以下、添付図面を参照して、本発明に従う工作機械の一実施形態について説明する。図1及び図2において、工作機械の一例としての図示のNC旋盤は、工作機械本体としての旋盤本体2を備えている。この旋盤本体2は、工場の床面などに設置される本体ベース部3(所謂、ベッド部)を有し、この本体ベース部3の片側部に主軸部4が設けられ、その他側部にタレット部6が設けられている。主軸部4には主軸(図示せず)が回転自在に支持され、この主軸にチャック8が装着され、加工すべき被加工物(図示せず)がチャック8に着脱自在に装着される。主軸部4には主軸モータ10(図3参照)が取り付けられ、この主軸モータ10によって主軸(これに装着された被加工物)が回転駆動される。
また、タレット部6は、本体ベース部3に支持された支持機構12を備え、支持機構12には中間部材(図示せず)を介して支持部(図示せず)が設けられている。この支持部には、回転軸14が回転自在に支持され、この回転軸14にタレット16が取り付けられている。タレット16は多角形状であり、その周面に間隔をおいて複数の工具取付部18が設けられ、各工具取付部18に被加工物を加工するための加工工具(図示せず)が取り付けられる。
この旋盤本体2では、支持機構12が横方向(図1において左右方向のZ軸方向)に移動自在に本体ベース部3に支持されており、また中間部材(図示せず)が前後方向(図1において紙面に垂直な方向であるX軸方向)に移動自在に支持機構12に支持されている。支持機構12に関連してZ軸モータ20(図3参照)が設けられ、Z軸モータ20が所定方向に回動されると、支持機構12(即ち、タレット16)が図1において左方(チャック8に近接する方向)に移動され、所定方向と反対方向に回動されると、支持機構12が図1において右方(チャック8から離隔する方向)に移動される。また、支持機構12の中間部材(図示せず)に関連してX軸モータ22(図3参照)が設けられ、X軸モータ22が所定方向に回動されると、この中間部材(即ち、支持部及びタレット16)が図1において紙面に対して表側(旋盤本体2の前面側)に移動され、所定方向と反対方向に回動されると、図1において紙面に対して裏側(旋盤本体2の背面側)に移動される。
この旋盤本体2の前面側において、その横方向中間部、即ち主軸部4とタレット部6との間が開放されており、この開放された前面空間24を通して、チャック8への被加工物の取付け、取外しが行われ、またタレット16の工具取付部18への加工工具の取付け、取外しが行われる。
また、旋盤本体2の前面側にはシャッタドア26が開閉自在に装着され、シャッタドア開閉シリンダ30(図3参照)により開閉される。シャッタドア開閉シリンダ30が収縮した状態では、図1に実線で示すように、旋盤本体2の前面空間24が開放され、このように開いた状態において、被加工物の取付け、取外し、また加工工具の取付け、取外しが行われる。また、このシャッタドア開閉シリンダ30が伸張すると、図1に一点鎖線で示すように、シャッタドア26が図1において右方に移動して前面空間24を覆い、このように閉じた状態において、被加工物に対する加工が施される。
この旋盤本体2には、図3に示すように、加工中の被加工物に切削液を供給するための切削油供給装置32、加工の際に生じる切削屑を排出するためのチップコンベア34などが設けられている。
このNC旋盤においては、旋盤本体2の前面右部にコントローラ装置36(即ち、数値制御装置)が設けられ、このコントローラ装置36内にコントローラ38(図3参照)が内蔵されている。コントローラ38は、マイクロプロセッサなどから構成され、旋盤本体2(即ち、主軸モータ10,X軸モータ22、Z軸モータ20、シャッタドア開閉シリンダ30、切削油供給装置32、チップコンベア34など)を設定した加工条件に従って制御する。このコントローラ装置36の前面には、入力手段39として機能する操作盤40が設けられ、またこの操作盤40の上側に表示装置42が配設されている。この表示装置42は、タッチパネル式の液晶表示装置などから構成される。
