JP2015101835A - ピンネット工法用建材と、それを用いるピンネット工法 - Google Patents
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Abstract
Description
既存仕上げ層の落下事故を防止するために、ピンネット工法が開発されている。ピンネット工法では、(1)既存仕上げ層の表面にプライマーを塗布し、(2)樹脂またはセメントまたはそれら混合物を塗布し(以下では下地層という)、(3)下地層が硬化しないうちに下地層の表面にネットを張り、(4)ネット越しに躯体に穿孔し(例えば、1辺が50cmの正方形格子の各頂点の位置に穿孔する)、(5)その孔にアンカーピンを固定してアンカーピンの頭部でネットを躯体に固定し、(6)ネット上から樹脂またはセメントまたはそれら混合物を再度塗布し(以下では中間層という)、(7)中間層の表面にタイルやモルタル等の仕上げ層(以下では表面層という)を固定する。
(1)従来のピンネット工法では、下地層が硬化しない間にネットを貼り付けなければならない。補修面が広大であると、その条件を満たすことが容易でない。
(2)従来のピンネット工法では、ネットを張った後に中間層を形成する工程を必要とする。
(3)従来のピンネット工法では、中間層の表面に表面層を形成する工程を必要とする。
(4)従来のピンネット工法では、中間層と表面層が別々であり、その間の接着にネットが関与しない。経年変化によって、中間層から表面層が剥離する可能性が残っている。
本明細書では、従来のピンネット工法の上記問題を解決することができる建材を開示する。本明細書で開示する建材は、躯体表面に順に貼り付けていくことでピンネット工法の施工を容易化するように開発された。
樹脂層は略多角形であって、各頂点に切欠きが形成されている。ここでいう略多角形とは、切欠きを除外すると多角形であることをいう。
ネットは、少なくとも切欠きにまで延びている。ここでいう「少なくとも」は、切欠き以外の部分でも、ネットが樹脂層から延びていることを排除しないことを意味する。
この建材は、躯体表面に順に貼っていく。すなわち、躯体表面に貼り付けられた建材に隣接する位置に別の建材を貼り付けていく。この際に、切欠きの部分では、先に貼り付けられた建材のネットと後で貼り付けられた建材のネットが重複するとともに、後で貼り付けられた建材の樹脂層で被覆されない関係が得られる。
本建材によると、
(a)下地層に当たる裏面側樹脂層と中間層に当たる表面側樹脂層の間にネットが埋め込まれており、その網目を介して裏面側樹脂層と表面側樹脂層が結合している建材を予め製造しておくことから、前記した(1)(2)の問題が生じない。
(b)また、表面側樹脂層自体が表面層を兼用する建材を予め製造しておくことから、前記した(3)(4)の問題も生じない。
上記によると、建材を躯体表面に順に貼っていく際に、先に貼り付けた建材からネットが延びている側に新たな建材を貼り付けていくことによって、切欠き以外の部分では先に貼り付けられた建材のネットが後で貼り付けられた建材の樹脂層で被覆される。その一方において、ネットが延びている2辺に接しない位置にある頂点に形成されている切欠きでは、隣接する4枚の建材から延びる4枚のネットが重複する。1本のアンカーピンで4枚のネットを躯体に固定することができる。
(特徴1)少なくとも表面側樹脂層に陶石粒子が混入しており、天然石パネルに類似する外観を提供する。
(特徴2)樹脂層は、アクリルシリコン樹脂を主材料としており、柔軟性を有する。
(特徴3)表面側樹脂層の表面にコーティング剤が塗布されている。
(特徴4)表面側樹脂層自体が、仕上げ面を提供する。
(特徴5)樹脂層の表面にアンカーピンの頭部が露出してもよいという条件で用いられる建材である。隣接する2辺からネットが延びている。先に貼った建材からネットが延びている側に、隣接する建材を貼っていく。隣接する位置に貼った建材が、先に貼った建材から延びるネットを被覆し、先に貼った建材のネットと後で貼った建材のネットとが重複する。その重複位置で、樹脂層越しに躯体に穿孔し、アンカーピンを固定する。樹脂層の表面にアンカーピンの頭部が露出してもよいという条件であれば、樹脂層に切欠きを設けなくてもよい。
図1は、実施例の建材2の平面図を示している。建材2は、樹脂層4と、樹脂層4に埋め込まれたネット6を備えている。樹脂層4は、1辺が約50cmの略正方形であり、4隅に切欠き4a,4b,4c,4dが形成されている。各切欠きの1辺は約2.5cmである。ネット6は、樹脂層4の左辺から外側に延びており、延びている部分6eの幅Lは約5cmである。ネット6は、樹脂層4の下辺からも外側に延びており、延びている部分6fの幅Lは約5cmである。切欠き4aの部分にもネット6aが延びている。切欠き4aの位置で延びている部分6aは、1辺が約5cmの正方形である。切欠き4bの部分にもネット6bが延びている。切欠き4bの位置で延びている部分6bは、1辺が約5cmの正方形である。部分6bと部分6eは、部分的に重複している。部分6bの左側では、ネット6が切欠かれている。切欠き6jは、1辺が2.5cmである。切欠き6jが形成されているために、建材2を順に貼っていったときに、樹脂層4の切欠き以外の分では、先に貼られ樹脂層4の表面にネット6が被ってくることがない。切欠き4cの部分にもネット6cが延びている。切欠き4cの位置で延びている部分6cは、1辺が約5cmの正方形である。部分6cと部分6e及び部分6fは部分的に重複している。切欠き4dの部分にもネット6dが延びている。切欠き4dの位置で延びている部分6dは、1辺が約5cmの正方形である。部分6dと部分6fは部分的に重複している。部分6aは、ネット6e、6fが延びている樹脂層4の左辺と下辺に接しない位置にある頂点に形成されている切欠き4aに延びている。
