JP2015107497A - 先端チップ及び先端チップの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄めっきを用いた従来の先端チップよりも立ち上がりを早くする(加熱を始めてからはんだを溶融可能な温度になるまでの時間を短くする)ことが可能となり、かつ、粉末金属焼結法により形成されたチップキャップを有する先端チップよりも寿命を長くすることが可能となる先端チップを提供する。また、本発明の先端チップを製造するための先端チップの製造方法を提供する。【解決手段】はんだごて等に用いる先端チップ1であって、先端チップ1の先端側を構成するチップキャップ10と、高熱伝導性金属からなるチップコア20とを備える。チップキャップ10は、純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体(純鉄の場合は、不純物の含有率が好ましくは0.1%未満、一層好ましくは0.06%未満、さらに好ましくは0.03%未満)から塑性加工により形成されたものである。【選択図】図2
Description
本発明は、先端チップ及び先端チップの製造方法に関する。
まず、本明細書にいう先端チップは、はんだごて又ははんだ除去装置(以下、はんだごて等と記載する。)の先端に用いる部品である。当該先端チップには、はんだごて等と分離・結合可能な(交換可能な)ものと、はんだごて等と分離・結合不可能な(交換不可能な)ものとの両方を含む。このような先端チップは、はんだごてに用いる場合、はんだごての「こて先」といわれることもある。
「はんだ除去装置」とは、はんだを溶融させた後、吸引して除去する装置であり、先端チップとして、はんだを吸引するためはんだ吸引孔(開口部)を有するもの(「吸引ノズル」といわれることもある。)を先端に備える。はんだ除去装置に用いる先端チップは、はんだを融解する機能や求められる性質(例えば、はんだ濡れ性。)に関してはんだごての先端チップと同様である。以下、単に先端チップと記載した場合には、はんだごてに用いる先端チップとはんだ除去装置に用いる先端チップとの両方が含まれるものとする。
なお、以下の説明では、はんだごて等とは分離した状態の先端チップやチップキャップにおいて、はんだごて等の先端側に対応する側を先端側とし、当該先端側とは反対の側を基端側として説明する。
はんだを用いる技術分野では、伝統的に、錫及び鉛を含有するはんだ(Sn−Pbはんだ。代表例としては、Sn−Pb共晶はんだ。)が一般的に用いられてきた。また、はんだごて等には、Sn−Pbはんだに対応する先端チップを用いるものが用いられてきた。
従来の先端チップは、高熱伝導性金属(代表的なものとしては、純銅や銅合金)からなるチップコアと、チップコアの先端側外面に形成された鉄めっきとを備える。鉄めっきは、先端チップのはんだ濡れ性を向上させること、及び、チップコアの熔損を防止することを目的に用いられる。「熔損」とは、高熱伝導性金属がはんだ(特に、錫成分)と合金化し、その結果チップコアがはんだに浸食されることをいう。
従来の先端チップは、高熱伝導性金属(代表的なものとしては、純銅や銅合金)からなるチップコアと、チップコアの先端側外面に形成された鉄めっきとを備える。鉄めっきは、先端チップのはんだ濡れ性を向上させること、及び、チップコアの熔損を防止することを目的に用いられる。「熔損」とは、高熱伝導性金属がはんだ(特に、錫成分)と合金化し、その結果チップコアがはんだに浸食されることをいう。
その一方で、近年では、環境問題を考慮して、いわゆる鉛フリーはんだが頻繁に使用されるようになってきている。鉛フリーはんだの例としては、Sn−Cuはんだ、Sn−Agはんだ及びSn−Ag−Cuはんだを挙げることができる。
しかし、鉛フリーはんだをSn−Pbはんだと同様に扱うことはできない。その理由として、一般的に用いられている鉛フリーはんだは、Sn−Pbはんだよりも融点が高いことが挙げられる。例えば、Sn−Ag−Cuはんだの融点は最大で220℃ほどであり、Sn−Pbはんだと比較して40℃ほど融点が高い。
従来の先端チップを備えるはんだごて等で鉛フリーはんだを扱う場合、鉛フリーはんだを溶かすのに必要な温度が高いために鉄めっきが侵食されやすくなり、比較的短期間でチップコアと鉛フリーはんだとが接触してチップコアの熔損が容易に進行してしまう。つまり、従来の先端チップの寿命は、鉛フリーはんだの使用により短くなってしまう。
これは、鉄めっきには、不純物が比較的多く存在し、また、金属結晶構造の形成不全も多くなってしまうためである。不純物や金属結晶構造の形成不全は、鉄めっきがめっき液から形成されることに由来する。このため、従来の先端チップは、先端チップの寿命を長くするという点で問題があった。
これは、鉄めっきには、不純物が比較的多く存在し、また、金属結晶構造の形成不全も多くなってしまうためである。不純物や金属結晶構造の形成不全は、鉄めっきがめっき液から形成されることに由来する。このため、従来の先端チップは、先端チップの寿命を長くするという点で問題があった。
上記のような事情から、先端チップに関してさまざまな研究が進められている。その結果、鉄めっきではなく、金属粉末焼結法で形成されたチップキャップを備える先端チップが発明された(例えば、特許文献1参照。)。
金属粉末焼結法とは、金属の粉体を成形又は型に充填した後に焼き固めることで、金属部材や金属製品を形成・製造する技術のことをいう。代表的な金属粉末焼結法としては、金属粉末射出成形法や圧粉成形法を挙げることができる。
金属粉末焼結法とは、金属の粉体を成形又は型に充填した後に焼き固めることで、金属部材や金属製品を形成・製造する技術のことをいう。代表的な金属粉末焼結法としては、金属粉末射出成形法や圧粉成形法を挙げることができる。
以下、特許文献1に記載の先端チップ900について説明する。
図11は、特許文献1に記載の先端チップ900を説明するために示す断面図である。
図11は、特許文献1に記載の先端チップ900を説明するために示す断面図である。
特許文献1に記載の先端チップ900は、はんだごてに用いる先端チップであって、先端チップ900の先端側を構成するチップキャップ910と、チップキャップ910のキャップ内面に配設され高熱伝導性金属からなるチップコア920とを備える。チップキャップ910は、金属粉末焼結法により形成されたものである。なお、先端チップ900は交換可能な先端チップであり、図11は、先端チップ900をはんだごて本体950と結合する前の様子を示す図である。チップコア920は、はんだごて本体950の加熱端面972と接触する基端面922を有する。はんだごて本体950は、主な構成要素として、保護めっき960、熱伝導材970、ヒーター980及び温度センサー990を備える。
特許文献1に記載の先端チップ900で用いられているチップキャップ910は、金属粉末焼結法により形成されたものであるため、鉄めっきよりも不純物や金属結晶構造の形成不全が少なく、鉄めっきよりもはんだに侵食されにくい。このため、特許文献1に記載の先端チップ900によれば、金属粉末焼結法で製造されたチップキャップ910を備えるため、鉄めっきを備える従来の先端チップと比較してチップコアの熔損を抑制することが可能となり、その結果、鉛フリーはんだを使用する場合に、従来の先端チップよりも先端チップの寿命を長くすることが可能となる。
なお、特許文献1に記載の先端チップ900によれば、金属粉末の成分比率や全体の形状を変えることでチップキャップの組成や形状を細かく調整することができるため、侵食に強い組成を模索しやすいという効果や、チップキャップの形状の微調整が比較的容易であるという効果もある。
しかしながら、特許文献1に記載の先端チップには、従来の先端チップよりも立ち上がりが遅い(加熱を始めてからはんだを溶融可能な温度になるまでの時間が長い)という問題がある。また、その立ち上がりを早くするため、製造上許せる範囲で肉厚を薄くする(後述するように、200μm程度とする)ことは可能だが、その分、熔損によって寿命が短くなることは避けられない。また、先端チップの技術分野においては、先端チップの寿命をより長くすることが常に求められている。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来の先端チップよりも立ち上がりを早くすることが可能であり、かつ、特許文献1に記載の先端チップよりも寿命を長くすることが可能である先端チップを提供することを目的とする。また、本発明の先端チップを製造するための先端チップの製造方法を提供することも目的とする。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来の先端チップよりも立ち上がりを早くすることが可能であり、かつ、特許文献1に記載の先端チップよりも寿命を長くすることが可能である先端チップを提供することを目的とする。また、本発明の先端チップを製造するための先端チップの製造方法を提供することも目的とする。
