以下、本発明の実施形態の一例について図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る文書管理システムの構成の一例を示す。文書管理システム1は複数の場所でそれぞれ追記される複数の紙文書を管理するためのシステムである。
「複数の紙文書」とは、例えば、同一又は同種の対象に関する情報が追記される複数の紙文書である。例えば、患者Xが複数の医療機関(例えば三つの医療機関A,B,C)で診療を受けた場合、それら複数の医療機関の各々において患者Xの紙カルテが作成され、患者Xの診察結果が紙カルテに記入(追記)される。このような患者Xに関する複数の紙カルテが上記「複数の紙文書」の一例に相当する。
図1に示すように、文書管理システム1は文書管理装置10、データベース15、及び複数の情報処理システム20A,20B,20Cを含む。文書管理装置10と情報処理システム20A,20B,20Cとは通信ネットワーク2に接続されており、相互に通信可能である。なお、情報処理システム20Aは医療機関Aに設置された情報処理システムである。同様に、情報処理システム20Bは医療機関Bに設置された情報処理システムであり、情報処理システム20Cは医療機関Cに設置された情報処理システムである。以下では、情報処理システム20A,20B,20Cのことを総称して「情報処理システム20」と記載する場合がある。
文書管理装置10は例えばサーバコンピュータによって実現され、制御部11、記憶部12、光ディスクドライブ部13、及び通信部14を含む。制御部11は1又は複数のマイクロプロセッサを含み、記憶部12に記憶されたプログラムに従って処理を実行する。記憶部12は主記憶部(例えばRAM)及び補助記憶部(例えばROM及びハードディスク等)を含む。
光ディスクドライブ部13は光ディスク(情報記憶媒体)に記憶されたプログラム又はデータを読み出す。例えば、プログラム又はデータは光ディスクを介して記憶部12に供給される。すなわち、光ディスクに記憶されたプログラム又はデータが読み出され、記憶部12に保存される。なお、文書管理装置10は、光ディスク以外の情報記憶媒体に記憶されたプログラム又はデータを読み出すための構成要素を含むようにしてもよい。そして、プログラム又はデータが光ディスク以外の情報記憶媒体を介して記憶部12に供給されるようにしてもよい。
通信部14は他の装置と通信を行うためのものである。なお、プログラム又はデータは通信ネットワーク2を介して記憶部12に供給されるようにしてもよい。
文書管理装置10はデータベース15にアクセスすることが可能である。データベース15は文書管理装置10内に構築されていてもよいし、文書管理装置10とは別のサーバコンピュータ内に構築されていてもよい。なお、データベース15に記憶されるデータについては後述する。
文書管理装置10では、情報処理システム20からの処理要求を受け付けるためのデーモン(例えばHTTPデーモン)が起動される。例えば、情報処理システム20において、文書管理装置10にアクセスするためのアプリケーションプログラムが起動された場合、このアプリケーションプログラムによって処理要求(例えばHTTPリクエスト)が文書管理装置10に送信される。そして、この処理要求に応じて、処理結果に関するデータ(例えばHTTPレスポンス)が文書管理装置10から情報処理システム20に送信される。例えば、ウェブページ記述言語で記述されたページデータが情報処理システム20に送信される。そして、このページデータに基づいて、画面(ウェブページ)が情報処理システム20で表示される。
図2は情報処理システム20の構成の一例を示す。図2に示すように、情報処理システム20はルータ22、一又は複数の端末装置30、画像処理装置40、及び差分抽出装置50を含む。これらはLAN21に接続されており、相互に通信可能である。
ルータ22は、端末装置30、画像処理装置40、及び差分抽出装置50が通信ネットワーク2を介して文書管理装置10と通信(例えばVPN通信)できるようにするためのものである。
端末装置30は医師又は医療事務員によって使用される情報処理装置であり、例えばデスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、又はタブレット型コンピュータ等である。
端末装置30は制御部31、記憶部32、光ディスクドライブ部33、通信部34、操作部35、及び表示部36を含む。制御部31、記憶部32、光ディスクドライブ部33、及び通信部34は文書管理装置10の制御部11、記憶部12、光ディスクドライブ部13、及び通信部14と同様である。なお、端末装置30は、光ディスク以外の情報記憶媒体(例えばメモリカード)に記憶されたプログラム又はデータを読み出すための構成要素(例えばメモリカードスロット)を含むようにしてもよい。
操作部35はユーザが操作を行うためのものである。例えば、一又は複数のキーが端末装置30に備えられている場合、これら一又は複数のキーが操作部35の一例に相当する。また例えば、表示部36上に重ねられたタッチパネルが端末装置30に備えられている場合、このタッチパネルが操作部35の一例に相当する。
表示部36は例えば液晶表示パネル又は有機ELディスプレイ等であり、各種画面を表示する。
画像処理装置40はプリンタ機能及びスキャナ機能を備えた画像処理装置である。プリンタ機能及びスキャナ機能の両方を備える画像処理装置40を設置する代わりに、プリンタ装置とスキャナ装置とを設置するようにしてもよい。
