JP6677030B2 - フランジ構造及び形鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、所定の断面形状で形成された形鋼に設けられるフランジ構造、及び、所定の断面形状で形成された形鋼に関する。
従来から、梁フランジと柱との接合部で、柱側にスチフナを設けることなく、鋼材量の増加を招かずに、接合部近傍での応力集中による梁フランジの早期破壊を回避すること等を目的として、例えば、特許文献1に開示されるH形鋼等が提案されている。
特許文献1に開示されたH形鋼は、上下フランジの幅方向中央部の板厚t1を、幅方向中央部より外側の両縁端部の板厚t2よりも厚くする。特許文献1に開示されたH形鋼は、板厚が厚い幅方向中央部の板厚t2に対する、板厚が薄い両縁端部を板厚t1の比率(t1/t2)が、0.40以上、0.77以下に設定されて、フランジの幅方向中央部と両縁端部との板厚差により生じる段差がフランジ内面側に形成されることを特徴とする。
一方で、例えば非特許文献1に開示された鋼製I桁は、鋼製I桁のフランジ及びウェブを構成する鋼板にテーパー鋼板を適用した場合に、鋼製I桁の強度、変形性能及びエネルギー吸収性能について検討したものである。非特許文献1に開示された鋼製I桁は、鋼製I桁のフランジにおいて、テーパー鋼板の自由端側を薄くするとともに支持端側を厚くすることで、鋼製I桁フランジの圧縮時の強度、変形性能及びエネルギー吸収性能の向上が確認されたとするものである。
特開2015−190296号公報
「板幅方向にテーパーを有する鋼製自由突出板の圧縮強度と変形能」(鈴木康夫ほか 土木学会論文集A、Vol.62、No.3、pp.531−pp.542、2006.7)
ここで、H形鋼のフランジに代表されるように、圧縮応力が生じる条件の自由端が形成されたフランジ構造は、その局部座屈後の応力負担能力が低下することで、スチフナ等で補剛された場合と比較して、部材断面全体としてのエネルギー吸収性能が低下する。このため、実構造物の部材においては、フランジ構造に局部座屈を発生させないようにするか、又は、局部座屈発生後のフランジ構造を含む部材全体のエネルギー吸収性能が要求性能を満足するように、フランジ構造の幅厚比の上限を制限している。このことは、引張応力が生じる条件のフランジ構造と比較して、部材全体を構成する要素の板厚が増加することに直結するため、コストアップの要因となっている。
特許文献1に開示されたH形鋼では、フランジの幅方向中央部の板厚を両縁端部の板厚より厚くして、幅方向中央部の板厚と両縁端部の板厚との比率等を所定の範囲とすることで、フランジの幅方向中央部のひずみ発生量が抑制されるものとする。しかし、特許文献1に開示されたH形鋼では、フランジの局部座屈後の圧縮応力の負担能力や圧縮エネルギー吸収性能を向上させるという技術的思想は開示されていない。
また、非特許文献1に開示された鋼製I桁は、フランジとなるテーパー鋼板の自由端側を薄くするとともに支持端側を厚くして、鋼製I桁のフランジの圧縮時の強度、変形性能及びエネルギー吸収性能を向上させるものとする。しかし、非特許文献1に開示された鋼製I桁は、フランジがその板厚を幅方向で連続的に変化させたテーパー状に形成されるため、鋼構造の桁や梁として接合させて用いられる場合に、溶接接合やボルト接合の方法に工夫が必要となる。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであって、その目的とするところは、フランジの局部座屈後の圧縮応力の負担能力を高めて、形鋼全体のエネルギー吸収性能を向上させることのできるフランジ構造及び形鋼を提供することにある。
第1発明に係るフランジ構造は、所定の断面形状で形成された形鋼に設けられるフランジ構造であって、断面方向で幅方向に延びるフランジと、前記フランジに連結されるウェブとを備え、前記フランジは、前記ウェブが連結される拘束端側に厚板部が形成されて、前記ウェブから離間した自由端側に薄板部が形成されるとともに、前記厚板部の板厚tαよりも前記薄板部の板厚tβが小さくなって、前記フランジの幅方向の幅寸法Bfと前記フランジの断面積Afとの関係から、下記(1)式により算出される平均化幅厚比(b/t)avgが、8以上、18以下となり、前記フランジは、前記フランジの幅方向の幅寸法B f に対する前記薄板部の幅方向の幅寸法bβの比率(bβ/B f )が、1/2未満となることを特徴とする。
