JP2015113512A - 酸化物スパッタリングターゲット - Google Patents

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佑一 近藤
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Abstract

【課題】相対密度を高めて、ターゲット割れの発生を抑制し、高電力によるスパッタリング成膜を可能にし、UVカット特性が良好なCeO系薄膜を成膜することができる酸化物スパッタリングターゲットを提供する。
【解決手段】酸化物スパッタリングターゲットは、Zn:30〜90at%と、残部:Ce及び不可避不純物とを含む金属の酸化物焼成体であって、前記酸化物焼成体は、CeとZnとの複合酸化物が形成されていると、耐割れ性を低下させる原因となるので、添加されたZnはZnOのままで存在し、ZnO相とCeO相なる組織を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線(UV)カット特性を有する酸化物透明薄膜をスパッタリング成膜するための酸化物スパッタリングターゲットに関する。
UVカット特性を有する膜の材料として、酸化セリウム(CeO)を用いることは従来から知られており、大面積に斑のない均質な、UVカット特性を有する薄膜を成膜するのに、酸化チタンなどを添加したCeOスパッタリングターゲットが提案された(例えば、特許文献1を参照)。このスパッタリングターゲットを用いた成膜では、高周波(RF)スパッタリング法が適用されている。
このCeOスパッタリングターゲットによって成膜するときには、RFスパッタリング法が用いられているので、このスパッタリング法では、成膜速度が低く、低価格なUVカット特性を持つ膜を得難いという問題があった。そこで、大面積成膜が可能で、成膜速度を上げることができる直流(DC)スパッタリングを可能としたCe−Ti−O系の高い紫外線カット特性を有した薄膜用のスパッタリングターゲットが提案された(例えば、特許文献2を参照)。このスパッタリングターゲットでは、ターゲット中のTi成分が、Ti及び導電性を有するTiO(0<x<2)と絶縁性のTiO の形で存在し、組成比によってTi成分自体がマトリックスになり、或いは、Ce成分マトリックス中にTi成分が存在する形となって、スパッタリングターゲットに導電性をもたせ、DCスパッタリングを可能にしている。
特公平1−58267号公報 特開平7−70743号公報
しかしながら、上記で提案されたスパッタリングターゲットのいずれも、相対密度が低く、ターゲット割れを生じやすいという問題があった。特に、生産性を向上するために、供給電力を高くしようとすると、そのターゲット割れが発生し、スパッタリング成膜を行えなかった。
そこで、本発明は、相対密度を高めて、ターゲット割れの発生を抑制し、高電力によるスパッタリング成膜を可能にし、さらには、ターゲット抵抗率を低減して直流(DC)スパッタリングを可能にし、UVカット特性が良好なCeO系薄膜を成膜することができる酸化物スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明者らは、UVカット特性に優れたCeO薄膜を成膜するCe酸化物(CeO)スパッタリングターゲットにおける相対密度を上昇させるためには、Zn酸化物(ZnO)を添加することが有効であるという知見が得られ、このZnOが添加されたCeOスパッタリングターゲットを用いた高電力のスパッタリング成膜において、ターゲット割れの発生を低減でき、安定した成膜が可能であることが分かった。さらに、ZnOの添加に加えて、III族元素、特に、B、Al、Ga、In、Yなどの元素による酸化物を添加したCeOスパッタリングターゲットによれば、ターゲット抵抗率を低減でき、直流(DC)スパッタリングを可能にし、しかも、高電力のスパッタリング成膜においても、ターゲット割れの発生を低減でき、安定した成膜が可能であることが判明した。
そこで、CeO粉末とZnO粉末とを用意し、各粉末を、例えば、Zn:30at%、Ce:残となるように秤量し、混合して混合粉末を作製し、この混合粉末の成形体を、非酸化性雰囲気で1400℃の温度で焼成体を得た。そして、この焼成体を、所定の大きさに機械加工し、裏面にバッキングプレートを貼り付けて、本発明の酸化物スパッタリングターゲットを作製した。この酸化物スパッタリングターゲットを用いて、高電力の高周波(RF)スパッタリングによる成膜を行ったところ、ターゲット割れを発生することなく、UVカット特性が良好なCeO系薄膜を得られることが確認された。
