JP2015096931A - 現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】弱帯電や逆帯電の現像剤が現像領域に到達することを抑制することが可能な現像装置、並びにこの現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】トナーを表面上に担持して回転し、現像領域αで感光体2上の潜像にトナーを供給して現像する現像ローラ42と、現像ローラ42表面に接触して現像領域αに向かうトナーの量を規制するドクタブレード45とを有し、現像ローラ42表面に凹凸形状を備える現像装置4において、ドクタブレード45に電圧を印加する現像バイアス電源142及びツェナーダイオード145からなる規制部材電圧印加手段を備え、規制部材電圧印加手段は、現像ローラ42からドクタブレード45へトナーを向かわせる第一規制電圧と、ドクタブレード45から現像ローラ42へトナーを向かわせる第二規制電圧と、を交互に印加する交番電圧を印加する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像装置並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
特許文献1及び2には、潜像担持体である感光体との対向部である現像領域に現像剤を搬送する現像ローラの表面上に、凸部の高さや凹部の深さが一定で規則的なパターンからなる凹凸を形成した現像装置が記載されている。この現像装置では、現像剤収容部内の現像剤を現像剤供給部材によって現像ローラの表面に供給し、規制部材によって現像ローラの凸部に存在する現像剤をすり切ることで、現像ローラ表面上の現像剤は凹部内に収容された現像剤のみとなる。凹部の深さが一定で、その形成パターンが規則的であるため、現像ローラの一周にわたって現像剤担持量が略安定する。このような現像装置では、凹部の容量を所望量の現像剤を担持する容量に設定することにより、所望量の現像剤を現像領域に搬送することができる。
特許文献1及び2に記載の現像装置では、現像剤供給部材によって現像ローラの表面に現像剤を供給する供給位置での現像ローラの表面と現像剤との摩擦帯電によって現像ローラに担持された現像剤が帯電する。また、供給位置を通過した現像ローラの表面上の現像剤は、規制部材によって現像剤の担持量が規制される規制位置で、規制部材によって押圧されることで、現像ローラの表面との摩擦帯電によってさらに帯電する。
このような現像装置では、次のような理由により、弱帯電や逆帯電の現像剤が現像領域に到達することがある。
すなわち、現像ローラ表面上の凹部内に収容された現像剤が現像領域に搬送されるが、供給位置で凹部内に担持された現像剤は、担持されたまま現像ローラの表面に対してほとんど動かないため、規制位置を通過するときに帯電ローラの表面との間で摩擦帯電が生じ難い。このため、規制位置を通過する現像ローラの表面に弱帯電や逆帯電の現像剤が混入していても、規制位置での摩擦帯電による帯電状態の向上が生じ難く、弱帯電や逆帯電の現像剤がそのまま現像領域に搬送される。
弱帯電や逆帯電の現像剤が現像領域に到達すると、地汚れ等の画像不良が発生する原因となる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、弱帯電や逆帯電の現像剤が現像領域に到達することを抑制することが可能な現像装置、並びにこの現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、潜像担持体と対向する現像領域で該潜像担持体の表面の潜像に現像剤を供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体の表面に接触して該現像領域に向かう現像剤の量を規制する規制部材とを有し、該現像剤担持体の表面に凹凸形状を備える現像装置において、上記規制部材に電圧を印加する規制部材電圧印加手段を備え、該規制部材電圧印加手段は、上記現像剤担持体から該規制部材へ現像剤を向かわせる第一規制電圧と、該規制部材から該現像剤担持体へ現像剤を向かわせる第二規制電圧と、を交互に印加する交番電圧を該規制部材に印加することを特徴とするものである。
本発明によれば、弱帯電や逆帯電の現像剤が現像領域に到達することを抑制することが可能となるという優れた効果がある。
実施形態1の現像装置の概略構成図。 実施形態1に係る複写機の概略構成図。 実施形態1の現像装置の一つ目の斜視説明図。 実施形態1の現像装置の二つ目の斜視説明図。 実施形態1の現像装置の断面説明図。 実施形態1の現像装置の一部を断面図で示す斜視図。 下ケースの図示を省略した現像装置の一方の端部近傍の拡大斜視図。 図7の状態から現像ローラの図示を省略した現像装置の拡大斜視図。 下ケースの図示を省略した現像装置の他方の端部近傍の拡大斜視図。 図9の状態から現像ローラの図示を省略した現像装置の拡大斜視図。 現像ローラの斜視説明図。 現像ローラの側面図。 現像ローラの表面形状の説明図、(a)は、現像ローラ全体の概略図、(b)は、(a)中の領域ηの拡大上面図及び断面図。 供給ローラの斜視説明図。 供給ローラの側面図。 ドクタブレードの斜視説明図。 ドクタブレードの側面図。 パドルの斜視説明図。 パドルの側面図。 ドクタブレードが腹当て状態の現像装置のドクタ部の拡大説明図。 ドクタブレードが先端当て状態の現像装置のドクタ部の拡大説明図。 凸部の側面と凹部の底面とが成す角が90[°]未満である現像ローラの表面の拡大断面図。 凸部の側面と凹部の底面とが成す角の一部が90[°]未満である現像ローラの表面の拡大断面図。 凸部の側面と凹部の底面とが成す角が90[°]以上である現像ローラの表面の拡大断面図。 凸部の側面と凹部の底面とが成す角が90[°]である現像ローラの表面の拡大断面図。 凸部の側面と凹部の底面とが成す角の一部が鈍角である現像ローラの表面の拡大断面図(腹当て状態)。 凸部の側面と凹部の底面とが成す角の一部が鈍角である現像ローラの表面の拡大断面図(先端当て状態)。 凸部の方形状の頂面が表面移動方向に直交する辺を有する現像ローラの表面の拡大図。 現像ローラに対するドクタブレードの接触状態の説明図、(a)は、ブレードを現像ローラの接線方向に接触させた状態の説明図、(b)は、(a)の状態からブレードフォルダを法線方向に移動させた状態の説明図、(c)は、(b)の状態からブレードフォルダを接線方向に移動させた状態の説明図。 実験1の実験結果を示すグラフ。 エッジ当ての状態の拡大説明図。 実験2の実験結果を示すグラフ。 材料に違いによるドクタブレードの削れ量を比較するグラフ。 現像装置の交換を報知する報知システムのフローチャート。 交換時期が近づいた現像装置のドクタブレードと現像ローラとの拡大説明図。 現像バイアスと規制バイアスとの説明図。 実験4の実験結果を示すグラフ。 現像バイアス及び規制バイアスと第一規制電圧及び第二規制電圧との説明図。 第一規制電圧を印加する時間と、第二規制電圧を印加する時間との比率が同じ場合の説明図。 第一規制電圧を印加する時間の比率よりも第二規制電圧を印加する時間の比率が高い場合の説明図。 第二規制電圧を印加する時間の比率よりも第一規制電圧を印加する時間の比率が高い場合の説明図。 現像バイアスがDCバイアスの場合のバイアスの時間変化の説明図。 現像バイアスがACバイアスの場合のバイアスの時間変化の説明図。 現像ローラとドクタブレードとに「t1<t2」の関係を満たすように電圧を印加する構成例のブロック図。 電源が共通の構成のバイアスの時間変化を示す説明図。 電源が共通の構成のブロック図。 現像バイアスと規制バイアスとで交流の周期が異なる構成のバイアスの時間変化を示す説明図。 現像バイアスと規制バイアスとで交流の周期が異なる構成のブロック図。 走行距離に応じてトナーの帯電性が低下する状態の一例を示す説明図。 変形例1の現像バイアスと規制バイアスとの説明図、(a)は、現像バイアスと規制バイアスとを示す図、(b)は、ドクタブレードから見た現像ローラの電位の周期的な変化を示す図。 変形例2の現像バイアスと規制バイアスとの説明図、(a)は、現像バイアスと規制バイアスとを示す図、(b)は、ドクタブレードから見た現像ローラの電位の周期的な変化を示す図。 実施形態2のプリンタの要部の概略断面図。 同プリンタが備える四つのプロセスカートリッジのうちの一つの拡大断面図。 同プロセスカートリッジの軸方向端部近傍の拡大断面図。 同プロセスカートリッジが備える現像装置の軸線方向に沿った断面図。 形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図。 形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図。
〔実施形態1〕
以下、本発明を画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)に適用した、本発明の一つ目の実施形態(以下、実施形態1という)について説明する。
まず、複写機500の全体について説明する。
図2は、実施形態1の複写機500の概略構成図である。複写機500は、複写装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部300という)から構成される。
プリンタ部100は、四つのプロセスユニットとしてのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)、中間転写ベルト7、露光手段としての露光装置6、定着手段としての定着装置12等を備えている。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラに張架されて図2中の矢印A方向に移動する中間転写体である。
四つのプロセスカートリッジ1の、符号の後に付されたY,M,C,Kという添字は、イエロー,マゼンタ,シアン,黒用の仕様であることを示している。四つのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他は、ほぼ同様の構成になっているので、以下、K,Y,M,Cという添字を省略して説明する。
プロセスカートリッジ1は、潜像担持体である感光体2、帯電手段である帯電部材3、現像手段である現像装置4、及び、クリーニング手段である感光体クリーニング装置5を一体的に支持してユニット状とした構成となっている。各プロセスカートリッジ1は、それぞれの不図示のストッパーを解除することにより、複写機500本体に対して着脱可能となっている。
感光体2は、図中の矢印で示すように、図中の時計周り方向に回転する。帯電部材3は、ローラ状の帯電ローラであり、感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転により従動回転する。作像時には、帯電部材3には図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体2の表面を帯電する。実施形態1のプロセスカートリッジ1は、帯電手段として、感光体2の表面に接触するローラ状の帯電部材3を用いているが、帯電手段としてはこれに限るものではなく、コロナ帯電などの非接触帯電方式を用いてもよい。
露光装置6は、スキャナ部300で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、感光体2の表面に対して露光し、感光体2の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置6は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
感光体クリーニング装置5は、中間転写ベルト7と対向する位置を通過した感光体2の表面上に残留する転写残トナーのクリーニングを行う。
四つのプロセスカートリッジ1は、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色毎のトナー像を感光体2上に形成する。四つのプロセスカートリッジ1は、中間転写ベルト7の表面移動方向に並列に配設され、それぞれの感光体2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に順に重ね合わせるように転写し、中間転写ベルト7上に可視像を形成する。
図2において、各感光体2に対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には一次転写手段としての一次転写ローラ8が配置されている。一次転写ローラ8には不図示の高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体2との間で一次転写電界を形成する。感光体2と一次転写ローラ8との間で一次転写電界が形成されることにより、感光体2の表面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト7の表面に転写される。中間転写ベルト7を張架する複数の張架ローラのうちの一つが不図示の駆動モータにより回転することによって中間転写ベルト7が図中の矢印A方向に表面移動する。表面移動する中間転写ベルト7の表面上に各色のトナー像が順次重ねて転写されることによって、中間転写ベルト7の表面上にフルカラー画像が形成される。
四つのプロセスカートリッジ1が中間転写ベルト7と対向する位置に対して、中間転写ベルト7の表面移動方向下流側には、二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、張架ローラの一つである二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に配置され、中間転写ベルト7との間で二次転写ニップを形成する。二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に所定の電圧を印加して二次転写電界を形成する。給紙部200から給紙され、図2中の矢印S方向に搬送される転写材である転写紙Pは、二次転写ニップを通過する。この転写紙Pが二次転写ニップを通過する際に、中間転写ベルト7の表面上に形成されたフルカラー画像が、二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に形成された二次転写電界によって転写紙Pに転写される。
二次転写ニップに対して転写紙Pの搬送方向下流側に、定着装置12が配置されている。二次転写ニップを通過した転写紙Pは定着装置12に到達する。そして、定着装置12における加熱及び加圧によって転写紙P上に転写されたフルカラー画像が定着され、画像が定着された転写紙Pは複写機500の装置外に出力される。
一方、二次転写ニップで転写紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留したトナーは、転写ベルトクリーニング装置11によって回収される。
図2に示すように、中間転写ベルト7の上方には、各色トナーを収容するトナーボトル400(Y,M,C,K)が複写機500本体に対して着脱可能に配置されている。
各色トナーボトル400に収容されたトナーは、各色に対応する不図示のトナー補給装置によって、各色の現像装置4に供給される。
次に、現像装置4について説明する。
図1は、実施形態1の現像装置4の概略構成を示す模式図であり、図2中の紙面奥側から見た断面図である。
図3及び図4は、現像装置4の斜視説明図であり、それぞれ異なる方向の斜め上方から現像装置4を見た斜視説明図である。
現像装置4の外形を形成する現像ケーシング41は、上ケース411、中ケース412及び下ケース413が組み合わさることで形成される。中ケース412はトナー収容部43を形成し、上ケース411にはトナー収容部43と外部とを連通する現像剤補給部であるトナー補給口55が形成されている。また、上ケース411には、現像ローラ42と上ケース411との隙間をシールする入口シール47が設けられている。
図5は、図1と同じ方向から見た現像装置4の断面説明図であり、図6は、現像装置4の一部を拡大した斜視図であり、その一部をZ−X断面図で示す説明図である。
中ケース412には、現像ローラ42、供給ローラ44、ドクタブレード45、パドル46、供給スクリュ48及びトナー残量センサ49等が設けられている。
現像装置4には、内部と外部とを連通する開口部56が長手方向(図中Y軸方向)に沿って設けられている。開口部56内にはトナーTを内部から外部(感光体と対向する現像領域α)まで担持搬送する円筒状の現像ローラ42が設けられている。
また、中ケース412に設けられたトナー残量センサ49は、トナー収容部43内のトナーTの量を検知するものである。
図7は、下ケース413の図示を省略した現像装置4の一方の端部(図2中の奥側端部)近傍の拡大斜視図であり、図8は、図7の状態から現像ローラ42の図示を省略した現像装置4の拡大斜視図である。
図9は、下ケース413の図示を省略した現像装置4の他方の端部(図2中の手前側端部)近傍の拡大斜視図であり、図10は、図9の状態から現像ローラ42の図示を省略した現像装置4の拡大斜視図である。
図7〜図10に示すように、現像装置4の開口部56の長手方向両端部にあたる中ケース412の一部にはサイドシール59が貼着されている。サイドシール59は、現像ローラ42の軸方向両端近傍に設けられたスペーサー422よりも軸方向における内側で、且つ、現像ローラ42にドクタブレード45が接触する軸方向の端部が重なる領域に設けられている。このようなサイドシール59によって現像ケーシング41における開口部56の長手方向端部からトナーTが漏れ出ることを防止している。
また、後述のように、現像ローラ42の現像ローラ軸の軸方向両端は、中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。
現像装置4では、供給ローラ44が図1中の矢印C方向(図1中の時計回り方向)に回転して表面移動することにより、トナー収容部43内のトナーTを現像ローラ42に対向する領域である供給ニップβに搬送し、現像ローラ42の表面にトナーTを供給する。現像ローラ42は、供給されたトナーTを表面上に担持して、図1中の矢印B方向(図1中の時計回り方向)に回転して表面移動することにより、現像ローラ42上のトナーTを所定量に規制するドクタブレード45との対向部までトナーTを搬送する。ドクタブレード45は現像ローラ42との対向部で、現像ローラ42の表面移動方向に対してカウンター方向(ドクタブレード45の先端がドクタブレード45の基部よりも現像ローラ42の表面移動方向上流側になるように)に当接する。ドクタブレード45との対向部で所定量に規制されたトナーTは、現像ローラ42の回転によって感光体2との対向部である現像領域αに到達する。
また、供給ニップβでは、供給ローラ44の表面は下方から上方に向かって移動し、現像ローラ42の表面は上方から下方に向かって移動する。なお、本実施形態の現像装置4では、供給ニップβで、供給ローラ44と現像ローラ42とは接触している。
現像領域αでは、現像バイアス電源142から現像ローラ42に印加された現像バイアスと感光体2表面上の潜像との電位差によって形成される現像電界に応じて、現像ローラ42の表面上のトナーTが感光体2の表面に移動する。これにより、感光体2の表面上の静電潜像部分にトナーTが付着し、現像が行われる。感光体2は、現像ローラ42に対して非接触で、図1中の矢印D方向に回転する。このため、現像領域αにおいて、現像ローラ42の表面移動方向と感光体2の表面移動方向とは同方向となる。
また、現像バイアス電源142は、交番電圧を現像ローラ42に印加する電圧印加部である。交番電圧としては、現像領域αに搬送されたトナーTによる潜像の現像のために、現像ローラ42から感光体2へトナーTを向かわせるための第一電圧と、感光体2から現像ローラ42へトナーTを向かわせるための第二電圧とを備える。