躯体表面を補修する際には、図7に示すように、既存仕上げ層54の表面にプライマー60を塗布する。その後に、図8に示すように、建材2の裏面に接着剤を塗布して建材2を貼っていく。接着剤には、裏面側樹脂層4gと同じ樹脂を用いる。同じ樹脂を用いて貼っていくために、裏面側樹脂層4gと接着剤が融合し、裏面側樹脂層4gがプライマー層60に強固に固定される。
図10は、アンカーピン64を孔62に挿入した状態を示している。アンカーピン64は、ネット6の網目よりも大きな頭部65を備えており、その頭部65が重複したネット6c、26d、36b、46aを躯体50側に押し付ける。
図13は、4個の切欠き4c、24d、34b、44aが連続することで出現した正方形状の切欠き5の位置に、装飾板74を貼った状態を示す。装飾板74を貼ると、ネット6とアンカーピン64が被覆されて外観が向上する。また装飾板74がポイントとなって躯体表面の意匠性が向上する。
装飾性と耐久性に高いアンカーピンを用いる場合には、アンカーピンの頭部が樹脂層4の表面に露出していてもよい。その場合には、樹脂層4の四隅に切欠きを設けなくてもよい。ネット6e,6fを使って重ね張りし、隣接するネットが重複する位置で樹脂層4越しにアンカーピンを固定していけば、ピンネット工法が完成する。
4:樹脂層
4a,4b,4c,4d:切欠き
4g:裏面側樹脂層
4h:表面側樹脂層
5:4つの切欠きが連続することで形成される正方形の切欠き
6:ネット
6a:切欠き4aに延びるネット
6b:切欠き4bに延びるネット
6c:切欠き4cに延びるネット
6d:切欠き4dに延びるネット
6e:樹脂層4の左辺からに延びるネット
6f:樹脂層4の下辺からに延びるネット
6j:6bと6e間に形成されている切欠き
22:2枚目の建材
32:3枚目の建材
42:4枚目の建材
50:躯体
52:モルタル層
54:タイル
56:目地セメント
60:プライマリー層
62:孔
64:アンカーピン
65:頭部
66:貫通孔を作る内壁
68:アンカーピン先端に形成されている傾斜した内壁
70:芯棒
72:アンカーピン先端近傍で拡大した外壁
74:装飾板
Claims (6)
- 躯体表面に順に貼り付けることでピンネット工法の施工を容易化する建材であり、
その建材は、ネットと樹脂層を備えており、
その樹脂層は、前記ネットの表裏両面を覆うとともに、表面側樹脂層と裏面側樹脂層が前記ネットの網目を通して結合しており、
前記樹脂層は、略多角形であって、各頂点に切欠きが形成されており、
少なくとも前記切欠きに前記ネットが延びており、
躯体表面に貼り付けられた建材に隣接する位置に別の建材を貼り付けると、切欠きの部分では先に貼り付けられた建材のネットと後で貼り付けられた建材のネットが重複するとともに後で貼り付けられた建材の樹脂層で被覆されないことを特徴とする建材。 - 前記樹脂層は、四隅に切欠きが形成された略長方形または略正方形であり、
前記樹脂層の隣接する2辺から前記ネットが延びており、
前記2辺に接しない位置にある頂点に形成されている切欠きにも前記ネットが延びており、
躯体表面に貼り付けられた建材に隣接する位置に別の建材を貼り付けると、切欠き以外の部分では、先に貼り付けられた建材のネットが後で貼り付けられた建材の樹脂層で被覆されることを特徴とする請求項1の建材。 - 躯体表面に請求項1または2の建材を順に貼り付ける工程と、
重複したネットが切欠きによって樹脂層から露出した位置において躯体に穿孔する工程と、
躯体に穿孔された穴に、前記ネットの網目よりも大きな頭部を持つアンカーピンを固定する工程を備えているピンネット工法。 - 隣接する建材の切欠きが連続する個所に、装飾板を貼り付ける工程が付加されている請求項3のピンネット工法。
- 躯体表面に順に貼り付けることでピンネット工法の施工を容易化する建材であり、
その建材は、ネットと樹脂層を備えており、
その樹脂層は、前記ネットの表裏両面を覆うとともに、表面側樹脂層と裏面側樹脂層が前記ネットの網目を通して結合しており、
前記樹脂層は、長方形または正方形であり、
前記樹脂層の隣接する2辺から前記ネットが延びており、
躯体表面に貼り付けられた建材からネットが延びている側において隣接する位置に別の建材を貼り付けると、先に貼り付けられた建材のネットと後で貼り付けられた建材のネットが重複することを特徴とする建材。 - 躯体表面に請求項5の建材を順に貼り付ける工程と、
先に貼り付けられた建材のネットと後で貼り付けられた建材のネットが重複する位置において樹脂層越しに躯体に穿孔する工程と、
躯体に穿孔された穴に、前記ネットの網目よりも大きな頭部を持つアンカーピンを固定する工程を備えているピンネット工法。
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