる。基材を溶融性材料とする必要がある場合には、20℃〜500℃の範囲で溶融可能な材料として、熱溶融性プラスチック、熱溶融性金属、例えばハンダ合金を用いることができる。ハンダ合金上に本発明の多層膜を積層し、多層膜に刺激を加えることにより、ハンダ合金を短時間で溶融させることができ、デバイス等の接合を簡単に行うことができる。なお、自立型の多層膜あるいは基材上に積層した多層膜のいずれの場合も、保管する必要がある場合には、不必要な刺激を受けることを防ぐために、容器に収納することが好ましい。可燃性材料を基材として使用する場合、その外側に第2基材を設けることもできる。第2基材としては難燃性材料が好ましい。
なお、本発明の多層膜は、用途に応じて発熱反応の反応熱量を調整することが可能である。例えば、多層膜の体積を小さくすれば反応熱量を減らすことができる。また、後述するように、原子比5/4の場合に最も反応熱量の総量が大きくなるので、原子比を5/4から大きく離して、例えば1/2にして、安定な金属間化合物であるTiSiが生成しにくくなるようにすれば反応熱量を減らすことができる。また、原子比が一定な場合、バイレイヤー厚さを調整することで反応熱量を調整することが可能である。例えば、大きな反応熱量が必要な場合には、バイレイヤー厚さを厚くすればよく、反応熱量を減らしたい場合には、バイレイヤー厚さを薄くすればよい。また、多層膜の総膜厚を調整することによっても反応熱量を制御することができ、総膜厚を薄くすれば反応熱量を減らすことができ、総膜厚を厚くすれば反応熱量を増やすことができる。
また、多層膜の発熱刺激法には、従来の、スパークや抵抗加熱等の電気的刺激法、レーザー照射等の光学的刺激法、ヒーター加熱等の熱的刺激法に加え、機械的刺激法を好ましく用いることができる。機械的刺激法は、反応性多層膜に瞬間的に荷重負荷を与える方法であり、平坦な加圧手段を用いて多層膜を瞬間的に押圧または圧縮する方法や、先端鋭利な加圧手段を用いて多層膜を瞬間的に押圧または突く方法等を挙げることができる。本発明によれば、従来の発熱刺激法を用いた場合でも、より微小なエネルギー刺激により多層膜を発熱させることができるので電力消費をより低減することができる。また、機械刺激法として、先端鋭利な加圧方法は、例えば金属製または樹脂製ワイヤの先端で突くだけで発熱させることができるので、より省エネルギーで低コストの発熱刺激法として好ましく用いることができる。
本発明の多層膜は、より少ないエネルギー刺激により発熱するので、より省電力、省エネルギー、より低コストの熱源として用いることができる。さらに、本発明の多層膜は、大気中だけでなく、水中や真空中でも発熱可能であるので、さらに広い用途が期待できる。以下、その用途の一例として、デバイス用接合方法について説明する。
(デバイス用接合方法)
本発明のデバイス用接合方法は、第1のハンダ層を有する第1の被接合体と、第2のハンダ層を有する第2の被接合体とを接合するデバイス用接合方法であって、第1のハンダ層と第2のハンダ層の少なくとも一方の表面に、異種金属がTiとSiであり、原子比Ti/Siが2/7〜6/3であり、バイレイヤーの厚さが10nm〜200nmである反応性多層膜を形成し、第1のハンダ層と第2のハンダ層とが対向するように被接合体と第2の被接合体とを積層し、第1の被接合体および/または第2の被接合体を加圧することにより反応性多層膜を発熱せしめ、前記の第1および第2のハンダ層を溶融させて第1の被接合体と第2の被接合体とを接合することを特徴とするものである。
本発明の接合方法によれば、従来のAl/Ni多層膜に比べて、より薄い総膜厚でも発熱可能であるので、より低コストで接合が可能となる。また、従来のAl/Ni多層膜に比べて、より低負荷あるいは局所的負荷で発熱可能であるので、加圧時の荷重負荷の低減や加圧装置の簡素化が可能となり、より低コストで接合が可能となる。
図6は、本発明の接合方法の工程の一例を示す模式図である。工程(1)では、第1の被接合体1として、例えば第1のシリコン基板を用意し、工程(2)で第1のシリコン基板上にDCスパッタリング装置を用いて第1のハンダ層2を製膜する。次いで、工程(3)でDCスパッタリング装置を用いてTi/Si多層膜3を形成する。次いで、工程(4)に示すように、別途作製した第2のハンダ層5を有する第2の被接合体4(例えば、第2のシリコン基板)を、第1のハンダ層2と第2のハンダ層5とが対向するように積層し、加圧手段6を用いて押圧することで、Ti/Si多層膜3を反応させて発熱せしめ、第1および第2のハンダ層2,5を溶融させて第1および第2のシリコン基板同士を接合する。
第1および第2のハンダ層は、DCスパッタリング装置を用いて形成することができる。ハンダには、公知のハンダ材料を用いることができるが、好ましくはAu−Sn、Ag−SnまたはAg−Sn−Cu、より好ましくはAg−SnまたはAg−Sn−Cu、さらに好ましくはAg−Sn−Cuである。
第1および第2のハンダ層の厚さは、特に限定されないが、好ましく2μm以上、より好ましくは2μm〜15μm、さらに好ましくは10μm〜15μm、さらに好ましくは10〜12μmである。2μm以上とすることにより、接合強度をより大きくすることができる。
本発明の接合方法は、ハンダ材料を用いるデバイスの接合方法であればあらゆる接合方法に用いることができる。例えば、実装基板へのデバイスのフリップチップボンディングやワイヤボンディングに用いることができる。そのような場合、例えば、実装基板を第1の被接合体とし、デバイスの電極部またはリードフレームを第2の被接合体として用いることができる。また、本発明の接合方法は、ウエハレベルパッケージング技術に好適に用いることができる。ウエハレベルパッケージング技術は、ウエハをパッケージに用い、ウエハ状態でパッケージングを行い、その後で個別化する方法であり、個別化されたチップデバイスの大きさがパッケージの大きさとなるため、パッケージデバイスの小型化や軽量化が可能となり、また生産効率の向上も期待できる。この場合、第1の被接合体と第2の被接合体に半導体基板を用い、第1の被接合体または第2の被接合体の一方にフリップチップボンディング等により実装したデバイスを他方の被接合体を蓋体として用いることでデバイスが封止されたパッケージデバイスを製造することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実験例1.