[1]本発明の先端チップは、はんだごて又ははんだ除去装置用の先端チップであって、前記先端チップの少なくとも先端側を構成するチップキャップと、前記チップキャップの内部に配設され高熱伝導性金属からなるチップコアとを備え、前記チップキャップは、純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体から塑性加工により形成されたものであることを特徴とする。
本発明の発明者は、鋭意研究の結果、先端チップの立ち上がりを早くし、かつ、寿命を長くするために、チップキャップにおいて構造的に不均一な部分(不純物、金属結晶構造の形成不全、極微細な空隙、ピンホール等)を一層少なくすることと、チップキャップの肉厚を薄くすることとの重要性に想到し、本発明を完成させるに至った。
つまり、チップキャップにおいて構造的に不均一な部分(特に、極微細な空隙やピンホール)が少なければ、金属原子間の熱伝導を阻害する要因が少なくなるために先端チップの立ち上がりを早くすることができ、かつ、はんだによる侵食のきっかけとなる部分が減るために先端チップの寿命を長くすることができる。
また、チップキャップの肉厚を薄くすれば、チップキャップ(熱伝導性が低い純鉄又は鉄合金からなる。)による熱伝導の遅れを小さくすることができ、この観点からも、先端チップの立ち上がりを早くすることができる。
また、チップキャップの肉厚を薄くすれば、チップキャップ(熱伝導性が低い純鉄又は鉄合金からなる。)による熱伝導の遅れを小さくすることができ、この観点からも、先端チップの立ち上がりを早くすることができる。
金属粉末焼結法により形成したチップキャップでは、金属粉末間の空隙や結合材の影響により、極微細な空隙やピンホールが不可避的に生じる。なお、金属粉末焼結法により製造した金属製品(チップキャップ)は、上記空隙等の影響により、見かけ上の密度が低くなる(最高でも真密度の約96%〜98%程度)。特許文献1に記載の先端チップの立ち上がりが遅いのは、上記の極微細な空隙やピンホールが主な原因の1つである。また、チップキャップにおける極微細な空隙やピンホールは、はんだによる侵食のきっかけとなる部分であり、先端チップの寿命にも関係する。
ところで、先端チップの立ち上がりを早くするためには、鉄めっきやチップキャップの肉厚を薄くすることが考えられる。純鉄及び鉄合金は熱伝導性に劣るため、肉厚を薄くする効果は高いはずである。
しかしながら、従来の先端チップにおいては、ただでさえはんだに侵食されやすい鉄めっきの肉厚を薄くすることは、先端チップの寿命の観点から好ましくない。このため、従来の先端チップの立ち上がりを従来以上に早くすることは困難である。
しかしながら、従来の先端チップにおいては、ただでさえはんだに侵食されやすい鉄めっきの肉厚を薄くすることは、先端チップの寿命の観点から好ましくない。このため、従来の先端チップの立ち上がりを従来以上に早くすることは困難である。
また、特許文献1に記載の先端チップにおいては、金属粉末焼結法でチップキャップを形成する際、狭い空間に金属粉末を均一に充填することが困難であるため、チップキャップの肉厚をある程度より薄くすること自体が困難である。厚めに焼結したチップキャップの肉厚を機械加工等で薄くすることも原理的には可能であるが、肉厚を均一に薄くすることが技術的に困難である上、加工工程が増えるので形成コスト的にも現実的ではない。これらの点も、特許文献1に記載の先端チップの立ち上がりが遅い主な原因である。
一方、溶製金属体から塑性加工により形成されたチップキャップが、鉛フリーはんだによる侵食にきわめて強いこと、また、それ故に肉厚を薄くして立ち上がりをより早くできることは、従来知られていなかった。
このため、本発明の先端チップによれば、チップキャップが純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体から塑性加工により形成されたものであるため、特許文献1に記載の先端チップよりもチップキャップにおける構造的に不均一な部分を一層少なくすることが可能となり、かつ、実質的に従来の先端チップや特許文献1に記載の先端チップよりもチップキャップの肉厚を薄くすることが可能となる。その結果、本発明の先端チップは、従来の先端チップよりも立ち上がりを早くすることが可能となり、かつ、特許文献1に記載の先端チップよりも寿命を長くすることが可能となる。
ところで、金属粉末焼結法によりチップキャップを形成するよりも、溶製金属体から塑性加工によりチップキャップを形成する方が大量生産に適しており、チップキャップの形成コストが低くなることが多い。このため、本発明の先端チップによれば、チップキャップが塑性加工により形成されたものであるため、特許文献1に記載の先端チップよりも製造コストを抑えることが可能となる。
なお、従来の先端チップの寿命は、鉄めっきの肉厚が200μm程度である場合、一般的に7000回〜12000回程度である。
特許文献1に記載の先端チップの寿命は、チップキャップの肉厚を従来の先端チップの肉厚と同程度(200μm程度)とした場合、多くは従来の先端チップの寿命の1.5倍程度、最大でも2倍程度であると考えられる(本発明の発明者の実験及び知見による。)。
特許文献1に記載の先端チップの寿命は、チップキャップの肉厚を従来の先端チップの肉厚と同程度(200μm程度)とした場合、多くは従来の先端チップの寿命の1.5倍程度、最大でも2倍程度であると考えられる(本発明の発明者の実験及び知見による。)。
そこで、本発明の発明者は、本発明の先端チップに関連して熔損に関する実験を行った。現在得られている実験結果から、本発明の先端チップの寿命は、純鉄からなる溶製金属体を用い、チップキャップの肉厚を従来の先端チップの肉厚と同程度(200μm)にした場合、従来の先端チップの寿命の3倍以上となると考えられる。また、チップキャップの肉厚を80μmとした場合であっても、20000回以上の寿命を確保できる。
なお、熔損に関する実験は現在も引き続き行われているので、本明細書においては、詳しい実験条件や実験結果についての記載は行わない。
なお、熔損に関する実験は現在も引き続き行われているので、本明細書においては、詳しい実験条件や実験結果についての記載は行わない。
先端チップの立ち上がりの早さについては、後述する実施形態1において模式的な説明を行っている(図3も参照。)。
「高熱伝導性金属」とは、熱伝導性が高い金属のことをいう。高熱伝導性金属として好適に用いることができる金属については後述する。
「溶製金属体」とは、原料金属を溶融した後に固化させて製造した金属体のことをいう。溶製金属体は、板状の形状や柱状の形状等、採用する加工に適した形状のものを用いることができる。本発明においては、性能、コスト、入手容易性等種々の要素を考慮すると、純鉄からなる溶製金属体を用いることが好ましい。
「溶製金属体」とは、原料金属を溶融した後に固化させて製造した金属体のことをいう。溶製金属体は、板状の形状や柱状の形状等、採用する加工に適した形状のものを用いることができる。本発明においては、性能、コスト、入手容易性等種々の要素を考慮すると、純鉄からなる溶製金属体を用いることが好ましい。
「塑性加工」とは、材料に大きな力を加えて素材を変形させる加工のことをいう。
「溶製金属体から塑性加工により形成された」とは、溶製金属体から塑性加工のみにより形成されたことのみをいうのではなく、塑性加工の他に補助的な機械加工(例えば、塑性加工後の切断や穿孔)を用いて形成されたことも含む。
「機械加工」は、切削加工や研削加工のように、切削工具や工作機械を用いて素材に施す加工(本明細書においては、特に、素材を削る加工)のことをいう。
本発明に適した塑性加工については後述するが、本発明の目的に沿う限りにおいて、1種類又は2種類以上の種々の塑性加工(また、補助的な機械加工)を採用することができる。
「溶製金属体から塑性加工により形成された」とは、溶製金属体から塑性加工のみにより形成されたことのみをいうのではなく、塑性加工の他に補助的な機械加工(例えば、塑性加工後の切断や穿孔)を用いて形成されたことも含む。
「機械加工」は、切削加工や研削加工のように、切削工具や工作機械を用いて素材に施す加工(本明細書においては、特に、素材を削る加工)のことをいう。
本発明に適した塑性加工については後述するが、本発明の目的に沿う限りにおいて、1種類又は2種類以上の種々の塑性加工(また、補助的な機械加工)を採用することができる。
本発明の先端チップにおいては、上記溶製金属体は、真空溶解法により得られたものであることが好ましい。真空溶解法によれば、高い密度、高い純度及び良好な金属結晶構造を有する溶製金属体が得られるため、このような構成とすることにより、チップキャップにおける構造的に不均一な部分をより一層少なくして、従来の先端チップよりも立ち上がりを一層早くすることが可能となり、かつ、特許文献1に記載の先端チップよりも寿命を一層長くすることが可能となる。