詳細は後述するが、現像ローラ42の表面には凸部42aの高さや凹部42bの深さが実質的に一定の規則的な凹凸形状を外周面の全周に渡って有している。
現像領域αで現像に寄与せず、現像領域αを通過した現像ローラ42の表面上のトナーTは、供給ニップβにおける現像ローラ42の表面移動方向上流側の部分で供給ローラ44によって回収され、現像ローラ42表面のリセットがなされる。つまり、供給ローラ44は、回収ローラとしての役割も有している。
現像ローラ42の表面上に規則的に形成された凹部42bに担持されたトナーTは回収され難い。そして、現像領域αを通過したトナーTが供給ニップβを通過し、現像ローラ42に担持されたままとなると、トナーTが現像ローラ42に固着してトナーフィルミングが発生する。トナーフィルミングが発生すると、現像ローラ42上のトナーTの単位重量当たりの帯電量や現像ローラ42の単位面積当たりのトナー量が不安定になり、現像時の濃度ムラの発生の原因となる。
実施形態1の現像装置4では、現像ローラ42と供給ローラ44とが対向する供給ニップβでは、現像ローラ42の表面移動方向と供給ローラ44の表面移動方向とが逆方向となっている。これにより、供給ニップβにおける現像ローラ42の表面と供給ローラ44の表面との線速差が大きくなり、供給ニップβでの供給ローラ44による回収性能の向上を図ることが出来る。よって、トナーTが現像ローラ42に担持されたままとなることを抑制し、現像ローラ42の表面にトナーTが固着することを抑制でき、現像剤担持体の表面に現像剤が固着することに起因する現像時の濃度ムラの発生を抑制することが出来る。
また、現像ローラ42の線速が速いことが望ましい。実施形態1の現像装置4では、現像ローラ42と供給ローラ44との線速比は、現像ローラ42の表面移動速度:供給ローラ44の表面移動速度=1:0.85となっているが、線速比としてはこの値に限るものではない。
また、図1に示すように、現像装置4では供給ローラ44をトナー収容部43の上部に配置し、供給ローラ44の少なくとも一部がパドル46の回転を停止した状態のトナー収容部43内のトナーTの剤面よりも上方となるようになっている。そして、供給ニップβに対して供給ローラ44の表面移動方向下流側の領域(以下、供給ニップ下流側領域と呼ぶ。)がトナーTの剤面よりも上方となっている。特許文献1の図4に記載の構成では、供給ニップ下流側領域にトナーTが充填されており、供給ニップ下流側領域に充填された状態のトナーTが、新たなトナーTが供給ニップ下流側領域に入ってくることを阻害することがある。このため、供給ニップβにおける現像ローラ42からのトナーTの回収効率を低下させるおそれがある。
一方、実施形態1の現像装置4は図1に示すように、供給ニップ下流側領域がトナーTの剤面よりも上方となっている。このため、供給ニップ下流側領域にはトナーTが充填されておらず、供給ニップ下流側領域に存在するトナーTによって、供給ニップβにおける現像ローラ42からのトナーTの回収を阻害されることがない。よって、効率的にトナーTの回収を行うことができ、トナーTのリセット性を向上できる。
次に、現像ローラ42について説明する。
図11は、現像ローラ42の斜視説明図であり、図12は、現像ローラ42の側面図である。また、図13は、現像ローラ42の表面形状の説明図であり、図13(a)は、現像ローラ42全体の概略図であり、図13(b)は、図13(a)中の領域ηの拡大上面図及び断面図である。図13(b)の中段に示す断面図は、上段の拡大上面図中のL11,L13で示す直線に沿った断面図における表面凹凸形状42S1を示している。また、図13(b)の下段に示す断面図は、上段の拡大平面図中のL12,L14で示す直線に沿った断面における表面凹凸形状42S2である。
現像ローラ42は、現像ローラ軸421に表面にトナーTを担持する現像ローラ円筒部420を設けた構成であり、現像ローラ円筒部420に対して軸方向外側である軸方向両端部近傍の現像ローラ軸421には、スペーサー422が設けられている。
現像ローラ42は、現像ローラ軸421を中心に回転可能に設けられており、現像ローラ軸421の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。現像ローラ42の現像ローラ軸421の軸方向両端は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。現像ローラ42の表面の一部は開口部56から現像装置4の外部に露出し、この露出した表面が下方から上方に表面移動してトナーTを搬送するように、現像ローラ42は図1中の矢印B方向に回転する。
また、現像ローラ42は、軸方向両端部近傍に設けられたスペーサー422が感光体2の表面に接触することにより、現像領域αにおける現像ローラ円筒部420の表面と感光体2の表面との距離(現像ギャップ)を一定に保っている。
現像ローラ42は、基材42gと、この基材42gの外周面に形成された表面層42fとからなる(図31参照)。基材42gは、5056アルミニウム合金や6063アルミニウム合金等のアルミニウム系やSTKM等の鉄系等の金属材料スリーブからなる。
現像ローラ42は、基材42gである金属材料スリーブの表面に凹凸加工を施し、凹凸加工を施した金属材料スリーブに対して、ニッケル鍍金を実施することで、現像ローラ42の腐食の防止や、トナーTの帯電性補助を行う表面層42fを形成している。
現像ローラ42の現像ローラ円筒部420は、図13(a)に示すように、その表面の構造の相違に基づき、主として、二つの部分(溝形成部420a、非溝形成部420b)に分けられる。
溝形成部420aは、現像ローラ42の軸方向において中央部を含む部分であり、トナーTを適切に担持させるために凹凸加工がその表面に施されている。実施形態1においては、凹凸加工として所謂転造加工が用いられ、凸部42aは互いに巻き方向の異なる螺旋状の第一溝L1および第二溝L2に囲まれて形成されている。巻き方向の異なる螺旋状の溝を形成することで、現像ローラ42の表面には網目状の凹凸が形成される。転造加工としては、従来公知の加工方法を採用することができる。また、第一溝L1および第二溝L2は、それぞれ現像ローラ42の軸方向に対して所定角度(実施形態1では、L1およびL2ともに45[°]であるが、これに限定されるものではない)で傾斜している。
第一溝L1および第二溝L2は、いずれもそれらの傾斜方向に所定の周期幅で周期的に形成されることで、凸部42aが軸方向のピッチ幅W1で形成される。また、第一溝L1および第二溝L2の各傾斜角および周期幅は、いずれも互いに異ならせることもできる。また、凸部42aの頂面42tの軸方向長さW2はピッチ幅W1の1/2以上の大きさとなるように形成する。
実施形態1の現像ローラ42では、凸部42aの軸方向のピッチ幅W1は80[μm]であり、凸部42aの頂面42tの軸方向長さW2は40[μm]である。さらに、凹部42bの底面から凸部42aの頂面42tまでの高さである凹部深さW3は10[μm]である。ピッチ幅W1、頂面42tの軸方向長さW2及び凹部深さW3の値は一例であり、この値に限られるものではない。
現像ローラ42としては、その表面層42fがトナーTを正規帯電させる材料であることが望ましい。フィルミングによって低帯電トナーが生まれた場合においても、ジャンピングしたトナーTによってたたき出された低帯電トナーが、凸部42aや凹部42bのフィルミングがおきていない部分で帯電できる。このため、低帯電トナーを減少させることができ、画像濃度が安定化する。実施形態1の現像ローラ42では、ニッケル鍍金を施すことにより、その表面層42fがトナーTを正規帯電させる材料となっている。
また、現像ローラ42としては、その表層材料がドクタブレード45(ブレード部材450)よりも硬い材質であることが望ましい。これにより、現像ローラ42の表面の凸部42aがドクタブレード45によって削れ難くなるため、凸部42aとドクタブレード45で囲まれる凹部42bの体積が変わりにくくなり、M/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーTの担持量)が安定する。
また、現像ローラ42の凸部42aの高さ(凹部深さW3)として、使用するトナーTの重量平均粒径よりも大きいことが望ましい。平均的な大きさのトナーTが凹部42b内に収まるため、粒径の選択が起こりにくくなり、経時でのM/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーTの担持量)が安定する。
次に、供給ローラ44について説明する。
図14は、供給ローラ44の斜視説明図であり、図15は、供給ローラ44の側面図である。現像装置4の内部のトナー収容部43の上方の現像ローラ42側には、円筒状の供給ローラ44が設けられている。供給ローラ44は、その軸部である供給ローラ軸441を中心に円筒状の発泡材が巻きついた構成であり、この円筒状の発泡材が表面にトナーTを担持する供給ローラ円筒部440となる。
供給ローラ44は、供給ローラ軸441を中心に回転可能に構成され、当該軸は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。供給ローラ44は、供給ローラ円筒部440の外周面の一部は、現像ローラ42の現像ローラ円筒部420の外周面と供給ニップβで接触するように配置されている。そして、図1及び図5に示すように、供給ローラ軸441は、現像ローラ軸421よりも上方に配置されている。
また、上述したように、供給ローラ44は現像ローラ42と対向する箇所である供給ニップβで現像ローラ42の表面移動方向に対して逆方向に表面が移動するように回転する。さらに、現像装置4は、図1に示すように、供給ニップβの位置が、現像ローラ42に対するドクタブレード45の当接位置に対して、上方に位置する配置となっている。
供給ローラ44の供給ローラ円筒部440に発泡材料を用いており、現像ローラ42に接触する表面層は表面に多数の微小孔が分散しているスポンジ層となっている。供給ローラ44の表面層をスポンジ状にすることで、凹部42bの底まで供給ローラ44が届きやすくなるため、現像ローラ42上のトナーTのリセット性が向上する。
また、供給ローラ44の現像ローラ42に対する食い込み量(「現像ローラ42の半径」+「供給ローラ44の半径」−「現像ローラ42と供給ローラ44との軸間距離」)は、現像ローラ42の凸部42aの高さよりも大きくなるように設定している。凸部42aの高さよりも供給ローラ44の食い込み量を大きくすることで、凹部42bにおけるトナーTのリセット性を向上できる。なお、供給ローラ44の現像ローラ42に対する食い込み量が凸部42aの高さに対して大きすぎると、トナーTが凹部42bに押し込まれてしまい、凝集の原因となるため、食い込み量が大きくなりすぎないように設定する必要がある。
供給ローラ44の供給ローラ円筒部440に用いる発泡材料は、10〜1014[Ω]の電気抵抗値に設定されている。
供給ローラ44には、供給バイアス電源144によって供給バイアスが印加され、供給ニップβで予備帯電されたトナーTを現像ローラ42に押し付ける作用を補助する。供給ローラ44は図1及び図5中の時計回りの方向に回転し、表面に付着させた現像剤を現像ローラ42の表面に塗布供給する。
また、供給バイアス電源144が供給ローラ44に印加する電圧としては、現像ローラ42に印加された交番電圧に対して、トナーTの正規帯電極性(実施形態1のトナーTではマイナス極性)に対して逆極性(プラス極性)の直流電圧を印加する。このとき、現像ローラ42に印加する電圧よりも供給ローラ44に印加する電圧の方がトナーTの正規帯電極性に対して逆極性(プラス極性)となる。これにより、現像ローラ42に対して供給ローラ44側にトナーTを引き付ける方向の電界を供給ニップβに形成し、現像ローラ42上のトナーTのリセット性を向上することができる。なお、供給バイアス電源144を備える構成では、直流電源を別途必要となり、コスト高となるため、現像装置4の仕様に応じて、供給バイアス電源144を設けない構成としても良い。
次に、ドクタブレード45について説明する。
図16は、ドクタブレード45の斜視説明図であり、図17は、ドクタブレード45の側面図である。
図5〜図10に示すように、現像ローラ42の下方で下ケース413の内側となる中ケース412には、ドクタブレード45が設けられている。
ドクタブレード45は、規制部材を構成する薄い板状の金属部材であるブレード部材450と、ブレード部材450の一端が固定されている金属製の台座部452とを有する。そして、ブレード部材450の他端側が現像ローラ42に接触するように構成されている。ブレード部材450の現像ローラ42に対する接触状態は、先端が接触する先端当て状態(後述するエッジ当て)、及び、先端よりも根元側の面部が接触する腹当て状態とがあるが、実施形態1では先端当て状態である。先端当て状態の方が、凸部42aの頂面42tに存在するトナーTをすり切ることができ、凹部42bに存在するトナーTのみを現像領域αに搬送することで、現像領域αに搬送するトナー量が安定する。
ドクタブレード45のブレード部材450は台座部452に対して複数のリベット451によって固定されている。台座部452はブレード部材450よりも厚い金属で構成されており、ブレード部材450を現像装置4の本体(中ケース412の側面部)に固定するための基板として機能している。台座部452の長手方向端部にはピン穴454が設けられており、一方は真円形状の主基準穴454aであり、もう一方は主基準穴454a方向に長径を有する楕円形状の従基準穴454bである。主基準穴454aに不図示のピンが入ることで台座部452の現像装置4本体に対する位置が決定し、従基準穴454bで支えられる。ブレード部材450が固定された台座部452が、現像装置4本体(中ケース412)にドクタ固定ネジ455で固定されることによってブレード部材450が現像装置4に固定されることになる。
ドクタブレード45のブレード部材450には、SUS304CSPやSUS301CSP、またはリン青銅等の金属板バネ材料を用いる。また、ブレード部材450は、その自由端側を現像ローラ42表面に、10〜100[N/m]の押圧力で当接させたもので、その押圧力下を通過したトナーTを所定量に規制すると共に摩擦帯電によって電荷を付与する。さらに、ブレード部材450には、詳細は後述するツェナーダイオード145を介して現像バイアス電源142から交流バイアスが印加されている。
また、ドクタブレード45のブレード部材450としては、導電性を有するものであることが望ましい。ブレード部材450が導電性であることにより、Q/M値(単位体積当りの帯電量)が大きなトナーTの帯電量を下げることが出来、トナーTのQ/M値の均一化を図ることができる。これにより、トナーTの現像ローラ42に対する張り付きを防ぐことが出来る。
次に、パドル46について説明する。
図18は、パドル46の斜視説明図であり、図19は、パドル46の側面図である。
現像装置4内には、トナーTが収容される空間としてトナー収容部43が設けられており、このトナー収容部43内にはパドル46が現像ケーシング41に対して回転可能に取り付けられている。
パドル46は、その軸部であるパドル軸461と、マイラー等の弾性シート材からなる薄い羽部材としてのパドル羽460とを備える。パドル軸461は、向かい合う二つの平面部を有し、この二つの平面部にパドル羽460がそれぞれ取り付けられている。二枚のパドル羽460は、パドル軸461を中心に互いに反対方向に突出するように、パドル軸461の平面部に固定されている。
パドル羽460の付け根部分には複数の穴がパドル軸461の軸方向に平行になるように並べて設けられており、パドル軸461は、その軸方向に沿って複数の凸部が二列に並べて設けられている。そして、パドル羽460の穴にパドル軸461の凸部を挿入して、熱カシメすることによって、パドル軸461に対してパドル羽460を固定する。
パドル46は、パドル軸461の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。パドル軸461の軸方向両端は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。
パドル46は、パドル軸461から伸びるパドル羽460の先端がトナー収容部43の内壁面に接触する程度の長さにパドル羽460の突出量が設定されている。図1及び図5等に示すように、トナー収容部43の底面部43bはパドル46の回転方向に沿った円弧状であり、パドル46の回転に伴う摺擦動作でパドル羽460がトナー収容部43の底面部43bに引っかからないようになっている。
トナー収容部43の現像ローラ42側には底面部43bから垂直に立ち上がる側壁面部43sが形成されている。この側壁面部43sはパドル軸461の中心と同等若しくは若干低い程度のところでX軸に平行なローラに向かう方向に水平になり、段部50を形成している。
側壁面部43sとパドル軸461との距離は、底面部43bとパドル軸461との距離よりも短く設定されている。そのため、底面部43bを摺擦してきたパドル羽460は側壁面部43sに突き当たり、より大きくたわむことになる。その後、段部50にパドル羽460の先端部が差し掛かるとパドル羽460を押さえるものが無くなり、パドル羽460の先端部は開放されることで上方に跳ね上がる。このようなパドル羽460の動きによってトナーTは上方へと跳ね上げられ攪拌、搬送、供給される。
段部50は、X−Y平面に平行な水平面で、現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)に延在するように形成されている。実施形態1の現像装置4では、段部50が幅方向の全域に設けられているが、パドル羽460が跳ね上がるようになっていれば、現像装置4内の一部分に設けられていても良い。
次に、図5及び図6等に示す供給スクリュ48について説明する。
供給スクリュ48は、供給スクリュ軸481と、この供給スクリュ軸481に固定された螺旋状の羽部である供給スクリュ羽部480とからなるスクリュ部材である。供給スクリュ軸481を中心に回転可能に設けられており、供給スクリュ軸481の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。供給スクリュ軸481の軸方向両端は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。
供給スクリュ48の軸方向端部は、現像装置4の長手方向端部に形成されたトナー補給口55の下方に位置している。そして、供給スクリュ48が回転することによって螺旋状の供給スクリュ羽部480がトナー補給口55から補給されたトナーTを長手方向における現像装置4の中央部方向に搬送する。
次に、図1、図5及び図7〜図10等に示す入口シール47について説明する。
上ケース411の開口部56を形成する縁部分には、入口シール47としてマイラー等のシート部材が長手方向に沿って貼着されている。入口シール47は略矩形のシートであってその短手の一端が上ケース411の縁部分に貼着され、他端は自由端とされている。入口シール47の自由端側は現像装置4の内部方向に突出されており、さらに、現像ローラ42に接触するように設けられている。入口シール47は、現像ローラ42の表面移動方向上流側が上ケース411に固定されており、現像ローラ42の表面移動方向下流側が自由端とされ、現像ローラ42に対して、入口シール47の面部分が接触するように配置している。また、上ケース411の現像装置4の内部側は供給ローラ44の上部形状に沿うように湾曲形状をしており、上ケース411の湾曲形状の表面と供給ローラ44の表面との隙間は、1.0[mm]である。
次に、現像装置4内でのトナーTの動きについて説明する。
