JP2015111602A - 有機el素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】発光効率を高くするとともに、駆動電圧を低くすることができる有機EL素子を提供する。【解決手段】有機EL素子1は、基板2上に、陽極3と、第1の有機層4と、中間電極5と、第2の有機層6と、陰極7とを備えている。中間電極5は少なくとも1層の金属膜52を含み、金属膜52は、粒子が柱状に成長する金属を含む不連続膜である。また、金属膜52の陽極3側に接する層は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層51、または、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む層である。【選択図】図1
Description
本発明は有機EL(電界発光)素子に関する。
有機EL素子は、例えば、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能であり、また、蛍光性有機化合物の種類を選択することにより種々の色の発光が可能なことから、様々な発光素子、表示素子等への応用が期待されている。このため、様々な素子に応用すべく、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、陽極、陰極とは別に素子内に新たに中間導電層を形成する有機EL表示装置が提案されている。特許文献1によれば、より高い自由度で製造でき、しかも広い発光波長領域を得ることができる。また、製造工程が簡単で、高輝度の有機EL表示装置を得ることができる。
また、特許文献2には、特許文献1の中間導電層に用いる材料の選択幅を広げるため、中間導電層の電子注入を担う層と正孔注入を担う層の少なくとも一方を島状の層とする発光素子が提案されている。特許文献2によれば、中間導電層に用いる材料の選択幅を広げるとともに、発光効率が高く、消費電力の小さい発光素子を得ることができる。
ところで、中間導電層等の用いられる金属膜が電極として機能するには、1nm以上、好ましくは4nm以上の膜厚が必要であり、膜厚が4nm以下となると、素子の駆動電圧が高くなってしまうという問題がある。しかし、特許文献2の島状の層である金属電極膜を4nm以上の膜厚にすると、この島が結合して連続膜になり、光透過性が大きく低下してしまう。また、金属電極膜の膜面方向の絶縁性の低下によるドット外発光が起こってしまう。このため、素子の発光効率が低くなってしまい、さらにはディスプレイとしてのマトリックス表示ができなくなるという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、発光効率を高くするとともに、駆動電圧を低くすることができる有機EL素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る有機EL素子は、
基板上に少なくとも、陽極と、発光機能を有する第1の有機層と、中間電極と、発光機能を有する第2の有機層と、陰極と、を積層し、
前記中間電極は少なくとも1層の金属膜を含み、
前記金属膜は、少なくともアルミニウムとインジウムとを含有し、粒子が柱状に成長する金属を含む平均膜厚が4nm以上25nm以下の不連続膜であり、
前記金属膜を形成する粒子の、膜面に対して鉛直方向の長さが平均膜厚の3.75倍より大きい、ことを特徴とする。
基板上に少なくとも、陽極と、発光機能を有する第1の有機層と、中間電極と、発光機能を有する第2の有機層と、陰極と、を積層し、
前記中間電極は少なくとも1層の金属膜を含み、
前記金属膜は、少なくともアルミニウムとインジウムとを含有し、粒子が柱状に成長する金属を含む平均膜厚が4nm以上25nm以下の不連続膜であり、
前記金属膜を形成する粒子の、膜面に対して鉛直方向の長さが平均膜厚の3.75倍より大きい、ことを特徴とする。
前記金属膜を形成する粒子の、膜面に対して鉛直方向の長さが平均膜厚の5倍以上であることが好ましい。
前記金属膜の平均膜厚が4nm以上10nm以下であることが好ましい。
前記金属膜の平均膜厚が4nm以上10nm以下であることが好ましい。
本発明の第2の観点に係る有機EL素子は、
基板上に少なくとも、陽極と、発光機能を有する第1の有機層と、中間電極と、発光機能を有する第2の有機層と、陰極と、を積層し、
前記中間電極は少なくとも1層の金属膜を含み、
前記金属膜は、平均膜厚が1nm以上25nm以下であり、少なくともアルミニウムとインジウムとを含有するアモルファス状の金属を含む膜であり、少なくとも1種の金属元素がその他の金属元素と固溶体を形成せずに存在しており、
前記アモルファス状の金属の電子線回析において回析線が観察できないことを特徴とする。
基板上に少なくとも、陽極と、発光機能を有する第1の有機層と、中間電極と、発光機能を有する第2の有機層と、陰極と、を積層し、
前記中間電極は少なくとも1層の金属膜を含み、
前記金属膜は、平均膜厚が1nm以上25nm以下であり、少なくともアルミニウムとインジウムとを含有するアモルファス状の金属を含む膜であり、少なくとも1種の金属元素がその他の金属元素と固溶体を形成せずに存在しており、
前記アモルファス状の金属の電子線回析において回析線が観察できないことを特徴とする。
前記金属膜の平均膜厚が1nm以上10nm以下であることが好ましい。
前記陰極から前記中間電極までの距離は、λ/2n(λは発光波長、nは陰極から中間電極間の屈折率)であることが好ましい。
前記アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜35:65であることが好ましい。
前記アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜53:47であることが好ましい。
前記金属膜の陽極側に接する層は、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む。
前記金属膜の陽極側に接する層は、例えば、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む。
前記陰極から前記中間電極までの距離は、λ/2n(λは発光波長、nは陰極から中間電極間の屈折率)であることが好ましい。
前記アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜35:65であることが好ましい。
前記アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜53:47であることが好ましい。
前記金属膜の陽極側に接する層は、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む。
前記金属膜の陽極側に接する層は、例えば、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む。
本発明の第3の観点に係る有機EL素子は、
基板上に少なくとも、陽極と、発光機能を有する有機層と、陰極と、を順次積層し、
前記陰極は少なくとも1層の金属膜を含み、
前記金属膜は、少なくともアルミニウムとインジウムとを含有し、粒子が柱状に成長する金属を含む平均膜厚が4nm以上25nm以下の不連続膜であり、
前記金属膜を形成する粒子の、膜面に対して鉛直方向の長さが平均膜厚の3.75倍より大きい、ことを特徴とする。
基板上に少なくとも、陽極と、発光機能を有する有機層と、陰極と、を順次積層し、
前記陰極は少なくとも1層の金属膜を含み、
前記金属膜は、少なくともアルミニウムとインジウムとを含有し、粒子が柱状に成長する金属を含む平均膜厚が4nm以上25nm以下の不連続膜であり、
前記金属膜を形成する粒子の、膜面に対して鉛直方向の長さが平均膜厚の3.75倍より大きい、ことを特徴とする。
前記金属膜を形成する粒子の、膜面に対して鉛直方向の長さが平均膜厚の5倍以上であることが好ましい。
前記金属膜の平均膜厚が4nm以上10nm以下であることが好ましい。
前記金属膜の平均膜厚が4nm以上10nm以下であることが好ましい。
本発明の第4の観点に係る有機EL素子は、
基板上に少なくとも、陽極と、発光機能を有する有機層と、陰極と、を順次積層し、
前記陰極は少なくとも1層の金属膜を含み、
前記金属膜は、平均膜厚が1nm以上25nm以下であり、少なくともアルミニウムとインジウムとを含有するアモルファス状の金属を含む膜であり、少なくとも1種の金属元素がその他の金属元素と固溶体を形成せずに存在しており、
前記アモルファス状の金属の電子線回析において回析線が観察できないことを特徴とする。
基板上に少なくとも、陽極と、発光機能を有する有機層と、陰極と、を順次積層し、
前記陰極は少なくとも1層の金属膜を含み、
前記金属膜は、平均膜厚が1nm以上25nm以下であり、少なくともアルミニウムとインジウムとを含有するアモルファス状の金属を含む膜であり、少なくとも1種の金属元素がその他の金属元素と固溶体を形成せずに存在しており、
前記アモルファス状の金属の電子線回析において回析線が観察できないことを特徴とする。
前記金属膜の平均膜厚が1nm以上10nm以下であることが好ましい。
前記アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜35:65であることが好ましい。
前記アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜53:47であることが好ましい。
前記アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜35:65であることが好ましい。
前記アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜53:47であることが好ましい。
前記金属膜の陽極側に接する層は、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む。
前記金属膜の陽極側に接する層は、例えば、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む。
前記金属膜の陽極側に接する層は、例えば、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む。
本発明によれば、発光効率を高くするとともに、駆動電圧を低くすることができる有機EL素子を提供することができる。
以下、本発明の有機EL素子について説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態では、本発明の有機EL素子を、発光機能を有する有機層が複数積層され、この有機層の間に中間電極が形成されたタンデム構造の有機EL素子に適用した場合を例に説明する。図1は、第1の実施の形態の有機EL素子の構成の一例を示す図である。
本実施の形態では、本発明の有機EL素子を、発光機能を有する有機層が複数積層され、この有機層の間に中間電極が形成されたタンデム構造の有機EL素子に適用した場合を例に説明する。図1は、第1の実施の形態の有機EL素子の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、有機EL素子1は、基板2上に、陽極3と、第1の有機層4と、中間電極5と、第2の有機層6と、陰極7とを備えている。
基板2は、透明な材料から形成されており、例えば、ガラス板、透明プラスチックシート、透明セラミックスなどから形成されている。また、基板2に、例えば、カラーフィルター膜、色変換膜、誘電体反射膜等を組み合わせることにより、発光色をコントロールしてもよい。
陽極3は、図示しない外部電源に接続されて有機層に正孔を提供する機能を有する。陽極3は、透明な材料から形成されており、比較的仕事関数の大きい金属、合金または電気電導性化合物を電極物質として使用することが好ましい。陽極3に使用する電極物質としては、例えば、金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)、ポリチオフェン、ポリピロールなどが挙げられる。これらの電極物質は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。陽極3は、これらの電極物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法等の気相成長法により、基板2の上に形成することができる。また、陽極3は、一層構造であっても、多層構造であってもよい。
第1の有機層4は、発光機能を有する有機材料から構成されている。本実施の形態では、第1の有機層4は、正孔注入輸送層41と、発光層42と、電子注入輸送層43とを備えている。
正孔注入輸送層41は、陽極3からの正孔(ホール)の注入を容易にする機能、注入された正孔を輸送する機能、および電子を妨げる機能を有する化合物を含有する層である。正孔注入輸送層41に用いられる材料としては、テトラフェニルジアミノビフェニル誘導体(TPD)、トリアリールアミン誘導体などの芳香族アミン化合物、フタロシアニン誘導体、トリアリールメタン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール誘導体などを少なくとも1種用いたものが挙げられる。正孔注入輸送機能を有する化合物は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
上記芳香族アミン化合物の中でも、結晶性が低く、ガラス転移温度が高いため安定な薄膜が得られ、さらに芳香族アミン化合物の中でも特に高いホール輸送性を有しているという理由から、下記式(I)で表されるテトラアリールジアミン誘導体であることが好ましい。
式(I)について説明すると、R1〜R4は、それぞれ独立にアリール基、フルオレン基、カルバゾリル基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又はハロゲン原子を示し、R1〜R4のうちの少なくとも1つはアリール基である。r1〜r4は、それぞれ0又は1〜5の整数であり、r1〜r4は同時に0になることはない。従って、r1〜r4の合計は1以上である。R5及びR6は、それぞれ独立にアリール基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。r5及びr6は、それぞれ0又は1〜4の整数である。
R1〜R4で表されるアリール基としては、単環もしくは多環のものであってよく、縮合環も含まれる。総炭素数は6〜20のものが好ましく、置換基を有していてもよい。この場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
R1〜R4で表されるアリール基の具体例としては、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェニルアントリル基、トリルアントリル基等が挙げられ、特にホール輸送性が高く、HOMO−LUMO間エネルギーギャップが大きいという理由から、フェニル基であることが好ましい。
R1〜R4で表されるアリール基の具体例としては、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェニルアントリル基、トリルアントリル基等が挙げられ、特にホール輸送性が高く、HOMO−LUMO間エネルギーギャップが大きいという理由から、フェニル基であることが好ましい。
R1〜R4で表されるアルキル基としては、直鎖状でも分岐を有するものであってもよい。上記アルキル基は、ホール輸送性と蒸着成膜が容易であるという理由から、炭素数1〜10のものが好ましく、置換基を有していてもよい。この場合の置換基としてはアリール基の場合と同様のものが挙げられる。
R1〜R4で表されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
R1〜R4で表されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
R1〜R4で表されるアルコキシ基としては、アルキル部分の炭素数1〜6のものが好ましく、その具体例としてはメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。アルコキシ基はさらに置換されていてもよい。この場合の置換基としてはアリール基と同様のものが挙げられる。
R1〜R4で表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−(t−ブチル)フェノキシ基等が挙げられる。
R1〜R4で表されるアミノ基としては、無置換でも置換基を有するものであってもよいが、置換基を有するものが好ましく、その具体例としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、フェニル−トリルアミノ基、ビス(ビフェニル)アミノ基等が挙げられる。
R1〜R4で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
R1〜R4で表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−(t−ブチル)フェノキシ基等が挙げられる。
R1〜R4で表されるアミノ基としては、無置換でも置換基を有するものであってもよいが、置換基を有するものが好ましく、その具体例としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、フェニル−トリルアミノ基、ビス(ビフェニル)アミノ基等が挙げられる。
R1〜R4で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
R1〜R4のうちの少なくとも1つはアリール基であるが、さらには2つ以上、特には3つ以上のものが好ましい。従って、r1〜r4のうち2つ以上、さらには3つ以上が1以上の整数であることが好ましく、特にr1〜r4のうち2つ以上、さらには3つ以上が1であることが好ましい。
R5、R6で表されるアリール基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子としてはR1〜R4の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
r5、r6は、ともに0であることが好ましい。