画像処理装置40は制御部41、記憶部42、印刷部43、画像読取部44、通信部45、操作部46、及び表示部47を含む。制御部41、記憶部42、及び通信部45は文書管理装置10の制御部11、記憶部12、及び通信部14と同様であり、操作部46及び表示部47は端末装置30の操作部35及び表示部36と同様である。印刷部43は画像を用紙に印刷する。画像読取部44は紙文書を読み取ることによって、紙文書の読取画像を生成する。なお以下では、紙文書の読取画像のことを「文書画像」と記載する。
差分抽出装置50は例えばサーバコンピュータによって実現され、制御部51、記憶部52、光ディスクドライブ部53、及び通信部54を含む。制御部51、記憶部52、光ディスクドライブ部53、及び通信部54は文書管理装置10の制御部11、記憶部12、光ディスクドライブ部13、及び通信部14と同様である。差分抽出装置50は二つの画像の差分を抽出し、当該差分を示す差分画像を生成する。詳細については後述する。
上記の文書管理システム1では、一の医療機関の医師が、他の医療機関で患者が診察を受けた際の紙カルテの追記内容を参照できるようになっている。以下、この点について説明する。
患者Xが診察を受けるために医療機関Aを訪れた場合、医療機関Aの医療事務員(又は医師)は患者Xの紙カルテを取得する。具体的には、医療事務員は端末装置30を使用して、文書管理装置10によって提供されるメニュー画面(メニューページ)にアクセスする。この場合、メニュー画面が端末装置30の表示部36に表示される。
図3はメニュー画面の一例を示す。図3に示すメニュー画面60は、患者IDを入力するための入力欄62と、カルテボタン64と、追記一覧ボタン66とを含む。医療事務員は患者Xの患者IDを入力欄62に入力して、カルテボタン64を押下する。カルテボタン64が押下された場合、カルテ画面が表示部36に表示される。
図4はカルテ画面の一例を示す。カルテ画面70には、医療機関Aにおける患者Xのカルテ画像72が表示される。このカルテ画像72は、医療機関Aにおける患者Xの紙カルテを画像読取部によって読み取ることによって生成された画像(読取画像)である。
なお、文書管理システム1では、各医療機関における各患者のカルテ画像がデータベース15に保存されている。先述したようにカルテは医療機関ごとに作成されるため、患者Xが医療機関A,B,Cの各々において診察を受けた場合には、医療機関Aにおける患者Xのカルテ画像と、医療機関Bにおける患者Xのカルテ画像と、医療機関Cにおける患者Xのカルテ画像とがデータベース15に保存されていることになる。後述のように、端末装置30と文書管理装置10との間でデータが授受されることによって、カルテ画面70が表示部36に表示される。
医療事務員はカルテ画面70の印刷ボタン74を押下する。印刷ボタン74が押下された場合、患者Xのカルテ画像72が画像処理装置40の印刷部43によって印刷される。このようにして、医療事務員は患者Xの紙カルテを取得する。
図5は紙カルテの一例を示す。図5に示す紙カルテ80はコード画像82、基本情報欄84、記入欄86を含む。コード画像82は、患者ID及び医療機関ID等の情報をコード化してなる画像である。基本情報欄84は患者の基本情報(氏名、住所、及び生年月日等)を示す。記入欄86は医師が診療内容を記入するための欄である。
記入欄86は所見欄86Aと処置欄86Bとを含む。所見欄86Aは医師が所見内容を記入するための欄であり、処置欄86Bは医師が処置内容(例えば投薬内容等)を記入するための欄である。図5に示す紙カルテ80には、4月1日付の診察における所見内容及び処置内容が所見欄86A及び処置欄86Bに記入されている。
医療機関Aの医師は患者Xを診察し、所見内容及び処置内容を紙カルテ80の所見欄86A及び処置欄86Bに追記する。図6は、診察が終了した後の紙カルテ80の一例を示す。図6に示す紙カルテ80には、5月1日付の診察における所見内容及び処置内容が所見欄86A及び処置欄86Bに追記されている。
診察が終了した後、医療機関Aの医療事務員(又は医師)は、診察後の紙カルテ80の読み取りを画像処理装置40に実行させる。紙カルテ80の読み取りが完了した後、紙カルテ80は破棄される。
診察後の紙カルテ80の読み取りが実行された場合、診察後のカルテ画像(すなわち診察後の紙カルテ80の読取画像)が生成される。診察後のカルテ画像は差分抽出装置50に供給される。差分抽出装置50は診察前のカルテ画像と診察後のカルテ画像との間の差分を抽出し、当該差分を示す差分画像を生成する。すなわち、紙カルテ80の追記部分を示す追記画像が生成される。
図7は追記画像の一例を示す。図7に示す追記画像90は、図5に示す診察前の紙カルテ80と図6に示す診察後の紙カルテ80との間の差分(追記部分)を示す画像である。
診察後のカルテ画像と追記画像とは文書管理装置10に送信され、これらの画像は患者Xの患者IDに関連付けてデータベース15に保存される。患者Xが診察を受けるために医療機関B又は医療機関Cを訪れた場合にも、以上に説明した処理と同様の処理が実行される。
文書管理システム1では、メニュー画面60の追記一覧ボタン66を押下することによって、患者の追記画像の一覧を参照することができるようになっている。
例えば、患者Xの追記画像の一覧を参照する場合、医師は患者Xの患者IDを入力欄62に入力して、追記一覧ボタン66を押下する。追記一覧ボタン66が押下された場合、追記一覧画面が端末装置30の表示部36に表示される。なお、カルテ画面70と同様、追記一覧画面も、端末装置30と文書管理装置10との間でデータが授受されることによって表示される。
図8は追記一覧画面の一例を示す。追記一覧画面100には患者Xの追記画像90の一覧が表示されている。具体的には、4月1日に医療機関Aで診察を受けた際の追記画像90と、4月10日に医療機関Bで診察を受けた際の追記画像90と、4月20日に医療機関Cで診察を受けた際の追記画像90と、5月1日に医療機関Aで診察を受けた際の追記画像90とが表示されている。