次に、図2を参照して操作盤40について説明する。図示の操作盤40は、電源入スイッチ52,電源切スイッチ54、起動スイッチ56、一時停止スイッチ58、編集スイッチ60、自動スイッチ62、MDIスイッチ64、ハンドルスイッチ65、オーバーライドスイッチ66及び手動パルス発生器68を備えている。電源入スイッチ52は、コントローラ装置36に電源を投入するためのスイッチであり、電源切スイッチ54はコントローラ装置36の電源を切断するスイッチであり、起動スイッチ56は、自動運転を選択しているときに運転を開始するスイッチであり、一時停止スイッチ58は自動運転を一時停止するスイッチである。また、編集スイッチ60は、加工プログラムの編集を行う編集モードを選択するスイッチであり、この編集モードにおいては、加工プログラムの入力修正、削除などを行うことができる。自動スイッチ62は自動運転モードを選択するためのスイッチであり、この自動運転モードにおいては、登録呼出しされたプログラムによる自動加工を行うことができる。MDIスイッチ64は操作盤40のキーで手動データ入力を行う手動入力モードを選択するためのスイッチであり、この手動入力モードにおいては、手動入力でもって加工データの入力を行うことができる。ハンドルスイッチ65はハンドルモードを選択するためのスイッチである。オーバーライドスイッチ66は、自動運転モード、手動運転モード又はMDI運転モードが選択されているときに送り速度を例えば0〜150%の範囲でオーバーライドをかけるスイッチであり、また手動パルス発生器68は、ハンドルスイッチ65にてハンドルモードを選択したときにその回転操作によって微小送りを行うことができるものである。
この操作盤40には、更に、送り速度を選択するための送り速度選択スイッチ69、ハンドル軸を選択するための軸選択スイッチ71、シャッタドア26を開放するためのシャッタドア開スイッチ73及びシャッタドア26を閉じるためのシャッタドア閉スイッチ75を備えている。更にまた、原点復帰モードを選択するための原点復帰スイッチ80、原点復帰モードにおいて原点復帰させるためのジョグ送りスイッチ82、切削油の供給を設定するための切削油スイッチ84、エアーの供給を設定するためのエアー供給スイッチ86及びチップコンベア34の作動を設定するためのチップコンベアスイッチ88を備えている。
この操作盤40は、更に、オプショナルストップスイッチ90(MO1スイッチ)、シングルブロックスイッチ92、ドライランスイッチ94、ブロックデリートスイッチ96(/コードスイッチ)を含んでいる。オプショナルストップスイッチ90は、オプショナルストップを有効にするためのスイッチであり、オプショナルストップを有効にしたときには、加工プログラム上のオプショナルストップ(MO1)を含むプログラムの実行が完了したときに自動運転が停止する。シングルブロックスイッチ92は、シングルブロックを有効にするためのスイッチであり、シングルブロックを有効にしたときには、加工プログラムが1ブロックごとに実行され、1ブロック終了する毎に自動運転が停止する。ドライランスイッチ94は、ドライランを有効にするためのスイッチであり、ドライランを有効にしたときには、加工プログラムで指令された早送り指令及び切削送り指令を無視し、送り速度及びタレット16の旋回速度はオーバーライドスイッチ66で設定された速度となる。また、ブロックデリートスイッチ96は、ブロックデリートを有効にするためのスイッチであり、ブロックデリートを有効にしたときには、加工プログラム上のスラッシュコード(/)が前についているプログラムの指令を無視する。
この実施形態では、入力手段39は、更に、設定スイッチ70、登録スイッチ72、登録変更スイッチ73及び条件無視スイッチ74を含んでおり、これらスイッチ70〜74は操作盤40上になく、表示装置42の画面上に表示され、この画面上の所定領域を押圧操作することによって、これらのスイッチ70〜74として機能する。これらスイッチ70〜74については、後述する。
次に、図3を参照して、図示のコントローラ38について説明すると、図示のコントローラ38は、加工条件登録手段82、加工条件読出し手段84、加工条件対比手段86、起動条件判定手段88、運転許可信号生成手段90、警告信号生成手段92、条件無視信号生成手段93、起動不可信号生成手段94、第1メモリ手段96及び第2メモリ手段98を備えている。加工条件登録手段88は、入力設定した加工条件(本明細書では「起動条件」と称することもある)を後述する如く第2メモリ手段98に登録し、加工条件読出し手段84は、第2メモリ手段98に登録された加工条件(登録加工条件)を読出し、加工条件対比手段86は、登録加工条件と起動時に設定した加工条件(起動加工条件)とを対比し、起動条件判定手段88は、登録加工条件と起動加工条件との対比結果を後述する如く判定し、登録加工条件と起動加工条件とが一致したときには「運転許可」の判定をし、登録加工条件(起動条件)と起動加工条件とが一致しないときには「条件確認」の判定を行う。