なお、r1〜r4が2以上の整数の時、各R1〜R4同士はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。また、r5、r6が2以上の整数の時、R5、R6はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。
r5、r6は、ともに0であることが好ましい。
なお、r1〜r4が2以上の整数の時、各R1〜R4同士はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。また、r5、r6が2以上の整数の時、R5、R6はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。
式(I)で表される化合物の中でも、式(I−1)又は式(I−2)で表される化合物が好ましい。
式(I−1)及び(I−2)において、R7〜R10はそれぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。これらの具体例としては式(I)のR1〜R4の説明で挙げたものと同様なものが挙げられる。
r7〜r10は、それぞれ0又は1〜4の整数であり、式(I−1)及び式(I−2)のいずれにおいても0であることが好ましい。
また、R11〜R14は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基又はハロゲン原子を示し、これらは同一でも異なっていてもよい。これらの具体例としては式(I)のR1〜R4の説明で挙げたものと同様なものが挙げられる。
r11〜r14はそれぞれ0又は1〜5の整数である。
また、式(I−1)及び式(I−2)において、R5、R6、r5及びr6は式(I)のものと同義であり、r5=r6=0であることが好ましい。
r7〜r10は、それぞれ0又は1〜4の整数であり、式(I−1)及び式(I−2)のいずれにおいても0であることが好ましい。
また、R11〜R14は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基又はハロゲン原子を示し、これらは同一でも異なっていてもよい。これらの具体例としては式(I)のR1〜R4の説明で挙げたものと同様なものが挙げられる。
r11〜r14はそれぞれ0又は1〜5の整数である。
また、式(I−1)及び式(I−2)において、R5、R6、r5及びr6は式(I)のものと同義であり、r5=r6=0であることが好ましい。
なお、式(I−1)及び式(I−2)において、r7〜r10がそれぞれ2以上の整数である時、各R7〜R10同士は同一でも異なるものであってもよい、またr11〜r14がそれぞれ2以上の整数である時、各R11〜R14同士は同一でも異なるものであってもよい。
また、式(I)で表される化合物の中で、式(I−3)で表される化合物も好ましい。
式(I−3)において、R5、R6、r5及びr6は式(I)のものと同義であり、r5=r6=0であることが好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ独立にアリール基を示し、これらは同一でも異なっていてもよい。アリール基の具体例としいては式(I)のR1〜R4の説明と同様のものを挙げることができ、フェニル基又はビフェニル基が特に好ましい。
R15、R16は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。これらの具体例としては式(I)のR1〜R4の説明で挙げたものと同様なものが挙げられる。
r15、r16は、0又は1〜4の整数であるが、r15=r16=0であることが好ましい。
R17、R18は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。これらの具体例としては式(I)のR1〜R4の説明で挙げたものと同様なものが挙げられる。
r17、r18は、0又は1〜5の整数であるが、r17=r18=0であることが好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ独立にアリール基を示し、これらは同一でも異なっていてもよい。アリール基の具体例としいては式(I)のR1〜R4の説明と同様のものを挙げることができ、フェニル基又はビフェニル基が特に好ましい。
R15、R16は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。これらの具体例としては式(I)のR1〜R4の説明で挙げたものと同様なものが挙げられる。
r15、r16は、0又は1〜4の整数であるが、r15=r16=0であることが好ましい。
R17、R18は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。これらの具体例としては式(I)のR1〜R4の説明で挙げたものと同様なものが挙げられる。
r17、r18は、0又は1〜5の整数であるが、r17=r18=0であることが好ましい。
なお、式(I−3)において、r15、r16が2以上の整数である時、R15同士、R16同士はそれぞれ同一でも異なるものであってもよく、r17、r18が2以上の整数である時、R17同士、R18同士はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。
なお、正孔注入輸送層41は、発光層42に用いる化合物の正孔注入、正孔輸送の各機能の高さを考慮し、必要に応じて設けられる。例えば、発光層42に用いる化合物の正孔注入輸送機能が高い場合には、正孔注入輸送層41を設けずに、発光層42が正孔注入輸送層41を兼ねる構成とすることができる。また、正孔注入輸送層41は、注入機能を持つ層と輸送機能を持つ層とに別個に設けてもよい。
発光層42は、正孔(ホール)および電子の注入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能(発光機能)を有する化合物を含有する層である。発光層42に用いられる材料としては、クマリン誘導体、キナクリドン、ルブレン、スチリル系色素、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等のキノリノール環を持つ有機材料、もしくはキノリノール環を持つ有機材料が配位した有機金属錯体などのキノリン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体、フェニルアントラセン誘導体、テトラアリールエテン誘導体、フルオランテン誘導体、アセナフトフルオランテン誘導体、テトラフェニルジアミノビフェニル誘導体(TPD)、トリアリールアミン誘導体、などの芳香族アミン化合物などが挙げられる。特に上記式(I)、および下記式(II)、(IIIa)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)で表される化合物のうち少なくとも1種の化合物を含むものであることが、青色から赤色までの所望の発光が高い効率で得られ、かつ連続駆動寿命と耐熱性が確保でき、さらには低電圧で駆動できるという理由から好ましい。以下、式(II)、(IIIa)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)で表される化合物について説明する。
式(II)中、A101は、置換基を有していてもよいモノフェニルアントリル基又は置換基を有していてもよいジフェニルアントリル基を示す。nは1又は2であり、nが1である場合にはLは水素原子、nが2である場合にはLは単結合又は2価の連結基を示す。なお、nが2である場合、A101はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記モノフェニルアントリル基及びジフェニルアントリル基が置換基を有する場合の置換基としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基等が挙げられ、アントラセン自体のHOMO−LUMO間エネルギーギャップを変えることなく薄膜の安定性を向上させることができるという理由から、フェニル基であることが好ましい。これらのような置換基の置換位置は特に限定されないが、フェニル基が置換基を有することが、アントラセン自体のHOMO−LUMO間エネルギーギャップを変えることなく薄膜の安定性を向上させることができるという理由から好ましい。
また、モノフェニルアントリル基及びジフェニルアントリル基におけるフェニル基の結合位置は、大きなHOMO−LUMO間エネルギーギャップを有し、かつ合成が比較的容易であるという理由から、アントラセン環の9位及び/又は10位であることが好ましい。
上記モノフェニルアントリル基及びジフェニルアントリル基が置換基を有する場合の置換基としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基等が挙げられ、アントラセン自体のHOMO−LUMO間エネルギーギャップを変えることなく薄膜の安定性を向上させることができるという理由から、フェニル基であることが好ましい。これらのような置換基の置換位置は特に限定されないが、フェニル基が置換基を有することが、アントラセン自体のHOMO−LUMO間エネルギーギャップを変えることなく薄膜の安定性を向上させることができるという理由から好ましい。
また、モノフェニルアントリル基及びジフェニルアントリル基におけるフェニル基の結合位置は、大きなHOMO−LUMO間エネルギーギャップを有し、かつ合成が比較的容易であるという理由から、アントラセン環の9位及び/又は10位であることが好ましい。
式(II)において、Lは水素原子、単結合又は2価の連結基を示すが、2価の連結基としてはアルキレン基等が介在してもよいアリーレン基が好ましい。その具体例としてはフェニレン基、ビフェニレン基、アントリレン基等の通常のアリーレン基の他、2個ないしそれ以上のアリーレン基が直接連結したものが挙げられ、p−フェニレン基、4,4′−ビフェニレン基等が電子移動度を向上させるという理由から、好ましい。
また、Lで表されるアリーレン基は、2個ないしそれ以上のアリーレン基がアルキレン基を介在して連結するものであってもよい。アルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が好ましい。このようなアリーレン基の具体例を下記式(21)、(22)に示す。
また、Lで表されるアリーレン基は、2個ないしそれ以上のアリーレン基がアルキレン基を介在して連結するものであってもよい。アルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が好ましい。このようなアリーレン基の具体例を下記式(21)、(22)に示す。
上記式(II)で表される化合物の蒸着膜は安定なアモルファス状態なので、薄膜の膜物性が良好となりムラがなく均一な発光が可能である。また、大気下で1年以上安定であり結晶化を起こさない。
式(II)で表される化合物の中でも、式(II−1)又は(II−2)で表される化合物が、薄膜の安定性が特に高いという理由からより好ましい。
式(II)で表される化合物の中でも、式(II−1)又は(II−2)で表される化合物が、薄膜の安定性が特に高いという理由からより好ましい。
式(II−1)において、M1及びM2はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基を示す。
M1、M2で表されるアルキル基としては、直鎖状でも分岐を有するものであってもよいが、炭素数1〜10の置換基を有してもよいアルキル基が蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、1〜4の置換基を有してもよいアルキル基がより好ましい。特に、炭素数1〜4の無置換のアルキル基が蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、その具体例としてはメチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
M1、M2で表されるシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
M1、M2で表されるアルキル基としては、直鎖状でも分岐を有するものであってもよいが、炭素数1〜10の置換基を有してもよいアルキル基が蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、1〜4の置換基を有してもよいアルキル基がより好ましい。特に、炭素数1〜4の無置換のアルキル基が蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、その具体例としてはメチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
M1、M2で表されるシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
M1、M2で表されるアリール基としては、蒸着による成膜が容易であるという理由から、炭素数6〜20のものが好ましく、さらにはフェニル基、トリル基等の置換基を有するものであってもよい。その具体例としては、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェニルアントリル基、トリルアントリル基等が挙げられる。
M1、M2で表されるアルケニル基としては、蒸着による成膜が容易でありかつ薄膜の安定性が高いという理由から、総炭素数6〜50のものが好ましく、無置換のものであってもよいが置換基を有するものであってもよく、化学的安定性の観点から置換基を有する方が好ましい。このときの置換基としては、フェニル基等のアリール基が電子輸送性に影響を与えずに安定性を向上できるという理由から好ましい。その具体例としては、トリフェニルビニル基、トリトリルビニル基、トリビフェニルビニル基等が挙げられる。
M1、M2で表されるアルケニル基としては、蒸着による成膜が容易でありかつ薄膜の安定性が高いという理由から、総炭素数6〜50のものが好ましく、無置換のものであってもよいが置換基を有するものであってもよく、化学的安定性の観点から置換基を有する方が好ましい。このときの置換基としては、フェニル基等のアリール基が電子輸送性に影響を与えずに安定性を向上できるという理由から好ましい。その具体例としては、トリフェニルビニル基、トリトリルビニル基、トリビフェニルビニル基等が挙げられる。
式(II−1)において、q1及びq2は、それぞれ、0又は1〜5の整数を示し、特に、0又は1であることが合成が容易であるという理由から好ましい。q1及びq2が、それぞれ、1〜5の整数、特に1又は2である時、M1及びM2は、それぞれ、アルキル基、アリール基、アルケニル基であることが分子内での電子の局在化が起こり難いため、他の材料との相互作用が起こり難く、また、高い電子移動度が得られるという理由から好ましい。
式(II−1)において、M1とM2とは同一でも異なるものであってもよく、M1とM2とがそれぞれ複数存在するとき、M1同士、M2同士はそれぞれ同一でも異なるものであってもよく、M1同士あるいはM2同士は結合してベンゼン環等の環を形成してもよい。
式(II−1)において、L1は水素原子、単結合又はアリーレン基を示す。L1で表されるアリーレン基は、式(II)のLと同義である。
式(II−1)において、M1とM2とは同一でも異なるものであってもよく、M1とM2とがそれぞれ複数存在するとき、M1同士、M2同士はそれぞれ同一でも異なるものであってもよく、M1同士あるいはM2同士は結合してベンゼン環等の環を形成してもよい。
式(II−1)において、L1は水素原子、単結合又はアリーレン基を示す。L1で表されるアリーレン基は、式(II)のLと同義である。
次に、式(II−2)について説明すると、M3及びM4は式(II−1)におけるM1及びM2と、またq3及びq4は式(II−1)におけるq1及びq2と、さらにL2は式(II−1)におけるL1とそれぞれ同義であり、好ましいものも同様である。
式(II−2)において、M3とM4とは同一でも異なるものであってもよく、M3とM4がそれぞれ複数存在するとき、M3同士、M4同士は、それぞれ同一でも異なるものであってもよく、M3同士あるいはM4同士は結合してベンゼン環等の環を形成してもよい。
式(II−2)において、L2は水素原子、単結合又はアリーレン基を示す。L2で表されるアリーレン基は、式(II)のLと同義である。
式(II−2)において、M3とM4とは同一でも異なるものであってもよく、M3とM4がそれぞれ複数存在するとき、M3同士、M4同士は、それぞれ同一でも異なるものであってもよく、M3同士あるいはM4同士は結合してベンゼン環等の環を形成してもよい。
式(II−2)において、L2は水素原子、単結合又はアリーレン基を示す。L2で表されるアリーレン基は、式(II)のLと同義である。
式(IIIa)中、Q10、Q20、Q30、Q40、Q50、Q60、Q70、Q80、Q110、Q120、Q130及びQ140は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アミノ基を示す。
式(IIIa)中、Q10,Q20,Q30及びQ40(以下、Q10〜Q40と表す。)は水素原子、アルキル基、アリール基及びアルケニル基のいずれかであることが、分子内での電子の局在化が起こり難く、他の材料との相互作用が起こり難いという理由から好ましく、アリール基であることがより好ましい。また、特に、Q10,Q40が水素原子かつQ20,Q30が上記置換基であるものも分子の対象性を向上させ電子移動度を向上させるという理由から好ましい。
また、Q10とQ40、Q20とQ30とはそれぞれ同じものであることが分子の対象性を保ち電子の移動度を向上させるという理由から好ましいが、異なっていてもよい。
Q50,Q60,Q70及びQ80(以下、Q50〜Q80と表す。)は、水素原子、アルキル基、アリール基、及びアルケニル基のいずれかであることが、分子の対象性を保ち電子の移動度を向上させるという理由から好ましく、特に好ましくは水素原子又はアリール基である。また、Q50とQ60、Q70とQ80とは、それぞれ同じものであることが好ましいが、異なっていても良い。
また、Q110、Q120、Q130及びQ140(以下、Q110〜Q140と表す。)は水素原子が好ましい。
