JP2015097259A - 光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】変換効率が高い光電変換素子を提供する。
【解決手段】 本開示のある実施形態による光電変換素子は、光アノードと、対極と、光アノードと対極との間に設けられた電解質媒体とを有し、光アノードは、色素分子を含む固体半導体層を有し、色素分子は、下記の化学式(1)で表されるXDと下記の化学式(2)で表されるYAとを分子内に有し、
【化1】
Figure 2015097259

色素分子内におけるXDの数のYAの数に対する比であるR(XD/YA)は2以上である。
【選択図】図1

Description

本開示は、光電変換素子に関し、特に、光増感された光電変換素子に関する。ここで、光増感された光電変換素子は、いわゆる色素増感太陽電池を包含し、さらに、屋内等の照度の比較的低い環境においても発電することができる色素増感型の発電素子を含む。
近年、新しい光電変換素子として、グレッツェル・セルと呼ばれる色素増感太陽電池が注目されている(特許文献1)。グレッツェル・セルは、光アノードと、対極と、光アノードと対極との間に設けられた電解質媒体とを有する。光アノードは、典型的には、可視光を透過する導電層と、導電層上に形成された、光増感剤を含む半導体層とをさらに有する。半導体層は、例えば、多孔質酸化チタンを含み、光増感剤としての色素が多孔質酸化チタンの表面に担持されている。色素は、例えば、ルテニウム(Ru)錯体である。対極は、例えば、白金電極である。電解質媒体は、例えば、酸化還元物質(メディエータ)を含む電解質溶液である。
グレッツェル・セルの特性を改善するために、種々の検討がなされている。その1つが、光電変換効率(以下、単に「変換効率」という。)を向上させることができる色素の探索である。これまで、Ru錯体の他、メロシアニン(例えば、特許文献2)や、種々の色素が検討されている(特許文献3および4)。
特許第2664194号公報 特開2004−115636号公報(特許4080288号公報) 特開2004−200068号 国際公開第2012/121192号
しかしながら、従来の色素では、十分に高い変換効率を得るには至っておらず、特に、屋内等の照度の比較的低い環境においても高い変換効率を有する光電変換素子が求められている。
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、変換効率が高い光電変換素子を提供することを目的とする。
本開示のある実施形態による光電変換素子は、光アノードと、対極と、前記光アノードと前記対極との間に設けられた電解質媒体とを有し、前記光アノードは、色素分子を含む固体半導体層を有し、前記色素分子は、下記の化学式(1)で表されるXDと下記の化学式(2)で表されるYAとを分子内に有し、

Figure 2015097259

前記色素分子内におけるXDの数のYAの数に対する比であるR(XD/YA)は2以上である。
本開示のある実施形態によると、変換効率が高い光電変換素子を提供することができる。
(a)は、本開示のある実施形態の光電変換素子100の構造を模式的に示す図であり、(b)は、光電変換素子100が有する半導体層16の構造を模式的に示す図である。 (a)および(b)は、本開示の光電変換素子100における色素分子16DAを含む半導体層16の作用を説明するための模式図である。 (a)および(b)は、従来の色素を含む半導体層の作用を説明するための模式図である。 (a)および(b)は、従来の他の色素を含む半導体層の作用を説明するための模式図である。
本開示は、以下の項目に記載の光電変換素子を含む。
[項目1]
光アノードと、対極と、前記光アノードと前記対極との間に設けられた電解質媒体とを有し、
前記光アノードは、色素分子を含む固体半導体層を有し、
前記色素分子は、下記の化学式(1)で表されるXDと下記の化学式(2)で表されるYAとを分子内に有し、

Figure 2015097259

前記色素分子内におけるXDの数のYAの数に対する比であるR(XD/YA)は2以上である、光電変換素子。
[項目2]
R(XD/YA)は4以下である、項目1記載の光電変換素子。
[項目3]
YAを間に介して互いに連結された2つのXDを含む、項目1または2に記載の光電変換素子。
[項目4]
前記色素分子は、分子内にYAを1つだけ有する、項目1から3のいずれかに記載の光電変換素子。
[項目5]
前記色素分子において、YAとDAとの間に存在する炭素原子の数は2以下である、項目1から4のいずれかに記載の光電変換素子。
[項目6]
前記色素分子は、下記の一般式(I)で示され、
Figure 2015097259

一般式(I)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に芳香族炭化水素残基を示し、R1とR2はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を示し、または、R1とR2が連結して、シクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成し、R3とR4はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を示し、または、R3とR4が連結して、シクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成し、Q1およびQ2は、二価の電子吸引性有機残基を示し、L1とL2は、それぞれ独立にアルキレン基を示し、X-は対アニオンを示す、項目1から5のいずれかに記載の光電変換素子。
[項目7]
1とQ2は、それぞれ独立に、下記の一般式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)のいずれかで示される、二価の電子吸引性有機残基である、項目6に記載の光電変換素子。
Figure 2015097259

