JP2012188871A - コンクリート充填円形鋼管柱 - Google Patents

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Abstract

【課題】柱梁接合部のパネルゾーンのせん断耐力、梁−鋼管接合部局部耐力、更に鋼管とコンクリートのせん断応力伝達に優れる、土木建築構造物に用いて好適なコンクリート充填円形鋼管柱を提供する。
【解決手段】円形断面の鋼管柱にコンクリートを充填したコンクリート充填円形鋼管柱であって、前記鋼管柱は柱梁接合部のパネルゾーンに相当する部位の鋼管の肉厚が、鋼管柱から前記パネルゾーンに相当する部位を除いた柱一般部よりも厚く、前記パネルゾーンに相当する部位の鋼管の外周部には前記柱梁接合部を構成する梁のフランジ高さとなる位置にリング状の金物が接合され、前記柱一般部の鋼管を径厚比66以上、前記パネルゾーンに相当する部位の鋼管の外径と前記柱一般部の鋼管の外径の比を1.01〜1.02、前記パネルゾーンに相当する部位の鋼管の内径と前記柱一般部の鋼管の内径の比を0.99以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、土木建築構造物に用いられるコンクリート充填円形鋼管柱に関する。
鋼管またはコンクリート充填鋼管(CFT造:Concrete Filled Steel Tubeの略とも言う)を柱とする、鋼管柱において柱に薄肉の鋼管、すなわち径厚比(管径/板厚)の大きいもの、一般的には径厚比66以上のもの、を用いると柱梁接合部で1.そのパネルゾーンのせん断耐力と、2.梁と鋼管の接合部局部耐力が不足する可能性があり、その解決のため、種々の提案がなされている。
例えば、コンクリートを充填しない鋼管柱体に関しては、特許文献1に鋼管柱101のうち、梁102を接合させる仕口部の補強部材105aを、その外周面104に少なくとも一つの略矩形状平坦面を有し、その内周面106が円形断面を有する筒状であって、柱一般部(補強部材105aの上下に接合される鋼管105)と比較して増厚に形成し、剛性・耐力を確保することが記載されている(図3)。
また、特許文献2には、ダイヤフラム付き鋼管柱に関し、鋼管105の局部を加熱して軸方向に圧縮することで、鋼管105の局部の板厚を増大させて外面側、内面側に突出して通しダイヤフラムとなるダイヤフラム109を形成し、梁102の梁フランジ102aと接合して仕口部とした鋼管柱が開示されている(図6)。
コンクリート充填鋼管の場合、更に、鋼管とコンクリート間でのせん断応力(鋼管とコンクリートの接触面に平行な方向の応力)伝達の向上が必要で、例えば、特許文献3には、鋼管コンクリート柱と梁の接合構造として、柱梁接合部(パネルゾーンとも言う)における鋼管コンクリート柱の鋼管部分を内面側にリブを設けた内面リブ付鋼管とし、コンクリートとの間でせん断応力伝達をより確実とすることが記載されている。
また、コンクリート充填鋼管の場合、1.柱と梁の接合部の内部構造が複雑で加工コストがかかることと、2.柱内部にコンクリートを充填する際、鋼管内面との間に隙間が発生しやすいことも問題とされている。
特許文献4は、コンクリート充填柱に関し、仕口部において鋼管105の外周面に嵌合して取り付けたリング状の外ダイヤフラム107に梁102を接合し、鋼管105の内周面で外ダイヤフラム107に対応する位置にはコンクリートのずれを止めるためのずれ止め材111を隅肉溶接で接合したコンクリート充填柱が開示され(図4)、当該隅肉溶接部(図では省略)のビード外観が上がり勾配をもつことからずれ止め材111の下面にコンクリート充填の際の気泡が集積せず、充填したコンクリート108と鋼管105の内周面との一体化が実現されることが記載されている。