また、Q10とQ40、Q20とQ30とはそれぞれ同じものであることが分子の対象性を保ち電子の移動度を向上させるという理由から好ましいが、異なっていてもよい。
Q50,Q60,Q70及びQ80(以下、Q50〜Q80と表す。)は、水素原子、アルキル基、アリール基、及びアルケニル基のいずれかであることが、分子の対象性を保ち電子の移動度を向上させるという理由から好ましく、特に好ましくは水素原子又はアリール基である。また、Q50とQ60、Q70とQ80とは、それぞれ同じものであることが好ましいが、異なっていても良い。
また、Q110、Q120、Q130及びQ140(以下、Q110〜Q140と表す。)は水素原子が好ましい。
Q10〜Q40、Q50〜Q80及びQ110〜Q140で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、蒸着による成膜が容易であるという理由から、炭素数が1〜6のものが好ましく、直鎖状であっても分岐を有していても良い。アルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、(n,i)−プロピル基、(n,i,sec,tert)−ブチル基、(n,i,neo,tert)−ペンチル基等が挙げられる。
Q10〜Q40、Q50〜Q80及びQ110〜Q140で表されるアリール基としては、単環もしくは多環のものであって良く、縮合環も含まれる。総炭素数は6〜30のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、置換基を有していても良い。Q10〜Q40、Q50〜Q80、Q110〜Q140で表されるアリール基としては、好ましくはフェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、(1−、及び2−)ナフチル基、アントリル基、(o−,m−,p−)ビフェニリル基、ターフェニル基、フェナントリル基が挙げられる。
Q10〜Q40、Q50〜Q80及びQ110〜Q140で表されるアリール基としては、単環もしくは多環のものであって良く、縮合環も含まれる。総炭素数は6〜30のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、置換基を有していても良い。Q10〜Q40、Q50〜Q80、Q110〜Q140で表されるアリール基としては、好ましくはフェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、(1−、及び2−)ナフチル基、アントリル基、(o−,m−,p−)ビフェニリル基、ターフェニル基、フェナントリル基が挙げられる。
Q10〜Q40、Q50〜Q80及びQ110〜Q140で表されるアルケニル基としては、少なくとも置換基の1つにフェニル基を有する(1−、及び2−)フェニルアルケニル基、(1,2−、及び2,2−)ジフェニルアルケニル基、(1,2,2−)トリフェニルアルケニル基等が好ましいが、無置換のものであっても良い。
Q10〜Q40、Q50〜Q80及びQ110〜Q140で表されるアラルキル基は、置換基を有していてもよく、総炭素数7〜30のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、その具体例としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
これら置換基の2種以上が縮合環を形成していてもよい。また、さらに置換されていても良く、その場合の好ましい置換基としては上記と同様である。
Q10〜Q40、Q50〜Q80及びQ110〜Q140で表されるアラルキル基は、置換基を有していてもよく、総炭素数7〜30のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、その具体例としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
これら置換基の2種以上が縮合環を形成していてもよい。また、さらに置換されていても良く、その場合の好ましい置換基としては上記と同様である。
Q10〜Q40、Q50〜Q80及びQ110〜Q140が置換基を有する場合、特に、Q10〜Q40のうちの少なくともその2種以上が上記置換基を有することが分子の共役系を広げ高い電子移動度が得られるという理由から好ましい。その置換位置としては特に限定されるものではなく、Q10〜Q40がフェニル基を有するものであるとき、メタ、パラ、オルト位のいずれでも良い。
式(IIIa)においては、Q10〜Q40及びQ50〜Q80の少なくとも1つ以上、さらにはQ10〜Q40の少なくとも1つ以上が置換又は無置換のアリール基であることが、分子の共役を広げかつ他の材料との相互作用が起こり難いという理由から好ましい。
特に、式(IIIa)で表される化合物としては、下記式(III−1)で表される化合物が比較的HOMO−LUMO間エネルギーギャップが大きく、緑色〜黄色の発光を得るのに好ましい。また式(III−2)で表される化合物は黄色〜赤色の発光を得るのに好ましい。まず、式(III−1)について説明する。
式(IIIa)においては、Q10〜Q40及びQ50〜Q80の少なくとも1つ以上、さらにはQ10〜Q40の少なくとも1つ以上が置換又は無置換のアリール基であることが、分子の共役を広げかつ他の材料との相互作用が起こり難いという理由から好ましい。
特に、式(IIIa)で表される化合物としては、下記式(III−1)で表される化合物が比較的HOMO−LUMO間エネルギーギャップが大きく、緑色〜黄色の発光を得るのに好ましい。また式(III−2)で表される化合物は黄色〜赤色の発光を得るのに好ましい。まず、式(III−1)について説明する。
式(III−1)中、Q5〜Q8及びQ11〜Q16は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基又は複素環基を示し、これらは同一でも異なっていてもよい。Q21〜Q25、及びQ51〜Q55は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基を示し、これらは同一でも異なるものであってもよく、これらのうち隣接する2個以上が互いに結合して環を形成してもよい。
これらの基の具体例としては式(IIIa)のQ10〜Q40と同義のものが挙げられる。
これらの基の具体例としては式(IIIa)のQ10〜Q40と同義のものが挙げられる。
式(III−1)中、Q51〜Q55及びQ21〜Q25は水素原子、アリール基、及びアルケニル基のいずれかであることが分子内での電子の局在化が起こり難く、他の材料との相互作用が起こり難いという理由から好ましく、特に好ましくはアリール基である。また、これらのうちの少なくとも1群中にはアリール基を置換基として有することが、分子の共役系を広げ高い電子移動度が得られるという理由から好ましい。これらのうち隣接する2個以上が縮合環を形成していてもよい。アリール基の好ましい態様としては上記Q10〜Q40と同様である。
形成される縮合環としては、例えばインデン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等を挙げることができる。
式(III−1)中のQ5〜Q8は、式(IIIa)中のQ50〜Q80と同義のものである。またQ11〜Q16としては特に水素原子が好ましい。
式(III−1)中のQ5〜Q8は、式(IIIa)中のQ50〜Q80と同義のものである。またQ11〜Q16としては特に水素原子が好ましい。
式(III−2)中、Q5〜Q8、Q11〜Q14、Q31〜Q35、Q41〜Q45、Q61〜Q65、Q71〜Q75は式(IIIa)のQ10等と同義のものである。
式(III−2)中、Q71〜Q73、Q61〜Q63、Q31〜Q33及びQ41〜Q43は水素原子、アリール基及びアルケニル基のいずれかであることが好ましく、特に好ましくはアリール基である。また、これらのうちの少なくとも1群中にはアリール基を置換基として有することが好ましく、特に好ましくはアリール基である。これらの2個以上が結合して環を形成していてもよい。アリール基の好ましい態様としては式(IIIa)中のQ10〜Q40と同様である。また、Q71〜Q73とQ41〜Q43、Q61〜Q63とQ31〜Q33は、それぞれ同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。
形成される環としては、例えばインデン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等を挙げることができる。
式(III−2)中のQ5〜Q8は、式(IIIa)中のQ50〜Q80と同義のものであり、Q11〜Q14、Q74、Q75、Q64、Q65、Q44、Q45、Q34、Q35は水素原子であることが好ましい。
式(III−2)中、Q71〜Q73、Q61〜Q63、Q31〜Q33及びQ41〜Q43は水素原子、アリール基及びアルケニル基のいずれかであることが好ましく、特に好ましくはアリール基である。また、これらのうちの少なくとも1群中にはアリール基を置換基として有することが好ましく、特に好ましくはアリール基である。これらの2個以上が結合して環を形成していてもよい。アリール基の好ましい態様としては式(IIIa)中のQ10〜Q40と同様である。また、Q71〜Q73とQ41〜Q43、Q61〜Q63とQ31〜Q33は、それぞれ同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。
形成される環としては、例えばインデン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等を挙げることができる。
式(III−2)中のQ5〜Q8は、式(IIIa)中のQ50〜Q80と同義のものであり、Q11〜Q14、Q74、Q75、Q64、Q65、Q44、Q45、Q34、Q35は水素原子であることが好ましい。
R31は上記式(11)で表される基であり、R32は上記式(12)で表される基である。m1は0又は1〜2の整数、m2は1〜3の整数を示し、m1+m2は3である。
また、m1が2であるとき、R31はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、m2が2又は3であるとき、R32はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
また、m1が2であるとき、R31はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、m2が2又は3であるとき、R32はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
R61は水素原子又はアリール基を示す。R61で表されるアリール基としては置換基を有するものであってもよく、総炭素数6〜30のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、例えばフェニル基等が挙げられる。
R62及びR63はそれぞれ水素原子、アリール基又はアルケニル基を示し、これらは同一でも異なっていてもよい。
R62及びR63で表されるアリール基としては置換基を有するものであってもよく、総炭素数6〜70のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましい。その具体例としてはフェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられ、置換基としてはアリールアミノ基(例えばジフェニルアミノ基)、アリールアミノアリール基等が蛍光強度を増大させ、ホールトラップ性を向上させて高い効率が得られるという理由から好ましい。また、このような置換基中にはスチリル基(スチリル基はさらにフェニル基、ジフェニルアミノ基、ナフチル(フェニル)アミノ基、ジフェニルアミノフェニル基等の置換基を有していてもよい)が含まれることも好ましい。このような場合、式(IV)で示される化合物から誘導される一価の基同士が、それ自体で又は連結基を介して結合したような構造であることも好ましい。
R62及びR63で表されるアルケニル基は置換基を有するものであってもよく、総炭素数2〜50のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、ビニル基等が挙げられ、ビニル基とともにスチリル基を形成していることが好ましく、スチリル基はアリールアミノアリール基(例えばジフェニルアミノフェニル基)やアリールアミノ基(例えばジフェニルアミノ基)等の置換基を有していてもよい。このような場合、式(IV)で示される化合物から誘導される一価の基同士が、それ自体で又は連結基を介して結合したような構造であることも好ましい。
R62及びR63で表されるアリール基としては置換基を有するものであってもよく、総炭素数6〜70のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましい。その具体例としてはフェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられ、置換基としてはアリールアミノ基(例えばジフェニルアミノ基)、アリールアミノアリール基等が蛍光強度を増大させ、ホールトラップ性を向上させて高い効率が得られるという理由から好ましい。また、このような置換基中にはスチリル基(スチリル基はさらにフェニル基、ジフェニルアミノ基、ナフチル(フェニル)アミノ基、ジフェニルアミノフェニル基等の置換基を有していてもよい)が含まれることも好ましい。このような場合、式(IV)で示される化合物から誘導される一価の基同士が、それ自体で又は連結基を介して結合したような構造であることも好ましい。
R62及びR63で表されるアルケニル基は置換基を有するものであってもよく、総炭素数2〜50のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、ビニル基等が挙げられ、ビニル基とともにスチリル基を形成していることが好ましく、スチリル基はアリールアミノアリール基(例えばジフェニルアミノフェニル基)やアリールアミノ基(例えばジフェニルアミノ基)等の置換基を有していてもよい。このような場合、式(IV)で示される化合物から誘導される一価の基同士が、それ自体で又は連結基を介して結合したような構造であることも好ましい。
R65はアリール基、アルキル基、アミノ基、アリールアミノ基又はアリールアミノアリール基を示し、これらはスチリル基(スチリル基はさらにフェニル基等の置換基を有していてもよい)を含んでいてもよい。このような場合、式(IV)で示される化合物から誘導される一価の基同士が、それ自体で又は連結基を介して結合したような構造であることも好ましい。
v2は0又は1〜5の整数を示し、v2が2以上の時、R65同士が互いに結合してベンゼン環等を形成し、縮合環となっていてもよい。
v2は0又は1〜5の整数を示し、v2が2以上の時、R65同士が互いに結合してベンゼン環等を形成し、縮合環となっていてもよい。
R66及びR67はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基を示す。
R66及びR67で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、直鎖状でも分岐を有していてもよく、総炭素数1〜6のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、その具体例としてはメチル基、エチル基等が挙げられる。
R66及びR67で表されるアリール基としては、置換基を有していてもよく、単環でも多環であってもよく総炭素数6〜20のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、その具体例としてはフェニル基等が挙げられる。
v3、v4は0又は1〜4の整数を示す。
R66及びR67で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、直鎖状でも分岐を有していてもよく、総炭素数1〜6のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、その具体例としてはメチル基、エチル基等が挙げられる。
R66及びR67で表されるアリール基としては、置換基を有していてもよく、単環でも多環であってもよく総炭素数6〜20のものが蒸着による成膜が容易であるという理由から好ましく、その具体例としてはフェニル基等が挙げられる。
v3、v4は0又は1〜4の整数を示す。
v5は0又は1を示す。式(IV)の中でも、v5が0であって、R65が結合していてもよいジフェニルアミノ基と、R61、R62、R63が結合したビニル基とがフェニレン基に対してパラ位となるように結合した構造が分子全体の共役系を広げて強い傾向強度が得られるという理由から好ましい。
式(IV)で表されるスチリル系アミン化合物の中でも、下記式(IV−1)、(IV−2)で表されるものが分子全体の共役系を広げて強い傾向強度が得られるという理由からさらに好ましい。
式(IV)で表されるスチリル系アミン化合物の中でも、下記式(IV−1)、(IV−2)で表されるものが分子全体の共役系を広げて強い傾向強度が得られるという理由からさらに好ましい。
式(IV−1)中、R61、R62は式(12)中のものと同義であり、R64、R65は式(11)中のR65と同義であり、v1、v2は、式(11)中のV2と同義のものであり、n1は0又は1を示し、L61は結合手又はアリーレン基を示す。アリーレン基の好ましい具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基等が挙げられ、これらの組合せも好ましく、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
式(IV−2)中、R61〜R63、R65、v2は、式(IV−1)中のものと同義のものであり、n2は0又は1を示し、L62は式(IV−1)中のL61と同義である。
式(IV−2)中、R61〜R63、R65、v2は、式(IV−1)中のものと同義のものであり、n2は0又は1を示し、L62は式(IV−1)中のL61と同義である。