また、運転許可信号生成手段90は、起動条件判定手段88が「運転許可」の判定をしたときに後述するように運転許可信号を生成し、警告信号生成手段92は、起動条件判定手段88が「条件確認」の判定をしたときに後述するように警告信号を生成し、条件無視信号生成手段93は、後述するようにして条件無視の設定をしたときに条件無視信号を生成し、また起動不可信号生成手段94は、後述するようにして起動不可の状態になったときに起動不可信号を生成する。第1メモリ手段96には、旋盤本体2を制御するための各種制御プログラムが登録され、第2メモリ手段98には、加工条件に関する情報が登録される。
この実施形態では、予め登録される加工条件(登録加工条件)として図4に示すものを登録可能なように構成されている。即ち、メインプログラム番号、送り速度100%、オーバーライド100%、MO1(オプショナルストップ)、切削油自動、チャック閉及びシャッタドア閉の条件について登録して自動加工前に起動加工条件としてこれらの条件が正しく入力設定されているかを確認することができる。メインプログラム番号は、登録した加工プログラムのうちから被加工物の加工に用いる加工プログラムの番号を確認するときに選択され、送り速度100%は、送り速度を100%に設定しているかを確認するときに選択され、オーバーライド100%は、オーバーライドを100%に設定しているかを確認するときに選択され、MO1(オプショナルストップ)は、オプショナルストップが有効になっていないかを確認するときに選択され、切削油自動は、切削油の供給が自動に設定しているかを確認するときに選択され、チャック閉は、被加工物が装着されてチャック8が閉状態になっているときに加工を行うように設定しているかを確認するときに選択され、またシャッタドア閉は、シャッタドアが閉状態になっているときに加工を行うように設定されているかを確認するときに選択される。
この実施形態では、登録加工条件として、メインプログラム番号、送り速度100%、オーバーライド100%、MO1(オプショナルストップ)、切削油自動、チャック閉及びシャッタドア閉の条件を選択できるようにしているが、ドライラン、シングルブロック、ブロックデリート(/コード)、チップコンベア自動及び制御軸原点などを更に加えるようにしてもよく、これら登録加工条件については、工作機械の種類などによって任意に適宜に選択して採用することができる。尚、ドライランは、ドライランが有効になっていないかを確認するときに選択され、シングルブロックは、シングルブロックが有効となっていないかを確認するときに選択され、ブロックデリートは、ブロックデリートが有効となっていないかを確認するときに選択され、またチップコンベア自動は、チックコンベア34の作動が自動に設定しているかを確認するときに選択され、更に制御軸原点は、スライドが制御軸原点の状態でないと起動できないようにするときに設定される。
次に、図5〜7を参照して、加工条件の登録の流れについて説明する。加工条件を登録するには、MDIスイッチ64を押圧して登録作業を開始する(ステップS1)。MDIスイッチ64を押圧すると、表示装置42の画面が「対話」の画面表示(図示せず)となり(ステップS2)、この「対話」の画面表示において、「起動条件確認」を選択する(ステップS3)。かくすると、表示装置42の画面が、図6に示す「起動条件確認」の画面表示となり(ステップS4)、表示装置42は、現時点の登録された加工条件(起動条件)の状態を表示する。この形態の起動条件確認画面では、画面表示の上端部に表示画面名の領域100があり、その下側にメインプログラム番号の領域102があり、その下側に加工条件の登録状態を表示する登録状態表示領域104及び加工条件の現在の状態を表示する現状表示領域106があり、その下側の下端部に入力ボタンを表示する操作ボタン領域108がある。尚、この形態では、MDIスイッチ64を押圧すると「対話」の画面表示となり、この「対話」の画面表示において「起動条件確認」を選択すると「起動確認画面」に移行するが、「対話」の画面表示を省略し、MDIスイッチ64を押圧すると「起動確認画面」に直接的に移行するように構成することもできる。
そして、この「起動条件確認」の画面表示において、操作ボタン領域108の設定ボタン110(図3における設定スイッチ70として機能する)を押圧すると(ステップS5)、ステップS6に進み、表示装置42の画面が、図7に示す「起動条件設定」の画面表示となり、この画面でもって加工条件を登録加工条件として予め登録する。
加工条件(起動条件)の設定操作は、操作ボタン領域108のON/OFFボタン116(図3における登録スイッチ72として機能する)により行われる。「起動条件確認」の画面において、登録可能な加工条件の各々に対応してチェック欄120が設けられ、加工条件を選択したときには、そのチェック欄120にチェックマーク122が付され、このチェックマーク122によって選択された加工条件(登録加工条件)を容易に知ることができる。
