JP2015115525A - 圧粉磁芯及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 比透磁率が高く絶縁抵抗の大きい優れた軟磁気特性を有する圧粉磁芯と、その製造方法を得る。【解決手段】 軟磁性合金粉末と複数の結合材を含む混合粉末を、加圧成形した圧粉磁芯において、複数の結合材の少なくとも2種が互いに非相溶であり、互いに非相溶な結合材の一方を熱硬化性のシリコーン樹脂とし、他方を熱硬化性のシリコーン樹脂と2相分離する熱硬化性のフェノール樹脂とすることで、軟磁性合金粉末粒子3の表面に複数の結合材の成分比が異なる領域を有する圧粉磁芯を得る。【選択図】図5

Description

本発明は、トランス、チョークコイル、リアクトルなどに使用される、軟磁性合金粉末を用いた圧粉磁芯とその製造方法に関する。
Fe系の軟磁性合金粉末と結合材を用いた圧粉磁芯は、比透磁率が高く絶縁抵抗が大きいので、小型化と高周波化に適しているが、近年さらなる特性改善が求められている。比透磁率を高める手段の一つとして、成形圧力を高めることにより軟磁性合金粉末の充填密度を高める方法があるが、高い圧力で軟磁性粉末を加圧成形すると、軟磁性合金粉末に歪みが生じ、圧粉磁芯のコア損失の増加が起こる。
これに対処するために、加圧成形後に高温での熱処理が施される。このとき結合材の耐熱性が劣ると、結合材の絶縁性が劣化するので絶縁抵抗の低下につながる。そこで耐熱性の優れるシリコーン樹脂が結合材として用いられている。
特許文献1には、シリコーン樹脂で2層に被覆した軟磁性粉末を用いることで、高強度かつ低損失な圧粉磁芯とその製造方法が記載されている。
特開2009−253030号公報
圧粉磁芯の結合材にシリコーン樹脂を用いた場合、軟磁性合金粉末の粒子表面に絶縁性が高く強固なSi−O結合を有する被膜が形成されるので、絶縁抵抗の良好な圧粉磁芯が得られる。しかしながらFe−Si−Al系合金粉末、アモルファス構造の合金粉末、あるいはナノサイズのαFe(−Si)結晶相をアモルファス相から析出させたFe基ナノ結晶合金粉末などのように、塑性変形しにくい材質の粉末を軟磁性合金粉末として用いた場合には、粉末の充填密度が低く、圧粉磁芯の成形密度を高めることが難しい為、比透磁率が低いという問題がある。
本発明の目的は、圧粉磁芯における上記従来技術の問題点を解決して成形密度を高め、比透磁率が高い軟磁気特性を実現することにある。
上記の目的を達成するため、本発明による圧粉磁芯は、軟磁性合金粉末と複数の結合材を含む混合粉末を、加圧成形した圧粉磁芯であって、前記軟磁性合金粉末の粒子表面において、前記複数の結合材の成分比が異なる領域を有することを特徴とする。
また本発明では、溶媒に、複数の結合材を溶解して溶液を作製し、前記溶液と軟磁性合金粉末を混合し、前記軟磁性合金粉末の粒子表面に前記溶液を付着させた後に前記溶媒を蒸発させることにより、前記軟磁性合金粉末の粒子表面に前記複数の結合材の成分比が異なる領域を生成させて造粒粉とし、前記造粒粉を金型に投入して加圧成形し、熱処理を行う圧粉磁芯の製造方法が得られる。
本発明では、前記複数の結合材において、少なくとも2種の結合材が、互いに非相溶であることが望ましい。
本発明では、前記複数の結合材の混合物が、少なくとも2相に分離することがさらに望ましい。
また、本発明では、前記複数の結合材において、前記互いに非相溶である結合材の一方は、熱硬化性のシリコーン樹脂であることが望ましい。
さらに、本発明では、前記複数の結合材において、前記互いに非相溶である結合材の他方は、熱硬化性のフェノール樹脂であることが望ましい。
加えて、本発明では、前記軟磁性合金粉末が、アモルファス相の合金組成物を熱処理してαFe(−Si)結晶相を析出させたFe基ナノ結晶合金粉末であることが望ましい。
