JP2015109396A - ウエハ剥離装置 - Google Patents

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【課題】スライスベースからのウエハを剥離すること。【解決手段】スライスベースに接着剤で接着された複数のウエハを前記スライスベースから剥離するウエハ剥離装置であって、液体を貯留する槽と、前記スライスベースによって前記槽内の液体に浸漬された前記複数のウエハの側面に向かって液体を噴流させる第1ノズルと、前記槽内に配置され、前記スライスベースから剥離されたウエハを収容するトレイと、前記トレイの側面又は底面に設けられた開口部を介して前記トレイ内の液体を吸引する吸引口と、を備えることを特徴とするウエハ剥離装置を提供する。【選択図】図3

Description

本発明は、スライスベースに接着されたウエハを剥離するウエハ剥離装置に関する。
シリコンウエハなどのウエハは、インゴットと称される塊状物をスライスして、枚葉化することで得られる。ウエハを得るには、まずインゴットをスライスベースと称される保持体に接着剤を介して固定する。スライスベースに固定されたインゴットを、ワイヤソーでスライスしてウエハとする。そして、スライスベースからウエハを剥離することでウエハを得る。
図1Aに示すように、スライスベース50から複数のウエハ60を剥離するために、複数のウエハ60が接着されたスライスベース50を、水15に浸漬させて、複数のウエハ60をスライスベース50に固定している接着剤63を軟化させていた。それにより、複数のウエハ60がスライスベース50から剥離する。剥離したウエハは、トレイ40に落下して回収される。
また、スライスベースからウエハを剥離する他の手法として、ウエハをスライスベースに接着させる接着剤に、熱風を噴射して接着剤を溶解させる手法が報告されている(特許文献1)。
登録実用新案第3149712号公報
しかしながら、図1Bに示すように、スライスベース50から剥離されたウエハがトレイ40に落下すると、落下したウエハ同士が衝突したり、ランダムに重なりあうことで、ウエハが割れたり(符号X参照)、欠けたりする(符合Y参照)ことがあった。さらに、落下したウエハは、トレイ40内にランダムに収容されるので、図1Cに示すような、ウエハを整列させる工程が別に必要であった。このように、従来は、ウエハに割れや欠けが生じたり、ランダムに収容されたウエハを別途整列させたりする必要があった。
また、特許文献1に記載のように接着剤に熱風を噴射して接着剤を溶解させると、ウエハに汚れが固着して、それを除去するのも困難であった。
そこで本発明は、ウエハの割れや欠けを抑制し、かつ、ウエハへの汚れを軽減し、ウエハを整列可能とするウエハ剥離装置を提供することを目的とする。
本発明のウエハ剥離装置は、スライスベースに接着剤で接着された複数のウエハを前記スライスベースから剥離するウエハ剥離装置であって、液体を貯留する槽と、前記スライスベースによって前記槽内の液体に浸漬された前記複数のウエハの側面に向かって液体を噴流させる第1ノズルと、前記槽内に配置され、前記スライスベースから剥離されたウエハを収容するトレイと、前記トレイの側面又は底面に設けられた開口部を介して前記トレイ内の液体を吸引する吸引口と、を備えることを特徴とする。
本剥離装置により、ウエハの割れや欠けを抑制し、かつ、汚れを軽減しつつ、剥離されたウエハをトレイに整列させることができる。
従来のウエハ剥離方法の概要を示す図 複数のウエハが接着されたスライスベースを得る工程を示す図 図3Aは実施の形態1のウエハ剥離装置の概要を示す図、図3Bは実施の形態2のウエハ剥離装置の概要を示す図 スライスベースと、第1ノズルと、第1補助ノズルと、トレイと、第2ノズルと、吸引口と、スチームノズルとの位置関係を示す模式図 図5Aはトレイの斜視図、図5Bはトレイの分解図 実施の形態1のウエハ剥離方法のフローを示す図 実施の形態2のウエハ剥離方法のフローを示す図 トレイと吸引口との位置関係を示す模式図
本発明のウエハ剥離装置は、ウエハ製造方法の一工程で採用されうる。ウエハ製造方法の典型的なフローの模式図を図2に示し、どの工程で本ウエハ剥離装置が採用されるのかを説明する。