例えば、加工条件としての切削油自動を選択する場合、「起動条件確認」の画面において、切削油自動に例えばカーソルを合わせて選択し、かく選択した状態でもってON/OFFボタン116を押圧する。例えば、切削油自動が選択されていないときにON/OFFボタン116を押圧すると、チェック欄120にチェックマーク122が付されて切削油自動の登録設定が行われ、また切削油自動が選択されているときにこのON/OFFボタン116を押圧すると、チェック欄120のチェックマーク122が削除されて切削油自動の登録の解除設定が行われる。
このようにして登録すべき加工条件を設定し、かく設定入力すると、画面表示が例えば図7に示すようになり、この場合、メインプログラム番号、早送り速度、オーバーライド、切削油自動、チャック閉及びシャッタドア閉の加工条件が選択され、加工条件登録手段82(図3参照)により上述した加工条件がコントローラ32の第2メモリ手段98に登録される(ステップS9)。このようにして確認すべき加工条件が第2メモリ手段98に登録され、起動時にこれらの加工条件(即ち、登録加工条件)と起動時に設定された加工条件(起動加工条件)とが一致しているか否かの確認が自動的に行われる。尚、この実施形態では、加工条件(起動条件)を設定した時点で加工条件登録手段82により自動的に第2メモリ手段98に登録しているが、このような操作に代えて、加工条件(例えば、切削油自動)を設定した後入力ボタン118を入力操作して設定した加工条件を第2メモリ手段98に登録するようにしてもよい。
次いで、図8〜図12を参照して、被加工物を自動加工するに際して起動スイッチ56を入力操作したときの制御の流れを説明する。起動スイッチ56を入力操作すると、旋盤本体2の自動運転に先立ち起動条件が一致しているかの確認が行われる(ステップS12)。作業者は、起動に際し上述したと同様にして自動運転の加工条件を設定し、起動時の加工条件(起動加工条件)を設定した後に、起動スイッチ56を入力操作し、予め登録された加工条件(起動加工条件)を用いる場合、この加工条件の設定操作は省略することができる。
起動スイッチ56を操作すると、加工条件読出し手段84は第2メモリ手段98に登録された加工条件(登録加工条件)を読み出し、加工条件対比手段86は、起動時に設定された加工条件(起動加工条件)と読み出された加工条件(登録加工条件)とを対比し、起動条件判定手段88は、加工条件の対比結果の判定を次のように行う。
起動加工条件が登録加工条件と一致するときには、起動条件判定手段88は「運転可能」と判定し、この判定結果に基づき、運転許容信号生成手段90が運転許容信号を生成し、この運転許容信号に基づいて、表示装置42の表示画面に図10に示すように「運転可能」の表示が行われる(ステップS13)。表示画面に「運転可能」が表示されると、起動時に設定した加工条件(起動加工条件)でもって、自動運転による被加工物に対する加工が自動的に開始される(ステップS14)。
また、起動加工条件が登録加工条件と一致しないときには、起動条件判定手段88は「条件確認」と判定し、この判定結果に基づき、警告信号生成手段92は警告信号(第1警告信号)を生成し、表示装置42の表示画面が図6に示す第1警告の表示画面となる(ステップS15)。この第1警告の表示画面では、現状表示領域106の「アラーム」の文字が作業者の注意を引くように表示され(例えば、黒色表示が赤色表示に変わって警告表示する)、起動加工条件が登録加工条件と一致していないことを知らせるとともに、登録状態表示領域104の不一致の加工条件、例えば切削油自動の文字が作業者の注意を引くように表示され(例えば、黒色表示が黄色表示に変わって不一致加工条件を警告表示する)、一致していない加工条件を知らせる。尚、このようなアラーム表示をすることなく、登録状態表示領域104の不一致の加工条件を例えば黄色表示などにして注意を引くようにしてもよい。
このように第1警告表示が表示されたときには、警告解消の操作が行われる(ステップS16)。図9を参照して、この警告解消の操作について説明する。警告解消の操作を行うには、一つの方法として起動時に設定した起動加工条件を変更して一致させるようにすることであり(換言すると、起動時の設定ミスを正すこと)、他の方法として登録加工条件を変更して一致させるようにすることである(登録加工条件を修正すること)。