このように、追記一覧画面100には、文書管理システム1を利用している全ての医療機関A〜Cで患者Xが診察を受けた際の追記画像90が表示される。このため、例えば、一の医療機関(例えば医療機関A)の医師は、患者Xが他の医療機関(例えば医療機関B,C)で診察を受けた際の追記画像90を参照できるようになっている。すなわち、一の医療機関の医師は、他の医療機関における患者Xの診療内容も把握できるようになっている。つまり、患者Xの診療内容が複数の医療機関の間で共有されるようになる。
また、追記一覧画面100には、診察日時(追記日時)に基づく表示順序で追記画像90が表示されている。すなわち、追記画像90が時系列に(診察日時の昇順又は降順で)並んで表示されており、患者の診療履歴を把握し易くなっている。
以下、以上に説明したような機能を実現するための構成について説明する。図9は文書管理システム1で実現される機能を示す機能ブロック図である。図9に示すように、文書管理システム1は、記憶部110、追記前文書画像取得部112、追記前文書画像保存部114、追記前文書画像記憶部116、印刷制御部118、追記後文書画像取得部120、差分画像取得部122、追記画像取得部124、追記画像保存部126、追記後文書画像保存部128、及び出力処理実行部130を含む。これらの機能ブロックは文書管理装置10、データベース15、及び情報処理システム20によって実現される。
まず、記憶部110について説明する。例えば、記憶部110はデータベース15によって実現される。記憶部110は各種データを記憶する。図9に示すように、記憶部110は文書画像記憶部110A及び追記画像記憶部110Bを含む。
文書画像記憶部110Aは、複数の場所でそれぞれ追記される複数の紙文書の各々の文書画像を記憶する。先述のように、「文書画像」は、紙文書を画像読取部によって読み取ることによって生成される紙文書の読取画像である。例えば、文書画像記憶部110Aはカルテ画像を記憶する。なお、カルテ画像を記憶する領域を医療機関ごとに分けるようにしてもよい。
追記画像記憶部110Bは上記複数の紙文書の各々の追記画像を記憶する。先述のように、「追記画像」は、紙文書に対して追記が行われた場合における当該追記部分を示す画像である。言い換えれば、「追記画像」は、追記された紙文書の文書画像のうちの追記部分の画像である。例えば、追記画像記憶部110Bは紙カルテの追記画像(図7参照)を記憶する。
図10〜図12は記憶部110に記憶されるデータの一例を示す。図10は患者テーブルの一例を示す。患者テーブルは患者の基本情報を示す。例えば、患者テーブルは「患者ID」、「氏名」、「住所」、及び「生年月日」フィールドを含む。
「患者ID」フィールドには患者の識別情報(患者ID)が登録される。文書管理システム1では、文書管理システム1を利用する全ての医療機関A〜Cにおいて共通に用いられる患者IDが各患者に付与される。「氏名」、「住所」、及び「生年月日」フィールドには患者の氏名、住所、生年月日が登録される。
図11はカルテ画像テーブルの一例を示す。カルテ画像テーブルは文書画像記憶部110Aに記憶されるカルテ画像に関する情報を示す。例えば、カルテ画像テーブルは「患者ID」、「医療機関ID」、「カルテ画像」、及び「更新日時」フィールドを含む。「患者ID」フィールドは患者テーブルの「患者ID」フィールドと同様である。
「医療機関ID」フィールドには、紙カルテを作成及び更新した医療機関の識別情報(医療機関ID)が登録される。「カルテ画像」フィールドにはカルテ画像の識別情報が登録される。「更新日時」フィールドにはカルテ画像の更新日時情報が登録される。なお、患者が医療機関で診察を受けた場合にカルテ画像は更新されるため、「更新日時」フィールドは診察日を示すことになる。
図12は追記画像テーブルの一例を示す。追記画像テーブルは追記画像記憶部110Bに記憶される追記画像に関する情報を示す。例えば、追記画像テーブルは「患者ID」、「医療機関ID」、「追記画像」、及び「追記日時」フィールドを含む。「患者ID」及び「医療機関」フィールドはカルテ画像テーブルの「患者ID」及び「医療機関」フィールドと同様である。
「追記画像」フィールドには追記画像の識別情報が登録される。「追記日時」フィールドには追記日時情報が登録される。例えば、追記画像が追記画像記憶部110Bに保存された日時が追記日時として「追記日時」フィールドに登録される。
追記前文書画像取得部112、追記前文書画像保存部114、追記前文書画像記憶部116、及び印刷制御部118について説明する。例えば、これらの機能ブロックは情報処理システム20によって実現される。
例えば、追記前文書画像取得部112、追記前文書画像保存部114、及び印刷制御部118は端末装置30の制御部31によって実現される。すなわち、制御部31がプログラムに従って処理を実行することによって、制御部31が追記前文書画像取得部112、追記前文書画像保存部114、及び印刷制御部118として機能する。また例えば、追記前文書画像記憶部116は差分抽出装置50の記憶部52(キャッシュメモリ)によって実現される。
追記前文書画像取得部112は、文書画像記憶部110Aに記憶される文書画像を追記前文書画像として取得する。追記前文書画像保存部114は追記前文書画像を追記前文書画像記憶部116に記憶させる。印刷制御部118は、追記前文書画像を印刷するように画像処理装置40(印刷部43)を制御する。これによって、追記前文書画像が印刷された紙文書が生成される。
例えば、患者Xが医療機関Aで診察を受ける場合、追記前文書画像取得部112は、医療機関Aにおける患者Xのカルテ画像(すなわち、患者Xの患者IDと医療機関Aの医療機関IDとの組み合わせに関連付けられたカルテ画像)を、患者Xの追記前カルテ画像として取得する。
