JP5965529B1 - シールリングおよびシールリング素材 - Google Patents

シールリングおよびシールリング素材 Download PDF

Info

Publication number
JP5965529B1
JP5965529B1 JP2015221075A JP2015221075A JP5965529B1 JP 5965529 B1 JP5965529 B1 JP 5965529B1 JP 2015221075 A JP2015221075 A JP 2015221075A JP 2015221075 A JP2015221075 A JP 2015221075A JP 5965529 B1 JP5965529 B1 JP 5965529B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
seal ring
base material
silver brazing
material layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015221075A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017092266A (ja
Inventor
将幸 横田
将幸 横田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Metals Ltd
Hitachi Metals Neomaterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Hitachi Metals Neomaterial Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd, Hitachi Metals Neomaterial Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2015221075A priority Critical patent/JP5965529B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5965529B1 publication Critical patent/JP5965529B1/ja
Publication of JP2017092266A publication Critical patent/JP2017092266A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L2924/00Indexing scheme for arrangements or methods for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies as covered by H01L24/00
    • H01L2924/15Details of package parts other than the semiconductor or other solid state devices to be connected
    • H01L2924/161Cap
    • H01L2924/1615Shape
    • H01L2924/16195Flat cap [not enclosing an internal cavity]

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

【課題】変色が発生するのが抑制されたシールリングを提供する。【解決手段】このシールリング1(101)は、パッケージ100に用いられるシールリング1(101)であって、絶縁性の介在物Iが分散されたFe−Ni系合金から構成された基材層11と、基材層11の上面11a上に配置され、基材層11の上面11aから露出する介在物Iを覆う被覆層12と、を備える。【選択図】図3