本発明において、結合材の混合物が2相に分離するとは、少なくとも2種の結合材が互いに非相溶である複数の結合材からなる混合物が、複数の結合材を溶解した溶液と軟磁性合金粉末とを混合する工程から造粒粉を作製するまでの製造工程における作業温度範囲において、複数の結合材の成分比が異なる2相に分離することを意味する。
本発明の圧粉磁芯は、軟磁性合金粉末の粒子表面において、複数の結合材の成分比が異なる領域を有するので、互いに非相溶な結合材の一方として熱硬化性のシリコーン樹脂を用い、他方に熱硬化性のフェノール樹脂を用いることにより、軟磁性合金粉末の粒子表面が、シリコーン樹脂の成分が相対的に多い結合材で覆われている領域と、シリコーン樹脂の成分が相対的に少ない結合材で覆われている領域を有する。シリコーン樹脂の成分が多い結合材で覆われている領域は、シリコーン樹脂による優れた絶縁性に起因した大きな絶縁抵抗が得られる。
一方シリコーン樹脂の成分が相対的に少ない結合材で覆われている領域は、フェノール樹脂の成分が多いので、粒子同士が滑り易くなり、加圧成形時における軟磁性合金粉末の流動性を高め、塑性変形しにくい軟磁性粉末であっても加圧成形時における軟磁性合金粉末の充填密度を向上させることができ、その結果、密度の高い圧粉磁芯が得られ、圧粉磁芯の比透磁率が良好となる。
また、熱硬化性のフェノール樹脂を用いることで、耐熱性が向上し、加圧成形後の熱処理温度を高めることができる。
さらに、本発明では軟磁性合金粉末に、αFe(−Si)結晶相を析出させたFe基ナノ結晶合金粉末を用いることで、比透磁率が高く、コア損失の少ない圧粉磁芯が得られる。
本発明では、互いに非相溶な結合材の一方に熱硬化性のシリコーン樹脂を用い、他方に、熱硬化性のシリコーン樹脂と2相分離する熱硬化性のフェノール樹脂を使用し、熱硬化性のシリコーン樹脂と熱硬化性のフェノール樹脂を溶媒に溶解して結合材の溶液を作製し、軟磁性合金粉末と混合して軟磁性合金粉末の粒子表面に結合材の溶液を付着させた後、溶媒を蒸発させることにより、軟磁性合金粉末の粒子表面に熱硬化性のシリコーン樹脂と熱硬化性のフェノール樹脂の成分比が異なる領域を生成させることが可能となる。
以上述べたように、本発明によって、比透磁率が高く絶縁抵抗の大きい優れた軟磁気特性を有する圧粉磁芯と、その製造方法が得られる。
本発明による第1の実施例について、全樹脂分に対するシリコーン樹脂の質量割合と、圧粉磁芯の密度との関係を示した図である。 本発明による第1の実施例について、全樹脂分に対するシリコーン樹脂の質量割合と、圧粉磁芯の比透磁率との関係を示した図である。 本発明による第1の実施例について、全樹脂分に対するシリコーン樹脂の質量割合と、圧粉磁芯の直流抵抗との関係を示した図である。 本発明による第1の実施例について、全樹脂分に対するシリコーン樹脂の質量割合と、圧粉磁芯のコア損失との関係を示した図である。 本発明による第1の実施例における圧粉磁芯の断面での、エネルギー分散型X線分析装置によるFeとSiの分布を示す図である。
本発明による圧粉磁芯の製造は、以下の工程で行われる。まず溶媒に複数の結合材を溶解して結合材の溶液を作製する。次に結合材の溶液と軟磁性合金粉末を混合し、軟磁性合金粉末の粒子表面に結合材の溶液を付着させ、造粒工程で溶媒を蒸発させて軟磁性合金粉末の粒子表面に複数の結合材の成分比が異なる領域を有する造粒粉を作製する。そして造粒粉を金型に投入して加圧成形し、熱処理を行う。
本発明では、複数の結合材のうち少なくとも2種は、互いに非相溶であるものを使用する。互いに非相溶な結合材の一方は、熱硬化性のシリコーン樹脂で有れば特に制限はないが、ストレート型シリコーン樹脂が、強固な絶縁被膜を形成するので特に好ましい。例えば、信越化学工業株式会社製のKR220Lを使用することができる。