そして、追記前文書画像保存部114は、患者Xの追記前カルテ画像を追記前文書画像記憶部116に記憶させる。また、印刷制御部118は、患者Xの追記前カルテ画像を印刷するように画像処理装置40(印刷部43)を制御する。これによって、医療機関Aにおける患者Xの紙カルテ(図5参照)が生成される。
追記後文書画像取得部120、差分画像取得部122、追記画像取得部124、及び追記画像保存部126、及び追記後文書画像保存部128について説明する。
例えば、追記後文書画像取得部120及び差分画像取得部122は情報処理システム20によって実現される。例えば、追記後文書画像取得部120は画像処理装置40の制御部41によって実現される。すなわち、制御部41がプログラムに従って処理を実行することによって、制御部41が追記後文書画像取得部120として機能する。また例えば、差分画像取得部122は差分抽出装置50の制御部51によって実現される。すなわち、制御部51がプログラムに従って処理を実行することによって、制御部51が差分画像取得部122として機能する。
また例えば、追記画像取得部124、追記画像保存部126、及び追記後文書画像保存部128は文書管理装置10の制御部11によって実現される。すなわち、制御部11がプログラムに従って処理を実行することによって、制御部11が追記画像取得部124、追記画像保存部126、及び追記後文書画像保存部128として機能する。
追記後文書画像取得部120は、追記された紙文書を画像処理装置40の画像読取部44が読み取ることによって生成される読取画像を追記後文書画像として取得する。追記後文書画像保存部128は追記後文書画像を文書画像記憶部110Aに保存する。
差分画像取得部122は、追記前文書画像記憶部116に記憶された追記前文書画像と、追記後文書画像取得部120によって取得された追記後文書画像との間の差分を示す差分画像を取得する。
追記画像取得部124は、追記された紙文書の追記部分を示す追記画像を取得する。例えば、追記画像取得部124は、差分画像取得部122によって取得された差分画像に基づいて追記画像を取得する。例えば、追記画像取得部124は差分画像を追記画像として取得する。追記画像保存部126は追記画像を追記画像記憶部110Bに保存する。
例えば、患者Xが医療機関Aで診察を受ける場合、医師は、患者Xの紙カルテ80の所見欄86A及び処置欄86Bに所見内容や処置内容を記入する。そして、診察が終了した後に、医療事務員(又は医師)は、医師によって追記された紙カルテ80の読み取りを実行させるべく画像処理装置40を操作する。
この場合、追記後文書画像取得部120は、画像処理装置40の画像読取部44の読取画像を、患者Xの追記後カルテ画像として取得する。また、追記後文書画像保存部128は、患者Xの追記後カルテ画像を、医療機関Aにおける患者Xのカルテ画像として文書画像記憶部110Aに保存する。例えば、追記後文書画像保存部128は、患者Xの患者IDと医療機関Aの医療機関IDとの組み合わせに関連付けて記憶されているカルテ画像を、追記後文書画像取得部120によって取得された患者Xの追記後カルテ画像に置き換える。
差分画像取得部122は、追記前文書画像記憶部116に記憶された患者Xの追記前カルテ画像と、追記後文書画像取得部120によって取得された患者Xの追記後カルテ画像とを比較し、それらの画像の差分を示す差分画像を取得する。
なお、例えば図5,6に示すような紙カルテ80の場合、医師によって追記される領域が定められている。このような場合、差分画像取得部122は、追記前カルテ画像のうちの予め定められた対象領域と、追記後カルテ画像の上記対象領域とを比較し、それらの差分を示す差分画像を取得するようにしてもよい。例えば図5,6に示すような紙カルテ80の場合であれば、紙カルテ80の記入欄86に相当する領域を「対象領域」として設定するようにすればよい。このようにすることによって、記入欄86以外の領域への追記(例えば重要性の低い追記)を無視するようにしてもよい。
追記画像取得部124は、差分画像取得部122によって取得された差分画像を患者Xの追記画像として取得する。追記画像保存部126は患者Xの追記画像を追記画像記憶部110Bに保存する。例えば、追記後文書画像保存部128は、患者Xの患者IDと医療機関Aの医療機関IDとの組み合わせに関連付けて、追記画像を追記画像記憶部110Bに保存する。
出力処理実行部130について説明する。例えば、出力処理実行部130は文書管理装置10の制御部11によって実現される。つまり、制御部11がプログラムに従って処理を実行することによって、制御部11が出力処理実行部130として機能する。
出力処理実行部130は、「複数の場所のうちの一の場所で使用される出力部に、複数の場所のうちの他の場所で追記された紙文書の追記画像を出力させるための処理」を追記画像記憶部110Bの記憶内容に基づいて実行する。
例えば、出力処理実行部130は、「医療機関Aの情報処理システム20Aに含まれる出力部に、他の医療機関B,Cで追記された紙カルテの追記画像を出力させるための処理」を実行する。例えば、出力処理実行部130は、医療機関B,Cで追記された紙カルテの追記画像を出力部に出力させるためのデータを医療機関Aの情報処理システム20Aに送信する。
例えば、端末装置30の表示部36が「出力部」の一例に相当する。すなわち、出力処理実行部130は、追記一覧画面100を表示するためのデータを端末装置30に送信することによって、追記一覧画面100を表示部36に表示させる。
また例えば、画像処理装置40の印刷部43も「出力部」の一例に相当する。すなわち、出力処理実行部130は、追記一覧画面100の表示内容と同様の内容を印刷するためのデータを情報処理システム20(例えば端末装置30)に送信することによって、情報処理システム20においてそのような印刷を可能にする。