トナー補給口55から現像装置4内に補給されたトナーTは、供給スクリュ48によってトナー収容部43に供給され、パドル46によって攪拌される。また、パドル46の跳ね上げによって現像ローラ42及び供給ローラ44の方向に跳ね上げ、搬送される。供給ローラ44に供給されたトナーTは、供給ローラ44が現像ローラ42と接触する供給ニップβで現像ローラ42の表面に受け渡される。現像ローラ42の表面に受け渡されたトナーTのうち現像領域αに搬送する所定量を超えた分のトナーTは、ドクタブレード45によって現像ローラ42の表面から掻き落とされる。
ドクタブレード45との対向部を通過した現像ローラ42の表面に残ったトナーTは、そのまま現像ローラ42の回転による表面移動によって搬送され、感光体2と対向する現像領域αに到達する。現像に用いられることなく現像領域αを通過したトナーTは、入口シール47が接触する位置を通過し、供給ローラ44との対向位置である供給ニップβにまで搬送される。現像ローラ42によって供給ニップβに到達したトナーTは、供給ローラ44によって現像ローラ42の表面から掻き取られ、供給ローラ44によって搬送される。
次に、実施形態1に係る複写機500に用いるトナーTについて説明する。
複写機500で用いるトナーTとしては、高速のトナー搬送に対応できるよう流動性の高いトナーを用いることが望ましい。具体的には、加速凝集度が40[%]以下のトナーを用いることが望ましい。この加速凝集度とは、トナーの流動性を示す指数である。
トナーの加速凝集度の測定方法を以下に示す。
<測定装置>
・ホソカワミクロン製 パウダテスタ
<測定方法>
・測定対象サンプルを恒温槽に放置(35±2[℃],24±1[h])
・パウダテスタを用いて測定
・目開きの異なる三種の篩を使用(例えば、75[μm],44[μm],22[μm])
・篩ったときのトナー残量から算出、以下の計算により、凝集度を求める。
{(上段の篩に残ったトナー重量)/(試料採取量)}×100
{(中段の篩に残ったトナー重量)/(試料採取量)}×100×3/5
{(下段の篩に残ったトナー重量)/(試料採取量)}×100×1/5
上記三つの計算値の合計をもって加速凝集度[%]とする。
トナーの加速凝集度は上述のように目開きの異なる三種類のメッシュを目開きの大きい順に積み重ね、最上段に粒子を置き、一定の振動でふるい、各メッシュ上のトナー重量から求める指数である。
また、実施形態1では、平均円形度が0.90以上のトナー(0.90〜1.00のトナー)を用いている。
実施形態1では、下記(1)式より得られた値を円形度aと定義する。この円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
円形度a=L/L・・・・(1)
(L:粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長、L:粒子の投影像の周囲長)
平均円形度が0.90〜1.00の範囲では、トナー粒子の表面は滑らかであり、トナー粒子同士、トナー粒子と感光体2との接触面積が小さいために転写性に優れる。
平均円形度が0.90〜1.00の範囲では、トナー粒子に角がないため、現像装置4内での現像剤(トナー)の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するために異常画像の発生を防止できる。
また、ドットを形成するトナーの中に、角張ったトナー粒子がいないため、転写で転写媒体に圧接する際に、その圧がドットを形成するトナー全体に均一にかかり、転写中抜けが生じにくい。
さらに、トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、感光体2や、帯電部材3等の表面を傷つけたり、摩耗させたりすることを防止できる。
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。
図56は、形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。図57は、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記の式(A)で表される。トナーを二次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
SF−1 = {(MXLNG)/AREA}×(100π/4) ・・・(A)
また、形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記の式(B)で表される。
SF−2 = {(PERI)/AREA}×(100π/4) ・・・(B)
トナーを二次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって転写率は高くなる。形状係数SF−1、形状係数SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するとともに転写手段に付着した場合のクリーニング性も低下するため好ましくない。
次に円形度の測定方法について説明する。円形度は、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。
具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5[ml]加え、更に測定試料を0.1〜0.5[g]程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜10000[個/μl]として上記分析装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
600[dpi]以上の微少ドットを再現するためには、トナーの重量平均粒径(D4)として3〜8[μm]が好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。重量平均粒径(D4)が3[μm]未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。
重量平均粒径(D4)が8[μm]を超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。また、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5[ml]加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1[%]NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20[mg]加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、上記測定装置により、アパーチャーとして100[μm]アパーチャーを用いて、トナー粒子またはトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上乃至40.30[μm]未満の粒子を対象とする。
実施形態1で用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を用いる。そして、実施形態1で用いられるトナーは、このトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであり、重合トナーと呼ばれる。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
<ポリエステル>
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。
2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280[℃]に加熱する。そして、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
ポリエステルには、上記重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。このウレア変性のポリエステルについて、上記重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。ウレア変性のポリエステルは、このポリエステルプレポリマー(A)とアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/または伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;上記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率について、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]とする。このとき、当量比[NCO]/[OH]は、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40[wt%]、好ましくは1〜30[wt%]、さらに好ましくは2〜20[wt%]である。0.5[wt%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40[wt%]を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、上記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率について、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]とする。このとき、当量比[NCO]/[NHx]は、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
[NCO]/[NHx]が2を超える場合や1/2未満の場合では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10[%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280[℃]に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140[℃]にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140[℃]にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
多価イソシアネート化合物(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などの多価イソシアネート化合物(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/または伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、上記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性および複写機500に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。なお、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5[%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65[℃]、好ましくは45〜60[℃]である。45[℃]未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65[℃]を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
<着色剤>
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15[重量%]、好ましくは3〜10[重量%]である。
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
<荷電制御剤>
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではない。しかし、好ましくはバインダー樹脂100[重量部]に対して、0.1〜10[重量部]の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5[重量部]の範囲がよい。10[重量部]を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラ42との静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
<離型剤>
離型剤としては、融点が50〜120[℃]の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着装置12の定着ローラとトナー界面との間で働く。これにより、定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。
このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。
ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。
また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。
さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
<外添剤>
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2[μm]であることが好ましく、特に5×10−3〜0.5[μm]であることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500[m/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5[wt%]であることが好ましく、特に0.01〜2.0[wt%]であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。
特に両微粒子の平均粒径が5×10−2[μm]以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上する。
このことにより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置4内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。
しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5[wt%]の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
<トナーの製造方法>
(1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。有機溶媒は、沸点が100[℃]未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組み合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100[重量部]に対し、通常0〜300[重量部]、好ましくは0〜100[重量部]、さらに好ましくは25〜70[重量部]である。
(2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100[重量部]に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000[重量部]、好ましくは100〜1000[重量部]である。50[重量部]未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000[重量部]を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を上げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90[%]の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1[μm]、及び3[μm]、ポリスチレン微粒子0.5[μm]及び2[μm]、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1[μm]等を挙げられる。商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上述の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20[μm]にするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000[rpm]、好ましくは5000〜20000[rpm]である。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5[分]である。分散時の温度としては、通常、0〜150[℃](加圧下)、好ましくは40〜98[℃]である。
(3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10[分]〜40[時間]、好ましくは2〜24[時間]である。反応温度は、通常、0〜150[℃]、好ましくは40〜98[℃]である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
(4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
(5)上記(4)で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
上述したように、実施形態1の現像装置4が備える現像ローラ42の表面上には、凸部の高さや凹部の深さ(W3)が一定で規則的なパターンからなる凹凸が形成されている。従来の一成分現像装置としては、現像ローラの表面にサウンドブラスト処理等の粗面処理を施して表面に凹凸形状を形成したものがある。このように、現像ローラの表面に粗面処理を施すことにより、現像ローラがトナーを担持し、搬送する性能を向上させていた。しかしながら、粗面処理によって現像ローラの表面上に形成される凹凸は、凸部の高さ、凹部の深さ及び凹凸のパターンが不規則となる。凹部のパターンや深さが不規則であると、現像ローラ表面上のトナー担持量が安定せず、感光体上の潜像を現像したときに濃度ムラとなることがあった。一方、実施形態1の現像装置4では、凹部の深さ(W3)が一定で、その形成パターンが規則的であるため、現像ローラ42表面上のトナー担持量が安定し、現像時の濃度ムラの発生を抑制することができる。
ここで、規則的な凹凸とはトナーの付着量が偏らずに、濃度ムラが抑えられている程度に凹凸が連続していれば良い。
また、例えば感光体2上の潜像に注目して、潜像が格子状に区画された領域に形成されたドット状潜像を有し、この格子は軸方向において、複数種類のピッチで形成可能である。そして、奥部の軸方向におけるピッチが上記格子における複数種類のピッチのうち最長ピッチより短いものが連続しているようなものでも良い。
また、本発明は、現像ローラ42の表面上の凹凸形状が、規則的な凹凸以外のものでも効果は奏することが可能であるが、規則的な凹凸を有するものであれば、画像品質の面から好ましい。