式(V)中、Z1〜Z6,Z9〜Z10,Z11〜Z16,Z19及びZ20は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状のアルケニル基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状のアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状のアルケニルチオ基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアラルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアリールアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルアリール基、置換基を有していてもよいアミノ基、シアノ基、水酸基、−COOR100基(基中、R100は水素原子、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状のアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、あるいは置換基を有していてもよいアリール基を示す)、−COR200基(基中、R200は水素原子、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状のアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、あるいはアミノ基を示す)、あるいは−OCOR300(基中、R300は置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状のアルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、あるいは置換基を有していてもよいアリール基を示す)を示し、さらに、Z1〜Z20から選ばれる隣接する基から選ばれる基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換基を有していてもよい炭素環式脂肪族環、芳香族環、あるいは縮合環を形成していてもよい。
なお、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素環式芳香族基、フリル基、チエニル基、ピリジル基などの複素環式芳香族基を示す。
なお、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素環式芳香族基、フリル基、チエニル基、ピリジル基などの複素環式芳香族基を示す。
また、一般式(V)において、Z1〜Z20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基、直鎖、分岐又は環状のアルキルチオ基、直鎖、分岐又は環状のアルケニル基、直鎖、分岐又は環状のアルケニルオキシ基、及び直鎖、分岐又は環状のアルケニルチオ基は置換基を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子、炭素数4〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数4〜20のアラルキルオキシ基、炭素数5〜20のアラルキルオキシアルコキシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基、炭素数4〜20のアリールオキシアルコキシ基、炭素数5〜20のアリールアルケニル基、炭素数6〜20のアラルキルアルケニル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数2〜20のアルコキシアルキルチオ基、炭素数2〜20のアルキルチオアルキルチオ基、炭素数2〜20のアルケニルチオ基、炭素数4〜20のアラルキルチオ基、炭素数5〜20のアラルキルオキシアルキルチオ基、炭素数5〜20のアラルキルチオアルキルチオ基、炭素数3〜20のアリールチオ基、炭素数4〜20のアリールオキシアルキルチオ基、炭素数4〜20のアリールチオアルキルチオ基、炭素数4〜20のヘテロ原子含有の環状アルキル基、あるいはハロゲン原子などで単置換又は多置換されていてもよい。さらに、これらの置換基に含まれるアリール基は、さらにハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のアリール基、炭素数4〜10のアラルキル基などで置換されていてもよい。
一般式(V)において、Z1〜Z20のアラルキル基、アラルキルオキシ基、アラルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、及びアリールチオ基中のアリール基は置換基を有していてもよく、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数4〜20のアラルキル基、炭素数3〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数3〜20のアルケニルオキシアルキル基、炭素数3〜20のアルケニルオキシアルキルオキシ基、炭素数4〜20のアラルキルオキシ基、炭素数5〜20のアラルキルオキシアルキル基、炭素数5〜20のアラルキルオキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基、炭素数4〜20のアリールオキシアルキル基、炭素数4〜20のアリールオキシアルキルオキシ基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数3〜20のアルケニルカルボニル基、炭素数5〜20のアラルキルカルボニル基、炭素数4〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜20のアルケニルオキシカルボニル基、炭素数5〜20のアラルキルオキシカルボニル基、炭素数4〜20のアリ−ルオキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数3〜20のアルケニルカルボニルオキシ基、炭素数5〜20のアラルキルカルボニルオキシ基、炭素数4〜20のアリールカルボニルオキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数4〜20のアラルキルチオ基、炭素数3〜20のアリールチオ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜20のN−モノ置換アミノ基、炭素数2〜40のN,N−2置換アミノ基などの置換基で単置換あるいは多置換されていてもよい。
さらに、これらの置換基に含まれるアリール基は、さらにハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基などで置換されていてもよい。
さらに、これらの置換基に含まれるアリール基は、さらにハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基などで置換されていてもよい。
一般式(V)において、Z1〜Z20のアミノ基は置換基を有していてもよく、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数4〜20のアラルキル基、あるいは炭素数3〜20のアリール基で単置換又は2置換されていてもよい。
一般式(V)において、R100、R200及びR300のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよく、例えば、Z1〜Z20で挙げた置換基で単置換又は多置換されていてもよい。
一般式(V)において、R100、R200及びR300のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよく、例えば、Z1〜Z20で挙げた置換基で単置換又は多置換されていてもよい。
Z1〜Z20は、好ましくは、Z5,Z6,Z9,Z10,Z15,Z16,Z19及びZ20が水素原子であり、且つZ1〜Z4,Z11〜Z14が水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい総炭素数1〜24の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、置換基を有していてもよい総炭素数1〜24の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基、置換基を有していてもよい総炭素数2〜24の直鎖、分岐又は環状のアルケニル基、アルケニルアリール基、アリ−ルアルケニル基、置換基を有していてもよい総炭素数7〜24のアラルキル基、置換基を有していてもよい総炭素数6〜24のアリール基、シアノ基、複素環基、水酸基、−COOR100、−COR200、あるいは−OCOR300(但し、基中のR100〜R300は前記と同義である)である。
さらに、Z1〜Z20から選ばれる隣接する基は互いに結合あるいは縮合して、置換している炭素原子と共に、置換基を有していてもよい炭素環式脂肪族環、芳香族環、あるいは縮合環を形成していてもよい。
さらに、Z1〜Z20から選ばれる隣接する基は互いに結合あるいは縮合して、置換している炭素原子と共に、置換基を有していてもよい炭素環式脂肪族環、芳香族環、あるいは縮合環を形成していてもよい。
式(VII)中、Y1〜Y14はアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基を示し、これらはさらに置換されていてもよい。また、Y1〜Y14の少なくとも1つがアリール基もしくはアリールアミノ基で置換されているものも好ましい。
また、上記発光層は、素子の電気的特性及び安定性を変化させることなく種々の発光色が得られるという理由から、上記式(I)、(II)、(IIIa)又は(VI)で表される第1の化合物、及び上記式(IIIa)、(IV)、(V)、(VII)で表される第2の化合物をそれぞれ少なくとも1種含むことも好ましい。この場合、第1の化合物をホスト物質、第2の化合物を発光ドーパント物質として混合したドーピング発光層を形成することが好ましい。ここでホスト物質とは発光層の組成の多くの部分を占め、主にキャリアの輸送物質としての機能、再結合中心としての機能、及び再結合エネルギーをドーパントに伝播する機能を有する物質を意味する。発光ドーパント物質とはホスト物質に比べて発光層中での含有量が低く、キャリアをトラップする機能、再結合中心としての機能、ホスト物質から再結合エネルギーを受け取って励起状態となり発光する機能を有する物質を意味する。ホスト物質に対するドーパント物質の含有量は、ホストの再結合エネルギーを受け取るために十分な量であり、かつ濃度消光を起こさない程度に少ない量であれば特に限定されないが、重量比で0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がさらに好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。また、青色もしくはシアン色発光層を得るためにはホスト物質として上記式(I)及び/又は(II)で表される化合物を少なくとも1種を含み、発光ドーパント物質として、上記式(IV)で表される化合物を少なくとも1種含むことが好ましく、緑色発光層を得るためにはホスト物質として上記式(I)及び/又は(II)及び/又は(VI)で表される化合物を少なくとも1種含み、発光ドーパント物質として(IIIa)で表される化合物を少なくとも1種含むことが好ましく、赤色発光層を得るためにはホスト物質として上記式(I)及び/又は(IIIa)で表される物質を少なくとも1種含み、発光ドーパント物質として上記式(V)で表される化合物を少なくとも1種含むことが好ましい。また、イエロー〜橙色発光層を得るためにはホスト物質として上記式(I)、(II)、(VI)で表される化合物を少なくとも1種含み、発光ドーパントとして上記式(IIIa)または(VII)で表される化合物を少なくとも1種含むことが好ましい。
特に好ましいホスト物質とドーパント物質の組は表1に示す通りである。
所望の発光色が得られるという観点から、青色発光する層と、緑色発光する層と、赤色発光する層が中間層を挟んで配置されることが好ましい。
上記発光層はまた、所望の発光色が得られるという観点から、シアン色発光する層と黄色発光する層が中間層を挟んで配置されることが好ましい。
また、青色、緑色、および赤色発光する発光層が積層された発光層が中間電極を介してさらに積層された形態、もしくはシアン色発光する発光層と黄色発光する発光層が積層された発光層が中間電極を介してさらに積層された形態でもよい。
上記発光層はまた、所望の発光色が得られるという観点から、シアン色発光する層と黄色発光する層が中間層を挟んで配置されることが好ましい。
また、青色、緑色、および赤色発光する発光層が積層された発光層が中間電極を介してさらに積層された形態、もしくはシアン色発光する発光層と黄色発光する発光層が積層された発光層が中間電極を介してさらに積層された形態でもよい。
電子注入輸送層43は、中間電極5からの電子の注入を容易にする機能、電子を輸送する機能および正孔の輸送を妨げる機能を有する層である。電子注入輸送層43に用いられる材料としては、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、フルオランテン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等のキノリノール環を持つ有機材料、もしくはキノリノール環を持つ有機材料が配位した有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレン及びその誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、フェナントロリン及びその誘導体、並びにこれらの化合物を配位子とする金属錯体などが挙げられる。また、電子輸送性高分子材料としては、ポリキノキサリン、ポリキノリンなどが挙げられる。
なお、電子注入輸送層43は、発光層42に用いる化合物の電子注入、電子輸送の各機能の高さを考慮し、必要に応じて設けられる。例えば、発光層42に用いる化合物の電子注入輸送機能が高い場合には、電子注入輸送層43を設けずに、発光層42が電子注入輸送層43を兼ねる構成とすることができる。また、電子注入輸送層43は、注入機能を持つ層と輸送機能を持つ層とに別個に設けてもよい。
中間電極5は、少なくとも1層の金属膜を含んでいる。本実施の形態では、中間電極5は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層51と、金属膜52と、電子受容層53とを備えている。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層51は、電子の注入をサポートする機能を有する層である。金属膜52の陽極3側にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層51を設けることにより、発光強度を向上させることができ、発光効率を高くすることができる。アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層51に用いられる材料としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Raが挙げられる。これらのアルカリ金属およびアルカリ土類金属は単独で用いられても良いが、これらのアルカリ金属またはアルカリ土類金属から電子供与を受けてラジカルアニオンまたは電荷移動錯体を形成する有機化合物が同時に含有されている場合も好ましい。このような有機化合物の例としてはトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等のキノリノール環を持つ有機材料、もしくはキノリノール環を持つ有機材料が配位した有機金属錯体、およびオキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体などの複素環化合物などが挙げられる。
また、中間電極5のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層51に換えて、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む層を形成してもよい。この場合にも、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層51と同様の効果を得ることができる。このようなアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属カルコゲン化物、アルカリ土類金属カルコゲン化物などの無機材料、もしくはアルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、アルカリ金属アリールオキシド、アルカリ土類金属アリールオキシド、およびアルカリ金属を中心金属とする有機金属錯体、アルカリ土類金属を中心金属とする有機金属錯体などが挙げられ、具体的には、LiF、MgF、Liキノリノールなどが挙げられる。これらのアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物は単独で用いられても良いが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属から電子供与を受けてラジカルアニオンまたは電荷移動錯体を形成する有機化合物が同時に含有されている場合も好ましい。このような有機化合物の例としてはトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等のキノリノール環を持つ有機材料、もしくはキノリノール環を持つ有機材料が配位した有機金属錯体、およびオキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体などの複素環化合物などが挙げられる。
また、中間電極5にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層51や電子受容層53を形成しなくてもよい。この場合にも、形成される有機EL素子1の発光効率が向上するとともに、素子の駆動電圧の上昇を抑制することができる。