原子比の異なるTi/Siの多層膜を製膜し、それらについて、示差走査熱量(DSC)測定、X線回折(XRD)測定、発熱試験を行った。
Ti/Siの多層膜の製膜は、自作のDCスパッタリング装置を用いた。スパッタ時のアルゴン圧力は0.3Paであり、基板ホルダーを回転させながら、基板ホルダー上に張り付けたカプトンフィルム上に製膜した。また、比較のため、Al/Ni多層膜(原子比1/1)も同様の方法で製膜した。
(DSC測定)
DSC測定は、パーキンエルマー製のDSC8500を用いて行った。
(XRD測定)
XRD測定には、フィリップス社製X‘pertMPDを用いた。
(発熱試験)
(1)機械的刺激法
カプトンフィルム上に製膜した多層膜を樹脂製のピンセットで突き、発熱するかどうかを調べた。
(2)光学的刺激法
レーザーの出力を変化させて、カプトンフィルム上に製膜した多層膜に照射し、発熱するかどうかを調べた。具体的には、多層膜に直接レーザーを照射した場合のレーザーの最低強度を100%とし、レーザーの強度を下げる時は、多層膜とレーザーの間にフィルターを配置し、そのフィルターを回転させてレーザーの強度を0から100%の間で変化させた。また、レーザーの強度を上げる時は、最低強度から高くしていった。なお、レーザーには、コンティニュアム(Continuum)社製MiniliteII(最大出力0.75W)を用いた。
(3)電気的刺激法
直流電源に接続した一対のマイクロプローブをカプトンフィルム上に製膜した多層膜に接触させてスパークを発生させて、発熱するかどうかを調べた。なお、発熱したかどうかは、発熱色を目視で確認した。
(結果)
Ti/Si多層膜について、バイレイヤー厚さを100nmとし、組成比を変えた多層膜のDSC測定を行った結果を図1に示す。原子比Ti/Siが1/2、1/1、5/4、5/3、3/1の場合、約550℃前後に大きな発熱ピークが認められた。5/4の時に、最も反応熱量の総量が大きいピークが得られた。
図2は、原子比Ti/Siが5/4の多層膜について、バイレイヤー厚さを10、25、50、100、200nmと変えた多層膜のDSC測定を行った結果を示す。25nmと50nmの場合、550℃よりも低温側に大きな発熱ピークが明確に認められた。
図3は、原子比Ti/Siが5/4の多層膜について、バイレイヤー厚さと反応熱量の関係を示すグラフである。反応熱量は、DSC測定の結果から算出した。バイレイヤー厚さが10〜200nmの範囲では、バイレイヤー厚さが小さい方が反応熱量が低下する傾向が見られ、製膜した多層膜の中では、バイレイヤー厚さが10nmの場合が最も反応熱量が小さくなった。
図4は、原子比Ti/Siが1/2、1/1、5/4、5/3、3/1の多層膜のXRDパターンを示す。原子比が1/1、5/4、5/3の場合、TiSiに帰属されるピークが明確に認められた。また、上記の通り、原子比5/4の時に、最も反応熱量の総量が大きいピークが得られたことから、Ti/Si多層膜の場合、安定な金属間化合物であるTiSiが生成した時に最も反応熱量が大きくなると考えられる。
機械的刺激法の結果を表1に示す。表1中、発熱した場合は○、発熱しない場合は×で示した。Ti/Si多層膜の場合、原子比が2/8と7/3以外はピンセットで突くだけで発熱したのに対し、Al/Ni多層膜は発熱しなかった。表1中のTi/Si多層膜のバイレイヤーの数は、80であったが、バイレイヤーの数が3のものであっても、ピンセットで突くだけで発熱した。
Figure 2015116574
光学的刺激法の結果を表2に示す。表2中、レーザー強度は、多層膜を発熱させるのに要したレーザー強度(%)を示す。Ti/Si多層膜の場合、発熱したのに対し、Al/Ni多層膜は発熱しなかった。なお、バイレイヤー厚さ25nmのAl/Ni多層膜を発熱させるためには、107.6%のレーザー強度が必要であるのに対し、同じバイレイヤー厚さのTi/Si多層膜の場合は6.4%であり、約17倍のレーザー強度が必要であった。また、バイレイヤー厚さ50nmのAl/Ni多層膜を発熱させるためには、130.0%のレーザー強度が必要であるのに対し、同じバイレイヤー厚さのTi/Si多層膜の場合は22.2%であり、約6倍のレーザー強度が必要であった。このことから、Ti/Si多層膜は、Al/Ni多層膜に比べよりはるかに少ないエネルギーで発熱させることができることを確認した。
Figure 2015116574
図5は、電気的刺激法を用いて測定した結果に基づく、バイレイヤー厚さと反応限界膜厚との関係を示すグラフである。ここで、反応限界膜厚とは、発熱可能な最も薄い総膜厚を意味する。図5中、Ti/Si多層膜の場合、菱形の点を結んだ境界線上およびその境界線よりも上の領域で発熱するのに対し、その境界線よりも下の領域では発熱しないことを表している。Al/Ni多層膜の場合も同様に、○の点を結んだ境界線上およびその境界線よりも上の領域で発熱するのに対し、その境界線よりも下の領域では発熱しないことを表している。図5から明らかなように、バイレイヤー厚さが10〜200nmの範囲で、Ti/Si多層膜は、Al/Ni多層膜に比べて、反応限界膜厚が小さく、かつより広い発熱領域を有している。このことから、Ti/Si多層膜を発熱させるには、Al/Ni多層膜の場合に比べて、薄い総膜厚で良いことを確認した。
図5のTi/Si多層膜(原子比5/4)の結果を数値で表したのが表3であり、反応限界膜厚に対応するバイレイヤーの数も示している。バイレイヤー厚さが25〜200nmの範囲では、バイレイヤーの数が少なくとも7程度あれば、発熱することが確認できた。なお、Al/Ni多層膜の場合、発熱するためには、16以上のバイレイヤーを必要とした。
Figure 2015116574
本発明の反応性多層膜は、従来に比べて、より簡単かつ省エネルギーな刺激により発熱させることが可能である。本発明の反応性多層膜は、微小な熱源として様々な用途に使用することが期待できる。デバイスの接合に用いた場合、電気炉等の加熱手段が不要となり、省エネルギーやデバイスの低コスト化に寄与することが期待できる。
1 第1の接合体
2 第1のハンダ層
3 反応性多層膜
4 第2の接合体
5 第2のハンダ層
6 加圧手段