図20は、ドクタブレード45が腹当て状態の現像装置4の現像剤規制部の拡大説明図であり、図21は、ドクタブレード45が先端当て状態の現像装置4の現像剤規制部の拡大説明図である。
図1、図20及び図21に示すように、実施形態1の現像装置4では、図中矢印B方向が表面移動方向である現像ローラ42がドクタ部において上方から下方に移動する。このような場合には、トナーTに働く自重によってトナーTには下方向の力(Fg)が加わるため、ドクタブレード45の応力(Fb)によるトナーTに対する圧縮力を減少させることが出来る。よって、現像ローラ42の凸部42aにおける現像ローラ42の表面移動方向下流側の部分(図20及び図21中の42cの部分)にトナーTが凝集することを抑制できる。これにより、フィルミングの発生を抑制することができ、現像ローラ42上でのQ/M値やM/A値の変動を抑制することができる。
また、現像装置4で用いる現像剤であるトナーTとしては、加速凝集度が40[%]以下となるトナーTを用いることが望ましい。これにより、現像ローラ42の凸部42aにおける現像ローラ42の表面移動方向下流側の部分(図20中の42cの部分)でのトナーTの凝集をより緩和することが可能となる。なお、図20で示すドクタ部では、ドクタブレード45が現像ローラ42の表面に対して腹当て状態となっている。ドクタブレード45の現像ローラ42の表面に対する当接状態としては、図21に示すように、先端当て状態である方が、凸部42aの頂面42tに存在するトナーTをすり切ることができ、より好ましい。
図22に示すように、現像ローラ42の凸部42aの側面と凹部42bの底面との成す角γが90[°]未満の場合は、凹部42bの全体に供給ローラ44が当接する確率が減少してしまう。また、図23のように、一部でも凸部42aの側面と凹部42bの底面との成す角が90[°]未満の場合も、凹部42bの全体に供給ローラ44が当接する確率が減少してしまう。
これに対して、実施形態1の現像装置4が備える現像ローラ42は、図24に示すように、現像ローラ42の凸部42aの側面と凹部42bの底面とが成す角γが90[°]以上としている。図24に示すように、角γが90[°]以上の場合は、供給ローラ44が現像ローラ42上のトナーTに当たる確率が増加するため、リセット性が向上する。
図25は、凸部42aの側面と凹部42bの底面とが成す角γが凸部42aの上流側と下流側とが共に90[°]の構成の説明図である。すなわち、凸部42aにおける現像ローラ42の表面移動方向下流側の角γ(以下、「凸部下流角γ1」と呼ぶ)が90[°]である。さらに、凸部42aにおける現像ローラ42の表面移動方向上流側の角γ(以下、「凸部上流角γ2」と呼ぶ)が90[°]である。
図25に示すように、ドクタブレード45の応力は図中矢印Fb方向に作用する。現像ローラ42が図中矢印Bで示す方向に表面移動するため、凹部42bに担持されたトナーTは、ドクタブレード45の応力によって図25中の矢印Faで示す方向の圧縮力が作用する。このため、凸部42aにおける現像ローラ42の表面移動方向下流側の壁面に接触するトナーTが入れ替わらないと、特定のトナーTに対して繰り返し圧縮力が作用することとなり、トナーTが凝集するおそれがある。
これに対して、実施形態1の現像装置4が備える現像ローラ42は、図26に示すように、凸部42aの側面と凹部42bの底面とが成す角γのうち、少なくとも凸部下流角γ1が鈍角となるように形成している。凸部下流角γ1が鈍角であることにより、凸部42aにおける現像ローラ42の表面移動方向下流側の壁面に接触するトナーTに対して、供給ローラ44による掻き出しが行われ易くなり、トナーTの入れ替わりを促すことができる。この壁面に接触するトナーTが入れ替わることで、特定のトナーTに対して繰り替えし圧縮力が作用することを防止し、トナーTが凝集することを防止することができる。
なお、図26で示す現像ローラ42表面の拡大断面図では、ドクタブレード45が現像ローラ42の表面に対して腹当て状態となっている。ドクタブレード45の現像ローラ42の表面に対する当接状態としては、図27に示すように、先端当て状態である方が、凸部42aの頂面42tに存在するトナーTをすり切ることができ、より好ましい。そして、実施形態1の現像装置4では、図27に示すように先端当て状態となっている。
図28は、凸部42aのひし形状の頂面42tが有する二組の平行線(対辺)のうちどちらか一組が表面移動方向に直交する現像ローラ42の拡大上面図である。図28に示すように、頂面42tの一組の対辺が現像ローラ42の表面移動方向に直交する場合、凸部42aにおける現像ローラ42の表面移動方向下流側の部分(図28中の42cの部分)でトナーTが圧縮されやすくなる。このため、図28に示す構成では、フィルミングが増加する傾向にある。
これに対して、実施形態1の現像装置4が備える現像ローラ42は、図13(b)に示すように、凸部42aのひし形状の頂面42tが有する二組の平行線(対辺)の何れもが、現像ローラ42の表面移動方向に直交する方向に対して角度がある形状である。すなわち、凸部42aのひし形状の頂面42tが有する二組の平行線(凸部42aのひし形状の頂面42tの辺)と当接するドクタブレード45の摺擦方向とに角度がある。このため、凸部42aにおける現像ローラ42の表面移動方向下流側の部分(図13(b)中の42cの部分)でトナーTが圧縮され難くなる。実施形態1の現像装置4では、凸部42aのひし形状の頂面42tの辺と現像ローラ42の表面移動方向とが成す角の角度は、45[°]となっている。
実施形態1の現像装置4は、規制部材であるドクタブレード45(ブレード部材450)の材料が金属製である。
特許文献1や特許文献2に記載の現像装置では、一定の規則的な凹凸形状が形成された現像ローラに接触する規制部材としてゴム製のものを用いていた。しかしながら、ゴム製の規制部材を用いた構成では、製造時の組み付け公差や経時使用のブレードの削れによって、規制部材の突き出し量が変化し、現像ローラ上のトナー量がばらつくことがあった。具体的には、現像ローラ上のトナーが極端に少なくなって画像濃度が薄くなったり、逆に、現像ローラ上トナー量が多くなってしまい、帯電不良が発生して、画像の地肌部が汚れる地汚れが発生したりすることがあった。
これに対して、実施形態1の現像装置4のように、ドクタブレード45として、金属製のブレードを用いることにより、ドクタブレード45の突き出し量がある程度の範囲で変化しても、現像ローラ42上のトナー量を安定させることができる。
現像ローラ42としては、炭素鋼(STKM等)、Al(アルミニウム)、SUSなど、汎用的な材料を用いることができる。また、ドクタブレード45(規制ブレード)としては、リン青銅(C5210)、銅(C1202)、ベリリウム銅(C1720)、ステンレス(SUS301、SUS304)などの材料を用いることができる。
〔実験1〕
次に、ドクタブレード45として、金属製のブレードを用いた場合と、ゴム製のブレードを用いた場合とについて、ドクタブレード45の突き出し量の変化に対する現像ローラ42上のトナー量の安定性を比較した実験1について説明する。
ここで、図29を用いてドクタブレード45の突き出し量を変化させる方法について説明する。
まず、現像ローラ42に対して初期接触位置Q1でにおける接線方向(図29中の上下方向)にドクタブレード45が延在するように、ドクタブレード45をエッジ当ての状態で現像ローラ42に接触させる。ここで、エッジ当てとは、ドクタブレード45の対向面45bと先端面45aとの間の稜線を形成するエッジ部45e(後述する図31参照)が現像ローラ42の表面(凸部42aの表面である頂面42t)に接触する状態である。ここで、エッジ部45eは、ドクタブレード45の対向面45bと、先端面45aとをそれぞれ延長させた二つの仮想平面が交差する仮想直線近傍を示す。そして、仮想直線近傍となる稜線を形成するエッジ部45eとしては、稜線が丸みを帯びていても良いし、面取りされていても良い。
具体的には平板状のドクタブレード45の自由端側の先端の現像ローラ42側の角部(エッジ部45e、丸みがあっても良いし、面取りされていても良い)が現像ローラ42の凸部42aに接触するようになっていれば良い。
また、エッジ当て方向としては、図1及び図21等に示すように、ドクタブレード45が固定されている部分(ブレードフォルダ45c)は、ドクタブレード45が現像ローラ42に接触している部分よりも現像ローラ42の表面移動方向下流側に位置している。つまり、自由端の先端が現像ローラ42の回転に対して突き当たるように構成されている。
ここで、ドクタブレード45を接触させる方法としては、平板状のブレード部材を折り曲げて、その曲げ部分を接触させる方法もあるが、トナーTをすりきる効果については上述のようにブレード部材の自由端側の先端を接触させる方法のほうが、効果が高く望ましい。ドクタブレード45は現像ローラ42の表面移動方向下流側から突出して、エッジ当てとされる。
次に、ドクタブレード45の根元を支持するブレードフォルダ45c(台座部452)を初期接触位置Q1における現像ローラ42の法線方向(図29(a)中の矢印X方向)に沿って現像ローラ42側に移動させる。これにより、図29(b)に示すように、ドクタブレード45における現像ローラ42に対して接触する位置が根元側に移動しつつ、ドクタブレード45が撓み、ドクタブレード45が、腹当てで撓んだ状態で接触する。ここで、腹当てとは、ドクタブレード45における現像ローラ42と対向する対向面45bが接触し、且つ、エッジ部が接触していない状態である。また、このときの現像ローラ42の表面上におけるドクタブレード45の接触位置Qは、初期接触位置Q1から図29中の上方に変位する。
図29(b)に示す状態からブレードフォルダ45cを初期接触位置Q1における法線方向に対して直行する方向(図29中の上下方向)に沿って現像ローラ42から離れる方向(図29中の矢印Z方向)に移動させると、突き出し量が徐々に少なくなる。そして、図29(c)に示すように、ドクタブレード45が撓んだままの状態でエッジ当ての状態となる。図29(c)に示す状態からさらに突き出し量が徐々に少なくするようにZ方向にブレードフォルダ45cを移動させると、ドクタブレード45が現像ローラ42から離間するまでは、ドクタブレード45の撓み量が小さくなりつつ、エッジ当ての状態は維持される。
ドクタブレード45が、金属製(りん青銅)の金属ブレードである場合と、ウレタンゴム製のゴムブレードである場合とについて、図29を用いて説明した突き出し量を変化させる方法によって突き出し量を変化させた。このときの現像ローラ42におけるトナー搬送量の変化を測定した実験結果を図30に示す。
図30に示すグラフでは、ドクタブレード45が腹当ての状態からエッジ当ての状態となった、図29(c)に示す状態におけるドクタブレード45の位置をゼロとした。そして、このゼロの位置よりもブレードフォルダ45cを図29中の矢印Z方向に移動させたときの変位を−(マイナス)とし、図29中の矢印Z方向とは逆方向に移動させたときの変位を+(プラス)として示している。すなわち、図30中の図中右側ほど突き出し量が多い条件となる。
図30中の破線で示すグラフは、ゴムブレードを用いた場合の実験結果であり、実線で示すグラフは、金属ブレードを用いた場合の実験結果である。
図30に示すように、ドクタブレード45の位置が、+(プラス)方向にあるときには、金属ブレード、ゴムブレード共に位置がプラスに大きくなるにつれて、トナー搬送量が増加する。
これに対して、ドクタブレード45の位置が、−(マイナス)方向にあるときには、金属ブレードの場合(実線)は、図30に示すように安定した搬送量を示す領域がある。一方、従来の現像装置で用いられていたゴムブレードの場合(破線)、−(マイナス)方向の位置のときは、現像ローラ42上にほとんどトナーTが搬送されなかった。
図30を用いて説明した実験1によって、表面に規則的な凹凸形状を有する現像ローラ42に対する突き出し量について、ゴム製よりも金属製のドクタブレード45の方が現像ローラ42上のトナー量が所望量となる突き出し量の範囲が広いことがわかった。
よって、実施形態1のようにドクタブレード45として金属製のブレードを用いることにより、ドクタブレード45の取り付け時の、図29中のZ方向の設計公差の余裕度が上がるため、組み付け性が向上する。さらに、メカ公差の余裕度が上がり、部品を低コスト化できる。
図31は、エッジ当ての状態におけるドクタブレード45と現像ローラ42との接触位置Qの拡大説明図である。
図30を用いて説明したように、ドクタブレード45として金属ブレードを用いた場合に、トナー量が安定する領域が得られるのは、ドクタブレード45の先端であるエッジ部45eが現像ローラ42に接触するためである。具体的には図31に示すように、エッジ部45eが当たる場合は、トナーTがドクタブレード45によりすり切られるように薄層化するため、現像ローラ42の規則的な凹凸形状の凹部42bに埋まったトナーTのみが搬送されることとなる。このため、現像ローラ42表面のトナー量を凹部42bの体積に応じた所望量とすることができ、現像ローラ42によるトナーTの搬送量を安定させることができる。また、金属ブレードであれば、ある程度の剛性を有しているため、その弾性によって現像ローラ42の凹部42bに食い込んで、凹部42b内のトナーTを掻き出す可能性がゴムのような樹脂のものよりも低い。このため、現像ローラ42によるトナーTの搬送量を安定させることができる。
図30に示すグラフでは、グラフの左右方向における中央部の「0」の位置に対して左側(マイナス方向)は先端当ての状態であり、「0」の位置に対して右側(プラス方向)は腹当ての状態である。図30に示すように、先端当ての場合はドクタブレード45の位置が変動しても、搬送量に影響が出ないことがわかる。このため、先端当てとすることで、組み付け精度を緩和する事が出来、組み付け性の向上、コスト削減の効果が得られる。
〔実験2〕
次に、ドクタブレード45に金属ブレードを用いて、図29中の初期接触位置Q1における法線方向の移動距離X1の値を変化させたときのエッジ当てを維持できるドクタブレード45の位置の範囲を測定した実験2について説明する。
図32は、実験2の実験結果を示すグラフである。
図32のグラフでは、ドクタブレード45が接触位置Qにおいて、現像ローラ42表面の接線方向にあるときのドクタブレード45の位置をゼロとして、図29(a)から図29(b)へのブレードフォルダ45cの移動距離X1の値を横軸としている。また、図32のグラフでは、図29(b)に示す状態からブレードフォルダ45cを図中矢印Z方向に移動させ、図29(c)の状態になったときを縦軸のゼロとしている。そして、図29(c)に示す状態からさらにブレードフォルダ45cを図中矢印Z方向に移動させ、ドクタブレード45が現像ローラ42の表面から離間するまでの図中Z方向のブレードフォルダ45cの移動距離を縦軸としている。
図32に示すグラフより、移動距離X1がゼロ以上のときは、初期接触位置Q1における現像ローラ42表面の法線方向の移動距離X1が大きいほど、ドクタブレード45がエッジ当てを維持することができる範囲を広げることができる。移動距離X1がゼロ以上のときはドクタブレード45は、現像ローラ42との接触によって撓んだ状態となるように配置される。このように配置されることにより、ドクタブレード45の取り付けに際し、図29中の上下方向の設計公差の余裕度が上がるため、組み付け性が向上する。さらに、メカ公差の余裕度が上がり、部品を低コスト化できる。
〔実験3〕
次に、ドクタブレード45に用いる金属ブレードとして、その材料がりん青銅である場合と、ステンレス(SUS)である場合とで、スジ画像の発生の有無を確認した。実験3においては、現像ローラ42表層(表面層42f)のビッカース硬度をりん青銅よりも大きく、ステンレスよりも小さく設定している。具体的には表面層がアルミニウムで形成されている現像ローラ42を使用した。なお、ビッカース硬度の測定方法としては、JIS Z 2244に規定の方法を用いることができる。
実験3では、それぞれの材料からなるドクタブレード45を図29(c)に示す状態で配置し、実施形態1の複写機500を用いてベタ画像の画像形成を行ってスジ画像の発生の有無を確認した。実験3の結果、金属ブレードの材料としてりん青銅を用いた場合はスジ画像が発生せず、SUSを用いた場合はスジ画像が発生した。
ここで、実験3で用いたドクタブレード45を確認したところ、スジ画像が発生したSUS製のドクタブレード45にはトナーTが固着していた。一方、スジ画像が発生しなかった、りん青銅製のドクタブレード45にはトナーTの固着がほとんど確認されなかった。
図33は、実験3で用いた各材料のドクタブレード45について、現像ローラ42の回転時間に対するドクタブレード45の削れ量を測定した結果を示すグラフである。図33中の破線で示すグラフはSUS製のブレードを用いた場合の削れ量を示し、実線で示すグラフはりん青銅製のブレードを用いた場合の削れ量である。
図33より、りん青銅はSUSに比べて削れ易いことがわかる。
りん青銅製のドクタブレード45を用いた場合、トナーTが軽度に固着を起こしても、そのトナーTの固着が成長する前に、現像ローラ42との摺擦によってドクタブレード45ごと固着したトナーTが削られる。このため、固着が成長せず、画像上問題になるスジが発生しないものと考えられる。
現像ローラ42の表層部分(表面層42f)の硬度がドクタブレード45の当接部分の硬度よりも硬く設定されていると、ドクタブレード45を削る作用が生じ、上述したように固着を解消し易くなると言う効果が生じる。
ここで、現像ローラ42の表層の硬度を高くするためにニッケル鍍金等を施しても良い。また、現像ローラ42の表層の硬度を高くした場合においても、ステンレスよりも、りん青銅のほうが削れ易いため、トナーTの固着に対してはりん青銅を利用することがより望ましいと考えられる。
実験3で用いたりん青銅のビッカース硬度は80[Hv]である。ドクタブレード45としてこれよりも低い硬度の金属ブレードを用いれば、実験3のりん青銅を用いたドクタブレード45と同様に固着を抑制する効果があると考えられる。また、硬度に関しては、実験3ではビッカース硬度を採用しているが、材質、形状に応じて、ブリネル硬度、ロックウェル硬度を計測する方法で比較しても良い。
実施形態1の現像装置4でスジ画像の発生を防止する構成として、現像ローラ42との摺擦によってドクタブレード45ごと軽度の固着状態のトナーTが削られる構成である。このため、ドクタブレード45の幅方向全域で削られる必要がある。
実施形態1の現像ローラ42は、感光体2に供給するトナーTを担持する表面である溝形成部420aの表面上において、次のような構成を備える。すなわち、溝形成部420aの表面上における幅方向(表面移動方向に直行する方向)についての何れの位置においても、現像ローラ42の表面移動方向一周分の間に、頂面42tが一箇所以上存在する。この頂面42tは、凸部42aの高さ方向についての最上部となる表面である。
このような条件を満たす構成として、現像ローラ42の表面移動方向のある位置(L11の位置等)における表面上の凹凸形状は、幅方向に凸部42aと凹部42bとが周期的な列状に配置されている。また、この位置に対して表面移動方向について隣り合う位置(L12の位置等)の凹凸形状は、規則的な列状の配置が半周期分ずれた配置である(図13参照)。言い換えると、列L11及び列L13に対して、表面移動方向について隣り合うL12及びL14の列は、幅方向の凹凸の周期を半周期分シフトさせた形状となっている。さらに、頂面42tの軸方向長さW2はピッチ幅W1の1/2以上の大きさとなるように形成している。このような形状を現像ローラ42の表面移動方向に繰り返すような表面形状となっている。