但し、前記一般式中のR5、R7、R10、R12およびR15は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R6、R9、R11およびR14は、それぞれ独立にアルキレン基であり、R8、R13、R16、R17は、それぞれ独立にアルキル基、アラルキル基またはアリール基である。
[項目8]
5、R7、R10、R12およびR15は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が1以上4以下のアルキル基であり、R6、R9、R11およびR14は、それぞれ独立に炭素数が1以上3以下のアルキレン基であり、R8、R13、R16、R17は、それぞれ独立に炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が7以上14以下のアラルキル基または炭素数が6以上14以下のアリール基である、項目7に記載の光電変換素子。
[項目9]
1およびL2は、それぞれ独立に炭素数が2以上10以下のアルキレン基である、項目6から8のいずれかに記載の光電変換素子。
(実施形態)
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。
図1(a)に、本開示のある実施形態の光電変換素子100の構造を模式的に示し、図1(b)に、光電変換素子100が有する固体半導体層16の構造を模式的に示す。固体半導体層16は、後述する新規な色素分子を有する。
光電変換素子100は、光アノード15と、対極35と、光アノード15と対極35との間に配置された電解質媒体22とを有する。電解質媒体22は、典型的には、電解質溶液であり、以下では、電解質溶液22ということがある。電解質溶液の他、例えば、電解質ゲルや固体高分子電解質を用いることもできる。
光アノード15は、基板12に支持されており、例えば、可視光を透過する導電層(「透明導電層」ということがある。)14と、導電層14上に形成された固体半導体層16とを有し、固体半導体層16は光増感剤としての色素分子を含んでいる。固体半導体層16は、例えば、多孔質半導体層であり、多孔質酸化チタンを好適に用いることができる。固体半導体層16を単に半導体層16ということがある。
対極35は、電解質媒体22を間に介して半導体層16に対向するように配置されている。対極35は、基板52に支持されており、例えば、酸化物導電層34と、酸化物導電層34上に形成された金属層(例えば、白金層)36とを有する。
電解質媒体22は、例えば、メディエータを含む電解質溶液であり、不図示のシール部によって、光アノード15と対極35との間に封入されている。
図1(b)に示すように、半導体層16は、例えば、多孔質酸化チタン(TiO2)16Sと、多孔質酸化チタン16Sの表面に担持された色素分子16DAとを含む。なお、色素分子16DAは、図1(b)に示した特定の化学構造を有する色素分子だけでなく、上記項目1に記載の色素分子を広く包含する。
色素分子16DAは、可視光を吸収し、励起された電子を供与する機能を有するドナー部16Dと、ドナー部16Dから電子を受容するアクセプター部16Aとを分子内に有している。ドナー部16Dは、下記の化学式(1)で表されるXDを有し、アクセプター部16Aは、下記の化学式(2)で表されるYAを有している。色素分子16DA内におけるXDの数のYAの数に対する比であるR(XD/YA)は2以上である。
Figure 2015097259
色素分子16DAは、このような構造を有するので、高い効率で光を吸収し、電子を生成するとともに、酸化チタン16Sに素早く電子を供給することができる。また、酸化チタン16Sから色素分子16DAへの電子の移動(逆反応)を抑制することできる。したがって、色素分子16DAを含む半導体層16を有する光電変換素子100は、従来よりも高い変換効率を有する。
図1(b)には、R(XD/YA)が2の場合を示しているが、R(XD/YA)は3以上であってもよい。但し、R(XD/YA)が4超になると、色素分子16DAが、多孔質酸化チタン16Sの表面に担持され難くなることがあるので、R(XD/YA)は4以下であることが好ましい。
図2を参照して、本開示の光電変換素子100における色素分子16DAを含む半導体層16の作用を説明するための模式図である。
図2(a)に示すように、色素分子16DAは、分子内に2つのXDと、1つのYAとを有している。2つのXDは、YAを間に介して結合されている。すなわち、個々のXDとYAとの間に他のXDは存在しない。図1(b)に模式的に示したように、酸化チタン16Sの表面には、色素分子16DAのアクセプター部16A(YAを含む)が吸着する。
図2(b)の模式的なエネルギー状態図に示すように、色素分子16DAは、ドナー部16Dが光を吸収し、励起される。このとき、HOMOの軌道の電子が励起され、LUMOの軌道に遷移する。LUMOの電子は、色素分子16DA内をドナー部16D(XD)からアクセプター部16A(YA)へ移動する。このとき、1つのYAに対してXDが2以上存在するので、YAに効率的に電子が供給される。YAに供給された電子は、酸化チタン16Sに授与される。このとき、アクセプター部16A(YA)は、酸化チタン16Sに授与された電子がXDに逆に移動することを抑制し、再結合が起こるのを抑制する。このように、色素分子16DAを含む半導体層16を備える光電変換素子100は、高い変換効率を実現する。ドナー部16D(XD)が光を吸収することによって励起された電子が、色素分子16DA内をドナー部16D(XD)からアクセプター部16A(YA)に移動し、アクセプター部16A(YA)の電子密度が増大する様子は、分子軌道法を用いたシミュレーションによっても確認された。シミュレーションには、gaussian社製のgaussian09を用いた。また、このような色素分子16DAを含む半導体層16を備えることによって、光電変換素子100の変換効率を向上させられることを後に実験例を示して説明する。
図3は、従来の色素を含む半導体層の作用を説明するための模式図である。図3(a)に模式的に示すように、従来の色素のあるものは、ドナー部(XD)を有し、アクセプター部(YA)を有していない。図3(b)の模式的なエネルギー状態図に示すように、このような色素分子を用いると、光を吸収することによって励起された電子は、酸化チタンに速く移動するものの、酸化チタンから色素分子への電子の移動(逆反応)も速く、再結合が起こりやすい。
図4(a)および(b)は、1つのドナー部(XD)と1つのアクセプター部(YA)とを有する色素分子を含む半導体層の作用を説明するための模式図である。図4(b)に示すように、ドナー部(XD)で励起された電子はアクセプター部(YA)供給され、アクセプター部(YA)から酸化チタンに供給される。したがって、このような色素分子を用いると、図2を参照して説明したように、再結合が防止されるので、図3を参照して説明した、アクセプター部(YA)を有しない色素分子を用いた構成よりも、変換効率は高い。本開示の実施形態の光電変換素子100に用いられる色素分子16DAは、上述したように、XDの数のYAの数に対する比であるR(XD/YA)は2以上であるので、図4を参照して説明した構成よりも、変換効率を向上させることができる。
なお、特許文献4には、光吸収部位Xと、酸化状態または還元状態の少なくとも一方においてラジカルとなり且つ繰り返し酸化還元可能なラジカル部位Yとを有し、X及びYの少なくとも一方が導電材料と化学的相互作用を示す官能基を有する色素が開示されている。本開示における色素分子16DAが有するアクセプター部16Aは、化学式(2)に示したYA(すなわちビオロゲン)を含むので、酸化チタンなどの固体半導体16Sの表面に吸着し易く、電子を効率よく供給できる。また、色素分子16DAが有するドナー部16Dが有する、化学式(1)に示したXDは、YAと結合し、安定な色素分子を形成する。このXDとYAとを有する色素分子16DAと固体半導体との組み合わせによって、特許文献4に記載の光電変換素子よりも、変換効率の高い光電変換素子を得ることが可能になる。
本開示の実施形態の光電変換素子100に用いられる色素分子16DAは、例えば、特許文献3に記載の下記の化学式(3)で表される化合物を出発物質として、公知の方法で合成することができる。
Figure 2015097259
色素分子16DAとして好適に用いることができる具体例を下記に示す。
XD/YA=2/1の例として、下記の化学式(4)〜(11)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2015097259