上記で得られた酸化物スパッタリングターゲットについて、EPMA(フィールドエミッション型電子線プローブ)にて、反射電子像(CP)および各元素の組成分布を示す元素分布像を観察した。この元素分布像から、上記の酸化物スパッタリングターゲットの組織は、ZnO相とCeO相からなり、ZnO相とCeO相とが均一に分散していることが分かった。
さらに、上記の酸化物スパッタリングターゲットについて、X線回折(XRD)した結果によれば、ZnOに帰属する回折ピークと、CeOに帰属する回折ピークとが検出され、この酸化物スパッタリングターゲットは、ZnO相とCeO相とによる組織を有していることが確認された。
また、CeO粉末とZnO粉末と、Al添加用のAl粉末を用意し、各粉末を、例えば、Zn:47.6at%、Al:2.4at%、Ce:残となるように秤量し、混合して混合粉末を作製し、この混合粉末の成形体を、非酸化性雰囲気で1400℃の温度で焼成体を得た。そして、この焼成体を、所定の大きさに機械加工し、裏面にバッキングプレートを貼り付けて、本発明の酸化物スパッタリングターゲットを作製した。この酸化物スパッタリングターゲットを用いて、高電力の直流(DC)スパッタリングによる成膜を行ったところ、ターゲット割れを発生することなく、しかも、異常放電の発生を低減でき、安定したスパッタリング成膜が可能となり、UVカット特性が良好なCeO系薄膜を得られることが確認された。なお、ターゲット抵抗率を低下させる添加元素として、Al以外にも、B、Ga、In、Yなどが挙げられ、これらの元素が添加された場合でも、Al添加の場合と同様の効果が確認された。
ここで、上記のAl元素を添加した場合の酸化物スパッタリングターゲットについて、EPMAにて、反射電子像(CP)および各元素の組成分布を示す元素分布像を観察した。この反射電子像及び元素分布像を図1に示す。なお、EPMAによる元素分布像は、本来カラー像であるが、白黒像に変換して記載しているため、濃淡の淡い部分(比較的白い部分)が所定元素の濃度が高い部分となっている。この元素分布像から、上記の酸化物スパッタリングターゲットの組織は、ZnO相とCeO相とAl相とからなり、ZnO相とCeO相とが均一に分散し、AlがZnO相中に存在していることが分かった。
さらに、上記のAl元素を添加した場合の酸化物スパッタリングターゲットについて、X線回折(XRD)した結果を図2に示した。この結果によれば、ZnOに帰属する回折ピークと、CeOに帰属する回折ピークとが検出されていることからも、この酸化物スパッタリングターゲットは、ZnO相とCeO相とによる組織を有していることが確認できる。なお、Al相は少量であり、さらに一部がZnO相に固溶されるため、回折ピークとして検出され難い。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
(1)本発明のスパッタリングターゲットは、Zn:30〜90at%と、残部:Ce及び不可避不純物とを含む金属の酸化物焼成体であって、前記酸化物焼成体は、ZnO相とCeO相とによる組織を有することを特徴とする。
(2)本発明のスパッタリングターゲットは、Zn及びM(但し、Mは、B、Al、Ga、In及びYの元素群から選ばれた1種以上の元素)の合計:30〜90at%と、残部:Ce及び不可避不純物とを含む金属の酸化物焼成体であって、M/(M+Zn)の割合が0.5〜9.5%であり、前記酸化物焼成体は、ZnO相とCeO相とM酸化物相とによる組織を有することを特徴とする。
(3)前記(2)のスパッタリングターゲットは、前記酸化物焼成体の体積抵抗率が5×10−2Ω・cm以下であることを特徴とする。
以上のように、本発明に係る酸化物スパッタリングターゲットにおける焼成体は、Zn:30〜90at%と、残部:Ce及び不可避不純物とを含む金属の酸化物であるが、Znの含有量が、30at%未満の場合には、相対密度が上がらず、耐スパッタ割れ性が悪く、割れやすくなり、一方、その含有量が、90at%を超えると、成膜された薄膜のUVカット特性が低下することとなるので、焼成体中の全金属元素に対して、Znを30〜90at%含有させることが好ましい。さらに、焼成体中に、CeとZnとの複合酸化物が形成されていると、耐割れ性を低下させる原因となるので、添加されたZnは、焼成体の組織中では、Zn酸化物(ZnO)のままで存在することにより、耐割れ性を向上させることとした。そのため、焼成体は、ZnO相とCeO相とによる組織を有している。