第2発明に係るフランジ構造は、第1発明において、前記フランジは、前記厚板部の板厚tαが幅方向で略均一となって、前記薄板部の板厚tβが幅方向で略均一となるとともに、前記厚板部と前記薄板部とが連続する箇所に段部が形成されて、前記厚板部の板厚tαに対する前記薄板部の板厚tβの比率(tβ/tα)が、1/3以上、5/6以下となることを特徴とする。
第3発明に係るフランジ構造は、第1発明又は第2発明において、前記フランジは、前記フランジの幅方向の幅寸法Bfに対する前記薄板部の幅方向の幅寸法bβの比率(bβ/Bf)が、1/4以上となることを特徴とする。
第4発明に係る形鋼は、所定の断面形状で形成された形鋼であって、断面方向で幅方向に延びる一対のフランジと、一対の前記フランジの各々の内面に連結されるウェブとを備え、各々の前記フランジは、前記ウェブが連結される拘束端側に厚板部が形成されて、前記ウェブから離間した自由端側に薄板部が形成されるとともに、前記厚板部の板厚tαよりも前記薄板部の板厚tβが小さくなって、前記ウェブが連結される各々の前記フランジの内面で、前記厚板部と前記薄板部とが連続する箇所に段部が形成されて、前記フランジの幅方向の幅寸法Bfと前記フランジの断面積Afとの関係から、下記(1)式により算出される平均化幅厚比(b/t)avgが、8以上、18以下となり、前記フランジは、前記フランジの幅方向の幅寸法B f に対する前記薄板部の幅方向の幅寸法bβの比率(bβ/B f )が、1/2未満となることを特徴とする。
第5発明に係る形鋼は、第4発明において、一対の前記フランジ及び前記ウェブは、幅方向で前記ウェブの両側方に各々の前記フランジが延びることで、断面略H形状に形成されることを特徴とする。
Figure 0006677030
第1発明〜第5発明によれば、フランジに厚板部及び薄板部が形成されて、特に、上記(1)式により算出される平均化幅厚比(b/t)avgが、8以上、18以下となることで、同一断面積のフランジで負担することのできる局部座屈後の圧縮応力、圧縮エネルギー吸収量が向上するため、経済的なフランジ構造を提供することが可能となる。
特に、第2発明、第3発明によれば、厚板部の板厚tαに対する薄板部の板厚tβの比率(tβ/tα)が、1/3以上、5/6以下となることで、又は、フランジの幅寸法Bfに対する薄板部の幅寸法bβの比率(bβ/Bf)が、1/4以上、3/4未満となることで、安定的なエネルギー吸収性能を確実に実現することが可能となる。
特に、第4発明、第5発明によれば、高さ方向の曲げ力でフランジに圧縮応力が生じる場合にも、フランジの局部座屈後の圧縮応力の負担能力を高めて、形鋼全体でのエネルギー吸収性能を向上させることが可能となる。また、フィラープレートと添接板とを用いたボルト摩擦接合等ができるため、ボルト接合等の方法に特段の工夫をすることなく、H形鋼等が用いられた梁端同士等を容易に接合させることが可能となる。
本発明を適用したフランジ構造が設けられた形鋼を示す斜視図である。 本発明を適用したフランジ構造が設けられたH形鋼を示す正面図である。 本発明を適用したフランジ構造が設けられた溝形鋼を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したフランジ構造が設けられたCT形鋼を示す正面図であり、(b)は、その山形鋼を示す正面図である。 本発明を適用したフランジ構造の数値解析モデルを示す斜視図である。 本発明を適用したフランジ構造で平均圧縮応力と平均ひずみとの関係を示すグラフである。 本発明を適用したフランジ構造でフランジの座屈強度と無次元化幅厚比との関係を示すグラフである。 (a)は、本発明を適用したフランジ構造で無次元化圧縮エネルギー吸収量と平均化幅厚比との関係を示すグラフであり、(b)は、平均ひずみε=3.0%のときにおける単位体積あたりの圧縮エネルギー吸収量を示すグラフである。 本発明を適用したフランジ構造で無次元化圧縮エネルギー吸収量と幅寸法比率との関係を示すグラフである。 本発明を適用したフランジ構造が設けられたH形鋼の接合例を示す正面図である。