Figure 2015097259

Figure 2015097259

Figure 2015097259

Figure 2015097259

Figure 2015097259

Figure 2015097259

Figure 2015097259
XD/YA=3/1の例として、下記の化学式(12)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2015097259
XD/YA=4/1の例として、下記の化学式(13)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2015097259
以下に、光電変換素子100の上記の構成要素の形成に用いられる材料を詳細に説明する。
<光アノード>
光アノード15は、光電変換素子100の負極として機能する。光アノード15は、上述したように、例えば、可視光を透過する導電層14と、導電層14上に形成された半導体層16を有し、半導体層16は色素分子16DAを含んでいる。色素分子16DAを含む半導体層16は、光吸収層と呼ばれることもある。このとき、基板12は、例えば、可視光を透過するガラス基板またはプラスチック基板(プラスチックフィルムを含む)である。
可視光を透過する導電層14は、例えば、可視光を透過する材料(以下、「透明導電材料」という。)で形成され得る。透明導電材料としては、酸化亜鉛、インジウム−スズ複合酸化物、インジウム−スズ複合酸化物層と銀層からなる積層体、アンチモンがドープされた酸化スズ、フッ素がドープされた酸化スズ等を例示することができる。この内、フッ素がドープされた酸化スズは、導電性および透光性が特に高いので好ましい。導電層14の光透過率は高い程よいが、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
導電層14の厚さは、例えば、0.1μm〜10μmの範囲内にある。この範囲内であれば、均一な厚さの導電層14を形成することができるとともに、光透過性が低下せず、十分な光を半導体層16に入射させることができる。導電層14の表面抵抗は、低い程よく、好ましくは200Ω/□以下、より好ましくは50Ω/□以下である。下限は特に制限しないが、例えば0.1Ω/□である。太陽光の下で使用される光電変換素子の導電層のシート抵抗が10Ω/□程度であることが多い。しかし、太陽光よりも照度の低い蛍光灯等の下で使用される光電変換素子100では、光電子量(光電流値)が小さいために、導電層14に含まれる抵抗成分による悪影響を受けにくい。従って、低照度環境下で使用される光電変換素子100では、導電層14の表面抵抗は、導電層14に含まれる導電性材料の削減による低コスト化の観点から30〜200Ω/□の範囲内にあることが好ましい。
可視光を透過する導電層14はまた、透光性を有しない導電材料を用いて形成することができる。例えば、線状(ストライプ状)、波線状、格子状(メッシュ状)、パンチングメタル状(多数の微細な貫通孔が規則的または不規則に配列された様子をいう。)のパターンを有する金属層または、これらとはネガ・ポジが反転したパターンを有する金属層を用いることができる。これらの金属層では、金属が存在しない部分を光が透過することができる。金属として、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、鉄、ニッケル、スズ、亜鉛、またはこれらのいずれかを含む合金を挙げることができる。さらに、金属に代えて、導電性を有する炭素材料を用いることもできる。
可視光を透過する導電層14の透過率は、例えば50%以上であり、80%以上であることが好ましい。透過すべき光の波長は、色素分子の吸収波長に依存する。
基板12とは反対側から半導体層16に光を入射させる場合、基板12および導電層14は、可視光を透過させる必要はない。したがって、上記の金属または炭素を用いて導電層14を形成する場合、金属または炭素が存在しない領域を形成する必要がなく、さらに、これらの材料が十分な強度を有する場合、導電層14が基板12を兼ねるようにしてもよい。
なお、導電層14の表面における電子の漏れを防ぐため、すなわち、導電層14と半導体層16との間に整流性を持たせるために、導電層14と半導体層16との間に、酸化シリコン、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの酸化物層を形成してもよい。
色素分子16DAを有する半導体層16は、上述したように、例えば、多孔質半導体16Sと、多孔質半導体16Sの表面に担持された色素分子16DAとを含む。多孔質半導体16Sは、例えば、多孔質酸化チタン(TiO2)である。酸化チタンは、光電変換特性が高く、かつ、電解質溶液中への光溶解が起こり難いという特徴を有している。また、多孔質体は、比表面積が大きく、多くの色素分子を担持することができるという利点を有している。もちろん、多孔質体に限られず、例えば、凝集した半導体粒子によって半導体層16を構成してもよい。
半導体粒子の粒径は、5〜1000nmの範囲内、より好ましくは10〜100nmの範囲内にあることが望ましい。粒径が5〜1000nmの範囲内にあることにより、充分な量の色素分子を吸着可能な表面積を有する半導体層16を形成し、光の利用効率を高めることができる。また、適度な大きさの空孔を有する半導体層16を形成できるので、電解液(電解質媒体、電化輸送材料)が半導体層16の中に十分に浸透し、優れた光電変換特性を得ることができる。