また、本発明に係る別の酸化物スパッタリングターゲットにおける焼成体には、Znに加えて、III族元素のうち、特に、B、Al、Ga、In及びYの元素群から選ばれた1種以上の元素(以下、これらの元素を総称してMという)を添加し、ZnとMとの合計を30〜90at%とし、残部がCe及び不可避不純物とを含む金属の酸化物であって、Mの含有量とM及びZnの合計含有量との原子比:M/(M+Zn)が0.5〜9.5at%であるが、Mの含有量とM及びZnの合計含有量との原子比が、0.5%未満であると、ターゲット抵抗率を充分に低下させることができず、直流(DC)スパッタリングが不可となり、一方、その原子比が、9.5%を超えてしまうと、Znと添加元素Mとの複合酸化物が生成され、異常放電が多発する。ZnとMとの合計を30〜90at%とし、かつ、Mの含有量とM及びZnの合計含有量との原子比を0.5〜9.5at%とし、焼成体の組織中では、添加されたZnは、Zn酸化物(ZnO)のままで存在することにより、耐割れ性の向上に寄与し、添加されたMは、ZnO相に固溶し、又は、M酸化物相として存在し、前記焼成体の体積抵抗率を5×10−2Ω・cm以下と、抵抗率の低下に寄与している。この体積抵抗率であれば、高電力によるDCスパッタリングを安定的に行うことができる。なお、上記の元素群以外の元素に関しては、当該元素のZnに対する割合は、0.1%以下であることが好ましい。
以上に述べた酸化物スパッタリングターゲットにおける焼成体の作製にあたっては、CeO粉末とZnO粉末と、元素M添加用のM酸化物粉末とを用意し、各粉末を、所定の配合率となるように秤量し、混合して混合粉末を得た後に、この混合粉末の成形体を、非酸化性雰囲気で1400℃の温度で焼成することにより焼成体を得ることができる。得られた焼成体は、ZnO相とCeO相とM酸化物相とによる組織を有している。
以上の様に、本発明によれば、焼成体の組織中に、ZnO相とCeO相とを存在させることにより、相対密度が高められ、ターゲット割れの発生を抑制し、高電力によるスパッタリング成膜を可能にできる酸化物スパッタリングターゲットが得られ、このスパッタリングターゲットを用いて成膜された薄膜は、良好なUVカット特性を有している。さらには、酸化物スパッタリングターゲットの焼成体は、ZnO相とCeO相とM酸化物相とによる組織を有しているので、ターゲット割れの発生を抑制しつつ、ターゲット抵抗率を低減して、高電力による直流(DC)スパッタリングを可能にし、UVカット特性が良好なCeO系薄膜を成膜することができ、生産性向上に寄与する。
本発明に係る酸化物スパッタリングターゲットの焼成体の一例についてEPMAにより取得したZn−Ce−Al元素分布画像である。 図1に示された焼成体についてX線回折により測定した結果を表したXRDパターンである。
つぎに、本発明の酸化物スパッタリングターゲットについて、以下に、実施例により具体的に説明する。
〔実施例〕
先ず、本発明の酸化物スパッタリングターゲットを製造するために、CeO粉末(3N、D50=3.5μm)、ZnO粉末(4N、D50=1.0μm)、Al粉末(4N、D50=0.2μm)、Ga粉末(4N、D50=1.7μm)、In2O3粉末(4N、D50=1.0μm)、B粉末(4N)、Y粉末(4N、D50=2.5μm)をそれぞれ用意し、原料粉末とした。ここで、例えば、D50=1.0とは、粉末における50%の粒子の径が、1.0μm以下であることを示している。
次に、用意した各粉末を、表1に示される酸化物スパッタリングターゲットの組成となるように、秤量し、この秤量した粉末5kgを、直径5mmのジルコニアボールと共にボールミル装置の内容量10Lのポリ容器内に充填した。そして、60rpmの回転速度で24時間のボールミルを行って、実施例1〜12の混合粉末を得た。
得られた実施例1〜12の混合粉末を、冷間等方圧加圧(CIP)法により、圧力:150MPa、圧力キープ時間:30秒で、実施例1〜12の成形体を得た。次いで、この実施例1〜12の成形体について、非酸化性雰囲気:Nにおいて、1400℃の温度で、3時間の焼成を行い。実施例1〜12の焼成体を作製した。この焼成体を、直径125mm、厚さ5mmの大きさに湿式機械加工し、裏面にバッキングプレートを貼り付けて、実施例1〜12の酸化物スパッタリングターゲットを作製した。