以下、本発明を適用したフランジ構造1及び形鋼7を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用したフランジ構造1は、図1に示すように、所定の断面形状で形成された形鋼7に設けられる。本発明を適用した形鋼7は、例えば、住宅、学校、事務所、病院施設等の建築物において、柱材、梁材又は斜材等の構造材として用いられるほか、棚等の各種設備の構成材としても用いられる。
本発明を適用した形鋼7は、主に、図2に示すように、奥行方向Xに対する断面形状が略H形状に形成されたH形鋼71が用いられる。また、本発明を適用した形鋼7は、図3に示すように、断面形状が略C形状に形成された溝形鋼72が用いられてもよい。
本発明を適用した形鋼7は、図2、図3に示すように、奥行方向Xに対する断面方向で、幅方向Yに延びる一対のフランジ2と、高さ方向Zに延びるウェブ5とを備え、各々のフランジ2にウェブ5が連結されることで、一対のフランジ2にウェブ5が架設される。
本発明を適用した形鋼7は、例えば、H形鋼71が用いられる場合に、一対のフランジ2とウェブ5とを高周波抵抗溶接等で互いに接合した溶接軽量H形鋼が用いられる。また、本発明を適用した形鋼7は、一対のフランジ2とウェブ5とをサブマージアーク溶接等で接合した溶接H形鋼、又は、圧延で製造した圧延H形鋼等が用いられてもよい。
本発明を適用した形鋼7は、一対のフランジ2が高さ方向Zに離間して互いに略平行に形成されることで、各々のフランジ2の内面20が互いに対向して配置される。本発明を適用した形鋼7は、一対のフランジ2と略直交するようにウェブ5が形成されて、ウェブ5の高さ方向Zの両端部が、一対のフランジ2の各々の内面20に連結される。
本発明を適用した形鋼7は、図2に示すように、H形鋼71が用いられる場合に、各々のフランジ2が幅方向Yでウェブ5の両側方に延びることで、一対のフランジ2及びウェブ5が断面略H形状に形成される。
本発明を適用した形鋼7は、図3に示すように、溝形鋼72が用いられる場合に、各々のフランジ2が幅方向Yでウェブ5の片側方に延びることで、一対のフランジ2及びウェブ5が断面略C形状に形成される。
本発明を適用したフランジ構造1は、主に、図2に示すように、H形鋼71のフランジ2に設けられて、又は、図3に示すように、溝形鋼72のフランジ2に設けられる。また、本発明を適用したフランジ構造1は、図4に示すように、1個のフランジ2にウェブ5の片端部が連結されたCT形鋼73又は山形鋼74のフランジ2に設けられてもよい。
本発明を適用したフランジ構造1は、図2〜図4に示すように、断面方向で幅方向Yに延びるフランジ2と、フランジ2に連結されるウェブ5とを備える。
フランジ2は、ウェブ5が連結される拘束端側αに厚板部3が形成されて、ウェブ5が連結されていない自由端側βに薄板部4が形成される。フランジ2は、特に、幅方向Yの拘束端側αがウェブ5に連結されて拘束された状態となるとともに、幅方向Yの自由端側βがウェブ5から離間してウェブ5に拘束されていない状態となる。
フランジ2は、厚板部3の板厚tαよりも薄板部4の板厚tβが小さくなる。フランジ2は、例えば、厚板部3の板厚tαが幅方向Yで略均一となるとともに、薄板部4の板厚tβが幅方向Yで略均一となって、厚板部3が6mm〜16mm程度の板厚tαとなるとともに、薄板部4が2mm〜13mm程度の板厚tβとなる。
フランジ2は、厚板部3の板厚tαよりも薄板部4の板厚tβが小さくなって、厚板部3と薄板部4とが幅方向Yで連続する箇所に、所定の段差Δt(=tα−tβ)の段部6が形成される。フランジ2は、幅方向Yで所定の箇所に段部6が形成される。
フランジ2は、図2に示すように、H形鋼71の形鋼7に設けられる場合に、幅方向Yでウェブ5の両側方の各1箇所に段部6が形成される。また、フランジ2は、図3に示すように、溝形鋼72の形鋼7に設けられる場合に、幅方向Yでウェブ5の片側方の1箇所に段部6が形成される。フランジ2は、必要に応じて、幅方向Yでウェブ5の片側方又は両側方に、合計で2箇所以上の段部6が形成されてもよい。
