JP2015105543A - ハイブリッドh形鋼梁の補剛構造 - Google Patents

ハイブリッドh形鋼梁の補剛構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2015105543A
JP2015105543A JP2013248886A JP2013248886A JP2015105543A JP 2015105543 A JP2015105543 A JP 2015105543A JP 2013248886 A JP2013248886 A JP 2013248886A JP 2013248886 A JP2013248886 A JP 2013248886A JP 2015105543 A JP2015105543 A JP 2015105543A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hybrid
stiffener
steel
web plate
web
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013248886A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6375616B2 (ja
Inventor
西田 裕一
Yuichi Nishida
裕一 西田
聡 北岡
Satoshi Kitaoka
聡 北岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2013248886A priority Critical patent/JP6375616B2/ja
Publication of JP2015105543A publication Critical patent/JP2015105543A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6375616B2 publication Critical patent/JP6375616B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Rod-Shaped Construction Members (AREA)

Abstract

【課題】ウェブ板をスチフナで補剛することで、コストを最小限に抑えつつ曲げ耐力の増大を図り、スチフナがウェブ板の局部座屈の発生を抑制して、早期の耐力喪失を簡易に防止することのできるハイブリッドH形鋼梁の補剛構造を提供する。
【解決手段】降伏強度ffのフランジ板1と降伏強度fwのウェブ板2とが接合されてff>fwとなるハイブリッドH形鋼3を梁材として用いたハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7に関する。フランジ板1の降伏強度ffと、ウェブ板2の降伏強度fwと、ハイブリッドH形鋼3のウェブ高さhの中心軸に関するフランジ板1の断面係数Zfと、ウェブ板2の断面係数Zwとの関係は、所定の関係を満足する関数αで表されるものである。ウェブ板2は、柱材5に接合される梁端部21にスチフナ4が取り付けられて補剛される。
【選択図】図1