このような構成により、ドクタブレード45において、現像ローラ42のL11の位置が接触したときに、頂面42tが接触しなかった箇所は、L12の位置が接触するときに頂面42tが接触する。このような構成により、現像ローラ42が一周する間に、ドクタブレード45の幅方向についての全域に渡って一度は現像ローラ42の頂面42tを接触させる構成を実現できる。このように、ドクタブレード45の幅方向の位置が何れの位置においても、現像ローラ42が一周する間に頂面42tが接触することとなる。これにより、効率よくドクタブレード45を削ることが可能となり、トナーTの固着に起因するスジ画像の発生をより確実に防止することができる。
実施形態1では、現像ローラ42と感光体2とが共に弾性が無いため、現像ローラ42の表面を感光体2に接触させて現像を行う構成では、現像ローラ42や感光体2の精度により、感光体2と現像ローラ42とが接触しない部分が発生する。その場合、感光体2と現像ローラ42とが接触していない部分だけトナーTによる現像が成されず、画像欠損が起こる。これを防止するために、実施形態1の現像装置4では、感光体2に対して現像ローラ42がギャップを形成するように配置し、現像バイアス電源142によって、現像ローラ42に直流バイアスに交流バイアスを重畳させた電圧を印加している。これにより、トナーTを現像ローラ42から感光体2にジャンピングさせて潜像を現像する構成とし、現像ローラ42の感光体2に対する位置の精度に関わらず、画像欠損を防止することができる。
また、実施形態1における画像形成装置である複写機500としては、現像装置4の駆動状況に応じて予め設定された寿命を迎えた現像装置4の交換を使用者に報知する報知システムを備えてもよい。
図34は、現像装置4の交換を報知する報知システムのフローチャートである。また、図35は、交換時期が近づいた現像装置4が備えるドクタブレード45と現像ローラ42との拡大説明図である。
図34に示すように、現像装置4の駆動時間をカウントし(S1)、予め定められた駆動時間を迎えたと判断されると(S2でY)、現像装置4は寿命が来たものとする。そして、使用者に対し交換または、当該現像装置に寿命が来たことをランプ、若しくは液晶画面等の報知機器を介して報知する(S3)ものである。ここで、寿命と判断するパラメータに関しては、現像ローラ42の駆動時間、通紙枚数、現像装置への通電時間等が考えられる。
図35に示すように、実施形態1の現像装置4が備える現像ローラ42にエッジ当てされているドクタブレード45は現像ローラ42によって当接部分(図35中の破線「45d」で示す部分)が削られてゆく。ここで、ドクタブレード45の厚さに関して、寿命による交換報知が行われたときに先端面45aが残っているように設定されていることが望ましい。つまり、寿命と判断するためのパラメータが寿命時期に達しても先端面45aが残っていられるようにパラメータに対して余裕を持って厚みが設定されている。削られることで先端面45aが無くなってしまうと、それ以降はドクタブレード45と現像ローラ42との接触位置が変化してしまうおそれがある。また、鋭角になったドクタブレード45の先端が現像ローラ42に食い込むおそれもある。そのため、ドクタブレード45の先端面45aが残っている状態で交換することが望ましい。
次に、実施形態1の現像装置4の特徴部について説明する。
図1に示すように、現像装置4は、ドクタブレード45に交番電圧を印加する規制部材電圧印加手段として、現像バイアス電源142及びツェナーダイオード145を備える。このような規制部材電圧印加手段によって、現像ローラ42からドクタブレード45へトナーTを向かわせるための第一規制電圧と、ドクタブレード45から現像ローラ42へトナーTを向かわせるための第二規制電圧と、を交互に印加する。
現像ローラ42としては、表層をアルマイト処理したアルミニウム製のローラ部材を用い、ドクタブレード45としては、リン青銅からなる板状の部材を用い、ドクタブレード45を現像ローラ42の表面に対して当接圧10[N/m]で当接させる。
現像領域αにおける現像ローラ42と感光体2との間には、200[μm]の現像ギャップを設ける。また、現像バイアス電源142は、現像ローラ42に対して、周波数が5[kHz]で、ピークツウピーク電圧(Vpp)が1800[V]の交番電界を印加する。
ドクタブレード45に印加するバイアスは、現像バイアス用の交流電源である現像バイアス電源142に降伏電圧が200[V]のツェナーダイオード145をそれぞれ違う向きで二つ接続し、電圧降下させたものを用いた。
現像バイアス電源142からツェナーダイオード145を介してドクタブレード45に電圧を印加する構成とすることで、単純で安価な構成でドクタブレード45に交番電圧を印加することが出来る。
なお、ドクタブレード45に交番電圧を印加する構成としては、現像バイアス電源142から独立した電源を設けてもよい。
図36は、現像ローラ42に印加される現像バイアスVaと、ドクタブレード45に印加される規制バイアスVbとの説明図である。図36の横軸は時間軸を示しており、縦軸が電位を示している。
図36に示すように、ピークツウピーク電圧Vppが1800[V]の現像バイアスVaに対して、降伏電圧ΔVが200[V]となる関係で、規制バイアスVbが印加される。
図36に示すように、実施形態1の現像装置4では、現像ローラ42に印加する交番電圧を電圧降下させて、ドクタブレード45に印加する構成である。このような構成では、交番電圧によって、現像ローラ42にマイナス極性のピーク値の電圧が印加されるタイミングでは、現像ローラ42よりも絶対値が小さいマイナス極性の電圧がドクタブレード45に印加される。降伏電圧ΔVが200[V]であるため、現像バイアスVaがマイナス極性のピーク値のタイミングでは、規制バイアスVbは、現像バイアスVaに200[V]を加えた値の電圧が印加される。これにより、ドクタブレード45に印加される規制バイアスVbが、現像バイアスよりも200[V]だけプラス極性側となる。このタイミングでは、マイナス極性に帯電したトナーTがドクタブレード45側に引き寄せられる第一規制電圧が印加された状態となる。
一方、現像ローラ42にプラス極性のピーク値の電圧が印加されるタイミングでは、現像ローラ42よりも絶対値が小さいプラス極性の電圧がドクタブレード45に印加される。降伏電圧ΔVが200[V]であるため、現像バイアスVaがプラス極性のピーク値のタイミングでは、規制バイアスVbは、現像バイアスVaから200[V]を引いた値の電圧が印加される。これにより、ドクタブレード45に印加される規制バイアスVbが、現像バイアスよりも200[V]だけマイナス極性側となる。このタイミングでは、マイナス極性に帯電したトナーTは現像ローラ42側に引き寄せられる第二規制電圧が印加された状態となる。
ドクタブレード45にこのような交番電圧を印加することで、凹部42b内のトナーTが振動し、現像ローラ42の表面に対して繰り返し接触するため、凹部42b内のトナーTの現像ローラ42の表面との摩擦帯電が促進され、弱帯電や逆帯電のトナーTが減少する。よって、弱帯電や逆帯電のトナーTが現像領域αに到達することを抑制することが可能となる。
また、凹部42b内のトナーTが振動することで、ドクタブレード45の表面に対しても繰り返し接触する。このため、トナーTのドクタブレード45との摩擦帯電によって弱帯電や逆帯電のトナーTを減少させることができる。この作用によっても弱帯電や逆帯電のトナーTが現像領域αに到達することを抑制することが可能となる。
なお、現像ローラ42に交番電圧が印加される構成であれば、交番電圧のプラス極性のピーク値と、マイナス極性のピーク値との間の電位となる一定の直流電圧を、ドクタブレード45に印加する構成が考えられる。一定の直流電圧としては、アースにして0[V]や直流の−200[V]等を印加することが挙げられる。このような直流電圧を印加すると、現像ローラ42の電位が交番電圧によって変化することで、現像ローラ42とドクタブレード45との間で、トナーTが往復しようとする交番電界が形成される。
しかし、現像バイアスのプラスのピークとマイナスのピークとの中間の値の直流電圧をドクタブレード45に印加する構成では、現像バイアスVaと規制バイアスVbとの電位差は、現像バイアスVaのピークツウピーク電圧Vppの半分の大きさの値に限定される。そして、実施形態1のように、1800[V]もの電圧を印加する構成では、現像バイアスVaと規制バイアスVbとの電位差が900[V]と大きくなりすぎてしまい、現像ローラ42とドクタブレード45との間で放電が発生するおそれが合う。
一方、本実施形態のように、現像バイアスVaと同位相の交番電圧からなる規制バイアスVbをドクタブレード45に印加することで、所望の大きさの交番電界を形成することができる。これにより、リーク(放電)の発生を防止しつつ、現像剤規制部でトナーTがドクタブレード45と現像ローラ42との間を往復するように振動させることができ、安定的にトナーTを帯電させることができる。また、交番電圧からなる規制バイアスVbを印加する構成であっても、現像バイアスVaとの電位差が大き過ぎると、放電が生じて、ドクタブレード45と現像ローラ42の表面との間に存在するトナーTを損傷するおそれがある。よって、ドクタブレード45と現像ローラ42の表面との間で放電が生じない程度の電位差となるように規制バイアスVbを設定する。これにより、放電に起因するトナーTの劣化を防止できる。
ここで、従来の一成分方式の現像装置について説明する。
一成分現像方式の現像装置は、機構が小型軽量になることから、現在の低速出力機の主流方式である。一成分現像方式の現像装置は、現像ローラ上にトナー薄層を形成するために、ブレードやローラなどのトナー規制部材を当接させ、トナーが規制位置を通過するときに現像ローラやトナー規制部材との摩擦帯電によってトナーは帯電される。現像ローラ上に薄層形成された帯電トナー層は、現像領域に搬送されて現像に用いられる。ここでの現像方式には大きく、接触型と非接触型とがあり、前者は現像ローラと潜像担持体とが接触しており、後者は現像ローラと潜像担持体とが非接触となっているものである。
非接触型には現像ローラにDCバイアスを印加するDCジャンピング方式と、ACバイアスを印加するACジャンピング方式とがある。ACジャンピング方式では、トナーが潜像担持体に現像されたり、現像ローラに引き戻されたりを繰り返すため、DCジャンピング方式よりも潜像に忠実な画像が得られるとされている。
また、一成分現像方式の現像装置において、現像ローラにトナーを適切に担持させるために、現像ローラの表面に螺旋状の溝が形成されたものが特許文献1及び2等の提案されている。
螺旋状の溝により、現像ローラ上のトナー量が安定するだけでなく、規制部材にトナーが固着した場合でも溝により形成された凸部で固着を掻き取ることができ、固着によるスジの無い安定した現像剤層を得ることが出来る。
しかし、現像ローラの表面に凹凸形状を備える現像装置では、凹部内に担持されたトナーの帯電量が、現像ローラの表面に直接接触する接触トナーと、他のトナーを介して現像ローラの表面に接触し、直接には接触しない非接触トナーとが存在する。そして、接触トナーと非接触トナーとで、トナーの帯電状態が異なってしまう。詳しくは、凹部内に担持されたトナーは、担持されたまま現像ローラの表面に対してほとんど動かないため、接触トナーは接触トナーのままであり、非接触トナーは非接触トナーのままである。このため、非接触トナーは、現像ローラの表面との接触帯電の機会が少なく、接触トナーよりも弱帯電や逆帯電のトナーが生じ易い。
規制位置で凸部上のトナーがすり切られても凹部内の非接触トナーは規制位置を通過するため、非接触トナーに弱帯電や逆帯電のトナーが含まれていると、地汚れ等の不良画像を発生させてしまうという不具合が生じる。
特許文献3には、規制部材に直流電圧を印加することで非接触トナーに電荷を注入し地汚れを低減させる方法が提案されている。しかしながら、電荷注入による帯電量改善は、環境変動やローラのムラなどによる変動が大きく、安定して地汚れの無い良好な画像を得ることは困難であった。
一方、実施形態1の現像装置4では、規制位置である現像剤規制部で交番電界を形成することで、凹部42b内のトナーTを振動させて、トナーTと現像ローラ42の表面との摩擦帯電を促進させている。これにより、現像剤規制部に到達する前は非接触トナーであったトナーTも現像ローラ42の表面に接触する機会が生じ、凹部42b内のトナーTの帯電状態のバラツキを低減し、弱帯電や逆帯電のトナーTが現像領域αに到達することを抑制できる。よって、地汚れのない良好な品質の画像を得ることができる。
また、実施形態1の現像装置4では、頂面42tから凹部42bの底面までの距離である凹部深さW3が一定である。これにより、現像剤規制部でのトナーTの振動が現像ローラ42の場所によらず一定となり、帯電量のばらつきが小さくなる。
〔実験4〕
次に、ドクタブレード45に印加する規制バイアスVbの印加条件の異ならせたときの地汚れの変化を確認した実験4について説明する。
図37は、実験4の実験結果を示すグラフである。図37中の横軸の「地肌Pot」は、感光体2の表面上の地肌部、すなわちトナーを付着させない部分の表面電位である。「Vb1」は、現像ローラ42に印加する電圧と同じ電位の電圧をドクタブレード45に印加したものであり、「Vb2」は、直流で+200[V]の電圧をドクタブレード45に印加したものである。また、「Vb3」は、+200[V]と−200[V]とを交互に印加するVppが400[V]の交番電圧をドクタブレード45に印加したものである。
実験4によって、上述した実施形態1の現像装置4と同様に、ドクタブレード45に交番電圧を印加する印加条件(Vb3)であれば、他の印加条件(Vb1、Vb2)よりも感光体2上の磁汚れを低減出来ることを確認した。
ドクタブレード45にプラス極性の電圧を印加すると、マイナス極性のトナーTのドクタブレード45への付着は発生する。しかし、ドクタブレード45に付着したトナーTは、現像ローラ42の表面に形成された凹凸形状の凸部42aで掻き取られ現像ローラ42側に回収されるため、薄層形成は可能である。図37中の「Vb3」の印加条件では、凹部42b内のトナーTが一度、現像ローラ42から離れるだけでなく、往復運動することにより地汚れが低減すると考えられる。
また、ドクタブレード45にプラス極性の電圧を印加すると、ドクタブレード45からトナーTへのプラス極性の電荷注入が懸念されるが、実験4のバイアス条件の範囲では、電荷注入よりも摩擦帯電による帯電の方が支配的になっている。
実施形態1の現像装置4は、現像剤担持体である現像ローラ42を有する。この現像ローラ42は、非磁性または磁性の一成分の現像剤であるトナーTを表面上に担持して表面が無端移動する。そして、潜像担持体である感光体2と対向する現像領域αで感光体2の表面の潜像にトナーTを供給して現像する。
また、現像装置4は、一端が支持部材であるブレードフォルダ45cによって支持された板状部材であって、その自由端側が現像ローラ42の表面に接触し、現像領域αに向かうトナーTの量を規制する規制部材であるドクタブレード45を有する。さらに、現像装置4は、現像ローラ42の表面に凹凸形状である凹部42b及び凸部42aを備えている。このような現像装置4において、規制部材であるドクタブレード45の材質が金属製であり、その自由端側の先端部であるエッジ部45eが現像ローラ42の表面に接触している。
また、現像装置4としては、材質が金属製のドクタブレード45の現像ローラ42に接触する部分の材質は、現像ローラ42の表面の材質よりも硬度が低い材質であることが望ましい。
図38に示すように、図36に示す降伏電圧ΔVのうち、現像ローラ42からドクタブレード45へトナーTを向かわせる第一規制電圧を「V1」とし、ドクタブレード45から現像ローラ42へトナーTを向かわせる第二規制電圧を「V2」とする。
また、トナーTと現像ローラ42との平均付着力を「F1」、トナーTの平均帯電量を「q」とする。さらに、現像ローラ42の表面上の凹凸形状の凸部42aの頂点である頂面42tから凹部42bの底部である底面までの距離(凹部深さW3)を最大深さd、とする。
このとき、下記(2)式を満たすように設定することが望ましい。
q×V1/d>F1・・・・(2)
上記(2)式の関係を満たすことで、凹部42bの最も深い部分のトナーTも電界により現像ローラ表面から離れて振動することが出来、凹部42b内のトナーTと現像ローラ42表面との摩擦帯電が促進され、弱帯電や逆帯電のトナーが減少する効果が向上する。
また、トナーTとドクタブレード45との平均付着力を「F2」としたときに、下記(3)式を満たすように設定することが望ましい。
q×V2/d>F2・・・・(3)
上記(3)式の関係を満たすことで、第二規制電圧V2によりドクタブレード45からトナーTが離れるため、ドクタブレード45でのトナーTの滞留を抑制でき、ドクタブレード45へのトナー固着を防止出来る。
上記平均付着力F1及びF2は遠心分離法により擬似的に算出した。この算出方法を以下に示す。
まず、現像ローラ42及びドクタブレード45と同材質の測定基板上に、キャリアと混合することで実機と同程度に帯電させたトナーをカスケード現像法により現像する。その後、遠心加圧機により、規制ニップ圧と同等の圧力を測定基板上に加える。
このようにして、擬似的に実機の現像ローラ42上およびドクタブレード45上のトナー層を再現した後、遠心分離機により段階的に遠心力を加え、トナーを測定基板から剥離させる。剥離したトナーをカウントすることで、付着力の分布が得られ、それを平均することで、平均付着力F1及びF2を得た。また、上記トナーの平均帯電量qは現像ローラ42上のトナーをエアーにより剥離し、ホソカワミクロン社製E−SPARTアナライザにより測定した。
〔実験5〕
上述した実施形態1の現像装置4のツェナーダイオード145による降伏電圧の設定を変えて、第一規制電圧V1と、第二規制電圧V2との値を変化させたときの地汚れとドクタブレード45へのトナー固着とを評価した実験5について説明する。 実験5の実験条件と、実験結果を表1に示す。
Figure 2015096931
実験5で用いた現像装置4の「F1」、「q」及び「F2」の値を以下に示す。
トナーTと現像ローラ42との平均付着力「F1」:14[nN]
トナーTの平均帯電量「q」:−1.0[fC]
トナーTとドクタブレード45との平均付着力「F2」:18[nN]
条件1と条件2とを比較すると、条件2のように、第一規制電圧V1の値が小さく、上記(2)式の関係を満たさない場合は、地汚れが悪化していることが分かる。これは、上記(2)式の関係を満たさない場合は、凹部42bの一番深い底面にあるトナーTが振動することが出来ず、地汚れを抑制する効果が十分ではなかったためと考えられる。
条件1と条件3とを比較すると、条件3のように、第二規制電圧V2の値が小さく、上記(3)式の関係を満たさない場合は、ドクタブレード45へのトナー固着が発生していることが分かる。これは、上記(3)式の関係を満たさない場合は、ドクタブレード45に付着したトナーTが凹部42bに移動し切れず、トナーTがドクタブレード45に滞留したため、ドクタブレード45へのトナー固着が発生したと考えられる。
また、ドクタブレード45と現像ローラ42との接触部である規制ニップにおける現像ローラ42の表面移動方向の長さである規制ニップ幅をa、現像ローラ42の線速をv、交番電圧の周波数をf、とする。このとき、下記(4)式を満たすように設定することが望ましい。
a/v>1/f・・・・(4)
上記(4)式の関係を満たすことで、現像ローラ42上に担持されたトナーTが、規制ニップを通過する際に、一回以上、ドクタブレード45と現像ローラ42との間で振動する構成を実現できる。これにより、周方向についてムラ無く弱帯電トナー減少の効果を得ることが出来る。
上述した実施形態1の現像装置4で、第一規制電圧V1を印加する時間と、第二規制電圧V2を印加する時間とを異ならせる構成としてもよい。