フランジ2は、図2、図3に示すように、H形鋼71又は溝形鋼72に設けられる場合に、一対のフランジ2の各々の内面20が互いに対向して配置されて、一対のフランジ2の内面20に形成された各々の段部6が、幅方向Yで互いに略同一の位置に配置される。
フランジ2は、フランジ2の内面20にのみ段部6が形成されることで、フランジ2の外面21が略平坦状に形成される。フランジ2は、必要に応じて、フランジ2の外面21にのみ段部6が形成されて、フランジ2の内面20が略平坦状に形成されてもよく、また、フランジ2の内面20及び外面21に段部6が形成されてもよい。
フランジ2は、図2、図4(a)に示すように、H形鋼71又はCT形鋼73の形鋼7に設けられる場合に、例えば、幅方向Yの全幅寸法(=2×Bf)が40mm〜160mm程度となって、奥行方向Xに対する断面方向の全断面積(=2×Af)が160mm2〜2000mm2程度となる。また、フランジ2は、厚板部3の幅方向Yの全幅寸法(=2×bα)が20mm〜150mm程度となって、薄板部4の幅方向Yの全幅寸法(=2×bβ)が10mm〜80mm程度となる。
また、フランジ2は、図3、図4(b)に示すように、溝形鋼72又は山形鋼74の形鋼7に設けられる場合に、例えば、幅方向Yの幅寸法(=Bf)が40mm〜160mm程度となって、奥行方向Xに対する断面方向の断面積(=Af)が160mm2〜2000mm2程度となる。また、フランジ2は、厚板部3の幅方向Yの幅寸法(=bα)が20mm〜150mm程度となって、薄板部4の幅方向Yの幅寸法(=bβ)が10mm〜80mm程度となる。
フランジ2は、図2、図4(a)に示すように、H形鋼71又はCT形鋼73の形鋼7に設けられる場合に、幅方向Yで厚板部3の略中央にウェブ5が連結されて、ウェブ5から段部6までの延長が、厚板部3の幅寸法bαとなる。そして、フランジ2は、ウェブ5の両側方に形成された段部6よりも自由端側βでの各々の延長が互いに略同一となって、各々の自由端側βでの延長が、薄板部4の幅寸法bβとなる。
フランジ2は、図3、図4(b)に示すように、溝形鋼72又は山形鋼74の形鋼7に設けられる場合に、幅方向Yで厚板部3の片側端にウェブ5が連結されて、ウェブ5から段部6までの延長が、厚板部3の幅寸法bαとなる。そして、フランジ2は、ウェブ5の片側方に形成された段部6よりも自由端側βでの延長が、薄板部4の幅寸法bβとなる。
フランジ2は、奥行方向Xに対する断面方向の断面積Afが、厚板部3の幅寸法bα×厚板部3の板厚tα+薄板部4の幅寸法bβ×薄板部4の板厚tβで算出される。
ここで、本発明を適用したフランジ構造1は、特に、フランジ2の幅方向Yの幅寸法Bfと、フランジ2の断面積Afとの関係から、下記(1)式により算出される平均化幅厚比(b/t)avgが、8以上、18以下となる。
Figure 0006677030
そして、平均化幅厚比(b/t)avgは、厚板部3の板厚tα及び薄板部4の板厚tβが幅方向Yで略均一となる場合に、厚板部3の幅寸法bα及び板厚tαと薄板部4の幅寸法bβ及び板厚tβとの関係から、特に、下記(2)式により算出することもできる。
Figure 0006677030
本発明を適用したフランジ構造1は、厚板部3の板厚tαに対する薄板部4の板厚tβの比率(tβ/tα)が、1/3以上、5/6以下となることが望ましい。また、本発明を適用したフランジ構造1は、フランジ2の幅寸法Bfに対する薄板部4の幅寸法bβの比率(bβ/Bf)が、1/4以上、3/4未満となることが望ましく、必要に応じて、1/4以上、1/2以下となってもよい。
ここでは、本発明を適用したフランジ構造1の有効性を確認するため、図5に示す数値解析モデル及び表1に示す数値解析の計算条件で、フランジ2が奥行方向Xの圧縮外力Pを受けた場合の力学的挙動について数値解析を実施した。
Figure 0006677030