また、特許文献4には仕口部において、鋼管105の内周面で外ダイヤフラム107に対応する位置に、中心部にコンクリートの充填用開口112を設けた内ダイヤフラム113を取り付けて梁フランジ102aとの接合部局所耐力を確保したコンクリート充填柱も開示されている(図5)。
特開平9−125599号公報 特開2001−355288号公報 特開平2−80729号公報 特開平8−41990号公報
鋼管柱、コンクリート充填円形鋼管柱のいずれであっても、特許文献1記載の鋼管柱のようにパネルゾーンを増厚した場合、せん断耐力・局部耐力への要求を同時に満足することが出来るが、仕口部における局部耐力を満足する板厚の鋼管とすると、パネルゾーンでの耐力が過剰となる場合がある。
一方、ダイヤフラムを取り付けて局部耐力(この場合ダイヤフラム耐力となる)を確保する場合は、パネルゾーンの耐力不足が解消されず、鋼管の内側にダイヤフラムを存在させる形式は、コンクリート充填円形鋼管柱の場合、充填コンクリート内に配筋が必要な場合に妨げになる可能性がある。
そこで本発明は、コンクリート充填円形鋼管柱(コンクリート充填円形鋼管柱という場合がある)において径厚比が大きい鋼管を用いた場合に柱梁接合部でそのパネルゾーンのせん断耐力と、梁と鋼管の接合部局部耐力をそれぞれが過剰な値とならないように満足させることが可能なコンクリート充填円形鋼管柱を提供することを目的とする。
本発明の課題は以下の手段で達成可能である。
1.円形断面の鋼管柱にコンクリートを充填したコンクリート充填円形鋼管柱であって、前記鋼管柱は柱梁接合部のパネルゾーンに相当する部位の鋼管の肉厚が、鋼管柱から前記パネルゾーンに相当する部位を除いた柱一般部よりも厚く、前記パネルゾーンに相当する部位の鋼管の外周部には前記柱梁接合部を構成する梁のフランジ高さとなる位置にリング状の金物が接合され、前記柱一般部の鋼管が径厚比66以上、前記パネルゾーンに相当する部位の鋼管の外径と前記柱一般部の鋼管の外径の比が1.01〜1.02、前記パネルゾーンに相当する部位の鋼管の内径と前記柱一般部の鋼管の内径の比が0.99以下であることを特徴とするコンクリート充填円形鋼管柱。
2.前記柱一般部の鋼管がスパイラル鋼管で、前記パネルゾーンに相当する部位の鋼管がストレートシームまたはシームレス鋼管であることを特徴とする1に記載のコンクリート充填円形鋼管柱。
本発明によれば、柱一般部に径厚比の大きい鋼管を用いたコンクリート充填柱において、
以下の効果が得られる。
1.柱梁接合部のパネルゾーンを増厚し、その外側に外ダイヤフラムを設けることで、パネルゾーンのせん断耐力と、梁との接合部局部耐力(またはダイヤフラム耐力)の要求を過不足無く満足することが可能である。
2.増厚部分の外径を柱一般部の外径よりも若干大きくすること、内径を若干小さくすることで、鋼管の形状及び施工誤差による柱一般部と増厚部の食い違いを防止し、施工コストが軽減される。
3.柱一般部にスパイラル鋼管を用いても、鋼管外周におけるビード高さを考慮する必要が無いため、外ダイヤフラムの内径を増厚部の外径に合わせて設計し、溶接施工性を確保することが出来る。
4.外ダイヤフラム形式であるため、ダイヤフラムにおける梁との接合部を直線切りすることで、梁端部の加工が容易となる。
本発明に係るコンクリート充填円形鋼管柱の構成を説明する図で(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A´断面図。 本発明に係るコンクリート充填円形鋼管柱を用いた骨組構造の一部を抽出した立面図。 従来の鋼管柱体に係る仕口部近傍の一部切欠側面図。 従来のコンクリート充填鋼管柱の縦断面図。 図4に示したコンクリート充填鋼管柱の横断面図でずれ止め材が充填用開口を備えた内ダイヤフラムの場合を示す図。 従来のコンクリート充填鋼管柱の縦断面図。
