JP2015097973A - 粘着装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感温性粘着剤が塗布された粘着部と、前記感温性粘着剤を、該感温性粘着剤の融点以上の温度に加熱する加熱手段と、前記融点未満かつ前記感温性粘着剤のガラス転移温度未満の温度において、前記粘着部に接触し、前記粘着部に付着した付着物を除去するクリーニング手段を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
(1)粘着装置の構成
本実施例における粘着装置は、例えば、埃の除去装置や様々な物品の取扱装置に用いられるものである。粘着装置の形態としては、例えば、粘着パッドを用いた形態(パッド式)、搬送ローラに粘着剤を貼付した形態(ローラ式)、搬送ベルトに粘着剤を貼付した形態(ベルト式)等がある。最初に、これらの各形態における構成について説明する。
図1(a)に示す粘着装置1Aは、取り扱う物品に接触し、その接触表面の一部あるいは全範囲に感温性粘着剤が塗布された粘着部11Aと、粘着部11Aを保持するとともに感温性粘着剤を加熱する加熱手段12Aと、加熱手段12Aに電力を供給する電源手段13Aと、粘着装置の制御を行う制御手段14Aと、加熱手段12Aと電源手段13Aとを接続する電力供給手段15Aと、制御手段14Aと電源手段13Aとを接続する制御信号伝達手段16Aとを備える。なお、加熱手段12Aとして、ヒータを用いる構成である。
図2(a)に示す粘着装置2Aは、取り扱う物品に接触するローラ部20Aと、ローラ部20Aの外周部であり、その接触表面の一部、あるいは全範囲に感温性粘着剤が塗布された粘着部21Aと、粘着部21Aがその外周部に設けられ感温性粘着剤に粘着力を発現させる加熱手段22Aと、上記電源手段13A、制御手段14A、電力供給手段15A、制御信号伝達手段16Aの各々に相当する、電源手段23A、制御手段24A、電力供給手段25A、制御信号伝達手段26Aと、ローラ部20Aの駆動源27Aと、駆動源27Aからの動力を伝達する、ギヤやタイミングベルトなどから構成される動力伝達手段28Aとを備える。なお、加熱手段22Aとして、ローラ部20Aを加熱するヒータを用いる構成である。
次に、粘着装置における処理について説明する。以下では、図1〜3に示した粘着装置1A〜1D、2A〜2D、3Aにて実行される処理について、図1(a)に示す粘着装置1A(または1D)を例にして説明する。
粘着装置1Aにおいて、粘着部11Aに粘着力を発生させる必要がある場合、制御手段14Aから電源手段13Aに対して電源をONにさせる信号を発信する。この信号により、加熱手段12Aへの電源がONにされると、加熱手段12Aの温度が上昇する。
粘着装置1Aにおいて粘着力を消失させる場合、制御手段14Aから電源手段13Aに対して電源をOFFにさせる信号を発信する。この信号により、加熱手段12Aへの電源がOFFにされると、加熱手段12Aの温度が低下する。
次に、図1〜3に示した粘着装置1A〜1D、2A〜2D、3Aの粘着部11A〜11D、21A〜21D、31Aに塗布される感温性粘着剤について説明する。感温性粘着剤は、側鎖結晶性ポリマーを一成分として架橋した粘着剤であって、加熱手段12A〜12D、22A〜22D、32Dにより、粘着部11A〜11D、21A〜21D、31Aの温度を粘着発現温度(Tm)以上とすることで粘着力が発現し、また加熱を停止しての自然冷却、あるいは温度降下手段によって粘着部11A〜11D、21A〜21D、31Aの温度を粘着発現温度(Tm)未満かつガラス転移温度(Tg)未満の温度とすることで粘着部の粘着力を消失させる。
オクタデシルアクリレート4.9g(アルドリッチ)、架橋部モノマーとしてヒドロキシルエチルアクリレート0.1g(関東化学)、および熱重合開始剤である2、2−アゾビスイソブチロニトリル0.02g(東京化成)を100ccのナス型フラスコに入れ、トルエンを10cc入れた。窒素雰囲気下でフラスコを60℃にして10時間撹拌した。室温に戻しメタノールで再沈殿させたのち、生成物を濾別した後、室温にて乾燥させた。GPCによる測定から、得られたアクリル系共重合プレポリマーの重量平均分子量230,000であった。TAインスツルメンツ社製Q200による熱分析およびニコン製偏光顕微鏡による観察から、このアクリル系共重合プレポリマー融点(Tm)は50℃である。
メチルアクリレートを2.5g(東京化成)、メチルメタクリレートを2.5g(東京化成)、架橋部モノマーとしてヒドロキシルエチルアクリレート0.1g(関東化学)、および熱光重合開始剤である2、2−アゾビスイソブチロニトリル0.05g(東京化成製)を100ccのナス型フラスコに入れ、トルエンを10cc入れた。窒素雰囲気下でフラスコを60℃にして10時間撹拌した。室温に戻しメタノールで再沈殿させたのち、生成物を濾別した後、室温にて乾燥させた。GPCによる測定から、得られたアクリル系共重合プレポリマーの重量平均分子量310,000であった。TAインスツルメンツ社製Q200による熱分析から、このアクリル系共重合プレポリマーのガラス転移温度(Tg)は45℃である。