次に、文書管理システム1で実行される処理について説明する。図13は、患者が診察を受けるために医療機関に訪れた場合に実行される処理の一例を示す図である。
なお以下では、患者Xが医療機関Aに訪れた場合を想定して、図13に示す処理について説明する。また以下では、既に患者IDが患者Xに付与されている場合を想定する。患者IDが患者Xに付与されていない場合には、患者IDを患者Xに付与したり、患者Xの基本情報を患者テーブルに登録したりするための処理が実行されることになるが、ここでは説明を省略する。
患者Xが医療機関Aに訪れた場合、医療機関Aの医療事務員は端末装置30を使用して、文書管理装置10によって提供されるメニュー画面60にアクセスする。この場合、端末装置30の制御部31はメニュー画面60へのアクセスを文書管理装置10に要求する(S101)。当該要求に応じて、文書管理装置10の制御部11はメニュー画面60のデータを端末装置30に返信する(S102)。そして、当該データに基づいて、端末装置30の制御部31はメニュー画面60を表示部36に表示する(S103)。
医療事務員が患者Xの患者IDをメニュー画面60の入力欄62に入力して、カルテボタン64を押下した場合、端末装置30の制御部31は、入力欄62に入力された患者IDと、医療機関Aの医療機関IDとの組み合わせを文書管理装置10に送信する(S104)。
患者ID及び医療機関IDの組み合わせが文書管理装置10で受信された場合、文書管理装置10の制御部11は患者IDが患者テーブルに登録されているか否かを確認する。そして、患者IDが患者テーブルに登録されていない場合、制御部11はその旨を示すエラーメッセージを端末装置30に返信する。一方、患者IDが患者テーブルに登録されている場合、制御部11は後述の処理を実行する。
すなわち、制御部11は、ステップS104で受信された患者ID及び医療機関IDの組み合わせに関連付けられたカルテ画像がデータベース15(文書画像記憶部110A)に保存されているか否かを判定する(S105)。具体的には、制御部11はカルテ画像テーブルを参照し、上記組み合わせに関連付けられたカルテ画像が登録されているか否かを判定する。
上記カルテ画像がデータベース15に保存されていると判定された場合、制御部11は当該カルテ画像を取得する(S106)。一方、上記カルテ画像がデータベース15に保存されていないと判定された場合、制御部11は、初期状態のカルテを示すカルテ画像を新たに生成する(S107)。
ステップS107において、制御部11は、ステップS104で受信された患者IDに基づいて患者テーブルを参照することによって、患者の基本情報を取得する。そして、制御部11は、患者の基本情報が基本情報欄84に記載されたカルテ画像を生成する。さらに、制御部11は、ステップS104で受信された患者ID及び医療機関IDの組み合わせをコード化することによってコード画像82を生成し、当該コード画像82をカルテ画像の予め定められた位置に合成する。
制御部11は、上記のようにして生成されたカルテ画像を、ステップS104で受信された患者ID及び医療機関IDの組み合わせに関連付けてデータベース15に保存する。すなわち、制御部11は上記カルテ画像をデータベース15に保存するとともに、上記カルテ画像に関する情報をカルテ画像テーブルに登録する。具体的には、制御部11はカルテ画像テーブルに新たなレコードを追加し、ステップS104で受信された患者ID及び医療機関IDを当該レコードの「患者ID」及び「医療機関ID」フィールドに登録する。さらに、制御部11は上記カルテ画像の識別情報を当該レコードの「カルテ画像」フィールドに登録し、現在日時を当該レコードの「更新日時」フィールドに登録する。
ステップS106又はS107が実行された後、制御部11はカルテ画面70のデータを端末装置30に返信する(S108)。このデータには、ステップS106で取得されたカルテ画像へのリンク情報、又はステップS107で生成されたカルテ画像へのリンク情報が含まれる。
カルテ画面70のデータが端末装置30で受信された場合、端末装置30の制御部31はカルテ画面70を表示部36に表示する(S109)。この場合、制御部31(追記前文書画像取得部112)は、データに含まれるリンク情報に基づいてカルテ画像72(追記前文書画像)を取得し、カルテ画面70に表示する。
医療事務員がカルテ画面70の印刷ボタン74を押下した場合、制御部31(印刷制御部118)はカルテ画像の印刷を画像処理装置40に指示する(S110)。この場合、カルテ画像が画像処理装置40に供給され、カルテ画像が印刷部43によって印刷される(S111)。カルテ画像が印刷された用紙は紙カルテとして医師に渡され、医師は所見内容及び処置内容をこの紙カルテに記入する。
また、制御部31(追記前文書画像保存部114)はカルテ画像を一次的に記憶するように差分抽出装置50に指示する(S112)。この場合、カルテ画像に含まれるコード画像82から患者IDが取得され、当該患者IDがカルテ画像とともに差分抽出装置50に供給される。そして、差分抽出装置50の制御部51は患者IDに関連付けてカルテ画像を記憶部52(キャッシュメモリ:追記前文書画像記憶部116)に記憶する(S113)。記憶部52に記憶されたカルテ画像は後述の図14のステップS204で使用される。
図14は診察が終了した後に実行される処理の一例を示す。診察が終了した場合、医療事務員は、診察後の紙カルテの読み取りを実行させるべく画像処理装置40を操作する。
上記操作が行われた場合、画像処理装置40の制御部41(追記後文書画像取得部120)は紙カルテを画像読取部44によって読み取らせ(S201)、紙カルテを読み取ることによって生成されたカルテ画像(追記後文書画像)を差分抽出装置50に供給する(S202)。