本発明は、コンクリート充填円形鋼管柱において、柱梁接合部でパネルゾーンとなる領域を増厚し、更にパネルゾーンに外ダイヤフラム形式のダイヤフラムを取り付けることを特徴とする。柱一般部鋼管の径厚比が66未満の場合、接合部の耐力不足が起こりにくいため、本発明は柱一般部鋼管の径厚比が66以上のコンクリート充填円形鋼管柱を対象とする。
以下の説明において柱梁接合部は柱と梁が接合された建築構造を指し、パネルゾーンと仕口部(梁と鋼管の接合部局部を指す)を含む用語として用いる。パネルゾーンは鋼管柱において梁による応力が作用する領域で主に接合される梁の高さの範囲内を指す用語として用いる。
図1は、本発明に係るコンクリート充填円形鋼管柱の構造を説明する図で、(a)は柱梁接合部の構造を示す縦断面図、(b)は(a)のA−A´断面図を示す。図において1はコンクリート充填円形鋼管柱、2は梁、2aは梁フランジ、2bは梁ウエブ、8はコンクリート、10は柱一般部鋼管、11は増厚部鋼管、12は外ダイヤフラムを示す。
図示したコンクリート充填円形鋼管柱1は梁2を取り付けた柱梁接合部とした場合にパネルゾーンとなる部分の鋼管(図において増厚部鋼管11)の肉厚をその他の部分の鋼管(図において柱一般部鋼管10)の肉厚より厚くする。
柱梁接合部のパネルゾーンとなる部分に柱一般部鋼管10より板厚の厚い増厚部鋼管11を用いて、パネルゾーンを増厚補強することにより、そのせん断耐力を柱曲げ耐力以上とすることが出来る。同様に増厚補強により、鋼管−梁接合部の局所耐力を梁の曲げ耐力以上とすることができる。
増厚部鋼管11の外径Dと柱一般部鋼管10の外径Dの比(D/D)は1.01〜1.02とする。一般構造用鋼管の径の公差は±1%、精度の良いもので±0.5%であるので、増厚部鋼管11の外径を柱一般部鋼管10の外径の1〜2%増とすることで、実工事において問題とされる柱一般部の外側への目違いが防止される。
一般に製造されている鋼管の外径はmm系列とインチ系列のものがあり、インチ系列の鋼管外径は最も近いmm系列の鋼管外径の1.6%増である。柱一般部鋼管10の外径が公差最大、かつ増厚部鋼管11の外径が公差最小となることが同時に生じる確率は低いため、柱一般部鋼管10としてmm系列の鋼管、増厚部鋼管11としてはインチ系列の鋼管を用いることで達成される。
また、増厚部鋼管11の内径と柱一般部鋼管10の内径の比(増厚部鋼管11の内径/柱一般部鋼管10の内径)が0.99以下となるように選定する。柱一般部鋼管10の内面が増厚部鋼管11の内面よりも外側に位置するよう配置することで、柱一般部鋼管10の内面と増厚部鋼管11の内面に段差が生じ、この段差が鋼管−コンクリート間のせん断応力伝達を可能とする機械的ずれ止めとして作用する。
増厚部鋼管11の外周部には増厚部鋼管11と柱梁仕口部を構成する梁2のフランジ高さにリング状の金物を外ダイヤフラム12として接合する。外ダイヤフラム12は、梁フランジ2aの板厚中心と外ダイヤフラム12の板厚中心が一致するように増厚部鋼管11の外周部に取り付けることが好ましい。
梁ウェブ2bの端面が増厚部鋼管11の外周と接するように梁ウェブ2bに外ダイヤフラム12が収まる切り込み(スカロップ)を設ける。図は切り込みに外ダイヤフラム12が収まった状態を示す。梁ウェブ2bにおける切り込み(スカロップ)の加工が容易なように、外ダイヤフラム12と梁フランジ2aの接合部は梁ウェブ2bと直交する直線状とする。
接合部は梁フランジ2aの端部を梁ウェブ2bと直角方向に切断し、外ダイヤフラム12が梁フランジ2aと接合する部分を梁フランジ2aより広い幅で、梁ウェブ2bと直角方向に切断して形成した開先を溶接などで接合する。
柱一般部鋼管10はスパイラル鋼管であっても良いが、増厚部鋼管11はストレートシームまたはシームレス鋼管とする。増厚部鋼管11は外ダイヤフラム12が接合されるため、施工性を考慮すると外周部のビードが妨げにならないよう、ストレートシーム鋼管、シームレスの鋼管とするか、ビードを削り取ることが望ましい。