Claims (5)

  1. 異種金属をナノメータオーダーの膜厚で交互に積層してなる反応性多層膜であって、
    該異種金属がTiとSiであり、原子比Ti/Siが2/7〜6/3であり、バイレイヤーの厚さが10nm〜200nmである、該反応性多層膜。
  2. 前記反応性多層膜の厚みが、0.2μm〜5μmである請求項1記載の反応性多層膜。
  3. 基材上に形成されている請求項1記載の反応性多層膜。
  4. 前記基材が、溶融性材料である請求項3記載の反応性多層膜。
  5. 第1のハンダ層を有する第1の被接合体と、第2のハンダ層を有する第2の被接合体とを接合するデバイス用接合方法であって、
    第1のハンダ層と第2のハンダ層の少なくとも一方の表面に、異種金属がTiとSiであり、原子比Ti/Siが2/7〜6/3であり、バイレイヤーの厚さが10nm〜200nmである反応性多層膜を形成し、
    第1のハンダ層と第2のハンダ層とが対向するように被接合体と第2の被接合体とを積層し、第1の被接合体および/または第2の被接合体を加圧することにより反応性多層膜を発熱せしめ、前記の第1および第2のハンダ層を溶融させて第1の被接合体と第2の被接合体とを接合する、該デバイス用接合方法。
JP2013259375A 2013-12-16 2013-12-16 反応性多層膜およびそれを用いたデバイス用接合方法 Pending JP2015116574A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013259375A JP2015116574A (ja) 2013-12-16 2013-12-16 反応性多層膜およびそれを用いたデバイス用接合方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013259375A JP2015116574A (ja) 2013-12-16 2013-12-16 反応性多層膜およびそれを用いたデバイス用接合方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015116574A true JP2015116574A (ja) 2015-06-25
JP2015116574A5 JP2015116574A5 (ja) 2017-04-20