また、中間電極5にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層51や電子受容層53を形成しなくてもよい。この場合にも、形成される有機EL素子1の発光効率が向上するとともに、素子の駆動電圧の上昇を抑制することができる。
金属膜52は、粒子が柱状に成長する金属を含む不連続膜である。図2(a)に、金属膜52の構造を説明するための図を示す。なお、比較のため、図2(b)に従来の島状の金属膜の構造を説明するための図を示す。
図2(a)に示すように、金属膜52に含まれる金属は、膜厚が厚くなると、その金属結晶が基板に対して鉛直方向に延びるように柱状に成長する。このため、金属膜52の膜厚が厚くなっても光透過率が低下しない。また、膜面方向の絶縁性が維持される。一方、図2(b)に示すように、従来の島状の金属膜では、膜厚が厚くなると、その金属結晶が基板に対して水平方向に面状に大きくなり、例えば、膜厚4nm程度で光透過率が大きく低下する。さらに、膜厚が10nm以上になるとほとんど光を透過せず、さらに膜面方向の絶縁性が低下する。このように、本発明の金属膜52は、粒子が柱状に成長する金属を含む不連続膜であり、その膜厚が厚くなっても光透過率が低下せず、膜面方向の絶縁性が維持される。
このような金属膜52としては、例えば、アルミニウムとインジウムとを含有する混合膜を用いることが好ましい。アルミニウムとインジウムとを含有する混合膜は、その膜厚が厚くなると、アルミニウムの金属結晶が柱状に成長しやすく、光透過率が低下せず、膜面方向の絶縁性が維持されやすいためである。
このような柱状成長膜と従来技術の島状成長膜との構造の違いを更に詳しく説明する。
本発明における金属膜では粒子が成長し互いに接した際に、新たに大きな球状に近い構造に再結晶して成長するため、個々の粒子は図3に示すように膜面方向(図3のA方向)に短く、膜面に対して鉛直方向(図3のB方向)に長い柱状の形状となる。そのため後述する図9(b)に示すように4nm程度の膜厚では空隙率が高く、光の透過率が高い。本発明においては、10nm程度まで膜厚が厚くなっても粒子が基板に対して鉛直方向に成長し、B方向の長さは平均膜厚に対して大きな値を維持するため、粒子同士は結合せずに不連続膜の形態が維持される。このような不連続膜の状態は平均膜厚が25nm程度となっても維持される。また、粒界の空隙には金属膜に接する層の物質が充填された形態をとっている。
本発明における金属膜では粒子が成長し互いに接した際に、新たに大きな球状に近い構造に再結晶して成長するため、個々の粒子は図3に示すように膜面方向(図3のA方向)に短く、膜面に対して鉛直方向(図3のB方向)に長い柱状の形状となる。そのため後述する図9(b)に示すように4nm程度の膜厚では空隙率が高く、光の透過率が高い。本発明においては、10nm程度まで膜厚が厚くなっても粒子が基板に対して鉛直方向に成長し、B方向の長さは平均膜厚に対して大きな値を維持するため、粒子同士は結合せずに不連続膜の形態が維持される。このような不連続膜の状態は平均膜厚が25nm程度となっても維持される。また、粒界の空隙には金属膜に接する層の物質が充填された形態をとっている。
本発明の金属膜がこのような結晶成長をする理由には、AlとInが固溶体を形成し難い性質があるためと考えられる。すなわち、AlはInを結晶外に排除しながら結晶を成長させていかなければならない。そのために、従来の島状膜ではAlの粒子が成長して接した際に互いの粒子界面で接合するのに対し、本発明の柱状膜では粒子全体が再結晶して成長した構造で安定化すると考えられる。したがって本発明の金属膜は単なるAlとInの合金膜ではなくAlの柱状粒子の周囲にInが偏析した特殊な構造をとっている。またAlの柱状粒子自体も従来のAlの島状粒子よりも結晶性が非常に高い。本発明の金属膜の高い光透過性と高い膜面方向の絶縁性はこのような構造的特徴に起因している。高い光透過率を示す理由は、一つには柱状粒子の空隙を光が透過することができるからであるが、もう一つの理由としてAl粒子の表面にInが偏析しているためAl粒子表面でのプラズモン吸収を抑えることができているとも考えられる。また、高い膜面方向の絶縁性を示す理由は金属粒子間の空隙が金属粒子間を絶縁しているからであるが、その一方で個々の金属粒子の結晶性は非常に良好であるため、膜厚方向には高い導電性を持つ異方性電気伝導を示すことが本発明の金属膜の大きな特徴の一つであり、この特徴によりディスプレイを作成した際のドット外発光、クロストーク等の不具合を防止することができる。
本発明の金属膜がこのような形態になっていることは膜面方向および断面方向からのTEM像またはSTEM像により観察することができる。また、膜面方向の抵抗値を確認することでもこのような構造になっていることを確認することができる。一般的な金属膜では5〜10nmの膜厚で横方向の導通が確認できる。これはすなわち5〜10nmの膜厚で島状粒子が結合して連続膜が形成されていることを示している。これに対し本発明の金属膜では25nmまで厚膜化しても横方向の導通が得られない。これは本発明の金属膜が厚膜化しても空隙を有する不連続膜の形態を維持していることを示している。また本実施の形態のような中間電極層を有する素子の場合、横方向の絶縁が維持できないとドット外発光が見られるため、本実施の形態のような素子を作成してドット外発光の有無を観察することでも空隙を有する不連続膜が形成されていることが確認できる。また、金属膜の結晶性の高さに関してはX線回折、電子線回折などで確認することができる。
これに対し、従来技術の島状成長膜の場合は、膜厚が厚くなり粒子が成長し粒子同士が互いに接した際に、膜面に沿って並んだ状態で粒界を埋めながら粒子が成長する。このため、個々の粒子は膜厚が厚くなるに従い図4に示すように膜面方向(図4のA方向)に長く、膜面に対して鉛直方向(図4のB方向)に短い島状の形状となる。このような島状成長膜は後述する図10に示すように4nm程度までは不連続膜の状態を維持しているものの、平均膜厚に対するB方向の長さは本発明の金属膜の場合より小さい値を示すため、粒界の空隙率が低く、光透過率は、著しく低くなる。更に膜厚が厚くなり10nm程度となると島状粒子同士が更に結合し、均一な連続膜を形成する。この段階では平均膜厚と粒子のB方向の膜厚はほぼ一致する。なお、AlとInが本発明に示す範囲の物質比で存在していれば成膜方法によらずこのような構造が自己組織化するため、成膜方法は本実施の形態に示す方法に限定されるものではないが、スパッタや電子線蒸着などに比べると成膜時の素子へのダメージが低減できるという観点から抵抗加熱蒸着法を用いることが特に好ましい。また、前述のような膜の自己組織化のためのエネルギーを供給する観点からもスパッタ成膜よりも加熱蒸着を用いるほうが好ましいが、自己組織化のためのエネルギーが蒸着源以外から供給されうるような環境での成膜ではこれに限定されるものではない。
以上のように本発明の金属膜の構造的特長により中間電極5の光透過性を大きく向上させるとともに、膜面方向の高い絶縁性と膜厚方向への高い導電性を確保できるが、中間電極5には光透過性以外に有機層4に電子を注入する機能と有機層6にホールを注入する機能が要求される。本発明の金属膜は中間電極5にこれらの機能を発現させるためにも好ましく、またこのような観点からもAlとInの混合膜を用いることが特に好ましい。
中間電極5に電子注入機能を発現させるには金属膜の陽極側に接する層のアルカリ金属またはアルカリ土類金属が酸化されることなく安定に存在しなければならない。また、金属膜の陽極側に接する層がアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む層である場合、これらのアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンは金属膜52の還元機能によりアルカリ金属やアルカリ土類金属に還元される必要がある。このような還元機能を持つ金属膜はアルミニウムやマグネシウム合金など比較的光透過性の低い少数の金属種に限られる。またこのような還元機能を有する金属においても従来の島状膜の形態に形成した場合、不連続膜ゆえに比表面積が大きく連続膜よりも酸化に弱く、電極としての性質、特に還元機能が膜中および外部からの酸化性物質の侵入により失われやすい。したがって従来の島状膜では光が透過する程度まで薄膜化してしまうと電極としての機能が損なわれてしまう。しかしながら、本発明の金属膜はこのような還元機能と高い光透過性の両方を有している。本発明の金属膜が空隙を有する不連続膜であるにもかかわらずAlの還元機能が全く損なわれない理由については、Al粒子の高い結晶性およびAl粒子表面に偏析したInによってもたらされるAlの対酸化性の向上が考えられる。すなわち、Alの還元機能は成膜中に取り込まれる酸素、水等の酸化性物質および成膜後に外部から侵入する同様の酸化性物質により失われるが、本発明の金属膜の場合はAlの結晶性が非常に高く、さらに表面をInで被覆された構造となっているためこのような酸化性物質がAl粒子中に侵入し難い構造となっている。そのため耐酸化性が向上していると考えられる。本実施の形態で金属膜の陽極側に接する層がアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む層であってもアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層であっても同様な効果が得られるのは、本発明の金属膜がアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンを還元してアルカリ金属やアルカリ土類金属を発生させる機能を不連続膜の状態でも維持していることを示すものである。また、このような還元機能を持つため、金属膜の陽極側に接する層にアルカリ金属およびアルカリ土類金属を含む層を用いた場合でも、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化による電子注入機能低下を抑制し、耐久性を向上させることができる。
次に、ホール注入機能について説明する。中間電極5にホール注入機能を発現させるには、電子受容層53が第2の有機層6の正孔注入輸送層61から電子を受容し、その電子がさらに金属膜52によって受容されなければならない。本発明の金属膜を用いることにより、電子受容層53から金属膜52が電子を受け取る際のエネルギー障壁を低くできるため、中間電極5は高いホール注入性を発現することができる。その結果として低電圧駆動が可能となる。また、このような観点からも金属膜52がAlとInの混合膜である場合が好ましい。本発明の金属膜の優れたホール注入機能は、金属膜の柱状粒子の空隙に電子受容層53を構成する材料が充填されている構造からもたらされるものと考えられる。すなわち、中間電極からのホール注入性を向上させるには電子受容層53から金属膜への電子の供与が必要になるが、本発明の中間電極では電子受容層53を構成する材料の一部は金属膜の柱状粒子の空隙に入り込んでいるため電子受容層53と金属膜の接触面積が非常に大きくなっている。これにより低い界面電界強度で電子の授受が行われるため、界面全体としてのエネルギー障壁を低くすることができていると考えられる。また、個々のAl粒子の結晶性が高く高密度であることも起因していると考えられる。AlとInの混合膜が特に好ましい理由は一つには金属膜の空隙に電子受容層53の材料が入り込んだ構造を形成できることであるが、もう一つには金属膜のLUMO順位と金属膜52の仕事関数の値が近い値となるため、電子受容層53から電子を受容する際のエネルギー障壁が特に低くなるからである。
以上のように、本発明の金属膜は柱状粒子が自己組織化し、且つ個々の柱状粒子は非常に結晶性が高いため、空隙を介した光透過機能、異方性電気伝導、高い耐酸化性、隣接層との接触面積増大などの従来の島状膜には無い特徴を有している。また、金属膜をAlとInの混合膜にすることにより特に柱状の構造が形成しやすくなるだけでなく、InによるAl粒子の被覆の効果が得られるため、プラズモン吸収の抑制、さらなる耐酸化性の向上などAl単体膜にもIn単体膜にもない膜構造由来の新たな機能が発現している。このような本発明の金属膜に特有の性質により高い光透過性、高い膜面方向の絶縁性、高い電子注入性、高いホール注入性が得られ、これらの機能が両立した結果として発光効率が高く低電圧駆動が可能な有機EL素子が作成できる。またその素子を用いてディスプレイを作成することによりドット外発光やクロストークの無い高品位なディスプレイを作成することができる。
以上のように本発明の金属膜の構造的特長により中間電極5の光透過性を大きく向上させるとともに、膜面方向の高い絶縁性と膜厚方向への高い導電性を確保できるが、中間電極5には光透過性以外に有機層4に電子を注入する機能と有機層6にホールを注入する機能が要求される。本発明の金属膜は中間電極5にこれらの機能を発現させるためにも好ましく、またこのような観点からもAlとInの混合膜を用いることが特に好ましい。
中間電極5に電子注入機能を発現させるには金属膜の陽極側に接する層のアルカリ金属またはアルカリ土類金属が酸化されることなく安定に存在しなければならない。また、金属膜の陽極側に接する層がアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む層である場合、これらのアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンは金属膜52の還元機能によりアルカリ金属やアルカリ土類金属に還元される必要がある。このような還元機能を持つ金属膜はアルミニウムやマグネシウム合金など比較的光透過性の低い少数の金属種に限られる。またこのような還元機能を有する金属においても従来の島状膜の形態に形成した場合、不連続膜ゆえに比表面積が大きく連続膜よりも酸化に弱く、電極としての性質、特に還元機能が膜中および外部からの酸化性物質の侵入により失われやすい。したがって従来の島状膜では光が透過する程度まで薄膜化してしまうと電極としての機能が損なわれてしまう。しかしながら、本発明の金属膜はこのような還元機能と高い光透過性の両方を有している。本発明の金属膜が空隙を有する不連続膜であるにもかかわらずAlの還元機能が全く損なわれない理由については、Al粒子の高い結晶性およびAl粒子表面に偏析したInによってもたらされるAlの対酸化性の向上が考えられる。すなわち、Alの還元機能は成膜中に取り込まれる酸素、水等の酸化性物質および成膜後に外部から侵入する同様の酸化性物質により失われるが、本発明の金属膜の場合はAlの結晶性が非常に高く、さらに表面をInで被覆された構造となっているためこのような酸化性物質がAl粒子中に侵入し難い構造となっている。そのため耐酸化性が向上していると考えられる。本実施の形態で金属膜の陽極側に接する層がアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む層であってもアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層であっても同様な効果が得られるのは、本発明の金属膜がアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンを還元してアルカリ金属やアルカリ土類金属を発生させる機能を不連続膜の状態でも維持していることを示すものである。また、このような還元機能を持つため、金属膜の陽極側に接する層にアルカリ金属およびアルカリ土類金属を含む層を用いた場合でも、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化による電子注入機能低下を抑制し、耐久性を向上させることができる。
次に、ホール注入機能について説明する。中間電極5にホール注入機能を発現させるには、電子受容層53が第2の有機層6の正孔注入輸送層61から電子を受容し、その電子がさらに金属膜52によって受容されなければならない。本発明の金属膜を用いることにより、電子受容層53から金属膜52が電子を受け取る際のエネルギー障壁を低くできるため、中間電極5は高いホール注入性を発現することができる。その結果として低電圧駆動が可能となる。また、このような観点からも金属膜52がAlとInの混合膜である場合が好ましい。本発明の金属膜の優れたホール注入機能は、金属膜の柱状粒子の空隙に電子受容層53を構成する材料が充填されている構造からもたらされるものと考えられる。すなわち、中間電極からのホール注入性を向上させるには電子受容層53から金属膜への電子の供与が必要になるが、本発明の中間電極では電子受容層53を構成する材料の一部は金属膜の柱状粒子の空隙に入り込んでいるため電子受容層53と金属膜の接触面積が非常に大きくなっている。これにより低い界面電界強度で電子の授受が行われるため、界面全体としてのエネルギー障壁を低くすることができていると考えられる。また、個々のAl粒子の結晶性が高く高密度であることも起因していると考えられる。AlとInの混合膜が特に好ましい理由は一つには金属膜の空隙に電子受容層53の材料が入り込んだ構造を形成できることであるが、もう一つには金属膜のLUMO順位と金属膜52の仕事関数の値が近い値となるため、電子受容層53から電子を受容する際のエネルギー障壁が特に低くなるからである。
以上のように、本発明の金属膜は柱状粒子が自己組織化し、且つ個々の柱状粒子は非常に結晶性が高いため、空隙を介した光透過機能、異方性電気伝導、高い耐酸化性、隣接層との接触面積増大などの従来の島状膜には無い特徴を有している。また、金属膜をAlとInの混合膜にすることにより特に柱状の構造が形成しやすくなるだけでなく、InによるAl粒子の被覆の効果が得られるため、プラズモン吸収の抑制、さらなる耐酸化性の向上などAl単体膜にもIn単体膜にもない膜構造由来の新たな機能が発現している。このような本発明の金属膜に特有の性質により高い光透過性、高い膜面方向の絶縁性、高い電子注入性、高いホール注入性が得られ、これらの機能が両立した結果として発光効率が高く低電圧駆動が可能な有機EL素子が作成できる。またその素子を用いてディスプレイを作成することによりドット外発光やクロストークの無い高品位なディスプレイを作成することができる。