半導体層16の厚さは0.1〜100μm、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは3〜20μm、最も好ましくは5〜10μmの範囲内にある。半導体層16の厚さがこの範囲内にあることにより、十分な光電変換効果が得られ、また可視光及び近赤外光に対する透過性も十分に確保できる。この光電変換素子100では、半導体層16の厚さは、太陽光の下で使用されることを前提した従来の光電変換素子における半導体層の最適な厚さ(例えば10μm)より小さくてもよい。
半導体層16の表面粗さは大きい方が好ましく、実効面積/投影面積で与えられる表面粗さ係数が10以上であることが好ましく、100以上であることがさらに好ましい。なお、実効面積は、半導体層16の投影面積と厚さから求められる体積と、半導体層16を構成する材料の比表面積および嵩密度とから求められる実効表面積を意味する。
半導体層16は、TiO2の他に、下記の無機半導体を用いて形成することができる。例えば、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crなどの金属元素の酸化物、SrTiO3、CaTiO3などのペロブスカイト、CdS、ZnS、In23、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、Bi23、ZnCdS2、Cu2Sなどの硫化物、CdSe、In2Se3、WSe2、HgS、PbSe、CdTeなどの金属カルコゲナイド、その他、GaAs、Si、Se、Cd23、Zn23、InP、AgBr、PbI2、HgI2、BiI3などを用いることができる。これらの内、CdS、ZnS、In23、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、Bi23、ZnCdS2、Cu2S、InP、Cu2O、CuO、CdSeは、波長が350nm〜1300nm程度の光を吸収することができるという利点を有している。さらに、上記の半導体から選ばれる少なくとも1種以上を含む複合体、例えば、CdS/TiO2、CdS/AgI、Ag2S/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdSx/CdSe1-x、CdSx/Te1-x、CdSex/Te1-x、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO2/Cd32、CdS/CdSeCdyZn1-yS、CdS/HgS/CdSなどを用いることができる。さらに、ポリフェニレンビニレンやポリチオフェンやポリアセチレン、テトラセン、ペンタセン、フタロシアニンなどの有機半導体を用いることもできる。また、ビオロゲンポリマーおよびキノンポリマー等を用いてもよい。
半導体層16は、公知の種々の方法で形成され得る。無機半導体を用いる場合、例えば、半導体材料の粉末と有機バインダー(有機溶剤を含む)との混合物を導電層14上に付与し、その後、加熱処理を施し有機バインダーを除去することによって、無機半導体からなる半導体層16を得ることができる。上記混合物を付与する方法は、公知の種々の塗布法または印刷法を採用することができる。塗布法としては、例えば、ドクターブレード法、バーコート法、スプレー法、ディップコーティング法、スピンコート法が挙げられ、印刷法としては、スクリーン印刷法が挙げられる。また、必要に応じて、混合物の膜を加圧してもよい。
有機半導体を用いる場合も、種々の公知の方法で半導体層16を形成することができる。有機半導体の溶液を公知の種々の塗布法または印刷法を用いて、導電層14上に付与すればよい。また、例えば、数平均分子量が1000以上の高分子半導体を用いる場合、スピンコート法やドロップキャスト法などの塗布法、スクリーン印刷やグラビア印刷などの印刷法が挙げられる。これらのウェットプロセスの他、スパッタ法や蒸着法などのドライプロセスを採用することもできる。
色素分子は、公知の種々の方法で半導体に担持させられる。例えば、色素分子を溶解あるいは分散させた溶液に、半導体層(例えば、色素分子を含まない多孔質半導体)を形成した基板を浸漬させる方法が挙げられる。この溶液の溶媒としては、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドなど色素分子を溶解可能なものを適宜選択して用いればよい。また、色素分子の溶液に浸漬させている間に、加熱したり、超音波を印加したりしてもよい。また、浸漬後、溶媒(例えばアルコール)での洗浄、および/または加熱を行うことによって、余剰の色素分子を除去してもよい。
半導体層16における色素分子の担持量は、例えば、1×10-10〜1×10-4mol/cm2の範囲内であり、光電変換効率およびコストの観点から、例えば、0.1×10-8〜9.0×10-6mol/cm2の範囲が好ましい。
<対極>
対極35は、光電変換素子100の正極として機能する。対極35を形成する材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、グラファイト、カーボンナノチューブ、白金を担持したカーボン等の炭素材料、インジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫等の導電性金属酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などを挙げることができる。これらのうち、白金、グラファイト、ポリエチレンジオキシチオフェンなどが好ましい。