差分抽出装置50の制御部51は、カルテ画像に含まれるコード画像82に基づいて患者ID及び医療機関IDを取得する(S203)。そして、制御部51(差分画像取得部122)は、患者IDに関連付けて記憶部52に一時的に記憶されたカルテ画像(すなわち診察前のカルテ画像)と、ステップS202で供給されたカルテ画像(すなわち診察後のカルテ画像)とを比較することによって、それらのカルテ画像の差分を示す差分画像を取得する(S204)。
ステップS204において、制御部51はカルテ画像の対象領域における差分を示す差分画像を取得する。つまり、制御部51は、診察前のカルテ画像の対象領域と、診察後のカルテ画像の対象領域とを比較することによって、それらの差分を示す差分画像を取得する。「対象領域」は記入欄86に相当する領域である。
なお、ステップS204では、記憶部52に一時的に記憶された診察前のカルテ画像を用いるようになっていることによって、診察前のカルテ画像をデータベース15から再び取得する必要がなくなっており、処理時間及び通信負荷(差分抽出装置50と文書管理装置10との間の通信負荷)が軽減されている。
ステップS204が実行された後、制御部51は、ステップS203で取得された患者ID及び医療機関IDと、ステップS202で供給されたカルテ画像(すなわち診察後のカルテ画像)と、ステップS204で取得された差分画像とを文書管理装置10に送信する(S205)。
文書管理装置10の制御部11(追記後文書画像保存部128)はステップS205で受信されたカルテ画像をデータベース15に保存する(S206)。例えば、制御部11はデータベース15にアクセスし、ステップS205で受信された患者ID及び医療機関IDの組み合わせに関連付けて記憶されているカルテ画像を、ステップS205で受信されたカルテ画像に置き換える。また制御部11はカルテ画像テーブルにアクセスし、患者ID及び医療機関IDの組み合わせに関連付けられた更新日時を現在日時に更新する。
さらに制御部11(追記画像取得部124及び追記画像保存部126)は、ステップS205で受信された差分画像を追記画像としてデータベース15(追記画像記憶部110B)に保存する(S207)。この場合、制御部11は追記画像テーブルに新たなレコードを追加し、ステップS205で受信された患者ID及び医療機関IDを当該レコードの「患者ID」及び「医療機関ID」フィールドに登録する。さらに、制御部11は、データベース15に保存した追記画像の識別情報を当該レコードの「追記画像」フィールドに登録し、現在日時を当該レコードの「追記日時」フィールドに登録する。
図15は、医師が患者の追記画像を参照する場合に実行される処理の一例を示す。以下では、医師が患者Xの追記画像を参照する場合を想定して、図15に示す処理について説明する。
患者Xの追記画像を参照する場合、医師は端末装置30を使用して、文書管理装置10によって提供されるメニュー画面60にアクセスする。この場合、端末装置30の制御部31はメニュー画面60へのアクセスを文書管理装置10に要求する(S301)。当該要求に応じて、文書管理装置10の制御部11はメニュー画面60のデータを端末装置30に返信する(S302)。そして、当該データに基づいて、端末装置30の制御部31はメニュー画面60を表示部36に表示する(S303)。
医師が患者Xの患者IDをメニュー画面60の入力欄62に入力して、追記一覧ボタン66を押下した場合、端末装置30の制御部31は、入力欄62に入力された患者IDを文書管理装置10に送信する(S304)。
患者IDが文書管理装置10で受信された場合、文書管理装置10の制御部11はデータベース15(追記画像テーブル)にアクセスし、当該患者IDに関連付けられた追記画像のリストを取得する(S305)。そして、当該リストに基づいて、制御部11(出力処理実行部130)は追記一覧画面100のデータを端末装置30に送信する(S306)。このデータには、ステップS305で取得されたリストに含まれる各追記画像へのリンク情報が含まれる。
追記一覧画面100のデータが端末装置30で受信された場合、当該データに基づいて、端末装置30の制御部31は追記一覧画面100を表示部36に表示する(S307)。この場合、データに含まれるリンク情報に基づいて患者Xの追記画像が取得され、追記一覧画面100に表示される。
以上に説明した文書管理システム1では、複数の場所でそれぞれ追記される複数の紙文書に関し、上記複数の場所のうちの一の場所において、上記複数の場所のうちの他の場所で追記された紙文書の追記内容を参照可能になっている。すなわち、紙文書の追記内容が複数の場所で共有されるようになっている。
具体的には、文書管理システム1では、一の医療機関の医師が、他の医療機関で患者が診察を受けた際の追記画像を参照可能になっている。すなわち、紙カルテの追記内容(患者の診療内容)が複数の医療機関の間で共有されるようになっている。また文書管理システム1では、紙カルテに基づいて診察を行う従来の診察方法を維持しつつ、患者の診察内容が複数の医療機関の間で共有されるようになっている。
なお、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではない。
[1]紙文書の様式は場所ごとに異なっていてもよい。例えば、紙カルテの様式は医療機関ごとに異なっていてもよい。
紙カルテの様式が医療機関ごとに異なる場合には、紙カルテの様式ごとに対象領域(すなわち差分抽出の対象となる領域)が設定される。例えば、各様式における記入欄86に相当する領域が対象領域として設定される。
