JP2015098287A - ヘッドレスト装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヘッドレスト装置では、ヘッドレスト本体の芯材に音響スピーカーを配置し、前記ヘッドレスト本体の一部の面を、音を通しやすい素材で覆い、残りの面を、音を減衰する素材、および振動の減衰性と遮音性の高い素材の二層で覆った。
【選択図】図4
Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、スピーカーを備えたヘッドレスト装置において、音を出力する方向を使用目的に応じて設定できるようにすることを目的とする。
また、上記構成において、前記音を減衰する素材が内層で、前記振動の減衰性と遮音性の高い素材が外層である構成としても良い。
また、前記内層および前記外層が密着している構成としても良い。
さらに、前記一部の面が前記ヘッドレスト本体の前面略全域である構成としても良い。
また、前記一部の面が前記ヘッドレスト本体の天面である構成としても良い。
また、前記音を通しやすい素材が繊維パッドである構成としても良い。
さらに、前記音を減衰する素材がウレタン系の素材である構成としても良い。
また、前記振動の減衰性と遮音性の高い素材がエラストマー系の素材である構成としても良い。
図1及び図2は、本発明の実施の形態に係るヘッドレスト装置10を示す斜視図である。図1では、後述するクッション芯材12の図示が省略されている。図2では、後述するクッション13の前面の図示が省略されている。
ヘッドレスト装置10は、車室内に配置される乗員用のシートに設けられるものである。上記車室としては、例えば、自動車、電車、飛行機及び船舶等の車室が挙げられるが、本実施の形態では、自動車の前部座席であって運転者が着座するシートに設けられるヘッドレスト装置10を例に挙げて説明する。自動車としては、通常の四輪車の他、例えば、側面のドアを備えていない小型の電気自動車が挙げられる。
シート(不図示)は、運転者(着座者)が着座する座面部(不図示)と、座面部の後端から僅かに後ろに傾斜した姿勢で上方に延在する背当て部(不図示)と、この背当て部の上端に取り付けられるヘッドレスト装置10とを備える。
ヘッドレスト装置10は、上記他の機器と連携した状態では、他の機器から読み出されたコンテンツの音声データや、車両を目的地まで誘導するための誘導音声データなどを、音響スピーカー50から音声出力する。また、着座者は、ヘッドレスト装置10が上記他の機器と連携した状態では、音響マイク51で集音された音声をボイスコマンドとして他の機器を操作したり、音響マイク51を介してハンズフリーで通話したりすることができる。
フレーム11は、左右方向に並んで上下方向に延在する一対のメインフレーム15,15と、メインフレーム15,15の上端部を左右に連結する上部クロスメンバ16と、上部クロスメンバ16の下方でメインフレーム15,15を左右に連結する下部クロスメンバ17とを備える。フレーム11は、金属製である。
メインフレーム15,15は、パイプ状に形成されており、上記背当て部と略平行に上方へ延びるステー部18,18(取り付けステー)と、ステー部18,18の上端で前方へ屈曲してやや前傾した姿勢で上方に延びる内部フレーム部19,19とを備える。
内部フレーム部19,19は、クッション13の内側でヘッドレスト装置10の内部に位置する。ステー部18,18は、上記背当て部の上面に形成された取り付け孔部(不図示)に挿入されてシートに固定される。ヘッドレスト装置10は、取り付け孔部へステー部18,18の挿入深さを調節することで、着座者の体格等に合わせて取り付けの高さ位置を変更可能に構成されている。
前側ケース30及び後側ケース31は、開口の周縁部に合わせ面32,33をそれぞれ有する。詳細には、前側ケース30の合わせ面32に形成された溝部32aに後側ケース31の合わせ面33が嵌まることで、合わせ面32,33は閉じられる。合わせ面32,33の間には、枠状のパッキン(不図示)が介装されることで密閉性が向上されている。また、合わせ面32,33は、例えば、超音波溶着によって接合して密閉されても良い。
前側ケース30は、前側ケース固定ボルト21が挿通される固定部34を複数備える。後側ケース31は、後側ケース固定ボルト23が挿通される固定部35を複数備える。詳細には、固定部34,35は、クッション芯材12の内側へ窪む有底円筒状に形成されており、前側ケース固定ボルト21及び後側ケース固定ボルト23はこの円筒形状の底部に挿通される。