金属膜52に、アルミニウムとインジウムとを含有する混合膜を用いる場合、アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜35:65であることが好ましく、88:12〜53:47であることがさらに好ましい。インジウムの含有量が重量比で12%未満の場合は金属粒子が柱状成長しないか、もしくはその効果が不十分であるため、従来技術同様の島状成長膜となってしまい、金属粒子間の空隙が少なく光透過率の低い膜となってしまう。その結果として発光効率が低い素子となってしまう。これはInが少量であるため、InをAlの粒子外に偏析させるのにAl粒子が再結晶を必要としないためであると考えられる。したがってインジウム含有量が12%未満の場合はAlとInのそれぞれの性質が発現するのみで、前述したような混合することによる特殊な効果は生まれない。また、インジウムの含有量が65%を超える組成の場合には光透過率の高い膜は得られるが、電子受容層53から電子を受容する機能が低下するため有機層2へのホール注入の機能が損なわれる。この理由としては、一つには過剰なInのAlへの固溶が考えられる。前述したようにAlとInは固溶し難い性質を持っているが、Alに対するIn量が過剰になると、Al粒子内へのInの固溶がわずかながら進行し、これによってAl粒子の結晶性が損なわれるために電子受容層53との電子の授受が阻害されていると考えられる。その結果として駆動電圧が高く発光効率の低い素子となってしまう。また、Inの含有量が47%を超えるとアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンに対する還元機能が低下する。その結果として金属膜の陽極側に接する層がアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含む層である場合、電子注入機能が低くなってしまい、駆動電圧が高くなり、発光効率も低下する。また、金属膜の陽極側に接する層がアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層である場合には耐久性が損なわれる。この理由についてはInによるAl粒子の被覆が厚くなりすぎるためにAlの持つ還元機能が発揮できなくなるためと考えられる。以上のように、アルミニウムとインジウムとの混合比率を本発明の範囲内とすることにより、前述したようなAl単体膜にもIn単体膜にもない膜構造由来の特殊な機能が得られ、本発明の範囲外では単にAlとInの性質が共に現われるのみの膜となってしまう。
また、金属膜52の膜厚は、1nm〜25nmであることが好ましく、1nm〜10nmであることがさらに好ましい。1nm未満の場合には電極としての機能が損なわれ、25nmを超えると光透過性が損なわれるため好ましくない。従来技術の金属膜は電極としての機能が発現する1nm以上になると急激に光透過性が低下するのに対し、本発明の金属膜は1〜25nmに電極の機能と光透過性が両立する範囲が存在し、1nm〜10nmの範囲は特に光透過性と電極としての機能が両立する範囲であり、この膜厚領域では特に従来技術の金属膜との差異が顕著となる。したがって、金属膜の膜厚をかかる範囲にすることにより、形成される有機EL素子1の発光効率を高くするとともに、駆動電圧を低くすることができ、さらに、有機EL素子1の視野角依存が小さくすることができる。
なお、明細書中でいうところの膜厚と平均膜厚とは同義であり、以下のように定義する。
膜厚(nm)=平均膜厚(nm)=W(g/nm2)/d(g/nm3)
W(g/nm2)=n(mol/nm2)×w(g/mol)
式中Wは単位面積辺りに存在する膜を構成する物質の重量を、dは膜を構成する物質の密度をそれぞれ示す。また、nは単位面積当たりに存在する膜を構成する物質のモル数、wは原子量または分子量を示す。
膜厚(nm)=平均膜厚(nm)=W(g/nm2)/d(g/nm3)
W(g/nm2)=n(mol/nm2)×w(g/mol)
式中Wは単位面積辺りに存在する膜を構成する物質の重量を、dは膜を構成する物質の密度をそれぞれ示す。また、nは単位面積当たりに存在する膜を構成する物質のモル数、wは原子量または分子量を示す。
ここで、Wおよびnの値は作成した面積既知の膜を定量分析することにより計測することができるが、分析範囲は膜を構成する粒子径に対して十分広い必要があり、4mm2以上であることが好ましい。この場合の定量分析の方法は特に限定されないが、例えば蛍光X線元素分析法、ICP発光分析、ICP質量分析、原子吸光分析などの手法を用いることができる。
また、Wの値を求めるもう1つの方法として、水晶振動子式膜厚計(クリスタルセンサー)を用いることができる。水晶振動子式膜厚計は予め段差計などを用いて校正する必要があるが、校正に用いるサンプルは均一な連続膜となる厚い膜である必要があり、本発明の金属膜の場合、200nm以上の膜厚であることが好ましい。
また、Wの値を求めるもう1つの方法として、水晶振動子式膜厚計(クリスタルセンサー)を用いることができる。水晶振動子式膜厚計は予め段差計などを用いて校正する必要があるが、校正に用いるサンプルは均一な連続膜となる厚い膜である必要があり、本発明の金属膜の場合、200nm以上の膜厚であることが好ましい。
また、本発明の金属膜の断面をTEMなどの方法で観察した場合の基板に対して鉛直方向の金属膜の距離は、金属粒子の基板に対して鉛直方向の長さを示すもので、明細書中でいうところの膜厚および平均膜厚とは定義が異なる。粒子の基板に対して鉛直方向の長さは完全に均一な膜の場合は平均膜厚と一致するが、空隙を有する膜の場合は平均膜厚に対して大きな値となり、空隙率が大きくなるほどその差は大きくなる。
電子受容層53は、正孔の注入を促進する機能を有する層である。金属膜52の陰極7側に電子受容層53を設けることにより、発光強度を向上させることができ、発光効率を高くすることができる。電子受容層53に用いられる材料としては、例えば、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモン、五酸化二バナジウム、酸化タングステン又は酸化モリブデン等の無機材料や、ピラジン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体、キノン類、あるいはシアノ基又はニトロ基等の電子受容性の大きな置換基を有した、フルオラニル、トリニトロフルオレノン、テトラシアノキノジメタン、ヘキサシアノブタジエン、テトラシアノエチレン、テトラシアノベンゼン、ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン、ジメチルテトラシアノキノジメタン、DDQ、クロラニル等の有機材料が挙げられる。
第2の有機層6は、発光機能を有する有機材料から構成され、本実施の形態では、第1の有機層4と同様に、正孔注入輸送層61と、発光層62と、電子注入輸送層63とを備えている。この正孔注入輸送層61、発光層62、及び、電子注入輸送層63の構成は、第1の有機層4の正孔注入輸送層41、発光層42、及び、電子注入輸送層43の構成と同様である。
陰極7は、図示しない外部電源に接続されて有機層に電子を提供する。陰極7は、比較的仕事関数の小さい金属、合金または電気電導性化合物を電極物質として使用することが好ましい。陰極7に使用する電極物質としては、例えば、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、カルシウム、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金、グラファイト薄膜等が挙げられる。これらの電極物質は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。陰極7は、これらの電極物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオン化蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等の方法により、電子注入輸送層の上に形成することができる。また、陰極7は一層構造であっても、多層構造であってもよい。
ここで、陰極7から中間電極5までの距離は、λ/2n(λは発光波長、nは陰極から中間電極間の屈折率)であることが好ましい。これは、陰極7から中間電極5までの距離をλ/2nとすると、中間電極5の光透過率が小さい場合にも、特定の発光波長λの光取り出しが向上し、形成される有機EL素子1の発光効率をさらに高くすることができるためである。
ここでいう陰極7から中間電極5までの距離とは電子受容層53、第2のホール注入輸送層61、第2の発光層62、および、第2の電子注入輸送層63の膜厚の和である。また、屈折率とは種々の材料の積層体である有機EL素子を構成した場合の陰極7から中間電極5までの屈折率であり、個々の材料の固有物性値である屈折率とは必ずしも一致しない。したがって実施する場合には電子受容層53、第2のホール注入輸送層61、第2の発光層62、および、第2の電子注入輸送層63の膜厚を変えることによって、所望の波長領域の光取り出し効率が最大となる陰極7から中間電極5までの距離を調整する。この場合、素子の反射率スペクトルを測定することにより取り出し効率が向上している波長領域を検出することができる。
もしくは、シリコンなどの反射基板上に、電子受容層53、第2のホール注入輸送層61、第2の発光層62、および、第2の電子注入輸送層63の積層膜を作成し、エリプソメーターによって屈折率nを測定しても良い。この場合、測定した屈折率nの値および所望の波長の値をλ/2nに代入することにより所望の波長領域の取り出し効率が最大となる陰極7から中間電極5までの距離を求めることができる。
さらに、陰極7から中間電極5までの距離をλ/2nにするとともに、金属膜52にアルミニウムとインジウムとを含有する混合膜を用いることにより、光の干渉を抑え、光の吸収を減らすことができる。この結果、広い波長域にわたって、形成される有機EL素子1の発光効率をさらに高くすることができる。
このように構成された有機EL素子1によれば、発光層42からの光は正孔注入輸送層41、陽極3、及び、基板2を透過して外部に放出されるとともに電子注入輸送層43、中間電極5、第2の有機層6を通過して陰極7で反射され、さらに第2の有機層6、中間電極5、第1の有機層4、陽極3、基板2を通過して外部に放出される。また、発光層62からの光は正孔注入輸送層61、中間電極5、第1の有機層4、陽極3、及び、基板2を透過して外部に放出されるとともに電子注入輸送層63を通過して陰極7で反射され、さらに第2の有機層6、中間電極5、第1の有機層4、陽極3、基板2を通過して外部に放出される。本実施の形態では、中間電極5の金属膜52に、粒子が柱状に成長する金属を含む不連続膜を用いているので、金属膜52を電極として機能する膜厚(1nm以上、好ましくは4nm以上)にしても、光透過性が低下せず、金属電極膜の膜面方向の絶縁性の低下によるドット外発光が起こらなくなる。このため、有機EL素子1の発光効率を向上させることができる。また、有機EL素子1の駆動電圧の上昇を抑制することができる。
また、陽極3と陰極7との間に、発光機能を有する第1の有機層4と第2の有機層6とが積層され、第1の有機層4と第2の有機層6との間に中間電極5が形成されているので、高輝度の有機EL素子1を形成することができる。
なお、上記実施の形態では、陽極3と陰極7との間に、第1の有機層4、中間電極5、第2の有機層6を設けた場合を例に本発明を説明したが、例えば、図5に示すように、発光機能を有する有機層4と、中間電極5とを、さらに積層してもよい。この場合、さらに高輝度の有機EL素子1を形成することができる。
上記第1の実施の形態では、それぞれ発光機能を有する第1の有機層4と第2の有機層6が中間電極5を介して積層されている場合を説明したが、本実施の形態はこれに限らず、例えば、第2の有機層6と陰極7の間にさらに中間電極と発光機能を有する有機層との積層体が挟持された形態であってもよい。
また、所望の発光色が得られるという観点から、青色発光する層と、緑色発光する層と、赤色発光する層とが中間層を挟んで配置された形態、もしくはシアン色発光する層と黄色発光する層が中間層を挟んで配置される形態であることが好ましい。
さらに、青色、緑色、および赤色発光する発光層が積層された発光層が中間電極を介してさらに積層された形態、もしくはシアン色発光する発光層と黄色発光する発光層が積層された発光層が中間電極を介してさらに積層された形態であってもよい。
また、所望の発光色が得られるという観点から、青色発光する層と、緑色発光する層と、赤色発光する層とが中間層を挟んで配置された形態、もしくはシアン色発光する層と黄色発光する層が中間層を挟んで配置される形態であることが好ましい。
さらに、青色、緑色、および赤色発光する発光層が積層された発光層が中間電極を介してさらに積層された形態、もしくはシアン色発光する発光層と黄色発光する発光層が積層された発光層が中間電極を介してさらに積層された形態であってもよい。
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、金属膜52がアモルファス状の金属(アルミニウム)を含む膜(アモルファス状の金属膜)で構成されている以外、第1の実施の形態と同様である。
ここで、本明細書中で定義するアモルファス状の金属膜とは、図6に示すように、その膜厚が厚くなっても結晶核の成長が進まず、新たな結晶核が多数形成され、結果的に微細結晶の集合体となった状態の金属膜をいう。このようなアモルファス状の金属膜では、結晶粒同士の結合による核成長が起こらないため、微結晶と微結晶の間に微細空隙が存在する疎な膜となる。このため、微細空隙を介して光が透過し、その膜厚が厚くなっても光透過率が低下しない。一方、図2(b)に示すように、従来の島状の金属膜では、その膜厚が厚くなると、結晶核同士が結合して粒成長するため、水平方向に面状に大きくなり空隙が減少し、光透過率が低下する。
本実施の形態は、金属膜52がアモルファス状の金属(アルミニウム)を含む膜(アモルファス状の金属膜)で構成されている以外、第1の実施の形態と同様である。
ここで、本明細書中で定義するアモルファス状の金属膜とは、図6に示すように、その膜厚が厚くなっても結晶核の成長が進まず、新たな結晶核が多数形成され、結果的に微細結晶の集合体となった状態の金属膜をいう。このようなアモルファス状の金属膜では、結晶粒同士の結合による核成長が起こらないため、微結晶と微結晶の間に微細空隙が存在する疎な膜となる。このため、微細空隙を介して光が透過し、その膜厚が厚くなっても光透過率が低下しない。一方、図2(b)に示すように、従来の島状の金属膜では、その膜厚が厚くなると、結晶核同士が結合して粒成長するため、水平方向に面状に大きくなり空隙が減少し、光透過率が低下する。
このようなアモルファス状の金属膜としては、例えば、アルミニウムとインジウムとを含有する混合膜を用いることが好ましい。本発明の金属膜がこのようなアモルファス状を形成する理由としては、AlとInが固溶体を形成し難い性質があるためと考えられる。すなわち、Alの結晶核の間にInが存在するとAlの結晶核同士が結合することができず、また、AlとInは固溶体を形成し難いため、Alの結晶核とInの結晶核が結合することもできず、微結晶のままで存在するもとの考えられる。
本発明の金属膜がこのような形態になっていることは膜面方向および断面方向からのTEM像もしくはSTEM像により観察することができる。TEM像もしくはSTEM像によると、Inの粒子は観察できるがその粒子同士は接触しておらず、粒子間に空隙が存在する。Inの粒子上にはそれに接触する形でAlの粒子が存在している部位もあるが、In粒子間の空隙にはAlの粒子および粒界は全く観察されず、元素分析(EDS)でのみAlの存在が確認できることから、Alが微結晶状態で存在していることが解る。また、Inの粒子とそれに接触する形で存在するAlの粒子は互いに混ざることなく別個の粒子として存在しており、AlとInは互いに固溶していないことが解る。Al微結晶の粒子径についてはTEMおよびSTEMにて観測できないため正確に測定できていないが、In粒子の空隙部分に存在するAl微結晶の多くが粒径1nm以下であると推測される。また、電子線回折を測定すると、結晶性が低いため、ほとんど回折線が観察できないことからもAlが微結晶状態であることが確認できる。なお、本発明で意味するところのアモルファス状の膜はTEMおよびSTEMによって前述のような特徴が観察できる形態のものに限るものではなく、微結晶状のAlが存在し、その微結晶の空隙から光が透過するものを意味するものである。またこのような微結晶状態のAlが膜中で占有する領域は膜全体であっても、膜中の一部分であっても本発明の効果は得られる。
本発明の金属膜がこのような形態になっていることは膜面方向および断面方向からのTEM像もしくはSTEM像により観察することができる。TEM像もしくはSTEM像によると、Inの粒子は観察できるがその粒子同士は接触しておらず、粒子間に空隙が存在する。Inの粒子上にはそれに接触する形でAlの粒子が存在している部位もあるが、In粒子間の空隙にはAlの粒子および粒界は全く観察されず、元素分析(EDS)でのみAlの存在が確認できることから、Alが微結晶状態で存在していることが解る。また、Inの粒子とそれに接触する形で存在するAlの粒子は互いに混ざることなく別個の粒子として存在しており、AlとInは互いに固溶していないことが解る。Al微結晶の粒子径についてはTEMおよびSTEMにて観測できないため正確に測定できていないが、In粒子の空隙部分に存在するAl微結晶の多くが粒径1nm以下であると推測される。また、電子線回折を測定すると、結晶性が低いため、ほとんど回折線が観察できないことからもAlが微結晶状態であることが確認できる。なお、本発明で意味するところのアモルファス状の膜はTEMおよびSTEMによって前述のような特徴が観察できる形態のものに限るものではなく、微結晶状のAlが存在し、その微結晶の空隙から光が透過するものを意味するものである。またこのような微結晶状態のAlが膜中で占有する領域は膜全体であっても、膜中の一部分であっても本発明の効果は得られる。
なお、このようなアモルファス状の金属膜を得る成膜方法は、限定されるものではないが、スパッタ法を用いることが好ましい。スパッタ法は、抵抗加熱、誘導加熱、電子線蒸着などの加熱による蒸着法に比べて原子線とともに基板に供給される熱エネルギーが小さく、結晶成長が起こるためのエネルギーが不足すると考えられるためである。本発明のAlとInとの混合膜の場合、Alの粒同士が結合して成長するためにはInを排除し偏析させなければならず、そのための物質移動のエネルギーが必要になる。スパッタ法によって成膜を行うと、この物質移動のエネルギーが供給されず、アモルファス状の金属膜が形成されると考えられる。