〔比較例〕
本発明に係る実施例と比較のため、比較例1、2の酸化物スパッタリングターゲットを用意した。比較例1、2の酸化物スパッタリングターゲットは、表1に示されるように、CeO粉末(3N、D50=3.5μm)と、ZnO粉末(4N、D50=1.0μm)とを用いた場合であって、ターゲット製造においては、上記各実施例の場合と同様の手法が採用されている。なお、比較例1、2の酸化物スパッタリングターゲットにおけるZnの含有量が、本発明におけるZnの含有量の範囲外のもとになっている。

次に、上記実施例1〜12及び比較例1、2の酸化物スパッタリングターゲットについて、相対密度、体積抵抗を測定し、さらに、スパッタ割れ試験、スパッタ安定性試験を行った。
<相対密度の測定>
相対密度(%)は、作製された実施例1〜12及び比較例1、2の焼成体を所定寸法に機械加工した後、重量を測定し、嵩密度を求めた後、理論密度Dで割ることで算出した。なお、理論密度Dについては、原料の重量に基づいて、以下に示した式により求めた。この式は、CeO粉末とZnO粉末の両方と、複数の添加元素Mi、Mj・・・とを混合した場合を示している。実施例1〜3及び比較例1、2の場合には、添加元素Mi、Mj・・・を含まないので、添加元素に係る項は全て無いものとして、相対密度を求める。また、他の実施例の場合には、添加元素を含んでいるので、CeOとZnOに係る項と、該当する添加元素に係る項のみとで相対密度を求める。相対密度の測定結果を、表2の「相対密度(%)」欄に示した。

但し、上式中の記号は、以下のとおりである。
D:混合物の理論密度
CeO2:CeOの重量%
ZnO:ZnOの重量%
MiOx:添加元素MiOの重量%
MjOy:添加元素MjOの重量%
CeO2:CeOの理論密度
ZnO:ZnOの理論密度
MiOx:MiOの理論密度
MjOy:MjOの理論密度
ここで、CeOの理論密度は、7.13g/cm、ZnOの理論密度は、5.61g/cm、Bの理論密度は、2.46g/cm、Alの理論密度は、3.99g/cm、Gaの理論密度は、6.44g/cm、Inの理論密度は、7.18g/cm、Yの理論密度は、4.8g/cmである。
<体積抵抗率の測定>
上記実施例1〜12及び比較例1、2の酸化物スパッタリングターゲットについて、体積抵抗率の測定では、抵抗測定装置として、三菱化学株式会社製の低抵抗率計(Loresta-GP)を用い、四探針法で、抵抗率(Ω・cm)を測定した。その測定結果を、表2の「抵抗率(Ω・cm)」欄に示した。なお、実施例1〜3と比較例1、2の場合には、抵抗が高いため、オーバーレンジとなったので、「測定範囲外」と表記した。
<スパッタ安定性試験>
上記実施例4〜12の酸化物スパッタリングターゲットについて、スパッタ安定性試験を行った。この試験では、直流(DC)電源の電力を1000Wとし、30分間放電させて、DCスパッタリングを実施した。このDCスパッタリングを30分継続して異常放電回数を測定した。その測定結果を、表2の「異常放電発生状況」欄に示した。ここで、異常放電回数が10回未満の場合に、「◎」を、30回未満の場合に、「○」を表記し、「◎」及び「○」の場合を、スパッタ安定性が良好と判定した。放電が起こらなかった場合又は異常放電が多発した場合には、「×」を表記することになるが、このDCスパッタリングによるスパッタ安定性試験では、このような場合は、無かった。
なお、上記実施例1〜3及び比較例1、2の場合には、上記で測定された抵抗率が測定範囲外と高いため、スパッタリングに、高周波(RF)電源を用いることとしたので、このスパッタ安定性試験を行わなかった。
<スパッタ割れ試験>
実施例1〜12及び比較例1、2の場合について、直径125mm×厚さ10mmの酸化物スパッタリングターゲットを前述の製造方法で作製し、スパッタリング装置のチャンバー内に装着して、以下に示す条件で、放電を行った。先ず、その放電を、1000W、30分間行い、チャンバー開放して、ターゲット表面が割れていないかどうかを確認した。次いで、ターゲット表面が割れていなければ、電力を200wずつ上昇させて印加し、2000Wになるまで、その都度、チャンバー開放して、ターゲット表面が割れていないかを確認した。一方、ターゲット表面の割れが確認できたときには、それ以降のスパッタ割れ試験を中断した。その確認結果が、表3に示されている。
(放電条件)
・電源:DC1000W〜2000W
・全圧:0.67Pa