Description

本発明は、降伏強度の異なるフランジ板とウェブ板とを接合させて形成されたハイブリッドH形鋼を梁材として用いたハイブリッドH形鋼梁の補剛構造に関する。
従来より、超高層ビルや物流倉庫といった大型案件の需要増に伴う部材断面の大形化に伴い、H形断面の鉄骨梁に対して高強度の鋼材が使用されるケースが増加している。例えば、降伏強度の異なるフランジとウェブとを接合させて形成されたH形断面の鉄骨梁として、特許文献1、2に開示されるハイブリッドH形鋼が提案されている。
特許文献1に開示されたハイブリッドH形鋼は、フランジを軟鋼とするとともに、ウェブを高張力鋼としたものである。特許文献1に開示されたハイブリッドH形鋼は、大きな荷重が作用し、フランジが降伏し始めた後も、ウェブが弾性範囲内にあることで、フランジの局部変形が拘束されることを特徴とするものである。
特許文献2に開示されたハイブリッドH形鋼は、降伏強度f1のT形鋼と降伏強度f2のウェブ板とを溶接により接合して形成されるウェブ高さhのハイブリッドH形鋼であり、f1>f2となるものである。特許文献2に開示されたハイブリッドH形鋼は、T形鋼のウェブ高さh1が、h1≧(f1−f2)×h/(2×f1)となるように設定されることで、フランジが降伏する前にウェブに降伏が生じないようにすることを特徴とするものである。なお、T形鋼には、圧延T形鋼又はCT形鋼が用いられる。
特開平4−269249号公報 特開2008−297839号公報
しかし、特許文献2に開示されたハイブリッドH形鋼は、一般に、曲げ耐力に対する寄与の大きいフランジに高強度鋼を適用すれば梁の曲げ耐力は増大するが、曲げ耐力に対してウェブの寄与が大きい断面の場合、例えば、梁せいが大きく、梁幅が小さい断面については、強度の高いフランジが降伏する前に、強度の低いウェブがフランジ近傍で早期に降伏するものとなり、曲げ耐力を十分に増大することができないおそれがあるという問題点があった。
また、特許文献2に開示されたハイブリッドH形鋼は、T形鋼とウェブの降伏強度に大きな差がある場合(f1>>f2)に、T形鋼のウェブ高さh1が大きくなるものとなり、全断面に高強度鋼が用いられたH形鋼に近似することから、不経済となるという問題点があった。
さらに、特許文献2に開示されたハイブリッドH形鋼は、強度クラスが400N級、490N級の圧延T形鋼やCT形鋼を中心として用いられるものであるが、これ以上の強度クラスの圧延T形鋼やCT形鋼に関しては、材料入手が困難であるという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、フランジの降伏前にウェブの降伏が生じた場合に、曲げ耐力の十分な増大が困難なものとなるH形断面の条件を見極めて、ウェブ板をスチフナで補剛してコスト増大を最小限に抑えて曲げ耐力の増大を図り、スチフナがウェブ板の局部座屈の発生を抑制して、早期の耐力喪失を簡易に防止することのできるハイブリッドH形鋼梁の補剛構造を提供することにある。
第1発明に係るハイブリッドH形鋼梁の補剛構造は、降伏強度ffのフランジ板と降伏強度fwのウェブ板とが接合されてff>fwとなるハイブリッドH形鋼を梁材として用いたハイブリッドH形鋼梁の補剛構造であって、前記フランジ板の降伏強度ffと、前記ウェブ板の降伏強度fwと、前記ハイブリッドH形鋼のウェブ高さhの中心軸に関する前記フランジ板の断面係数Zfと、前記ウェブ板の断面係数Zwとの関係は、下記(1)式により規定される関係を満足する関数αで表されるものであり、前記ウェブ板は、柱材に接合される梁端部にスチフナが取り付けられて補剛されることを特徴とする。
Figure 2015105543
第2発明に係るハイブリッドH形鋼梁の補剛構造は、第1発明において、前記ウェブ板の降伏強度fwと、前記スチフナの降伏強度fsと、前記ハイブリッドH形鋼のウェブ高さhの中心軸に関する前記ウェブ板の断面係数Zwと、前記スチフナの断面係数Zsとの関係は、前記関数αとの関係で下記(2)式により規定される関係を満足する関数βで表されるものであり、前記ウェブ板は、前記ハイブリッドH形鋼のウェブ高さhの中心軸に対して略対称に前記スチフナが取り付けられることを特徴とする。
Figure 2015105543
第3発明に係るハイブリッドH形鋼梁の補剛構造は、第1発明において、前記スチフナは、柱材のフェースから30mm以上、100mm以下の距離d1で離間させるとともに、上部及び下部の前記フランジ板から30mm以上の距離d2で離間させて、前記ウェブ板の両面に取り付けられることを特徴とする。
第1発明〜第3発明によれば、ハイブリッドH形鋼が上記(1)式により規定される関係を満足するときに、ウェブ板が早期に降伏するものとなるが、スチフナが曲げ耐力に寄与するものとなるため、全断面高強度形鋼梁の降伏曲げモーメントMy1と同等以上の降伏曲げモーメントMy2を確保することが可能となる。
第1発明〜第3発明によれば、高強度鋼がフランジ板のみに用いられたハイブリッドH形鋼であっても、全体が高強度鋼から構成される全断面高強度形鋼梁と同等の曲げ耐力を確保することができる。これにより、第1発明〜第3発明によれば、全断面高強度形鋼梁と同等の曲げ耐力を確保しながら、ウェブ板に従来鋼を用いることで、全断面高強度形鋼梁と比較して、ハイブリッドH形鋼の製造コストを著しく低減させることが可能となる。
第1発明〜第3発明によれば、早期の耐力喪失を防止するものとして、ウェブ板の梁端部にスチフナが取り付けられて補剛されるため、ハイブリッドH形鋼の耐力が十分に引き出されるものとなって、かつ、ウェブ板の局部座屈による早期の耐力喪失を簡易に防止することが可能となる。
特に、第2発明によれば、ハイブリッドH形鋼で特に問題となる関数αを変数として、関数βが上記(2)式に示される関係を満足するように、スチフナの寸法や取付位置が決定される。これにより、第2発明によれば、ハイブリッドH形鋼で特に問題となる関数αから関数βが設定されて、スチフナの寸法や取付位置が決定されることで、ハイブリッドH形鋼の設計、加工を容易にすることが可能となる。