Description

この発明は、シールリングおよびシールリング素材に関する。
従来、電子部品収容パッケージに用いられるシールリングが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、水晶振動子(電子部品収容パッケージ)に用いられ、コバール材(Fe(鉄)−Ni(ニッケル)−Co(コバルト)合金材)や42アロイ材(Fe−Ni合金材)からなるシールリングが開示されている。この水晶振動子では、シールリングがセラミック基板の上面に銀ろうなどのろう材を介して接合されるとともに、金属蓋材がシールリングの上面にシーム溶接により接合される。これにより、水晶振動子が気密封止される。なお、シールリングの表面には、NiおよびAu(金)の順にめっき層が形成されている。
特開2007−300265号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されたシールリングでは、めっき層を形成する過程において、シールリングの表面に変色が発生することを本願発明者は確認した。この変色が発生した領域は、外観不良となるだけでなく、腐食発生の起点となり得る。さらに、変色が発生した領域は他の部分に比べて溶接されにくいと考えられるため、シールリングを金属蓋材に溶接した場合には、変色が発生した領域の溶接が不十分であることに起因して、水晶振動子の気密封止性が低下してしまうと考えられる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、変色が発生するのが抑制されたシールリングおよびそのシールリングのシールリング素材を提供することである。
本願発明者は、鋭意検討した結果、基材層の表面に露出する絶縁性の介在物がめっき層により覆われていない場合に、シールリングの表面に変色が発生するという知見を得た。そして、この知見に基づいて、本願発明者は以下のような構成を見出した。
この発明の第1の局面によるシールリングは、電子部品収容パッケージに用いられるシールリングであって、絶縁性の介在物が分散されたFe−Ni系合金から構成された基材層と、基材層の少なくとも一方表面上に配置され、基材層の一方表面に露出する介在物を覆う金属被覆層と、基材層の他方表面上に配置され、銀ろう材から構成された銀ろう層と、を備え、金属被覆層と基材層と銀ろう層とがこの順で接合された3層構造のクラッド材から構成されており、金属被覆層の厚みは、介在物の平均粒径の50%以上である。なお、「介在物が分散された基材層」には、必ずしも基材層の全体に介在物が均等に分散されている場合に限られず、ある程度の偏りがある状態で基材層に介在物が分散されている場合も含まれる。また、「Fe−Ni系合金」は、FeとNiとを少なくとも含有する合金を意味する。つまり、「Fe−Ni系合金」は、FeおよびNi以外にたとえばCoなどを含有する合金も含まれる広い概念である。
この発明の第1の局面によるシールリングでは、上記のように、基材層の少なくとも一方表面上に、基材層の一方表面に露出する介在物を覆う金属被覆層を配置する。これにより、金属被覆層により基材層の一方表面に露出する介在物が覆われているので、めっき層形成時などにおいて、基材層の一方表面側においてシールリングに変色が発生するのを抑制することができる。また、基材層と金属被覆層とが互いに接合されたクラッド材から構成されている。これにより、基材層と金属被覆層とを互いに接合させることによって、めっきにより金属被覆層を形成する場合と比べて、絶縁性の介在物を覆う金属被覆層をより確実に形成することができる。これにより、変色の発生をより抑制することができる。また、金属被覆層の厚みは、介在物の平均粒径の50%以上である。ここで、介在物は、50%を超えて基材層の一方表面に露出した状態で維持されることはほとんどなく、Fe−Ni系合金の作製時に脱落すると考えられる。したがって、金属被覆層の厚みを介在物の平均粒径の50%以上にすることによって、金属被覆層により基材層の一方表面に露出する介在物を十分に覆うことができる。また、基材層の他方表面上に配置され、銀ろう材から構成された銀ろう層をさらに備える。これにより、銀ろう層を溶融させることによって、基材層の他方表面側において、シールリングをろう付け対象(たとえば、基台)に容易にろう付け接合することができる。また、ろう付け接合時に銀ろう材とシールリングとの位置決めを行う必要がないので、シールリングをろう付け対象により容易にろう付け接合することができる。また、金属被覆層と基材層と銀ろう層とがこの順で接合されたクラッド材から構成されている。これにより、基材層と金属被覆層とを互いに接合させることによって、変色の発生をより抑制することができるとともに、基材層と銀ろう層とを互いに接合させることによって、基材層と銀ろう層とを容易に一体化することができる。
上記第1の局面によるシールリングにおいて、好ましくは、金属被覆層は、NiまたはNi合金から構成されている。このように構成すれば、基材層の一方表面側において、シールリングに溶接対象(たとえば、蓋部材)をシーム溶接しやすくすることができる。
上記銀ろう層をさらに備える構成において、好ましくは、金属被覆層の厚みは、結晶成長した基材層の平均結晶粒径の1/75倍以上である。ここで、ろう付け接合時において、ろう付け接合時の熱により、基材層を構成するFe−Ni系合金の結晶粒径が大きくなってしまう(結晶成長してしまう)。さらに、ろう付け接合時において、基材層の他方表面上に配置された銀ろう層の銀ろう材がシールリングの側面を這い上がり、シールリングの一方表面(金属被覆層)上に到達する場合がある。そして、金属被覆層上に到達した銀ろう材が基材層の一方表面に到達すると、結晶成長した基材層の粒界(結晶粒界)に侵入して基材層の一方表面に割れ(いわゆる銀ろう割れ)が生じる場合がある。この銀ろう割れが生じたシールリングでは、基材層の一方表面側において、シールリングに溶接対象(たとえば、蓋部材)を溶接する際に、亀裂(クラック)が発生する虞があり、発生したクラックに起因して、シールリングの機械的強度(剛性)が低下してしまう。そこで、本発明では、金属被覆層の厚みを結晶成長した基材層の平均結晶粒径の1/75倍以上にすることによって、金属被覆層上に到達した銀ろう材が基材層の一方表面に到達するのを抑制することができるので、銀ろう割れに起因してシールリングの機械的強度が低下するのを抑制することができる。なお、このことは、本願発明者による実験により確認済みである。
この発明の第2の局面によるシールリング素材は、電子部品収容パッケージに用いられるシールリングの素材であって、絶縁性の介在物が分散されたFe−Ni系合金から構成された基材層と、基材層の少なくとも一方表面上に配置され、基材層の一方表面に露出する介在物を覆う金属被覆層と、基材層の他方表面上に配置され、銀ろう材から構成された銀ろう層と、を備え、金属被覆層と基材層と銀ろう層とがこの順で接合された3層構造のクラッド材から構成されており、金属被覆層の厚みは、介在物の平均粒径の50%以上である。
この発明の第の局面によるシールリング素材では、第1の局面と同様に、基材層の一方表面側においてシールリング素材からなるシールリングに変色が発生するのを抑制することができる。
本発明によれば、上記のように、変色が発生するのが抑制されたシールリングおよびそのシールリングのシールリング素材を提供することができる。
本発明の第1および第2実施形態によるシールリングの構成を示した上面図である。 図1の900−900線に沿った断面図である。 本発明の第1および第2実施形態によるシールリングの上面近傍を示した拡大断面図である。 本発明の第1および第2実施形態による電子部品収容パッケージの構成を示した断面図である。 本発明の第1実施形態によるシールリング素材の製造プロセスを説明するための斜視図である。 本発明の第1実施形態によるシールリング素材の打抜き加工を説明するための斜視図である。 本発明の第1および第2実施形態による電子部品収容パッケージの製造プロセスを説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態による電子部品収容パッケージの製造プロセスにおけるシールリングのめっき層形成後の状態を示した拡大断面図である。 従来例1におけるシールリングのめっき層形成後の状態を示した拡大断面図である。 本発明の第2実施形態による電子部品収容パッケージの製造プロセスにおける銀ろう材溶融時のシールリングの状態を示した拡大断面図である。 本発明の第2実施形態による電子部品収容パッケージの製造プロセスにおける銀ろう材冷却後のシールリングの状態を示した拡大断面図である。 本発明の第2実施形態による電子部品収容パッケージの製造プロセスにおけるめっき層形成後のシールリングの状態を示した拡大断面図である。 従来例2におけるめっき層形成後のシールリングの状態を示した拡大断面図である。 本発明の第2実施形態による電子部品収容パッケージの製造プロセスにおけるシーム溶接を示した拡大断面図である。 従来例2におけるシーム溶接を示した拡大断面図である。 本発明の第2実施形態の効果を確認するために行ったコバール材の剛性試験を説明するための断面図である。 本発明の第2実施形態の効果を確認するために行ったコバール材の剛性試験を説明するための模式図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