作業者が起動加工条件を変更する場合には、第1警告表示において不一致表示された加工条件を正しく修正する。この場合、ステップS16−1からステップS16−2を経てステップS16−3に進み、作業者は、操作盤40の切削油スイッチ84を正しく再入力して警告起動条件の設定変更を行う。例えば、起動時に「切削油自動」をオフ(OFF)と誤って入力していたときに、起動加工条件の設定操作に戻って「切削油自動」をオン(ON)と正しく入力設定する。
また、作業者が登録加工条件を修正する場合には、第1警告表示において不一致表示された加工条件を起動時に設定した加工条件に修正する。例えば、「切削油自動」と登録していた加工条件を「切削油自動」の選択解除の修正登録する(即ち、「切削油自動」をオフ(OFF)にする)。この場合、作業者は、図6に示す「起動条件確認」の画面において操作ボタン領域108の設定ボタン110を操作する。かくすると、ステップS16−1を経てステップS16−4に進み、表示装置42の画面が、図7に示す「起動条件設定」の画面となり、この「起動条件設定」の画面において、上述したと同様にして不一致表示された加工条件を起動時に設定した加工条件(例えば、「切削油自動」の設定解除)と一致するように修正する。例えば、MDIカーソルキーでカーソルを切削油自動に合わせて選択し、かく選択した状態でもってON/OFFボタン116を押圧して「切削油自動」のチェックマークを外して解除し(ステップS16−5)、このようにして修正した加工条件が第2メモリ手段98に登録される。尚、入力ボタン118の入力操作を必要とする場合、ON/OFFボタン116を入力操作して「切削油自動」を解除し、その後に入力ボタン118を入力操作すればよく、このようにして設定変更内容がメモリ手段98に登録される。
ステップS16−3において起動加工条件の設定変更を行う、又はステップS16−5において登録加工条件の修正を行った後は、再度、起動スイッチ56を押圧する(ステップS16−6)。かくすると、加工条件対比手段86は、起動加工条件(ステップS16−3において起動加工条件を変更したときには、変更した起動加工条件)と登録加工条件(ステップS16−5において登録加工条件を修正したときには、修正した登録加工条件)とを対比し、起動条件判定手段88は、加工条件の対比結果の判定を再び行う(ステップS16−7)。
起動加工条件が登録加工条件と一致するときには、起動条件判定手段88は「運転可能」と判定し、この判定結果に基づき、運転許容信号生成手段90が運転許容信号を生成し、表示装置42の表示画面に上述した「運転可能」の表示が行われる(ステップS16−8)。表示画面に「運転可能」が表示されると、ステップS16−3において起動加工条件を変更したときには、変更した起動加工条件でもって、又はステップS16−5において登録加工条件を修正したときには、起動時に設定した起動加工条件でもって、自動運転による被加工物に対する加工が開始される(ステップS14)。
尚、起動加工条件が登録加工条件と一致しないときには、再び、起動条件判定手段88は「条件確認」と判定し、この判定結果に基づき、警告信号生成手段92は警告信号(第2警告信号)を生成し、表示装置42の表示画面が第2警告の表示画面となる(ステップS17)。この第2警告の表示画面では、第1警告の表示画面と同様に、現状表示領域106のアラームの文字が表示されて起動加工条件が登録加工条件と一致していないことを知らせるとともに、登録状態表示領域104の不一致の加工条件が表示されて一致していない加工条件を知らせる。このアラーム表示をすることなく上述したようにその旨の注意を喚起するようにしてもよい。
ステップS16−2において、作業者は起動加工条件を変更することに代えて、不一致加工条件を無視するように、操作ボタン領域108の条件無視ボタン120(条件無視スイッチ74として機能する)を押圧するようにしてもよい。このように条件無視ボタン120を押圧すると、起動無視信号生成手段93は起動無視信号を生成し、この起動無視信号に基づいて、表示装置42の画面が、図11に示す通りの「起動条件無視」の画面表示となり、メインプログラム番号の領域102に「起動条件無視」と表示されて起動加工条件と登録加工条件とが不一致で起動条件無視の状態に設定されていることを表示する(ステップS16−10)。
このように「起動条件無視」の設定をすると、ステップS16−9からステップS16−10を経てステップS14に進み、起動加工条件と登録加工条件との不一致が無視されて起動時に設定された起動加工条件が優先され、この起動加工条件でもって被加工物に対する自動運転による加工が行われる。