この数値解析では、表1に示す全ての数値解析の計算条件で、幅方向Yの対称性を考慮して、ウェブ5が連結されたフランジ2の支持条件に近似するように、一辺自由端、三辺単純支持のフランジ2とした。また、この数値解析では、フランジ2となる幅寸法Bf、奥行寸法Dfの単板に対して、断面直交方向から圧縮外力Pを与えた。
この数値解析では、引張強さが490N級及び590N級の鋼材を想定した材料条件として、フランジ2の奥行方向Xの中央で自由端側βにBf/150の初期たわみδmaxを与えたうえで、材料降伏点σy、降伏後硬化係数Etをパラメータとした。また、この数値解析では、平均化幅厚比(b/t)avg、厚板部3の板厚tαに対する薄板部4の板厚tβの板厚比率(tβ/tα)、及び、フランジ2の幅寸法Bfに対する薄板部4の幅寸法bβの幅寸法比率(bβ/Bf)もパラメータとした。
この数値解析では、各々の平均化幅厚比(b/t)avgにおいて、段部6が形成されない板厚一様な従来モデルについても、段部6が形成された本発明のモデルと比較するために数値解析を実施している。この数値解析では、フランジ2の幅寸法Bfが全てのモデルで一定なので、平均化幅厚比(b/t)avgが等しいモデルではフランジ2の断面積Afが等しいものとなる。このため、フランジ2の断面積Afが等しい条件の下では、板厚一様な従来モデルも含めて、板厚比率(tβ/tα)及び幅寸法比率(bβ/Bf)の効果的な範囲を比較検討することができる。
この数値解析の結果は、図6〜図9に示す。なお、図6〜図9では、板厚比率(tβ/tα)を1/3、1/2、2/3又は5/6とした。図6では、材料降伏点σy=325N/mm2、平均化幅厚比(b/t)avg=11、幅寸法比率bβ/Bf=0.25とした。また、図7、図8では、材料降伏点σy=325N/mm2、幅寸法比率bβ/Bf=0.25とした。さらに、図9では、材料降伏点σy=325N/mm2、平均化幅厚比(b/t)avg=14とした。
図6では、平均圧縮応力σと平均ひずみεとの関係が示される。ここで、平均圧縮応力σは、圧縮外力Pをフランジ2の断面積Afで除した値で、平均ひずみεは、フランジ2の奥行方向Xの圧縮変形量δを奥行寸法Dfで除した値である。図6では、板厚一様な従来モデルを実線、本発明のモデルを板厚比率(tβ/tα)ごとに実線以外で示している。
本発明を適用したフランジ構造1は、図6に示すように、板厚一様な従来モデルと比較すると、何れの板厚比率(tβ/tα)であっても、局部座屈発生後の応力低下が小さくなることがわかる。また、本発明を適用したフランジ構造1は、板厚比率(tβ/tα)が小さくなるにしたがって、局部座屈発生後の応力低下が小さくなることがわかる。
図7では、材料降伏点σyで無次元化したフランジ2の座屈強度(σcr/σy)と、平均化幅厚比(b/t)avgから求めた無次元化幅厚比{(b/t)avg×√(σy/E)}との関係が示される。本発明を適用したフランジ構造1は、図7に示すように、板厚一様な従来モデルと比較すると、何れの板厚比率(tβ/tα)であっても、板厚一様な従来モデルの座屈強度(σcr/σy)を下回らないことがわかる。
図8(a)では、本発明のモデルの圧縮エネルギー吸収量Enを、同じ平均化幅厚比(b/t)avgの板厚一様な従来モデルの圧縮エネルギー吸収量Eoで無次元化した無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoを縦軸とする。ここで、無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoは、図8(b)に示す平均ひずみε=3.0%のときにおける単位体積あたりの値として、図8(a)に示すように、横軸となる平均化幅厚比(b/t)avgとの関係が、板厚比率(tβ/tα)ごとに示される。
図8(a)では、板厚一様な従来モデルでの無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoが1.0となる。このことから、本発明を適用したフランジ構造1は、同じ平均化幅厚比(b/t)avgの板厚一様な従来モデルと比較すると、何れの平均化幅厚比(b/t)avgであっても、無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoが大きくなることがわかる。そして、本発明を適用したフランジ構造1は、平均化幅厚比(b/t)avgが大きいほど、無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoが大きくなることがわかる。