[シールリングの構造]
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態によるシールリング1の構造を説明する。
第1実施形態によるシールリング1は、図1に示すように、平面的に見て、長方形の枠状に形成されている。また、シールリング1は、図2および図3に示すように、基材層11と、基材層11の上面11a(Z1側の面)に接合された被覆層12と、基材層11の下面11b(Z2側の面)に接合された銀ろう層13と、が接合された3層構造のクラッド材10から構成されている。なお、上面11aおよび下面11bは、それぞれ、特許請求の範囲の「一方表面」および「他方表面」の一例である。また、被覆層12は、特許請求の範囲の「金属被覆層」の一例である。
基材層11は、いわゆるコバール(登録商標)から構成されている。つまり、基材層11は、約29質量%のNiと、約17質量%のCoと、不可避不純物と、残部Feとから構成された29Ni−17Co−Fe合金から構成されている。なお、基材層11は、コバール以外のFe−Ni−Co合金から構成されていてもよい。
また、基材層11は、Coを含有せずにFeおよびNiを含有するFe−Ni合金から構成されていてもよい。たとえば、基材層11を構成するFe合金として、約36質量%のNiと、不可避不純物と、残部Feとから構成された36Ni−Fe合金(いわゆるインバー(登録商標))や、約42質量%のNiを含有する42Ni−Fe合金、約50質量%のNiを含有する50Ni−Fe合金などを用いてもよい。また、基材層11は、後述する基台2を構成するセラミックスの熱膨張率に近づけるために、熱膨張率が小さなFe−Ni系合金から構成されるのが好ましい。
また、図3に示すように、基材層11には、絶縁性の介在物Iが分散されており、介在物Iの一部は、基材層11の表面(上面11a、下面11bおよび側面11c)に露出している。なお、図3では、基材層11の上面11a近傍のみを図示している。
この介在物Iはコバール材(Fe−Ni系合金材)が作製される際にコバール材に分散される。具体的には、コバール材の作製工程において、予め所定の元素を添加させた状態で、コバールの合金組成になるように金属材(Fe、Ni、Co)を溶融させて冷却する。ここで、所定の元素は、たとえば、Al(アルミニウム)、Mn(マンガン)およびSi(ケイ素)であり、作製されるコバール材の加工性(打抜き加工性)を向上させるために、溶融させる金属材に意図的に添加している。これにより、コバール材が作製されるとともに、予め添加された所定の元素が溶融時の熱などで酸化されて、絶縁性の介在物Iがコバール材の内部に分散される。なお、所定の元素が、Al(アルミニウム)、Mn(マンガン)およびSi(ケイ素)である場合、介在物Iは、それぞれ、Al、MnOおよびSiOから構成される。また、介在物Iは、コバールよりも硬質である。
また、介在物Iの平均粒径は、約0.5μm以上約20μm以下である。なお、介在物Iの平均粒径は、所定の断面積(たとえば、約10mm)を有するコバール材の断面を観察して、断面内でコバール材に分散されている介在物Iの各々の粒径の平均を算出することにより取得される。さらに、断面は複数個所(たとえば、3か所や5か所)において取得することが好ましい。この場合、介在物Iの平均粒径は、複数の断面内でコバール材に分散されている介在物Iの各々の粒径の平均を算出することにより取得される。
また、基材層11のZ方向(板厚方向)の厚みt1は、約80μm以上約500μm以下であるのが好ましい。
ここで、第1実施形態では、被覆層12は、図3に示すように、基材層11の上面11aに露出する介在物IをZ1側から覆うように、基材層11の上面11a上に接合されている。これにより、介在物Iがシールリング1の上面1aに露出するのが抑制されている。
また、被覆層12は、NW2201(JIS規格)などの純Niから構成されている。なお、被覆層12は、純Niではなく、Ni−P(リン)合金やNi−Cu(銅)合金などのNi合金から構成してもよい。これにより、被覆層12の耐食性や耐酸化性などを適宜向上させることが可能である。
また、被覆層12のZ方向の厚みt2は、介在物Iの平均粒径に基づいて適宜決定される。たとえば、被覆層12の厚みt2は、介在物Iの平均粒径の約50%以上であるのがよい。これにより、約50%を超えて上面11aに露出する介在物Iはほとんど基材層11から脱落すると考えられるため、上面11aに露出する介在物Iを、被覆層12により確実に覆うことが可能である。また、被覆層12の厚みt2は、介在物Iを覆うことが可能であれば、純Niの使用量を低減させるためできるだけ小さい方が好ましい。さらに、介在物Iの平均粒径は、最大でも約20μmであると考えられるので、被覆層12の厚みt2は、約10μm(=20×0.5)以下であるのが好ましい。
また、被覆層12の厚みt2は、介在物Iの粒径が小さければその分小さくすることが可能である。しかしながら、基材層11(介在物I)を覆うように被覆層12を確実に形成するために、被覆層12の厚みt2は約1μm以上であるのが好ましい。なお、基材層11(介在物I)を覆うように被覆層12をより確実に形成するためには、被覆層12の厚みは、約2μm以上であるのがより好ましい。
さらに、コバール材の作製時の溶融温度や酸素量などを調整することにより、介在物Iの粒径をおおよそ10μm以下にすることによって、被覆層12の厚みを約5μm以下にすることが可能である。さらに、コバール材の作製時の溶融温度や酸素量などをより厳密に調整することにより、介在物Iの粒径をおおよそ5μm以下にすることによって、被覆層12の厚みを約3μm以下により小さくすることが可能である。
銀ろう層13は、約72質量%のAg(銀)と、不可避不純物と、残部Cuとから構成された72Ag−Cu合金からなる銀ろう材を用いて構成されている。なお、72Ag−Cu合金の固相線(銀ろう層13の一部が溶け始める温度)は、約780℃である。また、銀ろう層13のZ方向の厚みt3は、約10μm以上約100μm以下であるのが好ましい。
なお、銀ろう層13を構成する銀ろう材としては、72Ag−Cu合金に限られず、たとえば、約85質量%のAgと、不可避不純物と、残部Cuとから構成された85Ag−Cu合金や、Snを含有するAg−Cu−Sn(錫)合金などがある。なお、銀ろう材にSnを含有させることにより固相線を低くすることが可能である。
[パッケージの構造]
次に、図2および図4を参照して、第1実施形態によるシールリング1(101)を用いたパッケージ100の構造を説明する。なお、パッケージ100は、特許請求の範囲の「電子部品収容パッケージ」の一例である。
第1実施形態によるパッケージ100は、図4に示すように、シールリング101と、シールリング101の下方(Z2側)からシールリング101に接合される基台2と、シールリング101の上方(Z1側)からシールリング101に接合される蓋部材3とを備えている。
シールリング101は、図2に示すシールリング1の銀ろう層13が溶融することによって、基台2の接合面2bにろう付け接合されている。このため、シールリング101には、銀ろう層13が溶融した溶融銀ろう層13aが設けられている。ここで、銀ろう材が溶融した際に基材層11の側面11c(図2参照)を這い上がることにより、溶融銀ろう層13aの銀ろう材は、基材層11の側面11cの下部にも融着している。
また、溶融銀ろう層13aを含むシールリング101の露出する表面の略全面に亘って、内側のNi層14aと外側のAu層14b(図8参照)とからなるめっき層14が形成されている。なお、めっき層14は、基材層11の側面11cの露出する上部と、溶融銀ろう層13aの露出する表面の略全面と、被覆層12の露出する表面の略全面とに形成されている。このめっき層14は、シールリング101の耐食性を向上させるとともに、シールリング101と蓋部材3とのシーム溶接を容易に行うために設けられている。