図39〜図41は、ドクタブレード45から見た現像ローラ42の電位(Va−Vb)の周期的な変化を示している。図39は、第一規制電圧V1を印加する時間と、第二規制電圧V2を印加する時間との比率が同じ場合の説明図である。また、図40は、第一規制電圧V1を印加する時間の比率よりも第二規制電圧V2を印加する時間の比率が高い場合の説明図であり、図41は、第二規制電圧V2を印加する時間の比率よりも第一規制電圧V1を印加する時間の比率が高い場合の説明図である。図39〜図41の横軸は時間軸を示しており、縦軸が電位を示している。
図40に示す場合は、ドクタブレード45から現像ローラ42へトナーTを向かわせる第二規制電圧V2を印加する時間の比率が高いため、トナーTがドクタブレード45から離れる電圧の比率が高くなるようなデューティの波形となる。これにより、ドクタブレード45にトナーTの固着が発生しにくくなることが期待できる。
また、逆に図41の場合は、現像ローラ42からドクタブレード45へトナーTを向かわせる第一規制電圧V1を印加する時間の比率が高いため、トナーTが現像ローラ42から離れる電圧の比率が高くなるようなデューティの波形となる。これにより、現像ローラ42の表面上でのトナーTによるフィルミングが発生しにくくなることが期待できる。
また、現像装置4の使用環境や走行距離(現像ローラ42の表面移動距離の累積値)に応じて、上述した、第一規制電圧V1を印加する時間と、第二規制電圧V2を印加する時間との比率を変化させる構成としてもよい。
現像装置4によっては、走行距離が少ない現像装置4の使用開始初期時は、ドクタブレード45に対するトナー固着が発生し易く、経時使用に伴って現像ローラ42に対するトナーTのフィルミングが発生し易くなることが懸念される場合がある。このような現像装置4では、使用開始初期時は、トナーTがドクタブレード45から離れるように第二規制電圧V2を印加する時間の比率を高くし、経時使用に応じてトナーTが現像ローラ42から離れるように第一規制電圧V1を印加する時間の比率を高くする。
また、高温高湿環境(トナーが溶けやすくなる環境)や低温低湿環境(トナーの帯電が高くなる環境)といった環境変動によって、ドクタブレード45に対するトナー固着と現像ローラ42に対するトナーTのフィルミングの発生し易さが変わる場合がある。このため、環境変動に応じたバイアス設定にすることが考えられる。
例えば、高温高湿環境でドクタブレード45に対するトナー固着が懸念され、低温低湿環境では現像ローラ42に対するトナーTのフィルミングが懸念されるようなシステムでは、次のように設定することが考えられる。すなわち、高温高湿環境ではトナーTがドクタブレード45から離れる電圧比率を高くし、低温低湿環境ではトナーTが現像ローラ42から離れる電圧比率を高くするといった設定である。
このように設定することで、使用開始当初から経時使用する間、ドクタブレード45に対するトナー固着の発生と現像ローラ42に対するトナーTのフィルミングの発生とを良好に抑制することが出来る。
なお、このような設定はすべての現像装置に対して適切な設定というわけではない。現像装置によっては、現像ローラ42表層の硬度を持たせるためのコーティングが原因で、低温低湿環境ではトナー帯電が高くなり、トナーを現像ローラ42から引き剥がしにくくなる場合がある。このような場合は、低温低湿環境では現像ローラ42に対するトナーTのフィルミングが懸念されるため、上述した設定を適用することで、現像ローラ42に対するトナーTのフィルミングの発生を良好に抑制することが出来る。
なお、現像装置4のシステム(トナーの特性、現像ローラ42の表層のコーティング、ドクタブレード45の材質、ドクタブレード45の圧等の組み合わせ)によっては、初期的に現像ローラ42のフィルミングが発生し易い場合がある。また、耐久でドクタブレード45にトナー固着が発生し易くなる場合もある。これは走行距離とバイアスとの関係だけでなく、環境変動とバイアスとの関係に関しても同じことをいうことが出来る。
すなわち、現像装置4のシステムが決まればドクタブレード45に対するトナー固着と現像ローラ42に対するトナーTのフィルムングとの発生傾向(発生順番、不利な環境)が変わることはない。このため、現像装置4のシステムが決まった状態で、ドクタブレード45に対するトナー固着と現像ローラ42に対するトナーTのフィルムングとに対応したバイアス設定を決めることが出来る。
図42〜図44は、ドクタブレード45から現像ローラ42へトナーTを向かわせる第二規制電圧V2を印加する時間の比率を高くする構成の他の例を示す。
図42は、現像バイアスVaがDCバイアスの場合のバイアスの時間変化の説明図であり、図43は、現像バイアスがACバイアスの場合のバイアスの時間変化の説明図である。
図42及び図43では、横軸は時間軸を示しており、縦軸が電位を示している。また、交番電界一周期における第一規制電圧V1の印加時間を第一規制電圧印加時間t1とし、第二規制電圧V2の印加時間を第二規制電圧印加時間t2としている。そして、「t1<t2」の関係を満たす構成である。
図44は、現像ローラ42とドクタブレード45とに「t1<t2」の関係を満たすように電圧を印加する構成例のブロック図である。
図44に示す構成では、波形発生装置が現像ローラ42用の電圧アンプとドクタブレード45用の電圧アンプとのそれぞれに所定の電圧を生成する信号を送信する。
現像ローラ42からドクタブレード45へトナーTが向かう電界(第一規制電圧V1)により、ドクタブレード45上でトナーTが滞留しやすくなり、ドクタブレード45へのトナー固着が発生し易くなる。
一方、第一規制電圧印加時間t1と第二規制電圧印加時間t2とが「t1<t2」の関係を満たすことで、ドクタブレード45でのトナーTの滞留時間を短くし、固着の発生を抑制することができる。
図45及び図46は、ドクタブレード45から現像ローラ42へトナーTを向かわせる第二規制電圧V2を印加する時間の比率を高くする構成で、ドクタブレード45及び現像ローラ42に対して共通の電源からバイアスを印加する方式の説明図である。
図45は、電源が共通の構成のバイアスの時間変化を示す説明図であり、図46は、電源が共通の構成のブロック図である。
図43に示すように、現像ローラ42に交番電圧を印加する場合、「t1≠t2」の関係を満たすように電圧を印加するには波形発生装置などが必要となり、コスト・装置サイズが大きくなる。
現像ローラ42と感光体2との間の電圧について、現像ローラ42から感光体2にトナーTを向かわせるための電圧を第三電圧V3とし、感光体2から現像ローラ42にトナーTを向かわせるための電圧を第三電圧V4とする。このとき、交流バイアスの一周期当りの第三電圧V3の印加時間を第三電圧印加時間t3とし、第四電圧V4の印加時間を第四電圧印加時間t4とする。このとき、「t3≠t4」の関係を満たす場合は、以下の関係を満たすように設定する。
「t3>t4」の場合には、「t1=t4」、且つ、「t2=t3」とし、「t3<t4」の場合には、「t1=t3」、且つ、「t2=t4」とする。
図45(a)は、「t3>t4」の場合のバイアスの時間変化の説明図であり、図45(b)は、「t3<t4」の場合のバイアスの時間変化の説明図である。また、図46(a)は、「t3>t4」の場合のブロック図であり、図46(b)は、「t3<t4」の場合のブロック図である。
図45に示すように、規制バイアスVbを現像バイアスVaと同じ交流のDuty比に設定し、ドクタブレード45に印加する電圧を、現像ローラに印加する電圧と印加時間を同じにする。このように設定することで、図46に示すように、ツェナーダイオードなどを用いて簡単かつ低コストな方法で、「t1<t2」の関係を満たす規制バイアスを印加することができる。これにより、低コスト、且つ、小さな装置で、「t1≠t2」の関係を満たす規制バイアスを印加することが出来るようになり、ドクタブレード45に対する固着の発生を抑制しつつ、低コスト化及び小型化を測ることができる。
次に、現像バイアスVaの交流の周期と規制バイアスVbの交流の周期とを異ならせる構成について説明する。
図47は、現像バイアスVaと規制バイアスVbとで交流の周期が異なる構成のバイアスの時間変化を示す説明図である。図47(a)は、現像バイアスVaと規制バイアスVbとのそれぞれのバイアスの時間変化の説明図であり、図47(b)は、現像バイアスVaの値を中心とした場合の規制バイアスVbとの電位差の時間変化の説明図である。図48は、現像バイアスVaと規制バイアスVbとで交流の周期が異なる構成のブロック図である。
現像ローラ42に印加される現像バイアスVaは、現像ローラ42から感光体2にトナーTを向かわせるための第三電圧と、感光体2から現像ローラ42にトナーTを向かわせるための第四電圧とを備えた交番電圧である。そして、ドクタブレード45に印加される交番電圧である規制バイアスVbの周波数を「f1」、現像ローラ42に印加される現像バイアスVaの周波数を「f2」としたときに、「f1≠f2」の関係を満たすように設定する。
現像バイアスVaの周波数「f2」と、規制バイアスVbの周波数「f1」とが同じ周波数であると、画像に周期ムラの発生する恐れがある。
これに対して、図47に示すように、現像バイアスVaの周波数「f2」と、規制バイアスVbの周波数「f1」とを異ならせることで、周期的な電圧の変動に起因する画像の周期ムラの発生を抑制できる。
実施形態1の現像装置4では、ドクタブレード45と現像ローラ42との間に交番電圧を付加することにより、現像ローラ42へのトナーTの接触回数を増やし、トナーTの帯電性を安定させている。
実際の画像形成装置では、使用するに従い現像ローラ42へのトナーフィルミングや、現像装置4内のトナー劣化が発生し、初期状態と比較して徐々にトナーの帯電性が低下してしまう。
そこで、複写機500本体の不図示の制御部のメモリーに現像装置4の駆動時間を記録し、この駆動時間の記録に基づいて現像装置4の走行距離を算出し、算出した走行距離に基づいて交番電圧の周波数を高くするように制御してもよい。
交番電圧の周波数を高くすることにより、劣化前の初期状態と比較すると現像ローラ42へのトナーTの接触回数が増し、トナーTの帯電性を上げることになり、劣化による帯電性の低下を補正し帯電量の安定性が向上する。これにより、経時に渡って適切な帯電量を維持することができ、地汚れの発生を防止できる。
なお、走行距離とは、現像ローラ42の使用開始当初からの表面移動距離の累積値である。
図49は、走行距離に応じてトナーの帯電性が低下する状態の一例を示す説明図である。
例えば、図49の様に、走行距離(劣化)に応じてトナーの帯電性が低下していくと仮定する。一例として、帯電性が初期トナーに対して50[%]になった場合を考える。ここで、帯電性が初期トナーに対して50[%]になった状態とは、同じ条件(装置、攪拌時間等)で攪拌を行ったときにトナーのグラム当りの帯電量(Q/M)が半分となるような現像剤の劣化状態をいう。帯電性が初期トナーに対して50[%]になった場合には、これを初期と同じ帯電性にするような交番電圧周波数、例えば二倍にするなど補正をして、所望のトナー帯電量を得るべく周波数制御を行う。
なお、帯電性低下の程度や、交番電圧周波数に対する帯電量の応答については、トナーによって異なるため、システムで使用する組み合わせで検証し最適化が必要になる。ここで挙げた例に限定されるものではない。
また、画像形成装置の使用環境によってもトナーの帯電性は変化する。一般的に低温低湿環境下では帯電性が上がり、高温高湿環境下では帯電性が低下する。このため、複写機500に温湿度センサを設置し、測定された温湿度に応じて交番電圧の周波数を制御する構成としてもよい。このように制御することで、トナーTの適正な帯電量を保持することが可能となる。例えば、低温下では、標準環境よりも低い周波数にすることで帯電量が上昇し過ぎることを防止し、高温下では、標準環境よりも高い周波数にすることで、帯電量が低下することを防止することができ、安定した帯電量を維持することができる。
このように、使用環境に応じて交番電圧の周波数を制御することで、使用環境が変動してもトナーの帯電量を安定させ地汚れのない良好な画像を出力することが可能となる。
なお、環境に応じてどの程度の補正が必要になるかは、使用しているトナーを含めたシステムとして最適化する必要がある。
また、現像装置4に大量にトナーTが補給された場合にもトナーの帯電性は変化する。
現像装置4には、トナー残量センサ49が設置されており、現像装置4内のトナー量をモニタリングしている。トナーカートリッジであるトナーボトル400内のトナーが無くなり、トナーボトル400から現像装置4へのトナー補給がなくなると、現像装置4内のトナーが少なくなっていき、トナー残量センサ49からトナーエンドが通知される。
その後、新しいトナーボトル400に交換した際に、現像装置4へトナー量を狙いの量に復帰すべく、トナーボトル400から大量のトナーが補給される(トナーエンドリカバリー動作)。
しかし、その後画像出力を行うと、大量に補給されたトナーが帯電不足のまま現像されてしまい、地汚れとなって異常画像になってしまう。画像出力を続けることで、地汚れは徐々に改善していくが、品質が悪い画像をユーザーに提供することになり、好ましいことではない。
これを防止するために、トナーエンドリカバリー動作時の地汚れする期間に交番電圧の周波数を通常時よりも高く設定することで、帯電不足で地汚れしていたトナーに対して十分な電荷注入をすることができる。その結果、トナーエンドリカバリー動作時の地汚れ画像を無くすことができ、地汚れしない良好な画像をユーザーに提供することができるようになる。
これらのように、トナーの帯電性が変化する状態に応じて、交番電圧の周波数を制御することで、トナーの帯電量を安定させ地汚れのない良好な画像を出力することができるようになる。
〔変形例〕
上述した実施形態の現像装置4では、ドクタブレード45に交番電圧を印加することで、現像ローラ42とドクタブレード45との間でトナーTを振動させ、弱帯電や逆帯電のトナーを減少させている。しかし、トナーの帯電量を安定させる構成としては、必ずしもトナーを振動させることが必須ではない。重要なのは、現像ローラ42とドクタブレード45との間でトナーTが動き、摩擦帯電する機会が増えることである。以下、トナーTを振動させないで、トナーTが摩擦帯電する機会を増やす各変形例の構成について説明する。なお、各変形例の現像装置4の大部分の構成は、実施形態1の現像装置4の構成と同様であるため、相違点についてのみ説明する。
〔変形例1〕
図50は、変形例1の現像装置4における現像ローラ42に印加される現像バイアスVaと、ドクタブレード45に印加される規制バイアスVbとの説明図である。図50(a)は、現像バイアスVaと規制バイアスVbとを示しており、図50(b)は、ドクタブレード45から見た現像ローラ42の電位(Va−Vb)の周期的な変化を示している。
図50に示すように、変形例1は、ドクタブレード45に対して、現像ローラ42からドクタブレード45にトナーTを向かわせるための電圧を印加する構成である。
変形例1のような電圧を印加することで、現像ローラ42とドクタブレード45との間において、トナーTをドクタブレード45側に動かすことができ、トナーTが摩擦帯電する機会が増える。その結果、弱帯電トナーや逆帯電トナーが減少し、地汚れが改善する。また、トナーTが現像ローラ42から離れてドクタブレード45側に移動するため、現像ローラ42にフィルミングが生じ難いという効果も期待できる。
〔変形例2〕
図51は、変形例2の現像装置4における現像ローラ42に印加される現像バイアスVaと、ドクタブレード45に印加される規制バイアスVbとの説明図である。図51(a)は、現像バイアスVaと規制バイアスVbとを示しており、図51(b)は、ドクタブレード45から見た現像ローラ42の電位(Va−Vb)の周期的な変化を示している。
図51に示すように、変形例2は、ドクタブレード45に対して、ドクタブレード45から現像ローラ42にトナーTを向かわせるための電圧を印加する構成である。
変形例2のような電圧を印加することで、現像ローラ42とドクタブレード45との間において、トナーTを現像ローラ42側に動かすことができ、トナーTが摩擦帯電する機会が増える。その結果、弱帯電トナーや逆帯電トナーが減少し、地汚れが改善する。また、トナーTがドクタブレード45から離れて現像ローラ42側に移動するため、ドクタブレード45にトナーTの固着が生じ難いという効果も期待できる。
〔実施形態2〕
以下、本発明を画像形成装置としてのプリンタ(以下、プリンタ600という)に適用した、本発明の二つ目の実施形態(以下、実施形態2という)について説明する。
図52は、実施形態2のプリンタ600の要部の概略断面図である。図52に示すように、プリンタ600は、四つのプロセスユニットとしてのプロセスカートリッジ1、中間転写ベルト7、露光手段としての露光装置6、及び、定着手段としての定着装置12等を備えている。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラに張架されて図52中の矢印A方向に移動する中間転写体である。
各プロセスカートリッジ1は、感光体2と、帯電部材3と、現像装置4と、感光体クリーニング装置5とを一体的に支持してユニット状とした構成となっている。感光体2は、ドラム状の潜像担持体であり、帯電部材3は、帯電手段である。現像装置4は、現像剤としてのトナーTを用いて感光体2上の潜像を現像するものである。各プロセスカートリッジ1は、それぞれの不図示のストッパーを解除することにより、プリンタ600本体に対して着脱可能となっている。
感光体2は、図中の矢印で示すように、図中の時計周り方向に回転する。帯電部材3は、ローラ状の帯電ローラであり、感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転により従動回転する。作像時には、帯電部材3には図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体2の表面を帯電する。実施形態2のプロセスカートリッジ1は、帯電手段として、感光体2の表面に接触するローラ状の帯電部材3を用いているが、帯電手段としてはこれに限るものではなく、コロナ帯電などの非接触帯電方式を用いてもよい。
露光装置6は、感光体2の表面に対して画像情報に基づいて露光し、感光体2の表面に静電潜像を形成する。プリンタ600が備える露光装置6は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
感光体クリーニング装置5は、中間転写ベルト7と対向する位置を通過した感光体2の表面上に残留する転写残トナーのクリーニングを行う。
四つのプロセスカートリッジ1は、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色ごとのトナー像を感光体2上に形成する。四つのプロセスカートリッジ1は、中間転写ベルト7の表面移動方向に並列に配設され、それぞれの感光体2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に順に重ね合わせるように転写し、中間転写ベルト7上に可視像を形成する。
図52において、各感光体2に対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には一次転写手段としての一次転写ローラ8が配置されており、一次転写ローラ8には不図示の高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体2との間で一次転写電界を形成する。感光体2と一次転写ローラ8との間で一次転写電界が形成されることにより、感光体2の表面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト7の表面に転写される。中間転写ベルト7を張架する複数の張架ローラのうちの一つが不図示の駆動モータによって回転することによって中間転写ベルト7が図中の矢印A方向に表面移動する。表面移動する中間転写ベルト7の表面上に各色のトナー像が順次重ねて転写されることによって、中間転写ベルト7の表面上にフルカラー画像が形成される。