メチルアクリレートを4.9g(東京化成)、メチルメタクリレートを0.1g(東京化成)、架橋部モノマーとしてヒドロキシルエチルアクリレート0.1g(関東化学)、および熱光重合開始剤である2、2−アゾビスイソブチロニトリル0.05g(東京化成製)を100ccのナス型フラスコに入れ、トルエンを10cc入れた。窒素雰囲気下でフラスコを60℃にして10時間撹拌した。室温に戻しメタノールで再沈殿させたのち、生成物を濾別した後、室温にて乾燥させた。GPCによる測定から、得られたアクリル系共重合プレポリマーの重量平均分子量310,000であった。TAインスツルメンツ社製Q200による熱分析から、このアクリル系共重合プレポリマーのガラス転移温度(Tg)は0℃である。
オクタデシルアクリレート2,5g(アルドリッチ)、メチルアクリレートを2.5g(東京化成)、架橋部モノマーとしてヒドロキシルエチルアクリレート0.1g(関東化学)、および熱重合開始剤である2、2−アゾビスイソブチロニトリル0.02g(東京化成)を100ccのナス型フラスコに入れ、トルエンを10cc入れた。窒素雰囲気下でフラスコを60℃にして10時間撹拌した。室温に戻しメタノールで再沈殿させたのち、生成物を濾別した後、室温にて乾燥させた。GPCによる測定から、得られたアクリル系共重合プレポリマーの重量平均分子量490,000であった。熱分析および偏光顕微鏡観察から、このアクリル系共重合プレポリマーの融点(Tm)は50℃であり、ガラス転移温度(Tg)は10℃である。
合成例1で得られた側鎖結晶性ポリマー4.0gと合成例2で得られた非結晶性ポリマー1.0g、これに架橋剤となるとジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.4g(東京化成)をテトラヒドロフラン(和光純薬)20ccに溶解させた。この溶液を厚さ50μm、大きさ10cm×10cmのポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に加熱して粘着シートを得た。熱分析および偏光顕微鏡観察から、この粘着シートの融点(Tm)は50℃であり、ガラス転移温度(Tg)は45℃である。
合成例1で得られた側鎖結晶性ポリマー4.0gと合成例3で得られた非結晶性ポリマー1.0g、これに架橋剤となるとジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.4g(東京化成)をテトラヒドロフラン(和光純薬)20ccに溶解させた。この溶液を厚さ50μm、大きさ10cm×10cmのポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に加熱して粘着シートを得た。熱分析および偏光顕微鏡観察から、この粘着シートの融点(Tm)は50℃であり、ガラス転移温度(Tg)は0℃である。
合成例4で得られた側鎖結晶性ポリマー4.0gと架橋剤となるとジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.4g(東京化成)をテトラヒドロフラン(和光純薬)20ccに溶解させた。この溶液を厚さ50μm、大きさ10cm×10cmのポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に加熱して粘着シートを得た。熱分析および偏光顕微鏡観察から、この粘着シートの融点(Tm)は50℃であり、ガラス転移温度(Tg)は10℃である。
合成例1で得られた側鎖結晶性ポリマー4.0gと合成例3で得られた非結晶性ポリマー1.0g、これに架橋剤となるとジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.4g(東京化成)をテトラヒドロフラン(和光純薬)20ccに溶解させた。この溶液を厚さ50μm、大きさ10cm×10cmのポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に加熱して粘着シートを得た。熱分析および偏光顕微鏡観察から、この粘着シートの融点(Tm)は50℃であり、ガラス転移温度(Tg)は0℃である。
合成例4で得られた側鎖結晶性ポリマー4.0gと架橋剤となるとジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.4g(東京化成)をテトラヒドロフラン(和光純薬)20ccに溶解させた。この溶液を厚さ50μm、大きさ10cm×10cmのポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に加熱して粘着シートを得た。熱分析および偏光顕微鏡観察から、この粘着シートの融点(Tm)は50℃であり、ガラス転移温度(Tg)は10℃である。