基台2は、アルミナなどのセラミックスにより形成されているとともに、箱状に形成されている。また、箱状の基台2は、基台2の中央部に形成され、バンプ4を介して水晶振動子などの電子部品5が取り付けられる凹部2aと、シールリング101と接合される枠状の接合面2bとを有している。なお、基台2の接合面2bとシールリング101の溶融銀ろう層13aとの密着性を向上させるために、基台2の接合面2b上にW(タングステン)層、Ni層およびAu層がこの順に下から積層されたメタライズ層を設けてもよい。
蓋部材3は、コバール材を用いて構成された平板状の基材3aと、基材3aの全体を覆うNiめっき層3bとを含んでいる。また、蓋部材3とシールリング101とは、シーム溶接により接合されている。なお、図示していないものの、シーム溶接により、蓋部材3のシールリング101に当接する部分のNiめっき層3bと、シールリング101のめっき層14とは一体化している。
この結果、シールリング101と基台2とがろう付け接合されているとともに、シールリング101と蓋部材3とが溶接により接合されていることにより、電子部品5が取り付けられる凹部2a内が気密状態になるようにパッケージ100は構成されている。
[シールリングの製造方法]
次に、図1〜図3、図5および図6を参照して、第1実施形態によるシールリング1の製造プロセスについて説明する。
まず、図5に示すように、基材層11、被覆層12および銀ろう層13(図2参照)にそれぞれ対応するコバール板材111、Ni板材112および銀ろう板材113を準備する。ここで、コバール板材111には、コバール板材作製時の溶融過程において、絶縁性の介在物I(図3参照)が分散されている。
そして、Ni板材112、コバール板材111および銀ろう板材113をこの順に積層させる。そして、積層材を圧延ロール301を用いて所定の条件下で圧延接合する(圧延工程)とともに、ヒータ302を用いて熱処理を行うことにより接合界面の金属を拡散させる(拡散工程)。これにより、被覆層12、基材層11および銀ろう層13がこの順に積層された状態で接合された平板状のクラッド材10が作製される。このクラッド材10は、シールリング1(図2参照)を作製するためのシールリング素材201である。
ここで、シールリング素材201では、被覆層12の厚みt2が基材層11の上面11aに露出する介在物Iを覆うことが可能な厚みになるように設定される。具体的には、被覆層12の厚みt2は、介在物Iの平均粒径の約50%以上になるように設定される。この結果、被覆層12により介在物Iが覆われたシールリング素材201が作製される。その後、図6に示すように、プレス機303を用いてクラッド材10を長方形の枠状に打抜き加工する(打抜き工程)ことにより、図1および図2に示すシールリング1が形成される。ここで、基材層11に硬質の介在物Iが分散されていることによって、打抜き加工性に劣るコバール材の打抜き加工性が向上されている。
[パッケージの製造方法]
次に、図3、図4および図7〜図9を参照して、第1実施形態によるパッケージ100の製造プロセスについて説明する。なお、図8では、基材層11の上面11a近傍の介在物Iおよび被覆層12を拡大して図示する一方、基材層11の内部の介在物Iや、基材層11の下面11bおよび側面11cに露出する介在物Iの図示は省略している。
まず、図7に示すように、シールリング1を箱状に形成された基台2の接合面2b上に配置する。この際、シールリング1の銀ろう層13が基台2側に位置するように配置する。その後、シールリング1および基台2を約780℃(銀ろう層13を構成する銀ろう材の融点)程度の温度に加熱することにより、銀ろう層13の銀ろう材を溶融させる。
その後、冷却されて固化した銀ろう材のうち、化学エッチングなどにより被覆層12上などに残存した余分な銀ろう材を除去することによって、図8に示すように、溶融銀ろう層13aが形成される。
そして、溶融銀ろう層13aを含むシールリング101の露出する表面に、電解めっき処理により、Ni層14aとAu層14bとから構成されためっき層14を形成する。具体的には、シールリング101が接合された基台2をNi陽イオンや酸成分(またはアルカリ成分)を含むめっき液内に配置した状態で、シールリング101とめっき液内に配置された陽極との間に電気を流すことにより、シールリング101の表面上にNiめっき層14aを形成する。そして、Niめっき層14aが形成されたシールリング101を洗浄して乾燥させた後、シールリング101が接合された基台2をAu陽イオンや酸成分(またはアルカリ成分)を含むめっき液内に配置した状態で、シールリング101とめっき液内に配置された陽極との間に電気を流すことにより、Niめっき層14a上にAuめっき層14bを形成する。そして、Auめっき層14bが形成されたシールリング101を洗浄して乾燥させる。
ここで、第1実施形態では、被覆層12が導電性を有する純Niから構成されていることにより、めっき層14は被覆層12の上に十分に形成される。また、基材層11の上面11aに露出する介在物Iが被覆層12により覆われていることにより、介在物I上であってもめっき層14が十分に形成される。
一方、図9に示すように、被覆層が設けられていない従来例1のシールリング401では、絶縁性の介在物I上にめっき層14は十分に形成されずに、その結果、絶縁性の介在物I上にピンホールなどの欠陥が形成される。そして、欠陥内にめっき液の酸成分(またはアルカリ成分)が残存することなどに起因して、シールリング401の表面に変色が発生してしまう。この変色が発生した領域は、外観不良となるだけでなく、腐食発生の起点となり得る。
なお、めっき層14が形成された状態のシールリング101を圧延することによって、たとえ、介在物Iに起因する欠陥がめっき層14に形成されていたとしても、欠陥を塞ぐようにめっき層14を延ばすことが可能である。これにより、めっき層14に欠陥が生じるのをより抑制することが可能である。
その後、基台2の凹部2aにバンプ4を介して電子部品5(図4参照)を取り付ける。最後に、基台2にろう付け接合されたシールリング101と蓋部材3とをシーム溶接により溶接する。
この際、第1実施形態では、シールリング101の表面に変色が発生するのが抑制されているため、シールリング101と蓋部材3とが良好に溶接される。この結果、気密封止性が確保されたパッケージ100(図4参照)が作製される。一方、図9に示すように、被覆層が設けられていない従来例1のシールリング401では、シールリング401の表面に変色領域やピンホールが形成されているため、変色が発生した領域で溶接が不十分になる。この結果、シールリング401を用いたパッケージの気密封止の信頼性が低下してしまう。
なお、基材層11の側面11cに露出する介在物Iは被覆層により覆われていないため、従来例1と同様に、側面11c上のめっき層14にはピンホールなどの欠陥が形成されると考えられる。しかしながら、側面11c上のめっき層14は、シールリング101と蓋部材3とのシーム溶接には関係がないので、パッケージ100の気密封止性に影響はない。また、基材層11の下面11bにはめっき層が形成されないため、介在物Iによるめっき層の欠陥も形成されない。
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、基材層11の少なくとも上面11a上に、基材層11の上面11aに露出する介在物Iを覆う被覆層12を配置する。これにより、被覆層12により基材層11の上面11aに露出する介在物Iが覆われているので、Ni層14aおよびAu層14b(めっき層14)を形成する際に、基材層11の上面11a側においてシールリング101に変色が発生するのを抑制することができる。この結果、基材層11の上面11a側においてシールリング101に蓋部材3をシーム溶接する際に、変色に起因してシールリング101と蓋部材3とが十分に溶接されなくなるのを抑制することができる。したがって、気密封止性が確保されたパッケージ100を得ることができる。
また、第1実施形態では、シールリング1を、被覆層12と基材層11と銀ろう層13とがこの順で互いに接合されたクラッド材10から構成する。これにより、被覆層12と基材層11とを互いに接合させることによって、めっきにより被覆層12を形成する場合と比べて、絶縁性の介在物Iを覆う被覆層12をより確実に形成することができる。この結果、変色の発生をより抑制することができる。また、基材層11と銀ろう層13とを互いに接合することによって、基材層11と銀ろう層13とを容易に一体化することができる。
また、第1実施形態では、被覆層12の厚みt2を介在物Iの平均粒径の約50%以上にすることによって、被覆層12により基材層11の上面11aに露出する介在物Iを十分に覆うことができる。