Family

ID=53529812

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013259375A Pending JP2015116574A (ja) 2013-12-16 2013-12-16 反応性多層膜およびそれを用いたデバイス用接合方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015116574A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105127536A (zh) * 2015-09-09 2015-12-09 哈尔滨工业大学(威海) 一种使用纳米铜钎料钎焊钛合金的方法
JP2021127274A (ja) * 2020-02-14 2021-09-02 株式会社デンソー 電気デバイスの製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004501047A (ja) * 2000-05-02 2004-01-15 ジョンズ ホプキンス ユニバーシティ 自立形反応性多層フォイル
JP2010109278A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Toyota Motor Corp 半導体装置の製造方法
JP2013540489A (ja) * 2010-09-20 2013-11-07 シンセス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 外科用植え込み片の2つ以上のセグメントを接続する方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004501047A (ja) * 2000-05-02 2004-01-15 ジョンズ ホプキンス ユニバーシティ 自立形反応性多層フォイル
JP2010109278A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Toyota Motor Corp 半導体装置の製造方法
JP2013540489A (ja) * 2010-09-20 2013-11-07 シンセス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 外科用植え込み片の2つ以上のセグメントを接続する方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105127536A (zh) * 2015-09-09 2015-12-09 哈尔滨工业大学(威海) 一种使用纳米铜钎料钎焊钛合金的方法
JP2021127274A (ja) * 2020-02-14 2021-09-02 株式会社デンソー 電気デバイスの製造方法
JP7421189B2 (ja) 2020-02-14 2024-01-24 株式会社デンソー 電気デバイスの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100773710B1 (ko) 반응성 다층 포일 제조 방법 및 최종 제품
JP6753869B2 (ja) 複合材料を製作するための方法
JP5229934B2 (ja) 高熱伝導性複合材料
JP5212937B2 (ja) 熱電変換素子、当該熱電変換素子を備えた熱電モジュール及び熱電変換素子の製造方法
US20120180842A1 (en) Thermoelectric device, electrode materials and method for fabricating thereof
JP2006144030A (ja) 高熱伝導複合材料とその製造方法
EP2377175A2 (en) Method for fabricating thermoelectric device
WO2020003554A1 (ja) 熱電変換素子及び熱電変換モジュール
WO2008056466A1 (fr) Procédé de génération de puissance employant un élément de génération de puissance thermique, élément de génération de puissance thermique et procédé de fabrication de celui-ci
JP2010034508A (ja) 熱電変換モジュールおよびその製造方法
JP2017007172A (ja) アルミニウムと炭素粒子との複合体及びその製造方法
JP2010212579A (ja) 熱電変換素子の製造方法
TW201448294A (zh) 使用直接接合之熱電元件製造
JP2015116574A (ja) 反応性多層膜およびそれを用いたデバイス用接合方法
JP2015172159A (ja) 自己伝播発熱粒体およびその製造方法並びにハンダ接合方法並びにハンダペースト
WO2010007729A1 (ja) 熱発電デバイスの製造方法
JP6173829B2 (ja) TiAl接合体及びTiAl接合体の製造方法
JP2007044701A (ja) 鉛フリー化はんだ材
JP2017157600A (ja) 接合体の製造方法、ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法、接合体及びヒートシンク付パワーモジュール用基板
JP6498040B2 (ja) アルミニウムと炭素粒子との複合体及び絶縁基板
TWI236394B (en) Brazing sheet and manufacturing method therefor
JP6008544B2 (ja) 絶縁基板の製造方法
JP5935183B2 (ja) マグネシウム合金の接合方法及びマグネシウム合金の接合構造
JP2015085352A (ja) デバイス用接合方法およびパッケージデバイス
JP2008034721A (ja) 熱電発電素子およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161214

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161214

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20161214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170919

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171124

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180306