互いに非相溶な結合材の他方は、熱硬化性のシリコーン樹脂と2相分離する熱硬化性の有機樹脂として、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は、1種類だけを使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。これらの樹脂のなかでは、耐熱性が良好なフェノール樹脂とキシレン樹脂が望ましく、フェノール樹脂が特に好ましい。加圧成形時に加わった歪みの低減を目的とした熱処理温度を高くできることに加えて、ナノサイズのαFe(−Si)結晶相をアモルファス相から析出させる熱処理も可能となる。熱硬化性のフェノール樹脂としては、例えば住友ベークライト株式会社製のPC−1を使用することができる。
また、本発明の複数の結合材としては、上述の熱硬化性のシリコーン樹脂とフェノール樹脂に加えて、別な熱硬化性の有機樹脂を合わせて使用することも可能である。
複数の結合材の配合割合は、結合材の溶液を作製し軟磁性合金粉末と混合する工程から造粒粉を作製するまでの製造工程における作業温度範囲において、複数の結合材の成分比が異なる2相に分離する配合割合で有れば良い。
複数の結合材に、熱硬化性のシリコーン樹脂として信越化学工業株式会社製のKR220Lを用い、熱硬化性のフェノール樹脂として住友ベークライト株式会社製のPC−1を用いた場合は、両者の全樹脂分の合計質量を1.00としたとき、熱硬化性のシリコーン樹脂の質量割合が0.10以上であることが直流抵抗値から望ましく、0.90未満であることが比透磁率を大きく低下させない上で望ましく、0.75以下であればさらに良い。
結合材の溶液を作製する溶媒は、使用する結合材を溶解できるもので有れば特に制限はない。熱硬化性のシリコーン樹脂として信越化学工業株式会社製のKR220Lを用い、熱硬化性のフェノール樹脂として住友ベークライト株式会社製のPC−1を用いた場合、取り扱いが容易で安価なメタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を使用することができるが、これらに限られるものではない。
軟磁性合金粉末としては、比透磁率や比抵抗の良好な圧粉磁芯が期待できるFe系の軟磁性合金が好ましい。例えばFe−Si系合金粉末、Fe−Al−Si系合金粉末、これらのアモルファス合金粉末、あるいはナノサイズのαFe(−Si)結晶相をアモルファス相から析出させたFe基ナノ結晶合金粉末を使用することができる。特にFe基ナノ結晶合金粉末は、コア損失を低くすることができるので好ましい。
Fe基ナノ結晶合金粉末としては、Feを主成分として、少なくともB、P、およびCuを含有し、組成式FeSiCuで表され、79.0≦a≦86.0at%、5≦b≦13at%、0≦c≦8at%、1≦x≦10at%、0≦y≦5at%、0.4≦z≦1.4at%、および0.06≦z/x≦1.20である組成に適用できる。例えば、組成式がFe82.4SiCu0.6などが適用できる。
また、耐食性の改善や電気抵抗の調整などを目的として、Feの一部をTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Cr、Co、Ni、Al、Mn、Ag、Zn、S、Sn、As、Sb、Bi、Y、N、Oおよび希土類元素のうち1種類以上の元素で、組成全体の3at%以下を置換し、Feとの合計が79.0at%以上、86.0at%以下であっても良く、例えば組成式がFe82.3SiCu0.7NbであるFe基ナノ結晶合金粉末であっても良い。
Fe基ナノ結晶合金粉末の作製方法は、特に限定されないが、アモルファス相の合金粉末の作製には、水アトマイズ法がアモルファス相の合金粉末を効率的に作製できるので好ましい。アモルファス相の合金粉末は、熱処理によってナノサイズのαFe(−Si)結晶相をアモルファス相から析出させることができる。
尚、ナノサイズのαFe(−Si)結晶相をアモルファス相から析出させる熱処理は、粉末状態で行っても良いが、圧粉磁芯に成形後に、熱硬化性樹脂の硬化および加圧成形時の歪みを除去する熱処理と併せて行うのが効率的である。また、ナノサイズのαFe(−Si)結晶相がアモルファス相から析出する過程で、加圧成形時にアモルファス相に生じた歪みが開放されるという効果が有り、また析出したナノサイズのαFe(−Si)結晶相は歪みを持たないので、軟磁気特性の一層の向上が期待できる。