また、第1実施形態では、被覆層12を純Niから構成することによって、基材層11の上面11a側においてシールリング101に蓋部材3をシーム溶接しやすくすることができる。
また、第1実施形態では、シールリング1に、基材層11の下面11b上に配置され、銀ろう材から構成された銀ろう層13を設ける。これにより、銀ろう層13を溶融させることによって、基材層11の下面11b側において、シールリング1(101)を基台2に容易にろう付け接合することができる。また、ろう付け接合時に銀ろう材とシールリング1との位置決めを行う必要がないので、シールリング1を基台2により容易にろう付け接合することができる。
<第2実施形態>
次に、図1〜図4、図7および図10〜図15を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態において考慮した変色に加えて、銀ろう割れも考慮した場合について説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
[シールリングの構造]
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第2実施形態によるシールリング501の構造を説明する。
第2実施形態によるシールリング501は、図1および図2に示すように、基材層11と、基材層11の上面11aに接合された被覆層512と、基材層11の下面11bに接合された銀ろう層13と、が接合された3層構造のクラッド材510から構成されている。なお、被覆層512は、特許請求の範囲の「金属被覆層」の一例である。
ここで、被覆層512は、図3に示すように、基材層11の上面11aに露出する介在物IをZ1側から覆うように、基材層11の上面11a上に接合されている。これにより、介在物Iがシールリング501の上面501aに露出するのが抑制されている。さらに、被覆層512は、シールリング501を基台2にろう付け接合する際に、基材層11の側面11cを這い上がった銀ろう層13の銀ろう材が、基材層11の上面11aに接触するのを抑制する機能も有している。
また、被覆層512は、NW2201(JIS規格)などの純Niから構成されている。なお、被覆層512は、純Niではなく、Ni−P(リン)合金やNi−Cu(銅)合金などのNi合金から構成してもよい。
また、被覆層512のZ方向の厚みt4は、介在物Iの平均粒径に基づくことに加えて、銀ろう材が基材層11の上面11aに接触して銀ろう割れが発生するのを抑制可能な厚みt4に形成されている。詳細には、シールリング501を基台2にろう付け接合する際に、基材層11のコバールは、ろう付け接合時の熱に起因して結晶粒径が大きくなる。たとえば、基材層11のコバールの平均結晶粒径(平均結晶粒度)が約10μm以上約300μm以下に成長する。なお、基材層11の結晶粒径は、JIS G 0551の規格に基づいて取得することが可能である。それに加えて、ろう付け接合時に、シールリング501の基材層11の下面11b上に配置された銀ろう層13の銀ろう材が基材層11の側面11cを這い上がり、シールリング501の上面501aに到達する場合がある。ここで、銀ろう材が結晶成長した基材層11の上面11aから粒界に侵入して基材層11の上面11aに銀ろう割れが生じるのを確実に抑制するために、被覆層512の厚みt4は、基材層11の平均結晶粒径の約1/75倍以上になるように形成されている。たとえば、基材層11の平均結晶粒径が約200μmの場合には、被覆層512の厚みt4は、約2.7(=200/75)μm以上であるのが好ましい。
なお、基材層11の上面11aに銀ろう割れが生じるのをより確実に抑制するために、被覆層512の厚みt4は基材層11の平均結晶粒径の約1/50倍以上であるのが好ましい。また、第2実施形態のシールリング501のその他の構成は、上記第1実施形態のシールリング1と同様である。
[パッケージの構造]
次に、図2および図4を参照して、第2実施形態によるシールリング501(601)を用いたパッケージ600の構造を説明する。なお、パッケージ600は、特許請求の範囲の「電子部品収容パッケージ」の一例である。
第2実施形態によるパッケージ600では、図4に示すように、図2に示すシールリング501の銀ろう層13が溶融することによって、基台2の接合面2bにろう付け接合されている。このため、シールリング601には、銀ろう層13が溶融した溶融銀ろう層13aが設けられている。なお、第2実施形態のパッケージ600のその他の構成は、上記第1実施形態のパッケージ100と同様である。また、第2実施形態によるシールリング501の製造プロセスは、被覆層512の厚みt4を除いて、上記第1実施形態のシールリング1の製造方法と同様である。
[パッケージの製造方法]
次に、図3、図4および図7、図10〜図15を参照して、第2実施形態によるパッケージ600の製造プロセスについて説明する。なお、図10〜図12および図14では、基材層11の上面11a近傍の介在物I、被覆層512および銀ろう割れ511dを拡大して図示する一方、基材層11の内部の介在物Iや、基材層11の下面11bおよび側面11cに露出する介在物Iの図示は省略している。また、図15では、銀ろう割れ511dを拡大する一方、介在物Iの図示を省略している。
まず、図7に示すように、シールリング501を箱状に形成された基台2の接合面2b上に配置する。その後、シールリング501および基台2を約780℃程度の温度に加熱することにより、銀ろう層13の銀ろう材を溶融させる。
この際、基材層11のコバールは、ろう付け接合時の熱に起因して結晶粒径が大きくなる。さらに、図8に示すように、溶融した銀ろう材は、基材層11の側面11cを這い上がり、一部は被覆層512上に到達する。ここで、溶融した銀ろう材のうち、基材層11に接触する銀ろう材は、結晶成長した基材層11を構成するコバールの粒界に差し込まれる。このため、基材層11の銀ろう材に覆われた側面11cには、銀ろう材が粒界に侵入する(差し込まれる)ことによって割れ(銀ろう割れ11d)が発生する。一方、基材層11の上面11a上に形成された被覆層512により、溶融した銀ろう材が直接的に上面11aに接触することが抑制されているので、基材層11の上面11aには、銀ろう割れ11dがほとんど発生しない。ここで、被覆層512の厚みt4が基材層11の平均結晶粒径の約1/75倍以上であることによって、銀ろう材が上面11aに接触するのがより抑制される。
一方、図13に示すように、被覆層が設けられていない従来例2のシールリング701では、基材層11の上面11aに到達した銀ろう材に起因して、側面11cだけでなく上面11aにおいても、銀ろう割れ11dが発生してしまう。
その後、図11に示すように、冷却されて固化した銀ろう材のうち、被覆層512上などに残存した余分な銀ろう材を除去することによって、溶融銀ろう層13aが形成される。そして、図12に示すように、溶融銀ろう層13aを含むシールリング601の露出する表面に、電解めっき処理により、Ni層14aとAu層14bとから構成されためっき層14を形成する。
ここで、第2実施形態では、基材層11の上面11aに露出する介在物Iが被覆層512により覆われていることにより、介在物I上であってもめっき層14が十分に形成される。一方、図13に示すように、被覆層が設けられていない従来例2のシールリング701では、絶縁性の介在物I上にめっき層14は十分に形成されずに、その結果、絶縁性の介在物I上にピンホールなどの欠陥が形成される。そして、欠陥内に残存しためっき液の成分などの異物に起因してシールリング701の表面に変色が発生してしまう。
その後、基台2の凹部2aにバンプ4を介して電子部品5(図4参照)を取り付ける。最後に、図14に示すように、基台2にろう付け接合されたシールリング601と蓋部材3とをシーム溶接により溶接する。具体的には、シールリング601の上に蓋部材3を配置した状態で、ローラ電極304により蓋部材3を上方から押し付ける。そして、ローラ電極304に通電しながらローラ電極304を蓋部材3上で移動させることによって、シールリング601のめっき層14と蓋部材3のNiめっき層3bとを溶融させる。これにより、シールリング601と蓋部材3とが溶接される。
この際、第2実施形態では、シールリング601の表面に変色が発生するのが抑制されているため、シールリング601と蓋部材3とが良好に溶接される。さらに、ローラ電極304が蓋部材3の上方から押し付けられることにより、シールリング601のZ1側には、蓋部材3を介して下方に加重が加えられる。しかしながら、銀ろう割れ11dが基材層11の上面11a側に形成されていないことにより、銀ろう割れに起因するクラックが基材層11に形成されるのが抑制される。これにより、気密封止性が確保されたパッケージ600(図4参照)が作製される。