クッション芯材12は、ステー部18,18が下方へ貫通するステー用貫通孔36,36を下部に備える。ステー用貫通孔36,36とステー部18,18との間には、シール部材(不図示)が設けられ、クッション芯材12内部の密閉性が確保される。
図3〜図6を参照し、前側ケース30は、後側ケース31側へ略水平に延びる仕切り板部37を内部の下部に備える。後側ケース31は、仕切り板部37の後端が嵌まる係合部38を内部の下部に備える。
クッション芯材12は、着座者の後頭部Hに面する前面12a(一部の面)と、後面12bと、天面12cと、下面12dと、右側面12eと、左側面12fとを備える。
また、クッション芯材12には、音響スピーカー50,50、音響マイク51及びサブウーハー52を制御する制御部53と、音響スピーカー50、音響マイク51、サブウーハー52及び制御部53に電力を供給する充電式のバッテリー54とを備える。制御部53及びバッテリー54は、収納部39に収納される。前記通信部は、制御部53に含まれている。
クッション芯材12の左側面12fには、制御部53及びバッテリー54への外部からの接続端子や電源スイッチ等が配置されるインターフェース部55が設けられている。
ヘッドレスト装置10は、バッテリー54を備えるとともにシートの背当て部に対して別体で着脱自在に設けられており、単独で動作可能である。
各音響スピーカー50は、略長方形形状の枠部56と、枠部56に支持される振動板57と、ボイスコイル及びマグネット等からなり振動板57を駆動する駆動部(不図示)とを備える。
振動板57は、左右方向よりも上下方向に長細い長円状(レーストラック状)に形成されている。詳細には、振動板57の外形は、互いに平行に直線状に上下に延びる左右の側縁57a,57aと、左右の側縁57a,57a間を上端及び下端でそれぞれ繋ぐ半円状の円弧部57b,57bとを備える。
このように、上下に細長い音響スピーカー50,50をヘッドレスト装置10に設けたため、振動板57の全体としての大きさを保ちながらヘッドレスト装置10の横幅を小さくできる。このため、音質を確保できるとともに、着座者が後方を確認する際に、ヘッドレスト装置10が邪魔にならず、後方の視認性が良い。また、ヘッドレスト装置10は、音響スピーカー50,50を有していても横幅が大きくならないため、汎用性が高く、様々な車種に適応可能である。
これにより、上下方向に広い範囲に音S1を出力でき、着座者の頭部の高さ位置や、ヘッドレスト装置10の上下の調整位置に影響されずに、着座者に常に音質の高い音を提供できる。また、左右方向に音S1が広がり難いため、着座者に対してパーソナルな音響空間を提供でき、着座者の隣のシート側にヘッドレスト装置10の出力する音が届くことを抑制できる。
さらに、パイプ状のメインフレーム15,15を、エンクロージャー部40と外部空間とを連通させる低音ダクトとして用いることができる。この場合、例えば、エンクロージャー部40内で開口するメインフレーム15,15の上端と、外部空間で開口するメインフレーム15,15の下端の開口とを介して、エンクロージャー部40の内外に空気を流通させることができる。これにより、専用のダクトを設けることなく、音質を向上できる。
音響マイク51は、ヘッドレスト装置10の上下の中央部で後頭部Hの表面に最も近接した位置に配置されている。着座者の音声は、口や鼻孔だけではなく、頭の表面の振動によっても空中に放射されるため、本実施の形態のように、音響マイク51を頭部に近接配置することで、着座者の音声を効率良く音響マイク51で集音できる。
また、ヘッドレストに骨伝導式のマイクを内蔵した従来の構成では、少なくともヘッドレストに頭を付けた状態でないと十分に集音することができず、車両においては、通常、着座者はヘッドレストに頭を付けたまま運転等をすることは稀であるため、集音が困難であった。しかし、本実施の形態では、ヘッドレスト装置10に頭を付けなくとも音響マイク51で集音でき、使い勝手が良い。
また、着座者の音声は、着座者から直接的に音響マイク51に集音されるだけではなく、周囲のフロントガラス等の物体によって反射することによっても音響マイク51に集音される。音は、前方に開口する集音開口部61aから集音されるため、側方や後方からの音が音響マイク51に集音されることを抑制でき、着座者の音声を正確に受音できる。すなわち、集音部61は、前方からの音声を優先的に集音する集音機構を構成する。