特に、第2発明によれば、関数βが上記(2)式に示される関係を満足するように、スチフナの寸法や取付位置が決定されるため、関数βが上記(2)式により規定される関係を満足する取付位置に所定の寸法のスチフナを取り付けるだけで、容易な設計、加工によって、十分な曲げ耐力を確保したハイブリッドH形鋼を提供することが可能となる。
特に、第3発明によれば、柱材のフェースから、30mm以上、100mm以下の距離d1でスチフナ端部を離間させるとともに、上部フランジ板及び下部フランジ板から30mm以上の距離d2でスチフナ面を離間させて、ウェブ板の梁端部の両面に一対のスチフナが取り付けられる。これにより、第3発明によれば、ウェブ板の梁端部でスチフナ端部及びスチフナ面が離間されることで、溶接等によるスチフナの取付作業を容易にすることが可能となる。
本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造を示す斜視図である。 本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造を示す側面図である。 本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造を示す正面図である。 本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の計算モデルを示す正面図である。 本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁のPy2/Py1と関数αとの関係を示すグラフである。 本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造の解析モデルを示す正面図である。 本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造のMy2/My1と関数βとの関係を示すグラフである。
以下、本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、図1、図2に示すように、主に、建造物の上下方向に延びる柱材5に接合されて、両端拘束又は片端拘束された状態の左右方向に延びる梁材6に適用される。
本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、フランジの強度とウェブの強度とを異ならせたハイブリッドH形鋼3が梁材6として用いられるものであり、梁材6の幅方向Zに延びるフランジ板1と、梁材6の高さ方向Yに延びるウェブ板2とを備える。
フランジ板1は、ウェブ板2の上端部に溶接等によって接合される上部フランジ板11と、ウェブ板2の下端部に溶接等によって接合される下部フランジ板12とを有する。フランジ板1は、上部フランジ板11と下部フランジ板12とが互いに略平行となるように接合される。フランジ板1は、梁材6の幅方向Zで上部フランジ板11及び下部フランジ板12の略中央に所定の板幅twを有するウェブ板2が架設される。
上部フランジ板11及び下部フランジ板12は、梁材6の幅方向Zに所定のフランジ幅bf、フランジ厚tfを有するとともに、梁材6の長手方向Xに所定の長さLを有する。上部フランジ板11及び下部フランジ板12は、降伏強度ffが385N/mm2以上の高強度鋼の鋼板等が用いられる。なお、上部フランジ板11及び下部フランジ板12は、これに限らず、如何なる降伏強度ffの鋼板等が用いられてもよい。
ウェブ板2は、梁材6の高さ方向Yに所定のウェブ高さhを有するとともに、梁材6の長手方向Xに所定の長さLを有する。ウェブ板2は、降伏強度fwが325N/mm2以下の従来鋼の鋼板等が用いられる。なお、ウェブ板2は、これに限らず、ウェブ板2の降伏強度fwを上部フランジ板11及び下部フランジ板12の降伏強度ffよりも低くしたものであれば、如何なる降伏強度fwの鋼板等が用いられてもよい。
ウェブ板2は、梁材6の長手方向Xの端部となる梁端部21が、建造物の上下方向に延びる柱材5の側面となるフェース5aに溶接等で接合される。ウェブ板2は、所定のウェブ高さhの中心軸Cに対して略対称となるように、スチフナ4が一対となって取り付けられる。ウェブ板2は、梁材6の高さ方向Yに一対となって取り付けられるスチフナ4が、梁材6の幅方向Zでウェブ板2の両面に溶接等で接合されて、4枚のスチフナ4で補剛されるものとなる。
スチフナ4は、梁材6の幅方向Zに所定のスチフナ幅bs、スチフナ厚tsを有するとともに、梁材6の長手方向Xに所定のスチフナ長さLsを有する。スチフナ4は、降伏強度fsが325N/mm2以下の従来鋼の鋼板等が用いられる。なお、スチフナ4は、如何なる降伏強度fsの鋼板等が用いられてもよい。
スチフナ4は、図2、図3に示すように、柱材5のフェース5aから、30mm以上、100mm以下の距離d1でスチフナ端部4aを離間させるとともに、上部フランジ板11及び下部フランジ板12から30mm以上の距離d2でスチフナ面4bを離間させて、ウェブ板2の両面に取り付けられる。なお、スチフナ4は、これに限らず、柱材5のフェース5aや、上部フランジ板11及び下部フランジ板12から、如何なる距離で離間させて取り付けられてもよい。
スチフナ4は、梁材6の高さ方向Yの上側で、上部フランジ板11から距離d2で離間させて取り付けられる上部スチフナ41と、梁材6の高さ方向Yの下側で、下部フランジ板12から距離d2で離間させて取り付けられる下部スチフナ42とを備える。上部スチフナ41及び下部スチフナ42は、ウェブ板2の両面から梁材6の幅方向Zに延びて取り付けられる。