軟磁性合金粉末と結合材の溶液の混合は、結合材の溶液が軟磁性合金粉末の表面をおおよそ覆うことができれば良く、一般的な混合装置を用いることができる。
造粒工程も、一般的な造粒装置を使用することができる。例えば、ドラム型造粒機、振動型造粒機、撹拌造粒機などが使用できる。中でも撹拌造粒機は、混合、解砕、造粒が同じ装置で連続的に行われるので便利である。
造粒工程においては、軟磁性合金粉末と結合材の溶液の塊状混合物が、一度解砕され、その後適当な大きさの造粒粉にされるが、この際に結合材の溶液中の溶媒が蒸発する。結合材の溶液中の溶媒が蒸発すると、複数の結合材の混合物が2相に分離することにより、互いに非相溶な結合材の一方が相対的に多い結合材の混合物と、互いに非相溶な結合材の一方が相対的に少ない結合材の混合物とに分離して溶液から析出し、軟磁性合金粉末の粒子表面に複数の結合材の成分比が異なる領域が形成される。
造粒粉は、コアを成形するための金型に投入され、加圧成形される。その後、ナノサイズのαFe(−Si)結晶相のアモルファス相からの析出と、加圧成形時の歪み除去を兼ねた熱処理を行うのが好ましい。
以下に本発明の実施例について説明する。
(第1の実施例)
軟磁性合金粉末は、組成式がFe82.4SiCu0.6である合金を融解し、水アトマイズ法により上記組成のアモルファス相の軟磁性合金粉末を作製して使用した。この軟磁性合金粉末の平均粒径は約50μmであった。
結合材は、信越化学工業株式会社製の熱硬化性のシリコーン樹脂であるKR220Lと、住友ベークライト株式会社製の熱硬化性のフェノール樹脂であるPC−1を使用した。結合材の溶液は、イソプロピルアルコール(IPA)にKR220LとPC−1を溶解して作製した。熱硬化性のシリコーン樹脂と熱硬化性のフェノール樹脂との配合割合は、全樹脂分に対する熱硬化性のシリコーン樹脂の質量割合を、実施例として0.10、0.25、0.50、0.70、0.75、0.90とし、比較例として0.00、1.00とした。
次に、上述の軟磁性合金粉末と結合材の溶液を、横ブレード型の撹拌造粒機に投入して混合、解砕及び造粒を行った後、目開き0.5mmのメッシュを通して造粒粉とした。結合材の溶液の投入量は、軟磁性合金粉末に対する結合材の溶液の全樹脂分が、2.5質量%となるようにした。結合材の溶液に含まれるイソプロピルアルコール(IPA)は、横ブレード型の撹拌造粒機の撹拌翼の高速回転による摩擦熱で蒸発させることができた。尚、温風を造粒機の槽内に送り込んで溶媒を蒸発させても良い。
上記の造粒粉を、金型に投入し、約490MPaの圧力で加圧成形し、外径13mm、内径8mmの円筒形状の圧粉体を作製した。この圧粉体を、赤外線加熱装置を用いて435℃、20分間の熱処理を行い、アモルファス相の軟磁性合金粉末中にαFe(−Si)結晶相を析出させてFe基ナノ結晶合金粉末とし、圧粉磁芯を得た。昇温速度は約40℃/分である。
作製した圧粉磁芯について、形状と質量を測定し、圧粉磁芯の密度を算出した。絶縁抵抗は、圧粉磁芯の径方向の厚さに対して100Vの直流電圧を加え、直流抵抗を測定することで評価した。次に圧粉磁芯に巻線を行い、インピーダンスアナライザを用い周波数20kHzにおいて比透磁率を測定した。またB−Hアナライザを用いて周波数20kHz、磁束密度150mTにおけるコア損失を測定した。
図1に、全樹脂分に対するシリコーン樹脂の質量割合と、圧粉磁芯の密度との関係を示す。図1において、シリコーン樹脂の質量割合が0.75を超えると、圧粉磁芯の密度が低下し、シリコーン樹脂の質量割合が0.9と1.0では大きく減少しており、特にシリコーン樹脂だけの場合には密度の低下が大きく、軟磁性粉末の充填が困難になっていることが判る。一方シリコーン樹脂の質量割合が0.75以下では、軟磁性粉末は高い充填密度を得ていることが判る。