インゴット65と称される塊状物を接着剤63でスライスベース50に貼り付け(図2A参照)、接着剤63で貼り付けられたインゴットをスライスして複数のウエハとし(図2B)、スライスされたウエハをスライスベースに貼り付けたまま洗浄する(図2C)。この工程を経ることで、複数のウエハ60が接着されたスライスベース50を得る。その後、本ウエハ剥離装置が採用される。
接着剤63は、一液型接着剤もしくは二液型接着剤であり、例えばエポキシ接着剤である。スライスベース50の材質は、カーボン材料などの導電性材料であっても、ガラスなどの絶縁無機材料であっても、エポキシ樹脂などの有機材料であってもよい。また、スライスベース50は多孔質体であってもよい。多孔質体を構成する材料の例には、カーボン材料などが含まれる。多孔質体からなるスライスベース50の接着面には、アンカー効果によってインゴットを強固に接着できる。そのため、インゴット65と接着剤63との接着強度よりも、スライスベース50と接着剤63との接着強度の方が強くなる。その結果、ウエハを剥離する際に、接着剤63がスライスベース50のウエハ接着面55に残り、ウエハには汚れ(接着剤63)が付着しにくくなる。
図2Bに示されるように、一対のメインローラ210に巻き掛けられたワイヤ220を具備するワイヤソー200などの切断装置によって、インゴット65が、薄板状に切断されて複数のウエハとなる。このとき、スライスベース50は薄板状には切断されない。ただし、スライスベース50の厚み方向の途中まで切断されてもよい。切断装置であるワイヤソーの例には、マルチワイヤソー、ワイヤ放電加工機などが含まれる。
図2Cに示すように、複数のウエハ60を、水槽300中の水で洗浄する。スライスベース50とともに複数のウエハ60を水中に浸漬させ、複数のウエハ60に対して超音波ユニット310による超音波を照射したり、複数のウエハ60に対して噴流ノズル320による水の噴流を当てたりしてもよい。
次に、図2Dに示すように、本ウエハ剥離装置を用いて、複数のウエハ60が接着されたスライスベース50から、ウエハを剥離する。本ウエハ剥離装置による剥離の詳細は後述する。本ウエハ剥離装置により、整列されたウエハを得られる。
その後、整列されたウエハは、枚葉装置(セパレータ)で一枚ずつ取り出され、洗浄、乾燥、検査の工程を経て、ウエハ製造工程が完了する。
本ウエハ剥離装置によるウエハ剥離方法は、スライスベースに接着された複数のウエハの各ウエハの少なくとも一部分を槽に貯留した液体に浸漬する工程1を含む。更に、本方法は、槽中の液体に浸漬されたウエハの側面に向かって液体を噴流させる工程2を含む。そして、本方法は、スライスベースから剥離されたウエハを、槽内に配置されたトレイの開口部近傍から液体を吸引しながらトレイに収容する工程3を含む。
本方法には、工程1において、スライスベースの接着剤は槽中に浸漬させずに、ウエハのみを浸漬する実施の形態1(図3A参照)と、ウエハと共にスライスベースの接着剤を槽中に浸漬する実施の形態2(図3B参照)とが含まれる。以下、各実施の形態について述べる。
まず、実施の形態1の剥離方法について説明する。
実施の形態1の剥離方法では、スライスベース50に複数のウエハ60を接着する接着剤63は槽10中の水に浸漬させずに、複数のウエハ60のみを浸漬する(図3A)。実施の形態1の剥離方法は、ウエハ剥離装置100を用いて行うことができる。
ウエハ剥離装置100は、液体の一例である水を貯留する槽10と、複数のウエハ60が槽10内の水に浸漬するようにスライスベース50を保持する保持部20と、を備える。また、ウエハ剥離装置100は、槽10の水に浸漬された複数のウエハ60のうちの一部のウエハの側面に向かって、水を噴流させる第1ノズル30を備える。そして、ウエハ剥離装置100は、槽10内に配置され、スライスベース50から剥離されたウエハを受け取るトレイ40を備える。更に、トレイ40の側面又は底面には開口部が設けられており、この開口部を介して、トレイ40内の水を吸引する吸引口90がウエハ剥離装置100に備わる。図3Aにおいては、トレイ40の底面に開口部を設ける態様を示す。保持部20は、接着剤63が槽10の水と非接触となるようにスライスベース50を保持する。そして、水と非接触な接着剤63にスチームをふきつけて軟化させるスチームノズル80がウエハ剥離装置100に備わる。スライスベース50は、剥離すべき複数のウエハ60を固定するための板状部材である。