本発明の先端チップは、錆びや変色を防止するため、先端を含む表面にはんだからなるめっきをさらに備えていてもよい。また、本発明の先端チップは、フラックス等による浸食やはんだ付着等を防止するため、上記先端を含む表面以外の表面(基端側の表面)にはんだ濡れ性が低い金属(例えば、クロム)からなるめっきをさらに備えてもよい。これらのめっきを用いることについては広く知られているため、説明は省略する。
[2]本発明の先端チップにおいては、前記チップキャップの最も薄い部分の肉厚が10μm〜500μmの範囲内にあることが好ましい。
このような構成とすることにより、チップキャップの強度を十分に確保することが可能となり、かつ、先端チップの立ち上がりの早さを十分に確保することが可能となる。
本発明において、チップキャップの最も薄い部分の肉厚が10μm〜500μmの範囲内にあることとしたのは、以下の理由による。すなわち、当該肉厚が10μmより薄い場合には、チップキャップの肉厚が薄すぎて、チップキャップの強度を十分に確保することができない場合があるためである。また、当該肉厚が500μmよりも厚い場合には、チップキャップの肉厚が厚すぎて、先端チップの立ち上がりの早さを十分に確保することができない場合があるためである。
なお、チップキャップにおいては、はんだと接触する部分(先端を含む部分。先端チップがはんだからなるめっきを備える場合には、当該めっきの地の部分でもある。)の肉厚が最も薄いこと(チップキャップ全体の肉厚が均一であることを含む。)が好ましい。
[3]本発明の先端チップにおいては、前記チップキャップの最も薄い部分の肉厚が20μm〜300μmの範囲内にあることが好ましい。
このような構成とすることにより、チップキャップの強度を一層十分に確保することが可能となり、かつ、先端チップの立ち上がりの早さを一層十分に確保することが可能となる。
本発明の先端チップにおいては、前記チップキャップの最も薄い部分の肉厚が30μm〜150μmの範囲内にあることがより一層好ましい。このような構成とすることにより、チップキャップの強度をより一層十分に確保することが可能となり、かつ、先端チップの立ち上がりの早さをより一層十分に確保することが可能となる。
なお、めっき法ではめっきの肉厚を自由に調節することが可能であるが、従来の先端チップでは、鉄めっきがはんだによる侵食に弱いことを考慮して、少なくとも肉厚を200μm以上とすることが多く、300μm以上とすることもある。
また、金属粉末焼結法では、狭い空間になるほど金属粉末を均一に充填することが困難となっていく。特に、肉厚が200μm以下の部分があるチップキャップを製造することは著しく困難である。
また、金属粉末焼結法では、狭い空間になるほど金属粉末を均一に充填することが困難となっていく。特に、肉厚が200μm以下の部分があるチップキャップを製造することは著しく困難である。
[4]本発明の先端チップにおいては、前記溶製金属体は、溶製金属材料をシート状に圧延・焼鈍した溶製金属シートであり、前記塑性加工は、深絞り加工であることが好ましい。
深絞り加工は形状の正確性及び量産性に優れる塑性加工である。このため、上記のような構成とすることにより、先端チップの立ち上がりを早くすることと先端チップの寿命を長くすることとを両立させつつ、製造コストを一層抑えることが可能となる。
溶製金属シートとしては、幅広の平面状のもの、幅が狭いリボン状のもの等、深絞り加工を行う機械に適する種々の形状のものを用いることができる。
なお、深絞り加工以外に用いることができる塑性加工として、鍛造加工(冷間鍛造加工及び熱間鍛造加工)や単純なプレス加工を例示することができる。本発明の先端チップにおいては、深絞り加工とその他の塑性加工とを併用してもよい。
[5]本発明の先端チップにおいては、前記先端チップは、前記チップキャップと前記高熱伝導性金属との親和性を向上させる親和性向上層を内面に有する親和性向上層付きチップキャップを形成するチップキャップ形成工程と、前記親和性向上層付きチップキャップの内部に前記高熱伝導性金属からなる前記チップコアを導入するチップコア導入工程とをこの順序で含む製造方法により製造されたものであることが好ましい。
このような構成とすることにより、チップキャップの内部にチップコアを導入するときにチップキャップとチップコアとを密着させやすくして接触不良を抑制することで、製造時の歩留まりを安定して高くすることが可能となり、かつ、先端チップの品質(特にチップコアからチップキャップへの熱伝導)を安定させることが可能となる。
親和性向上層としては、例えば、純銅、銅合金、純銀、銀合金、純金又は金合金からなるものを用いることができる。親和性向上層は、とチップコアと必ずしも同じ金属材料からなるものでなくてもよく、チップコアとの親和性が高い限りにおいて、チップコアと異なる金属材料からなるものであってもよい。
チップキャップとしては、内面の全てに親和性向上層を有するチップキャップを用いてもよいし、内面の一部に親和性向上層を有するチップキャップを用いてもよい。上記内面の一部は、チップキャップの内面側の先端を含むことが好ましい。
チップキャップとしては、内面の全てに親和性向上層を有するチップキャップを用いてもよいし、内面の一部に親和性向上層を有するチップキャップを用いてもよい。上記内面の一部は、チップキャップの内面側の先端を含むことが好ましい。
[6]本発明の先端チップにおいては、前記溶製金属体における不純物の含有率が1%未満であることが好ましい。
このような構成とすることにより、予期せぬ不純物の影響により先端チップの寿命が短くなってしまう事態を防止することが可能となる。
上記観点からは、溶製金属体における不純物の含有率が0.5%未満であることが一層好ましい。
また、溶製金属体が純鉄からなる場合においては、溶製金属体における不純物の含有率が0.1%未満であることが好ましく、0.06%未満であることが一層好ましく、0.03%未満であることがさらに好ましい。
この観点からは、純鉄が超高純度鉄(例えば、不純物の含有率が0.001%未満、純度でいえば99.999%以上の純鉄。)であることも好ましい。
また、溶製金属体が純鉄からなる場合においては、溶製金属体における不純物の含有率が0.1%未満であることが好ましく、0.06%未満であることが一層好ましく、0.03%未満であることがさらに好ましい。
この観点からは、純鉄が超高純度鉄(例えば、不純物の含有率が0.001%未満、純度でいえば99.999%以上の純鉄。)であることも好ましい。
なお、「不純物」とは、純鉄からなる溶製金属体においては鉄以外の物質(例えば、炭素、リン、硫黄、ケイ素、マンガン、銅、ニッケル、酸素、窒素、クロム、バナジウム、錫、モリブデン、コバルト等)のことをいい、鉄合金からなる溶製金属体においては鉄及び意図的に含有させた物質以外の物質(例えば、鉄−ニッケル合金からなる溶製金属体においては、鉄及びニッケル以外の物質。)のことをいう。
また、本発明のチップキャップは溶製金属体から塑性加工により形成されたものであるため、「溶製金属体における不純物の含有率」は「チップキャップにおける不純物の含有率」と実質的に同義である。
また、本発明のチップキャップは溶製金属体から塑性加工により形成されたものであるため、「溶製金属体における不純物の含有率」は「チップキャップにおける不純物の含有率」と実質的に同義である。
[7]本発明の先端チップにおいては、前記高熱伝導性金属は、純銅、銅合金、純銀、銀合金、純金又は金合金であることが好ましい。
このような構成とすることにより、チップコアの熱伝導性を十分に高くして、ヒーターで発生した熱をチップキャップやはんだに効率よく伝えることが可能となる。
[8]本発明の先端チップの製造方法においては、純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体から塑性加工によりチップキャップを形成するチップキャップ形成工程と、前記チップキャップの内部に高熱伝導性金属からなるチップコアを導入するチップコア導入工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
本発明の先端チップの製造方法によれば、上記のようなチップキャップ形成工程とチップコア導入工程とをこの順序で含むため、特許文献1に記載の先端チップや鉄めっきを用いた従来の先端チップよりも立ち上がりを早くすることが可能であり、かつ、特許文献1に記載の先端チップよりも寿命を長くすることが可能である先端チップを製造することが可能となる。
また、本発明の先端チップの製造方法によれば、塑性加工によりチップキャップを形成するため、特許文献1に記載の先端チップよりも製造コストを抑えることが可能となる。