この場合、図16に示すような対象領域データや、図17に示すような書式データが、差分画像取得部122が実現される差分抽出装置50の記憶部52に記憶される。なお、これらのデータは差分抽出装置50からアクセス可能な他の記憶装置に記憶されるようにしてもよい。
対象領域データは紙カルテの各様式の対象領域を示すデータである。図16に示す対象領域データは「書式ID」及び「対象領域」フィールドを含む。「書式ID」フィールドには紙カルテの書式の識別情報が登録される。「対象領域」フィールドには対象領域を特定する情報が登録される。例えば対象領域が矩形領域である場合には、対象領域の四つの頂点の座標情報が「対象領域」フィールドに登録される。
書式データは医療機関が採用している紙カルテの書式を示すデータである。図17に示す書式データは、医療機関が採用している紙カルテの書式の書式IDが「F1」であることを示している。
紙カルテの様式が医療機関ごとに異なる場合、図14のステップS204において、差分抽出装置50の制御部51は対象領域データ及び書式データに基づいて対象領域を特定する。その後、制御部51は、患者IDに関連付けて記憶部52に記憶されたカルテ画像(すなわち診察前のカルテ画像)の対象領域と、ステップS202で供給されたカルテ画像(すなわち診察後のカルテ画像)の対象領域とを比較することによって、それらの差分を示す差分画像を取得する。このようにすれば、紙文書の様式が場所ごとに異なっていたとしても、記入欄86以外の領域への追記(例えば重要性の低い追記)が無視されるようになる。
[2]追記画像取得部124は追記画像の属性情報を取得するようにしてもよい。そして、追記画像保存部126は追記画像に関連付けて属性情報を追記画像記憶部110Bに保存するようにしてもよい。
図18は追記画像テーブルの一例を示す。図18に示す追記画像テーブルは「属性情報」フィールドを含む点で図12に示す追記画像テーブルと相違している。「属性情報」フィールドには追記画像の属性情報が登録される。
[2−1]例えば、診療が行われた診療科(例えば内科等)を示す診療科情報を「属性情報」として登録するようにしてもよい。この場合、追記画像は診療科情報に関連付けて保存されることになる。
例えば、診療科情報は、診察後の紙カルテの読み取りを実行する際に医療事務員(又は医師)によって指定される。指定された診療科情報は文書管理装置10に供給され、追記画像テーブルの「属性情報」フィールドに登録される。
診療科情報が属性情報として登録されている場合には、追記一覧画面100において診療科の指定を受け付けるようにしてもよい。そして、追記一覧画面100では、指定された診療科に関連付けられた追記画像のみを表示するようにしてもよい。このようにすれば、医師にとって必要な診療科に関する追記画像のみが表示されるようになる。
[2−2]また例えば、追記画像の重要度を示す重要度情報を「属性情報」として登録するようにしてもよい。この場合、追記画像は重要度情報に関連付けて保存されることになる。
例えば、重要度情報は、診察後の紙カルテの読み取りを実行する際に医療事務員(又は医師)によって指定される。指定された重要度情報は文書管理装置10に供給され、追記画像テーブルの「属性情報」フィールドに登録される。
重要度情報が属性情報として登録されている場合、追記一覧画面100では、重要度が予め定められた基準よりも高い追記画像を、重要度が基準よりも低い追記画像と区別して表示するようにしてもよい。例えば、重要度が基準よりも高い追記画像に関する表示態様(例えば表示サイズ又は背景色等)を、重要度が基準よりも低い追記画像に関する表示態様と異ならせるようにしてもよい。また例えば、参照者の注目を引くための予め定められた画像(例えば星印画像等)を、重要度が基準よりも高い追記画像に関連付けて表示するようにしてもよい。
または、重要度が基準よりも高い追記画像を、重要度が基準よりも低い追記画像よりも優先的に表示するようにしてもよい。すなわち、重要度が基準よりも高い追記画像の表示順位を、重要度が基準よりも低い追記画像の表示順位よりも高く設定するようにしてもよい。
また、追記一覧画面100では重要度の指定を受け付けるようにしてもよい。そして、追記一覧画面100では、指定された重要度が設定された追記画像(または、指定された重要度以上の重要度が設定された追記画像)のみを表示するようにしてもよい。
以上のようにすれば、重要度の高い追記画像が区別して又は優先的に表示されるようになる。また、医師に指定された重要度の追記画像のみが表示されるようになる。
[2−3]また例えば、他の医療機関における出力を制限するか否かを示す出力制限情報を「属性情報」として登録するようにしてもよい。この場合、追記画像は出力制限情報に関連付けて保存されることになる。
例えば、出力制限情報は、診察後の紙カルテの読み取りを実行する際に医療事務員(又は医師)によって指定される。指定された出力制限情報は文書管理装置10に供給され、追記画像テーブルの「属性情報」フィールドに登録される。
出力制限情報が属性情報として登録されている場合、出力制限情報に基づいて、追記画像の出力を制限するようにしてもよい。例えば、医療機関Aの医師が追記一覧画面100を参照する場合(すなわち、医療機関Aの端末装置30で追記一覧画面100を表示する場合)、他の医療機関B,Cの追記画像のうちの、出力が制限されている追記画像を追記一覧画面100に表示しないようにしてもよい。このようにすれば、追記画像が他の医療機関で出力されないように制限できるようになる。
[2−4]また例えば、追記画像として抽出された部分の、カルテ画像における位置座標を示す位置座標情報を「属性情報」として登録するようにしてもよい。例えば図7に示すように追記画像が矩形である場合、追記画像の四つの頂点の位置座標を示す位置座標情報を「属性情報」として登録するようにしてもよい。