複数のウエハ60は、例えば半導体ウエハであり、具体的にはシリコンウエハである。複数のウエハ60は、スライスベース50のウエハ接着面55に接着剤63を介して接着されている。また、スライスベース50に固定された複数のウエハ60は、その主面を互いに平行にして配列している。
保持部20は、複数のウエハ60の配列方向に沿って、槽10中の水の液面に対して、スライスベース50のウエハ接着面55を傾けてスライスベース50を保持する。具体的に、保持部20は、最初に剥離しようとするウエハ(複数のウエハ60で構成されるウエハ列の先頭)が接着している部分を下げて、スライスベース50を傾けて保持することが好ましい。より確実に1枚ずつ剥離できるからである。スライスベース50の傾き角度53(俯角)は5°〜45°であることが好ましく、例えば25°である。
保持部20に保持されたスライスベース50に接着され、かつ水に浸漬された複数のウエハ60のうち一部のウエハの側面に向かって、第1ノズル30は水を噴流させる。噴流させる水は、槽10に貯留した水でありうる。それにより、スライスベース50に接着された複数のウエハ60の各ウエハ同士の間に隙間を生じさせる(あるいは、隙間を拡大させる)。第1ノズル30による水の噴流方向は、スライスベース50のウエハ接着面55と平行もしくは槽10中の水の液面と平行にすることが好ましい。第1ノズル30による水の噴流方向を、スライスベース50のウエハ接着面55に対して垂直とすると、ウエハ同士の間に隙間を生じさせることはできるものの、その隙間が安定せず、剥離しようとするウエハの向きを制御しにくい。
第1ノズル30は、最初に剥離しようとするウエハ、つまり整列している複数のウエハ60のうちの端部に配置しているウエハの側面に、水を噴流させることが好ましい。端部に配置しているウエハから順番に、スライスベース50から剥離するためである。
ウエハ剥離装置100は、第1ノズル30とともに、複数のウエハ60の側面に水を噴流させる第1補助ノズル33を有していてもよい。第1補助ノズル33による水の噴流は、端部に配置しているウエハではなく、その近傍に位置する複数のウエハ60の側面に向けられる。第1ノズル30による噴流と第1補助ノズル33による水の噴流とで、より効率的に剥離しようとするウエハ同士の間に隙間を生じさせる(または拡大させる)。
トレイ40は、槽10の水中に配置されている。スライスベース50から剥離されたウエハは、剥離された順番にトレイ40に収容される。トレイ40の収容面47(トレイの収容部の底面)は、スライスベース50のウエハ接着面55と平行に配置されることが好ましい。つまり、スライスベース50が、槽10中の水の液面に対して傾けて保持されている場合には、トレイ40も傾けられて配置されることが好ましい。剥離したウエハをトレイ40内でより綺麗に整列させるためである。
スチームノズル80は、スチームを噴きつけて接着剤63を軟化させる。接着剤63の軟化とともに、第1ノズル30による噴流によって、スライスベース50からウエハを剥離させる。また、噴きつけるガスを高温乾燥ガスではなく、スチームガスとすることで、ウエハの乾燥を抑え、ウエハに汚れが固着するのを防止する。
つまりスチームノズル80は、第1ノズル30による噴流があてられるウエハの接着部分(接着剤63)にスチームを噴きつける。スチームノズル80は、接着剤63に、図3Aに示される矢印81の方向に沿ってスチームを噴きつける。さらにスチームノズル80は図3Aの紙面に対して上下方向に沿ってスチームを接着剤63に噴きつけてもよい。
図4に、スライスベース50と、第1ノズル30と、第1補助ノズル33と、トレイ40と、第2ノズル70と、吸引口90と、スチームノズル80と、第3ノズル35(図3Aに図示せず)の位置関係の例を示す。ここでは複数のウエハ60の一部のみを示す。