本発明の先端チップの製造方法においては、上記溶製金属体は、真空溶解法により得られたものであることが好ましい。このような方法とすることにより、チップキャップにおける構造的に不均一な部分をより一層少なくして、従来の先端チップよりも立ち上がりを一層早くすることが可能であり、かつ、特許文献1に記載の先端チップよりも寿命を一層長くすることが可能である先端チップを製造することが可能となる。
また、本発明の先端チップの製造方法においては、チップキャップ形成工程にて、チップキャップの最も薄い部分の肉厚が10μm〜500μmの範囲内にあるようにチップキャップを形成することが好ましい。このような方法とすることにより、チップキャップの強度を十分に確保することが可能となり、かつ、先端チップの立ち上がりの早さを十分に確保することが可能となる先端チップを製造することが可能となる。
また、本発明の先端チップの製造方法においては、チップキャップ形成工程にて、チップキャップの最も薄い部分の肉厚が20μm〜300μmの範囲内にあるようにチップキャップを形成することが一層好ましい。このような方法とすることにより、チップキャップの強度を一層十分に確保することが可能となり、かつ、先端チップの立ち上がりの早さを一層十分に確保することが可能となる先端チップを製造することが可能となる。
また、本発明の先端チップの製造方法においては、チップキャップ形成工程にて、チップキャップの最も薄い部分の肉厚が30μm〜150μmの範囲内にあるようにチップキャップを形成することがより一層好ましい。このような方法とすることにより、チップキャップの強度をより一層十分に確保することが可能となり、かつ、先端チップの立ち上がりの早さをより一層十分に確保することが可能となる先端チップを製造することが可能となる。
また、本発明の先端チップの製造方法においては、溶製金属体における不純物の含有率が1%未満であることが好ましい。このような方法とすることにより、予期せぬ不純物の影響により先端チップの寿命が短くなってしまう事態を防止することが可能となる。上記観点からは、溶製金属体における不純物の含有率が0.5%未満であることが一層好ましい。溶製金属体が純鉄からなる場合においては、溶製金属体における不純物の含有率が0.1%未満であることが好ましく、0.06%未満であることが一層好ましく、0.03%未満であることがさらに好ましい。この観点からは、純鉄が超高純度鉄(例えば、不純物の含有率が0.001%未満、純度でいえば99.999%以上の純鉄。)であることも好ましい。
チップコア導入工程においては、高熱伝導性金属を溶融した後にチップキャップの内部で固化させることにより、チップコアを導入することができる(後述)。また、高熱伝導性金属からなる金属体を機械加工してチップコアを形成し、当該チップコアをチップキャップに挿入し固着させることによりチップコアを導入することもできる。
「溶製金属体から塑性加工により形成する」とは、溶製金属体から塑性加工のみにより形成することのみをいうのではなく、塑性加工の他に補助的な機械加工(例えば、塑性加工後の切断加工、穿孔加工)を用いて形成することも含む。また、塑性加工として2種類以上の塑性加工を用いてもよい。
[9]本発明の先端チップの製造方法においては、前記溶製金属体は、溶製金属材料をシート状に圧延・焼鈍した溶製金属シートであり、前記塑性加工は、深絞り加工であることが好ましい。
深絞り加工は形状の正確性及び量産性に優れる塑性加工である。このため、上記のような方法とすることにより、先端チップの立ち上がりを早くすることと先端チップの寿命を長くすることとを両立させつつ、製造コストを一層抑えることが可能となる。
なお、深絞り加工以外に用いることができる塑性加工として、鍛造加工(冷間鍛造加工及び熱間鍛造加工)や単純なプレス加工を例示することができる。本発明の先端チップにおいては、深絞り加工とその他の塑性加工とを併用してもよい。
[10]本発明の先端チップの製造方法においては、前記チップキャップ形成工程にて、前記チップキャップとして、前記チップキャップと前記高熱伝導性金属との親和性を向上させる親和性向上層を内面に有する親和性向上層付きチップキャップを形成することが好ましい。
このような方法とすることにより、チップキャップの内部にチップコアを導入するときにチップキャップとチップコアとを密着させやすくして接触不良を抑制することで、製造時の歩留まりを安定して高くすることが可能となり、かつ、先端チップの品質(特にチップコアからチップキャップへの熱伝導)を安定させることが可能となる。
チップキャップ形成工程においては、内面全てに親和性向上層を有するチップキャップを形成してもよいし、内面の一部に親和性向上層を有するチップキャップを形成してもよい。上記内面の一部には、チップキャップの内面側の先端を含むことが好ましい。
親和性向上層付きチップキャップは、親和性向上層があらかじめ形成された溶製金属シートを用いて形成してもよいし(後述)、親和性向上層を有しないチップキャップの内面に親和性向上層を付加することで形成してもよい。親和性向上層を有しないチップキャップの内面に親和性向上層を付加する場合には、例えば、湿式めっき法や乾式めっき法(イオンプレーティング法、スパッタリング法、蒸着法等)を用いることができる。
[11]本発明の先端チップの製造方法においては、前記チップキャップ形成工程にて、前記溶製金属シートとして、前記深絞り加工を行う箇所に前記親和性向上層があらかじめ形成された親和性向上層付き溶製金属シートを用い、前記親和性向上層付き溶製金属シートを前記親和性向上層ごと深絞りすることにより、前記親和性向上層付きチップキャップを形成することが好ましい。
ところで、親和性向上層のような金属層を形成する場合には、金属層を形成する対象の形状が単純である方が、一般的にコスト及び品質の面で有利となる。このため、上記のような方法とすることにより、チップキャップの形状を形成した後に親和性向上層付きチップキャップとする場合よりも、コスト及び品質に優れる親和性向上層付きチップキャップを形成することが可能となる。
親和性向上層付き溶製金属シートとしては、例えば、片面全面クラッド材の圧延材料からなるもの、片面部分クラッド材の圧延材料からなるもの、片面全面めっき材からなるもの、片面部分めっき材からなるものを用いることができる。
[12]本発明の先端チップの製造方法においては、前記チップコア導入工程にて、前記高熱伝導性金属を溶融した後に前記親和性向上層付きチップキャップの内部で固化させることにより、前記チップコアを導入することが好ましい。
このような方法とすることにより、チップキャップとチップコアとを密着させることが可能となる。
チップコア導入工程においては、高熱伝導性金属からなる金属体をチップキャップの内面形状に合わせて機械加工してチップコアを形成し、当該チップコアをチップキャップに挿入し、チップコアを溶融した後に固化させることによりチップコアを導入することができる。また、高熱伝導性金属からなる機械加工部品、ペレット、粉末等(このうち2つ以上を同時に用いてもよい)であるチップコア原料をチップキャップの内部に詰め、当該チップコア原料を溶融した後で固化させることによりチップコアを導入することもできる。また、高熱伝導性金属を溶融るつぼで溶融し、溶融した高熱伝導性金属をチップコアの内部に注入(溶融るつぼから直接注入してもよいし、溶融るつぼからタンディッシュへ移動させてから注入してもよい。)した後で固化させることによりチップコアを導入することもできる。
以下、図に示す実施の形態に基づいて、本発明に係る先端チップ及び先端チップの製造方法について説明する。なお、各実施形態及び各図面においては、本発明に直接関係しない構成要素の説明や図示は省略する。また、図面においては、説明をわかりやすくするため、一部の構成要素の寸法(例えば、チップキャップの肉厚)を実際より大きく表示している。
[実施形態1]
まず、実施形態1に係る先端チップ1について説明する。
図1は、実施形態1に係る先端チップ1を説明するために示す図である。図1(a)は先端チップ1の側面図であり、図1(b)は先端チップ1の正面図であり、図1(c)は図1(b)のA−A断面図である。
まず、実施形態1に係る先端チップ1について説明する。
図1は、実施形態1に係る先端チップ1を説明するために示す図である。図1(a)は先端チップ1の側面図であり、図1(b)は先端チップ1の正面図であり、図1(c)は図1(b)のA−A断面図である。
図2は、実施形態1に係る先端チップ1をはんだごて本体100と結合する様子を示す図である。図2(a)は先端チップ1をはんだごて本体100に結合する前の様子を示す断面図であり、図2(b)は先端チップ1をはんだごて本体100と接触させたときの様子を示す断面図であり、図2(c)は先端チップ1をはんだごて本体100と結合した後の様子を示す断面図である。なお、図2以降の図面における断面図は、全て図1(c)に対応する断面図である。