なお、図1に示すように、対極35は、基板52側に透明導電層34を有してもよい。透明導電層34は、光アノード15が有する導電層14と同じ材料から形成することができる。この場合、対極35も透明であることが好ましく、対極35が透明であれば、基板52側または基板12側から受光することができる。これは、反射光等の影響によって光電変換素子100の表裏面両側から光照射が期待される場合に有効である。
<電解質媒体>
電解質媒体22としては、酸化還元物質(メディエータ)を溶媒中に溶解させた電解質溶液の他、ゲル電解質または高分子電解質、さらには、溶融塩のような固体電解質、ヨウ化銅などp型半導体、トリフェニルアミン等のアミン誘導体や、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子などを用いることができる。
酸化還元物質とは、酸化還元反応において可逆的に酸化体および還元体の形で存在する一対の物質を意味する。酸化還元物質としては、例えば、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、ニッケルイオン(II)−ニッケルイオン(III)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオンなどが挙げられる。特に、酸化還元対物質としては、ヨウ化物及びヨウ素I2などが好ましい。ヨウ化物としては、テトラプロピルアンモニウムヨージド等のテトラアルキルアンモニウムヨージド、メチルトリプロピルアンモニウムヨージドやジエチルジブチルアンモニウムヨージド等の非対称なアルキルアンモニウムヨージド、ピリジニウムヨージド等のヨウ化4級アンモニウム塩化合物、ヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピル−イミダゾリウムヨージド等が好ましい。
さらに上記の酸化還元物質として、安定ラジカル化合物を用いることもできる。安定ラジカル化合物が電解質媒体22に含有されていると、生成された正孔が安定ラジカル化合物の非常に速い電子移動反応によって、効率よく対極まで輸送させることができ、変換効率を向上させることができる。
安定ラジカル化合物としては、不対電子を有する化学種、すなわちラジカルを有する化合物であれば特に限定されることなく使用することができるが、なかでも分子中にニトロキシド(NO・)を有するラジカル化合物が好ましい。またラジカル化合物は分子量(数平均分子量)が1000以上のものが好ましい。分子量が1000以上であれば、常温では固体または固体に近づいて揮発が起こり難くなるので、素子の安定性の観点から好ましいものである。
電解質媒体22は、典型的には、電解質溶液22である。電解質溶液22は、酸化還元物質と支持電解質(支持塩)と溶媒とを含む。
支持電解質としては、例えば過塩素酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化リン酸テトラエチルアンモニウム、イミダゾリウム塩やピリジニウム塩などのアンモニウム塩、過塩素酸リチウムや四フッ化ホウ素カリウムなどアルカリ金属塩などが挙げられる。
溶媒は、イオン伝導性に優れるものが好ましい。溶媒は、水系溶媒および有機溶媒のいずれも使用できるが、溶質をより安定化するため、有機溶媒が好ましい。例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物、スルフォラン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることもでき、また、2種類以上を混合して用いることもできる。中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物、γ―ブチロラクトン、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、吉草酸ニトリル等のニトリル化合物が好ましい。
また、溶媒として、イオン液体を用いる、もしくは上記溶媒に混合してもよい。イオン液体は、揮発性が低く、難燃性が高いという特徴を有している。イオン液体としては、公知のイオン液体全般を用いることができるが、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレートなどイミダゾリウム系、ピリジン系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、アゾニウムアミン系のイオン液体や、欧州特許第718288号明細書、国際公開第95/18456号、電気化学第65巻11号923頁(1997年)、J. Electrochem. Soc.143巻,10号,3099頁(1996年)、Inorg. Chem. 35巻,1168頁(1996年)に記載されたものを挙げることができる。
基板12および52は、例えば、可視光を透過するガラス基板またはプラスチック基板(プラスチックフィルムを含む)である。基板12が透明である場合には、基板52は透明でなくてもよい。但し、両側の基板12および52から光を入射させることができる点で、両方の基板12および52が透明であることが好ましい。