スチームノズル80は、スライスベース50に接着されている複数のウエハ60のうち、端部に位置するウエハ60aを接着している接着剤に向けて、スチームを噴きつける。さらに、第2ノズル70は、トレイ40の底面47(収容面)の面方向と平行の噴流を生じさせるように構成されている。
スライスベース50に接着されている、端部のウエハ60aの側面に噴流が生じるように、第1ノズル30が配置されている。また、第1補助ノズル33は、ウエハ60aの近傍であって、複数のウエハ60のうちの他のウエハの側面に噴流が生じるように配置されている。端部のウエハ60aが鉛直方向に傾いた状態(図中の点線の状態)のときに、ウエハ60aの側面に水を噴流する第3ノズル35が配置されている。第3ノズル35の噴流により、ウエハ60aの向きを維持する。その後、ウエハ60aは、スライスベース50から落下し、トレイ40に至る。トレイ40の底部に設けられた吸引口90の作用により、落下したウエハ60aがトレイ40内に収容される。
ここで、吸引口90について詳述する。
図5A、図5Bに示すように、トレイ40は底面47に開口部43a、側面に開口部43を有している。図5Aは、トレイ40の斜視図であり、図5Bは、トレイ40の分解図である。
図8Aにトレイ40と吸引口90との位置関係を図示する。図8Aはトレイ40と吸引口90との位置関係を示す正面図である。吸引口90はトレイ40の底面47の開口部43aの中心部分に配置される。中心部分に配置することで、ウエハに作用する吸引力の左右のバランスが安定し、トレイ40に安定してウエハを収容できる。
また、吸引口90をトレイ40の側面の開口部43に設置してもよい。図8Bにトレイ40と吸引口90との位置関係を図示する。図8Bはトレイ40と吸引口90との位置関係を示す正面図である。トレイ40の両側面に設けられた開口部43にそれぞれ吸引口90を配置すると、ウエハに作用する吸引力が高まり、また、左右のバランスもよいため、トレイ40内で安定した姿勢でウエハを整列、収納できる。
吸引口90を設けなかった場合、剥離されたウエハは不安定な姿勢でトレイ40に収容されるため、ウエハが傾いたり、ウエハ間の隙間が広がったりして、トレイ40内でウエハが整列されない場合がある。また、整列されていない状態のウエハと、落下したウエハとが衝突したり、ランダムに重なりあうことで、ウエハが割れたり、欠けたりする場合がある。本装置では、これを防止するために、吸引口90を設けている。この場合、開口部43又は開口部43aを通じて吸引口90による水の噴流が通り抜け、この噴流の作用によりトレイ40内でウエハが自動的に整列する。このとき、トレイ40の底面47に近い位置に吸引口90を設けるのが望ましい。ウエハが底面47に沿うように整列化するため、より整然としたウエハ列を形成できるからである。
吸引口90を、開口部43と開口部43aとの両方に設けても良い。両方設けることで、トレイ40内のウエハをより綺麗に整列させることが可能となる。
図8Aに示すように、吸引口90を開口部43a側に配置する場合は、トレイ40の底面47と垂直に配置する。つまり、図3Aのようにスライスベース50が、槽10中の水の液面に対して傾けて保持されている場合には、トレイ40も傾けられて配置され、さらに、吸引口90も傾けられて配置される。
一方、図8Bに示すように、吸引口90を開口部43側に設ける場合は、トレイ40の側面と垂直に吸引口90を配置する。このとき、吸引口90の中心線を一致させ、かつ、互いに対向するように配置することで、ウエハをより正確に整列できる。
なお、吸引口90から取水されたトレイ40内の水は、循環させて再び槽10内に戻すことが好ましい。水の使用量を削減できるためである。このため、吸引口90で吸引した水を槽10内に戻す循環口を槽10に更に設けることが望ましい。その際、吸引口90から循環口に至る経路内にフィルターを設置することで、清浄な水を槽10に戻すことができる。清浄な水を戻すことで、汚れなどがウエハに再付着することを抑制できる。なお、吸引口90と図3の第1ノズル30とを連通させて、第1ノズル30に循環口の役割を持たせてもよい。また、第1補助ノズル33や第2ノズル70に循環口の機能を持たせてもよい。