先端チップ1は、はんだごて用の先端チップであり、図1に示すように、チップキャップ10と、チップコア20とを備える。なお、図示及び詳しい説明は省略するが、先端チップ1は、錆びや変色を防止するため、先端を含む表面にはんだからなるめっきを備える。また、先端チップ1は、フラックス等による浸食やはんだ付着等を防止するため、上記先端を含む表面以外の表面(基端側の表面)にはんだ濡れ性が低い金属(例えば、クロム)からなるめっきを備える。
先端チップ1は、交換可能な先端チップである。なお、図1において符号12で示すのは、先端チップ1の先端である。先端チップ1は、略円錐形状を有する。
先端チップ1は、交換可能な先端チップである。なお、図1において符号12で示すのは、先端チップ1の先端である。先端チップ1は、略円錐形状を有する。
先端チップ1は、後述する先端チップの製造方法(つまり、チップキャップと高熱伝導性金属との親和性を向上させる親和性向上層を内面に有する親和性向上層付きチップキャップを形成するチップキャップ形成工程と、親和性向上層付きチップキャップの内部に高熱伝導性金属からなるチップコアを導入するチップコア導入工程とをこの順序で含む製造方法。)により製造されたものである。
チップキャップ10は、先端チップ1の先端側を構成する。チップキャップ10は、純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体から塑性加工により形成されたものである。なお、後述するように、溶製金属体は、真空溶解法により得られた溶製金属材料をシート状に圧延・焼鈍した溶製金属シートであり、塑性加工は、深絞り加工である。さらにいえば、溶製金属シートは、深絞り加工を行う箇所に親和性向上層34があらかじめ形成された親和性向上層付き溶製金属シート30である。
先端チップ1においては、溶製金属体(親和性向上層付き溶製金属シート30)における不純物の含有率が1%未満である。また、溶製金属体における不純物の含有率が0.5%未満であることが一層好ましい。
また、溶製金属体が純鉄からなる場合においては、溶製金属体における不純物の含有率が0.1%未満であることが好ましく、0.06%未満であることが一層好ましく、0.03%未満であることがさらに好ましい。
この観点からは、純鉄が超高純度鉄(例えば、不純物の含有率が0.001%未満、純度でいえば99.999%以上の純鉄。)であることも好ましい。
また、溶製金属体が純鉄からなる場合においては、溶製金属体における不純物の含有率が0.1%未満であることが好ましく、0.06%未満であることが一層好ましく、0.03%未満であることがさらに好ましい。
この観点からは、純鉄が超高純度鉄(例えば、不純物の含有率が0.001%未満、純度でいえば99.999%以上の純鉄。)であることも好ましい。
チップキャップ10においては、最も薄い部分の肉厚が10μm〜500μmの範囲内にあることが好ましい。さらにいえば、当該肉厚が20μm〜300μmの範囲内にあることが一層好ましく、当該肉厚が30μm〜150μmの範囲にあることがより一層好ましい。当該肉厚は、例えば、100μm又は50μmとすることができる。
なお、チップキャップ10においては、はんだと接触する部分(チップキャップ10の先端を含む部分)の肉厚が最も薄くなっている。
なお、チップキャップ10においては、はんだと接触する部分(チップキャップ10の先端を含む部分)の肉厚が最も薄くなっている。
チップコア20は、チップキャップ10のキャップ内部に配設されており(図1(c)参照。)、高熱伝導性金属からなる。当該高熱伝導性金属は、純銅、銅合金、純銀、銀合金、純金又は金合金である。
チップコア20は、はんだごて本体100の加熱端面122と接触する基端面22を有する。
チップコア20は、はんだごて本体100の加熱端面122と接触する基端面22を有する。
先端チップ1は、図2に示すように、対応するはんだごて本体100と結合して用いることができる。結合の方法を簡単に説明すると、まず、先端チップ1とはんだごて本体100とが分離している状態から(図2(a)参照。)、先端チップ1の基端面22をはんだごて本体100の加熱端面122と接触させる(図2(b)参照。)。次に、保護金属層110の先端部を先端チップ1側へ折り曲げることで、先端チップ1とはんだごて本体100とを結合することができる(図2(c)参照。)。
なお、はんだごて本体100は、はんだごて全体から先端チップ1を除いた部分である。図2においては、はんだごて本体100の先端側の一部のみを図示している。はんだごて本体100は、主な構成要素として、熱伝導材120を囲う保護金属層110の他に、高熱伝導性金属からなる熱伝導材120と、熱源となるヒーター130と、ヒーター130の先端側に配置されている温度センサー140とを備える。
なお、温度センサーが上記の以外の位置(例えば、ヒーターの側面側や基端側)に配置されているはんだごて本体を用いてもよい。温度センサーの配置は、感度や配線の都合等を勘案して決定することができる。
なお、温度センサーが上記の以外の位置(例えば、ヒーターの側面側や基端側)に配置されているはんだごて本体を用いてもよい。温度センサーの配置は、感度や配線の都合等を勘案して決定することができる。
先端チップとはんだごて本体部との結合は、上記のような方法以外にも、既知の方法(例えば、スナップフィット機構やろう付けによる接着等)により行うことができる。これは後述する先端チップとはんだ除去装置本体部との結合の場合でも同様である。
ここで、図3を用いて、実施形態1に係る先端チップ1、特許文献1に記載の先端チップ及び従来の先端チップについて、立ち上がりの関係を簡単に説明する。
図3は、実施形態1に係る先端チップ1、特許文献1に記載の先端チップ及び従来の先端チップの立ち上がりの関係を模式的に示すグラフである。図3のグラフにおいては、縦軸はチップキャップ又は鉄めっきの外表面の温度を表し、横軸は時間を表す。なお、図3のグラフは、各先端チップの立ち上がりの関係を相対的に示すものであるため、図3のグラフにおける温度及び時間は任意単位として表示している。
図3において、実線で示すのは特許文献1に記載の先端チップ(チップキャップの最も薄い部分の肉厚が200μmであるもの。)のグラフであり、破線で示すのは従来の先端チップ(鉄めっきの肉厚が200μmであるもの。)のグラフであり、一点破線で示すのは先端チップ1(チップキャップ10の最も薄い部分の肉厚が100μmであるもの。図3においては「肉厚100μm」と記載。)のグラフであり、二点破線で示すのは先端チップ1(チップキャップ10の最も薄い部分の肉厚が50μmであるもの。図3においては「肉厚50μm」と記載。)のグラフである。
温度pは鉛フリーはんだを扱うのに適する温度である。また、時間t1,t2,t3,t4は、チップキャップ又は鉄めっきの外表面が温度pとなるまでの時間である。
温度pは鉛フリーはんだを扱うのに適する温度である。また、時間t1,t2,t3,t4は、チップキャップ又は鉄めっきの外表面が温度pとなるまでの時間である。
まず、特許文献1に記載の先端チップにおいては、金属粉末焼結法により形成されたチップキャップを備えるため、金属粉末間の空隙や結合材の影響により生じた極微細な空隙やピンホールの影響により、鉄めっきを備える従来の先端チップよりも立ち上がりが遅くなってしまう(t1及びt2参照。)。
一方、先端チップ1においては、純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体から塑性加工により形成されたチップキャップを備えるため、構造的に不均一な部分が圧倒的に少なく、かつ、実質的に従来の先端チップや特許文献1に記載の先端チップよりもチップキャップの肉厚を薄くすることが可能であることから、従来の先端チップや特許文献1に記載の先端チップ立ち上がりを早くすることが可能である(t3参照。)。なお、先端チップ1におけるチップキャップ10の肉厚が薄くなると、立ち上がりはさらに早くなる(t4参照。)。チップキャップ10の肉厚は、チップキャップ10に求められる強度や製造コストに応じて選択することができる。
次に、実施形態1に係る先端チップの製造方法について説明する。
図4は、実施形態1におけるチップキャップ形成工程S1を説明するために示す図である。図4(a)は親和性向上層付き溶製金属シート30の断面図であり、図4(b)及び図4(c)は親和性向上層付きチップキャップ31を親和性向上層付き溶製金属シート30から深絞り加工により形成する様子を示す断面図である。
図5は、実施形態1におけるチップキャップ形成工程S1で形成された、親和性向上層付きチップキャップ31を説明するために示す図である。
図4は、実施形態1におけるチップキャップ形成工程S1を説明するために示す図である。図4(a)は親和性向上層付き溶製金属シート30の断面図であり、図4(b)及び図4(c)は親和性向上層付きチップキャップ31を親和性向上層付き溶製金属シート30から深絞り加工により形成する様子を示す断面図である。