一方、図15に示すように、被覆層が設けられていない従来例2のシールリング701では、シールリング701の表面に変色領域やピンホール(図13参照)が形成されているため、変色が発生した領域で溶接が不十分になる。さらに、ローラ電極304による加重がシールリング701のZ1側に加えられることによって、基材層11の上面11a側では、銀ろう割れ11dを起点としてクラックが発生してしまう。これらの結果、溶接が不十分であることに加えて、クラックによりシールリング701の剛性が低下することによって、シールリング701を用いたパッケージの気密封止の信頼性がより低下してしまう。
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、基材層11の上面11a上に、基材層11の上面11aに露出する介在物Iを覆う被覆層512を配置する。これにより、第1実施形態と同様に、基材層11の上面11a側においてシールリング601に変色が発生するのを抑制することができる。この結果、変色に起因してシールリング601と蓋部材3とが十分に溶接されなくなるのを抑制することができる。
また、第2実施形態では、被覆層512の厚みt4は、基材層11の平均結晶粒径の約1/75倍以上である。これにより、被覆層512上に到達した銀ろう材が基材層11の上面11aに到達するのを抑制することができるので、銀ろう割れ11dに起因してシールリング601の機械的強度が低下するのを抑制することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
<実施例>
次に、図2、図16および図17を参照して、本発明の第2実施形態の効果を確認するために行った銀ろう割れに起因するコバール材(Fe−Ni−Co系合金材)の剛性試験について説明する。
(試験材)
コバール材の剛性試験では、100μm、200μmおよび300μmの結晶粒径を有するコバールからなるコバール材811をそれぞれ準備した。なお、0.5mmの厚みt5、2mmの幅W、および、100mmの長さLを有するコバール材811(図16および図17参照)を準備した。そして、図16に示すように、3種のコバール材811の全面を覆うように電解めっき処理を行うことによって、コバール材811の表面に純Niから構成されるNiめっき層815を形成した。この際、Niめっき層815の厚みt6が、2μm、4μm、および、6μmになるように、それぞれ電解めっき処理を行った。この結果、コバールの結晶粒径およびNiめっき層815の厚みt6がそれぞれ異なる9種の試験材801(実施例)を作製した。また、Niめっき層815を形成しない(Niめっき層815の厚みt6が0μmである)3種のコバール材811を試験材801(比較例)として準備した。そして、この12種の試験材801に対して、銀ろう割れに起因する剛性試験を行った。
(試験方法)
まず、図17に示すように、0.05mmの厚み、6mmの幅および10mmの長さを有し、72Ag−Cu合金の銀ろう材から構成されたU字状の銀ろう材816を準備した。また、12種の試験材801の各々にマスキング層817を形成した。その際、12種の試験材801に、銀ろう材816の幅と同程度だけ長手方向に露出する露出部分(マスキング層817を形成しない部分)を設けた。そして、露出部分を挟み込むように銀ろう材816を配置した。
その後、管状加熱炉305における炉芯管306の内部に、試験材801を配置して、試験材801の長手方向の一方端を固定した。そして、炉芯管306内部を水素雰囲気で、かつ、銀ろう材が溶融する840℃の温度条件にした状態で、試験材801の長手方向の他方端に4.9Nの定荷重で引っ張った。つまり、試験材801の露出部分に溶融した銀ろう材が配置された状態で、試験材801(コバール材811)に4.9N/mm(=4.9/(0.5×2))の引張応力を加えた。
そして、定荷重を加え始めてから試験材801が破断するまでの時間を破断時間として取得した。なお、定荷重を加え始めてから6000秒(100分)経過後であっても試験材801が破断しない場合には、破断せずと判断した。
(試験結果)
試験結果を表1に示す。
Figure 0005965529
試験結果としては、コバール材811の結晶粒径が100μmである場合には、Niめっき層815の厚みt6が2μm、4μmおよび6μmである場合に、試験材801は破断しなかった。つまり、Niめっき層815の厚みt6が、コバール材811の平均結晶粒径(100μm)の1/50倍以上である場合に、試験材801は破断しなかった。これは、溶融した銀ろう材がコバールの粒界に侵入するのがNiめっき層815により抑制されたことによって、試験材801の剛性の低下が抑制されたからであると考えられる。一方、Niめっき層815が形成されていない場合(0μmの場合)には、すぐに試験材801が破断した。これは、溶融した銀ろう材がコバールの粒界に侵入したことに起因して、引張応力によりコバール材811にクラックが発生し、その結果、試験材801の剛性が低下したからであると考えられる。
また、コバール材811の結晶粒径が200μmである場合には、Niめっき層815の厚みt6が4μmおよび6μmである場合に、試験材801は破断しなかった。つまり、Niめっき層815の厚みt6が、コバール材811の平均結晶粒径(200μm)の1/50倍以上である場合に、試験材801は破断しなかった。一方、Niめっき層815が形成されていない場合(0μmの場合)には、試験材801が破断し、Niめっき層815の厚みt6が2μmである場合には、2本の試験材801のうちの1本が破断した。
また、コバール材811の結晶粒径が300μmである場合にも、Niめっき層815の厚みt6が4μmおよび6μmである場合に、試験材801は破断しなかった。つまり、Niめっき層815の厚みt6が、コバール材811の平均結晶粒径(300μm)の1/75倍以上である場合に、試験材801は破断しなかった。一方、Niめっき層815が形成されていない場合(0μmの場合)には、試験材801が破断し、Niめっき層815の厚みt6が2μmである場合には、3本の試験材801のうち2本が破断した。
また、コバール材811の平均結晶粒径が大きくなるにつれて、破断を抑制するためにNiめっき層815の厚みt6を大きくする必要があることが判明した。これらを考慮した結果、Niめっき層815の厚みt6が、コバール材811の平均結晶粒径の1/75倍以上である場合に、十分に銀ろう割れを抑制することができるとともに、Niめっき層815の厚みt6が、コバール材811の平均結晶粒径の1/50倍以上である場合に、より効果的に銀ろう割れを抑制することが可能であることが判明した。
なお、上記第2実施形態のように、コバールから構成される基材層11と純Niから構成される被覆層512とが互いに接合されたクラッド材510からなるシールリング501(図2参照)であっても、本試験の結果に基づいて被覆層512の厚みt4を基材層11の平均結晶粒径の1/75倍以上にすれば、十分に銀ろう割れを抑制することができると考えられる。また、基材層11の結晶粒径が200μmまたは300μmで、かつ、被覆層512の厚みt4が2μmである場合には、基材層11の上面11aにおける銀ろう割れ11dを完全には抑制できないものの、介在物Iを覆うことが可能であり、その結果、変色の発生を抑制することは可能であると考えられる。
<変形例>
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
また、上記第1および第2実施形態では、コバール材の作製工程において、所定の元素が溶融時の熱などで酸化されて、絶縁性の介在物Iがコバール材(基材層11)の内部に分散される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、予め作成された絶縁性の介在物を基材層に分散させてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、電解めっき処理により、Ni層14aとAu層14bとから構成されためっき層14を形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、無電解めっき処理により、Ni層とAu層とから構成されためっき層を形成してもよい。
1、101、501、601 シールリング
10、510 クラッド材
11 基材層
11a 上面(一方表面)
11b 下面(他方表面)
12、512 被覆層(金属被覆層)
13 銀ろう層
100、600 パッケージ(電子部品収容パッケージ)
201 シールリング素材
I 介在物