基板12と基板52は、不図示の封止部によって貼り合わせられ、基板12と基板52との間に、電解質媒体22等を閉じ込めている。封止部は、例えば熱可塑性樹脂で形成される。熱可塑性樹脂としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、線状低密度ポリエチレン、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、アイオノマー樹脂のほか、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリジエン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、フッ素樹脂系、ポリアミド系のエラストマー等の中から被着面の材質に応じて適宜選択される。封止部の厚さは特に限定されないが、例えば、10μm〜100μmの範囲内が好ましい。なお、封止部は、熱硬化性樹脂等で形成されてもよい。
光電変換素子100は、例えば、以下の方法で製造することができる。
基板12上に導電層14および半導体層16を順次形成する。半導体層16に、色素分子を担持させる。一方、基板52上に対極35を形成する。
半導体層16と対極35とを間隔をあけて対向させた状態で、半導体層16および、半導体層16と対極35との間の空間を囲むように、封止部を形成する。このとき、封止部には、半導体層16と対極35との間の空間に連通する注入口を形成しておく。
注入口から、空間内へ電解質媒体22の構成材料を注入した後、封止部の注入口をUV硬化性樹脂等で閉塞する。これにより、光電変換素子100が得られる。
次に、本開示の実施形態による光電変換素子の実施例を説明する。
(実施例1)
図1(a)に示した光電変換素子100と実質的に同じ構造を有する光電変換素子を作製した。各構成要素は、以下の通りである。
基板12:ガラス基板 厚さ1mm
透明導電層14:フッ素ドープSnO2層(表面抵抗10Ω/□)
半導体層16:多孔質酸化チタン、色素分子
電解質溶液22:2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルを1M、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)を0.5M、N−メチルベンズイミダゾールを1.6Mの濃度で含有する、アセトニトリル溶液(1M=1mol/L)
基板52:ガラス基板 厚さ1mm
酸化物導電層34:フッ素ドープSnO2層(表面抵抗10Ω/□)
対極35:白金層
実施例1の光電変換素子は、以下のように作製した。
フッ素ドープSnO2層を有する厚さ1mmの導電性ガラス基板(旭硝子製、表面抵抗10Ω/□)を2枚用意した。これらを、透明導電層14を有する基板12および酸化物導電層34を有する基板52として用いた。
平均1次粒子径が20nmの高純度酸化チタン粉末をエチルセルロース中に分散させ、スクリーン印刷用のペースト(第1のペースト)を作製した。また、平均1次粒子径が20nmと平均1次粒子径が400nmの高純度酸化チタン粉末とをエチルセルロース中に分散させ、スクリーン印刷用のペースト(第2のペースト)を作製した。
一方の導電性ガラス基板のフッ素ドープSnO2層上に第1のペーストを塗布し、乾燥させた後、500℃で30分間、空気中で焼成し、厚さが10μmの多孔質酸化チタン層を形成した。
得られた多孔質酸化チタン層上に第2のペーストを塗布し、乾燥させた後、500℃で30分間、空気中で焼成し、厚さが4μmの多孔質酸化チタン層を形成した。このようにして、厚さが14μmの多孔質酸化チタン層を得た。
その後、多孔質酸化チタン層を形成した基板を、色素分子として下記の化学式(14)で示されるD1VD1の0.3mmol/dm3溶液中に浸漬して、室温、暗所下で24時間静置し、色素吸着処理を行い、色素分子D1VD1を担持した多孔質酸化チタン層16を得た。このようにして、光アノード15を形成した。
Figure 2015097259
他方の導電性ガラス基板の表面に、塩化白金酸の熱分解によって白金を堆積し、金属層36を形成した。このようにして、対極35を形成した。
アノード15が形成された基板12と対極35が形成された基板52とを、封止材を用い貼り合わせた。このとき、封止材は、注入孔となる部分を残して、半導体層16の周囲を囲むように付与した。注入孔から上記の電解質溶液を注入した後、UV硬化樹脂を用いて注入孔を閉じ、実施例1の光電変換素子を得た。
(実施例2)
色素分子として下記の化学式(15)で示されるD1VD2を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の光学変換素子を得た。
Figure 2015097259
(実施例3)
色素分子として下記の化学式(16)で示されるD1C10VC10D1’を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の光学変換素子を得た。
Figure 2015097259
(実施例4)
色素分子として下記の化学式(17)で示されるD1VD1’−D1VD1’を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の光学変換素子を得た。
Figure 2015097259
(比較例1)
色素分子として下記の化学式(18)で示されるD1を用いた以外は、色素分子の濃度を含め、実施例1と同様にして、比較例1の光学変換素子を得た。比較例1の光電変換素子の色素分子は、ドナー部(XD)を有し、アクセプター部(YA)を有していない。