ハイブリッドH形鋼3は、図2に示すように、上部フランジ板11及び下部フランジ板12の降伏強度ffが385N/mm2以上となるフランジ板1と、降伏強度fwが325N/mm2以下となるウェブ板2とが接合される。ハイブリッドH形鋼3は、フランジ板1の降伏強度ffとウェブ板2の降伏強度fwとの関係がff>fwとなる。
ハイブリッドH形鋼3は、フランジ板1の降伏強度ffと、ウェブ板2の降伏強度fwと、所定のウェブ高さhの中心軸Cに関するフランジ板1の断面係数Zfと、所定のウェブ高さhの中心軸Cに関するウェブ板2の断面係数Zwとの関係が、下記(1)式により規定される関係を満足する関数αで表される。
Figure 2015105543
ハイブリッドH形鋼3は、ウェブ板2の降伏強度fwと、スチフナ4の降伏強度fsと、所定のウェブ高さhの中心軸Cに関するウェブ板2の断面係数Zwと、所定のウェブ高さhの中心軸Cに関するスチフナ4の断面係数Zsとの関係が、関数αとの関係で下記(2)式により規定される関係を満足する関数βで表される。
Figure 2015105543
ハイブリッドH形鋼3は、図4、図5に示すように、フランジ板1の降伏前にウェブ板2の降伏が生じることで、ハイブリッドH形鋼3の曲げ耐力を十分に増大できないものとなるH形断面の条件を見極めるための解析計算の結果が表される。
ハイブリッドH形鋼梁は、図4に示すように、柱材5のフェース5aにウェブ板2の梁端部21が固定された片持ち梁を想定して、ウェブ板2の梁端部21の反対側となる自由端部22で下方に向けた荷重Pが作用した場合を、この解析計算の計算モデルとしている。
この解析計算では、下記表1に表される各々の断面条件について、全断面高強度形鋼梁の降伏曲げ荷重Py1と、ハイブリッド形鋼無補剛梁の降伏曲げ荷重Py2とを比較している。ここで、全断面高強度形鋼梁とは、フランジ、ウェブともに550N級(降伏強度が385N/mm2)の高強度鋼が用いられるものである。また、ハイブリッド形鋼無補剛梁とは、ウェブ板2にスチフナ4が取り付けられていないもので、フランジに550N級の高強度鋼、ウェブに490N級(降伏強度が325N/mm2)の従来鋼が用いられるものである。
全断面高強度形鋼梁は、荷重Pが作用して初期剛性の1/3となって降伏するときに、降伏曲げ荷重Py1となる。ハイブリッド形鋼無補剛梁は、荷重Pが作用して初期剛性の1/3となって降伏するときに、降伏曲げ荷重Py2となる。
Figure 2015105543
この解析計算の結果では、図5に示すように、フランジ板1の降伏強度ffと、ウェブ板2の降伏強度fwと、フランジ板1の断面係数Zfと、ウェブ板2の断面係数Zwとの関係を示す関数αを横軸とするとともに、ハイブリッド形鋼無補剛梁の降伏曲げ荷重Py2を、全断面高強度形鋼梁の降伏曲げ荷重Py1で除した無次元数Py2/Py1を縦軸とすると、関数αの増大とともにPy2/Py1が減少することがわかる。
この解析計算の結果では、関数α≧0.1となるときに、ハイブリッド形鋼無補剛梁の降伏曲げ荷重Py2が、全断面高強度形鋼梁の降伏曲げ荷重Py1と比較して2%以上低下するものとなる。このとき、この解析計算の結果では、上記(1)式に表される関係を満足する場合に、フランジのみに高強度鋼を適用しても、フランジの降伏前にウェブの降伏が生じるものとなり、梁材6の曲げ耐力を全体として十分に増大することができないおそれがあるものとなる。
ハイブリッドH形鋼3は、図6に示すように、ウェブ板2の梁端部21にスチフナ4が取り付けられて補剛されるものであり、フランジ板1に550N級(降伏強度が385N/mm2)の高強度鋼、ウェブ板2に490N級(降伏強度が325N/mm2)の従来鋼が用いられる。
ハイブリッドH形鋼3は、図6、図7に示すように、ウェブ板2の自由端部22に曲げ荷重Pが作用して初期剛性の1/3となって降伏するときの降伏曲げモーメントについて、シェル要素によるFEM解析の結果が表される。
ハイブリッドH形鋼3は、図6に示すように、柱材5のフェース5aにウェブ板2の梁端部21が固定された片持ち梁を想定して、ウェブ板2の梁端部21の反対側となる自由端部22で下方に向けた曲げ荷重Pが作用した場合を、このFEM解析の解析モデルとしている。ハイブリッドH形鋼3は、ウェブ高さhの中心軸Cから所定の離間距離Dで、スチフナ4がウェブ板2に取り付けられる。
このFEM解析では、下記表2に表される各々の解析ケースについて、全断面高強度形鋼梁の降伏曲げモーメントMy1と、ハイブリッド形鋼無補剛梁及びハイブリッドH形鋼3の降伏曲げモーメントMy2とを比較している。ここで、各々の解析ケースについて、H形鋼断面寸法は、h=1300mm、bf=500mm、L=13000mm、tw=12mm、tf=40mmとしている。また、ハイブリッドH形鋼3の解析ケースについて、スチフナ4の寸法は、bs=200mm、ts=9mm、Ls=2167mmとしている。
Figure 2015105543
このFEM解析の結果は、下記表3に表されるものとなる。ハイブリッドH形鋼3は、図7に示すように、ウェブ板2の降伏強度fwと、スチフナ4の降伏強度fsと、ウェブ板2の断面係数Zwと、スチフナ4の断面係数Zsとの関係を示す関数βを横軸とするとともに、ハイブリッド形鋼無補剛梁及びハイブリッドH形鋼3の降伏曲げモーメントMy2を、全断面高強度形鋼梁の降伏曲げモーメントMy1で除した無次元数My2/My1を縦軸とすると、関数βの増大とともにMy2/My1が増大することがわかる。
Figure 2015105543
ハイブリッドH形鋼3は、図7に示すように、関数βに係数0.027を乗じた値に比例して、My2/My1が増大することがわかる。また、ハイブリッドH形鋼3は、My2/My1が1.00以上となれば、全断面高強度形鋼梁と同等の降伏曲げモーメントMy2を確保できる。ここで、関数βに乗じる係数0.027は、関数βとMy2/My1との関係を示す直線の傾斜を表すものであり、(1.002−0.981)/(0.79−0.00)=0.027として、算定される係数である。