ここで、第1の実施の形態の柱状膜と第2の実施の形態のアモルファス状膜とを比較して説明する。どちらの形態もAlとInという互いに固溶体を形成し難い金属元素の混合膜であり、Alの結晶粒子同士が結合し難いため、粒子間に空隙が存在する点で共通する。しかしながら、第1の実施の形態の柱状膜の場合は比較的大きな空隙が少数存在しているのに対し、第2の実施の形態のアモルファス状膜の場合は微細な空隙が多数存在し、全体で光透過性が向上している点で異なっている。
すなわち、AlとInとが本発明に示す範囲の物質比で存在していれば、Alの結晶粒同士は結合せずに空隙を有する膜を作ることができ、光透過率を向上させることができる。ただし、成膜方法により柱状膜になる場合とアモルファス状膜になる場合とがあり、第1の実施の形態の柱状膜の方がより透過率が高く、素子の効率を向上させるためには特に好ましい実施の形態である。
すなわち、AlとInとが本発明に示す範囲の物質比で存在していれば、Alの結晶粒同士は結合せずに空隙を有する膜を作ることができ、光透過率を向上させることができる。ただし、成膜方法により柱状膜になる場合とアモルファス状膜になる場合とがあり、第1の実施の形態の柱状膜の方がより透過率が高く、素子の効率を向上させるためには特に好ましい実施の形態である。
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、本発明の有機EL素子を、トップエミション構造の有機EL素子に適用した場合を例に説明する。図7は、第3の実施の形態の有機EL素子の構成の一例を示す図である。
本実施の形態では、本発明の有機EL素子を、トップエミション構造の有機EL素子に適用した場合を例に説明する。図7は、第3の実施の形態の有機EL素子の構成の一例を示す図である。
図7に示すように、第3の実施の形態の有機EL素子101は、基板102上に、陽極103と、反射層104、有機層105と、陰極106とを備えている。なお、基板102、陽極103及び有機層105の構成は、第1の実施の形態の基板2、陽極3及び第1の有機層4の構成と同様である。
反射層104は、有機層105からの光を有機層105側に反射させる機能を有する層である。反射層104は、陽極103と有機層105との間に設けられている。なお、反射層104を基板102と陽極103との間に設けてもよい。反射層104に用いられる材料としては、光反射性のよい、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びこれらの化合物からなる群から選択された材料などが挙げられる。
陰極106は、少なくとも1層の金属膜を含んでいる。本実施の形態では、陰極106は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層107と、金属膜108と、導電層109とを備えている。アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層107の構成は、第1の実施の形態のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層51の構成と同様である。金属膜108は第1の実施の形態または第2の実施の形態の金属膜52の構成と同様である。すなわち、金属膜108は、粒子が柱状に成長する金属を含む不連続膜、またはアモルファス状の金属膜である。
導電層109は、金属膜108の保護電極及び面方向の導電電極として機能する層である。導電層109に用いる材料としては、金属薄膜、高い透過率と導電率を持つ、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような導電膜などが挙げられる。
このように構成された有機EL素子101によれば、有機層105からの光が陰極106を透過して外部に放出されるとともに、有機層105からの光が反射層104で反射され、有機層105、陰極106を透過して外部に放出される。本実施の形態では、陰極106の金属膜108が第1または第2の実施の形態の金属膜52の構成と同様に、粒子が柱状に成長する金属を含む不連続膜、もしくはアモルファス状の金属膜であることから、金属膜109を電極として機能する膜厚にしても、光透過性が低下しない。このため、有機EL素子101の発光効率を向上させることができる。また、有機EL素子101の駆動電圧の上昇を抑制することができる。
(第4の実施の形態)
本実施の形態では、本発明の有機EL素子を、シースルー構造の有機EL素子に適用した場合を例に説明する。図8は、第4の実施の形態の有機EL素子の構成の一例を示す図である。
本実施の形態では、本発明の有機EL素子を、シースルー構造の有機EL素子に適用した場合を例に説明する。図8は、第4の実施の形態の有機EL素子の構成の一例を示す図である。
図8に示すように、第4の実施の形態の有機EL素子201は、基板202上に、陽極203と、有機層204と、陰極205とを備えている。なお、基板202、有機層204及び陰極205の構成は、第3の実施の形態の基板102、有機層105及び陰極106の構成と同様である。すなわち、陰極205の金属膜は、粒子が柱状に成長する金属を含む不連続膜またはアモルファス状の金属膜である。また、陽極203の構成は、第1の実施の形態の陽極3の構成と同様である。
このように構成された有機EL素子201によれば、有機層204からの光が陰極205を透過して外部に放出されるとともに、有機層204からの光が陽極203、及び、基板202を透過して外部に放出される。本実施の形態では、陰極205の金属膜が第1または第2の実施の形態の金属膜52の構成と同様に、粒子が柱状に成長する金属を含む不連続膜またはアモルファス状の金属膜であることから、この金属膜を電極として機能する膜厚にしても、光透過性が低下しない。このため、有機EL素子201の発光効率を向上させることができる。また、有機EL素子201の駆動電圧の上昇を抑制することができる。
なお、第3及び第4の実施の形態においても、陰極106、205のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層に換えて、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む層を形成してもよい。この場合にも、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層と同様の効果を得ることができる。第3及び第4の実施の形態のような素子の陰極には高い導電性と高い電子注入性、そして高い光透過性の3種の機能が同時に求められる。光透過性の高い導電膜としてはITO酸化物透明導電材料や比較的光吸収の少ない銀などの金属薄膜を用いればよいが、これらの導電層のみでは電子注入性を得ることができないため、本発明の金属膜を有機層と導電層の間に挿入して用いることが好ましい。本発明の金属膜はアルカリ金属イオンおよびアルカリ金属イオンを還元する機能と柱状粒子またはアモルファス状の膜が自己組織化する機能を併せ持った膜であるため、安定した高い電子注入性と高い光透過性を両立させることができ、高効率で低電圧駆動が可能な素子を得ることができる。
また、第3及び第4の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に金属膜52にアルミニウムとインジウムとを含有する混合膜を用いる場合にはアルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜35:65であることが好ましく、その理由も第1の実施の形態と同様である。
また、第3及び第4の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に金属膜52にアルミニウムとインジウムとを含有する混合膜を用いる場合にはアルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜35:65であることが好ましく、その理由も第1の実施の形態と同様である。
以下、本発明の具体的な実施例を比較例とともに示し、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1〜15、比較例1〜11)
ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜(陽極)を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。このITO透明電極付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O3洗浄した後、抵抗加熱真空蒸着法により第1の有機層/アルカリ金属を含む層/金属膜/電子受容層/第2の有機層/陰極の構成で成膜を行い、タンデム構造の有機EL素子を作成した。
ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜(陽極)を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。このITO透明電極付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O3洗浄した後、抵抗加熱真空蒸着法により第1の有機層/アルカリ金属を含む層/金属膜/電子受容層/第2の有機層/陰極の構成で成膜を行い、タンデム構造の有機EL素子を作成した。
第1の有機層はホール注入材1(100nm)/ホール輸送材1(10nm)/ホスト材1+発光ドーパント1(20nm、体積比97:4)、アルカリ金属を含む層は(Alq3+Li(4nm,体積比95:5))、金属膜はAl+In合金(膜厚=1〜25nm(Al:In=88:12〜35:65))、電子受容層は電子受容材1(4nm)、第2の有機層はホール輸送材1(10nm)/ホスト材1+ホール輸送材1(20nm、体積比85:15)/ホスト材1(20nm)/Alq3(10nm)、陰極は(LiF(0.5nm)/Al(100nm))である。なお、金属膜から陰極までの距離は64nmである。
また、実施例1〜4、14、15では金属膜のAlとInの混合比を変化させ、実施例5〜13では実施例2の混合比で金属膜の膜厚を変化させた。また、比較例1〜11では、金属膜に用いる金属、混合比、膜厚を変化させた。
素子特性評価は、電流密度500mA/cm2、100Hz、Duty=1/120の駆動条件にて、580nm(第1の有機層での発光)と470nm(第2の有機層での発光)における分光放射輝度と駆動電圧を測定した。また、金属膜の光透過性の指標として、素子の発光面側からの反射率を測定した。反射率については金属膜を設けない有機EL素子を別途作成し、この素子の反射率を100%とした場合の相対反射率で評価を行った。結果を表2に示す。
表2に示すように、金属膜をAl+In合金とすることにより、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制することができる有機EL素子が形成できることが確認できた。さらに、Inの混合比率が低くなると光透過率が低く発光が弱くなり、Inの混合比率が高くなるとキャリア注入性が低く、高駆動電圧となることから、AlとInとの混合比率を重量比で88:12〜53:47とすることが、より好ましいことが確認できた。また、素子の相対反射率はInの混合比率が高くなるに従って高くなっていることから、発光強度の向上が金属膜の光透過性の向上に起因することがわかる。
また、実施例5〜13の結果より、AlとInとの混合膜の膜厚は2〜10nm程度が好ましく、この範囲であれば、特に、強い発光強度と低駆動電圧とが両立することが確認できた。これに対して、比較例1〜5のAl単組成膜の場合には膜厚が厚くなるに従いキャリア注入性が向上して低駆動電圧になる点ではAl+In合金の場合と同様であるが、厚くなるに従って、急激な光透過性の減少が起こり低効率化する。このため、Al単組成膜の場合には膜厚を調整しても、強い発光強度と低駆動電圧とを両立することはできないことが確認できた。また、比較例6〜11のように、金属膜をLi、Al+Li、Ag、Al+Agにしても、強い発光強度と低駆動電圧とを両立することはできないことが確認できた。
実施例1、比較例1の金属膜について、その構造を図示する。図9に実施例1の金属膜の構造を示し、図10に比較例1の金属膜の構造を示す。
図9に示すように、実施例1の金属膜では、膜厚4nmであっても金属結晶が島状に配置されている(柱状成長膜)であることが確認できた。一方、図10(b)に示すように、比較例3の金属膜では、金属結晶の島が成長して粒子が膜面方向に互いに結合するように成長するため空孔部分が少なくなり、一部で連続膜となっていることが確認できた。このように、実施例1の金属膜では、粒子が柱状に成長するため、光透過性が低下せず、金属電極膜の膜面方向の絶縁性の低下によるドット外発光が起こらなくなることが確認できた。このような構造は透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)のTEM像およびSTEM像により確認することができる。
図9に示すように、実施例1の金属膜では、膜厚4nmであっても金属結晶が島状に配置されている(柱状成長膜)であることが確認できた。一方、図10(b)に示すように、比較例3の金属膜では、金属結晶の島が成長して粒子が膜面方向に互いに結合するように成長するため空孔部分が少なくなり、一部で連続膜となっていることが確認できた。このように、実施例1の金属膜では、粒子が柱状に成長するため、光透過性が低下せず、金属電極膜の膜面方向の絶縁性の低下によるドット外発光が起こらなくなることが確認できた。このような構造は透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)のTEM像およびSTEM像により確認することができる。
(実施例16〜24、比較例12〜18)
アルカリ金属を含む層の代わりにアルカリ金属イオン含有物質を含む層としてAlq+LiF(4nm, 体積比94:6)を成膜した以外は同様にして有機EL素子を作成し評価した。結果を表3に示す。
アルカリ金属を含む層の代わりにアルカリ金属イオン含有物質を含む層としてAlq+LiF(4nm, 体積比94:6)を成膜した以外は同様にして有機EL素子を作成し評価した。結果を表3に示す。
表3に示すように、アルカリ金属を含む層に換え、アルカリ金属イオン含有物質を含む層としても、金属膜をAl+In合金とすることにより、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制することができる有機EL素子が形成できることが確認できた。これはAl+Inの合金膜がAlと同様にアルカリもしくはアルカリ土類金属イオンを還元する機能を有することを示している。
(実施例25、26、比較例19〜20)
第1の発光層をホール注入材1(96nm)/ホール輸送材2(10nm)/ホスト材2+ドーパント1(20nm、体積比96:4)/ホスト材2(74nm)とし、第2の有機層をホール輸送材2(61nm)/ホスト材3+ホール輸送材2+ドーパント材2(30nm、体積比85:15:3)/ホスト材3(10nm)/Alq3(4nm)とした以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。この構成にすることによって電子受容層と第2の有機層の膜厚の和である金属膜から陰極までの距離を109nmとし、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
第1の発光層をホール注入材1(96nm)/ホール輸送材2(10nm)/ホスト材2+ドーパント1(20nm、体積比96:4)/ホスト材2(74nm)とし、第2の有機層をホール輸送材2(61nm)/ホスト材3+ホール輸送材2+ドーパント材2(30nm、体積比85:15:3)/ホスト材3(10nm)/Alq3(4nm)とした以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。この構成にすることによって電子受容層と第2の有機層の膜厚の和である金属膜から陰極までの距離を109nmとし、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
表4に示すように、金属膜から陰極までの距離を換えても金属膜をAl+In合金とすることにより、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制すること、および、視野角依存による色度変化を抑制することができる有機EL素子が形成できることが確認できた。
(実施例27〜41、比較例21〜24)
ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜(陽極)を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。このITO透明電極付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O3洗浄した後、抵抗加熱真空蒸着法で、反射電極(Ag100nm)/第1の有機層/Liを含む層/金属膜(Al+In合金)/導電層(Ag8nm)/Ar膜(有機層)の構成で成膜を行い、トップエミション構造の有機EL素子を作成した。第1の有機層をホール注入材料1(55nm)/ホール輸送材1(10nm)/ホスト材4+発光ドーパント1(20nm、体積比97:4)、Ar膜をホール輸送材料1とした以外は前述と同様に、金属膜の金属種、混合比、膜厚を変化させた場合について素子特性評価を行った。結果を表5に示す。
ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜(陽極)を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。このITO透明電極付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O3洗浄した後、抵抗加熱真空蒸着法で、反射電極(Ag100nm)/第1の有機層/Liを含む層/金属膜(Al+In合金)/導電層(Ag8nm)/Ar膜(有機層)の構成で成膜を行い、トップエミション構造の有機EL素子を作成した。第1の有機層をホール注入材料1(55nm)/ホール輸送材1(10nm)/ホスト材4+発光ドーパント1(20nm、体積比97:4)、Ar膜をホール輸送材料1とした以外は前述と同様に、金属膜の金属種、混合比、膜厚を変化させた場合について素子特性評価を行った。結果を表5に示す。