Figure 2015097259
(比較例2)
色素分子として下記の化学式(19)で示されるD1Vを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の光学変換素子を得た。比較例2の光電変換素子の色素分子は、1つのドナー部(XD)と1つのアクセプター部(YA)とを有する。
Figure 2015097259
各実施例および各比較例の光電変換素子の変換効率を下記の表1に示す。変換効率は、25℃の環境下で、光電変換素子の平面視面積1cm2の領域に200ルックスの光を照射しながら、Keithley 2400source meter(ケースレイ社製の2400型汎用ソースメータ)を用いて測定したIV特性から求めた。
Figure 2015097259
表1の結果からわかるように、実施例1〜4の光電変換素子は、比較例1および2のいずれよりも変換効率が高い。これは、図2(実施例)、図3(比較例1)および図4を参照して上述した理由によると考えられる。
また、実施例1および2の光電変換素子の変換効率が、実施例3および4の光電変換素子の変換効率よりも高い。
実施例1および2で用いた色素分子(分子量約1200)は、ドナー部(XD)とアクセプター部(YA)との間に2つの炭素原子を有しているに過ぎない。これに対し、実施例3で用いた色素分子(分子量約1300)は、ドナー部(XD)とアクセプター部(YA)との間に、炭素数が10のアルキル鎖を有する。そのため、実施例3で用いた色素分子においては、ドナー部(XD)からアクセプター部(YA)への電子の移動が若干阻害されたと考えられる。すなわち、実施例1および2で用いた色素分子では、実施例3で用いた色素分子よりも、ドナー部(XD)からアクセプター部(YA)への電子の移動が速やかに効率的に行われるため、高い変換効率が得られたと考えられる。
また、実施例4で用いた色素分子(分子量約2400)は、1分子中に2つのアクセプター部(YA)を有する複雑な構造を有し、また、実施例1および2で用いた色素分子(分子量約1200)よりも分子量が大きい。そのため、実施例4で用いた色素分子のアクセプター部(YA)が酸化チタンの表面に効率的に吸着しなかったために、アクセプター部(YA)から酸化チタンへの電子の移動が速やかに行われなかったと考えられる。すなわち、実施例1および2で用いた色素分子では、実施例4で用いた色素分子よりも、アクセプター部(YA)から酸化チタンへの電子の移動が速やかに効率的に行われるため、高い変換効率が得られたと考えられる。
以上のことから、色素分子のさらに好ましい構造として、ドナー部(XD)とアクセプター部(YA)との間に存在する炭素原子の数は2以下であること、また、1分子中には唯一のアクセプター部(YA)を有することを挙げることができる。また、色素分子の分子量は、約2000未満であることが好ましいと考えられる。
表2に、試料No.1〜No.7について、分子軌道法を用いたシミュレーションで求めた各色素分子の遷移強度および試作した光電変換素子について求めた変換効率を示す。各光電変化素子の作製およびIV特性の測定は、上記の実施例および比較例と同様である。なお、シミュレーションの遷移強度は、ドナー部における光吸収の遷移確率だけでなく、ドナー部からアクセプター部への電子の移動確率をも反映した数値である。シミュレーションには、gaussian社製のgaussian09を用いた。表2には、色素分子の基本構造と、XD/YAを併せて示している。
Figure 2015097259
各試料No.1〜7で用いた色素分子の構造を下記の化学式(20)〜(26)に示す。
試料No.1
Figure 2015097259
試料No.2
Figure 2015097259
試料No.3
Figure 2015097259
試料No.4
Figure 2015097259
試料No.5
Figure 2015097259
試料No.6
Figure 2015097259
試料No.7
Figure 2015097259
表2からわかるように、試料No.1〜No.4の色素分子は、YAを有しない、または、R(XD/YA)の値が2未満であり、シミュレーションによる遷移強度および光電変換素子の変換効率が低い。試料No.5〜6の色素分子は、R(XD/YA)の値が2以上であり、シミュレーションによる遷移強度および光電変換素子の変換効率が高い。試料No.7のXD/YAが3/1、すなわちR(XD/YA)の値が3の色素分子のシミュレーションによる遷移強度は、試料No.5および6のR(XD/YA)の値が2の色素分子のシミュレーションによる遷移強度よりも大きな値を有しているが、変換効率は同等である。これは、試料No.7の色素分子においては、ドナー部からアクセプター部への電子の移動確率によって、変換効率が制限されたと考えられる。
上述の実施例、比較例および表2に示したシミュレーション結果および実験結果から明らかなように、本開示による色素分子16DAを用いた光電変換素子は、屋内等の照度の比較的低い環境においても高い変換効率を有する。
本開示の光電変換素子は、例えば、屋内等の照度の比較的低い環境においても発電することができる色素増感型発電素子として利用することができる。
12 基板
14 透明導電層
15 光アノード
16 光増感剤を含む半導体層
22 電解質媒体(電解質溶液)
34 酸化物導電層(透明導電層)
35 対極
36 金属層(白金層)
52 基板
100 光電変換素子