y2/My1は、関数α、関数βとの関係で下記(3)式により規定される関係を満足する。
Figure 2015105543
ここで、F(α)は、断面形状によって規定される関数αを変数として、ハイブリッド形鋼無補剛梁のMy2/My1を示す関数であり、図7に示すように、β=0のときのMy2/My1の値を示すものである。F(α)は、図5に示すように、ハイブリッド形鋼無補剛梁の降伏曲げ荷重Py2を、全断面高強度形鋼梁の降伏曲げ荷重Py1で除した無次元数Py2/Py1が、My2/My1と等しくなることから、My2/My1と関数αとの関係を近似式であらわすと、下記(4)式により規定される関係を満足する。
Figure 2015105543
したがって、関数βは、My2/My1が1.00以上となることで、ハイブリッドH形鋼3が全断面高強度形鋼梁と同等の降伏曲げモーメントMy2を確保したものとなるときに、関数αとの関係で上記(2)式により規定される関係を満足するものとなることがわかる。
このとき、本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、ハイブリッドH形鋼3が上記(1)式により規定される関係を満足するときに、ウェブ板2が早期に降伏するものとなるが、スチフナ4が曲げ耐力に寄与するものとなるため、全断面高強度形鋼梁の降伏曲げモーメントMy1と同等以上の降伏曲げモーメントMy2を確保することが可能となる。
本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、ハイブリッドH形鋼3において、特に問題となる関数αを変数として、関数βが上記(2)式に示される関係を満足するように、スチフナ4の寸法や取付位置が決定される。これにより、本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、ハイブリッドH形鋼3で特に問題となる関数αから関数βが設定されて、スチフナ4の寸法や取付位置が決定されることで、ハイブリッドH形鋼3の設計、加工を容易にすることが可能となる。
本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、関数βが上記(2)式に示される関係を満足するように、スチフナ4の寸法や取付位置が決定される。これにより、本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、関数βが上記(2)式により規定される関係を満足する取付位置に所定の寸法のスチフナ4を取り付けるだけで、容易な設計、加工によって、十分な曲げ耐力を確保したハイブリッドH形鋼3を提供することが可能となる。
本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、高強度鋼がフランジ板1のみに用いられたハイブリッドH形鋼3であっても、全体が高強度鋼から構成される全断面高強度形鋼梁と同等の曲げ耐力を確保することができる。これにより、本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、全断面高強度形鋼梁と同等の曲げ耐力を確保しながら、ウェブ板2に従来鋼を用いることで、全断面高強度形鋼梁と比較して、ハイブリッドH形鋼3の製造コストを著しく低減させることが可能となる。
H形断面の鉄骨梁は、ウェブの幅厚比が大きいと、曲げ荷重Pが作用したときに梁端ウェブに局部座屈が生じやすくなるため早期の耐力喪失が懸念される。本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、早期の耐力喪失を防止するものとして、ウェブ板2の梁端部21にスチフナ4が取り付けられて補剛される。これにより、本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、ハイブリッドH形鋼3の耐力が十分に引き出されるものとなって、かつ、ウェブ板2の局部座屈による早期の耐力喪失を簡易に防止することが可能となる。
本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、図3に示すように、柱材5のフェース5aから、30mm以上、100mm以下の距離d1でスチフナ端部4aを離間させるとともに、上部フランジ板11及び下部フランジ板12から30mm以上の距離d2でスチフナ面4bを離間させて、ウェブ板2の梁端部21の両面に一対のスチフナ4が取り付けられる。これにより、本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、ウェブ板2の梁端部21でスチフナ端部4a及びスチフナ面4bが離間されることで、溶接等によるスチフナ4の取付作業を容易にすることが可能となる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
例えば、本発明を適用したハイブリッドH形鋼梁の補剛構造7は、ハイブリッドH形鋼3のフランジ板1の降伏強度ffを325N/mm2等とするとともに、ウェブ板2の降伏強度fwを235N/mm2等とした従来鋼等の組み合わせが用いられてもよい。
1 :フランジ板
11 :上部フランジ板
12 :下部フランジ板
2 :ウェブ板
21 :梁端部
22 :自由端部
3 :ハイブリッドH形鋼
4 :スチフナ
4a :スチフナ端部
4b :スチフナ面
41 :上部スチフナ
42 :下部スチフナ
5 :柱材
5a :フェース
6 :梁材
7 :補剛構造
X :長手方向
Y :高さ方向
Z :幅方向
h :ウェブ高さ
f :フランジ幅
f :フランジ厚
s :スチフナ幅
s :スチフナ厚
w :ウェブ板幅