四つのプロセスカートリッジ1が中間転写ベルト7と対向する位置に対して、中間転写ベルト7の表面移動方向下流側には、張架ローラの一つである二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に二次転写ローラ9が配置されている。この二次転写ローラ9は、中間転写ベルト7との間で二次転写ニップを形成する。また、二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に所定の電圧を印加して二次転写電界を形成する。これにより、図52中の矢印B方向に搬送される転写材である転写紙Pが二次転写ニップを通過する際に、中間転写ベルト7の表面上に形成されたフルカラー画像が転写紙Pに転写される。
二次転写ニップに対して転写紙Pの搬送方向下流側に、定着装置12が配置されている。二次転写ニップを通過した転写紙Pは定着装置12に到達し、定着装置12における加熱及び加圧によって転写紙P上に転写されたフルカラー画像が定着され、画像が定着された転写紙Pはプリンタ600の装置外に出力される。
一方、二次転写ニップで転写紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留したトナーTは、転写ベルトクリーニング装置11によって回収される。
次に、図53〜図55を用いて、プロセスカートリッジ1が備える現像装置4について説明する。図53及び図54は、四つのプロセスカートリッジ1のうちの一つの拡大断面図であり、図53は現像ローラ42の軸方向中央部近傍の断面図であり、図54は、軸方向端部近傍のサイドシール59が配置された位置における断面図である。また、図55は、現像装置4において、鉛直方向に略直線状に配置された、トナーTを搬送するトナー搬送部材106、トナー撹拌部材108及び供給ローラ44の回転軸近傍の断面説明図である。
現像装置4は、現像剤であるトナーTを収容するトナー収容室101と、トナー収容室101の下方に設けられたトナー供給室102とから構成され、トナー収容室101とトナー供給室102とを仕切るように仕切り部材110が設けられている。仕切り部材110には、図55に示すように、複数の開口部が設けられている。この仕切り部材110の複数の開口部として、トナー収容室101内のトナーTをトナー供給室102へ供給する供給口111と、トナー供給室102内のトナーTをトナー収容室101に戻す返送口107とが設けられている。
トナー供給室102の下部には、現像剤担持体である現像ローラ42が設けられている。また、トナー供給室102には、現像ローラ42の表面にトナーTを供給する現像剤供給部材である供給ローラ44が現像ローラ42の表面に当接するように設けられている。さらに、トナー供給室102には、規制部材としてのドクタブレード45が現像ローラ42の表面に当接して設けられている。このドクタブレード45は、供給ローラ44によって現像ローラ42の表面上に供給され、感光体2と現像ローラ42との対向部に向かうトナーTの量(層厚)を規制する。
現像ローラ42は、感光体2に対して非接触で配置されており、図示しない高圧電源から所定のバイアスが印加される。
トナー収容室101内にはトナー収容室101内のトナーTを感光体2の回転軸に平行な方向(図53中の紙面に直交する方向)に搬送するトナー搬送部材106が設けられている。
また、トナー収容室101に収容するトナーTは、重合法で作製したものを用いている。このトナーTは、例えば、平均粒径が6.5[μm]で、円形度が0.98、安息角33[°]、外添剤としてチタン酸ストロンチウムを含有しているトナーTである。なお、実施形態2のプリンタ600に用いるトナーTとしては、これに限るものではない。
トナー収容室101内に設けられたトナー搬送部材106は、図55に示すように搬送スクリュ形状部106aと搬送板形状部106bとを組み合わせた回転軸を有した部材である。トナー搬送部材106は、搬送スクリュ形状部106aの回転動作によりトナー収容室101内のトナーTをトナー搬送部材106の回転軸に平行な略水平方向(図55中の矢印H方向)に搬送できる構成となっている。現像装置4では、トナー搬送部材106の回転軸に平行な方向にトナーTを搬送する搬送スクリュ形状部106aを備えた構成である。しかし、現像剤搬送部材としてはこれに限ったものでなく、搬送ベルトやコイル状の回転体等の搬送機能を有するものを用いることができる。さらにこれらの搬送機能を有するものと、羽根のような板部材や針金を曲げて構成したパドルのようなもの等のほぐし機能を有するものを組み合わせたものでも良い。
また、実施形態2の現像装置4では、トナー収容室101から供給ローラ44に向けて、トナーTをトナー搬送部材106の回転軸に直交し、且つ、略鉛直下方にトナーTを搬送する構成となっている。トナーTの搬送方向としては、トナー搬送部材106の回転軸に直交し、且つ、略水平方向に搬送する構成としてもよい。
仕切り部材110の鉛直下方のトナー供給室102内にはトナー撹拌部材108が配置されている。トナー撹拌部材108は、図55に示すように撹拌スクリュ形状部108aと撹拌板形状部108bとを組み合わせた回転軸を有した部材である。トナー撹拌部材108は、撹拌スクリュ形状部108aの回転動作によりトナー供給室102内のトナーTをトナー撹拌部材108の回転軸に平行な略水平方向(図55中の矢印IまたはJ方向)に搬送できる構成となっている。
図55に示すように、トナー撹拌部材108の撹拌スクリュ形状部108aは、軸方向について供給口111を挟んで外側に向かう方向(図55中の矢印I方向)にトナーTを搬送するように螺旋状の羽部が設けられている。さらに、トナー撹拌部材108の撹拌スクリュ形状部108aは、軸方向について二つの返送口107よりも外側と内側とは螺旋状の羽部が逆巻きになっている。このため、供給口111からトナー供給室102に供給されたトナーTはトナー撹拌部材108の撹拌スクリュ形状部108aの回転によって軸方向外側(矢印I方向)に搬送される。そして、返送口107よりも外側に到達したトナーTは羽部が逆巻きの撹拌スクリュ形状部108aによって返送口107に向かって(矢印J方向に)搬送される。
返送口107を挟んで軸方向の外側と内側とでは、撹拌スクリュ形状部108aによるトナーTの搬送方向が逆であり、返送口107に向かうようにトナーTに搬送力を付与する。このため、返送口107の下方ではトナーTが軸方向両側から集められ、山状に押し上げられる。これにより、トナー収容室101から供給口111または返送口107を通過してトナー供給室102に供給されたトナーTが過剰である場合は、トナーTがトナー収容室101に戻される。詳しくは、返送口107で山状に押し上げられたトナーTがトナー供給室102から返送口107を通ってトナー収容室101に戻される。また、トナー撹拌部材108は、トナー供給室102にあるトナーTを攪拌し、さらに下部にある供給ローラ44や現像ローラ42にトナーTを供給する役割を持つ。
供給ローラ44の表面には空孔(セル)を有した構造の発泡材料が被覆されており、トナー供給室102内に供給されたトナーTを効率よく付着させて取り込むと共に、現像ローラ42との当接部での圧力集中によるトナーTの劣化を防止している。なお、この発泡材料は10〜1014[Ω]の電気抵抗値に設定される。供給ローラ44には、供給バイアスが印加され、現像ローラ42との当接部ある供給ニップβで予備帯電されたトナーTを現像ローラ42に押し付ける作用を補助する。供給ローラ44は図53中の矢印で示すように図53中の反時計回りの方向に回転し、表面に付着させたトナーTを現像ローラ42の表面に塗布するように供給する。
供給ニップβに対して現像ローラ42の表面移動方向下流側の現像ローラ42の表面に接触するように、規制部材であるドクタブレード45が配置されている。供給ローラ44から現像ローラ42の表面に供給されたトナーTは、現像ローラ42の回転によってドクタブレード45が接触する位置に搬送される。
ドクタブレード45としては、SUS304CSPやSUS301CSPまたはリン青銅等の金属板バネ材料を用いることができる。また、ドクタブレード45は、その自由端側を現像ローラ42の表面に10〜100[N/m]の押圧力で当接させたもので、現像ローラ42上のトナーTに対してその押圧力下を通過させる。これにより、トナー層を薄層化すると共に、摩擦帯電によってトナーTに電荷を付与する。また、ドクタブレード45には、トナーTの摩擦帯電を補助するために、図示しないバイアス電源によりバイアスが印加される。
感光体2は現像ローラ42と非接触であり、図53中の時計回りの方向に回転している。このため、現像ローラ42と感光体2とが対向する現像領域αにおいては、現像ローラ42の表面移動方向と感光体2の表面移動方向とが同方向となる。
現像ローラ42上の薄層化されたトナー層は、現像ローラ42の回転によって現像領域αへ搬送される。そして、現像ローラ42に印加されたバイアスと感光体2上の静電潜像によって形成される潜像電界に応じて、感光体2の表面に移動して感光体2の表面上の静電潜像が現像される。
現像領域αで現像に用いられず、現像ローラ42上に残されたトナーTが再びトナー供給室102内へと戻る箇所には、現像剤除電部材である下シール部材としての除電シール109が現像ローラ42に当接して設けられている。この除電シール109によって、トナーTが現像装置4の外部に漏れ出ないように封止される。除電シール109には、除電能力を補助するため図示しないバイアス電源よりバイアスが印加される。
上述した現像装置4において、現像ローラ42上のトナーTを用いた感光体2上の潜像の現像は、次のように行われる。供給ニップβで現像ローラ42の表面上に供給されたトナーTは、現像ローラ42の回転に伴って、供給ニップβから現像領域αに向けて搬送され、その途中にあるドクタブレード45を通過し、所定量に規制される。所定量に規制されたトナーTは、さらに、現像領域αまで搬送され、現像ローラ42と感光体2上の静電潜像との間の現像電界によって、感光体2の表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。現像電界には、トナーTが感光体2の方向に向かう電圧と現像ローラ42に戻ってくる電圧が交互に繰り返されるようなACバイアスをもちいる。実施形態2では、f=500〜10000[Hz]、Vpp=500〜3000[V]、Duty=50〜90[%]の矩形波を用いた。その後、現像に寄与しなかったトナーTは、現像ローラ42の回転によってさらに搬送され、トナーTが再びトナー供給室102に戻り、繰り返し利用される。
実施形態2の現像装置4においても、上述した実施形態1で説明した現像ローラ42、ドクタブレード45及びドクタブレード45に電圧を印加する構成についての本発明の特徴部を備えた構成を適用することが出来る。
上述した各実施形態の現像装置4は、現像剤であるトナーTを表面上に担持して表面が無端移動し、潜像担持体である感光体2と対向する現像領域αで感光体2の表面の潜像にトナーTを供給して現像する現像剤担持体である現像ローラ42を備える。この現像ローラ42は、略円筒形状に形成されている。また、一端が支持部材であるブレードフォルダ45cによって支持された板状部材の自由端側が現像ローラ42の表面に接触し、現像領域αに向かうトナーTの量を規制する規制部材であるドクタブレード45を有する。さらに、現像ローラ42の表面に凹凸形状を備えている。このような現像装置4において、ドクタブレード45の少なくとも現像ローラ42の表面に接触する箇所の材質が金属である。ドクタブレード45の材質が金属であれば、ある程度の剛性を有している。このため、ゴムのような樹脂のものよりもその弾性によって現像ローラ42の凹部42bにドクタブレード45が食い込んで、凹部42b内のトナーTを掻き出す可能性が低い。よって、現像ローラ42によるトナーTの搬送量を安定させることができる。
また、各実施形態の現像装置4において、規制部材であるドクタブレード45は、その自由端側の先端部が現像剤担持体である現像ローラ42の表面に接触している。これにより、凸部42aの頂面42tに存在するトナーTをすり切ることができ、凹部42bに存在するトナーTのみを現像領域αに搬送することで、現像領域αに搬送するトナー量が安定する。
また、各実施形態の現像装置4において、規制部材であるドクタブレード45の自由端側の先端部のうち、対向面45bの延長面と、自由端側の先端面45aの延長面とが交差する部分であるエッジ部、または、その近傍が現像ローラ42の表面に接触している。ここで、対向面45bは、ドクタブレード45における現像ローラ42に対向する面である。エッジ部またはその近傍が接触することで、現像ローラ42表面のトナー量を凹部42bの体積に応じた所望量とすることができ、現像ローラ42によるトナーTの搬送量を安定させることができる。
また、各実施形態の現像装置4において、規制部材であるドクタブレード45の現像剤担持体である現像ローラ42に接触する部分の材質は、現像ローラ42の表面の材質よりも硬度が低い材質である。これにより、ドクタブレード45を削る作用が生じ、ドクタブレード45におけるトナーTの固着を解消し易くなる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
トナーT等の現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、感光体2等の潜像担持体と対向する現像領域α等の現像領域で潜像担持体の表面の潜像に現像剤を供給して現像する現像ローラ42等の現像剤担持体と、現像剤担持体の表面に接触して現像領域に向かう現像剤の量を規制するドクタブレード45等の規制部材とを有し、現像剤担持体の表面に凸部42a及び凹部42b等の凹凸形状を備える現像装置4等の現像装置において、規制部材に電圧を印加する現像バイアス電源142及びツェナーダイオード145等の規制部材電圧印加手段を備え、規制部材電圧印加手段は、現像剤担持体から規制部材へ現像剤を向かわせる第一規制電圧と、規制部材から該現像剤担持体へ現像剤を向かわせる第二規制電圧と、を交互に印加する交番電圧を規制部材に印加する。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、規制部材に交番電圧を印加することで、凹部内の現像剤が振動し、現像剤担持体の表面に対して繰り返し接触するため、凹部内の現像剤の現像剤担持体表面との摩擦帯電が促進され、弱帯電や逆帯電の現像剤が減少する。よって、弱帯電や逆帯電の現像剤が現像領域に到達することを抑制することが可能となる。
また、凹部内の現像剤が振動することで、規制部材の表面に対しても繰り返し接触する。このため、現像剤の規制部材との摩擦帯電によって弱帯電や逆帯電の現像剤を減少させることができる。この作用によっても弱帯電や逆帯電の現像剤が現像領域に到達することを抑制することが可能となる。
(態様B)
態様Aにおいて、現像バイアス電源142及びツェナーダイオード145等の規制部材電圧印加手段は、ドクタブレード45等の規制部材と現像ローラ42等の現像剤担持体との間に存在するトナーT等の現像剤の層に放電を生じさせない大きさの電圧を規制部材に印加する。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、放電に起因する現像剤の劣化を防止できる。
(態様C)
態様AまたはBにおいて、凸部42a及び凹部42b等の凹凸形状の凸部の頂面42t等の頂面から凹部の底面までの距離が一定である。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、現像剤規制部等の規制位置でのトナーT等現像剤の振動が現像ローラ42等の現像剤担持体の場所によらず一定となり、帯電量のばらつきが小さくなる。これにより、画像濃度が安定し、良好な画像を形成することができる。
(態様D)
態様A乃至Cの何れかの態様において、現像ローラ42等の現像剤担持体は、現像領域α等の現像領域において感光体2等の潜像担持体に対して一定の間隔を持って非接触の状態で対向するように配置される構成であり、現像剤担持体に交番電圧を印加する現像バイアス電源142等の現像バイアス印加手段を有する。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、現像剤担持体の潜像担持体に対する位置の精度に関わらず、画像欠損を防止することができる。また、現像領域で現像剤のクラウドを形成することで、ドクタブレード45等の規制部材に印加する電圧の周期に起因する画像濃度のばらつきを抑制できる。
(態様E)
態様Dにおいて、現像バイアス電源142及びツェナーダイオード145等の規制部材電圧印加手段は、現像バイアス電源142等の現像バイアス印加手段が現像ローラ42等の現像剤担持体に印加する交番電圧を、ツェナーダイオード145等の電圧降下手段で電圧降下させ、ドクタブレード45等の規制部材に印加する交番電圧を生成する。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、現像バイアスとして交番電圧を使用した際に、現像剤担持体に印加する電圧を降下させて作り出すため、規制部材に交番電圧を印加する電源を別途設ける構成よりも低コスト化を図ることが出来る。
(態様F)
態様Eにおいて、電圧降下手段がツェナーダイオードである。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、現像バイアスとして交番電圧を使用した際に、単純で安価な構成で規制部材に交番電圧を印加することが出来る。
(態様G)
態様A乃至Fの何れかの態様において、第一規制電圧の大きさをV1、トナーT等の現像剤と現像ローラ42等の現像剤担持体との平均付着力をF1、現像剤の平均帯電量をq、現像剤担持体の表面上の凹凸形状の凸部の頂点から凹部の底部までの距離を最大深さd、としたときに、q×V1/d>F1 の関係を満たす。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、凹部の最も深い部分の現像剤も電界により現像剤担持体の表面から離れて振動することが出来る。このため、凹部内の現像剤と現像剤担持体表面との摩擦帯電が促進され、弱帯電や逆帯電の現像剤が減少する効果が向上する。
(態様H)
態様A乃至Gの何れかの態様において、第二規制電圧の大きさをV2、トナーT等の現像剤とドクタブレード45等の規制部材との平均付着力をF2、現像剤の平均帯電量をq、現像剤担持体の表面上の凹凸形状の凸部の頂点から凹部の底部までの距離を最大深さd、としたときに、q×V2/d>F2 の関係を満たす。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、第二規制電圧により規制部材から現像剤が離れるため、規制部材での現像剤の滞留を抑制でき、規制部材へのトナー固着を防止出来る。
(態様I)
態様A乃至Hの何れかの態様において、ドクタブレード45等の規制部材と現像ローラ42等の現像剤担持体との接触部である規制ニップにおける現像剤担持体の表面移動方向の長さである規制ニップ幅をa、現像剤担持体の線速をv、交番電圧の周波数をf、としたときに、a/v>1/f の関係を満たす。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、現像剤担持体上に担持されたトナーT等の現像剤が、規制ニップを通過する際に、一回以上、規制部材と現像剤担持体との間で振動する構成を実現できる。これにより、周方向等の現像剤担持体の表面移動方向のムラ無く、弱帯電や逆帯電の現像剤が減少する効果を得ることが出来る。
(態様J)