図2に、全樹脂分に対するシリコーン樹脂の質量割合と、圧粉磁芯の比透磁率との関係を示す。図2において、シリコーン樹脂の質量割合が0.75を超えると、圧粉磁芯の比透磁率は低下し、シリコーン樹脂の質量割合が0.9と1.0では大きく減少しており、特にシリコーン樹脂だけの場合には比透磁率の低下が大きいことが判る。図1と図2を見比べてみると、シリコーン樹脂の質量割合に対する圧粉磁芯の密度と比透磁率との関係は同様な傾向を示しており、シリコーン樹脂の質量割合が0.9、1.0の比透磁率の低下は、軟磁性粉末の充填が不十分となったことによる圧粉磁芯の密度の低下によるものと推定することができる。
図3に、全樹脂分に対するシリコーン樹脂の質量割合と、圧粉磁芯の直流抵抗との関係を示す。図3において、シリコーン樹脂の質量割合が0の場合は、圧粉磁芯の直流抵抗が大きく低下することが判る。シリコーン樹脂の質量割合が0.1以上では、直流抵抗は十分な値を有している。
図4に、全樹脂分に対するシリコーン樹脂の質量割合と、圧粉磁芯のコア損失との関係を示す。図4において、シリコーン樹脂の質量割合が0の場合には、コア損失は300mW/cmを超えており、シリコーン樹脂の質量割合が0.1以上と比較して大きくなっている。またシリコーン樹脂の質量割合が0.9と1.0の場合には、150mTで励磁することができなかったが、比透磁率の低下によるものと思われる。
全樹脂分に対するシリコーン樹脂の質量割合を0.25として作製した圧粉磁芯を、中心軸に垂直な断面で切断し、切断面を研磨した。切断面のFeとSiの分布を、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いて分析を行った。図5に分析結果の一例を示す。
図5において、3はFe基ナノ結晶合金粉末粒子に相当し、FeとSiの両方が検出されている。1で示した部分は、Fe基ナノ結晶合金粉末粒子の表面でSiが多く検出されている結合材の領域を、2で示した部分は、軟磁性合金粉末の表面でSiの検出が少ないまたは検出されなかった結合材の領域を示す。
結合材において検出されているSiは、熱硬化性のシリコーン樹脂に含まれる。したがって図5より、本発明の圧粉磁芯は、Fe基ナノ結晶合金粉末の粒子の表面において、熱硬化性のシリコーン樹脂が相対的に多い領域と、相対的に少ない領域を有することが判る。すなわち熱硬化性のシリコーン樹脂と熱硬化性のフェノール樹脂の成分比が異なる領域を有することが判る。
以上述べたように、本発明は、軟磁性合金粉末の表面において、熱硬化性のシリコーン樹脂と熱硬化性のフェノール樹脂の成分比が異なる領域を有することにより、絶縁性が良好でかつ比透磁率に優れた圧粉磁芯を得ることができる。
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施例は、複数の結合材に、第1の実施例で使用した信越化学工業株式会社製の熱硬化性のシリコーン樹脂であるKR220Lと、住友ベークライト株式会社製の熱硬化性のフェノール樹脂であるPC−1に加えて、三菱ガス化学株式会社製の熱硬化型のキシレン樹脂であるPR−1440Mも使用した。
結合材の配合割合は、全樹脂分に対して、シリコーン樹脂の質量割合を0.50、フェノール樹脂の質量割合を0.40、そしてキシレン樹脂の質量割合を0.10とした。また、溶媒にはメタノールを使用した。
上記以外は、第1の実施例と同じ条件で圧粉磁芯の作製を行った。また第1の実施例と同様に、作製した圧粉磁芯について、形状と質量を測定し、圧粉磁芯の密度を算出した。絶縁抵抗は、圧粉磁芯の径方向の厚さに対して100Vの直流電圧を加え、直流抵抗を測定することで評価した。次に圧粉磁芯に巻線を行い、インピーダンスアナライザを用い周波数20kHzにおいて比透磁率を測定した。またB−Hアナライザを用いて周波数20kHz、磁束密度150mTにおけるコア損失を測定した。