Claims (3)

  1. 降伏強度ffのフランジ板と降伏強度fwのウェブ板とが接合されてff>fwとなるハイブリッドH形鋼を梁材として用いたハイブリッドH形鋼梁の補剛構造であって、
    前記フランジ板の降伏強度ffと、前記ウェブ板の降伏強度fwと、前記ハイブリッドH形鋼のウェブ高さhの中心軸に関する前記フランジ板の断面係数Zfと、前記ウェブ板の断面係数Zwとの関係は、下記(1)式により規定される関係を満足する関数αで表されるものであり、
    前記ウェブ板は、柱材に接合される梁端部にスチフナが取り付けられて補剛されること
    を特徴とするハイブリッドH形鋼梁の補剛構造。
    Figure 2015105543
  2. 前記ウェブ板の降伏強度fwと、前記スチフナの降伏強度fsと、前記ハイブリッドH形鋼のウェブ高さhの中心軸に関する前記ウェブ板の断面係数Zwと、前記スチフナの断面係数Zsとの関係は、前記関数αとの関係で下記(2)式により規定される関係を満足する関数βで表されるものであり、
    前記ウェブ板は、前記ハイブリッドH形鋼のウェブ高さhの中心軸に対して略対称に前記スチフナが取り付けられること
    を特徴とする請求項1記載のハイブリッドH形鋼梁の補剛構造。
    Figure 2015105543
  3. 前記スチフナは、柱材のフェースから30mm以上、100mm以下の距離d1で離間させるとともに、上部及び下部の前記フランジ板から30mm以上の距離d2で離間させて、前記ウェブ板の両面に取り付けられること
    を特徴とする請求項2記載のハイブリッドH形鋼梁の補剛構造。
JP2013248886A 2013-12-02 2013-12-02 ハイブリッドh形鋼梁の補剛構造 Active JP6375616B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013248886A JP6375616B2 (ja) 2013-12-02 2013-12-02 ハイブリッドh形鋼梁の補剛構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013248886A JP6375616B2 (ja) 2013-12-02 2013-12-02 ハイブリッドh形鋼梁の補剛構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015105543A true JP2015105543A (ja) 2015-06-08
JP6375616B2 JP6375616B2 (ja) 2018-08-22