態様A乃至Iの何れかの態様において、第一規制電圧を印加する時間の比率よりも、第二規制電圧を印加する時間の比率の方が高い。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、トナーT等の現像剤を交番電界で現像ローラ42等の現像剤担持体とドクタブレード45等の規制部材との間で振動させる際に、現像剤が規制部材から離れる易くなる。これにより、規制部材に対して現像剤の固着が発生し難くなる。
現像剤担持体から規制部材へ現像剤が向かう電界により、規制部材上で現像剤が滞留しやすくなり、規制部材への現像剤固着が発生し易くなる。これに対して、第一規制電圧V1等の第一規制電圧の印加時間「t1」を第二規制電圧V2等の第二規制電圧の印加時間を「t2」より短くすることで、規制部材上での現像剤の滞留時間を短くし、現像剤固着の発生を抑制する。
(態様K)
請求項Jにおいて、現像ローラ42等の現像剤担持体に印加される現像バイアスVa等の電圧は、現像剤担持体から感光体2等の潜像担持体にトナーT等の現像剤を向かわせるための第三電圧V3等の第三電圧と、潜像担持体から現像剤担持体に現像剤を向かわせるための第四電圧V4等の第四電圧とを備えた交番電圧であり、第一規制電圧V1等の第一規制電圧の印加時間を「t1」とし、第二規制電圧V2等の第二規制電圧の印加時間を「t2」として、第三電圧の印加時間を「t3」とし、第四の印加時間を「t4」としたときに、「t3≠t4」の関係であって、「t3>t4」の場合は、「t1=t4」、且つ、「t2=t3」の関係を満たし、「t3<t4」の場合は、「t1=t3」、且つ、「t2=t4」の関係を満たす。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、ドクタブレード45等の規制部材に対する固着の発生を抑制しつつ、低コスト化及び小型化を測ることができる。
(態様L)
態様A乃至Iの何れかの態様において、第二規制電圧を印加する時間の比率よりも、第一規制電圧を印加する時間の比率の方が高い。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、トナーT等の現像剤を交番電界で現像ローラ42等の現像剤担持体とドクタブレード45等の規制部材との間で振動させる際に、現像剤が現像剤担持体から離れる易くなる。これにより、現像剤担持体に対して現像剤のフィルミングが発生し難くなる。
(態様M)
態様A乃至Lの何れかの態様において、当該現像装置の使用環境や上記現像剤担持体の表面移動距離に応じて、上記第一規制電圧を印加する時間と上記第二規制電圧を印加する時間との比率を変化させる。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、現像剤の使用環境や現像装置中のトナーT等の現像剤の劣化に対して、その課題に応じた時間の比率で第一規制電圧と第二規制電圧とを印加することが出来る。これにより、規制部材に対する現像剤の固着や現像剤担持体に対する現像剤のフィルミングを経時に渡って抑制できる。
(態様N)
態様A乃至Mの何れかの態様において、現像ローラ42等の現像剤担持体の走行距離等の表面移動距離に応じて、交番電圧の周波数を変化させる。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、現像剤や現像剤担持体の経時劣化に起因する帯電量の変動を補正し、経時に渡って適切な帯電量を維持することができ、地汚れの発生を防止できる。
(態様O)
態様A乃至Nの何れかの態様において、現像装置4等の現像装置の使用環境に応じて、交番電圧の周波数を変化させる。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、使用環境の変動による帯電量変動を補正し、使用環境が変動しても適切な帯電量を維持することができ、地汚れの発生を防止できる。
(態様P)
態様A乃至Oの何れかの態様において、現像装置4等の現像装置内にトナーT等の現像剤が大量に補給された後と、通常時とで交番電圧の周波数を変化させる。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、トナーエンドリカバリー動作等の現像剤が大量に補給された後であっても適切な帯電量を維持することができ、地汚れの発生を防止できる。
(態様Q)
態様A乃至Pの何れかの態様において、現像ローラ42等の現像剤担持体に印加される電圧は、現像剤担持体から感光体2等の潜像担持体にトナーT等の現像剤を向かわせるための第三電圧V3等の第三電圧と、潜像担持体から現像剤担持体に現像剤を向かわせるための第四電圧V4等の第四電圧とを備えた交番電圧であり、ドクタブレード45等の規制部材に印加される交番電圧の周波数を「f1」とし、現像剤担持体に印加される交番電圧の周波数を「f2」としたとき、「f1≠f2」の関係を満たす。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、周期的な電圧の変動に起因する画像の周期ムラの発生を抑制できる。
(態様R)
少なくとも感光体2等の潜像担持体と、潜像担持体表面を帯電させるための帯電部材3等の帯電手段と、潜像担持体上に静電潜像を形成するための露光装置6等の潜像形成手段と、静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する複写機500等の画像形成装置において、現像手段として、態様A乃至Qの何れか一つの態様の現像装置を用いる。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、弱帯電や逆帯電の現像剤が現像領域に起因する地汚れ等の画像不良の発生を抑制することが可能となる。
(態様S)
潜像を担持する感光体2等の潜像担持体と、潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備える複写機500等の画像形成装置における少なくとも潜像担持体と現像手段とを1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスカートリッジ1等のプロセスカートリッジにおいて、態様A乃至Rの何れか一つの態様の現像装置を用いる。
これによれば、上記実施形態1について説明したように、地汚れ等の画像不良の発生を抑制することが可能な現像装置を、プロセスカートリッジを構成する他の部材ともに装置本体から取り外すことができる。よって、地汚れ等の画像不良の発生を抑制することが可能な現像装置の交換性の向上を図ることができる。
(態様T)
トナーT等の現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、感光体2等の潜像担持体と対向する現像領域α等の現像領域で潜像担持体の表面の潜像に現像剤を供給して現像する現像ローラ42等の現像剤担持体と、現像剤担持体の表面に接触して現像領域に向かう現像剤の量を規制するドクタブレード45等の規制部材とを有し、現像剤担持体の表面に凸部42a及び凹部42b等の凹凸形状を備える現像装置4等の現像装置において、規制部材に電圧を印加する現像バイアス電源142及びツェナーダイオード145等の規制部材電圧印加手段を備え、規制部材電圧印加手段は、現像剤担持体と規制部材との間で現像剤を移動させる電圧を規制部材に印加する。
これによれば、上記変形例について説明したように、現像剤を現像剤担持体と規制部材との間で動かすことができ、現像剤が摩擦帯電する機会が増える。その結果、弱帯電や逆帯電の現像剤が減少する。よって、弱帯電や逆帯電の現像剤が現像領域に到達することを抑制することが可能となり、地汚れが発生することを抑制できる。
(態様U)
態様Tにおいて、現像バイアス電源142及びツェナーダイオード145等の規制部材電圧印加手段は、現像ローラ42等の現像剤担持体からドクタブレード45等の規制部材に現像剤を向かわせる電圧を規制部材に印加する。
これによれば、上記変形例1について説明したように、現像剤を現像剤担持体側から規制部材側に動かすことができ、現像剤が摩擦帯電する機会が増える。その結果、弱帯電や逆帯電の現像剤が減少する。よって、弱帯電や逆帯電の現像剤が現像領域に到達することを抑制することが可能となり、地汚れが発生することを抑制できる。さらに、現像剤が現像剤担持体から離れて規制部材側に移動するため、現像剤担持体におけるフィルミングが発生し難くなる。
(態様V)
態様Uにおいて、現像バイアス電源142及びツェナーダイオード145等の規制部材電圧印加手段は、ドクタブレード45等の規制部材から現像ローラ42等の現像剤担持体に現像剤を向かわせる電圧を規制部材に印加する。
これによれば、上記変形例2について説明したように、現像剤を規制部材側から現像剤担持体側に動かすことができ、現像剤が摩擦帯電する機会が増える。その結果、弱帯電や逆帯電の現像剤が減少する。よって、弱帯電や逆帯電の現像剤が現像領域に到達することを抑制することが可能となり、地汚れが発生することを抑制できる。さらに、現像剤が規制部材から離れて現像剤担持体側に移動するため、規制部材における現像剤の固着が発生し難くなる。
1 プロセスカートリッジ
2 感光体
3 帯電部材
4 現像装置
5 感光体クリーニング装置
6 露光装置
7 中間転写ベルト
8 一次転写ローラ
9 二次転写ローラ
9a 二次転写対向ローラ
11 転写ベルトクリーニング装置
12 定着装置
41 現像ケーシング
42 現像ローラ
42a 凸部
42b 凹部
42f 表面層
42g 基材
42t 頂面
43 トナー収容部
43b 底面部
43s 側壁面部
44 供給ローラ
45 ドクタブレード
45a 先端面
45b 対向面
45c ブレードフォルダ
45e エッジ部
46 パドル
47 入口シール
48 供給スクリュ
49 トナー残量センサ
50 段部
55 トナー補給口
56 開口部
59 サイドシール
100 プリンタ部
101 トナー収容室
102 トナー供給室
106 トナー搬送部材
106a 搬送スクリュ形状部
106b 搬送板形状部
107 返送口
108 トナー撹拌部材
108a 撹拌スクリュ形状部
108b 撹拌板形状部
109 除電シール
110 仕切り部材
111 供給口
142 現像バイアス電源
144 供給バイアス電源
145 ツェナーダイオード
200 給紙部
300 スキャナ部
400 トナーボトル
411 上ケース
412 中ケース
412s 側壁部
413 下ケース
420a 溝形成部
420 現像ローラ円筒部
420b 非溝形成部
421 現像ローラ軸
422 スペーサー
440 供給ローラ円筒部
441 供給ローラ軸
450 ブレード部材
451 リベット
452 台座部
454 ピン穴
454a 主基準穴
454b 従基準穴
455 ドクタ固定ネジ
460 パドル羽
461 パドル軸
480 供給スクリュ羽部
481 供給スクリュ軸
500 複写機
600 プリンタ
L1 第一溝
L2 第二溝
P 転写紙
Q 接触位置
Q1 初期接触位置
T トナー
Va 現像バイアス
Vb 規制バイアス
V1 第一規制電圧
V2 第二規制電圧
Vpp ピークツウピーク電圧
W1 ピッチ幅
X1 移動距離
α 現像領域
β 供給ニップ
ΔV 降伏電圧
特開2007−121949号公報 特開2009−122642号公報 特開2010−224183号公報

Claims (22)

  1. 現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、潜像担持体と対向する現像領域で該潜像担持体の表面の潜像に現像剤を供給して現像する現像剤担持体と、
    該現像剤担持体の表面に接触して該現像領域に向かう現像剤の量を規制する規制部材とを有し、
    該現像剤担持体の表面に凹凸形状を備える現像装置において、
    上記規制部材に電圧を印加する規制部材電圧印加手段を備え、
    該規制部材電圧印加手段は、上記現像剤担持体から該規制部材へ現像剤を向かわせる第一規制電圧と、該規制部材から該現像剤担持体へ現像剤を向かわせる第二規制電圧と、を交互に印加する交番電圧を該規制部材に印加することを特徴とする現像装置。
  2. 請求項1の現像装置において、
    上記規制部材電圧印加手段は、上記規制部材と上記現像剤担持体との間に存在する現像剤の層に放電を生じさせない大きさの電圧を該規制部材に印加することを特徴とする現像装置。
  3. 請求項1または2の現像装置において、
    上記凹凸形状の凸部の頂面から凹部の底面までの距離が一定であることを特徴とする現像装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の現像装置において、
    上記現像剤担持体は、上記現像領域において上記潜像担持体に対して一定の間隔を持って非接触の状態で対向するように配置される構成であり、
    該現像剤担持体に交番電圧を印加する現像バイアス印加手段を有することを特徴とする現像装置。
  5. 請求項4の現像装置において、
    上記規制部材電圧印加手段は、上記現像バイアス印加手段が上記現像剤担持体に印加する交番電圧を、電圧降下手段で電圧降下させ、上記規制部材に印加する交番電圧を生成することを特徴とする現像装置。
  6. 請求項5の現像装置において、
    上記電圧降下手段がツェナーダイオードであることを特徴とする現像装置。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の現像装置において、
    上記第一規制電圧の大きさをV1、
    現像剤と上記現像剤担持体との平均付着力をF1、
    現像剤の平均帯電量をq、
    該現像剤担持体の表面上の上記凹凸形状の凸部の頂点から凹部の底部までの距離を最大深さd、としたときに、
    q×V1/d>F1 の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の現像装置において、
    上記第二規制電圧の大きさをV2、
    現像剤と上記規制部材との平均付着力をF2、
    現像剤の平均帯電量をq、
    該現像剤担持体の表面上の上記凹凸形状の凸部の頂点から凹部の底部までの距離を最大深さd、としたときに、
    q×V2/d>F2 の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
  9. 請求項1乃至8の何れかに記載の現像装置において、
    上記規制部材と上記現像剤担持体との接触部である規制ニップにおける該現像剤担持体の表面移動方向の長さである規制ニップ幅をa、
    該現像剤担持体の線速をv、
    上記交番電圧の周波数をf、としたときに、
    a/v>1/f の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
  10. 請求項1乃至9の何れかに記載の現像装置において、
    上記第一規制電圧を印加する時間の比率よりも、上記第二規制電圧を印加する時間の比率の方が高いことを特徴とする現像装置。
  11. 請求項10に記載の現像装置において、
    上記現像剤担持体に印加される電圧は、
    該現像剤担持体から上記潜像担持体に現像剤を向かわせるための第三電圧と、
    該潜像担持体から該現像剤担持体に現像剤を向かわせるための第四電圧とを備えた交番電圧であり、
    上記第一規制電圧の印加時間を「t1」とし、上記第二規制電圧の印加時間を「t2」として、
    該第三電圧の印加時間を「t3」とし、該第四の印加時間を「t4」としたときに、「t3≠t4」の関係の関係であって、
    「t3>t4」の場合は、「t1=t4」、且つ、「t2=t3」の関係を満たし、
    「t3<t4」の場合は、「t1=t3」、且つ、「t2=t4」の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
  12. 請求項1乃至9の何れかに記載の現像装置において、
    上記第二規制電圧を印加する時間の比率よりも、上記第一規制電圧を印加する時間の比率の方が高いことを特徴とする現像装置。
  13. 請求項1乃至12の何れかに記載の現像装置において、
    当該現像装置の使用環境や上記現像剤担持体の表面移動距離に応じて、上記第一規制電圧を印加する時間と上記第二規制電圧を印加する時間との比率を変化させることを特徴とする現像装置。
  14. 請求項1乃至13の何れかに記載の現像装置において、
    上記現像剤担持体の表面移動距離に応じて、上記交番電圧の周波数を変化させることを特徴とする現像装置。
  15. 請求項1乃至14の何れかに記載の現像装置において、
    当該現像装置の使用環境に応じて、上記交番電圧の周波数を変化させることを特徴とする現像装置。
  16. 請求項1乃至15の何れかに記載の現像装置において、
    現像装置内に現像剤を大量に補給された後と、通常時とで上記交番電圧の周波数を変化させることを特徴とする現像装置。
  17. 請求項1乃至16の何れかに記載の現像装置において、
    上記現像剤担持体に印加される電圧は、
    該現像剤担持体から上記潜像担持体に現像剤を向かわせるための第三電圧と、
    該潜像担持体から該現像剤担持体に現像剤を向かわせるための第四電圧とを備えた交番電圧であり、
    上記規制部材に印加される交番電圧の周波数を「f1」とし、該現像剤担持体に印加される交番電圧の周波数を「f2」としたとき、「f1≠f2」の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
  18. 少なくとも潜像担持体と、
    該潜像担持体表面を帯電させるための帯電手段と、
    該潜像担持体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、
    該静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する画像形成装置において、
    該現像手段として、請求項1乃至17の何れかに記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
  19. 潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置における少なくとも該潜像担持体と該現像手段とを1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスカートリッジにおいて、
    上記現像手段として、請求項1乃至17の何れかに記載の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  20. 現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、潜像担持体と対向する現像領域で該潜像担持体の表面の潜像に現像剤を供給して現像する現像剤担持体と、
    該現像剤担持体の表面に接触して該現像領域に向かう現像剤の量を規制する規制部材とを有し、
    該現像剤担持体の表面に凹凸形状を備える現像装置において、
    上記規制部材に電圧を印加する規制部材電圧印加手段を備え、
    該規制部材電圧印加手段は、上記現像剤担持体と該規制部材との間で現像剤を移動させる電圧を該規制部材に印加することを特徴とする現像装置。
  21. 請求項20に記載の現像装置において、
    上記規制部材電圧印加手段は、上記現像剤担持体から上記規制部材に現像剤を向かわせる電圧を該規制部材に印加することを特徴とする現像装置。
  22. 請求項20の現像装置において、
    上記規制部材電圧印加手段は、上記規制部材から上記現像剤担持体に現像剤を向かわせる電圧を該規制部材に印加することを特徴とする現像装置。
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