・スパッタリングガス:Ar=30sccm
なお、表3においては、ターゲット表面の割れが確認できなかった場合には、「○」を、そして、ターゲット表面の割れが確認できた場合には、「×」をそれぞれ表示した。さらに、スパッタ割れ試験を中断した場合には、「−」を表示した。
さらに、上記実施例1〜12及び比較例1、2の酸化物スパッタリングターゲットを用いて、Corning社製Eagle−XGガラス基板にスパッタリング成膜したCe−Zn酸化物膜について、紫外線(UV)カット特性試験を行った。このUVカット特性試験では、200〜380nmの紫外光を用いて、膜の光透過性を評価した。その評価結果を、表3の「UVカット特性」欄に示した。ここでは、膜厚100nmで、200〜380nmの透過率の平均値が10%以下の場合を、「○」と、10%を超える場合を「×」と表記した。なお、いずれの場合でも、可視光領域での透過率が80%以上になる条件で比較している。


上記の表3によれば、実施例1〜12のいずれの酸化物スパッタリングターゲットにおいても、スパッタリングターゲットのXRDパターンの同定によって、ZnO相とCeO相とが存在することを確認でき、焼成体の組織中に、ZnO相とCeO相とを存在させることにより、相対密度が高められ、ターゲット割れの発生を抑制し、高電力によるスパッタリング成膜を可能にできることが確認され、実施例1〜12の酸化物スパッタリングターゲットを用いて成膜された薄膜は、良好なUVカット特性を有していることも確認できた。
一方、比較例1、2の酸化物スパッタリングターゲットについては、Znの含有量が、本発明におけるZnの含有量の範囲外となっている。比較例1の場合には、Zn含有量が低いため、得られた薄膜のUVカット特性は良好であっても、相対密度が上がらず、高電力スパッタリングに供することができなかった。また、比較例2では、Zn含有量が高すぎる場合であって、高電力スパッタリングによる成膜が可能であるが、成膜された薄膜は、UVカット特性が劣るものであった。
以上の様に、本発明による酸化物スパッタリングターゲットによれば、Zn:30〜90at%と、残部:Ce及び不可避不純物とを含む金属の酸化物焼成体は、ZnO相とCeO相とによる組織を有し、或いは、Zn及びM(但し、Mは、B、Al、Ga、In及びYの元素群から選ばれた1種以上の元素)の合計:30〜90at%と、残部:Ce及び不可避不純物とを含む金属の酸化物焼成体は、Mの含有量とM及びZNの合計含有量との原子比:M/(M+Zn)が0.5〜9.5%であり、ZnO相とCeO相とM酸化物相とによる組織を有している。いずれの酸化物スパッタリングターゲットでは、焼成体の組織中に、ZnO相とCeO相とを存在させることにより、相対密度が高められ、ターゲット割れの発生を抑制し、高電力によるスパッタリング成膜が可能であることが確認され、この酸化物スパッタリングターゲットを用いて成膜された薄膜は、良好なUVカット特性を有していることが分かった。さらには、ZnO相とCeO相とM酸化物相とによる組織を有した酸化物スパッタリングターゲットでは、ターゲット割れの発生を抑制しつつ、ターゲット抵抗率を低減して、高電力による直流(DC)スパッタリングを可能にし、UVカット特性が良好なCeO系薄膜を成膜することができることが分かった。



Claims (3)

  1. Zn:30〜90at%と、残部:Ce及び不可避不純物とを含む金属の酸化物焼成体であって、
    前記酸化物焼成体は、ZnO相とCeO相とによる組織を有することを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. Zn及びM(但し、Mは、B、Al、Ga、In及びYの元素群から選ばれた1種以上の元素)の合計:30〜90at%と、残部:Ce及び不可避不純物とを含む金属の酸化物焼成体であって、
    Mの含有量とM及びZnの合計含有量との原子比:M/(M+Zn)が0.5〜9.5%であり、
    前記酸化物焼成体は、ZnO相とCeO相とM酸化物相とによる組織を有することを特徴とするスパッタリングターゲット。
  3. 前記酸化物焼成体の体積抵抗率が5×10−2Ω・cm以下であることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリングターゲット。



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