Family

ID=53435836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013248886A Active JP6375616B2 (ja) 2013-12-02 2013-12-02 ハイブリッドh形鋼梁の補剛構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6375616B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017166122A (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 新日鐵住金株式会社 鉄骨梁および柱梁接合構造
JP2017166123A (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 新日鐵住金株式会社 鉄骨梁および柱梁接合構造
CN114960941A (zh) * 2022-05-19 2022-08-30 中国建筑东北设计研究院有限公司 一种高效能的焊接h型钢及其应用技术

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5269112U (ja) * 1975-11-18 1977-05-23
JPH04269249A (ja) * 1991-02-22 1992-09-25 Toshiro Suzuki ハイブリッド形鋼
JPH0617507A (ja) * 1992-06-30 1994-01-25 Toshiro Suzuki 構造部材の補強構造及び補強金具
JPH07224434A (ja) * 1994-02-15 1995-08-22 Sumitomo Metal Ind Ltd 露出柱脚
US20010004825A1 (en) * 1999-12-27 2001-06-28 Menendez Jose Miguel Building elements and building element assemblies formed therewith
JP2001271450A (ja) * 2000-03-27 2001-10-05 Taisei Corp 補助フランジ付き梁
JP2002220873A (ja) * 2001-01-26 2002-08-09 Ohbayashi Corp H形鋼製梁の梁端接合部構造
JP2008297839A (ja) * 2007-06-01 2008-12-11 Sumitomo Metal Ind Ltd ハイブリッドh形鋼
JP2013079508A (ja) * 2011-10-03 2013-05-02 Nippon Steel & Sumitomo Metal ラーメン骨組の柱梁接合部