表5に示すように、トップエミション構造の有機EL素子についても、陰極の金属膜をAl+In合金とすることにより、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制することができる有機EL素子が形成できることが確認できた。さらに、AlとInとの混合比率を重量比で88:12〜53:47とすることにより、発光効率がより向上し、駆動電圧の上昇をより抑制できることが確認できた。
(実施例42〜48、比較例25)
Liを含む層の代わりにLiFを含む層とした以外は同様にしてトップエミション構造の有機EL素子を作成し、素子特性評価を行った。結果を表6に示す。
Liを含む層の代わりにLiFを含む層とした以外は同様にしてトップエミション構造の有機EL素子を作成し、素子特性評価を行った。結果を表6に示す。
表6に示すように、Liを含む層の代わりにLiFを含む層としても、金属膜をAl+In合金とすることにより、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制することができる有機EL素子が形成できることが確認できた。
(実施例49〜63、比較例26〜29)
ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜(陽極)を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。このITO透明電極付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O3洗浄した後、抵抗加熱真空蒸着法で、第1の有機層/Liを含む層/金属膜(Al+In合金)/導電層(Ag8nm)/Ar膜(有機層)の構成で成膜を行い、シースルー構造の有機EL素子を作成した。第1の有機層をホール注入材料1(55nm)/ホール輸送材1(10nm)/ホスト材5+発光ドーパント1(20nm、体積比97:4)、Ar膜をホール輸送材料1とした以外は前述と同様に、金属膜の金属種、混合比、膜厚を変化させた場合について素子特性評価を行った。結果を表7に示す。
ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜(陽極)を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。このITO透明電極付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O3洗浄した後、抵抗加熱真空蒸着法で、第1の有機層/Liを含む層/金属膜(Al+In合金)/導電層(Ag8nm)/Ar膜(有機層)の構成で成膜を行い、シースルー構造の有機EL素子を作成した。第1の有機層をホール注入材料1(55nm)/ホール輸送材1(10nm)/ホスト材5+発光ドーパント1(20nm、体積比97:4)、Ar膜をホール輸送材料1とした以外は前述と同様に、金属膜の金属種、混合比、膜厚を変化させた場合について素子特性評価を行った。結果を表7に示す。
表7に示すように、シースルー構造の有機EL素子についても、陰極の金属膜をAl+In合金とすることにより、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制することができる有機EL素子が形成できることが確認できた。さらに、AlとInとの混合比率を重量比で88:12〜53:47とすることにより、発光効率がより向上し、駆動電圧の上昇をより抑制できることが確認できた。
(実施例64〜70、比較例30)
Liを含む層の代わりにLiFを含む層とした以外は同様にしてシースルー構造の有機EL素子を作成し、素子特性評価を行った。結果を表8に示す。
Liを含む層の代わりにLiFを含む層とした以外は同様にしてシースルー構造の有機EL素子を作成し、素子特性評価を行った。結果を表8に示す。
表8に示すように、Liを含む層の代わりにLiFを含む層としても、金属膜をAl+In合金とすることにより、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制することができる有機EL素子が形成できることが確認できた。
(実施例71〜85、比較例31〜35)
金属膜をスパッタ法で成膜してアモルファス状の金属膜とした以外は実施例1〜15、比較例1〜11と同様にして有機EL素子を作成した。結果を表9に示す。なお、AlとInの組成比は純AlターゲットおよびAl:In=77:23の混合ターゲットを用い、更にIn片をターゲット上に配置することにより変化させた。
金属膜をスパッタ法で成膜してアモルファス状の金属膜とした以外は実施例1〜15、比較例1〜11と同様にして有機EL素子を作成した。結果を表9に示す。なお、AlとInの組成比は純AlターゲットおよびAl:In=77:23の混合ターゲットを用い、更にIn片をターゲット上に配置することにより変化させた。
表9に示すように、金属膜をスパッタ法で成膜してアモルファス状の金属膜としても、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制することができる有機EL素子が形成できることが確認できた。また、AlとInとの混合比率を重量比で88:12〜53:47とすることにより、発光効率がより向上し、駆動電圧の上昇をより抑制できることが確認できた。さらに、AlとInとの混合膜の膜厚は2〜10nm程度が好ましく、この範囲であれば、特に、強い発光強度と低駆動電圧とが両立することが確認できた。
ここで、実施例71の金属膜について、その構造を図示する。図11に実施例71の金属膜の構造を示す。図11に示すように、実施例71の金属膜では、その膜厚が厚くなっても、膜中のAlの大部分が微小結晶を維持したまま堆積するため、微結晶間に微細な空隙が存在し、その空隙により光が透過する。なお、膜中のInは結晶粒子として存在する。このため、膜厚が厚くなっても光透過率が低下しない。
(実施例86〜94、比較例36〜38)
アルカリ金属を含む層の代わりにアルカリ金属イオン含有物質を含む層としてAlq+LiF(4nm, 体積比94:6)を成膜した以外は実施例71〜85、比較例31〜35と同様にしてアモルファス状の金属膜を含む有機EL素子を作成し評価した。結果を表10に示す。
アルカリ金属を含む層の代わりにアルカリ金属イオン含有物質を含む層としてAlq+LiF(4nm, 体積比94:6)を成膜した以外は実施例71〜85、比較例31〜35と同様にしてアモルファス状の金属膜を含む有機EL素子を作成し評価した。結果を表10に示す。
表10に示すように、アルカリ金属を含む層に換え、アルカリ金属イオン含有物質を含む層としても、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制することができるアモルファス状の金属膜を含む有機EL素子が形成できることが確認できた。
(実施例95〜109、比較例39〜42)
金属膜をスパッタ法で成膜してアモルファス状の金属膜とした以外は実施例27〜41、比較例21〜24と同様にしてトップエミション構造の有機EL素子を作成した。結果を表11に示す。なお、AlとInの組成比は純AlターゲットおよびAl:In=77:23の混合ターゲットを用い、更にIn片をターゲット上に配置することにより変化させた。
金属膜をスパッタ法で成膜してアモルファス状の金属膜とした以外は実施例27〜41、比較例21〜24と同様にしてトップエミション構造の有機EL素子を作成した。結果を表11に示す。なお、AlとInの組成比は純AlターゲットおよびAl:In=77:23の混合ターゲットを用い、更にIn片をターゲット上に配置することにより変化させた。
表11に示すように、トップエミション構造の有機EL素子についても、陰極の金属膜をアモルファス状の金属膜とすることにより、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制することができる有機EL素子が形成できることが確認できた。
(実施例110〜116、比較例43)
アルカリ金属を含む層の代わりにアルカリ金属イオン含有物質を含む層としてAlq+LiF(4nm, 体積比94:6)を成膜した以外は実施例95〜109、比較例39〜42と同様にしてトップエミション構造のアモルファス状の金属膜を含む有機EL素子を作成し評価した。結果を表12に示す。
アルカリ金属を含む層の代わりにアルカリ金属イオン含有物質を含む層としてAlq+LiF(4nm, 体積比94:6)を成膜した以外は実施例95〜109、比較例39〜42と同様にしてトップエミション構造のアモルファス状の金属膜を含む有機EL素子を作成し評価した。結果を表12に示す。
表12に示すように、アルカリ金属を含む層に換え、アルカリ金属イオン含有物質を含む層としても、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制することができるトップエミション構造のアモルファス状の金属膜を含む有機EL素子が形成できることが確認できた。
(実施例117〜131、比較例44〜47)
金属膜をスパッタ法で成膜してアモルファス状の金属膜とした以外は実施例49〜63、比較例26〜29と同様にしてシースルー構造の有機EL素子を作成した。結果を表13に示す。なお、AlとInの組成比は純AlターゲットおよびAl:In=77:23の混合ターゲットを用い、更にIn片をターゲット上に配置することにより変化させた。
金属膜をスパッタ法で成膜してアモルファス状の金属膜とした以外は実施例49〜63、比較例26〜29と同様にしてシースルー構造の有機EL素子を作成した。結果を表13に示す。なお、AlとInの組成比は純AlターゲットおよびAl:In=77:23の混合ターゲットを用い、更にIn片をターゲット上に配置することにより変化させた。
表13に示すように、シースルー構造の有機EL素子についても、陰極の金属膜をアモルファス状の金属膜とすることにより、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制することができる有機EL素子が形成できることが確認できた。
(実施例132〜138、比較例48)
アルカリ金属を含む層の代わりにアルカリ金属イオン含有物質を含む層としてAlq+LiF(4nm, 体積比94:6)を成膜した以外は実施例117〜131、比較例44〜47と同様にしてシースルー構造のアモルファス状の金属膜を含む有機EL素子を作成し評価した。結果を表14に示す。
アルカリ金属を含む層の代わりにアルカリ金属イオン含有物質を含む層としてAlq+LiF(4nm, 体積比94:6)を成膜した以外は実施例117〜131、比較例44〜47と同様にしてシースルー構造のアモルファス状の金属膜を含む有機EL素子を作成し評価した。結果を表14に示す。
表14に示すように、アルカリ金属を含む層に換え、アルカリ金属イオン含有物質を含む層としても、発光効率が向上し、駆動電圧の上昇を抑制することができるシースルー構造のアモルファス状の金属膜を含む有機EL素子が形成できることが確認できた。
(Al+In膜のIn添加量と透過率)
ガラス上に第1の実施の形態の柱状膜及び第2の実施の形態のアモルファス状膜を10nm成膜し、大気にさらすことなく、ガラスキャップにより封止を行い、515nmの透過率の組成依存性を測定した。なお、抵抗加熱蒸着法(蒸着)によりAl+In膜を成膜することにより第1の実施の形態の柱状膜が形成され、スパッタ法によりAl+In膜を成膜することにより第2の実施の形態のアモルファス状膜が形成される。結果を図12に示す。図12に示すように、第1の実施の形態の柱状膜及び第2の実施の形態のアモルファス状膜ともに透過率が向上することが確認できた。
ガラス上に第1の実施の形態の柱状膜及び第2の実施の形態のアモルファス状膜を10nm成膜し、大気にさらすことなく、ガラスキャップにより封止を行い、515nmの透過率の組成依存性を測定した。なお、抵抗加熱蒸着法(蒸着)によりAl+In膜を成膜することにより第1の実施の形態の柱状膜が形成され、スパッタ法によりAl+In膜を成膜することにより第2の実施の形態のアモルファス状膜が形成される。結果を図12に示す。図12に示すように、第1の実施の形態の柱状膜及び第2の実施の形態のアモルファス状膜ともに透過率が向上することが確認できた。
本発明は、有機EL素子に有用である。
1 有機EL素子
2 基板
3 陽極
4 第1の有機層
5 中間電極
6 第2の有機層
7 陰極
41、61 正孔注入輸送層
42、62 発光層
43、63 電子注入輸送層
51 アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層
52 金属膜
53 電子受容層
2 基板
3 陽極
4 第1の有機層
5 中間電極
6 第2の有機層
7 陰極
41、61 正孔注入輸送層
42、62 発光層
43、63 電子注入輸送層
51 アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む層
52 金属膜
53 電子受容層
Claims (19)
- 基板上に少なくとも、陽極と、発光機能を有する第1の有機層と、中間電極と、発光機能を有する第2の有機層と、陰極と、を積層し、
前記中間電極は少なくとも1層の金属膜を含み、
前記金属膜は、少なくともアルミニウムとインジウムとを含有し、粒子が柱状に成長する金属を含む平均膜厚が4nm以上25nm以下の不連続膜であり、
前記金属膜を形成する粒子の、膜面に対して鉛直方向の長さが平均膜厚の3.75倍より大きい、ことを特徴とする有機EL素子。 - 前記金属膜を形成する粒子の、膜面に対して鉛直方向の長さが平均膜厚の5倍以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
- 前記金属膜の平均膜厚が4nm以上10nm以下である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子。
- 基板上に少なくとも、陽極と、発光機能を有する第1の有機層と、中間電極と、発光機能を有する第2の有機層と、陰極と、を積層し、
前記中間電極は少なくとも1層の金属膜を含み、
前記金属膜は、平均膜厚が1nm以上25nm以下であり、少なくともアルミニウムとインジウムとを含有するアモルファス状の金属を含む膜であり、少なくとも1種の金属元素がその他の金属元素と固溶体を形成せずに存在しており、
前記アモルファス状の金属の電子線回析において回析線が観察できないことを特徴とする有機EL素子。 - 前記金属膜の平均膜厚が1nm以上10nm以下である、ことを特徴とする請求項4に記載の有機EL素子。
- 前記陰極から前記中間電極までの距離は、λ/2n(λは発光波長、nは陰極から中間電極間の屈折率)である、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の有機EL素子。
- 前記アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜35:65である、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の有機EL素子。
- 前記アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜53:47である、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の有機EL素子。
- 前記金属膜の陽極側に接する層は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の有機EL素子。
- 前記金属膜の陽極側に接する層は、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の有機EL素子。
- 基板上に少なくとも、陽極と、発光機能を有する有機層と、陰極と、を順次積層し、
前記陰極は少なくとも1層の金属膜を含み、
前記金属膜は、少なくともアルミニウムとインジウムとを含有し、粒子が柱状に成長する金属を含む平均膜厚が4nm以上25nm以下の不連続膜であり、
前記金属膜を形成する粒子の、膜面に対して鉛直方向の長さが平均膜厚の3.75倍より大きい、ことを特徴とする有機EL素子。 - 前記金属膜を形成する粒子の、膜面に対して鉛直方向の長さが平均膜厚の5倍以上である、ことを特徴とする請求項11に記載の有機EL素子。
- 前記金属膜の平均膜厚が4nm以上10nm以下である、ことを特徴とする請求項11または12に記載の有機EL素子。
- 基板上に少なくとも、陽極と、発光機能を有する有機層と、陰極と、を順次積層し、
前記陰極は少なくとも1層の金属膜を含み、
前記金属膜は、平均膜厚が1nm以上25nm以下であり、少なくともアルミニウムとインジウムとを含有するアモルファス状の金属を含む膜であり、少なくとも1種の金属元素がその他の金属元素と固溶体を形成せずに存在しており、
前記アモルファス状の金属の電子線回析において回析線が観察できないことを特徴とする有機EL素子。 - 前記金属膜の平均膜厚が1nm以上10nm以下である、ことを特徴とする請求項14に記載の有機EL素子。
- 前記アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜35:65である、ことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の有機EL素子。
- 前記アルミニウムとインジウムとの混合比率は、その重量比で88:12〜53:47である、ことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の有機EL素子。
- 前記金属膜の陽極側に接する層は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む、ことを特徴とする請求項11乃至17のいずれか1項に記載の有機EL素子。
- 前記金属膜の陽極側に接する層は、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する化合物を含む、ことを特徴とする請求項11乃至17のいずれか1項に記載の有機EL素子。
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