図5は、実施形態1におけるチップキャップ形成工程S1で形成された、親和性向上層付きチップキャップ31を説明するために示す図である。
図6は、実施形態1におけるチップコア導入工程S2を説明するために示す図である。図6(a)はチップコア原料40を親和性向上層付きチップキャップ31の内部に詰めた様子を示す断面図であり、図6(b)は熱伝導性金属からなるチップコア原料40を溶融した後で固化させてチップコア41とした後の様子を示す断面図であり、図6(c)は親和性向上層付きチップキャップ31及びチップコア41の先端を含む部分(先端チップ1)を切り出す様子を示す断面図である。
実施形態1に係る先端チップの製造方法は、実施形態1に係る先端チップ1を製造するための先端チップの製造方法であって、チップキャップ形成工程S1とチップコア導入工程S2とをこの順序で含む。
まず、チップキャップ形成工程S1について説明する。
チップキャップ形成工程S1は、図4に示すように、純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体から塑性加工によりチップキャップを形成する工程である。溶製金属体は、真空溶解法により得られた溶製金属材料をシート状に圧延・焼鈍した溶製金属シートである。塑性加工は、深絞り加工である。
チップキャップ形成工程S1においては、溶製金属シートとして、深絞り加工を行う箇所に親和性向上層34があらかじめ形成された親和性向上層付き溶製金属シート30を用いる(図4(a)参照。)。
チップキャップ形成工程S1は、図4に示すように、純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体から塑性加工によりチップキャップを形成する工程である。溶製金属体は、真空溶解法により得られた溶製金属材料をシート状に圧延・焼鈍した溶製金属シートである。塑性加工は、深絞り加工である。
チップキャップ形成工程S1においては、溶製金属シートとして、深絞り加工を行う箇所に親和性向上層34があらかじめ形成された親和性向上層付き溶製金属シート30を用いる(図4(a)参照。)。
チップキャップ形成工程S1においては、チップキャップとして、チップキャップと高熱伝導性金属との親和性を向上させる親和性向上層34を内面に有する親和性向上層付きチップキャップ31を形成する。さらにいえば、チップキャップ形成工程S1においては、親和性向上層付き溶製金属シート30を親和性向上層34ごと深絞りすることにより(図4(b)参照。)、親和性向上層付きチップキャップ31を形成する(図4(c)参照。)。
なお、図4(b)及び図4(c)において、符号510で示すのはダイスであり、符号520で示すのはポンチであり、符号530で示すのはストリッパープレートである。
なお、図4においては、1つの溶製金属体(親和性向上層付き溶製金属シート30)から1つのチップキャップ(親和性向上層付きチップキャップ31)を製造する様子を図示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。1つの溶製金属体から複数のチップキャップを製造することとしてもよい。この場合、複数のチップキャップを同時に製造することとしてもよいし、複数のチップキャップを連続的に製造してもよい。
ここで、親和性向上層付きチップキャップ31について説明する。
親和性向上層付きチップキャップ31は、先端チップ1におけるチップキャップ10の元となるチップキャップである。親和性向上層付きチップキャップ31は、図5に示すように、チップキャップ10に対応する対応部32と、親和性向上層34と、基端側がつば状に張り出した基端部36とを備える。なお、図5の破線は、対応部32と基端部36との境界を示すものである。
親和性向上層付きチップキャップ31は、先端チップ1におけるチップキャップ10の元となるチップキャップである。親和性向上層付きチップキャップ31は、図5に示すように、チップキャップ10に対応する対応部32と、親和性向上層34と、基端側がつば状に張り出した基端部36とを備える。なお、図5の破線は、対応部32と基端部36との境界を示すものである。
次に、チップコア導入工程S2について説明する。
チップコア導入工程S2は、親和性向上層付きチップキャップ31の内部に高熱伝導性金属からなるチップコア20を導入する工程である。チップコア導入工程S2においては、高熱伝導性金属を溶融した後に親和性向上層付きチップキャップ31の内部で固化させることにより、チップコア20を導入する。以下、図6を用いてチップコア導入工程S2を説明する。
チップコア導入工程S2は、親和性向上層付きチップキャップ31の内部に高熱伝導性金属からなるチップコア20を導入する工程である。チップコア導入工程S2においては、高熱伝導性金属を溶融した後に親和性向上層付きチップキャップ31の内部で固化させることにより、チップコア20を導入する。以下、図6を用いてチップコア導入工程S2を説明する。
まず、親和性向上層付きチップキャップ31を固定部材600に固定し、高熱伝導性金属からなる機械加工部品、ペレット、粉末等であるチップコア原料40を親和性向上層付きチップキャップ31の内部に詰める(図6(a)参照。)。
次に、対応部32を構成する純鉄又は鉄合金の融点以上の温度とならないように加熱して、チップコア原料40を溶解し、その後常温にまで冷却して固化させる(図6(b)参照。)。このとき、チップコア原料40と親和性向上層34とは一体化し、チップコア41となる。チップコア41のうち、対応部32の内部に導入された部分はチップコア20となる。なお、一度溶解した高熱伝導性金属が固化することにより、チップコア41の基端側にはへこみ(ひけ)が生じる。
最後に、図6(b)においてC−Cで示す面に沿って親和性向上層付きチップキャップ31及びチップコア41を切断し、先端チップ1を切り出して製造する。
以下、実施形態1に係る先端チップ1及び先端チップの製造方法の効果を説明する。
実施形態1に係る先端チップ1によれば、チップキャップ10が純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体から塑性加工により形成されたものであるため、特許文献1に記載の先端チップよりもチップキャップにおける構造的に不均一な部分を一層少なくすることが可能となり、かつ、実質的に従来の先端チップや特許文献1に記載の先端チップよりもチップキャップの肉厚を薄くすることが可能となる。その結果、本発明の先端チップは、特許文献1に記載の先端チップや鉄めっきを用いた従来の先端チップよりも立ち上がりを早くすることが可能となり、かつ、特許文献1に記載の先端チップよりも寿命を長くすることが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップ1によれば、チップキャップ10が塑性加工により形成されたものであるため、特許文献1に記載の先端チップよりも製造コストを抑えることが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップ1によれば、溶製金属体(親和性向上層付き溶製金属シート30)は、真空溶解法により得られたものであるため、チップキャップにおける構造的に不均一な部分をより一層少なくして、従来の先端チップよりも立ち上がりを一層早くすることが可能となり、かつ、特許文献1に記載の先端チップよりも寿命を一層長くすることが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップ1によれば、チップキャップ10の最も薄い部分の肉厚が10μm〜500μmの範囲内にあるため、チップキャップの強度を十分に確保することが可能となり、かつ、先端チップの立ち上がりの早さを十分確保することが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップ1によれば、チップキャップ10の最も薄い部分の肉厚が20μm〜300μmの範囲内にあるため、チップキャップの強度を一層十分に確保することが可能となり、かつ、先端チップの立ち上がりの早さを一層十分に確保することが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップ1によれば、チップキャップ10の最も薄い部分の肉厚が30μm〜150μmの範囲内にあるため、チップキャップの強度をより一層十分に確保することが可能となり、かつ、先端チップの立ち上がりの早さをより一層十分に確保することが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップ1によれば、溶製金属体は溶製金属シートであり、塑性加工は深絞り加工であるため、先端チップの立ち上がりを早くすることと先端チップの寿命を長くすることとを両立させつつ、製造コストを一層抑えることが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップ1によれば、親和性向上層34を内面に有する親和性向上層付きチップキャップ31を用いるため、チップキャップとチップコアとを密着させやすくして接触不良を抑制することで、製造時の歩留まりを安定して高くすることが可能となり、かつ、先端チップの品質(特にチップコアからチップキャップへの熱伝導)を安定させることが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップ1においては、溶製金属体(親和性向上層付き溶製金属シート30)における不純物の含有率が1%未満であるため、予期せぬ不純物の影響により先端チップの寿命が短くなってしまう事態を防止することが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップ1によれば、高熱伝導性金属は、純銅、銅合金、純銀、銀合金、純金又は金合金であるため、チップコアの熱伝導性を十分に高くして、ヒーターで発生した熱をチップキャップやはんだに効率よく伝えることが可能となる。