Claims (4)

  1. 電子部品収容パッケージに用いられるシールリングであって、
    絶縁性の介在物が分散されたFe−Ni系合金から構成された基材層と、
    前記基材層の少なくとも一方表面上に配置され、前記基材層の前記一方表面に露出する前記介在物を覆う金属被覆層と、
    前記基材層の他方表面上に配置され、銀ろう材から構成された銀ろう層と、を備え
    前記金属被覆層と前記基材層と前記銀ろう層とがこの順で接合された3層構造のクラッド材から構成されており、
    前記金属被覆層の厚みは、前記介在物の平均粒径の50%以上である、シールリング。
  2. 前記金属被覆層は、NiまたはNi合金から構成されている、請求項1に記載のシールリング。
  3. 前記金属被覆層の厚みは、結晶成長した前記基材層の平均結晶粒径の1/75倍以上である、請求項またはに記載のシールリング。
  4. 電子部品収容パッケージに用いられるシールリングの素材であって、
    絶縁性の介在物が分散されたFe−Ni系合金から構成された基材層と、
    前記基材層の少なくとも一方表面上に配置され、前記基材層の前記一方表面に露出する前記介在物を覆う金属被覆層と、
    前記基材層の他方表面上に配置され、銀ろう材から構成された銀ろう層と、を備え
    前記金属被覆層と前記基材層と前記銀ろう層とがこの順で接合された3層構造のクラッド材から構成されており、
    前記金属被覆層の厚みは、前記介在物の平均粒径の50%以上である、シールリング素材。
JP2015221075A 2015-11-11 2015-11-11 シールリングおよびシールリング素材 Active JP5965529B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015221075A JP5965529B1 (ja) 2015-11-11 2015-11-11 シールリングおよびシールリング素材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015221075A JP5965529B1 (ja) 2015-11-11 2015-11-11 シールリングおよびシールリング素材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5965529B1 true JP5965529B1 (ja) 2016-08-10
JP2017092266A JP2017092266A (ja) 2017-05-25