本発明を適用したフランジ構造1は、フランジ2に厚板部3及び薄板部4が形成されて、特に、上記(1)式により算出される平均化幅厚比(b/t)avgが、8以上となることで、無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoが確実に上昇する。このため、本発明を適用したフランジ構造1は、板厚一様な従来モデルと比較すると、同一断面積のフランジ2で負担することのできる局部座屈後の圧縮応力、圧縮エネルギー吸収量が向上することで、経済的なフランジ構造1を提供することが可能となる。なお、本発明を適用したフランジ構造1では、フランジ2の幅厚比が大きくなって局部座屈し易くなることを防止する観点から、上記(1)式により算出される平均化幅厚比(b/t)avgを、18以下とする。
本発明を適用したフランジ構造1は、上記(1)式により算出される平均化幅厚比(b/t)avgが、特に、9.1以上となることが望ましい。このとき、本発明を適用したフランジ構造1は、平均化幅厚比(b/t)avgの増大に伴って、無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoの上昇率が顕著となる。このため、本発明を適用したフランジ構造1は、平均化幅厚比(b/t)avgが、9.1以上、18以下となることで、フランジ2による顕著なエネルギー吸収性能を実現することが可能となる。
本発明を適用したフランジ構造1は、厚板部3の板厚tαに対する薄板部4の板厚tβの比率(tβ/tα)を、1/3以上、5/6以下とすることが望ましく、特に、1/3以上、1/2以下とすることもできる。このとき、本発明を適用したフランジ構造1は、何れの平均化幅厚比(b/t)avgであっても、無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoの低下が認められず、安定的なエネルギー吸収性能を確実に実現することが可能となる。
図9では、無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoを縦軸とするとともに、幅寸法比率bβ/Bfを横軸として、板厚一様な従来モデルでの無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoが1.0となる。このことから、本発明を適用したフランジ構造1は、同じ平均化幅厚比(b/t)avgの板厚一様な従来モデルと比較すると、何れの板厚比率(tβ/tα)であっても、無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoが大きくなることがわかる。
本発明を適用したフランジ構造1は、フランジ2の幅寸法Bfに対する薄板部4の幅寸法bβの比率(bβ/Bf)が、1/4以上、3/4未満となることで、無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoの低下が認められず、安定的なエネルギー吸収性能を確実に実現することが可能となる。また、本発明を適用したフランジ構造1は、幅寸法比率bβ/Bfが1/2となる場合に、無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoが最も大きいものとなり、幅寸法比率bβ/Bfが、1/4以上、1/2以下となることで、無次元化圧縮エネルギー吸収量En/Eoが増大傾向を示すため、エネルギー吸収性能を確実に向上させることが可能となる。
なお、ここでは、表1に示すその他の解析条件における結果の図示は省略するが、図6〜図9に示された傾向は、表1に示した全ての材料条件及び形状条件で同様となることを確認している。即ち、本発明を適用したフランジ構造1は、板厚一様な従来モデルと比較すると、座屈強度(σcr/σy)の低下が認められず、また、局部座屈後の圧縮応力の負担能力を高めて、圧縮エネルギー吸収量が向上することを確認している。