なお、図4に示すように、本装置は、スライスベース50から剥離されたウエハの主面に向かって水を噴流させる第2ノズル70を、槽10の内部に有してもよい。この場合、第2ノズル70は、トレイ40の底面47の面方向と平行な噴流を生じさせるように構成されている。第2ノズル70による噴流は、剥離されたウエハをトレイ40内に導くとともに、トレイ40内に保持させる。この第2ノズル70による噴流が、吸引口90による噴流と相俟ってトレイ40内のウエハをより正確に整列させる。
ここで、図6A〜Dに、実施の形態1のウエハ剥離方法のフローを示す。図6Aに示すように、保持部20でスライスベース50を保持して、複数のウエハ60の一部を槽10の水に浸漬させる。
次に、図6Bに示すように、スチームノズル80が、複数のウエハ60の配列端部に位置するウエハを接着する接着剤63にスチームを噴きつけるとともに、第1ノズル30から水を噴流させて、このウエハの側面に水の噴流をあてる。同様に、第1補助ノズル33からも水を噴流させて、別のウエハの側面に水の噴流をあてる。これらの噴流によって、複数のウエハ60同士の間に隙間が生じる。このとき、最も端部に位置するウエハが鉛直方向に向くことが好ましい。
第1ノズル30および第1補助ノズル33からの水の噴出量は特に限定されないものの、例えばそれぞれ1.4〜1.6L/分である。
スチームノズル80が接着剤63にスチームを照射し、かつ第1ノズル30からウエハの側面に水を噴流させることで、図6Cに示すように、端部に位置するウエハがスライスベース50から剥離して水中に落下する。落下したウエハはトレイ40の底面に設置された吸引口90による吸引力と、ウエハの主面にあてられる第2ノズル70の噴流の力によって、トレイ40に導かれて収容される(図6D参照)。
さらに図6Dのように、スライスベース50に残っている複数のウエハ60のうち、端部に位置するウエハから順番に、スライスベース50から剥離し落下させる。落下したウエハは、吸引口90の吸引力と第2ノズル70の噴流でトレイ40に導かれ、整列する。この作業を繰り返して、全ての複数のウエハ60を、トレイ40に整列して収納する。
端部に位置するウエハから順番にスライスベース50から剥離させながら、スライスベース50を移動させてもよい。具体的には、剥離しようとするウエハの側面の近傍に、第1ノズル30の噴流があたるように、スライスベース50を移動させることが好ましい。つまり、複数のウエハ60の配列方向に沿って、スライスベース50を徐々に水中に沈みこませることが好ましい。
さらに、端部に位置するウエハから順番に剥離しながらトレイ40を移動させてもよい。具体的には、スライスベース50の移動と同期させて(スライスベース50の移動方向と同方向に)、トレイ40を移動させることが好ましい。剥離するウエハと、トレイ40の収容位置との相対位置を一定にするためである。ただし、スライスベース50の移動量よりも、トレイ40の移動量を少なくすることが好ましい。スライスベース50に配置されたウエハ同士には隙間があるのに対して、トレイ40には複数のウエハが隙間なく整列して収容されるからである。
以上が実施の形態1に係る説明である。
ここで、実施の形態2の剥離方法について説明する。
実施の形態2の剥離方法では、複数のウエハ60をスライスベース50に接着する接着剤63を、槽10内の水に浸漬させる(図3B)。実施の形態2の剥離方法は、ウエハ剥離装置100’を用いて行うことができる。
ウエハ剥離装置100’は、ウエハ剥離装置100(図3A参照)と異なりスチームノズル80を有さなくともよい。また、ウエハ剥離装置100’の槽10の水には、接着剤63を溶解させる薬液が添加されている。接着剤を溶解させる薬液は乳酸である。また、ウエハ剥離装置100’の槽10内の水を温水としてもよい。
ウエハ剥離装置100’は、1)保持部20が複数のウエハ60とともに接着剤63を槽10の水に浸漬させる点、2)スチームノズル80を有さなくてもよい点、3)槽10の水に薬液が添加されている点、においてウエハ剥離装置100と異なるが、その他の構成については同一の構成とすることができる。