本実施例における圧粉磁芯の密度は、5.09g/cmであり、比透磁率は、25が得られた。また直流抵抗は、約3×105MΩで、コア損失は、294mW/cmであった。これらの値は、第1の実施例におけるシリコーン樹脂の質量割合が0.25の場合とほぼ同等であり、圧粉磁芯として良好な特性が得られていることが判る。
第1の実施例と同様に、本実施例の圧粉磁芯を、中心軸に垂直な断面で切断し、切断面を研磨し、切断面のFeとSiの分布を、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いて分析を行ったところ、図5に示す第1の実施例の場合と同様に、Fe基ナノ結晶合金粉末粒子の表面でSiが多く検出されている結合材の領域と、Siの検出が少ないまたは検出されなかった結合材の領域を観察することができた。したがって本実施例においても、Fe基ナノ結晶合金粉末粒子の表面は、熱硬化性のシリコーン樹脂と熱硬化性のフェノール樹脂および熱硬化性のキシレン樹脂の成分比が異なる領域を有する。
以上述べたように、本発明は、軟磁性合金粉末の表面において、複数の結合材の成分比が異なる領域を有することにより、絶縁性が良好でかつ比透磁率に優れた圧粉磁芯を得ることができる。
本発明は、以上説明した実施例に限定されるものではなく,本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により多くの変形が可能である。
1 Siが多い結合材の領域
2 Siが少ないまたは検出されない結合材の領域
3 Fe基ナノ結晶合金粉末

Claims (12)

  1. 軟磁性合金粉末と複数の結合材を含む混合粉末を、加圧成形した圧粉磁芯であって、前記軟磁性合金粉末の粒子表面において、前記複数の結合材の成分比が異なる領域を有する圧粉磁芯。
  2. 前記複数の結合材において、少なくとも2種の結合材が、互いに非相溶である請求項1に記載の圧粉磁芯。
  3. 前記複数の結合材の混合物が、少なくとも2相に分離する請求項1または2に記載の圧粉磁芯。
  4. 前記複数の結合材において、前記互いに非相溶である結合材の一方は、熱硬化性のシリコーン樹脂である請求項2または3に記載の圧粉磁芯。
  5. 前記複数の結合材において、前記互いに非相溶である結合材の他方は、熱硬化性のフェノール樹脂である請求項4に記載の圧粉磁芯。
  6. 前記軟磁性合金粉末が、アモルファス相の合金組成物を熱処理してαFe(−Si)結晶相を析出させたFe基ナノ結晶合金粉末である請求項1乃至5のいずれかに記載の圧粉磁芯。
  7. 溶媒に、複数の結合材を溶解して溶液を作製し、前記溶液と軟磁性合金粉末を混合し、前記軟磁性合金粉末の粒子表面に前記溶液を付着させた後に前記溶媒を蒸発させることにより、前記軟磁性合金粉末の粒子表面に前記複数の結合材の成分比が異なる領域を生成させて造粒粉とし、前記造粒粉を金型に投入して加圧成形し、熱処理を行う圧粉磁芯の製造方法。
  8. 前記複数の結合材において、少なくとも2種の結合材が、互いに非相溶である請求項7に記載の圧粉磁芯の製造方法。
  9. 前記複数の結合材の混合物が、少なくとも2相に分離する請求項7または8に記載の圧粉磁芯の製造方法。
  10. 前記複数の結合材において、前記互いに非相溶である結合材の一方は、熱硬化性のシリコーン樹脂である請求項8または9に記載の圧粉磁芯の製造方法。
  11. 前記複数の結合材において、前記互いに非相溶である結合材の他方は、熱硬化性のフェノール樹脂である請求項10に記載の圧粉磁芯の製造方法。
  12. 前記軟磁性合金粉末が、アモルファス相の合金組成物を熱処理してαFe(−Si)結晶相を析出させたFe基ナノ結晶合金粉末である請求項7乃至11のいずれかに記載の圧粉磁芯の製造方法。
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