Claims (9)

  1. 光アノードと、対極と、前記光アノードと前記対極との間に設けられた電解質媒体とを有し、
    前記光アノードは、色素分子を含む固体半導体層を有し、
    前記色素分子は、下記の化学式(1)で表されるXDと下記の化学式(2)で表されるYAとを分子内に有し、
    Figure 2015097259
    前記色素分子内におけるXDの数のYAの数に対する比であるR(XD/YA)は2以上である、光電変換素子。
  2. R(XD/YA)は4以下である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. YAを間に介して互いに連結された2つのXDを含む、請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記色素分子は、分子内にYAを1つだけ有する、請求項1から3のいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 前記色素分子において、YAとDAとの間に存在する炭素原子の数は2以下である、請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子。
  6. 前記色素分子は、下記の一般式(I)で示され、
    Figure 2015097259
    前記一般式(I)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に芳香族炭化水素残基を示し、R1とR2はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を示し、または、R1とR2が連結して、シクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成し、R3とR4はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を示し、または、R3とR4が連結して、シクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成し、Q1およびQ2は、二価の電子吸引性有機残基を示し、L1とL2は、それぞれ独立にアルキレン基を示し、X-は対アニオンを示す、請求項1から5のいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 1とQ2は、それぞれ独立に、下記の一般式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)のいずれかで示される、二価の電子吸引性有機残基である、請求項6に記載の光電変換素子。
    Figure 2015097259
    但し、前記一般式中のR5、R7、R10、R12およびR15は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R6、R9、R11およびR14は、それぞれ独立にアルキレン基であり、R8、R13、R16、R17は、それぞれ独立にアルキル基、アラルキル基またはアリール基である、二価の電子吸引性有機残基である。
  8. 5、R7、R10、R12およびR15は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が1以上4以下のアルキル基であり、R6、R9、R11およびR14は、それぞれ独立に炭素数が1以上3以下のアルキレン基であり、R8、R13、R16、R17は、それぞれ独立に炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が7以上14以下のアラルキル基または炭素数が6以上14以下のアリール基である、請求項7に記載の光電変換素子。
  9. 1およびL2は、それぞれ独立に炭素数が2以上10以下のアルキレン基である、請求項6から8のいずれかに記載の光電変換素子。
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