この場合、文書画像記憶部110Aには、初期状態のカルテ画像(すなわち、ステップS107で生成されたカルテ画像であって、記入欄86に情報が記入されていない状態のカルテ画像)が記憶されるようにしてもよい。そして、位置座標情報に基づいて、追記画像を初期状態のカルテ画像に合成することよって、最新状態のカルテ画像を取得するようにしてもよい。
[2−5]なお、複数の対象領域(すなわち差分抽出の対象となる領域)をカルテ画像に設定し、複数の対象領域の各々について追記画像を取得するようにしてもよい。例えば図5,6に示すような紙カルテ80の場合、所見欄86Aに相当する対象領域と、処置欄86Bに相当する対象領域とを設定するようにしてもよい。そして、所見欄86Aの追記画像と、処置欄86Bの追記画像とを別個に取得するようにしてもよい。
そしてこの場合、対象領域の種類(例えば所見欄86A又は処置欄86B)を示す対象領域情報を「属性情報」として登録するようにしてもよい。
またこの場合、追記一覧画面100では対象領域の指定を受け付けるようにしてもよい。そして、追記一覧画面100では、指定された対象領域に関する追記画像のみを表示するようにしてもよい。このようにすれば、医師にとって必要な追記画像のみが表示されるようになる。
[3]紙カルテが複数のページを含むような場合、図4に示すカルテ画面70では、全ページに共通する部分の表示を省略するようにしてもよい。例えば、多くの追記が行われたことによって紙カルテが第1ページと第2ページとを含むようになった場合、第1ページを表示する際には、当該ページ内の上部に記載される氏名、住所、及び生年月日を表示し、第2ページを表示する際には、当該ページ内の上部に記載される氏名、住所、及び生年月日の表示を省略するようにしてもよい。
また、紙カルテが複数のページを含むような場合、図4に示すカルテ画面70では特定箇所を必ず表示するようにしてもよい。例えば、初診時の追記部分(診療内容)に関しては必ず表示するようにし、初診以後の診察時の追記部分(診療内容)に関しては、一画面内に表示することができなければ、最近の診察時の追記部分を優先的に表示するようにしてもよい。すなわち、初診以後の診察時の追記部分に関しては、一画面内に表示できる分だけ、新しい追記部分を表示するようにし、古い追記部分を表示しないようにしてもよい。
[4]追記一覧画面100では、すべての追記画像90を一画面内に表示できない場合、初診時の追記画像90を必ず表示するようにし、初診以後の診察時の追記画像90に関しては、最近の診察時の追記画像90を優先的に表示するようにしてもよい。すなわち、初診以後の診察時の追記画像90に関しては、一画面内に表示できる分だけ、新しい追記画像90を表示するようにし、古い追記画像90を表示しないようにしてもよい。
[5]コード画像82は必須ではなく、紙カルテ80はコード画像82を含まないようにしてもよい。紙カルテ80がコード画像82を含まない場合、例えば、診察後の紙カルテの読み取りを実行させる際に患者IDの入力を医師又は医療事務員から受け付けるようにすればよい。また、必要に応じて、患者ID及び医療機関IDを各装置間で授受するようにすればよい。
[6]文書画像記憶部110Aは各情報処理システム20に含まれるようにしてもよい。例えば、医療機関Aにおけるカルテ画像を記憶するための文書画像記憶部110Aが医療機関Aの情報処理システム20Aに含まれるようにしてもよい。同様に、医療機関Bにおけるカルテ画像を記憶するための文書画像記憶部110Aが医療機関Bの情報処理システム20Bに含まれるようにしてもよい。医療機関Cにおけるカルテ画像を記憶するための文書画像記憶部110Aが医療機関Cの情報処理システム20Cに含まれるようにしてもよい。なお、この場合、追記後文書画像保存部128も各情報処理システム20に含まれることになる。
[7]追記前文書画像保存部114及び追記前文書画像記憶部116は必須の構成ではなく、これらの機能ブロックを省略するようにしてもよい。これらの機能ブロックを省略した場合、差分画像取得部122は、文書画像記憶部110Aに記憶される文書画像を追記前文書画像として取得し、追記前文書画像と追記後文書画像との間の差分画像を取得するようにすればよい。
[8]追記前文書画像取得部112及び印刷制御部118も必須の構成ではなく、これらの機能ブロックを省略するようにしてもよい。例えば、各医療機関において紙カルテを保管しておくようにしてもよい。そして、医師は、医療機関において保管された紙カルテに診察内容を記入するようにしてもよい。
[9]差分画像取得部122は文書管理装置10又は画像処理装置40において実現されるようにしてもよい。すなわち、差分抽出装置50は省略するようにしてもよい。
[10]差分画像取得部122も必須の構成ではなく、差分画像取得部122を省略するようにしてもよい。すなわち、追記前カルテ画像と追記後カルテ画像との間の差分を抽出することによってカルテ画像内の追記部分を自動的に抽出する代わりに、カルテ画像内の追記部分の指定を医師又は医療事務員から受け付けるようにしてもよい。そして、追記画像取得部124は、医師又は医療事務員によって指定された部分を示す画像を追記画像として取得するようにしてもよい。
[11]以上では、主に、複数の医療機関でそれぞれ追記される複数の紙カルテを管理する場合について説明したが、本発明は他の場合にも適用することができる。例えば、同一又は同種の機器が複数の場所に設置されている場合、それら複数の場所の各々においてメンテナンス用紙(機器のメンテナンス内容を記入するための用紙)が配置され、メンテナンス結果がメンテナンス用紙に記入(追記)される。このような同一又は同種の機器に関する複数のメンテナンス用紙を管理する場合にも本発明は適用可能である。本発明は、複数の場所でそれぞれ追記される複数の文書を管理する場合に適用可能である。