図6は、クリーニング手段を備えた粘着装置を示した図である。これらの粘着装置のうち、図6(a)、(b)、(c)は、それぞれ、クリーニング手段を備えたパッド式の粘着装置、クリーニング手段を備えたローラ式の粘着装置、クリーニング手段を備えたベルト式の粘着装置である。なお、図6(a)、(b)、(c)は、それぞれ、粘着装置1A、2A、3Aに、クリーニング手段を備えた例を図示しているが、その他の粘着装置にもクリーニング手段を設けても良い。
上述したクリーニング手段は、構造を簡略化することも可能である。図8は、簡略化されたクリーニング手段を備えた粘着装置を示した図である。なお、図8は、粘着装置2Aに簡略化されたクリーニング手段を備えた例を図示しているが、その他のローラ式の粘着装置や、ベルト式の粘着装置にも簡略化されたクリーニング手段を設けても良い。
クリーニング部で用いられるパッド、ブラシ、ローラの材質は、上述のようにクリーニング動作以外の場合にはクリーニング手段が退避して粘着部に接触しないようなものであれば良いが、退避機構を設けると、コストもかかり機構も複雑化する。したがって、クリーニング手段を低コスト化または簡素化するためには、粘着時にも粘着部に接触したクリーニング手段が必要になる。この場合は、クリーニング部の材質に、表面エネルギーの小さな材質(テフロン(登録商標)、シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレンなど粘着状態においても粘着部と粘着しにくい材質)を用いることが望ましい。これにより、粘着時であっても粘着部とクリーニング部とは粘着しにくいため、駆動負荷の増加、粘着ベルトの変形、クリーニング手段等の部材の破損を少なくすることができ、低コストで簡素なクリーニング手段を実現することが可能となる。
粘着部、加熱手段、粘着部と加熱手段との間に設けられた熱伝導手段、粘着部を保持する保持手段に用いられる材料は、粘着部1に塗布された感温性粘着剤に粘着力を発現させるために充分な熱伝導が実現できるものであればよい。また、当該材料の剛性は、粘着部に粘着させる物品に応じて材料を変形可能な程度とする。例えば、粘着させる物品が凹凸形状であったり、表面の粗い物品である場合、当該材料に、物品の形状に対応して変形可能な部材(シリコンゴムなど)を用いることが可能である。さらに、例えば図9に示すように、感温性粘着剤が塗布される粘着部11Bの一部に空間Hを設けた中空構造として、粘着部の表面形状が粘着させる物品の形状に対応して変形する構造となっていてもよい。なお、空間Hを設ける箇所は粘着部に限らず、粘着部の保持部であっても良い。
上述した粘着装置では、感温性粘着剤に粘着力を発現させるための加熱手段として、ヒータや光源等の電気的手段を用いた例を示したが、他の手段でも良い。
Claims (10)
- 感温性粘着剤が塗布された粘着部と、前記感温性粘着剤を、該感温性粘着剤の融点以上の温度に加熱する加熱手段と、前記融点未満かつ前記感温性粘着剤のガラス転移温度未満の温度において、前記粘着部に接触し、該粘着部に付着した付着物を除去するクリーニング手段を備えたことを特徴とする粘着装置。
- 請求項1記載の粘着装置であって、
前記粘着装置は、前記感温性粘着剤の温度を降下させる温度降下手段を備えることを特徴とする粘着装置。 - 請求項1記載の粘着装置であって、
前記融点と前記ガラス転移温度の差は、約5ケルビンであることを特徴とする粘着装置。 - 請求項1記載の粘着装置であって、
前記感温性粘着剤は、側鎖結晶性ポリマーを一成分とした架橋構造を備えることを特徴とする粘着装置。 - 請求項4記載の粘着装置であって、
前記感温性粘着剤は、さらに非結晶性ポリマーを一成分とした架橋構造を備えることを特徴とする粘着装置。 - 請求項1記載の粘着装置であって、
前記粘着部または前記加熱手段に用いられる材料は、前記感温性粘着剤に粘着力を発現させるための熱伝導が可能であることを特徴とする粘着装置。 - 請求項1記載の粘着装置であって、
前記粘着部と前記加熱手段との間に設けられる熱伝導手段を備え、
前記熱伝導手段に用いられる材料は、前記感温性粘着剤に粘着力を発現させるための熱伝導が可能であることを特徴とする粘着装置。 - 請求項1記載の粘着装置であって、
前記粘着部を保持する保持手段を備え、
前記保持手段に用いられる材料は、前記感温性粘着剤に粘着力を発現させるための熱伝導が可能であることを特徴とする粘着装置。 - 請求項6〜8のいずれかに記載の粘着装置であって、
前記材料は、前記粘着部に粘着させる物品によって変形可能であることを特徴とする粘着装置。 - 請求項6〜8のいずれかに記載の粘着装置であって、
前記材料は、中空構造であることを特徴とする粘着装置。
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