音響マイク51及び音響スピーカー50,50は、技術基準、具体的には、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(2005.11.09)別添30(座席及び座席取付装置の技術基準)」を満たすように考慮されている。
また、音響マイク51をクッション芯材12に設けたため、音響マイク51と制御部53とを繋ぐ配線をヘッドレスト装置10内に設けることができ、配線の煩わしさを無くすことができる。また、音響マイク51をヘッドレスト装置10に内蔵したため、音響マイク51が着座者の邪魔にならない。
さらに、サブウーハー52は、音響マイク51の下方で前下方に音S2を出力するため、音S2が直接的に音響マイク51に受音されることを防止でき、音響マイク51が音S2に影響されることを防止できる。また、サブウーハー52は、後頭部Hの後方側から前下方に音S2を出力するため、音S2は、主として、頭部よりも体積の大きい着座者の胴体部を介して着座者に伝達される。このため、着座者に低音を感じ易くさせることができ、迫力のある低音を提供できる。
すなわち、音響スピーカー50,50及びサブウーハー52は、クッション芯材12のエンクロージャー部40をエンクロージャーとして共用している。ここで、音響スピーカー50,50及びサブウーハー52を同一のエンクロージャー部40に設けた場合、相互に干渉して音質に影響が出ることが考えられるが、ヘッドレスト装置10は、頭部に近接して設けられるものであり、音の出力が比較的小さくて済むため、上記干渉の影響は小さなものとなる。
後部側クッション部63は、残りの面である後面12b、右側面12e、左側面12f、下面12dの後部及び天面12cの後部を覆う。前面クッション部62は、前面12aの全体、下面12dの前部及び天面12cの前部を覆う。前面クッション部62と後部側クッション部63とは、縁部で繋ぎ合わされて袋状に形成されており、被せられるようにしてクッション芯材12に装着される。
減衰層63aは、例えば、ウレタン等の吸音性能が高く、且つ、クッション性が高い樹脂で構成される。ウレタンは、例えば、多孔質構造を備える連続気泡体のものを用いることで、高い吸音性が得られる。
減衰層63aは、クッション芯材12の後面12bに密着する内層であり、遮音層63bは、外側に露出する外層である。減衰層63aの外面と遮音層63bの内面とは、密着して接合されており、減衰層63aと遮音層63bとは一体化されている。減衰層63aは遮音層63bよりも厚く形成されている。
すなわち、後部側クッション部63は、ヘッドレストとしてのクッション性を備えるとともに、音を効率良く減衰及び遮音できる素材から構成されている。
前面クッション部62は、高いクッション性を備えるとともに、立体網状構造により、高い通音性及び通気性を備える。すなわち、前面クッション部62は、ヘッドレストとしてのクッション性を備えるとともに、音を効率良く通音できる素材から構成されている。
さらに、着座者の音声は、通音性の高い前面クッション部62を通って音響マイク51に入力されるため、音声が前面クッション部62によって減衰されることを抑制でき、音響マイク51に正しく音声を入力できる。
また、後方や側方からヘッドレスト装置10に入力される音を後部側クッション部63によって低減できるため、音響マイク51は前方からの音を正しく受音できる。
また、一つのクッション芯材12を複数の音響スピーカー50,50のエンクロージャー部40として用いることができ、構造を簡単にできる。
また、クッション芯材12がサブウーハー52を含み、サブウーハー52がクッション芯材12の垂直方向下方に向けて配置されているため、主として着座者の頭部よりも下の部分にサブウーハー52の音を伝達でき、着座者に低音を感じ易くさせることができる。
また、クッション芯材12の中空部に低音ダクトとしてのメインフレーム15,15が連結されている構成としても良い。
この場合、クッション芯材12の中空部に低音ダクトとしてのメインフレーム15,15が連結されているため、低音ダクトのサイズ等の設定を調節することで、所望のスピーカー特性を得られる。
さらに、クッション芯材12に耐衝撃面としての音響機器取り付け面41を形成し、音響機器取り付け面41のスピーカー収納凹部59,59に開口を形成し、この開口の内側に音響スピーカー50,50を配置し、音響スピーカー50,50が、道路運送車両の保安基準の細目に定めるヘッドフォームを用いた試験に適合する形態で配置されているため、簡単な構造でヘッドレスト装置10に音響スピーカー50,50を設けることができるとともに、保安基準も満たすことができる。