実施形態1に係る先端チップの製造方法によれば、上記のようなチップキャップ形成工程S1とチップコア導入工程S2とをこの順序で含むため、特許文献1に記載の先端チップや鉄めっきを用いた従来の先端チップよりも立ち上がりを早くすることが可能であり、かつ、特許文献1に記載の先端チップよりも寿命を長くすることが可能である、本発明の先端チップを製造することが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップの製造方法によれば、塑性加工によりチップキャップ10を形成するため、特許文献1に記載の先端チップよりも製造コストを抑えることが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップの製造方法によれば、溶製金属体は溶製金属シートであり、塑性加工は深絞り加工であるため、先端チップの立ち上がりを早くすることと先端チップの寿命を長くすることとを両立させつつ、製造コストを一層抑えることが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップの製造方法によれば、チップキャップ形成工程S1にて親和性向上層付きチップキャップ31を形成するため、チップキャップとチップコアとを密着させやすくして接触不良を抑制することで、製造時の歩留まりを安定して高くすることが可能となり、かつ、先端チップの品質(特にチップコアからチップキャップへの熱伝導)を安定させることが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップの製造方法によれば、チップキャップ形成工程S1にて、親和性向上層付き溶製金属シート30を親和性向上層34ごと深絞りすることにより親和性向上層付きチップキャップ31を形成するため、チップキャップの形状を形成した後に親和性向上層付きチップキャップとする場合よりも、コスト及び品質に優れる親和性向上層付きチップキャップを形成することが可能となる。
また、実施形態1に係る先端チップの製造方法によれば、チップコア導入工程S2にて、高熱伝導性金属を溶融した後に親和性向上層付きチップキャップ31の内部で固化させることにより、チップコア41を導入するため、チップキャップとチップコアとを密着させることが可能となる。
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る先端チップ2を説明するために示す図である。
図7は、実施形態2に係る先端チップ2を説明するために示す図である。
実施形態2に係る先端チップ2は、基本的には実施形態1に係る先端チップ1と同様の構成を有するが、はんだごて本体(全体は図示せず。)と一体となっている点が実施形態1に係る先端チップ1の場合とは異なる。
先端チップ2は、図7に示すように、チップキャップ14及びチップコア50の他に、ヒーター130及び温度センサー140を備える。チップコア50は、実施形態1におけるチップコア20と熱伝導材120とが一体となったものということもできる。
実施形態2に係る先端チップ2は、はんだごて本体と一体になっている点が実施形態1に係る先端チップ1とは異なるが、チップキャップ14が純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体から塑性加工により形成されたものであるため、実施形態1に係る先端チップ1と同様に、従来の先端チップよりも立ち上がりを早くすることが可能となり、かつ、特許文献1に記載の先端チップよりも寿命を長くすることが可能となる。
なお、実施形態2に係る先端チップ2は、はんだごて本体と一体になっている点以外は実施形態1に係る先端チップ1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る先端チップ1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
[実施形態3]
図8は、実施形態3に係る先端チップ3を説明するために示す図である。図8(a)は先端チップ3の側面図であり、図8(b)は先端チップ3の正面図であり、図8(c)は図8(b)のA−A断面図である。
図9は、実施形態3に係る先端チップ3をはんだ除去装置本体200と結合する様子を示す図である。図9(a)は先端チップ3をはんだ除去装置本体200に結合する前の様子を示す断面図であり、図9(b)は先端チップ3をはんだ除去装置本体200と接触させたときの様子を示す断面図であり、図9(c)は先端チップ3をはんだ除去装置本体200と結合した後の様子を示す断面図である。
図8は、実施形態3に係る先端チップ3を説明するために示す図である。図8(a)は先端チップ3の側面図であり、図8(b)は先端チップ3の正面図であり、図8(c)は図8(b)のA−A断面図である。
図9は、実施形態3に係る先端チップ3をはんだ除去装置本体200と結合する様子を示す図である。図9(a)は先端チップ3をはんだ除去装置本体200に結合する前の様子を示す断面図であり、図9(b)は先端チップ3をはんだ除去装置本体200と接触させたときの様子を示す断面図であり、図9(c)は先端チップ3をはんだ除去装置本体200と結合した後の様子を示す断面図である。
実施形態3に係る先端チップ3は、基本的には実施形態1に係る先端チップ1と同様の構成を有するが、はんだ除去装置に用いる先端チップである点が実施形態1に係る先端チップ1の場合とは異なる。以下、実施形態3に係る先端チップ3について、実施形態1に係る先端チップ1との相違点を中心に説明する。
先端チップ3は、はんだ除去装置に用いる先端チップであって、図8に示すように、チップキャップ60及びチップコア70を備える。
チップキャップ60には、先端62から内部にかけてはんだ吸引孔64が形成されている。はんだ吸引孔64は、吸引されるはんだの通り道である。
チップキャップ60には、先端62から内部にかけてはんだ吸引孔64が形成されている。はんだ吸引孔64は、吸引されるはんだの通り道である。
はんだ吸引孔64の周囲を構成するパイプ状部分66は、深絞り加工によりチップキャップの他の部分と同様に形成したものであってもよい。また、パイプ状部分66は、深絞り加工によりチップキャップ60の形状を作った後に、別の機械加工(例えば、穿孔)により形成したものであってもよい。さらにまた、パイプ状部分66は、チップキャップ60におけるパイプ状部分66以外の部分に、パイプ状の部材を接合(例えば、溶接)することにより形成したものであってもよい。
パイプ状部分66がはんだ濡れ性のよい金属(特に純鉄又は鉄合金)からなる場合には、パイプ状部分66の表面にはんだ濡れ性が低い金属(例えば、クロム)からなるめっきを備えることが好ましい(図示せず。)。はんだによってはんだ吸引孔64が詰まるのを防止するためである。なお、パイプ状部分66がはんだ濡れ性の悪い金属からなる場合(主に、パイプ状部分66がパイプ状の部材を接合(例えば、溶接)することにより形成されたものである場合)には、上記めっきを備えなくてよい。
チップコア70には、はんだ吸引孔64の基端側からチップコア70の基端面72にかけて、ノズル接続孔74が形成されている。ノズル接続孔74は、先端チップ3をはんだ除去装置本体200と結合するときに、はんだ吸引孔64とノズル230(後述)とを接続するための孔である。
なお、はんだ除去装置本体200とは、はんだ除去装置全体から先端チップ3を除いた部分のことをいう。図9においては、はんだ除去装置本体200の先端側の一部のみを図示している。はんだ除去装置本体200は、主な構成要素として、熱伝導材220を保護する保護金属層210と、高熱伝導性金属からなる熱伝導材220と、はんだを吸引するノズル230と、ヒーター(図示せず。)と、温度センサー(図示せず。)と、吸引装置(例えば、ポンプ。図示せず。)とを備える。なお、熱伝導材220は先端側に加熱端面222を有し、ノズル230は内部にはんだ吸引孔232を有する。