また、本発明を適用した形鋼7は、図10に示すように、本発明を適用したフランジ構造1がフランジ2に設けられる。このため、本発明を適用した形鋼7は、高さ方向Zの曲げ力M等でフランジ2に圧縮応力が生じる場合にも、フランジ2の局部座屈後の圧縮応力の負担能力を高めて、形鋼7全体でのエネルギー吸収性能を向上させることが可能となる。
なお、本発明を適用した形鋼7は、梁端同士の接合箇所等に用いられる場合に、例えば、段部6の段差Δtと同程度の板厚となるフィラープレート60を設けて、添接板61を用いたボルト摩擦接合等ができる。このとき、本発明を適用した形鋼7は、ボルト接合等で特段の工夫をすることなく、フィラープレート60等で段部6の段差Δtを吸収しながら、形鋼7が用いられた梁端同士等を容易に接合させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。
1 :フランジ構造
2 :フランジ
20 :内面
21 :外面
3 :厚板部
4 :薄板部
5 :ウェブ
6 :段部
60 :フィラープレート
61 :添接板
7 :形鋼
71 :H形鋼
72 :溝形鋼
73 :CT形鋼
α :拘束端側
β :自由端側
X :奥行方向
Y :幅方向
Z :高さ方向

Claims (5)

  1. 所定の断面形状で形成された形鋼に設けられるフランジ構造であって、
    断面方向で幅方向に延びるフランジと、前記フランジに連結されるウェブとを備え、
    前記フランジは、前記ウェブが連結される拘束端側に厚板部が形成されて、前記ウェブから離間した自由端側に薄板部が形成されるとともに、前記厚板部の板厚tαよりも前記薄板部の板厚tβが小さくなって、前記フランジの幅方向の幅寸法Bfと前記フランジの断面積Afとの関係から、下記(1)式により算出される平均化幅厚比(b/t)avgが、8以上、18以下となり、
    前記フランジは、前記フランジの幅方向の幅寸法B f に対する前記薄板部の幅方向の幅寸法bβの比率(bβ/B f )が、1/2未満となること
    を特徴とするフランジ構造。
    Figure 0006677030
  2. 前記フランジは、前記厚板部の板厚tαが幅方向で略均一となって、前記薄板部の板厚tβが幅方向で略均一となるとともに、前記厚板部と前記薄板部とが連続する箇所に段部が形成されて、前記厚板部の板厚tαに対する前記薄板部の板厚tβの比率(tβ/tα)が、1/3以上、5/6以下となること
    を特徴とする請求項1記載のフランジ構造。
  3. 前記フランジは、前記フランジの幅方向の幅寸法Bfに対する前記薄板部の幅方向の幅寸法bβの比率(bβ/Bf)が、1/4以上となること
    を特徴とする請求項1又は2記載のフランジ構造。
  4. 所定の断面形状で形成された形鋼であって、
    断面方向で幅方向に延びる一対のフランジと、一対の前記フランジの各々の内面に連結されるウェブとを備え、
    各々の前記フランジは、前記ウェブが連結される拘束端側に厚板部が形成されて、前記ウェブから離間した自由端側に薄板部が形成されるとともに、前記厚板部の板厚tαよりも前記薄板部の板厚tβが小さくなって、前記ウェブが連結される各々の前記フランジの内面で、前記厚板部と前記薄板部とが連続する箇所に段部が形成されて、前記フランジの幅方向の幅寸法Bfと前記フランジの断面積Afとの関係から、下記(1)式により算出される平均化幅厚比(b/t)avgが、8以上、18以下となり、
    前記フランジは、前記フランジの幅方向の幅寸法B f に対する前記薄板部の幅方向の幅寸法bβの比率(bβ/B f )が、1/2未満となること
    を特徴とする形鋼。
    Figure 0006677030
  5. 一対の前記フランジ及び前記ウェブは、幅方向で前記ウェブの両側方に各々の前記フランジが延びることで、断面略H形状に形成されること
    を特徴とする請求項4記載の形鋼。
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