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5269112U (ja) * 1975-11-18 1977-05-23
JPH04269249A (ja) * 1991-02-22 1992-09-25 Toshiro Suzuki ハイブリッド形鋼
JPH0617507A (ja) * 1992-06-30 1994-01-25 Toshiro Suzuki 構造部材の補強構造及び補強金具
JPH07224434A (ja) * 1994-02-15 1995-08-22 Sumitomo Metal Ind Ltd 露出柱脚
US20010004825A1 (en) * 1999-12-27 2001-06-28 Menendez Jose Miguel Building elements and building element assemblies formed therewith
JP2001271450A (ja) * 2000-03-27 2001-10-05 Taisei Corp 補助フランジ付き梁
JP2002220873A (ja) * 2001-01-26 2002-08-09 Ohbayashi Corp H形鋼製梁の梁端接合部構造
JP2008297839A (ja) * 2007-06-01 2008-12-11 Sumitomo Metal Ind Ltd ハイブリッドh形鋼
JP2013079508A (ja) * 2011-10-03 2013-05-02 Nippon Steel & Sumitomo Metal ラーメン骨組の柱梁接合部

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
星川 努 他: "「ウェブを水平スチフナで補強したH型鋼の塑性変形能力に関する実験」", 2011年度大会(関東)学術講演梗概集, JPN6017018985, 20 July 2011 (2011-07-20), pages 601 - 602, ISSN: 0003712318 *

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017166122A (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 新日鐵住金株式会社 鉄骨梁および柱梁接合構造
JP2017166123A (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 新日鐵住金株式会社 鉄骨梁および柱梁接合構造
CN114960941A (zh) * 2022-05-19 2022-08-30 中国建筑东北设计研究院有限公司 一种高效能的焊接h型钢及其应用技术

Also Published As

Publication number Publication date
JP6375616B2 (ja) 2018-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8056303B2 (en) Non load-bearing metal wall stud having increased strength
JP6375616B2 (ja) ハイブリッドh形鋼梁の補剛構造
US20150152995A1 (en) Structure including a frame having four sides and a closed cross-section structural member
JP2018131883A (ja) 床構造
KR20170005392A (ko) 개선된 강도를 가지는 모놀리스형 보를 사용하는 구조적 시스템 및 방법
JP6919672B2 (ja) H形鋼製梁
JP6400000B2 (ja) ロール成形角形鋼管
JP6003591B2 (ja) 圧延h形鋼
US20120186191A1 (en) Rolled h-section steel
JP2875106B2 (ja) 構造部材の補強構造及び補強金具
JP2017166123A (ja) 鉄骨梁および柱梁接合構造
JP6677030B2 (ja) フランジ構造及び形鋼
KR101554206B1 (ko) 서로 다른 두께의 강판콘크리트 벽체간 접합 구조
JP2009191487A (ja) H形鋼
JP6105878B2 (ja) 鉄骨梁および柱梁接合構造
JP2013002032A (ja) 波形鋼板耐震壁、及びこれの初期弾性せん断剛性算出方法
JP5231944B2 (ja) 乗客コンベア
JP5674338B2 (ja) 鋼製耐震壁
JP2008050766A (ja) 鉄筋トラスおよび鉄筋トラス付きデッキプレート
JP2021055464A (ja) 床スラブ付き鉄骨梁およびその補強方法
KR101509175B1 (ko) 철근 일체형 합성보 시스템
JP7314030B2 (ja) 開口を有する床スラブ付き鉄骨梁およびその補強方法
JP5851056B2 (ja) 車落下防護柵
JP6260554B2 (ja) 柱と梁の接合構造
JP2012188871A (ja) コンクリート充填円形鋼管柱

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160803

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170530

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170731

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180626

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180709

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6375616

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350