図7A〜Dに、実施の形態2のウエハ剥離方法のフローを示す。図7Aに示すように、保持部20でスライスベース50を保持して、複数のウエハ60とそれを接着する接着剤63とを槽10の水に浸漬させる。薬液を含む水が、接着剤63を溶解させて、その接着力を低下させる。
そして、図7Bに示すように、実施の形態1(図6B参照)と同様に、第1ノズル30の噴流および必要に応じて第1補助ノズル33の噴流によって、複数のウエハ60同士の間に隙間を生じさせる。
その結果、図7Cに示すように、接着剤63が溶解するとともに、複数のウエハ60同士の隙間を生じさせることで、端部に位置するウエハがスライスベース50から剥離して水中を落下する。
図7Dに示されるように、落下したウエハは、トレイ40の底面47に設置された吸引口90による吸引力とウエハの主面にあたる第2ノズル70の噴流の力によって、トレイ40に導かれて収容される。さらに、実施の形態1と同様な手順で、全ての複数のウエハ60をトレイ40に整列して収納する。実施の形態1と同様に、スライスベース50やトレイ40を移動させてもよい。
なお、上記実施の形態において、槽10は水を貯留する態様を述べたが、槽10に貯留する液体は、ウエハの乾燥を防止し、複数のウエハ同士の衝突を緩衝させる液体であれば水に限定されず、例えば油でもよい。また、第1ノズル30、第1補助ノズル33、及び第2ノズル70は水を噴射することを述べたが、噴射する液体は水に限定されない。
このように本装置によれば、ウエハ製造方法におけるウエハ剥離から次の工程(例えばカセットへの格納)までを、マニュアル作業を排して自動化することができる。さらに、本装置により、ウエハの割れや欠けを抑制し、高品質なウエハを供給することができる。
本発明のウエハ剥離装置は、例えば太陽電池などのウエハの製造に好適に用いられる。
10 槽
20 保持部
30 第1ノズル
33 第1補助ノズル
35 第3ノズル
40 トレイ
43,43a 開口部
47 底面
50 スライスベース
53 傾き角度
55 ウエハ接着面
60 複数のウエハ
60a ウエハ
63 接着剤
65 インゴット
70 第2ノズル
80 スチームノズル
90 吸引口
100、100’ ウエハ剥離装置

Claims (10)

  1. スライスベースに接着剤で接着された複数のウエハを前記スライスベースから剥離するウエハ剥離装置であって、
    液体を貯留する槽と、
    前記スライスベースによって前記槽内の液体に浸漬された前記複数のウエハの側面に向かって液体を噴流させる第1ノズルと、
    前記槽内に配置され、前記スライスベースから剥離されたウエハを収容するトレイと、
    前記トレイの側面又は底面に設けられた開口部を介して前記トレイ内の液体を吸引する吸引口と、を備えることを特徴とするウエハ剥離装置。
  2. 前記吸引口は、前記トレイの底面の開口部に配置される、請求項1に記載のウエハ剥離装置。
  3. 前記吸引口は、前記トレイの側面の開口部に配置される、請求項1又は2に記載のウエハ剥離装置。
  4. 前記吸引口から吸引した液体を前記槽内に戻す循環口を更に有する、請求項1〜3のいずれか記載のウエハ剥離装置。
  5. 前記吸引口から前記循環口に至る経路中に設けられるフィルタを更に有する、請求項4記載のウエハ剥離装置。
  6. 前記接着剤に水蒸気を噴き付けるスチームノズルを更に有する、請求項1から5のいずれか記載のウエハ剥離装置。
  7. 前記槽内の液体には乳酸が添加されている、請求項1から5のいずれか記載のウエハ剥離装置。
  8. 前記スライスベースから剥離されたウエハの主面に向かって、液体を噴流させる第2ノズルをさらに有する、請求項1から7のいずれか記載のウエハ剥離装置。
  9. 前記スライスベースは、前記槽内の液体の液面に対して、傾いて配置される、請求項1から8のいずれか記載のウエハ剥離装置。
  10. 前記スライスベースは多孔質体である、請求項1から9のいずれか記載のウエハ剥離装置。
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