なお、特許文献1記載の鋼管柱のようにコンクリート充填の無い鉄骨柱構造では増厚部分の板厚中心と柱一般部の板厚中心のずれが大きい場合、面外方向に偏心モーメントが作用するため柱構造性能に悪影響を及ぼすが、コンクリート充填円形鋼管柱では、内面において面外への移動が拘束されるためその影響は小さい。
図2に外観図を示す鋼管柱−梁構造部材を用いて本発明の実施例を示す。尚、図示した鋼管柱は内部にコンクリートを充填し、コンクリート充填円形鋼管柱としている。
柱梁の部材長中間にモーメント反曲点が存在すると仮定し、柱の該反曲点位置をピン−ピンローラー支持、梁の該反曲点位置に逆対称の荷重が作用する十字骨組にて部材断面の設計を行う。なお、柱の軸力比は0.4とする。
表1に示すとおり、柱が鋼管φ600−6(SN490)、充填コンクリートFc60のCFT柱、梁がH−600x250x12x25(SN490)の場合、パネルゾーンの増厚部鋼管をφ609.6−14(SN490)、ダイヤフラムは厚さ55mm、幅60mmのリング(SN490相当)とすることで、接合部耐力として「鋼構造接合部設計指針」(日本建築学会)が推奨する梁耐力×1.25以上が得られる。
ここで、柱の耐力は「コンクリート充填鋼管構造設計施工指針」(日本建築学会)の一般化累加強度式(cRu=1.0)、パネルせん断耐力・ダイヤフラム耐力は「鋼管構造設計施工指針」(日本建築学会)により算定している。ダイヤフラム耐力は梁ウェブの接合部耐力を含まないもので、梁フランジの軸降伏耐力×1.25倍以上であることを確認している。
Figure 2012188871
1 コンクリート充填円形鋼管柱
2 梁
2a 梁フランジ
2b 梁ウェブ
8 コンクリート
10 柱一般部鋼管
11 増厚部鋼管
12 外ダイヤフラム
101 鋼管柱
102 梁
102a 梁フランジ
103 仕口部
104 外周面
105 鋼管
105a 補強部材
106 内周面
107 外ダイヤフラム
108 コンクリート
109 ダイヤフラム
111、112、113 ずれ止め材

Claims (2)

  1. 円形断面の鋼管柱にコンクリートを充填したコンクリート充填円形鋼管柱であって、前記鋼管柱は柱梁接合部のパネルゾーンに相当する部位の鋼管の肉厚が、鋼管柱から前記パネルゾーンに相当する部位を除いた柱一般部よりも厚く、前記パネルゾーンに相当する部位の鋼管の外周部には前記柱梁接合部を構成する梁のフランジ高さとなる位置にリング状の金物が接合され、前記柱一般部の鋼管が径厚比66以上、前記パネルゾーンに相当する部位の鋼管の外径と前記柱一般部の鋼管の外径の比が1.01〜1.02、前記パネルゾーンに相当する部位の鋼管の内径と前記柱一般部の鋼管の内径の比が0.99以下であることを特徴とするコンクリート充填円形鋼管柱。
  2. 前記柱一般部の鋼管がスパイラル鋼管で、前記パネルゾーンに相当する部位の鋼管がストレートシームまたはシームレス鋼管であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート充填円形鋼管柱。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016132648A1 (ja) * 2015-02-17 2016-08-25 株式会社クボタ 鋼管の継手機構及び連結方法
WO2017155121A1 (ja) * 2016-03-11 2017-09-14 Jfeスチール株式会社 内部にコンクリートが充填された鋼管柱を用いた接合構造及びその製造方法

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