また、音響マイク51が、道路運送車両の保安基準の細目に定めるヘッドフォームを用いた試験に適合する形態で配置されているため、集音開口部61aを介して音響マイク51で効率良く集音できるとともに、所定の保安基準も満たすことができる。
また、集音機構を略円錐型の集音部61で構成するため、音響マイク51に効率良く集音できる。
さらに、集音開口部61aをクッション芯材12の前面に形成したため、前方からの音を音響マイク51に効率良く集音できる。
また、音響マイク51の周囲に複数の音響スピーカー50,50を配置し、音響スピーカー50,50を音響マイク51に対し外向きに配置したため、音響スピーカー50,50の音S1が音響マイク51に集音されることを抑制できる。
また、音響マイク51の前方を、音を通しやすい素材で構成される前面クッション部62で覆ったため、効率良く音響マイク51に集音できる。
また、減衰層63aおよび遮音層63bが密着しているため、遮音層63bで減衰層63aの動きを規制でき、遮音層63bの振動(音)の減衰性を向上できる。
さらに、上記一部の面がクッション芯材12の前面略全域であるため、他の方向には音を漏らさずに前方に音を出力でき、着座者に対してパーソナルな音響空間を提供できる。
さらに、減衰層63aがウレタン系の素材であるため、残りの面から出る音を効果的に減衰できる。
また、遮音層63bがエラストマー系の素材であるため、残りの面から出る音を効果的に減衰及び遮音できる。
上記実施の形態では、ヘッドレスト装置10は、シートの背当て部に対して別体で着脱自在に設けられているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ヘッドレスト装置10は、背当て部に一体的に設けられていても良い。
また、上記実施の形態では、サブウーハー52は駆動部により振動板が駆動されるものとして説明したが、これに限らず、例えば、駆動部を有さずに、音響スピーカー50,50等に共振して音を出力するパッシブラジエーターであっても良い。
12 クッション芯材(芯材、ヘッドレスト本体)
12a 前面(一部の面)
12c 天面
12e 右側面(側面)
12f 左側面(側面)
63a 減衰層(音を減衰する素材)
63b 遮音層(振動の減衰性と遮音性の高い素材)
62 前面クッション部(音を通しやすい素材)
Claims (9)
- ヘッドレスト本体の芯材に音響スピーカーを配置し、前記ヘッドレスト本体の一部の面を、音を通しやすい素材で覆い、残りの面を、音を減衰する素材、および振動の減衰性と遮音性の高い素材の二層で覆ったことを特徴とするヘッドレスト装置。
- 前記音を減衰する素材が内層で、前記振動の減衰性と遮音性の高い素材が外層であることを特徴とする請求項1に記載のヘッドレスト装置。
- 前記内層および前記外層が密着していることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドレスト装置。
- 前記一部の面が前記ヘッドレスト本体の前面略全域であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のヘッドレスト装置。
- 前記一部の面が前記ヘッドレスト本体の側面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のヘッドレスト装置。
- 前記一部の面が前記ヘッドレスト本体の天面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のヘッドレスト装置。
- 前記音を通しやすい素材が繊維パッドであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のヘッドレスト装置。
- 前記音を減衰する素材がウレタン系の素材であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のヘッドレスト装置。
- 前記振動の減衰性と遮音性の高い素材がエラストマー系の素材であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載のヘッドレスト装置。
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