図9に示すように、先端チップ3とはんだ除去装置本体200とを結合する方法は、実施形態1における先端チップ1とはんだごて本体100とを結合する方法と基本的に同様であるため、説明を省略する。
図9に示すように、先端チップ3とはんだ除去装置本体200とを結合する方法は、実施形態1における先端チップ1とはんだごて本体100とを結合する方法と基本的に同様であるため、説明を省略する。
先端チップ3は、チップキャップ60の形状に対応したダイス及びポンチを用いること、及び、ノズル接続孔74を形成すること以外は、基本的に実施形態1に係る先端チップの製造方法と同様の方法により製造することができる。なお、先端チップ3の製造(特に、チップキャップ60におけるはんだ吸引孔64の形成やノズル接続孔74の形成)にあたっては、ドリル等を用いた穿孔加工を併用してもよい。また、パイプ状部分66を形成するために、パイプ状の部材を接合(例えば、溶接)する加工を併用してもよい。
実施形態3に係る先端チップ3は、はんだ除去装置に用いる先端チップである点が実施形態1に係る先端チップ1とは異なるが、チップキャップ60が純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体から塑性加工により形成されたものであるため、実施形態1に係る先端チップ1と同様に、従来の先端チップよりも立ち上がりを早くすることが可能となり、かつ、特許文献1に記載の先端チップよりも寿命を長くすることが可能となる。
なお、実施形態3に係る先端チップ3は、はんだ除去装置に用いる先端チップである点以外は実施形態1に係る先端チップ1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る先端チップ1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
以上、本発明を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の様態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)上記各実施形態において記載し、各図面において図示した各構成要素の寸法、個数、材質及び形状は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
(2)上記各実施形態においては、塑性加工として深絞り加工を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。塑性加工として、例えば、鍛造加工(冷間鍛造加工及び熱間鍛造加工)や単純なプレス加工を用いてもよい。また、本発明の先端チップにおいては、深絞り加工とその他の塑性加工とを併用してもよい。
(3)上記実施形態1においては、親和性向上層付きチップキャップ31及びチップコア41を切断し、先端チップ1を切り出して製造した(図6(c)参照。)が、本発明はこれに限定されるものではない。図10は、変形例1に係る先端チップ4を説明するために示す図である。先端チップ4は、図10に示すように、チップキャップ16及びチップコア24を備える。チップキャップ16は、基端側がつば状に張り出した基端部18を有する。例えば、図6(b)におけるチップコア41の基端部を平坦にすることで、図10に示す先端チップ4のような先端チップを製造してもよい。
(4)先端チップの形状は、上記した形状(上記実施形態1,2,4においては、略円錐形状)に限られるものではない。先端チップの形状は、ナイフ型の形状やマイナスドライバー型の形状等、使用する用途に合わせた種々の形状とすることができる。
(5)上記実施形態1においては、親和性向上層付き溶製金属シート30及び親和性向上層付きチップキャップ31を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の先端チップ及び先端チップの製造方法においては、親和性向上層が無い溶製金属体(溶製金属シート)及びチップキャップを用いてもよい。
1,2,3,4…先端チップ、10,16,60…チップキャップ、12,33,62…先端、20,24,41,50,70…チップコア、22,72…基端面、30…親和性向上層付き溶製金属シート、31…親和性向上層付きチップキャップ、32…対応部、34…親和性向上層、18,36…基端部、40…チップコア原料、64…はんだ吸引孔、66…パイプ状部分、74…ノズル接続孔、100…はんだごて本体、110,210…保護金属層、120,220…熱伝導材、122,222…加熱端面、130…ヒーター、140…温度センサー、200…はんだ除去装置本体、230…ノズル、232…はんだ吸引孔、510…ダイス、520…ポンチ、530…ストリッパープレート、600…固定部材
Claims (12)
- はんだごて又ははんだ除去装置用の先端チップであって、
前記先端チップの少なくとも先端側を構成するチップキャップと、
前記チップキャップの内部に配設され高熱伝導性金属からなるチップコアとを備え、
前記チップキャップは、純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体から塑性加工により形成されたものであることを特徴とする先端チップ。 - 請求項1に記載の先端チップにおいて、
前記チップキャップの最も薄い部分の肉厚が10μm〜500μmの範囲内にあることを特徴とする先端チップ。 - 請求項2に記載の先端チップにおいて、
前記チップキャップの最も薄い部分の肉厚が20μm〜300μmの範囲内にあることを特徴とする先端チップ。 - 請求項2又は3に記載の先端チップにおいて、
前記溶製金属体は、溶製金属材料をシート状に圧延・焼鈍した溶製金属シートであり、
前記塑性加工は、深絞り加工であることを特徴とする先端チップ。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の先端チップにおいて、
前記先端チップは、
前記チップキャップと前記高熱伝導性金属との親和性を向上させる親和性向上層を内面に有する親和性向上層付きチップキャップを形成するチップキャップ形成工程と、
前記親和性向上層付きチップキャップの内部に前記高熱伝導性金属からなる前記チップコアを導入するチップコア導入工程とをこの順序で含む製造方法により製造されたものであることを特徴とする先端チップ。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の先端チップにおいて、
前記溶製金属体における不純物の含有率が1%未満であることを特徴とする先端チップ。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の先端チップにおいて、
前記高熱伝導性金属は、純銅、銅合金、純銀、銀合金、純金又は金合金であることを特徴とする先端チップ。 - 純鉄又は鉄合金からなる溶製金属体から塑性加工によりチップキャップを形成するチップキャップ形成工程と、
前記チップキャップの内部に高熱伝導性金属からなるチップコアを導入するチップコア導入工程とをこの順序で含むことを特徴とする先端チップの製造方法。 - 請求項8に記載の先端チップの製造方法において、
前記溶製金属体は、溶製金属材料をシート状に圧延・焼鈍した溶製金属シートであり、
前記塑性加工は、深絞り加工であることを特徴とする先端チップの製造方法。 - 請求項9に記載の先端チップの製造方法において、
前記チップキャップ形成工程においては、前記チップキャップとして、前記チップキャップと前記高熱伝導性金属との親和性を向上させる親和性向上層を内面に有する親和性向上層付きチップキャップを形成することを特徴とする先端チップの製造方法。 - 請求項10に記載の先端チップの製造方法において、
前記チップキャップ形成工程においては、前記溶製金属シートとして、前記深絞り加工を行う箇所に前記親和性向上層があらかじめ形成された親和性向上層付き溶製金属シートを用い、前記親和性向上層付き溶製金属シートを前記親和性向上層ごと深絞りすることにより、前記親和性向上層付きチップキャップを形成することを特徴とする先端チップの製造方法。 - 請求項10又は11に記載の先端チップの製造方法において、
前記チップコア導入工程においては、前記高熱伝導性金属を溶融した後に前記親和性向上層付きチップキャップの内部で固化させることにより、前記チップコアを導入することを特徴とする先端チップの製造方法。
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