また、ステップS16−7からステップS17に進んで上述した第2警告表示が表示されると、警告解消の操作に代えて、操作ボタン領域108の条件無視ボタン120を押圧して条件無視の設定を行う(ステップS18)。このように条件無視ボタン120を押圧すると、上述したと同様に、起動無視信号生成手段93は起動無視信号を生成し、表示装置42の画面が、図11に示す通りの「起動条件無視」の画面表示となり、起動加工条件と登録加工条件とが不一致で起動条件無視の状態に設定される。そして、ステップS14に進み、起動加工条件と登録加工条件との不一致が無視されてこのときも起動加工条件が優先され、この起動加工条件でもって被加工物に対する加工が行われる。
ステップS18において条件無視ボタン120を押圧しないときには、起動不可信号生成手段94が起動不可信号を生成し、この起動不可信号に基づいて、表示装置42の画面が、図12に示す通りの「起動不可」の画面となり、メインプログラム番号の領域102に「起動不可」と表示されて起動加工条件と登録加工条件とが不一致で起動不可の状態に設定され、自動加工できないことを表示する。
このように「起動不可」の状態になると、起動操作のやり直しとなり、ステップS11に戻り、起動スイッチ56を再度押圧して上述した操作を繰り返し遂行し(必要に応じて起動時の加工条件を再設定した後に起動スイッチ56を押圧する)、起動加工条件と登録加工条件が一致する(又は条件無視ボタン120を押圧する)と、ステップS14に移り、自動運転による被加工物に対する加工が行われる。
以上、本発明に従う工作機械を一例としてのNC旋盤に適用して説明したが、これに限定されず、本発明はマシニングセンタなどの他の形態の工作機械にも同様に適用することができる。
また、例えば、上述した実施形態では、「運転可能」、「起動条件無視」及び「起動不可」の表示を画面のプログラム番号の領域102に表示しているが、これらの表示の領域については画面の適宜の領域に表示する、例えば専用の現状設定状態表示の領域を設けて表示するようにしてもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、加工条件(登録加工条件)の一つに「切削油自動」としているが、「自動」の設定が可能な条件、例えば「切削油自動」、「コンベア自動などの二つ以上の自動の条件を設けるようにしてもよい。
また、例えば、登録加工条件として、メインプログラム番号、送り速度100%、オーバーライド100%、MO1(オプショナルストップ)、切削油自動、チャック閉及びシャッタドア閉、ドライラン、シングルブロック、ブロックデリート(/コード)及びチップコンベア自動などに加えて更に、プログラム先頭、連続運転切、ハンドルリトレース、系統選択などを加えるようにしてもよく、プログラム先頭とは、プログラムを開始するブロックが先頭からでないと自動運転を行うことができないことを確認するために設定され、連続運転切とは、連続運転がオフの状態になっているかを確認するために設定され、ハンドルリトレースは、ハンドルリトレース(手動パルス発生器を使用して加工プログラムで指令された加工経路に機械動作を進めたり戻したりすること)がオフの状態になっているかを確認するために設定され、また系統選択は、設定した系統の値が正しいかを確認するために設定される。
このような加工条件(登録加工条件)として、更にはワーク着座確認装置、自動電源遮断装置の有効状態かの確認なども加えるようにしてもよく、更にまた工作機械に付設されるローダ装置、テール装置、ツールプリセッタ装置、パーツキャッチ装置などが適正状態にセットされているかの確認なども加えるようにしてもよい。
更に、上述した実施形態では、加工条件(登録加工条件)を登録設定し、起動前に設定される加工条件(起動加工条件)と登録加工条件との加工条件の対比判定を起動スイッチ56を入力操作した後に行っているが、このような構成に代えて、登録加工条件についてはコントローラ38の第2メモリ手段98に予め登録しておき、起動前の起動加工条件の設定の段階において、表示画面42については例えば「起動条件確認」の画面を表示し、加工条件(起動加工条件)を設定する毎に加工条件対比手段86により登録加工条件と起動加工条件とを対比判定するようにし、アラーム表示が表示された加工条件についてこの段階で再入力設定するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、図8に示すように、第1警告表示の後に警告解消操作を行った後に再度起動条件が一致するかを判定し、起動条件が一致しない場合に第2警告表示を行っているが、このような制御操作に代えて、例えば、警告解消操作を行った後に起動条件が一致しない場合に「起動不可」の表示を行ってステップS11に戻るようにしてもよい(この場合、再度起動スイッチ56をオンにして上述した操作を繰り返すようにする)。