Family

ID=56692718

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015221075A Active JP5965529B1 (ja) 2015-11-11 2015-11-11 シールリングおよびシールリング素材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5965529B1 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02303058A (ja) * 1989-05-17 1990-12-17 Kyocera Corp 半導体素子収納用パッケージ
JP2006049595A (ja) * 2004-08-05 2006-02-16 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk 銀ろうクラッド材並びにパッケージ封止用の蓋体及びリング体
JP2013038188A (ja) * 2011-08-05 2013-02-21 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk パッケージ封止用の蓋体

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02303058A (ja) * 1989-05-17 1990-12-17 Kyocera Corp 半導体素子収納用パッケージ
JP2006049595A (ja) * 2004-08-05 2006-02-16 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk 銀ろうクラッド材並びにパッケージ封止用の蓋体及びリング体
JP2013038188A (ja) * 2011-08-05 2013-02-21 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk パッケージ封止用の蓋体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017092266A (ja) 2017-05-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5362719B2 (ja) 接合構造および電子部品の製造方法
JP5632563B2 (ja) 気密封止用蓋材および電子部品収納用パッケージ
JP4350753B2 (ja) ヒートシンク部材およびその製造方法
KR101918877B1 (ko) 기밀 밀봉용 덮개재, 기밀 밀봉용 덮개재의 제조 방법 및 전자 부품 수납 패키지
JP2003209197A (ja) 電子部品用パッケージ、その蓋体、その蓋体用の蓋材およびその蓋材の製造方法
JP2010251716A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP5558338B2 (ja) 接合体、接合体の製造方法および電池パック
JP2011243752A (ja) 半導体装置の製造方法、半導体内部接続部材および半導体内部接続部材群
JP2008235531A (ja) 気密封止用パッケージおよび接続構造
JP5965529B1 (ja) シールリングおよびシールリング素材
JP2009190080A (ja) 銅銀系ろう材および電子部品用パッケージの蓋用クラッド材
JP5187230B2 (ja) 薄膜温度センサ及びその製造方法
JP5310309B2 (ja) はんだコートリッド
JP4285753B2 (ja) ハーメチックシールカバー及びその製造方法
JPWO2006098233A1 (ja) 電子部品用パッケージ、その蓋体、その蓋体用の蓋材及びその蓋材の製造方法
JP3444832B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP3832414B2 (ja) ハーメチックシール用キャップ
JP5025471B2 (ja) 電子部品パッケージ、その製造方法及び電子部品パッケージ用蓋材
JP2007329224A (ja) コイル部品
JP6493161B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP4397738B2 (ja) 電子部品用パッケージおよびその製造方法並びに電子部品用パッケージの蓋材
KR101152979B1 (ko) 전기접점과 솔더의 결합방법
JP2515138B2 (ja) 電子回路搭載用ケ―ス及びその製造方法
JP2022026897A (ja) 積層体および積層体の製造方法
JP2006032833A (ja) ワイヤーボンディング用ボール、ボンディングワイヤー及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160607

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160701

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5965529

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350